常闇のミューズは嗤う/第3話「絶望ダンスホール」
『イントロダクション』
シナリオ概要
必要時間:2時間半前後
合計悪意点:
- PL2人/34点
- PL3人/46点
- PL4人/58点
あらすじ
血塗れのカジノを出て、執事服の少女(ビジュー)と共に別の場所へ向かったドール達。彼女についていった先は、巨大な屋敷。「ミューズの私邸」だとビジューは言いいます。
悪逆非道な“サロン”の主催者にして強大なネクロマンサー、ミューズ。しかし、ドール達は、今は亡き母であるソフィア博士の面影を何故かミューズに感じ始めます。
そうして、ミューズの屋敷で出迎えてくれたのは、オークションで破壊されたはずのサヴァント、ドルチェでした。穏やかな歓待、懐かしい空気の応接室。ざわめく記憶。これは、夢なのでしょうか、それとも幻なのでしょうか・・・?
困惑の中、ドール達は屋敷のダンスホールへ案内されます。しかし、そこへ突如、巨大なアンデッドの怪物が乱入し、襲い掛かってくるのです。
果たして、この狂気の果てにドール達を待つ真実とは・・・?
注意
このシナリオは、バトルパートでの戦闘、およびエンドパートでのミューズとの会話がメインとなります。そのためアドベンチャーパートは比較的短く、対話判定は迅速に済ませるとよいでしょう。
ハンドアウト
特になし
『アドベンチャーパート』
カルマの設定
アドベンチャーパート開始時に公開されるカルマは以下の1つです。
『ミューズの正体を確かめる』
このカルマはドール共通のものです。エンドパートで、ミューズ本人から真相を聞くことで達成されます。
イベント:馬車での会話
アドベンチャーパートを開始します。
「血塗れのカジノを後にしたキミ達は、ビジューに連れられて馬車に乗り、無人の荒野を進んでいた。時刻は真夜中で、辺りは静寂に包まれている。」
「・・・キミ達の脳裏に母であるソフィア博士の笑顔が浮かぶ。しかし、あの悪逆非道な“サロン”の主催者であるミューズというネクロマンサーに、何故彼女の面影を感じるのか。」
ビジュー:『・・・何を考えているんだい?』
ビジュー:『ミューズのこと?・・・それとも、ソフィア博士のこと?』
ビジュー:『大丈夫、もうすぐ全て分かるよ。』
ビジューに詳しい質問をしても、「今は話せない」としか返事は返ってきません。やがて馬車は、荒野にポツンと建つ一軒の大きな屋敷の前で停車します。次のイベントへ移ってください。
イベント:再会
屋敷のホールで壊れたはずのドルチェに遭遇すします。彼女に案内されたのは、どこか懐かしさの覆う、応接室でした・・・。
「巨大な屋敷に案内されたキミ達は、エントランスホールで信じられない人物に会った。あれは、キミ達があのオークションハウスで破壊したはずの・・・」
ドルチェ:『おかえりなさい、ビジュー。』
ビジュー:『やあ、ドルチェ。ミューズの準備は?』
ドルチェ:『今、支度をしているわ。』
「ドルチェは嬉しそうに微笑んでドール達に『久しぶりね』と挨拶をする。彼女にあのオークションで見た狂気的な気配は微塵もない。・・・一体、何がどうなっているというのだろうか。」
ドルチェ:『ミューズは支度中よ。準備が整うまで、応接室にどうぞ。私についてきて。』
「そうしてキミ達は、ドルチェに連れられて、屋敷の応接室に案内された。ビジューは、ミューズの支度を手伝ってくると言って、応接室から出て行ってしまう。」
「応接室に残されたキミ達に、ドルチェの手作りというお菓子や紅茶が振舞われた。」
ドルチェ:『私が、こうして五体満足でいるのが不思議かしら?不思議でしょうね?』
ドルチェ:『ところで、ねえ・・・この部屋、覚えてない?』
NCはドール達に、行動判定をさせてください。この時、「ネクロマンサー(99)」や「笑顔(08)」の「記憶のカケラ」を使用可能です。
