スレ内に投稿されたSSまとめ(36~40スレ目)
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麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 36スレ目
≫2 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 03:20:42
革命軍参謀総長、サボは関西弁で喋るウマ娘、タマモクロスに声をかけられた。
「なあ!ちょっとついてきてくれへんか?今暇やろ?」
「確かに忙しい訳ではないが…どうした?」
「まあまあ、いいからいいから!」
そう言うタマに背中を押され、サボは訓練所にまでやって来ていた。
そこには屈伸をしているタマと同じ葦毛のウマ娘、『怪物』オグリキャップがいた。
そして腕を伸ばしていたタイミングでサボと目が合い、彼女は柔軟をやめて目の前にやって来る。
「少し試したいことがあってな、手伝ってくれ」
「つまり、模擬戦をしようということか?」
「そういう事や!」
タマが肯定する。
そうと決まれば話は早い。
訓練所の真ん中に、オグリキャップとサボが向かい合った。
≫3 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 03:21:19
そして合図もなく、戦闘が始まる。
サボは鋭い踏み込みからオグリに接近し、右手を竜の爪のようにして繰り出した。
それにオグリは後回し蹴りで彼の爪を受け止める。
「その体勢なら、押し切れるぞ!…なにっ?!」
サボはそのまま押し切ろうとしたが、突如として踏み込んでいた地面が炸裂し、大きくバランスを崩してしまう。
オグリは体ごと回転、掴まれていた脚を地につけ軸足にし、逆脚で踵落としを放つ。
サボは咄嗟に腕の力を使って後方に跳んだ。
「何だったんだ…今のは…」
突然地面が炸裂した。
オグリキャップは能力者ではない。ならどうやって…、と考えていると、彼女が口を開いた。
「駿蹄拳だ」
「駿蹄拳?」
「私とタマで完成させた武術だ…タマ、説明を頼む」
「はいはい。えっとな、駿蹄拳ちゅうんはサボやドラゴンが使う竜爪拳と、ウチらウマ娘が使うウマ娘武術を組み合わせた新しい武術や。厳密には竜爪拳の中の技、竜の伊吹とやけどな」
「竜爪拳と…ウマ娘武術の…」
流石のサボも驚いていた。
タマは続ける。
「ウマ娘の技って衝撃波を出す技が多いやろ?それと竜の伊吹の核を破壊する技術を組み合わせて、衝撃を核に伝導させて物体を砕く。これが駿蹄拳や。…今のところオグリしか習得してないけどな」
「俺の体内を伝導させて地面を炸裂させたのか…。タマは使えないのか?口ぶりから察するに一緒に訓練してたんだろ?」
「いやぁ、ウチ能力者やろ?能力なしでも習得出来ることを証明する為に、優先的にオグリを鍛えてたからまだなんや。ああ、基礎の部分は問題ないで」
「成る程な」
そう言ったあと、サボは再びオグリと向かい合い、試合を再開した。
そしてその後、試合が原因で作戦会議に遅刻したサボはコアラに拳骨を落とされたのだった。
≫24 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 07:42:48
「タマ、例の麦わらの真似をしていたんだが…」
「あんなぁオグリィ…アイツの風船っぽいアレはゴムゴムの実だからこそ出来るんであってやなーーって聞かんかい!!」
呆れたようなタマのツッコミを無視して、まるで渦潮のように息を吸い込み始めるオグリ。
「コォォォォ…フッッッッ!!」
まるで空手の息吹を数十倍にしたかのような吐息と共に、小柄なタマが吹き飛ばされそうな凄まじい豪風が巻き起こる。
「んなぁ!?」
砂埃が収まった後には、そこに全身から蒸気を噴き出しながら、ドドドド…と蒸気機関の如き轟音を胸から響かせるオグリの姿があった。
「何とか身体を膨らませようとしてたら、何か出来たんだ。凄いだろう?」(ムフーッ
「アカン…突っ込む気すらおきへん…」
コレこそ、後に海賊や海軍を恐怖に陥れる「勝利の鼓動」誕生の瞬間であった。
≫90 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 18:00:02
ゴーイングメリー号にて、フクキタルと一味の日常を考えてみた。
時系列は空島後~トレセン諸島編の間。個人的に空島の後にトレセン、続いてロングリングロングランドだと思っているので。
「フークーキータールー!! いい加減にしなさい!!」
「ひゃい?! ど、どうしたんですかナミさん?!」
「おーおーどうしたんだナミ、そんな声を荒げてよぉ」
ある日のこと。
ゴーイングメリー号の女子部屋からナミの怒声が船全体を揺らした。
声に続いて飛び出すようにラウンジから出てきたのはフクキタルで、それに続いて怒り心頭な様子のナミが看板に出てきた。
呆れたような表情でウソップら一味の面々がその様子を眺める。
「どうしたもこうしたもないわ! フクキタル、あんたいつまでこんなゴミの山を取っておくのよ?! アンタのせいで私たちの部屋が狭くなっていくんですけど?!」
「で、でも……あれは私の大切な開運グッズでして……捨てるなんてことはとてもとても……」
「ああ、フクキタルのあれか……確かにどうしてあんなガラクタを取っているんだ?」
「ウソップさんまで?! いいですか、あれは私がこれまでの旅路で収集してきた貴重な開運グッズ! どれもありがたや~厳かな品々なのです! 捨てるなんてトンデモない!!」
一味全体は察した。これ、めんどくさい話だと。
麦わらの一味見習い占いであるフクキタルは”運”というものにこだわっている。そのため、自分が上手くいった時の品々やお守りといったものをやたらと保管しているのである。それも、ゴミの山と形容される程度には。
≫91 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 18:01:00
「分かった、百歩譲ってあんたのお守りやダルマあたりは許すとしましょう。でも! こんな使用済みの割り箸まで保管することないでしょう?!」
「なにを仰るんですか?! あの割り箸は珍しく綺麗に割ることができた割り箸ですよ!?」
「じゃあこのペラペラな牛乳瓶のフタは?」
「ギャー! それは私の牛乳瓶のフタ占いの結果、新記録の24枚まで裂くことができた大大吉な幸運アイテム! それを捨てろと仰るんですか?!」
「……なら、この骨はどうなの」
「そ、それは私が初めて上手に調理できたお肉の骨! 私はそれがあるから今でも上手にお料理をすることが出来るのですよ?!」
「いい加減にしなさい! これじゃあゴーイングメリー号がアンタの開運グッズとやらで沈むのも時間の問題じゃない!?」
「それは、まあ、その通りですけど……だけど私にはそれを捨てるなんて出来ませんよ~!」
今にも泣き出しそうなフクキタルと、開運グッズをなんとしても捨てさせたいナミの怒声。堂々巡りなやり取りに読書をしていたロビンが本を閉じる。
「確かに、占い師さんの開運グッズには私も困らされているわ」
「ろ、ロビンさんまで?! そんな殺生な……」
「ロビン、任せてもいい……? 私もう疲れてきたわ……」
「了解したわ、航海士さん。──占い師さん、貝塚というものは知っているかしら?」
「……貝塚ですか? ええまあ、概要程度には知っていますよ? 昔の人のゴミ捨て場のことですよね?」
「ええ、その通り。そして私達考古学者にとって宝の山のような場所でもあるわ」
「ゴミ捨て場が、ですか?」
突然に始まるロビンの授業にフクキタルは困惑した表情を浮かべる。
≫92 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 18:01:15
「ええ、捨てられたゴミを調べることで当時の人々がどのような食事をしていたのか、どんな文化を形成していたのかを窺い知ることが出来るわ」
「へー、そうなんですか~。それがこのお話とどのような関わりが?」
「いいえ、ただ貴方が何かを捨てることでいつの日か幸せになれる人達もいるという事よ。貴方の幸福を誰かに分けることも開運の一環じゃないかしら?」
「……それもそうですね! では次の島で幾つかの品をお護摩しましょう!」
「いやそれで納得するのかよ?!」
ロビンの説得にニコニコと晴れやかな笑顔を浮かべながらフクキタルは女子部屋へと戻っていく。おそらく、お護摩する品の選定に向かっているのだろう。
「ロビン、フクキタルだけじゃどうせ決めれないだろうから面倒見てやってくれない?」
「そうね、私も同感よ」
「アアアアア! 決められません~~~~!」
「……ほらね」
呆れたような表情を浮かべロビンもまた女子部屋へと向かっていったのであった。
≫141 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:06:45
バロックワークスのフジキセキと、出番が少ない気がしたエアグルーヴinアラバスタの怪文書
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焦熱の砂漠と雲一つない灼熱の日射しは、情け容赦なく全てを焼き尽くし罪人を裁く地獄の業火を思わせる。
ただ呼吸するだけで気力と体力、何より水分を奪っていく乾いた空気には、灼かれた砂が混じり熱風となってその威を示す。
時に、長年慣れ親しんだこの地─アラバスタ王国で暮らす砂漠の民にとってすら、等しく骸を晒す墓所となる。
アラバスタ王国首都『アルバーナ』近郊。
焔砂の大地に降り注ぐ陽光の下。白と黒、二つの影がぶつかり合う。
白──背中に『正義』の文字の描かれた海軍のコートを羽織ったウマ娘。
黒──胸元を開けた男装の麗人を思わせる衣装のウマ娘。
どちらもウマ娘という種族に違わず美しい容姿をしているが、色合いと同じく互いの表情は対称的だ。
白──眼を細め、対峙する相手を厳しく睨み付ける。目元のアイシャドウも相まって、妖艶でありながら冷酷な眼光を向けていた。
黒──永く会っていなかった旧友と再会したような、懐かしさと愉しさに満ちた眼差し。余裕を感じさせる微笑を浮かべ、手に持つ一輪の花の香りを楽しんでさえいる。
≫144 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:07:42
何度目かの激突で互いの位置が入れ替わり、ようやく2人は口を開いた。
「貴様が何故クロコダイルの下にいる。まさか貴様に限って不本意ながら無理やり、ということもないだろう。答えろ──フジキセキ」
「人を見るなりいきなり襲いかかってくるなんて酷いな。久々の再会だっていうのに、思い出話をする余裕もないじゃないか──エアグルーヴ」
白──海軍本部所属“海軍の女帝”エアグルーヴ大佐。
黒──秘密犯罪会社バロックワークス最高幹部(オフィサーエージェント)『Ms.2ndワールドシアターデイ』、またの名を『幻』のフジキセキ。
「質問に答えろ。…昔の誼だ。情状酌量の余地有りと判断できる内容で、且つ即座に投降するならば悪いようにはせん」
