ほしにねがいを/第4話

ほしにねがいを/第4話「人類についての話をしよう」


『イントロダクション』

シナリオ概要

必要時間:2時間前後
ドール達の戦力次第ですが、戦闘で苦戦すると3時間以上になります。

トレーラー

最初は希望から始まった。
憧れ、フロンティア、閉塞の打破。
人が持つ正のエネルギーは、地球に生きる君達の未来を拓くはずだった。
だが、全ての運命はあの時を境に反転し、全ての希望は打ち砕かれた。
君達が全てを忘れていたのも、もしかしたら救いの一種だったのかもしれない。
だが聞いてほしい。
残った怒りと無念だけが地の底に封じられた後も。
誰かがずっと語り継いでいたんだ。

あれは、祈りだったんだ、と。

永い後日談のネクロニカ・キャンペーンセッション
「ほしにねがいを」
第四話
「人類についての話をしよう」

おはよう、諸君。
運命を選択する準備は出来ているかな?


注意

本シナリオはネクロマンサーとの対峙、対決がメインになります。
ドール達の対話判定はやり残しの無いよう、注意して管理してください。

ハンドアウト

なし


『アドベンチャーパート』

カルマの設定

アドベンチャーパート開始時に公開されるカルマは以下の1つ。

『決める』

このカルマはドール共通のものです。必要な事柄に対し、何らかの決断をすることで達成されます。

イベント:研究所内部(エントランス)

長く続いていた振動が止まる。
同時に、あちこちから機械音が聞こえてくる。
恐らく、窓を塞いでいたシャッターが開いているのだろう。

君たちは今、1階へと続く階段を下りているところだった。

と、君たちがエントランスに辿りついたとき、ある事に気付いた。
受け付け横のホログラフ装置が起動しており、青い地球とその周りを回るロケットの映像、そして星辰軌道開発の社名を表示している。
さらに、背後から声が聞こえる。
「行ってらっしゃいませ。どうぞお気を着けて」
振り向くと、あの半壊した受付嬢アンドロイドが腰を折り、深々とお辞儀をしていた。
……その動作で限界を迎えたのか、もう動く気配は無い。

研究所前

ついに君たちは一歩踏み出した。
外へ。地上へ。

そこに広がっていたのは――見渡す限り続く、一面の砂漠だった。
人工物がたまに砂の中から頭を覗かせているものの、大地の大半は無味乾燥とした砂が埋め尽くしており、無論動くものどころか植物のひとつも生えていない。
天を見上げれば、濁った灰色の、分厚い雲。切れ間から覗く空は狂ったような紫色に染まっていた。
これが地上。青い星と呼ばれた惑星の、今の姿だった。

そして君達の視界の中央。唯一まともな形を保った人工物がある。
なだらかな丘の向こうに見える、鉄の枠組みとそびえる棒のようなもの。
君たちの知識に寄れば、それはロケットの発射場、と呼ばれるべき筈のものだった。

発射場

君達がしばらく歩きたどり着いたそこは、間違いなくロケット発射場であるらしかった。
間近で見ると判る、ロケットの威容。
あちこちで無人機械が動き回り、発射準備が着々と整えられているようだ。
そして、君たちの前で、突如ホログラフが画像を結んだ。

それは穏やかな顔つきの白衣を着た男……かつて君達を指導していた『先生』の姿だった。
「ようこそ、よく来たね。そして、試験合格おめでとう。余分なのを連れているのは予想外だったが……まぁ小さなことだ」

彼は君たちの良く知る人当たりの良い笑顔を浮かべ、君たちを歓迎した。
「この試験はね、僕が宇宙に上がる時に、一緒に来てもらうクルーを選抜する為の試験だったんだよ。ロケットを作ったはいいが、4人も乗れるスペースが無くてね」
「君たちにはね、僕の手伝いをお願いしたいんだ。僕は宇宙に上がってやらなくちゃいけない事があるからね。君たちも宇宙に行く為に、ずっと勉強してきただろう?」