成功した場合、ドールの頭の中に、この部屋のことが思い出されます。
「この応接室はそう、いつの日か、ドール達がソフィア博士と過ごした穏やかな日常風景・・・その、暖かな部屋そのものだ。そこには、どういうわけか、ドルチェやビジューの姿もあったような気がする・・・。」
「何故、ミューズの屋敷に、あの穏やかな部屋があるというのか・・・?」
ドルチェ:『私が、全ての真相を話すのは簡単なことよ。でも、それじゃ駄目なの。』
ドルチェ:『貴女達の疑問の答えは、ミューズから直接聞かないといけないの。』
ドルチェ:『全て大事な手順があるわ。私やビジューの時も、そうだったのよ。美味しいお菓子が、正しい手順で作られるように。私が、ミューズの意向を台無しにはできないわ。』
ドルチェ:『大丈夫、もうすぐよ。審判の時は、もうすぐなの。』
しばしの時をおき、ドルチェに連れられてドール達は屋敷のダンスホールへ案内されます。次のイベントへ移ってください。
イベント:絶望ダンスホール
ドルチェに屋敷のダンスホールに案内されます。
ドルチェ:『ミューズはすぐに来るわ。少し、ここで待っててね。』
そういって、ドルチェはドール達を置いて、ダンスホールの扉を閉じます。
NCは、この場面のすぐ後にバトルパートへ移行することをPLに伝えてください。今のうちに、適宜ドール達に対話判定を促しておくとよいでしょう。
対話判定が終了したら、轟音と共にダンスホールの壁が破壊され、巨大な怪物のアンデッドとゾンビの群れが乱入してきます。しかも、あろうことか、その怪物は母であるソフィア博士の顔をしているのです。
困惑するドール達にかまわず、アンデッドが襲い掛かってきます。アドベンチャーパートを終了し、バトルパートへ移ってください。
『バトルパート』
カルマの設定
戦闘開始時に公開されるカルマは以下の1つです。
『ミューズに会う』
このカルマはドール共通のものです。バトルパートでの戦闘に勝利し、エンドパートでミューズに会うことで自動的に達成されます。
勝利条件の設定
『敵を全滅させる』
舞台に配置されたNCの手駒全ての攻撃マニューバを損傷させれば条件達成です。手駒は攻撃マニューバを優先して残すようにしてください。
手駒の配置
配置/参加PL人数 |
2人 |
3人 |
4人 |
煉獄 |
ゾンビ×15 |
ゾンビ×15 |
ゾンビ×20 |
|
モンスター×1 |
なし |
モンスター×1 |
地獄 |
なし |
ナイトメア×15 |
ナイトメア×20 |
|
なし |
リッパー×1 |
リッパー×1 |
奈落 |
ベヘモット×1 |
ベヘモット×1 |
ベヘモット×1 |
|
スナイパー×1 |
スナイパー×2 |
スナイパー×2 |
エネミーデータ
ベヘモット(サヴァント)
頭
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
狂気の歌 |
P143 |
|
のうみそ |
P81 |
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めだま |
P81 |
|
あご |
P81 |
|
平気 |
P72 |
|
トラウマスイッチ |
『箱庭』P80 |
|
母の面影 |
P77 |
【円舞曲】相当 |
自爆装置 |
P90 |
【ゾンビボム】相当 |
咆哮 |
P91 |
【アームバイス】相当 |
腕
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
かぎづめ |
P86 |
|
うで |
P80 |
|
かた |
P80 |
|
狂鬼 |
P76 |
|
怪力 |
P76 |
|
反撃システム |
P86 |
【どろどろ】相当 |
胴