厳しい視線を僅かに緩め、エアグルーヴはかつて舞台女優を目指し、今や賞金首となった旧友を見る。
当時と変わらない。優れた容姿と悪戯っぽい表情で周囲を楽しませていた、あの頃の笑顔ままでフジキセキはそこにいた。
「残念ながら、いくらポニーちゃんからのお願いでも、捕まってはあげられない…かな?」
「子持ちだぞ、私は」
他の者なら色めき立っていたであろうそんな戯れ言を切って捨て、エアグルーヴはさっさと話せと眼光を鋭くした。
≫146 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:09:16
「やれやれ、キミも相変わらず冗談が通じないね。まあ、大した理由じゃないさ。演技の勉強と、あとはそう──友情のため」
浮かべていた微笑を消し、フジキセキはかつて己の理想のために歩み出し、今や海軍でも指折りの実力者となった旧友を見る。
当時と変わらない。優れた容姿と厳しさの中に優しさが同居した、あの頃の眼差しのままでエアグルーヴはそこにいた。
「多くを語る気はない、か」
そうか。と、小さな呟きが耳に届いた瞬間、フジキセキは咄嗟に身体を左側へと投げ出した。
轟音──一瞬前にフジキセキのいた場所には、油断なく標的を見据えるエアグルーヴの姿。その足下は巨大な刃物を叩きつけたように、大きく抉れていた。
対人格闘術『六式』が一つ『剃』による、背後への超高速移動。
そして淀み無く放たれた同『六式』が一つ『嵐脚』による奇襲。
鍛え上げた超人の戦闘技術を、生まれながらの超人にして地上最速種と称されるウマ娘の肉体を持って運用する。
更に目の前の“女帝”は、天賦の才を持ちながら自身の才能に胡座をかくような人物ではない。
反射的に左腕で頭を守る。その直後、凄まじい衝撃がフジキセキを襲った。再度接近していたエアグルーヴの蹴りを受け止めた左腕が軋む。
フジキセキが苦し紛れに放った蹴りはしかし、『六式』の一つである『鉄塊』によって止められ、その身体は小揺るぎもしない。
「──散頸・凰榮排」
エアグルーヴの踏み込みと同時に、フジキセキは後方へと大きく弾き飛ばされた。
≫148 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:10:01
「私は貴様を高く評価している。故に、あまり加減してやれんぞ」
──これが“海軍の女帝”エアグルーヴ。何よりも己に厳しく、不断の努力を積み上げ理想へ突き進む、“樫の女王”の偉大なる血脈に連なる者。
足元が柔らかい砂で助かった。と、未だ身体中に走る衝撃に戦慄しながらフジキセキは考える。
今の技は、爆発的な踏み込みにより生じた衝撃を、余さず相手へ叩き込むものだ。その特性と彼女の脚質から、砂上では威力が大幅に減衰している。
そして今のように地面へ身体を背中から叩きつけられても、砂の上ならばダメージも少なく済む。
何より──距離が取れた。
エアグルーヴは視線の先で大の字に横たわるフジキセキの動作を見逃すまいと、警戒しながらジリジリと近づいていく。
──『幻』のフジキセキ【懸賞金額 1億2965万ベリー】。
かつて、その潜在能力は『皇帝』シンボリルドルフや、『シャドーロールの怪物』ナリタブライアンに匹敵するとも称された、紛うことなき天才。
決して武闘派の賞金首とは言えないが、その才能をエアグルーヴは一切疑わず、侮らない。
事実、先程の一撃は上から押し潰す角度で放ったにも拘わらず、即座に後方へ跳躍し衝撃を利用して距離まで稼いでいる。
見た目ほどのダメージは与えられていない。自身の『第弐階位重衝』の練度では、削れはしても決め手にならない。
≫149 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:10:53
故に、己に課した制限を一つ外す。
それは即ち『第壱階位重衝』──『G1』の解禁。
本来ならばこのレベルの賞金首に使う物ではない。しかし、目の前のウマ娘は、ウマ娘史にその名を刻む絶対者達に劣らぬ才能を有している。
先程は加減はしてやれないと言ったが、不正確だ。
──加減をする余裕など、ない。
相手が死なないことを願うが、殺すつもりで己の技を振るうと決める。
間もなく間合いに入り、生死問わずそれで終わりだ。
明確な殺意に曝されながらも、フジキセキは笑った。
背中の砂が熱い。まるで火で炙られているようだ。
吸い込む空気が熱い。呼吸するだけで肺が焼けそうになる。
だというのに、目の前の海兵の殺意一つでそれら全てが消え失せるほど、身体の芯から凍えてくる。
「──なるほど、これが死を前にした者の感情か」
フジキセキの呟きと同時に、エアグルーヴは脚に力を込め──
≫150 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:12:10
「まあ別に死なないけどさ」
悪戯に成功したような、そんな声。エアグルーヴは突如目の前に投擲された一輪の花を見た。見てしまった。
「なっ」
閃光。
強烈な光に視界を奪われ、一時的に視力を失う。
直後、エアグルーヴを囲むように大量の煙幕と無数のクラッカーが発動する。
花の香りの煙幕と、連続して鳴り響く炸裂音。
閃光弾で塞がれた視界が戻った頃には、既に下手人はまんまと逃げ仰せていた。
「やられた…!」
いつの間に仕込んでいたのかなど、今は気にする意味がない。折角追い詰めた賞金首を取り逃がしたという事実に、エアグルーヴは己の詰めの甘さを恥じた。
足跡も消されており、追跡は困難だろう。 それ以上にフジキセキにこちらを迎撃するための時間的な余裕を与えてしまった以上、深追いは禁物か。
そう判断し、エアグルーヴは今回の一件を報告するため、一度船に戻ることにした。
そして、エアグルーヴが立ち去ってからきっかり2時間後。
「──灯台下暗し、ってね」
先程倒れていた場所の真下、砂の中からフジキセキは抜け出した。
≫151 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:13:12
「うわ、服の中にまで砂入っちゃってる。水浴びしたいけど…まずはボンちゃん達だね」
体力は限界に近いがそれを一切表に出さず。フジキセキはしっかりした足取りで『アルバーナ』を目指した。
/
アラバスタ王国脱出のため、一時的に麦わらの一味と手を組むことになったボン・クレーとフジキセキであったが、海軍の海上封鎖によって足留めを受けていた。
ゴーイングメリー号と快速スワンダ号の二隻に対し、周囲を取り囲む海軍船は八隻──その全てが、海軍本部大佐『鉄檻』のヒナの精鋭部隊。
ゴーイングメリー号を逃がすため、快速スワンダ号とその乗組員全員が囮となり、海軍と激突する。
「やあ、今度の再会は随分早かったね」
「抜かせ!」
2人のウマ娘が海上を走る。
フジキセキとエアグルーヴ。先日の砂上とは異なり、水上での激突。
一部の極まったウマ娘のみに扱える海渡りの技法を、両者当たり前のように行使する。
≫152 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:13:48
フジキセキの蹴りとエアグルーヴの『嵐脚』がぶつかり合い、両者共に後方へ弾き飛ばされた。
「やはり力を隠していた…いや、それだけではないな」
足下の感触に顔をしかめる。
──バ場適性。
走ることを本能的に好むウマ娘であるが、個体毎に得意なバ場というものがある。
エアグルーヴ自身は芝の上が最も足下に馴染み易く、砂や粘土質なダートはあまり好みではない。
そして、元来陸の上で生きてきたウマ娘の中で、水上を得意とする者は少ない。
無論、トレセン諸島のタイキシャトルのような例外はあるが、極少数だといえる。
つまり──
「お互い砂の上より苦手だよね?これで漸くイーブンかな」
「貴様…!」
≫154 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:14:21
先日の砂上では、アラバスタ入りに伴い専用の蹄鉄を用意し無理やり適性を補うことで優位を保ち続けた。エアグルーヴの適性による下げ幅よりも、フジキセキの下げ幅の方が明らかに大きかった。
しかし、今回は専用の蹄鉄など無い。そして互いの水上適性はほぼ最低と言える。
「あまり気は進まないけど、これ以外は思いつかなかったからね。じゃあ、しばらく付き合ってもらうよ」
悪戯が成功したような、そんな愉しげな声。
先日のダメージも残っているだろうに、そんな様子は微塵も見せず余裕のある態度を崩さない。
──尤も、この結末は決まっていた。
「【ブレイズ・オブ・プライド】…!」
「【煌星のヴォードヴィル】…!」
幾度目かの激突の果て。
結果として、フジキセキは敗れた。
≫155 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:15:01
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「浮かない顔してるわね。捕まえたこと後悔してるの?ヒナ疑問」
甲板に佇むエアグルーヴの背に、ヒナは声をかけた。エアグルーヴが振り向くと、包帯が巻かれ吊るされた右腕が見えた。
最後の激突──ウマ娘が体得している武術の中でも、極一部の者のみが扱えるとされる境地【領域】。
【領域】同士の激突は、互いに侵食し反発し、周囲に破壊の奔流をもたらす。
船から離れた海上との激突であったが、余波で二隻分の外装に亀裂が入り、補修のため一時停泊する事態となった。
「ていうか、あの【領域】ってヤツ凄いわね。ヒナ戦慄」
「…いや、最盛期のルドルフ中将ならば、単身で艦隊を壊滅させている。私などまだまだ未熟だ」
エアグルーヴの言葉に顔を引き攣らせながら、あの時の【領域】のぶつかり合いを思い出す。
誇り高き蒼い焔と、煌めく星光の激突。
崩れ落ち海中に沈む同族を引き上げ、船へと戻ってきた“海軍の女帝”。
その時の表情を、どう表現すべきか分からない。必然だったと納得しているような、致命的な間違いを犯したと後悔しているような、余りに痛ましい表情。
≫156 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:15:39
「ねえ、エアグルーヴ大佐、少し休んだら?ヒナ提案」
「ありがたい申し出だが、直ぐに出立する。近くの支部の高速挺を借り受けることになっている。本部へ報告に戻らねば」
失礼する。止める間もなく歩き出す。
その横顔は、悔いも憂いも飲み込んだ戦士のもの。
「──ああ、そうだ。『フジ』のヤツは特によく見ておいてくれ。隙を見せると厄介だ」
「…胆に命じておくわ。ヒナ了解」
最後にそう忠告を残し“海軍の女帝”は本部へと帰って行った。
そしてそれから僅か数日後。
「さて、どうしたものかな」
女帝から厄介と称されたウマ娘──フジキセキは、小型舟に乗り自由を謳歌していた。
事の発端は、つい先日。一緒に捕まった仲間達が騒ぎを起こしたことだった。
ボン・クレーを筆頭に派手に暴れ回って注意を引き付け、フジキセキだけ無理やり脱出用の小型舟に乗せられ放り出されてしまったのだ。
──フジちゃん!今まで楽しかったわ!あちし達ずっと“心友”よ!舞台女優の夢、叶えてね!
