ほしにねがいを/第1話「追想、或いは未熟者たちの目覚め」
『イントロダクション』
シナリオ概要
必要時間:3時間前後
ネクロニカにしては情報詰め込みすぎでボリューム多目
姉妹の記憶の欠片を共通化してイベントを減らし、ダイエットするのも手です
トレーラー
外界から隔離された謎の施設。
その片隅で、ドール達は目覚めた。
記憶をなくし、まっさらな彼女たちが見た物は
荒れ果てた、だが何か懐かしさを感じる屋内の有様だった。
互いに手を取り、踏み出せば。
悲しみの物語がはじまる。
甦る記憶。
不意の邂逅。
そして襲い来る悪意。
永い後日談のネクロニカ・キャンペーンセッション
「●●●●●●を」
第一話
「追想、或いは未熟者たちの目覚め」
過去の足跡を辿り、彼女らは何処へ導かれるのか
注意
この第一話で最も重要な事はドール達に「脱出路が無い」「外界の様子が判らない」という事を理解してもらう事です。
情景描写の際に留意ください。
ハンドアウト
ハンドアウトとしてのドールの扱いに差は無いが、背景事情とのつながりの為に便宜上、
ドール1、ドール2、ドール3と区別して以下、呼称する。
『アドベンチャーパート』
カルマの設定
アドベンチャーパート開始時に公開されるカルマは以下の1つ。
『たからものを入手する』
このカルマはドール共通のものです。アドベンチャーパート内で発見した物に対し、たからものにする旨を宣言することで達成されます。
イベント:目覚め
ドールたちは薄暗い部屋、四人部屋のベッド上で目覚める
「君達はカビ臭い部屋、狭い2段ベッドの上で目を覚ました。その部屋には2段ベッドが二つと、わずかな私物入れしかない。集団生活をする者たちの就寝場所のような印象を受ける。窓はひとつ。だがシャッターのようなもので外から塞がれている。その反対側には扉。電子式のようで、対人センサが生きている事を示すように赤く明滅している」
ドール達に自己紹介をさせた後、行動を開始してもらう。
※窓について。開閉には電気的なスイッチが必要だが、それはこの部屋には無いため開閉不能。破壊しようにも、なぜか非常に強力な装甲シャッター(適切な知識がないなら「すごくかたいシャッター」)になっている為、個人持ちの武器では破壊不能。
※私物入れについて。行為判定で成功すれば。たからもの「かわいらしい腕時計」を入手する。これは3話で意味を持つ。
※判定すればシャッターからシェルターの話を誰かに聞いたことを思い出す。
イベント:探索
「さて、扉の外に出た君たちが目にしたのは荒れ果てた、薄暗い廊下だった。
あちこちの壁が砕け、切れかけの照明が明滅している。
黒いシミや穴の開いた跡、何かの残骸らしきものもそこかしこに見受けられる。
廊下は左右に伸びていて、緩やかにカーブして奥へ消えている。脇には今君たちが潜った様な扉がいくつか並んでいるのが見て取れる。」
「君たちはふと、既視感のようなものを覚えた。この廊下。これまでの部屋。知っているような気がする。君たちはこの場所が初めてではない?」
大半はカードキーが無いと開かない。
中には扉がひしゃげて中が見える部屋もある。どうやらさっきの部屋と同じような構造の部屋や、給湯室のような場所もあるらしい。
イベント:廊下の先
(右に行くと大会議室、左に行くとエントランスロビー、そのどちらからもカフェテリアにつながる。ただし左は只今隔壁で閉鎖中
右の隔壁は閉まりきって居ない為、通行可。ロビーから階段で2Fへ)
左「この通路は隔壁のようなもので行き止まりになっている。当たり一面に黒い汚れがぶちまけられた様に広がっていて、本来の床が見えないほどだ。操作盤のようなものは見当たらず、閉じ込められた時に助けを呼ぶ為の非常電話は砕かれていて使えそうにもない。君たちの力では壊して進むのも難しそうだ。」
※行為判定。当たり一面の汚れは血である。気付いたものは狂気判定。
右「この通路は隔壁が降り、塞がれてい……ない。肝心の隔壁が1/3ほどで停止し、人が簡単に潜り抜けられるだけの隙間がある」
イベント:会議室(生前、ドール達はここで座学を受けていた)