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
失敗作 |
P72 |
|
死に続け |
P72 |
|
再生 |
P72 |
|
狂気の造型 |
『箱庭』P80 |
|
鋼の身体 |
P87 |
【うろこ】相当 |
不動 |
P142 |
|
しんぞう |
P86 |
|
せぼね |
P81 |
|
はらわた |
P81 |
|
はらわた |
P81 |
|
足
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
ほね |
P80 |
|
合計悪意18点 最大行動値10
▼イラストを表示(※微グロ注意、若干の性的描写あり)
『エンドパート』
修復
戦闘に勝利したら、ドールたちは以下のパーツを入手できます。
PL人数 |
基本パーツ |
強化パーツ |
2人 |
6 |
3 |
3人 |
8 |
4 |
4人 |
11 |
6 |
イベント:謁見
修復の処理を終えたら以下の描写を行ってください。
「巨大な怪物のアンデッドはついに沈黙し、瓦礫だらけのダンスホールに再び静寂が訪れた。不意にキミ達の後ろから拍手の音が聞こえてきた。」
「キミ達が振り向くと、そこには“サロン”の主催者、ミューズが立っていた。」
ミューズ:『素敵だわ。』
「そう言って、ミューズは着けていた仮面をゆっくりと外した。それは見紛う事なき、キミ達の母・・・ソフィア博士その人だった。」
ミューズ:『驚いたかしら。皆、強くなったわね。』
ミューズ:『偽者とかじゃ、ないわよ。私は“サロン”主催者のネクロマンサー、ミューズ・・・そして、貴女達を生んだ科学者ソフィアでもある。』
ミューズ:『いらっしゃい。貴女達に話があるわ。貴女達も・・・私に聞きたいことがあるんじゃないかしら。』
次のイベントへ移ってください。
イベント:ネクロマンサーはかく語りき
ミューズ(=ソフィア博士)がドール達に真相を語る場面です。真相をドール達に伝えたうえで、どのような選択をするかはドール達に委ねるつもりです。
「屋敷の応接室。キミ達の前にお茶やお菓子が並べられた。目の前にはソフィア博士。ビジューとドルチェも同席している。一息つくと、ミューズ・・・ソフィア博士はキミ達にこの箱庭の真相を語り始めた。」
ミューズ:『かつて、私は孤独に耐えかねて、貴女達を生み出した。貴女達の記憶には封印を掛けているけど、他にも一緒に暮らしていた姉妹達がいたのよ。ビジューとドルチェも、その中の2人ね。』
ミューズ:『とても幸せな日々だった。ただ、貴女達と過ごし、平穏に暮らすだけで・・・終末戦争で疲弊しきっていた私の心が癒されたわ。』
ここでドール全員に「記憶のカケラ」として「母の手(02)」を渡してください。
ミューズ:『でも、いつしか私の中に妙な違和感が芽生えるようになったの。いいえ、“芽生える”というよりは“気づいてしまった”というべきね。貴女達との平穏な暮らし。でも徐々に満たされない何かがあることに気づいてしまった。』
ミューズ:『最初は、それが何なのか理解できなかったわ。そして、ある事件がきっかけで私はその正体を知ってしまうことになった。』
ミューズ:『貴女達の頭の中に、私が解体される記憶があるわね。あれは実は、私が一部改竄した記憶なのよ。』
ミューズ:『実は、貴女達と暮らしていた当時、“サロン”は実在した。もちろんミューズという女性は存在せず・・・主催者は、あのウィリアム・ストーカーという男だったけどね。“サロン”が行っていたのは貴女達が“経験”したようなことよ。』
ミューズ:『私は彼らの一部と腐れ縁があってね・・・。ある時、彼らに貴女達が目をつけられ、そして私の研究施設は実際に襲撃を受けた。』
