Wild mummys人物紹介
トートの巫女。気の強い脳筋少女
古代エジプトから来た少女
テレサ•メロディ
カルキノスの神装巫女。厨二病気味のカニ娘。
『Wild mummys』のマネージャー兼リーダー。何かと器用なギャンブラー。
前回のあらすじ
街は超音波を発生させる害虫で溢れていた。例え密室であろうと耳を塞ごうと、その音を防ぐ手段はない。
しかも、レイナ•ブラックローズがアザリーを狙って襲撃して来た。
Wild mummysはリーダーの車で逃走する。
しかも、レイナ•ブラックローズがアザリーを狙って襲撃して来た。
Wild mummysはリーダーの車で逃走する。
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古代エジプト文明の始まりは紀元前5000年頃と考えられている。ナイル川流域に複数の部族が徐々に統一され、王国となった。
エジプトは、ピラミッドやヒエログリフという、高度な文明を繁栄させた。人々は次第に「死」を恐れるようになり、「死を軸にした信仰」を持つようになった。
神官たちは、この世の生は墓の向こうの永遠の生への序曲にすぎないと語り、人々は死後の世界である楽園にたどり着こうとした。
エジプトは、ピラミッドやヒエログリフという、高度な文明を繁栄させた。人々は次第に「死」を恐れるようになり、「死を軸にした信仰」を持つようになった。
神官たちは、この世の生は墓の向こうの永遠の生への序曲にすぎないと語り、人々は死後の世界である楽園にたどり着こうとした。
「その楽園の名を、"アアル"という」
本棚が無限に螺旋を描く、ドーム状の空間の中、トキと猿を合体させたかのような見た目の生き物が、歴史の本をペラペラとめくりながら告げる。
「ミイラが作られたのは、死後の世界で生き続ける為には肉体が必要だと考えられたからなんじゃ。
面白い発想じゃろう?ヒエロ」
面白い発想じゃろう?ヒエロ」
その視線の先に、少女がぽつんとつっ立っていた。黒茶のポニーテールに、白いセーラー服を着た少女ヒエロ•プトレマイスは、困惑の表情を浮かべた。
「あり?トート?なにここ?あたし、さっきまで車に乗ってたはずなんだけど。」
「ここは時の書物庫。すべての人間の記憶を保管している保管庫じゃ。そしてここは、魂だけが存在を許される神の領域でもある。ようこそヒエロ・プトレマイス、ワシの実態を見せるのはこれが初めてだな。」
「ここは時の書物庫。すべての人間の記憶を保管している保管庫じゃ。そしてここは、魂だけが存在を許される神の領域でもある。ようこそヒエロ・プトレマイス、ワシの実態を見せるのはこれが初めてだな。」
トートはほっほっほと笑い、おじぎする。
ヒエロは、ここがあんたの家なの?笑えるわね。と言ってトートにじわじわと詰め寄る。
ヒエロは、ここがあんたの家なの?笑えるわね。と言ってトートにじわじわと詰め寄る。
「それで、なんでわざわざ今あたしを呼び出したわけ?今の状況、わかってるわよね?」
この「時の書物庫」は、夢の世界のようなもので、ヒエロの魂だけがここに存在している。
ということは、現実世界のヒエロは今は眠っている状態のはずだ。
その隙にアザリーが追手に危害を加えられないかとヒエロは心配していた。
ということは、現実世界のヒエロは今は眠っている状態のはずだ。
その隙にアザリーが追手に危害を加えられないかとヒエロは心配していた。
「まぁそう急くな、ゆっくり話でもしようじゃないか。」
「はやく私を元の場所に戻しなさいよ!あんたにかまっている場合じゃないの!」
「はやく私を元の場所に戻しなさいよ!あんたにかまっている場合じゃないの!」
鳥のような、猿のような形をした生き物は、ヒエロをみてヒヒヒと笑い、再び手元の本のページをめくる。
「エジプトの人間は、長い長い時間をかけ、死後の世界…そう。ドラゴンのいない、戦争も勃発しない、そんな世界で、永遠の安寧を得たいと、神に祈り続けおった…。」
「さっきから何の話よ!?」
「さっきから何の話よ!?」
