常闇のミューズは嗤う/第1話

常闇のミューズは嗤う/第1話


常闇のミューズは嗤う/第1話「享楽オークション」


『イントロダクション』

シナリオ概要

必要時間:2時間前後
合計悪意点:
  • PL2人/23点
  • PL3人/32点
  • PL4人/43点

あらすじ

地下室の大きな鳥籠の中でドールたちは目が覚めます。困惑と共に檻から出たドール達は、豪奢な歌劇の舞台上で醜悪なアンデッドや少女のサヴァントとの戦闘を強要されます。
失われた記憶。理不尽な闘争。五里霧中の戦いの果てに、ドール達に浴びせられたのは、耳を裂くような喝采と目も眩むスポットライト。そして始まる狂人達の宴・・・。
“商品”としてネクロマンサーたちの競売にかけられるドール達。自分達はどこから連れてこられたのか。自分達は何者であるのか。その真実の一端を垣間見たとき、ドール達の前に地獄の舞台が幕を開けるのです。

注意

キャンペーン第1話である本シナリオは、アドベンチャーパートでドール達に与えられる情報が少ないのが特徴です。ドール達がキャラクター的に困惑しすぎて進む足を止めてしまうようなら、「先へ進むことでしか状況が好転しない」ことを適宜NCから説明し、モチベーションを維持させましょう。

ハンドアウト

特になし


『アドベンチャーパート』

カルマの設定

アドベンチャーパート開始時に公開されるカルマは以下の1つ。

『自分達の正体を思い出す』

このカルマはドール共通のものです。バトルパート終了後に「ネクロマンサー(99)」の「記憶のカケラ」を得ることで達成されます。

イベント:鳥籠

アドベンチャーパートを開始します。以下の描写とともに、ドール達が目を覚まします。

「冷たく硬い金属の感触で、キミ達は目を覚ました。暗闇に覆われた部屋の中、キミ達は巨大な鳥籠のような檻に閉じ込められていた。どうやら、キミ達は監禁されているようだ。」
「徐々に目が慣れてくると、暗い部屋の中にいくつか同じ檻が並んでいるのに気づく。周囲には同じように監禁されている少女達がいるようだ。」

ドール達を閉じ込めている檻は頑丈に造られていて、破壊して脱出することはできません。ドール達は、行動判定(【めだま】など使用可能)で檻を調べることができます。成功した場合、檻には時限解除式の錠前が掛かっており、間もなく自動的にロックが解除されるようになっていることが分かります。
PLが状況を確認できたら、まずドール全員に狂気判定をさせてください。狂気判定が終了したら、姉妹同士で自己紹介および対話判定を促すとよいでしょう。檻のロックが解除されるまでは、このままの状態でドール達は放置されるため、会話の時間は十分にあるものとします。他のドールに対する未練もここで決定しておいてください。
未練の決定が終了したら、物語を進めます。次の描写へ移ってください。

「どれほど頑張ってもこの鳥籠は破壊できそうにない。しかし、錠前はあと数分で自動的に解除されるようだ・・・。暗闇に目が慣れてくるにつれ、キミ達のいる部屋の状況が徐々に分かるようになってきた。」

この時、ドールは部屋の内部を調べることができます。行動判定(【めだま】など使用可能)で成功したドールは、以下の情報を得ることができます。
  • 部屋は比較的広い造りになっており、ドール達を監禁している鳥籠の他には、絵画や彫像、宝石を散りばめたアクセサリーなど、価値の高そうな美術品や装飾品が陳列されている。
  • ドール達を閉じ込めている檻に番号の書いたタグが取り付けられている。よく見ると、同じようなタグが他の鳥籠や、部屋に陳列された美術品にも取り付けられている。
ドール達が判定を終了したら、次のイベントへ移ります。

イベント:解放、それとも・・・?

檻のロックが時間と共に解除され、ドール達は鳥籠から解放されます。部屋の中を見てみると、とても高価そうな物品が数多く陳列されています。
ドール達が鳥籠を出たら、もう一度部屋を詳しく調べることができます。行動判定(【めだま】など使用可能)で成功したドールは、1つの首飾りに気づきます。前のイベントで部屋を調べる判定に成功していたドールは、この判定に+2のボーナスを得られます。

首飾りを見つけた場合、以下の描写を行ってください。
「鳥籠から解放されたキミ達が、改めて部屋を探索すると、銀製の首飾りを見つけた。それを見た瞬間、キミ達の頭の中にある光景が蘇る。ここではないどこかで穏やかな暮らしをしている少女達の光景。和やかに過ごすキミ達の側には、優しそうな女性が1人。穏やかな微笑を浮かべ、キミ達と談笑している。・・・美しい女性だった。確か、この首飾りは彼女がいつも身に着けていたものだったはずだ。」

