ほしにねがいを/第2話「悪意、あるいは彼女たちはいかにしてその手を汚したのか」
『イントロダクション』
シナリオ概要
必要時間:2時間前後
トレーラー
永い後日談のネクロニカ・キャンペーンセッション
「●●●●●●を」
第二話
「悪意、あるいは彼女たちはいかにしてその手を汚したのか」
注意
このシナリオでは、主にアンデッド化した生徒たち……つまりPLのドール達が過去に行った虐殺が描写されます。
ネクロニカのプレイヤーならば大丈夫だとは思いますが、一応留意してください。
ハンドアウト
第一話と同様。
『アドベンチャーパート』
カルマの設定
アドベンチャーパート開始時に公開されるカルマは以下の1つ。
『過去の事実を知る』
このカルマはドール共通のものです。アドベンチャーパート内で過去に起こった事に関する情報を入手することで達成されます。
イベント:3F入口
「通路を進んだ君たちは、階段を上って3階に辿りついた。この階はフロアの入り口が半透明の扉で閉ざされているが……2階で手に入れたカードキーで、このセキュリティを解除できるようだった。入口の横には『航空宇宙システム開発部』とプレートが掲げられている」
「君たちがキーを差し込むと、フロアに入る為の扉が開いた。足を踏み入れると同時、入り口近くの壁に据え付けられていたモニタに光が灯る。ノイズ交じりの映像で、いくつかの人影が蠢いているように見える。音声は、悲鳴らしき声が聞こえてくるばかりで詳しい状況が判らない」
「映像は数秒で終わり、画面は灰色の砂嵐が映るばかりとなった。だが、君たちは先ほどの映像に不思議な感覚を覚えていた。あの人影に、あの悲鳴に、何故か動揺してしまう。頭の中にむずむずとした不快感がある」
イベント:3F通路
「君たちが真っ直ぐ通路を進んでいくと、左右には『試験グループ』『研究グループ』『電子設計グループ』などと書かれた部屋が並んでいる。どの部屋も扉がひしゃげ椅子がひっくり返っているような有様であるが……」
行為判定
「君たちは違和感に気付いた。各部屋はそれなりに荒れているが、机の上のコンピューターや書類、実際に業務で使っていたであろう機材は綺麗な形を保っている。それどころか、人が居なくなった後に整理したような印象も受ける。明らかに1F、2Fと様子が違う」
「さらに他の部屋を覗くと、まだ明かりがついているディスプレイを見つけた。画面には漆黒の宇宙空間と、そこに浮かぶ建造物の映像が映っている」
「さらに、音声アナウンスと共に、青い地球からその建造物に伸びて行く長い長い筒のようなものが映る。アナウンスから察するに、これは『衛星軌道上にある星辰グループの宇宙ステーションへ、軌道エレベータを建造し接続する計画』のプロモーションらしい」
一話の教室、願いごとの記憶の欠片が補完される。
記憶の欠片:『42:教室』
「そうだ、あの教室で、先生の元で君たちは勉強していた。『宇宙飛行士になる為に』。ソラに憧れ、いつかあそこに行くと、夢を叶えるのだと目を輝かせて。頑張って勉強して、何度も励ましあって、数少ない宇宙飛行士の養成クラスに入れたことを喜んでいた……いつかどこかで、皆で宇宙に行くんだと、約束した覚えがある。あれはどこだったろうか」
記憶の欠片:「36:願いごと」
「きみが憧れた景色、青と緑にあふれる自然。アレは、この空の上にあった。企業の所有する『観光コロニー』。戦争の激化に伴い、地上に安全な場所など無く、破壊されていない自然もまた無かった。だから、地上から逃げ出せた一部の人たちが、天で疑似空間を作り上げたと先生が言っていた。だがたとえ偽物でもその美しさは変わらない。そこへ行ける資格を得ようと、その為に奮おうと、君はあのクラスで必死に勉強していた」
「君たちがそれぞれ、甦った記憶に思いをはせている間に、突如画面が切り替わった。この建物の中のどこか、先ほど通ってきた2階の映像だろうか。何人かの生きた人が慌てたように行き来している」
『何が起こっているんだ!?』
『アンデットだ、アンデットが突然……もう1階に侵入されてる!』
『おい、そこに居るのは誰だ!』
カメラがそちらを向く。そこには君たち自身の姿。今の画面を見ている君たちとそっくりの少女たち。画面の中で君たちは、虚ろな表情で職員たちを見やり、手を差し伸べた。
――武器を握った手を。
『な、君たちガッ!?』
『アンデッド?この子達が、どうして!?』