「僕は、軌道に上がる。軌道のコロニー、そこに住むかつての軌道人達の末裔を全て滅ぼさなくてはならない。優秀な戦闘能力を示した君たちならば、このミッションもやり遂げることが出来るはずだ」
「何故?……そうか、君たちはまだ知らなかったね。当時は幼かったから仕方のない事か」
「教えてあげよう、彼らが何をしたのか」
穏やかだった『先生』の表情に険が入る。何かをこらえるような口調で彼は語り出した。
「最初のきっかけは、この国の電力供給を支えていた送電衛星『アマテラス』からの送電が止まったことだった。管理を任されていた軌道支社は、隕石事故で機能を失ったと説明していたが……」
「それ以降、次第に支社は我々と連絡を取ろうとしなくなってきた。不審に思って調べていたが……真実を知ったのは結局、アマテラスが止まった後大分たってから。あの日ロケットの打ち上げが『妨害』されてからだった」
彼は皮肉げに口を釣り上げ、告げる。
「そう、妨害。軌道の連中はね、我々地上で暮らす者たちが宇宙に上がることを拒んでいたんだよ。アマテラスの件も事故では無かった。彼らは故意に送電を停止し、修復と偽って資材を集め、アマテラスを改修した。大型のレーザー砲台としてね」
「以来彼らは、宇宙に昇ろうとするものをことごとく撃ち落としていった。ご丁寧に軌道に建設したコロニーのミラーを利用して、世界各地を狙えるようにしてね」
「気付いた時には何もかも遅い。ロケットを用意しても破壊される。地上からアマテラスを狙える兵器を作ろうとしても先にあちらに撃たれる。そもそも世界全体でそんな余力が無かった。ただでさえ世界大戦で疲弊し切って居た人類は、宇宙と言う逃げ場を奪われて完全に詰んだ。後はもう滅びを待つばかり」
「そもそも、大国の国力が致命的に低下していた当時、送電衛星を保有し、地上の戦闘状況に左右されない大電力の供給手段を確保していた僕達が、宇宙へ至る最後の希望だった」
悔しさをにじませながら、語り続ける『先生』
「なのに軌道の連中はね、その希望を潰したんだよ。諍いの果てに自ら星を殺しかける愚かな者達よ、そのまま自滅の道を辿るが良い、とね」
とうとうこらえきれなくなった様に大声を上げる。
「僕は彼らが許せない!地上の民を見捨て、地球と言う星そのものを見捨てた彼らは、もう人類の同胞とは言えない。あの貴族気取りの宇宙人共に、犯した罪がどれほどのものだったのか思い知らせてやる」

「今君たちの前にあるロケット。これが僕の切り札でね。攻撃用の核弾頭を限界まで積んだおかげで君たちが乗るスペースが大分狭くなってしまったが……宇宙空間でも活動できるアンデッドだ。問題ないだろう」

「アマテラスはもうない、只でさえ老朽化している上に、僕が地下に潜っている時間も長かったからね。資源の貴重な宇宙では、維持や修復に使う資材も惜しかったのだろう」
「今なら、確実に宇宙に出て彼らの住むコロニーを攻撃できる。さあ、(ドール1)君、(ドール2)君。支度をしてくれ。君たちの夢、宇宙に行く時間だ」

「拒否する、というのかい……?」信じられない、と言うようにつぶやく。
「何故、君たちはあの軌道人達に怒りを感じないのか!」

「だが何を言われようと僕はこの復讐をやめる気はない!僕に手を貸さないと言うのならいいだろう、どことなりと去るが良い。新たにクルーを作り直せば済む話だ」

「……そうか、君たちも僕を裏切るのだね」
「ならばもう一度死体に戻すだけの話だ!」

言葉と共に、地を割って見上げるほど巨大な何かが現れる。そいつは腐りきった体で咆哮を上げると、君たちを引き潰さんと突進してきた!
「知っているかな、クジラと言うんだが。元は海中のものだが、地球最大の生物さ。」