首飾りの女性はドール達を創りだしたネクロマンサーです。その正体はNPCデータのソフィア博士の項目を参照してください。この時点ではドール達は彼女の詳細は思い出せません。ここでは、かつてドール達とこの女性が和やかに暮らしていたこと。そして彼女が、銀製の首飾りを着けていたことを思い出すに留まります。
ドール達に「記憶のカケラ」として「笑顔(08)」を渡してください。なお、この首飾りは「たからもの」として持っていくことができます。

(首飾りを見つけた場合)「不意に蘇った記憶・・・。これがキミ達の正体を思い出す手がかりとなるだろうか?・・・この首飾りの持ち主は、一体今どうしているのだろう?」
「これ以上、この部屋にいても得られるものはなさそうだ。先へ進むしか、道は開かれないだろう。・・・キミ達は、意を決し、この部屋から出ることにした。」

この時、首飾りの他にドールが部屋の美術品などを持ち出そうとした場合、携帯可能なアクセサリーなどは持っていってもかまいません。ただし、「たからもの」にできるものは特にないものとします。ドール達が部屋の扉を開けたら次のイベントへ移ってください。

イベント:惨劇舞台

バトルパートの直前の場面となります。
ドール達が監禁されていた部屋を出ると、そこは劇場の舞台袖です。舞台へ向かうと、そこには凄惨な光景が広がっています。巨大な鋏を持った少女サヴァント(ドルチェ)とアンデッドらがドール達に襲い掛かります。

「扉を開けてみると、薄明かりの照らす場所へと出た。巨大な紅い緞帳が天井から垂れ下がっている。ここはどうやら劇場の舞台袖のようだ。明かりが漏れてくる方を見ると、舞台へと続いているらしい。舞台の方からは、誰かが暴れているような、奇妙な音が響いている。」
「舞台を覗いてみると、次の瞬間、キミ達の足元へ何かが転がってきた。それは無惨に破壊された怪物の生首。舞台の中央ではアンデッドの群れと、巨大な鋏を持った1人の少女が血塗れで立っている。彼女の足元にはバラバラに解体されたアンデッドの肉塊が散らばっていた。鋏を掲げた少女は、まるで次の獲物を狙うかのようにキミ達を睨みつけた。」

この時、ドール達に行動判定をさせてください。最初のイベントで、「笑顔(08)」の「記憶のカケラ」を手に入れている場合、この判定に使用可能です。成功したドールは、記憶の底から彼女の名前を思い出します。
(判定に成功した)「大鋏を手に狂気的に笑う彼女・・・、彼女の名は・・・そう、ドルチェだ。」
(「笑顔」のカケラを入手している場合)「・・・あの、穏やかな日々の端に、彼女の楽しげな笑顔が垣間見える。それは、断じて、あんな狂気的な笑みじゃない・・・。彼女は、一体誰なんだろう?・・・ああ、記憶の中の彼女は、一体、どうなってしまったんだ!」

上記の描写をした後、ドール全員に狂気判定をさせてください。目の前の大鋏を持った少女(ドルチェ)は、ドール達の呼びかけには答えず、うわ言のように以下の発言を呟きます。
ドルチェ:『つ、つ、次の・・・・あ、あぁ相手は、あな、あ、あなたたちね。だ、誰でもかかって・・・いらっ、いらっしゃいよぉ。みんなバラバラにしてあげ、る。』
ドルチェ:『わ、私は、ガラクタなんかじゃない。私は、強くて、美しい、素敵なお、お人形・・・だから。わ、私は、幸せになるんだか、ら。・・・えい、永遠に、可愛がってもらうんだから。』
ドルチェ:『ご、ご覧ください。わ、私、ドルチェの華麗な姿を!お気に召されましたならば!是非!私を、買ってください、ご主人様!!』

ドルチェが手勢のアンデッドとともに、ドール達に襲い掛かってきます。アドベンチャーパートを終了し、バトルパートへ移ってください。


『バトルパート』

カルマの設定

戦闘開始時に公開されるカルマは以下の1つです。

『ドルチェに勝利する』

このカルマはドール共通のものです。バトルパートで勝利することで自動的に達成されます。

勝利条件の設定

『敵を全滅させる』

舞台に配置されたNCの手駒全ての攻撃マニューバを損傷させれば条件達成です。手駒は攻撃マニューバを優先して残すようにしてください。

手駒の配置

配置/参加PL人数 2人 3人 4人
煉獄 ゾンビ×15 ゾンビ×30 ゾンビ×30
なし なし グール×2
地獄 ソルジャー×15 ソルジャー×20 ソルジャー×20
ハウンド×2 ハウンド×4 ハウンド×4
なし なし ミートシュレッダー×1
ドルチェ×1 ドルチェ×1 ドルチェ×1

エネミーデータ

ドルチェ(サヴァント)

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
のうみそ P81
めだま P81
あご P81
アドレナリン P89
死人指揮 P142
死神 P75

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
うで P81
P85
大鋏 『歪曲』P42

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
せぼね P81
しんぞう P86
はらわた P81
はらわた P81

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
不動 P142
ほね P80
ほね P80
あし P80

合計悪意10点 最大行動値11

▼イラストを表示(※微グロ注意)
+ ...