『うわあああぁ!やめろ、やめてくれぇ!』
映像の中の君たちは、無表情のまま次々と人を殺していく。恐らくは……ほぼ間違いなく、顔見知りだったろう人達を。
優しそうな女性職員も。
作業着を着た初老の職員も。
太った白衣の職員も。
皆、映像の中で君たちに殺された。
そして最後に、恐怖で歪んだ表情の眼鏡の少年が画面に映り、
ブツン、と唐突に画面が暗転し映像が途切れる。
あとには、耳が痛いほどの静寂が残った。
全員に狂気判定をさせること。
イベント:視聴覚室前大休憩スペース
「君たちがたどり着いたのはこのフロアの職員の為の休憩スペースのようだった。簡易的なベンチと、自動販売機だったらしき残骸がある。自動販売機の残骸は上半分がちぎれたように無くなり、綺麗な山をバックにした天然水の宣伝だけが未だに残っている。すぐ近くに大きな部屋の扉、通路の奥に階段が見える。ベンチの上には何かが放置されている。それは、この暗闇の中でぼう、と白く光り、一際目立っていた」
「君たちが近寄って確かめてみると、それは電子書籍のタブレット端末である事が分かった。『3F休憩所』とシールが貼ってある事から、ここの備品だったことが判る。電源が入っており、画面が映っている」
「タブレットに表示されているのは新聞記事だった。本日最新の……などと言うことは無いだろう。見出しには『送電衛星、機能停止!?』と言う文字が躍っている」
概要
- 旧日本エリアの宇宙開発計画で利用されていた送電衛星「アマテラス」が突如機能を停止した。
- 管理を行っていた星辰軌道開発(株)の宇宙ステーション支社によると、原因は隕石の衝突によるもので、復旧見込みは調査中。
- これにより地上での生産活動に影響が。特に現在進行中の軌道エレベータ計画は遅延が必至。長引けば頓挫も?
スクロールすると「宇宙ステーション支社、交信途絶」とか「打ち上げ施設で謎の爆発。大気圏外からの攻撃?」などと言う記事が。ちなみに新聞社をドールが気にすると、星辰グループのメディアである事が分かる。
「そして、君たちの手の中でまた、突如画面が切り替わる」
「今度は、何処か暗い場所で君たち二人が作業をしている映像だった。君たちの足元には幾人もの死体。皆以前の画像で君たちに殺されていた人たちと同じような服装をしているところを見ると、この施設の職員だったのだろう。君たちはそれを死体袋に詰め、タグのようなものに記入していく。君たちがそうしている間にも、上から死体が降ってくる。今カメラの目の前で、やせぎすの男の死体が降って来、ぐしゃっと音を立てた」
「と、カメラが切り替わり別の場所を移した。次はエレベータホールの映像のようだった。エレベータの扉は君たちが見た時と同様に、大きく口を開けている。その前で、2人の人影が蠢いていた。」
『さあ、(ドール1)、(ドール2)、キョウスケ君、どんどん片付けましょうね。早く綺麗にして先生がお仕事できるようにしないといけませんから』
「2Fで君たちが遭遇した少女、イノリ…眼帯をつけている…が、穴の底の君達へ指示をして作業をしているようだ。エレベータの前にも幾人かの死体。彼らの死体を、イノリともう1人……うつろな表情の眼鏡の少年が次々とエレベータの昇降路の底に投げ込んでいく。頭の無い死体、胸に大穴の開いた死体、血染めで服の色が判らない死体、男の死体、女の死体、全て区別なく投棄されていった。恐らく……全て君たちの知人で、君たちが手に掛けた人も大勢混ざっている」
『後は防腐液を流し込めば完了ね。2人とも、上がってきていいですよ』
「作業が終わったのか、イノリが朗らかに宣言し、映像もそこで途切れた」
狂気判定を行わせること。ただし、ある程度予想されてると考えられるため判定+2のボーナスを与える。
イベント:視聴覚室
「君たちは視聴覚室、というプレートの掲げられた大きな部屋に踏み込んだ。ここがこのフロア最後の部屋だ」
部屋の中は明かりがついておらず、正面の大型スクリーンも沈黙している。その前で、2人の人影が会話を交わしていた
「フン、来たか」
神経質そうな眼鏡の少年が君たちを冷たく見据える。彼は先ほど見た映像で、イノリと共に死体を投棄していた、その前の映像で最後に映った、あの少年だ。
「……申し訳ありませんが、ここは任せていいですか。私は探索に戻ります」
一方、下のフロアでも遭遇したイノリは憂鬱そうな表情でそう告げた。