『バトルパート』

カルマ

戦闘開始時に公開されるカルマはありません。

勝利条件の設定

『敵を全滅させる』

舞台に配置されたNCの手駒全ての攻撃マニューバを損傷させれば条件達成です。
手駒は攻撃マニューバを優先して残すようにしてください。

手駒の配置

配置/参加PL人数 2人 3人
煉獄 サンドピラニア×10 サンドピラニア×15
大きな背びれ×1 大きな背びれ×2
地獄 ミートシュレッダーⅡ×2 ミートシュレッダーⅡ×2
奈落 モービー・ディック×1 モービー・ディック×1


戦術と演出

序盤の攻撃の主役はミートシュレッダーです。積極的に斬りこませていきましょう。
また、サンドピラニア(大きな背びれ)は無差別攻撃に巻き込むことも厭わず、さっさと倒して貰いましょう。
【第二形態】で呼び出されるサンドピラニア(大)はモービー・ディックの【第二形態】の為の見せ球です。
最序盤で発動させることでPLに存在を意識させ、モービー・ディックが【第二形態】を持っているかもと考えて貰う為に存在します。
ドラゴンフライが出現する頃には他のエネミーはほとんど消えていると思われます。
パイルバンカーでドール達をまとめ、拡散レーザーで効率良くダメージを与えて行くことを目指します。

ボスエネミーは2形態とも切断に強く、ランチャーや対戦車ライフルなどの爆発や単純に攻撃力の高い射撃攻撃が弱点です。
ドール達にそれらのパーツが無く、敵が強すぎる場合はボスの耐久力を減らすと良いでしょう。
モービー・ディックのサイボーグや、ドラゴンフライのラピッド移動や円舞曲が対象です。
その分、攻撃力はあまり高くありません。
その為、逆に戦力が不足している場合はボスの攻撃を激しくすると良いでしょう。
初期配置が奈落のモービー・ディックに強めの射撃マニューバを載せる等が想定できます。

モービー・ディックは見上げるほど巨大なクジラ型のアンデッドです。
半分機械化改造され、背中にはクレーンやアームが何本も設置されています。
その為、遠目に見ると銛が何本も刺さったクジラのように見えるでしょう。
ネクロマンサー・星士郎は大型重機代わりにこれを使役し、発射施設の整備やロケットの設置などを行っていました。

サンドピラニア
砂を泳ぐ獰猛な魚型アンデッドです。
(大)は背びれだけを出して砂中を泳ぎ、攻撃されると浮上して襲い掛かってきます。
元ネタはFF8のフォカロルですが、別に知らなくても何の問題も有りません。

ドラゴンフライ
第二形態で出現するときの演出は以下の通りです。
「断末魔の叫びをあげて、破壊の巨獣が崩れ落ちる。
暴威を振るっていた大質量も、ここまで破壊されれば二度と動く事はあるまい。
……だが。残骸の山の中央、大クジラの背が割れ、そこから光と共に何かが身を起こそうとしていた。
それは生誕か、それとも羽化か。
現れたのは果たして、先の鯨に劣るもののやはり巨大な、虫の様な羽根を持つモノである。
そいつは細長い体を持ち、頭と思しき箇所には真円のレンズ。
天体望遠鏡とトンボを無理やり混ぜ合わせたような歪な悪夢が、歪んだ紫色の空の下で、破滅の天使のように羽根を広げた」
演出の通り、天体望遠鏡の本体にトンボの羽が生えた様なアンデッドです。
望遠鏡のレンズ部分が複眼になっており、体内でチャージしたレーザーをレンズから放ちます。


エネミーデータ

モービー・ディック(サヴァント)

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
ながいした P88 にくむちの名前を変えたもの
平気 P72
怪力 P76
のうみそ P81
めだま P81
アドレナリン P89
うじむし P86

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
ばたつかせる P80 うでの名前を変えたもの
すなをかく P80 かたの名前を変えたもの
たたきつける P80 こぶしの名前を変えたもの


パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
第二形態 P141 ドラゴンフライを配置
突進 P141
異形存在 P76
再生 P76
肉の宴 P74
巨体 P142 不動の名前を変えたもの
肉の盾 P72
しんぞう P86
スチールボーン P89
サイボーグ P91
せぼね P81
はらわた P81
はらわた P81
はらわた P81