≫157 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 20:16:12
「──よし、決めた」
まずは自分のファンであり、一番の“心友”を助け出そう。それまで舞台女優はお預けだ。
そのためにはまず資金の調達と、情報収集が必要だ。
「都合の良い所があればいいけど、まあこればっかりはまだ分からないか」
フジキセキの呟きは、穏やかな波間に溶けていった。
なお余談であるが、フジキセキの脱走の報告を受けたエアグルーヴが、自分の詰めの甘さに憤りと僅か安堵の混じった表情をしていたと、彼女の夫のたわけが証言している。
おわり
長々と失礼しました。ここからフィルムゴールドでフジキセキが再登場、という妄想でした
あと描写盛り過ぎじゃね?とか、エアグルーヴ厳し過ぎね?とか、砂対応の蹄鉄とか狡くね?とかあると思いますが、細かい部分は各自脳内補完をお願いします
麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 37スレ目
≫41 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 21:22:36
トレセン諸島編(おれの脳内Ver)を説明する。
まず、空島から帰還したルフィ一行はジャヤにて出会った謎のウマ娘から貰ったエターナルポースの行く先、トレセン諸島──フクキタルの故郷に向かうことを決意する。
フクキタルが青ざめた顔をしていることに気づかずに。
トレセン諸島に向かう途中、ゴルシ率いる海上警備隊に遭遇。
トンチキな会話をしつつも入港許可を得てトレセン諸島に上陸。
そこに出迎えとしてやってきた委員長ことサクラバクシンオーが登場。
「しかし、おれたちみたいな海賊を招いていいのかよ」
「大丈夫です! 皆さんより私のほうが強いので!」
「……へぇ」
ログが貯まる期間は3年と長いトレセン諸島。空島で溜まったログが書き換えられることはないと安心した一行はショッピングやウマ娘レースなど観光を楽しむことにする。
そして、一行は人っ子一人も居ない廃墟……フクキタルの故郷を目の当たりにする。
ここからウマ娘の闇をたづなさんとロビンによって説明される。
(ここらへんからキョーシの暗躍開始)
そんなこんなで羽を伸ばしていた麦わらの一味はトレセン諸島有数の実力者であるタイキシャトルによって襲撃される。
その場に割って入ったゴルシによって戦いは中断されたものの、今度はフクキタルが居ないことに気づく。
一行が耳にしたのはフクキタルがウマ娘を攫っているという信じがたい話であった。
次のターゲットとして目されているのはフクキタルの親友であるサイレンススズカ……足の故障により現在入院中の人気競争ウマ娘である。
その場に張り込むルフィ一行、スズカからフクキタルの過去話を一部聞く。
そして現れるフクキタル(?)、しかし彼女の本命はスズカではなく他のウマ娘であり、警備の眼をスズカに向けさせることであった。
これにより中央の実力者による警備が緩んでいた地方島から多くのウマ娘が攫われる事態に。
フクキタルの居場所を吐けとルフィに殴りかかられるもサクラバクシンオーの姿に変じたキョーシはコレを一蹴、逃走を許してしまう。
なお、この場にウソップ、チョッパーとロビンあたりはいないと思う。ロビンとウソップ、チョッパーはフクキタルの居場所の調査に向かっている。
≫42 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 21:22:57
ロビンらと合流したルフィらはフクキタルの居場所……あの壊滅した故郷にして現在キョーシらウマ娘誘拐犯のアジトへとウマ娘連合(ゴルシ、タイキ、クリークあたり)と共に向かう。
一行は罠と武装した兵士を倒しながら先に進んでいく。
そこでルフィが目にしたのは心が折れて拘束されているフクキタル。
なんでも、”占い”によりキョーシの正体を先んじて見破っていたフクキタルは一人単身でキョーシに挑み敗北。姉の仇も取れず捕まってしまった自分に最早存在する価値はないと慟哭する。
ルフィはこれを一喝、半ば強引ながらもフクキタルを立ち直らせる。
そしてルフィとフクキタルはキョーシと対峙、フクキタルらウマ娘族を馬鹿にし、フクキタルの姉の死を無意味だったと嘲るキョーシ。トレセン諸島で出会ったウマ娘の姿に次々と変貌し、変則的な戦い方でルフィとフクキタルを圧倒。
ここらへんでフクキタル過去回想かも。
吹っ切れたフクキタルによってキョーシは吹き飛ばされるも、今度はフクキタルの姉に変身。
フクキタルの心を折ろうと口を回すも
「うちの占い師を馬鹿にすんじゃねぇ!」
とブチギレたルフィに成すすべもなくボコボコにされ、また
「お前の言葉はもう二度と聞きたくねぇ!」
と、散々弄んだ言葉という罠を使えなくなるかのように、ゴムゴムのバズーカによってキョーシの顎を粉砕。
最後はゴムゴムの馬乗鞭によりキョーシは夜空の星へと吹き飛ばされる。
海上のウマ娘を捉えた奴隷船は、王下七武海オグリキャップが開放したと連絡をうけ一件落着
最後は過労死寸前まで料理をするサンジ。フクキタル、タイキ、そして復活したスズカによるうまぴょい伝説、宴会。
意味深げにルフィと言葉を交わすオグリ。そして姉の墓に花を添えて”見習い海賊・マチカネフクキタル”ではなく”麦わらの一味の占い師・マチカネフクキタル”として海へと旅立つフクキタルでfin
雑ですがプロット考えてみました。お納めください。
≫87 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 21:55:56
okもらったんで投稿します。フクの口調や展開で違和感あったらすみません。
麦わらの一味、現状は「元」一味であるウソップは現在、メリー号の修繕のための物資を必死に運んでいた。
彼は現在メリー号の処遇を懸けたルフィとの決闘に敗れ、たった一人でメリー号を修繕していた。
「もしもし、そこのウソいえ長鼻の御方!」
その言葉にウソップは振り向く。彼が振り向いたのは、一味から抜けた今嵐のような現在の天候の中で自分に話かけるような酔狂な人間がいる点への驚きもあったが、なにより自分にとって酷く聞き覚えのある声であったからだ。
振り向いた先にいたのは体全体をローブで隠し、唯一隠れていない顔もこの町の仮装用のお面で隠しており、男か女かさえも分からない風体の存在であった。
だがウソップはすぐその正体を見破った。
「何やってんだよフk「私はハッピーカムカム!このウォーターセブンの占い師です!!」」
「ハッピーカムカム」と名乗った占い師はウソップの声を遮ると一方的にまくしたて始めた。
「私の占いが言ってます!あなたは仲間と仲直りするべきだと!そしてもう一人の仲間と一緒に仲間の元に戻って冒険を続けるべきだと!」
ウソップはその言葉に一瞬唖然としたが、すぐに激高した。
「てめぇフク!それ本気で言ってやがんのか!!」「本気です!あと私はハッピーカムカムです!!」
「決闘で負けた俺に対する同情か!?てめぇの船長に逆らって負けて一味を抜けた俺に、どの面下げて戻れって言ってんだ!!」
「それにお前の船長…ルフィは俺のことは放っておけといった!!お前が今やってんのは自分の船長の意志に反したことだぞ!?俺に対する同情ってだけの問題じゃねぇんだ!!」
自身の海賊団の船長の意志に反する行為、それはその海賊団に対する裏切り行為であり、万が一この事が他のメンバーに知られたら、メンバー自身の意志とは関わらず、フクキタルの海賊団内での立場は危ういものとなるだろう。
「俺のことなんか放っといて、とっとと戻っちま「私は!!占い師です!!」」
だがウソップの絶叫をさらなる絶叫で遮る。周囲は激しく雨が降っているにも関わらず、その占い師の声は遮られることなくウソップの耳に届いた。
≫89 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 21:56:15
「占い師の役割は海賊団の旅路がより良いものとなるよう占って助言をすること!!私は船長に意見できる立場です!」
「私は占いました、そしてわかりました!!ここでウソップさんを見捨てれば船長…ルフィさんは海賊団になれない!だから私は止めるんです!!旅路をよりよくしたいから!!それと!!」
そう叫び返すと同時に強風が吹き、その占い師のお面が外れて顔が露になる。
「その一味の占い師の少女はこう思ってます!!ある嘘吐きの仲間に勇気をもらったと!!占いでしか自分の道を決められない自分と違ってその人は、震えながら自分の意志で戦ったと!!」
「私がトレセン諸島で乗った船は麦わらの一味の船です!!誰一人欠けてはいけない…いえ、欠けさせたくないんです!!」
そう絶叫した彼女…フクキタルの顔は余す所なく濡れており、それは雨によるものではなかった。
その絶叫を聞いたウソップは最初は動揺していたが、段々と冷たい顔になっていく。
「だったらどうする?お前も一味を抜けるか?そうはいかねえだろ!!だったらそんな臆病者の仲間なんかほっとけばいいんだよ!!」「今なら俺に会ったこともばれやしねえからルフィの意志に反しちゃいねぇ!!とっととルフィ達の所に戻れ!!」
「でしたらウソップさんの気が変わるまで一緒にいます!!」
「はぁ!?だからそりゃルフィの…」「私はハッピーカムカム!その占い師のフクキタルさんじゃないので問題ありません!!」
「ふざけんなついてくんな!」「いやです!」
物資を引きずりながらも逃げるウソップ。それを追いかけるフク…ハッピーカムカム。
その追いかけっこはとある海パン一丁の変態に見つかるまで続いたのであった。
≫108 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 22:23:13
キョーシを倒そうとするフクキタルの前に一人のウマ娘が立ち塞がった。
彼女はドカドカ。
フクキタルがまだ本島にいた時に共に切磋琢磨したウマ娘の一人だ。
「どいてください!私は…」
「なんで!?」
フクキタルの言葉を遮るようにドカドカは叫んだ。
「なんで酷いことする島外の人間なんかと一緒にいるのよ!あいつらもウマ娘を攫う人間とおなじなのよ!?海賊なんだもん!」
「あの人たちは違います!笑って、歌って、そして誰かのために…仲間のために戦える!彼らは海賊だけど、いい人たちなんです!」
「何言ってるのよ!意味わかんない!」
大声で言い争っていたせいで二人とも肩で息をしていた。
ドカドカはフクキタルに指を突きつける。
「だったらウマ娘らしく、レースで決着をつけましょうよ。ちょうど近くにレース場がある。観客のいない、二人だけのレース。勝った方の言うことを聞くのよ。私が勝ったら、あなたを先には行かせない。あなたが勝ったら…」
「ルフィさん達のところに行きます!」
レースの結果は、一着マチカネフクキタル。二着のドカドカとはハナ差だった。
フクキタルはドカドカの前に立つ。
「あの人たちと一緒にいたから、私は強くなれる。だからドカドカさんもそこまで毛嫌いしないであげてください。ルフィさん達と一緒にいていろんなところにも行きましたが、悪い人はいませんでした」
「あなたにとってあの人間達は大切な仲間ってことね…。あなたが言うなら私も少しだけ、島外の人間を信じてみるわ」
二人は握手し、フクキタルはキョーシのアジトへと走り出した。ドカドカは彼女の背中を見送っていた。
扉絵アート
『成長していくフクキタルを新聞で読んでいる、別の島で人間と結婚したドカドカ』
≫117 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 22:43:01
ローってフクのことなんて呼ぶんだろう?フク屋?占い屋?
それはさておきドレスローザに入港する前くらいの時間軸のSS
パンクハザードでの一件を終え、息をつく間もなく次の目的地へ。
場所はドレスローザ。王下七武海を脱退したドフラミンゴにパンクハザードで捕らえたシーザーを引き渡し、その隙にドレスローザのどこかにあるはずの「スマイル」の工場を潰すのが今回の目的だ。
……ということで。
フクキタル「ではここらでひとつ、私が今日の運勢を占ってみましょう!」
ロー「おれは占いは信じねェ」
いっそ清々しいほどにバッサリと切り捨てられ、フクキタルは思わず涙目になる。
ルフィ「おいトラ男、フクの占いは当たるんだぞ」
ロー「だからどうした。そんなものに作戦の成否を左右されてたまるか」
ナミ「情報量はともかく当たるのは確かよ。目的の工場の場所は分からないんでしょ? 何かヒントになるものが出てくるかも」
ロー「……わかった、好きにしろ」
フクキタル「おまかせあれ!」
やがて観念したようにローが言うと、フクキタルは喜々として愛用の水晶玉を取り出した。
フクキタル「ふんにゃか〜、はんにゃか〜、ほんじゃらげ〜…!レンコン、ソーサイ、ホーレンソー…!」
固唾を呑み、占いの様子をじっと見守る一同。辺りはしんと静まり返り、波の音がやけに大きく聞こえた。
ややあって、フクキタルがカッと目を見開く。
≫120 二次元好きの匿名さん21/09/15(水) 22:43:19
フクキタル「……きました!」
ルフィ「おお!」
フクキタル「ローさん!!」
ロー「おれか?」
フクキタル「あなたに女難の相が出てます!!」
直後、再び降りる沈黙。
ローは呆れたように溜息をついた。
ロー「今の占いが何一つ役に立たないのは分かった」
フクキタル「そんなぁ!?」
フクキタルはよよよ、とその場に崩れ落ちた。
頭から生えるウマの耳がぺそりと垂れる。
『――ローくん!』
その時、脳裏を過ったのは小柄な黒鹿毛のウマムスメ。
揺れる尻尾。ばら色の頬。柔らかな笑顔。ローの後ろをどこまでもどこまでもついてきて……。
『ロー……!この裏切り者……!』
次に浮かんだ記憶はつい最近のもの。先日のパンクハザードにやってきたベビー5の言葉だ。
『"黒い刺客"があんたを殺すわ……!必ずね!』
ロー「(……まさか……いや……)」
微かな不安をしまいこみ、航路を見やる。ドレスローザはもう目の前だ。
≫177 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 06:58:46
これだけだとなんだから過去スレで見かけた「ローをお兄ちゃんと呼ぶカレンチャンvsライスシャワー」から思いついたアニオリ回っぽい小ネタ
第???話【対決!?カワイイカレンチャン!】
ゾウ島を出てワノ国へと向かう途中。ドレスローザの一件を経て正式にハートの海賊団の一員となったライスシャワーは他の船員たちに順調に馴染みつつあった。
補給の為に立ち寄ったとある島でもベポたちと共に買い出しを任され、和やかなひと時を過ごす。
ところが、買い出しを終え、戻ってこないローを探しているとなんと見知らぬウマムスメと腕を組んでいるではないか。
そのウマムスメの名はカレンチャン。ローをひと目見て気に入り、「お兄ちゃん」として自分の海賊団に迎え入れたいという。
「そ、そんなのだめ!」と慌てるライスシャワーに、カレンチャンはお兄ちゃんを賭けての勝負を持ちかける。
勢いで受けて立ってしまったライスシャワーだが、その勝負とはなんと「カワイイ5番勝負」!?どうなるライスシャワー!どうなるロー!
麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 38スレ目
≫43 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 17:10:10
もしかして
→ロックス時代のやりとり
「やだ~私のイケイケなハットケーキがなくなってるわ~」
「ん? ああ、あれマルゼンのものだったか。悪いねぇ、おれが食っちまったよ」
「……そう」
──激眩!!