「それじゃ僕が一方的に損じゃないか?」
「埋め合わせは後でします。アンデット兵も貴方に預けましょう」
「……いいだろう。成果は挙げてくれよ」
眼鏡の少年―キョウスケが鼻を鳴らして頷き、いのりは一礼すると奥の扉から走り去ってしまった。
「フン、愚かな女だ」
キョウスケは君たちに向き直る。もはや敵意を隠そうともしていない。
※記憶の欠片は無いが、ドール達には彼がかつての学友(一話での記憶の欠片:教室に出てきた少年であると伝える)
「試験、あるいはゲームなんだよ、これは」
「ルールは簡単、キーを揃えて外に出るだけ。上位2名までが勝者だ。お前たちの持つキーを渡してもらうよ」
「お前たちのキーと、あの女のキー。外に出るにはそれが要る。……そして、僕のキーはこの施設内のカメラとモニタ全てを掌握する。お前らがキーを持っている事は僕だけが知っている。あの女の探索は徒労なのさ」
「もっとも、それとは別に僕はお前たちに用がある」
(背後の大型スクリーンに、先ほど見た虐殺シーンのビデオが映る)
「お前たちに殺されたあの屈辱……あの痛み……許すものか」
「そうとも、殺したんだ、お前たちが!あいつの手先になって!みんなみんな!」
鬼気迫る表情から一転、薄ら笑いを浮かべて告げる。
「だからさぁ……もう一度死んじゃえよ、お前ら」
彼がキーを投げ捨てると共に、視聴覚室奥の扉が開き、アンデッドがぞろぞろと現れる。
記憶の欠片:「05:血の宴」
「君たちは殺した。命ぜられるままに。武器を振るい、親しかった人たちをことごとく殺し尽くし、この施設を制圧したのだ。一度死んで、アンデッドとして甦った君達には、ネクロマンサーたる『あの人』に逆らう事は出来なかった。すべては……何の為に?そもそも、自分達に命じて惨劇を起こした『あの人』は、誰だったのか」
狂気判定を行わせること。RPさせて対話判定も行ってよい。
『バトルパート』
カルマ
『放送を止める』
舞台に配置されたエネミー「大型モニタの映像」を完全破壊すれば条件達成です。
勝利条件の設定
『キョウスケを完全解体する』
キョウスケのマニューバを全て損傷させれば条件達成です。他の手駒は残っていても達成されます。
手駒の配置
配置/参加PL人数 |
2人 |
3人 |
煉獄 |
ゾンビ×15 |
ゾンビ×20 |
|
ナイトメア×5 |
ナイトメア×10 |
地獄 |
大型モニタの映像×1 |
大型モニタの映像×1 |
|
なし |
ソルジャー×5 |
奈落 |
キョウスケ×1 |
キョウスケ×1 |
※さらに戦闘中、1T目のカウント8でイベントが発生し楽園にバブルヘッドが一体、出現する。
戦闘中のセリフサンプル
「クソっ、僕がこんなに……」「何故、何故だ!」「ソラに行くのは、この僕だ!」
「安心しな、後であの女も同じところに送ってやる。だからさっさと死ねよ!」
「あ、あのアマァー!」バブルヘッドを見て、キョウスケ君も憎々しげに叫びを上げました。
(バブルヘッド乱入イベントの際の台詞)
エネミーデータ
キョウスケ(サヴァント)
公式シナリオのボスサヴァント、バレットシスターのデータを使用する。
但し、「よぶんなうで」の名前を「クイックドロウ」に書き換えること。
大型モニタの映像(ホラー)
以下の3パーツを持つ
上映会(狂気の造形)
スクリーン(はらわた)
設置型設備(不動)
『エンドパート』
修復
戦闘に勝利したら、ドールたちは以下のパーツを入手できます。
PL人数 |
基本パーツ |
強化パーツ |
2人 |
8 |
4 |
3人 |
10 |
5 |
エンディング
キョウスケが完全な肉片になるまで破壊しつくされると、視聴覚室に静寂が戻った。広い部屋の中で、もはや動くものは君達のみ。
一面血と肉片に覆われた床の中で、投げ捨てられたカードキーだけが白く輝いていた。
キーアイテム【ウォッチャーの鍵】を手に入れた!
激闘の末、視聴覚室に静寂が戻った。広い部屋の中で、もはや動くものは君達のみ。
今度こそ、4階への道が開かれるであろう。その先には恐らく、彼女が待っている。
君たちがその先にある苦難を乗り越える事を、祈る。
永い後日談のネクロニカ
『悪意、あるいは彼女たちはいかにしてその手を汚したのか』
End
寵愛を渡す
ドールたちに寵愛点を計算し渡してください。これにて本シナリオは終了です。第2話へ続きます。
最終更新:2016年02月12日 03:13