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
クジラの尾 P80 ほねの名前を変えたもの
長い脚 P142

悪意総計21点
最大行動値11

ドラゴンフライ(サヴァント)

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
拡散レーザー P85 アンデッドガンの名前を変えたもの
望遠レンズ P90 スコープの名前を変えたもの
のうみそ P81
めだま P81
ふくがん P87 よぶんなめの名前を変えたもの

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
はばたき P84 発剄の名前を変えたもの
ウィング P142 長い脚の名前を変えたもの
リフレックス P90

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
フローター P141
円舞曲 P77
異形存在 P76
やせぎす P88
オートセパレート P91
しんぞう P86
せぼね P81
はらわた P81
はらわた P81
はらわた P81

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
パイルバンカー P91
死の舞踏 P77
ホッパー P91
悪意総計17点
最大行動値11

大きな背びれ(ホラー)

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
第二形態 P141 サンドピラニア(大)を配置
せびれ P86 かぎづめの名前を変えたもの
泳ぐ P80 ほねの名前を変えたもの
のうみそ P81
砂中適用 P86 しっぽの名前を変えたもの
悪意2、最大行動値9

サンドピラニア(大)(ホラー)

パーツ名 参照先 効果(オリジナルパーツのみ)
セイバートゥース P89
宙を泳ぐ P80 ほねの名前を変えたもの
狂戦士 箱P80
フローター P141
うろこ P87
のうみそ P81
はらわた P81
はらわた P81
悪意5、最大行動値8

ミートシュレッダーⅡ(ホラー)

第一話に登場したボスエネミーと同種のもの
公式ホラー、ミートシュレッダーに以下の改造を施した強化版。
強化装甲(うろこ)追加
傾斜装甲(スチールボーン)追加
加速装置(しっぽ)追加
突進→突進Ⅱに変更
突進Ⅱ:オリジナルマニューバ。コスト、効果等は全て、ドール用パーツ「キャンサー」と同一。脚部用の防御効果のみ無い。
悪意+4

サンドピラニア(レギオン)

公式レギオン、スウォームのデータを使用する事。


『エンドパート』

修復

戦闘に勝利したら、ドールたちは以下のパーツを入手できます。
PL人数 基本パーツ 強化パーツ
2人 好きにしろ 好きにしろ
3人 好きにしろ 好きにしろ

エンディング

「馬鹿な……」

「だが、そんなことをしてどうする。この星でそのまま朽ち果てる気か」
「言っておくが、このロケットは一度打ち上げられたらコロニーを射程に収めミサイルを撃つまで制御は受け付けない。それ専用に設計したものだからね。何より制御中枢であるこの僕を潰せば大気圏離脱も叶うまい」
「君達に教えた知識は宇宙飛行士のもので、ロケットエンジニアのものでは無い。今から独学でロケット造りを学ぶ気かい?君たちが朽ち果てるのと、ロケットの完成と、どちらが先かね」

「……そうか、雛鳥はいつか巣立つものだったな。彼らも、君たちも……」

終わってしまった大地を、静かに風が撫でる。
見渡す限り広がる砂漠の真ん中に、鉄塔が組み合わさってできたような巨大なオブジェがある。
そこが、かつて星に願いを託した者達の墓標だと、知る者はいるだろうか。

安心してほしい。ここは終わった土地。
嘆きも悲しみも、もうこれ以上君たちを襲うまい。
巣立ちを迎えた小鳥たちよ。
羽ばたいて行く先は君たちが自由に決めると良い。
ここは終わった世界。どこへ行っても、もうお仕舞なのは変わらないのだから。
だが、それでも希望があると信じるなら。抗う事を止めないと言うのなら。
何時か、星がその願いを聞き届けるかもしれない。

永い後日談のネクロニカ
「ほしにねがいを、或いは少女は二度死ぬ」――閉幕

寵愛を渡す

ドールたちに寵愛点を計算し渡してください。これにて本キャンペーンは終了です。


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最終更新:2016年02月12日 03:12