こういうやりとりですかね。
なお、ハットケーキとはホットケーキのこと。大正時代にて東京のデパートで発売された当時の名前がハットケーキとのこと。
≫81 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 20:40:56
スリラーバークで出会ったナリタブライアン妄想
ゾロの賞金稼ぎ時代には顔見知り、という設定
ゾロ「てめぇら、ルフィのこういう暴走を止めるために同行したんじゃねぇのか……!」
ナミ「面目ない。……って、そういうアンタこそ、船にもう一人いるじゃない!」
ゾロ「コイツはそこの小舟で漂流してたんだ。縁あって拾ってやった」
ナリブ「閃光弾が見えた。また漂流者がいると思って来た」
フクキタル「あ、貴方は……ナリタブライアンさん!」
サンジ「この娘もウマ娘、フクキタルちゃんのお友達かい?」
フクキタル「お友達なんて恐れ多い! 私の先輩で、かつては名レースを次々に搔っ攫い、
トレセン諸島には片手の指で数えるしかいない、三冠ウマ娘なんです!」
ナミ「と、とにかく、あの骸骨よりもまだ話せそうね……」
フクキタル「今は賞金稼ぎをやってると聞きましたけれど、なんでこんな場所に?」
ナリブ「なんでもいいだろ。……空腹だ。食事の支度はあるか?」
サンジ「はーい。ちょうどタコ料理がたっぷり用意できてまーす!」
ナミ「ちょっと、賞金稼ぎって私達の敵よ!?」
ナリブ「……そうか、ここは海賊船か」
ナリブ「アンタ達は麦わらの一味か?」
ナリブ「ロロノア、アンタが海賊になったと聞いた時は驚いたが、
随分と楽しそうにやってるんだな」
ゾロ「おめぇ、おれが海賊やってるのは間違いないとして」
ゾロ「何見て確認してるんだ?」
ナリブ「ああ、手配書はかさばるから、ノートに描き写してるんだ」
ウソップ「おい待てぇ! その似顔絵、全然違うじゃねぇか!」
ウソップ「特に鼻! そこまで長くねぇぞ!」
ナリブ「……チラッ」
ナリブ「そっくりだろ」
ウソップ「全然違ぇよ!」
≫82 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 20:42:00
ウソップ「ほら、もっとイカした顔に描き直すから、貸してみろ!」
チョッパー「お、おまえ、ケガしてるぞ!」
ナリブ「これくらい、ツバ付ければ治る」
チョッパー「化膿するぞ、包帯巻くから見せてみろ!」
ナリブ「……おおげさだな」
サンジ「ブライアンちゃーん! これも何かの縁だ。
俺たちと一緒にタコパでもどうだーい?」
フランキー「どの道、その小舟じゃあ行く当てもねぇだろ。
折角だ。余った材料で直してやる」
ナリブ「助かる」
ブルック「ヨホホホホ、旅は道連れですからねー。
さあ、遠慮なく。こちらがダイニングです」
ゾロ「おめぇも船に乗ったばかりだろうが!」
ナミ「――――男連中、賞金稼ぎの世話を焼くな!」
ゾロ「昔から、ああやって人に世話を焼かせるのが上手いんだよ」
ロビン「天然であそこまで出来るのね。私達も見習わないと」
ナミ「言ってる場合か!? ゾロ、船で暴れたらアンタがなんとかしなさいよ!」
<船内でブルックやブライアンと共にタコ料理を食べる>
ルフィ「ん? おめぇも幽霊か?」
ゾロ「気付くの遅せぇよ! どんだけ骸骨に夢中だったんだ!」
ルフィ「すげぇー、お前も影がねぇのか!?」
ナリブ「それは……」
ルフィ「おまえ、仲間になれ!」
ナリブ「――――私は誰とも組む気はない」
ナミ「ここまで世話焼かれて、どの口が言うのよ!」
おわり
≫97 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 21:21:13
流れぶった切るけどフクキタルの2年間の修行を思いついたので投稿します
マチカネフクキタル視点
2年後にシャボンディ諸島でルフィさんたちと再会するために修行を積むこととなり
私、マチカネフクキタルはたづなさんに連れられ、懐かしきトレセン諸島中央トレセン島トレーニングセンターに来ています。
早口言葉みたいですねぇ。
「それでたづなさん、強くなるためになにをしましょう。なんだって頑張りますよ!」
「もちろんレースです」
「レ、レース?」
「模擬レースをしてもらいます」
困惑
いやそりゃあウマ娘ですし、走るのが本分というものですけど
「いや強くなる方法ですよ? それがレースなんですか??」
質問に答えるそぶりも見せず、たづなさんは観光名所でも紹介するかのようにレース場を指し示しました
「それではあちらの方たちと毎日10本勝負をしてもらいます」
「あちらのって……あ゛あ゛あ゛あ゛!」
「はい、トレーニングメンバーを務めます。私学級委員長サクラバクシンオーです!」
「タイキシャトルもデース! 一緒にガンバリましょうネ、フクキタル」
あ、終わった。いやまだまだ、長距離ならこの二人相手でも
「きょ、距離は? 何mなんですか!?」
「ふふ、600mです。デイリー6勝めざして頑張りましょうね」
「うわあぁぁん!」
ここにきて鬼と悪魔と並べられるこの方の恐ろしさを私は思い出しました。
占わなくてもわかります、本日は絶対大凶です。
≫98 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 21:21:29
サイレンスズカ視点
スーパークリークが旗を振り下ろしたら、それを合図に三人のウマ娘がターフを駆けだす。
今日もフクキタルは奇声を上げて走っている。
私、サイレンスズカは毎日不毛なトレーニングを続けるフクキタルの姿に
ずっと気になっていることをたづなさんに聞いてみることにした。
「あの、たづなさん。フクキタルがあの二人に短距離やマイルで勝つのは無理だと思います」
「ええ、レースならそうでしょう。でも600mなら勝ち目はあります。理由はスズカさんならわかりますね?」
「スタートダッシュですね。最初にわずかでも差をつければ、追いつかれる前に逃げ切れます」
答えは自然と口に出た。私がフクキタルの特訓に走らせてもらえない理由。
スタートが得意な私ならこの条件で100連勝くらい簡単にしてしまうと思う。
「でもあの二人がそろって出遅れるなんて10回に1回あるかどうか。それを6勝なんて」
「たしかに出遅れを期待しては達成できません。だから逆に」
「逆に?」
「スタートの合図を待ってから走り出すのではなく、合図があったときにはすでに走り出している。0秒の動き出しをすれば?」
ここまで言われてたづなさんがフクキタルに何を身に着けさせる特訓をしているのか気づいた。
見聞色の覇気。
私やタイキには適正がない、極めれば未来予知すらできるというもの。なるほど、それを身に着けるトレーニング。
スタートの合図を出すスーパークリークの動きを正確に先読みし、まったくの同時に走り出せば。
「……それってフライングですよ?」
「今のルールではそうなってますね」
(……今の?)
私の疑問をよそにトレセン諸島に風が吹き、フクキタルはまた一つ黒星を重ねた。
4勝を達成したフクキタルがたづなさんに泣きついて合格にしてもらうのは、まだまだずっと先の話
≫108 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 21:42:04
流れぶった斬ってビビのもとに駆けつけたファルコ
「命寸分でもある限り、私は戦う!」
「そういうのが馬鹿って言ってんだ」
王女と反乱軍のリーダーを逃した番犬は一人、砂に潜んだ巨悪に立ち向かう。けれど受けた傷はすでに満足に武器を振るわせず、ただ命を刈り取るのみ。
「聞こえたか? 今の発泡音。全てが無意味なんだよ」
「あんたの仕業ね、この陣旋風は」
ジャッカルは倒れ、真実を知ったリーダーも撃たれ、既に砂姫を守る者はいない。けれども彼女は譲らない。戦争を止めるという強い意志、それを目に宿して、諦める事を知らないのだから。
「目を覚ませ、お姫様。見苦しいんだよ、テメェの理想論は──」
だからこそ──彼女はそれに応えた。
「でもね、ボス。理想は追いかけたいから理想なんだって──ファルコはそう思うんだ!」
瞬間、クロコダイルの横顔を襲う裂紅の一撃。大地を滑り、膝をついて立ち上がる彼の口からは紅一筋の液体が流れていた。
「………ここにきて、裏切るか。スマートファルコン!!」
「ファルコはウマドル。そして──砂砂団のNO.3。アラバスタの偶像だもん!」
「ファルコ!!」
姫の声に偶像が答える。砂まみれ、泥まみれでもその魂の輝きに一片の曇りなく笑った彼女は大地を蹴り、駆け抜ける。
「帝王掌!」
それを見て、砂に変わるクロコダイル。だがファルコの拳が触れた瞬間、クロコダイルは臓腑を撃ち抜く衝撃を味わった。
「ウマ娘武術には派閥が2種類あるの。中でもマイナーな派閥『ダート』。大地を掴み、躍動する肉体は砂の一粒すら判別できる」
「つまりは………オレに対する特効だと………そう言いたいのか?」
口から吐いた赤黒い塊を見て、ファルコが構える。対してクロコダイルは侮りを消し、本気の敵意で出迎えた。
「勝てると思ってるのか?」
「負けてはあげないから!」
国を飲み込む鰐を前に最後の守護神、砂の鷹が飛翔する!