ミューズ:『私が改竄したのは、そこから先よ。あの時、私達は、彼らの襲撃に“勝利した”。私の技術と、貴女達という強力なドールの性能で、襲ってきたネクロマンサーやアンデッド達を殺戮したわ。解体されたのは、私ではなく、彼らの方だった。』
ミューズ:『そして、私を守ろうと傷つき、抗い、戦う、貴女達を見て、私はたとえようもない満足感に浸った。私は知ってしまったのよ。あの満たされないものの正体に。』
ミューズ:『官能、暴力、嗜虐、闘争、殺戮・・・そんな濁った負の要因にこそ、私の本質があるのだと、知ってしまった。』
ミューズ:『私は貴女達を使い、“サロン”に反撃した。彼らを残らず捉え、破壊し、そして従順なアンデッドに創りかえた。・・・全ては、この歪な箱庭を作るために。彼らのお芝居もなかなかのものだったでしょ。まあ、あのウィリアム・ストーカーたちも、自分が箱庭の一部だなんて気づいていないんだけどね。』
そこまで語ると、ミューズは神妙な表情で、ドール達に向き合います。
ミューズ:『貴女達に謝りたいことがあるの。』
ミューズ:『私は、きっと狂っている。世界と共に狂ってしまったのか、生まれつき狂っていたのか、それはもう分からない。けど、一つ確かなことは、私はきっと官能や暴力という本質をもってしか“本当に”貴女達を愛することができない。あの平穏な日常は確かに私の孤独を埋めてくれた。けど、私はもう貴女達を歪な形でしか愛してあげることができない・・・それに、気づいてしまったから。』
ミューズ:『大切な娘である貴女達が好き。貴女達を心から愛してあげたい。・・・でも、私の愛は、激しい痛みを与えてしまう。心にも、身体にも。貴女達が“経験”したように。』
ミューズ:『この箱庭はね・・・。貴女達に選択をしてもらうための箱庭。・・・いいえ、正確には貴女達に私を裁いてもらうための箱庭。この茶番劇を通じて、貴女達に私の歪な愛を伝えた。このあさましい、狂人の愛情を。』
ミューズ:『もし、貴女達が、この愛を受け入れてくれるなら、ここで共に過ごしましょう。私がこれからも貴女達を傷つけ続けることを許してくれるなら。』
ミューズ:『でも、貴女達が、この愛を拒絶するのなら・・・。その時は“自由”に。私を見捨てて旅立つのもいい。もし望むなら私は報復さえ受け入れようと思う。』
ミューズ:『これが、ね。“自由”よ。この狂った世界で、貴女達・・・いえ私達に与えられた“自由”。』
そういって、ソフィア博士は静かに俯きます。まるで審判を待つ罪人のように・・・。
彼女の話を聞いて、ドール達がどうするのか。これについて、ドール同士で答えをすり合わせる必要はありません。
ドールの返答によって、それぞれのエンディングを描写してしまえばいいでしょう。
ミューズの愛を拒絶する? それもひとつの答えです。そう望むなら、ミューズは泣きながら貴女を解放するでしょう。
貴女には、果て無き週末世界の荒野が待っているでしょうが。
ミューズの愛を受け入れる? それもひとつの答えです。そう望むなら、ミューズは笑顔で貴女を抱きしめるでしょう。
次の瞬間には、貴女は彼女の愛に焼き尽くされているかもしれませんが。
ミューズの愛に報復する? それもひとつの答えです。そう望むなら、ミューズは黙して貴女の復讐を受け入れるでしょう。
母を守ろうとする、かつての姉妹達と、血みどろの壊し合いが始まるでしょうが。
ああ、それとも、それとも・・・
貴女はもしかしたら、思い出の母の面影と、残虐なネクロマンサーとの間で、心を壊しながら苦悶にのた打ち回るのでしょうか?
御覧なさい、ほら。苦しみ悶え、選択に悩む貴女を見て、
・・・ミューズが、嗤っている。
▼イラストを表示(※グロ注意)
寵愛を渡す
ドールたちに寵愛点を計算し渡してください。これにて本キャンペーンは終了です。
最終更新:2016年02月12日 03:14