「君たちが入ったのはこれまでよりも大きな部屋だ。窓は無い。中には長机とパイプ椅子が、かつては整然と並んでいたのであろう。今はどれもなぎ倒され、砕かれている。正面にはホワイトボード。ホワイトボードには何かが書かれているようだが、黒いシミや砕かれた箇所があり、判別し辛い」
「奇跡的に残っている壁のボードには、『この星の、未来を考える』『星辰重工業グループ』という企業スローガンらしきものが書かれている」
※ワード:Specialist、engineering、ballistic(弾道)他、数学的な図形のようなものが書いてあったらしい事が分かる。
※全て英語
「君たちは、この部屋を確かに覚えている。過去の記憶が、甦る」
ドール1に記憶の欠片を配布
記憶の欠片:『42:教室』
「君たちはずっとこの場所で勉強していた。教えてくれたのは『先生』。必要な事だからと、たくさんの事を勉強した。広い教室に生徒はたったの(ドールの人数+2)人だけ。眼鏡の男の子と、優しいお姉さんと、よく一緒に遊んだ(ドールの人数-1)人の友達。
君たちは選ばれてこの教室にいるんだよ、と『先生』は言っていた。優秀だから。勉強を頑張ったからと。……でもなんで、頑張って勉強したんだっけ」
※さらにたからもの「壊れた電子教材」を入手しても良い。教科書などをDLして学習に使う汎用端末。高級感のあるハードカバーの本のようなデザインでちょっとおしゃれ。
イベント:カフェテリア
「君たちがたどり着いたのは開放的……だったのであろう空間だった。観葉植物が植えてあっただろう鉢が倒れていたり、オフィス用品とはデザインの違うおしゃれなイスと机が砕けていたりしている。奥にはカウンターのようなもの。もしかしたら食堂とかカフェとか、そんな所だったのかもしれない。壁も窓が大きくとられて採光が良さそうだった。割れていない窓は一枚もない上に、例のシャッターがここでも窓の外を塞いでいたが」
※行為判定をすると、(結果に関わらず)旅行パンフ(たからもの)を拾う。ドール2は破局の数日前、そこに映っていた綺麗な景色をみて、「自分も此処へ行きたい」「いつか行けるよ」と会話した覚えがあるのを思い出す。
「君たちは、真っ二つになったテーブルの残骸の間から、奇跡的に原型を留めている1冊のパンフレットを見つけた。薄っぺらい紙束に、青い海や緑の高原、今時珍しくなった馬と触れ合える牧場などの宣伝が所狭しと並んでいる。どうやら、富裕層向けの旅行パンフレットのようだ」(ロゴにはセイシンツアーズなる社名が)
「(ドール2)には、そこに映っている風景が一際まぶしく見えた。目覚めてからずっと、灰色の壁ばかり見てきたせいだけでは無い。この宝石のような自然。この憧れ。……君は覚えている」
記憶の欠片:「36:願いごと」
「君はこれを見て憧れた。行ってみたい。見てみたい。今すぐは無理でも、いつか必ず、ここに映っているような素敵な場所に行くんだと。そう、この場所でこのパンフレットを広げて、君はそう思ったのだ。そんな君の頭を誰かが優しく撫でてくれた。『頑張ってお勉強して、いい子にしていたら、いつか必ず行けるよ』そんな言葉をかけて貰った。だから君は……どうしたんだっけ」
※さらにたからもの「観光パンフ」を入手して良い。
エントランスロビー
「君達はどうやらこの建物の入り口にたどり着いたようだった。通路を抜けた先、見えてきたのは自動ドアだったらしき骨組みと、その向こうに見える例のシャッター。反対側には受付カウンターがまだ原型を留めている。さらに見える通路へ進むと、おそらくあの閉じたシャッターの裏側にたどり着くのだろう。これまでの様子から、この建物が円形なのは理解できた」
「受付には、半壊した受付嬢アンドロイドが放置されていた。その後ろには『SEISHIN GROUP』と刻まれたプレートが壁に埋め込まれている。受付嬢は君たちが近づいたのを認識したのか、弾痕だらけのボディから異音を発しつつ、アナウンスをしてくれる」