≫177 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 21:48:51
ルンバー海賊団の怪文書
フクキタル「♪♪〜♪♪♪」
サンジ「おっビンクスの酒だなフクキタルちゃん」
ルフィ「何かビンクスの酒にしては変じゃね」
フクキタル「お目が高いこれはビンクスの酒トレセンヴァージョンですよ」
フクキタル「時を遡ること50年前、当時のトレセン諸島のウィニングライブの伴奏楽団は不慮の事故で全員病院送りでした」
「ウィニングライブは中止かなという時そこに当時トレセン諸島に訪れていた歌う海賊団が立ち上がりました」
「その歌う海賊団は見事ウィニングライブの伴奏をしただけではなくその音楽センスから多くの楽曲を提供しました」
「特に大当たりはビンクスの酒のウィニングライブバージョンです」
「その歌う海賊団がいたからこそトレセン諸島のウマムスメの海賊への拒否感は少ないですね」
「いまや伝説ですよその歌う海賊団はオリジナル楽曲で鯨を称えるものがあってウマムスメが鯨がだいすきなのはその歌のおかげですよ」
≫121 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 21:51:47
ありがとう。逆に女性観変わっちゃうと、たしぎへの反応も変わりそうだし、
逆にマズイかな、って思ったけど、元々ゾロは女性に手加減するタイプじゃないから、
そこは別に構わないのかな。前言を翻すようだけど、二人の出会いを考えてみる。
最初はシモツキ村で知り合った時、ゾロはナリブが賞金稼ぎだと耳にして、
海軍への引き渡し方法とか色々聞き、海に出るなら賞金稼ぎだな、って漠然と考えた。
当時、ナリブは両脚にケガをしていて、東の海にいるハヤヒデに会うついでに、
リハビリがてら東の海にまだ残る海賊狩りをしつつ、ワノ国にいるサムライの血筋が、
まだシモツキ村にいると何かで知って、まだ見ぬ強者を探しに村へ降り立った。
勿論、コウシロウは手合わせをする気もないし、有望だったくいなは亡くなっていて、
ナリブは賞金稼ぎの拠点としてシモツキ村に滞在する間、ゾロの修行を眺めていた。
※この間に村の住人から色々と世話を焼かれている。
「お前、やるか?」、とゾロに声を掛けるが、強者との闘いにもゾロは珍しく頷かない。
「ケガしてるんだろ。治してから来いよ」、と逆に強気な姿勢を見せられ、
ナリブは初めてゾロに強者の資質を感じ取り、やがてゾロがシモツキ村を出航する時が来る。
世界に名を轟かす大剣豪になったなら、私の方から挑戦してやる、とナリブは告げる。
以後、ナリブはグランドラインへと再突入し、賞金稼ぎを再開する。
かつて村で出会った少年が大海の中で大剣豪となる、その時を待って。
ナリブは史実でもケガが多かったし、ケガのリハビリ途中であれば、
修行がてら東の海からグランドラインへ再突入してもおかしくないかな、と。
恐らく、ナリブを倒したのはミホークか。唯の海賊相手だとそのまま囚われそうだし。
麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 39スレ目
≫9 二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:18:56
流れは読まないスタイル。時系列は前に投下した海軍シチーさんのSSの2~3年後で、多分原作開始前
短期連載シリーズ
海軍日誌「百年に一人の美少女ウマ娘」
1「モデル業は順調そのもの」・・・雑誌の撮影のためポーズをとるゴールドシチーに周囲はメロメロ
2「売上好調」・・・ゴールドシチーが表紙の雑誌は世界中で大量に売れていた
3「日々是精進」・・・巨大な錨を大量に引きずりながら走り汗を流すゴールドシチーと、それを見守る大佐
4「目指す背中は遠く」・・・エアグルーヴから『六式』の稽古をつけてもらうゴールドシチーと、それを見守る大佐
5「背中を追って、一歩一歩」・・・暗くなった訓練場で自主トレをするゴールドシチーと、それを隠れて見守る大佐
6「やっぱりストーカー?」・・・隠れていた大佐を見つけて呆れ顔のゴールドシチーと、必死に謝る大佐
7「事務処理も立派な仕事です」・・・補佐官へまとめた資料を提出するゴールドシチー。周りの同僚達はメロメロ
8「海軍本部新規入隊式」・・・新たに海軍に入隊する海兵達の前で演説するセンゴク元帥
9「スペシャルゲスト」・・・続いてゴールドシチーが登壇すると歓声が上がり大盛り上がり
10「海兵を志す者達へ」・・・激励のスピーチをするゴールドシチーと、それを見て優しく微笑む准将と大佐
11「新しい仲間」・・・キタサンブラックと名乗る黒鹿毛の小さなウマ娘が同じ部隊にやって来た
12「これからよろしく」・・・屈んで目線を合わせて優しく笑いかけるゴールドシチーと、緊張した表情のキタサンブラック
13「後輩に見せる背中」・・・巨大な錨を大量に引きずりながら走り汗を流すゴールドシチーと、それを見守る大佐。そしてその光景に驚くキタサンブラック
14「『キレイ』で『強い』海兵を目指して」・・・夕焼けを見て拳を握るゴールドシチーと、夕焼けをキラキラした目で眺めるキタサンブラック。それを見守る大佐
キタちゃんはテイオーのとこじゃね?と思わなくもないけど、まあ異動とかあるしその時でええやろの精神
シチーさんのハードトレーニングに触発されて原作の黒王号みたいな肉体になっていく、という妄想
≫54 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 00:00:42
ミホーク「それで、お前は何をしに来た?」
ナリブ「鷹の目。お前がこの島を根城にしていると聞いて、ここに来た」
ミホーク「ならばどうする? 挑戦か、それともあの男と同じく――――」
ナリブ「気が変わった」
ミホーク「解らんな。俺を敵と見定めて、何故俺に頭を下げて教えを乞う?」
ゾロ「お前を……超えるため……!」
ナリブ「今のロロノアを差し置いてまで、お前に求めるモノはない」
ミホーク「そうか。……人手が足りん。ウマ娘、畑を手伝え」
ナリブ「なんだそれは。面倒だな」
ペローナ「かぁーってに入って来て、好きに言ってるんじゃねぇ! ネガティブホロウ!」
ナリブ「……残した野菜のこと、畑の土に謝りたい……」
ペローナ「ホロホロホロ、キリキリ働けぇー!新入りぃー!」
ナリブ「……せめてもの罪滅ぼしに畑の土にご奉仕します……」
ペローナ「ああー、そこは踏むな! ミホークが種植えたばかりだぞ!」
ペローナ「草と一緒に苗をむしるな! もういい、ちょっとそこどけ!」
ナリブ「なんだ、私は何を……?」
ペローナ「マズイ、ネガティブホロウ!」
ナリブ「グチグチ言わずに野菜様のために働きます……」
ペローナ「コイツ、ポジティブに見えるのに効きが浅ぇーのか……?」
ゾロ「ナリタブライアン? アイツ、なんで畑仕事してるんだ?」
ペローナ「おい、ゾロ! ケガした身体で畑に来るんじゃねぇ!」
ペローナ「ナリブー、お前は抜いたニンジン洗ってこい!」
ゾロ「(まあいい。今はボス猿を倒すのが先だ)」
ブライアン「……ニンジン様のお清めをさせて頂きます……」
≫56 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 00:01:21
<数週間後>
ペローナ「ホロホロホロ、ナリブー!」
ペローナ「今日も野良仕事で汗を流すのだー!」
ペローナ「ネガティブホロ……」
ガシッ
ナリブ「なんで私が野菜の世話をしなければならない?」
ペローナ「う、ぐぇ。なんでネガティブホロウが効かない……」
ペローナ「それに、霊体の私を掴めるなんて……」
ナリブ「霊体? こうやって触れるだろうが」
ミホーク「お前に覇気の資質があるとは感じていたが、
やはりネガティブホロウで緩んだ気骨を取り戻そうと、
精神の揺り戻しの産物として顕現したか」
ナリブ「覇気とはなんだ?」
ペローナ「お、降ろせぇ……。ネガティブホロウ!」
ナリブ「覇気とは……いや、知りもしなくて申し訳ない……」
ミホーク「だが、一時的なものだ。
武装色として纏うには、まだ時間が掛かるな」
ペローナ「ミホーク、あのウマ娘を試すために私を使ったなぁ!」
ミホーク「――――さて、畑の様子でも見に行くとするか」
ペローナ「逃げんじゃねぇー!」
ゾロ「なんだ、様子がおかしいと思ったら、そういう話か」
ペローナ「お前はケガしてるんだから寝てろ!」
ナリブ「(ロロノアの修行を邪魔する気はないが、この力……覇気……)」
ナリブ「(滾る……。あのヒヒ達で試させてもらうか……)」
≫57 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 00:02:32
ペローナ「おい、ナリブー! 野菜を残すな!」
ナリブ「ロロノア、その魚と交換しろ」
ゾロ「いいわけねぇだろ。おい、こっちに寄せるんじゃねぇ」
ミホーク「ウマ娘。お前の分の魚は、別に用意している」
ペローナ「ミホーク、そうやって甘やかすな!」
ナリブ「よし、全部耕せ」
ヒューマンドリル「ウキィー! キャッキャッ!」
ペローナ「すっかりヒューマンドリルを従えやがって」
ペローナ「……おい、どこに行くんだ?」
ナリブ「あそこの島。村で肉を買って来る。お前の分のココアもな」
ペローナ「な、なんだよ。どういう風の吹き回しだ?」
ナリブ「この覇気とやらが使えるのは、お前のおかげだ」
ナリブ「その礼代わりだ。……なんだ、不満か?」
ペローナ「べ、別にお前のためにやったんじゃねぇーんだし!」
ゾロ「おい、ブライアン。酒も頼む」
ナリブ「ああ。じゃあな、ゴースト娘」
ペローナ「へぇーん、だ。戻ってくるんじゃねぇーぞ!」
ペローナ「うえええぇぇぇぇ~~~~~ん」
ペローナ「二人とも、もう行っちゃうのかよー……」
ミホーク「小舟を用意している。さっさと行け」
ゾロ「世話になったな」
ナリブ「今度は豚も育てておけ」
ペローナ「お、お前ら二人して方向音痴なんだから、
こんな小さな船でシャボンディ諸島まで行けるわけねぇーだろ!」
ペローナ「しょーがねぇーから、私が着いて行ってやるからな!」
コメディ調のゾロ修行編を想像。ネガティブホロウで覇気の引き出しになるってのは妄想だけど、
ナリブは何となく覇気自体を知らず無意識でちょっと使ってる、ってのはありそう。
≫96 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 00:38:35
ローライス幼少期
ライスは短剣を振りながら、ああでもないこうでもないと呟いていた
「ここをこうすれば出来ると思ったんだけどなぁ…」
彼女は自分の足元を見ながら、思いついた技のイメージを固めるためにゆっくりと体を動かして…足を引っ掛けて転んでしまった。
「いたたた…」
お尻をさすっていると、
「さっきからなにやってんだ」
と、少年に上から声をかけられた。
彼の名はロー。最近ファミリーになった少年だ。
ライスはローに話す。
「なんだ、思いついた技をゆっくりやってたら足を引っ掛けて転けたのか!それなら普通にしてても転けるんじゃないか?」
「そんなことないもん!」
ライスは頬を膨らませて怒った。
その技はウマ娘武術の技、菊花掌にあたる技なのだが、彼女にはそんなこと知る由もなかった。
≫135 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 02:29:20
「なぁオグリ…前にたこ焼きはタコが肝心やゆうたけどな、こんな大ダコとってくるなや!」
タマの目の前に30メートルほどのタコ
「これで大きな美味しいたこ焼きが作れるな」
「話を聞けや!」
こんなのがいつも繰り広げられているが、二人とも七武海にして革命軍の幹部である
麦わらの一味 占い師 マチカネフクキタル 40スレ目
≫11 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:08:30
Okもらったんで書きます。なんかだいぶ長くなりました…。
ニコ・ロビン奪還の為海列車に乗り込んだサンジ。その際捕まっていたフランキー、ウソップ、フクキタルを解放し、ウソップと入れ替わりに参戦した彼の友人「そげキング」と共に海列車の最後尾の車両からロビンのいる第1車両に向かう。
途中サンジによる第7車両の切り離しにより、第6・第7車両の海兵をほぼ完全にスルーすることに成功した彼らは現在、第6車両から第5車両に向かおうとしていた。
「待ちな。」「「「「!?」」」」
彼らの正面…第6車両の席に誰かが座っている。1つわかるのは彼の服装、そしてこの状況では海兵の一人に間違いないということである。
「サンジの策に引っかからなかったやつがいたのか…。」
「何でもいい、時間がねえんだ。とっとと片付けてロビンちゃん取り戻すぞ!」
ウソ…そげキングが呟くが、サンジは臆することなくそのまま突っ切ろうとする。
それに対し目の前の男はというと…
「おぇぇぇ…酔い止めの薬あったら貸してくれない…?」
今にも吐きそうな真っ青な顔でそう答えたのだった。
それに対し一行は…
「首肉シュート!!」「へぶぅ!?」「よし行くぞ。」そのまま彼の横を通り過ぎて第5車両に向かおうとする。
「待って!?ねえお願い待って!!俺は今回、ほかの嫌な任務スルーして楽そうな護送任務選んだわけ!けど初めて乗った海列車では乗り物酔いでグロッキー!ぶっ倒れてる間に列車の中の海兵俺一人!もう抵抗できないからちょっと情けかけてくれてもいいんじゃない!?あ、じゃあせめて背中さすってくれない?できればそこのウマ娘の子がいいなぁ!」
そうサンジ達の後ろから叫ぶ海兵。
「あのな。俺たち海賊。お前ら海軍。協力なんかしない。ましてやフクキタルちゃんをお前なんかに近づけるわけねぇだろオロすぞコラァ!!」
「俺は海賊じゃねぇけどな。」「私は狙撃の王様、そげキングだが!」「私はハッピーカムカムですが!」
無論そんな頼みを聞くような者はこの場にはいない。そのまま第5車両への扉を開けようとして…。
「まったく、とんだハズレクジだ…。」
「! そげキングさん!」「うぉっ、どうしたフクキタ」
突然フクキタルがそげキングを押して自分以外の面々を急いで第5車両に押し込んだ。その瞬間___