『エンドパート』

修復

戦闘に勝利したら、ドールたちは以下のパーツを入手できます。
PL人数 基本パーツ 強化パーツ
2人
3人
4人 11

イベント:享楽オークション

修復の処理を終えたら以下の描写を行ってください。
「ドルチェと名乗った少女を破壊し、舞台に静寂が訪れた。すると次の瞬間、舞台の照明が落ちて周囲が暗闇に包まれた。ゆっくりと舞台の緞帳が上がったかと思うと、目も眩むスポットライトがキミ達に当てられた。」
「続いて、キミ達の目の前の観客席からは盛大な拍手喝采が送られ。下卑た笑みを浮かべた大勢のアンデッドが、興味深そうにキミ達を見つめている。」
「呆然とするキミ達にお構いなく、広間全体にスピーカーからの声が響く。気がつくと舞台横に、執事服に身を包んだ一人の少女が立っており、大仰な仕草で高らかに語り出した。」

執事服の少女:『御来席の皆様、余興はお楽しみいただけましたでしょうか。彼女達の性能は、たった今、ごらん頂いた通りでございます。』
執事服の少女:『数多のアンデッドを屠りあと一歩で“商品価値”を手に入れようとしていた少女、ドルチェも、彼女達の前では塵芥。今や、ご覧の有様です。』
執事服の少女:『さあ、では入札の開始前に、このドール達の哀れな出自をご紹介させていただきましょう。逸る心を抑え、しばし御清聴ください。』

執事服の少女(ビジュー)はドール達の出自を語り始める。
執事服の少女:『彼女達を“仕入れた”のは、当サロンへの入会を拒否した女のネクロマンサーの住処です。そのネクロマンサーは自らの孤独を慰めるため、ある時、数体のドールを作り出しました。それこそが、ここにいる彼女達であります。』
執事服の少女:『彼女は自らの箱庭で幸せな家族ごっこを演じておりました。ドール達もまた、彼女を母と慕いその生活に満足しておりました。』
執事服の少女:『官能も暴力もない、平穏なだけの生活。彼女とドール達は、それで満足していたようであります。そのほほえましい光景はさながら、ホームドラマそのものでした。』

観客から思わず苦笑が零れます。嘲笑や不快感さえ混じっているようです。

執事服の少女:『さて、そんな退屈な箱庭でしか満足できない残念なネクロマンサーですが、彼女は技術面においては優秀なネクロマンサーでありました。当サロンの会員の方の中には、親交のあった方もおられるようで、何人かはご承知かもしれませんね。』
執事服の少女:『彼女の創るドールは非常に性能が高い。それをそんなくだらない家族ごっこで浪費させてよいものか。当サロンは一計を案じ、そのドール達を“有効活用”することにいたしました。』

次の瞬間、ドール達の脳裏に失われていた記憶が蘇ります。
「キミ達を創ったのは、1人の孤独で優しい女性のネクロマンサー。名前はソフィア博士と言った。それは歪な家族ごっこに過ぎない生活であったが、ドール達は彼女を慕い、そして幸福に暮らしていた・・・はずだ。」
「だが、あるとき正体不明のアンデッドの軍勢が、彼女の研究施設に侵入。幸福な生活は一夜にして凌辱され・・・そして、キミ達が母と慕っていたネクロマンサーは・・・」

ドール達の脳裏に、無数のアンデッドによって凌辱の末に無惨に解体されるソフィア博士の姿がフラッシュバックします。ドール全員に「記憶のカケラ」として「ネクロマンサー(99)」を渡し、狂気判定(修正-2)を行わせてください。

執事服の少女:『さて、ドール達の紹介はこのくらいにして、いよいよお待ちかねの入札へと移りましょう。』
執事服の少女:『商品ナンバー、666番。強く美しいドールの姉妹達!さあ、皆様こぞってご参加ください!』

ネクロマンサー:『ゴライアスを10体出そう!』
ネクロマンサー:『いや、とっておきのサヴァント7体でどうだ?!なかなかのもんだぞ!』
ネクロマンサー:『研究施設を1つ提供しよう!設備は最高だ!』
ネクロマンサー:『遺伝子操作したオリジナルの粘菌はどうだ?!最高のモンスターを作れるぞ!』

「貨幣という概念はなく、ネクロマンサーであろう観客たちは次々と自慢の財産を披露し、競りが進んでいく。その異様な光景と共に、徐々にキミ達の視界が暗転してゆく。」
「最後に縋るように脳裏に浮かんだ優しい母の声は・・・競りの終了を告げる無慈悲なハンマーの音にかき消された。」

ドール達の意識が強制的にブラックアウトします。ドール達は暴れて、状況を脱することもできません。
ドール達が眠りに落ちたら、第1話を終了してください。

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+ ...

寵愛を渡す

ドールたちに寵愛点を計算し渡してください。これにて本シナリオは終了です。第2話へ続きます。


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最終更新:2016年02月12日 03:15