受付嬢『ようこ、そいらっしゃ…マシた、お客さマ。ゲんザイ……当、施せつは……敵性戦力ノ、こうゲキをを、受けており……非常ケイかい、たいせいを取っており、おります。施せつ内の、お客様にオカれまして、ha……隔壁シェルた、に避難して頂kiますよう、お願い致しマス』×やめるまでエンドレス
ドール達に狂気判定をさせること。
ドール3が居る場合、以下の描写を追加する。
+
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... |
「慌てて受付から離れた君たちだが、ふと、ドール3は懐かしさのような感覚を受けた」
「前に、ここでこうして受付に向き合っていたことがある。あれは、いつの話だったか」
記憶の欠片:「85:隠れ場所」
「君は逃げ込んだ。そう、確か逃げた末にここに来たのだ。誰かに手を引かれて?誰かの手を引いて?別に息も切らしていなかったし、走って汗みどろになっていたわけでもないが、君がここに来た理由は確かに逃避だった。不安そうにしている君に、確か受付の人が飴をくれたっけ……でも、なんで逃げていたんだろう。何から逃げていたんだろう。あの時一緒に居たのは、誰だっけ」
カウンターの裏を調べると賞味期限が100年単位で過ぎた飴を入れた籠(たからもの)を入手する。
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「さらに君たちは、出入口でも隔壁への通路でもない3本目の道があるのに気付いた。受付カウンターと、大きな台……君たちの記憶が正しければ、確かホログラフでPVを流す装置……の間。奥、円の中央へ続く通路。正面奥にエレベータ、受付のすぐ裏に非常階段が見える」
「エレベータの扉は失われており、暗い口がぽっかりと空いたようになっている。非常階段の方は何かの破片が散乱していたりするものの、通るのには問題無さそうだ」
(※さらにエレベータに近寄り、調べる為の行為判定に成功すると、開いた口の端に、布の切れ端が引っ掛かっているのが見つかる。
これはここで目覚めたイノリの服の切れ端である。この時点のドール達にはわかりようのない情報ではある。
但しエレベータ底には元・この施設の職員たちの死体置き場ある為、それ発見して狂気判定が発生する)
非常階段
「明かりが全て砕けた非常階段を上る君達の耳に、何かが聞こえた。君達ではない誰かの足音。ひたひたと走る音が上の階から聞こえてくる。何者かがこの上に居るようだ」
「君達がたどり着いた2階は、1階に比べ比較的きれいな形を保っていた。弾痕や血痕こそあちこちに見られるものの、大きく壁や物が壊れている様子はない」
「正面奥に大きな自動扉がある。君たちが目を向けたまさにその瞬間に、開いていた自動扉が閉まった。先ほどの足音の主は、あの扉を潜ったのかもしれない」
「その手前には、通路の左右に並ぶ扉がいくつか見える。ここも、かつては職員が行き来し仕事に励んでいたのだろう」
「むろん、このまま階段を登れば3階にも行けるだろう」(これは茶番である。3階に行ってもカードキーが無い為すぐ行き止まる)
2階通路
「通路の左右の部屋はそれぞれ情報端末やデスクが設置され、オフィスとなっているようだ。扉の上に『応接室』『業務課』『設備管理課』などと書かれたプレートがある。室内の壁には何かのスケジュール表や何本も曲線を描かれた世界地図、『送電停止による一時製造停止のお知らせ』等がある。無論、あちこちに血痕があるのは変わらずだ」
訓練センター
「君たちが自動扉の前に立つと、それを認識して扉が音も無く開く。入った君達を迎えたのは、もう一枚扉と2つの小さな部屋。部屋には『男子更衣室』『女子更衣室』とある」
「正面の扉を潜ると、広いフロアに出た。ベージュ色の壁と床の他は、目立った設備は無い。ただ、床のあちこちに機械やアンデッドの残骸が転がっている。そして正面……部屋の中央付近に2つの人陰があった」
「一人目、君たちに背を向けているのは明るい(ドール1の髪色)をおかっぱにした小柄な女性。地味な色のワンピースを着て、両手に抜身の刀を持っている。そして2人目、君たちの方を向いているのは成人男性……だったらしいゾンビ。背を向けている少女の肩越しに見えるその顔には生気も生前の面影も無く、腐敗してつぎはぎだらけの青白い肌を晒している」