≫12 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:09:09
ガシャン!「なぁっ!?第6車両が!?」
第6車両の連結部が切り離されたのだ。サンジ、フランキー、そげキングは移動できたが、フクキタルは第6車両に取り残されたままだ。
「おいおい、引き離せたのはウマ娘の嬢ちゃん一人だけかよ。」
「フクキタル!」「フクキタルちゃん!」「占い師のネーちゃん!」
「皆さん先に行ってください!この先もっと強い人が待ち構えています!ロビンさんを取り戻すためにはこんな所でもたついてる時間はありません!大丈夫です!すぐ追いつきますから!」そうフクキタルが答えている間にも、第6車両はどんどん離れていく。
「…時間がねぇ。このまま行くぞ。」「おい、いいのかよ!?あのネーちゃん1人であいつに勝てんのか!?」そうフランキーが2人に怒鳴る。
「俺はレディを危険な目に合わせるのには反対だ…だがそれ以上に俺はフクキタルちゃんの意志を尊重する。」「それにもうすぐうちの船長どもが追いつく。そうすりゃあんな酔っぱらったヤロー片手間に片づけてフクキタルちゃんを回収するさ。」
「それと、だ。フランキー君」サンジの言葉を引き継いだウソ…そげキングがフランキーに言う。「彼女を…フクキタルをなめんな。」
「さて。ロビンちゃんを取り返すために、まずは…。この車両の奴らを片付けるか。」
そう答えたサンジは、臨戦態勢となった第5車両の海兵達に目を向けるのだった。
≫13 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:09:43
一方切り離された第6車両では_____
「おいおい、戦う気かよ。ウマ娘とは戦いたくなかったってのに、とんだハズレクジだぜ。」目の前の男___他の諜報機関の面々と同様の黒スーツにテンガロンハットを被ったくたびれた顔をした中年の男はげんなりとした表情でそう呟く。
「俺は美女…特にウマ娘には手をあげたくねぇ、むしろ愛でたい男なんだが。」
「だったらおとなしく倒されてください。急いでいるので。」
「そうもいかねぇ。腐っても俺はCP7に属する男、カーンってんだ。こうなりゃここで嬢ちゃんを足止めさせてもらう。」
そう言うと、カーンは2丁の拳銃___フリントロック式44口径6連発リボルバーを懐から取り出すと、フクキタルに向けて発砲する。
だがフクキタルも即座に回避し、カーンの懐に潜り込もうとする。だが___
「剃」「!」
その瞬間フクキタルの背後に回り、再び発砲。
フクキタルはそれを何とか回避すると、振り向きざまにカーンに蹴りを加える。
「月歩」
すると今度はフクキタルの頭上に飛び上がり、再び発砲。
それを先程男がいた場所まで走ることで回避しつつ、カーンを見据える。
≫14 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:10:33
「ルフィさんの言っていた、変な技ってやつですか?」
その言葉に、カーンは銃に弾を再装填しつつ答える。
「六式、ってんだ。6種の超人的な技でな。まあ俺はこの年まで鍛錬して「剃」と「月歩」だけしか使えんのだけど」
そう呟きカーンは再び発砲、それをフクキタルは避けつつ攻撃を加え、カーンが「剃」か「月歩」により回避。その応酬の中、二人は会話を続ける。
「だが嬢ちゃんがさっき対峙した奴ら…CP9はな、文字通り俺なんかとは格が違う。六式すべてを扱えるだけじゃない、技の練度・経験・何より殺しへのためらいのなさが違う。」
フクキタルの攻撃を再び「月歩」で躱したカーンは、第5車両への扉付近に降り立つ。
「敵がどんだけヤバいかわかるだろ?今だったら嬢ちゃんもお宅の海賊団もまだ間に合う。〈ハズレクジ〉なんか捨てて旅を続けりゃいいじゃねぇか。」
「…ハズレクジ?」その言葉に対するフクキタルの反応に気付かないのか、男は続ける。
「ニコ・ロビンの経歴を知ってるか?これまでどれだけの組織を裏切ってきたと思う?そのたびに割を食ったのは善意で奴を拾ってきた誰かだ。」
「嬢ちゃんだけじゃなく、その海賊団にとっても害にしかならねぇハズレクジだ。それにこの嵐の中だ。嬢ちゃんの船長だってあきらめてるさ。だからこんな無駄な戦いはやめ___」
そうカーンは続けようとしたが、それはフクキタルの怒号によりかき消された。
「ロビンさんはハズレクジなんかじゃない!」
≫15 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:11:08
「皆がふざけてる時、ロビンさんが静かに笑ってるのも知らないくせに!考古学について話しているときのロビンさんがどれだけ楽しそうなのかも知らないくせに!ロビンさんを、そんな風に言うな!」
その言葉にカーンは一瞬キョトンとするも、すぐに面倒そうな顔をする。
「こりゃよほど惚れ込んでるらしい。けど道は譲らないぜ?」
そう返すと、フクキタルに銃を向けようとする。
だがフクキタルは銃を向けられる前にカーンに突っ込んでいく。
(だが俺の方が早いぜ。そしたらお前が避けて攻撃をするが、そんときゃ余裕で回避できる。それをくりかえしゃ嬢ちゃんにも限界が来るさ。)
そう考えつつカーンはフクキタルに向け発砲。だが___
「んなぁ!?」
カーンが驚いたのも無理はない。フクキタルは顔面を腕で防御しつつも出来るだけ前傾姿勢を保ち、走りながらこちらに向かってきたのだ。
カーンがこれまでフクキタルと対峙できたのは、カーンが「剃」と「月歩」という移動に適した技を用いてきたのもあるが、列車内という狭さゆえに直線距離で移動できる距離が短く、フクキタルが自身の足の速さを活かすことが出来なかったからである。
だが今カーンは第5車両への扉付近におり、フクキタルとカーンの間に直線状の通路が確保されている。フクキタルは銃弾が腕にかすりつつもさらに加速。そのままカーンの懐に潜り込み___
「これを使うことになるなんてな。」そう呟いたカーンが見当違いの方向に発砲。
瞬間、フクキタルとカーンを爆炎が包み込んだ。
≫16 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:11:41
「くそっ、奥の手使うことになるとは、マジでハズレクジだ…。」
カーンが念の為に仕掛けた爆弾により炎上する車両内から「剃」でなんとか逃げ出したカーンは、嵐の中車両だった残骸を見つめる。
そのまま海列車の方角に線路上を歩きだそうとすると、ふと自身に影がかかった。
それに対し上を見上げると____
「ははっ。本当にハズレクジだ。」「〈菊花掌〉!!」
上空に飛び上がったフクキタルからの攻撃により一撃でノックアウトされるのであった。
「ハァッ、ハァ…。ちょっとまずかったです…。」
少々息が切れたフクキタルは呼吸を整える。服は少々煤けているものの、腕に弾がかすった程度で大きなケガはない。
フクキタルが吹っ飛ばしたカーンは現在、海に浮かぶ「元」列車の天井に引っかかっている。運が良ければ誰かが回収するだろう。
(でも何だったんでしょう、さっきの映像。普段の占いにしてははっきり見えましたし。)
カーンが爆破する直前、フクキタルは爆発する車両のビジョンが見えたため攻撃を中断。
その瞬間爆弾が作動し、爆炎に巻き込まれそうな中、爆発で壊れた天井に通れそうな隙間を発見。そこを通ろうとカーンの使っていた「月歩」を破れかぶれで発動させ、脱出に成功。その後上空からカーンを奇襲したわけである。
「まあいいや。早く海列車に追い付かないと…。」
そう考えなおしたフクキタルが海列車の方角に向かおうとし_____
≫17 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:12:15
(嬢ちゃん、俺との勝負はあんたの勝ちだ。だがニコ・ロビンを取り返すのは不可能だぜ。)
海に浮かぶ天井の破片に引っ掛かりながら、カーンは心の中でつぶやく。
相手は世界政府そのもの。強大な敵、なんてレベルの話ではない。
それにこの嵐の中だ。嬢ちゃんの船長が追いつく方法なんて何も____
そう思ったその瞬間。線路をすさまじいスピードで一本の海列車が通り抜けていった。
一瞬しか見えなかったが、そこには麦わら帽子を被った一人の少年が文字通り腕を伸ばして先程戦った嬢ちゃんをつかんでいるのが見えた。
「は…はははははっ!!!」
カーンは笑う。できないと思っていた。だが今見た光景はどうだ、自分の中の常識なんてものを軽くぶっ飛ばしていくではないか。
(取り戻しちまうかもしれねえな、ニコ・ロビンを。)
第6、第7車両の連中が自分を呼ぶ声がする。そちらを見ると、気絶したTボーン大佐を乗せながら、何故か真っ二つに切られている車両をボート代わりにして海を渡っていた
とんだハズレクジを引いたものだと思っていた。
だが、さっきの光景___麦わらの少年に手を引かれたウマ娘の少女の笑顔___を見られたから案外アタリクジだったかもしれない、と考えながら、カーンは同僚の呼ぶ声に応えるのであった。
以上で終わりです。ぶっちゃけオリ敵をこんなに活躍させていいのか、フクキタルや原作ワンピのキャラの口調とか間違ってないかと思いながら書きました。
≫18 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:12:39
最後にオリ敵の設定です。
カーン 男 中年 悪魔の能力:なし
CP7所属。本名「ホアン・カーン」
「剃」と「月歩」、フリントロック式44口径6連発リボルバー2丁を武器とする。また奥の手として爆弾を設置して自爆まがいの行動で敵をしとめる。
本人はこれまで格上の敵と当たることが多く、この奥の手を使わなければならない機会がほとんどだったことから、同僚内では「ハズレクジのカーン」と呼ばれている。
テンガロンハットを被ったカウボーイ気取りだが、ウマ娘には目がなく、海軍所属のウマ娘はおろか指名手配されているウマ娘の手配書もブロマイドにしてコレクションしている。
今回護送作戦に参加したのも、他の嫌な任務から逃れるためだけでなく、CP9所属のウマ娘が護送先にいると知り、ひょっとしたら一目会えるかもと思って上司の靴をなめる勢いで陳情したからである。なおこの趣味のせいで現在も独身である。
マジでこれまでで一番長くなったかもしれません。お読みいただきありがとうございました。
≫23 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 18:37:26
カレンチャンで思いついたので
(世界規模で何か重要な要件)を決定した会議の議長を務めた男の前に、一人のカワイイウマ娘が現れた。
「はじめまして、おじさま♪」
「何者だ」
彼は厳格に彼女に対応するが、その小悪魔のような所作から脳裏にカワイイ子だという感情を抱いてしまう。
警備の者を呼ぶという考えも、彼女を見ているとだんだんと朧気になってしまっていた。
「私、カレンチャン。今日の会議で決まったことを教えて欲しいな?」
カレンはこてんと首を傾げ、上目遣いで見つめられては男も思わず機密事項を話してしまった。
「ふふっ、ありがとうおじさま♪」
そして彼女は指をパチンと弾く。
すると彼ははっとして、
「私は…何を…」
と、呆然としている。
「やだぁおじさま、奥さまの誕生日プレゼントの相談でしょう?輝くダイヤのネックレス、奥さまにお似合いですよ」
「そ、そうか…相談に乗ってくれてありがとう、カレンチャン。ほら、出口まで送ってあげよう」
カレンは電電ムシを取り出して、とある人物に回線を繋げた。
「タマ先輩、必要な情報は聞き出しましたよ」
「ほんまありがとうな。カレン諜報部長ちゃん」
カレンチャン
とてもカワイイ容姿をしており、それだけでなくカワイイを維持し、向上するための努力を怠らない。
ハンコックが最も美しいなら、カレンチャンは最もカワイイとは巷でよく言われている。
また、その知名度から女性へのプレゼントなどで貴族をはじめ様々なところで相談の依頼がある。
その正体は革命軍の諜報部長。
またラブラブの実を食べた能力者で、カワイイと認識させた存在を隷属させることが出来る。ただし、カワイイと認識されるか否かは本人依存であるため、カワイイカレンチャンだからこそここまでの力を発揮している。
主にこの能力で情報を聞き出し、相談に乗っていたという記憶を上書きして使用している。
直接戦闘ではそのエネルギーを攻撃に乗せる事で触れた場所を隷属させる。(腕なら本人の意思と関係なく動かせる)
これは無機物にも適用され、銃なら誰も引き金を引いてなくても発砲させることが出来る。
≫98 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 22:17:21
またしても何も知らないライスシャワーさん(27)のss
いつものように、黒いバラを一本だけ生けて陶器の花瓶をティーテーブルに飾る。
「お兄さま……」
黒い花弁をじっと見つめるライスシャワーの脳裏に浮かぶのは、大好きなお兄さま……コラソンの姿。
うんと見上げないといけないくらい高い背丈に、暖かな優しさを秘めたひとだった。暗闇の中ひとりぼっちで泣くばかりだったライスシャワーを救ってくれた。
不器用な笑顔で笑わせてくれた。暖かくて大きな手で撫でてくれた。寂しいときは同じベッドに入れてくれて、大きな身体で守るように抱きしめてくれた。
――そんな大好きなお兄さまは、ドンキホーテファミリーを裏切ったローの手によって殺された。
最初は信じたくなかった。けど現実としてコラソンは死に、ローがドンキホーテファミリーに戻ってくることは二度となかった。
コラソンはファミリーを出てまでローの珀鉛病を治そうとしていた。なのに半年もの旅の末、ローはコラソンを裏切ったのだ。
どうしても許せなかった。心の奥底から溢れるドス黒いものがライスシャワーを塗り潰していった。
……起きる不幸をすべて自分のせいだと思い込んできたライスシャワーは、生まれてはじめて他者を憎んだ。
必ずこの手で復讐を果たす。その為に血反吐を吐くような訓練にも耐え、ズタボロになっても立ち上がり、いろんなものを極限まで削ぎ落としてきた。そうしてハートの席を手に入れたのが数年前のこと。
ついにコラソンの遺志を継いだのだ。
(お兄さま。ライス、やったよ。ここまできたの。お兄さまは喜んでくれる?)
