【アラハバキ】
荒波婆伎、荒波々幾、荒波吐、荒覇吐、荒吐、荒脛などと書かれる。古代から信仰されつづけてきた神の一つ。邪霊を防ぐための神がアラハバキであった。
土偶
アラハバキは古来は土偶に宿る精霊として用いられて来た。人間たちは身体に疾患や故障が生じると、土偶を焼き、患部にあたる箇所を欠き砕いて、それをアラハバキに捧げ地中に埋め、治癒を祈っていた。
出土される遮光器土偶(しゃこうきどぐう)をアラハバキの姿を写した物であると語られることが多いが、豊富に存在する土偶の形状のうちの一種類にしか過ぎない遮光器型の土偶のみがそのような意図で製作されていたとは考えづらい。
脛(ハバキ)
土偶を用いたアラハバキに対する治癒の祈り方は、形を変え、石・手足の形状の板・はき物や装身具・たき木といった物品を供えるという形で、各地に残されている。
荒脛巾神などと刻まれた祠には、脛(すね)という意味への連想からか、特に健脚を祈願する神であるとされる信仰が多く伝えられている。同様の理由から、近代以降はテナヅチ・アシナヅチをアラハバキの本体と定めている神社も多い。
多賀城の荒脛明神は、神々が塩作りをした際に、たき木を伐り出しに来た土地と伝えられている。草深いイバラで神の両足の脛が引っかき傷だらけになった事から「荒脛」という名が出来た。(宮城県)
【アタハク】
阿吒嚩、阿吒嚩迦、阿吒薄俱などと書かれる。西土において信仰されたアラハバキの称号で、仏教と共に日東へは再渡来している。「心中心咒」(しんちゅうしんじゅ)と呼ばれるアタハクに対する祈りは、病魔、悪霊、敵将の降伏に強大な功徳を発揮するとされる。
【大元神】
アラハバキ・アタハクの本体であるとされる神。
最終更新:2022年07月18日 20:13