「そして声をかける間もなく少女の手が閃き、アンデッドが一撃で解体される。この空間に立っているのは、君たちと刀の少女だけになった」
狂気判定をさせる事。
「その声に反応し、少女がこちらを振り向いた。左目を眼帯で隠し、驚愕の表情を浮かべ君たちを見ている」
「彼女の顔に、君たちは見覚えがある。君達より少し年上、眼帯の有無こそ違えど、君たちの記憶の中に、おかっぱの少女の姿があるのだ」
記憶の欠片:「23:少女」
「彼女はいつも君たちと一緒にいた。優しいお姉さん。お料理が出来て、たまにクッキーを焼いてくれた。彼女の柔らかく笑う顔を見ていると、自分達も嬉しくなった。君たちが泣いているときは優しく慰めてくれた。怒る事はめったに無かったけど、ダメなことはしっかりダメと言ってくれた。虫が苦手で、小さい虫を見ただけでも悲鳴を上げていたのを覚えている。彼女はたしか、名をイノリ、と言ったはずだ」
「イノリは君たちを見ると、慌てたように身を翻す。君たちが入ってきたのとは反対側にある入り口から彼女は逃げるように飛び出して去った」
「追おうとする君達の行く手を遮るものがある。壁に設置されたシャッターが開き、奥から現れる大きな影。巨大な多脚作業機械が、進路上にあるゾンビの残骸を飲み込みミンチに変えながら、君たちに向かって突進してくる!」
『バトルパート』
カルマ
戦闘開始時に公開されるカルマはありません。
勝利条件の設定
『敵を全滅させる』
舞台に配置されたNCの手駒全ての攻撃マニューバを損傷させれば条件達成です。手駒は攻撃マニューバを優先して残すようにしてください。
手駒の配置
配置/参加PL人数 |
2人 |
3人 |
煉獄 |
企業戦士ゾンビ×15 |
企業戦士ゾンビ×30 |
|
リフトバイス×2 |
リフトバイス×2 |
|
なし |
ドラッグイーター×1 |
地獄 |
ミートシュレッダーⅡ×1 |
ミートシュレッダーⅡ×1 |
奈落 |
なし |
スナイパー×1 |
エネミーデータ
ミートシュレッダーⅡ(ホラー)
公式ホラー、ミートシュレッダーに以下の改造を施した強化版。
強化装甲(うろこ)追加
傾斜装甲(スチールボーン)追加
加速装置(しっぽ)追加
突進→突進Ⅱに変更
突進Ⅱ:オリジナルマニューバ。コスト、効果等は全て、ドール用パーツ「キャンサー」と同一。脚部用の防御効果のみ無い。
悪意+4
企業戦士ゾンビ(レギオン)
公式レギオン、ゾンビのデータを使用する事。
『エンドパート』
修復
戦闘に勝利したら、ドールたちは以下のパーツを入手できます。
PL人数 |
基本パーツ |
強化パーツ |
2人 |
6 |
3 |
3人 |
9 |
5 |
エンディング
「君たちは、群がる死者や作業機械を退け、傷ついた体を修復していた。先ほど敵が出てきたシャッターは開いたまま虚ろな闇を晒しており、もうこれ以上何かが出てくる気配はない」
「修復のためにゾンビの残骸を漁っていた君達は、ちょっとしたものを見つけた。サラリーマンゾンビの懐に入っていた、一枚のカードキー。見たところ大きな破損は無く、まだ使えるように思える。表面には星辰グループのロゴが印刷されているが……そのロゴをまたぐようにして、『sleeper』と言う文字が刻まれていた」
キーアイテム【スリーパーの鍵】を手に入れた!
※本アイテムはキャンペーン進行上、非常に大切なものです。たからものとは別扱いで、ドールに所持させて下さい。
ドールにキーアイテムの説明を行ったら、以下の描写を行って第1話を終了してください。
かくて、少女たちは踊り始めた
舞台には嘆きと悲しみが満ちている
その先にあるものは何もないと知っていても
彼女たちは歩みを止めないであろう
あの日の思い出を胸に
互いの手を取って
鳥かごの外に出る為に
永い後日談のネクロニカ
『追想、或いは未熟者たちの目覚め』
End
寵愛を渡す
ドールたちに寵愛点を計算し渡してください。これにて本シナリオは終了です。第2話へ続きます。
最終更新:2016年09月01日 20:20