≫99 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 22:18:07
そっと目を瞑れば優しい声が聞こえてくる。
『ライス』
彼が不器用な笑顔で笑いかけてくれる。
『お前はおれの青いバラだ』
暖かくて大きな手が、ライスシャワーの髪に青いバラの髪飾りをつけようと伸ばされた。
瞬間、つんざくような銃声が響く。
大好きな笑顔が苦しげに歪んだ。口の端から赤黒い血が溢れた。青いバラが滑り落ちて血の海に沈む。伸ばされた指先が、震える。
『……ライス』
『……助けてくれ』
掠れた声で告げられたのを最後に、大きな身体がゆっくりとうつ伏せに倒れた。
その背後。深い闇の中に白煙をくゆらせる銃口が見える。その銃の持ち主は――ひどく冷たい目をしたローだった。
「……!!」
ハッと目を見開けば当然そこは自室で、目の前にあるのは黒いバラ。今、帽子と胸元につけられているのと同じ花。ドフラミンゴから贈られた、ライスシャワーのコラソンへの変わらぬ愛の証。
嫌な気持ちを吐き出すように深呼吸を繰り返す。小さな拳を胸元の辺りできゅっと握りしめた。
もうこの悪夢も終わるはず。何もかも終わらせたらきっと、この花瓶に青いバラを捧げよう。
決意を新たに両頬を軽く叩き、表情を引き締める。ドフラミンゴによって部屋の扉が叩かれたのは、それから少ししてのことだった。
≫101 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 22:18:42
「……じゃあ、王下七武海をほんとにやめるわけじゃないんだね。よかった……」
「フッフッフ。悪かったな、心配をかけて」
長い廊下を歩きながら話すのは今朝の騒ぎの件だ。
ドンキホーテ・ドフラミンゴの王下七武海脱退。朝刊に載ったこの一大ニュースはドレスローザの国民たちを大いに震撼させた。
ライスシャワーも朝食のパンを買いに行った際にこれを知り、相当混乱したものだ。
王下七武海をやめればドフラミンゴはいち海賊に戻り、海軍に追われる立場となる。そうなればドレスローザには国を治める者がいなくなってしまう。国民の不安は相当なものだっただろう。ライスシャワーは心を痛めた。
「ローのやつに大切な部下を人質に取られていてな。こういった手段を取るしかなかった」
「そう、だったんだ……ローくんが……」
ライスシャワーは俯き、拳を握りしめた。
「……酷いよ。みんなとっても怖がってた。この国はどうなっちゃうんだろうって」
パニックになり、不安で泣き出す人々もいたのを思い出す。
それだけじゃない。ドンキホーテファミリーを捕える為に海軍が押し寄せれば、巻き込まれて怪我をする人だって出たかもしれない。
ライスシャワーはこの国も、この国に住む人々も愛していた。
……10年前にドレスローザを治めていたリク王が突如乱心し、町は破壊され、多くの人が傷つけられた。それを救い、新たな王となったのがドフラミンゴだ。当時王下七武海となったばかりだったドフラミンゴはその権威でドレスローザを守り、自らの富を与えた。
破壊された町の復興に尽力してきたライスシャワーは知っている。住居を無くし打ち拉がれるひと、親が重傷を負って泣く子供。新たな王が現れて尚色濃く残る不安と、あの夜のトラウマ。
そんな彼らに笑ってほしくて。かつて笑顔をくれたコラソンのようになりたくて。このドレスローザを幸せ溢れる素敵な国にしたくて。ライスシャワーはこの10年、国に、人々に尽くしてきた。
だからこそファミリーを、コラソンを裏切っただけでなく、このドレスローザをも踏み躙ろうとしたローを益々許せなかった。
……すると、骨ばった大きな手がライスシャワーの頭に乗せられた。
≫102 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 22:18:54
「ライス、お前は良い子だ」
コラソンのものとは違う手が艷やかな黒鹿毛をそっと撫でる。
かつて厳しい訓練を課せられたせいだろうか。こうしてドフラミンゴに撫でられると、いつも身体が強張ってしまう。別に殴られるわけでもないというのに。声色だってこんなにも穏やかで優しいのに。
「おれが不在の間も国を守り、民を愛し、寄り添ってきた。コラソンもきっとお前を誇りに思うだろうよ」
「そう……かな。そうだと嬉しいな……」
「フッフッフッフ、そうだとも」
やがてドフラミンゴの自室にたどり着く。既に窓が大きく開け放たれ、白い雲で彩られた晴天が覗いていた。吹き込む風でカーテンが羽根みたいにはためく。
窓の前に立ち、ドフラミンゴはライスシャワーの華奢な肩を抱き寄せた。
「因縁を終わらせよう。安心しろ、お膳立てはしてやる」
「……はい」
ライスシャワーは伏し目がちに小さく頷いた。
――午後3時 ドレスローザ グリーンビット
島に降り立ったその人物"たち"にローは思わず顔をしかめた。
ドンキホーテ・ドフラミンゴ。ローの恩人の命を奪った憎きこの男は、取引を反故にし、王下七武海を脱退していなかった。
その上その傍らにいるのはこの十数年想い続けた大切な存在――黒鹿毛のウマムスメ、ライスシャワー。
これは自身の所有物だとばかりに無遠慮に彼女の肩を抱くドフラミンゴに、思わず叫びだしそうになる。
――やめろ。薄汚い手でそいつに触るな。
だが、そちらにばかり気を取られてはいられない。森の中から現れたのは海軍大将藤虎に、"名優"メジロマックイーン中将。
ドフラミンゴが王下七武海を脱退していないなら、この場で最も不利なのは麦わらの一味と同盟を結んだのを知られたことで王下七武海の立場が危ういローの方だ。
最悪の時は、すぐ目の前まで迫っていた。
≫125 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 23:01:05
マンハッタンカフェの設定を投稿したらモリアとコントの要望があったのでちょっと書いてみた
スリラーバーグの一室でコーヒーメーカーにお湯を入れるカフェと壁に寄りかかって寝そべるモリア
「クロコダイルが倒された、逮捕したのは東の海からやってきたスモーカー大佐ね」
「はい」
「嘘だろ?」
モリアにコーヒーを差し出すカフェ
「まあ、はい」
「だよなあ、キシシシシ。で、ニュース・クーの真似事なんざいらねぇ。教えろよ、一体だれがクロコダイルの奴を倒したのか」
ルフィの手配書とコーヒーを差し出すカフェ
「この人です。なんでもスモーカー大佐がアラバスタまで行った理由は彼を追ってだそうですよ」
「3000万ベリーぽっちか」
「次の手配書では1億に上がります」
コーヒーを飲みながらその言葉に笑うモリア
「キシシシ、期待のニュービーってわけだここまで来れたら潰してやるかな」
「それとクロコダイルの後任を決める会議が開かれます。あなたにも召集がかかってますよ」
「行かねえよ、めんどくせえ」
「そうでしょうね。わかりきってました」
「それとカフェ、一ついいか?」
「? なんですか改まって」
コーヒーを差し出そうとする
「お前はおれに一体どんだけコーヒーを飲ませる気だよ!」
「まだほんの3杯だけですよ」
「おう、お前の頭よりでかいカップに注いどいてよく言ったな。胃に穴が開いたらどうするつもりだ!」
反対側からの視点になり、コーヒーメーカーの巨大さが明らかになる
「その時は、ドクトルホグバックを呼びます」
「なるほどそれなら安心だ。てなるかバカ!」
≫126 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 23:01:18
扉がクマシーの手で勢いよく開かれる
「モリア様ヤッホー、遊ぼうぜ。て、カフェ! お前最近見ないと思ったらまたモリア様に絡んでるのか」
「こんにちはペローナ、コーヒーを飲みますか?」
「飲まねえよ、温かいココアがサイコーなんだよ」
舌を出して部屋を出ていくペローナ。カフェは淹れたコーヒーをモリアに差し出す
「そうですか。別に無理強いはしません」
「してるだろ! まさに今、おれに!」
「おかまいなく」
「おれのセリフ! いやおれのセリフでもねぇけど、とにかくコーヒーを淹れるのをやめろ!」
「ではゾンビに配ってきますね」
「ちっとは話をきけ!!!」
コーヒーメーカー一式を台車で運んで出ていくカフェ
最後に差し出された一杯(ペローナサイズ)を飲んで「くそっ、うめぇな」と悪態をつくモリア
なおアブロサムは透明になりずっと息を殺していた。猫舌だからね
≫129 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 23:07:14
カリオペコンビネーションを喰らう41歳
ライスは今まで無関係な憎悪を込めていたローへの贖罪のため、そして彼を貶め、お兄さまであるコラソンの遺志を愚弄したドフラミンゴへの復讐のために、ライスは能力を使って駆ける。
見聞色の覇気でドフラミンゴがどこにいるかは把握している。ローとルフィが彼と戦っているのが見えた。
カリカリの能力で間にある障害を全て無視する。そしてドフラミンゴの死角に立って短剣を向け、その首を切り裂いた。
しかしーー。
「フッフッフッ!お前に戦い方を教えたのは俺だぞ?」
「っ!」
ドフラミンゴはライスが自身の嘘に気づき、この戦いに介入してくることを予測していた。そして彼は、彼女の能力を隅々まで理解している。
当然、能力で死角に攻撃を仕掛けてくるなど予測の範囲内。
黒騎糸。
今まで戦っていたドフラミンゴはいわば糸人形。
「フッフッフッ、ライス。お前はオレの口車に踊らされてローに刃を向け、今度はオレに向けてもその刃は届かない…残念だがな」
別の場所から現れたドフラミンゴは指先から出した糸でライスを切断しようとする。
がーー。
「ライス!」
ローがシャンブルズでライスと自身の近くにあった小石と入れ替え、彼女を守った。
「どうして来た!」
「ライスだって…ライスだって!ローくんの力になりたい!」
小さいが、しっかりとした声。
ローは彼女の覚悟を知り、一度頭を撫でてから正面のドフラミンゴを見る。
「この力を手に入れて、ライスと再開したらやりたいと思っていた技がある…ついて来てくれるか?」
いきなりの提案。
しかし、ライスはコクリと頷いてローと同じように前を向いた。
「うん、やろう。ライスはどうしたらいい?」
「いつも通りだ。何が起きても気にせずに走り続けろ」
「わかった!」
≫130 二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 23:07:26
そしてローはシャンブルズでライスを遠くに飛ばす。
「フッフッフッ、何を企んでるのかはわからんが、その程度で…っ!」
ライスの突撃を感知したドフラミンゴは迎撃のために糸を放ったが、そこに彼女はいなかった。全く別の場所から突撃をかけて来ている。
消えては現れ消えては現れ、距離も位置も全てがランダム。それにロー自身も加わり、どこから誰がどのタイミングで攻撃してくるのかが分からなくなる。見聞色の覇気で感知しようにもローとライスが高速で入れ替わっているせいかあてにならない。
一つでも間違えれば致命傷を負う。
ーーならば範囲を狭め、確実に死角に入って来た時にカウンターを叩き込む。
そう考え、ライスが感知圏内に突入し、迎撃しようとしたその時だった。
ライスが小石と入れ替わり、迎撃体勢に移ったことで生まれた死角に能力で彼女が現れ、さらにライスからローに入れ替わる。
「なにぃ?!」
「ガンマナイフ!!」
研ぎ澄まされた二人の刃がドフラミンゴに直撃した。
{≫176 二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 00:00:06