ヒエロには今の状況がまったく飲み込めていなかった。突然よくわからない場所に連れてこられ、トートがよくわからない事を呟いているのだ。
床をドンと踏み込むが、
トートはそれを無視し、続ける。
トートはそれを無視し、続ける。
「そして、ついに見つけたんじゃよ。死後の世界である楽園アアルと、現世を繋ぐ方法をな。」
真夜中、とある山奥、巨大な植物に貫かれ、ボロボロになった小型のトラックから、オリーブ色のコートにジーパンを着た、青年が這い出てきた。
「ゲホッゲホッ!!…お〜いヒエロ〜、お前、何大事な時に熟睡しちゃってんのぉ〜!?助けてくれぇ〜!!」
ヒエロは、助手席ですぅすぅと寝息を立てながら瞳を閉じていた。青年はトラックにもたれかかり、べしゃっと座り込んだ。
上から、ヒュッと風の音が聞こえ、レイナ•ブラックローズを含む10人ほどの巫女が彼を囲むようにして降り立った。
上から、ヒュッと風の音が聞こえ、レイナ•ブラックローズを含む10人ほどの巫女が彼を囲むようにして降り立った。
「やってくれたねぇニキアス•グリフ。僕達の技を掻い潜ってここまで時間を稼がれるとは思わなかったよ。ただの一般人に」
トラックの中には、ヒエロ以外誰もいなかった。アザリーとテレサをこっそり下ろしておいて、ニキアスは囮になり時間を稼いだ。
「お前らも、あの虫の鳴き声で弱ってたからな。……4回くらいは死ぬかと思ったけど。」
「……やっぱり連盟本部か。」
レイナはにやりと笑った。
「正解!……まぁ、手段を選ばない人達だからね〜。」
ニキアスはフンっと鼻で笑った。
「相変わらずギリシャのお偉い様方は、人の命なんかどうでもいいと思ってるらしいな。終わってるぜ」
彼は憎しみを込め、そう吐き捨てた。
脳裏にはフェニックスの神装巫女の少女を思い浮かべていた。
そのニキアスの様子に気づいて、レイナはニキアスの耳元に顔を近づけ、ヒソヒソと囁く。
脳裏にはフェニックスの神装巫女の少女を思い浮かべていた。
そのニキアスの様子に気づいて、レイナはニキアスの耳元に顔を近づけ、ヒソヒソと囁く。
「そういえばさ、研究員をやめたのも、それを知ったからなの?人体実験の事を知らなかったら、続けてたの?」
「うるせー。お前らにしゃべる事なんかねーよ。とっととお家に帰りやがれ。」
「うふふ。」
「うるせー。お前らにしゃべる事なんかねーよ。とっととお家に帰りやがれ。」
「うふふ。」
レイナはバッと振り返り、他の巫女達に命令する。
「この車は囮だった!アザリーはまだこの周辺にいると思うから、くまなく探して!」
「ハッ!」
「ハッ!」
巫女達が一斉に飛び去る。
君が"2000年前のエジプトから来た少女"とか書き込んで連盟に巫女の登録申請をしたから!あはは!」
「ほんで、虫が大量発生したから、焦ってアザリーの処刑を命令して来たわけか?まったく器が小せぇぜ。」
レイナは笑顔のまま、ニキアスにねぇねぇと問いかける。
「なんでアザリーの事そんなに庇うの?正直、ボクは彼女の事を安全だとは保証できないけど。それに、人間であるかも怪しい。少なくとも信頼できる相手じゃーないよね?」
ニキアスは頭を掻きむしり、ハハハと笑った。
「信じる信じねぇの話じゃねぇよ。俺は、アザリーが犯人じゃない事に"賭けた"んだ。それだけだよ。」
「……あっそ。カッコつけちゃってまぁ。」
「……あっそ。カッコつけちゃってまぁ。」
つまらなそうな顔をしてレイナも去った。
ニキアスは、やっと一息つけるなと、車内のタバコを取りに車のドアをよじのぼる。
助手席には、まだ瞼を閉じた少女がいた。
ニキアスは、やっと一息つけるなと、車内のタバコを取りに車のドアをよじのぼる。
助手席には、まだ瞼を閉じた少女がいた。
「おーいヒエロ、いつまで寝てんだよまさか、死んでねぇよな?」
ニキアスは運転席にあるタバコに手をかける
一瞬。どこからか視線を感じた気がして、バッと振り返る。
辺り一面の、静寂。
一瞬。どこからか視線を感じた気がして、バッと振り返る。
辺り一面の、静寂。
ヒエロは静かに眠り続けていた。