ちょっとではお借りします。扉絵のタイトルでの場面表記をする感じになりますが…
「うっかり出場ダンスコンテスト」…ジャンゴの後ろで踊ってるカレンチャン
「ちゃっかり決勝ダンスコンテスト」…ジャンゴとフルボディとダンス対決するカレンチャン
「すっかり白熱ダンスコンテスト」…一部観客を魅了しているカレンチャン
「しっかり優勝ダンシングチャンピオン」…ジャンゴの左側で3位のトロフィーを持って笑ってるカレンチャン
「戦い終わって意気投合」…ジャンゴ、フルボディと飲み物を飲むカレンチャン
『俺たち魂のブラザーとシスター』(オリジナル)…ガッシリと手を重ねる三人
「探せ!海賊ジャンゴ」…フルボディが海軍である事に目を輝かせているカレンチャン
少し飛んで
『海軍本部大尉と民間協力者』(オリジナル)…フルボディと共にチューリップ海賊団をのすカレンチャン
「正義という脆い牙」…フルボディにかばわれているカレンチャン(人質いる故手を出せずで)
「shall we Dance?」…三人大暴れ
『3人のダンシングヒーローBABY』(オリジナル)…三人でポーズを決め、喝采を浴びる。
「友情と罪と義務と」…海兵に混ざって大泣きしているカレンチャン
(「男フルボディ涙の意義ありDANCE」の次)
『かわいいカレンチャン証人席から意見陳述DANCE』(オリジナル)
…フルボディと一緒に踊り始めるカレンチャン
「踊り出せ裁判所!」…三人でウマピョイ踊って大喝采を浴びる
「ノリで免罪!フルボディ降格」
…ウマピョイポーズ決めてる裁判官と、抱き合う二人の横でうれし泣きのカレンチャン
(「催眠術、いっそこの友情を忘れよう~」の後)
『そんなのヤダ! 三人の友情は不滅だもん』(オリジナル)
…二人に抱きつき、大泣きするカレンチャン。二人ももらい泣き。
「ヤメッ!LVOE SHOCK!女将校」
…ヒナと談笑して歩くルドルフを発見し、目を輝かせるカレンチャン
『3人仲良く下っ端DANCE!』(オリジナル)
…三人で仲良くポーズを決める。後ろではヒナの横でルドルフが苦笑している。
≫178 二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 00:06:56
以上になります。
東の海『流行発信地』ミラーボール島というフレーズから、カレンチャンいそうだなーっていうのから。
で、そう言うところでの一番大きなイベントっぽいダンスコンテストとか、
自分のカワイイを示すために参加してたりしないかなーという。
海軍に入った理由についても同じ理由で、入れた理由として、
ルドルフ中将がその場にいたから、というのを考えています。
きっと、アラバスタ編終盤で再登場した時は、3人で敵船落としてウマピョイ踊ってる。
カレンチャンは二人の事をお兄ちゃんと慕ってるし、
二人もカレンチャンの事をかわいいソウルシスターって感じですごい可愛がってると思う。
ヒナは3人の事を三バカ呼びしつつも、カレンチャンには二人にあんまり染まらないでほしいなーとか思ってそう。
ここまで出て来た設定とかその辺全部うっちゃってる内容なんだけど、
なんかこういうノリでもいいかなーなんて思ったので、形にしてみました。
≫181 二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 00:55:25
グランドラインの外れに浮かぶ小島に位置するチビタ村は、
七つの航路のいずれであっても辿り着かない、辺鄙で小さな村だった。
村人達は漁や農業によって日々暮らすだけの恵みを得る、貧しくも平穏な日々。
――――流れ着いた海賊が村を根城とし、略奪を繰り返すその日までは。
「おいおいおいおい、やってくれたなぁクソガキ君よォォ~~~~~」
下を向いて出航の日を待つしかなかった村人達を尻目に、その少年は密かに行動を起こした。
海賊達が飲み干した酒瓶に助けを呼ぶ手紙を書き、早朝の引潮に乗せて流していたのだ。
しかし、海賊の一人が浜に流れた酒瓶を拾い上げ、その手紙は海賊の長へと届けられたのだ。
「おれぁ、新聞も届かねぇでヒマしてる村人連中に、おれの冒険譚を聞かせてやって、
ちょいとばかし、酒や肉を頂いてる、ウィンウィンの関係じゃねぇーかよー」
「その蜜月を、ひねたガキの正義感でぶっ壊そうなんてよぉ、
ええおい? クソ田舎のガキはぁ、世間様のルールを知らねぇみてぇだなぁ」
海賊達の溜まり場となった酒場には、赤ら顔の海賊が粘っこい口調で少年を詰問する。
横倒しとなった丸テーブルに四肢を縛られたまま、少年は涙をこらえていた。
「か、海賊がルールを語るなよ!」
「ガキィ、ルールは強ぇやつが作る。もっと強ぇやつがそれを破る。
お前じゃあねぇ。この町じゃあ、おれがルールだ! そうだろぉ、おまえらぁ?」
100人を超える海賊達の笑い声が賛同となって響き渡る。
大人達は震えたまま動けない。誰もが悪ふざけで終わってほしいと願っていた。
「ほれ、悪いことをしたら謝るのがルールだ。その無様な格好で泣きわめけ。
『ゴドール様、どうかお許しをー』って、泣いて詫びるんだよ」
≫182 二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 00:56:18
船長のゴドールは3000万ベリーの賞金首。自身の手により、手配書は酒場に堂々と飾られた。
その手配書に唾が飛んだ。身動きが取れない少年が、必死に抵抗を見せた。
「い、……やだ。この酒場は、おじいちゃんが村のみんなのために作ったんだ。
パパもお兄ちゃんも、村のみんなが好きに騒げるように、ずっと働いてきたんだ」
「お前みたいな無礼者がイバっていい場所じゃないんだ!
この村から早く出てけ! お前みたいな海賊、大嫌いだ!」
「ガキだと思って優しく接してりゃあ付け上がりやがって……。
おい、サーベル! 今日の献上品は、ガキの肉で許してやる」
激高したゴドールの手に大振りのサーベルが握られた。少年は恐怖に耐え兼ね、両目を瞑った。
「見張りも全員呼んで来い! 村の女子供も全員だ!」
「――――あら、それはどちらも叶いませんわ」
扉が開かれ、少年は凛とした声に惹かれるように両目を開けた。
月光を背負って優雅に立つのは、青み掛かった銀髪の少女だ。
「なんだぁ? 酌の相手でもしに来たかぁ?」
「無礼者に注ぐ酒など、用意はありませんわよ」
外套の袖が僅かに翻り、扉の付近にいた海賊達が倒れた。他の海賊達は何事かと武器を構える。
やがて、その貌を眺めていた海賊の一人が、素っ頓狂な声を上げた。
「あ、ああ!! あれは、海軍大佐、メジロマックイーン!」
≫183 二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 00:56:49
「お仲間は全員お縄に、村の方々は私の部下が保護しました。
……さあ、観念してくださいまし。無駄な血を流す気は、」
「ひっ捕らえろ! 女一人なら人質にして、海軍の船を奪えぇ!」
船長の怒号を皮切りにし、ならず者達がマックイーンに殺到した。
突き出される十数の刃をマックイーンは蹴り上げ、がら空きの胴体の一つに掌を押し当てる。
「瞬・天皇掌!」
瞬間、海賊達は悲鳴と共に壁へと叩き付けられる。
肉の壁を弾き飛ばしたマックイーンは、瞬きよりも早く第二陣に攻め込んだ。
矮躯から繰り出す回し蹴りによって、数十人の海賊が雪崩となって壁際に崩れ落ちる。
「どいつもこいつもだらしねぇ、――――銃を持て、撃てェェェ!!」
残る海賊達がフリントロックの火花を散らせ、鉛玉の雨をマックイーンに放つ。
マックイーンは二、三台の丸テーブルを打ち上げ、即席の盾にする。
その瞬間、顔を歪めた。外套に滲んだ血。それを吸うのはゴドールのサーベル。
「おれはノリノリの実の馬乗り人間。あらゆる物体のスピードに乗り、
波乗りのように乗りこなす。少将さんも油断したなぁ~~~~」
「悪魔の実……。認めましょう、油断によって過ちを犯したと」
銃弾のスピードに乗って接近された、マックイーンは諧謔に笑んだ。
滲む血は僅か。ゴドールは刃を押し込む。だが、ピクリとも動かない。
「この酒場を血で汚したこと、まずは謝罪致しますわ」
≫184 二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 00:58:03
「こ、この……全く動かねぇ……」
外套の裏側に添えた白い指を僅かに割いたサーベルは、その役目を終えた。
摘ままれた刃には亀裂が走り、指の腹に力を籠めた時、簡単に砕け散った。
ウマ娘の怪力。それだけでないと気付いたゴドールは半壊したサーベルを振り下ろし。
「ナメんじゃねぇーぞ! 天竜人のオモチャの分際で 「大掌転・鏡投」
片腕で受けたサーベルを起点にし、ゴドールは酒場の外へと投げ出された。
瞬間、外で待機していた海兵達がゴドールを抑え込み、手錠を掛ける。
後は流れ作業だ。戦意を失った海賊達は、海兵達によって次々に捕らえられた。
「あの、お姉ちゃん……。あ、あ、ありがと……」
「いいえ。貴方の手紙がなければ、きっと辿り着けなかったわ」
盾にした丸テーブルを立て直しながら、マックイーンは優雅に笑んだ。
海賊達の崩れた壁も床も、弾痕を含めた一切の破壊痕が残っていない。
少年は気付いた。あの駿足で銃弾を避けずにテーブルで防いだのは、この酒場を傷一つ付けずに明け渡すためだ。
「おじい様が村のために作った酒場で海賊が暴れていると、
貴方の手紙に記されてました。きっと、大切な場所なのでしょう」
「さあ、悪夢はこれでおしまい。
チビタ村にも海軍が駐在するよう、手配を致しますから」
「その時は、たっぷりともてなしてくれるかしら?」
マックイーンは優雅に笑んだ。少年は両目を輝かせ、声を飲んで頷いた。
海軍のガレオン船へ戻る途中、地べたから自棄になった呼び声が聞こえた。
≫185 二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 00:59:29
「ヘッ、ヘヘヘッ。ウマ娘共が海軍に入り込み、馬車馬のように働く。
金持ち共の奴隷か、政府の奴隷か、そこに違いはねぇだろーが……」
「テメェらはルールに尻尾振って生きるしかねぇのさ!
オスもいねぇ欠陥動物がぁ、いい気になるんじゃあねぇーぞ!」
海楼石の手錠を架せられたまま、組み伏せられたゴドールが吠える。
マックイーンは怜悧な瞳で見下ろし、やがてゴドールは海兵達によって船へと引きずられる。
「気にすることないわ。マックイーン」
保護した村人への事態説明を終えたメジロアルダンがマックイーンの傍へ寄った。
囚われた海賊の捨て台詞など気にするはずもないとは踏んでいたが、
それでも彼女に声を掛けずにはいられなかった。
「下劣な負け惜しみですが、……耳を傾けるべき点はありますわ。
それでも、そのルールを壊すため、私達は闘わなければなりません」
海は荒れ始める。五つの船へと散り、そのいずれも秩序へと歯向かう黄金世代。
天竜人の支配を突き崩さんと帆を広げるのはテイエムオペラオーとメイショウドトウ。
ターフが海原に変わろうとも、メジロマックイーンの走行姿勢は変わらない。
例え同族に刃を向けようとも、誰よりも優雅にウマ娘の正義を示して見せる。
「さあ、皆さん! 彼らを支部へと引き渡したら、任務に戻りますわよ!」
マックイーンの号令に、海兵達は手の甲を向けて敬礼をした。
海軍ウマ娘があまり出て来ないからSS書いた。
まだ昇進途中のマックイーン。メジロアルダンは部下であり後方要員。
いずれは頂上決戦の裏側でオペラオーと闘うか、黄金世代と激突するか。