この展示室では海や川にいる妖怪たちを集めている

【海坊主(うみぼうず)】

非常に大きい黒っぽいものだと語られる。いっぽう、亀のようなものであるとも言われる。艫ごしに見れば消える。
タイマツを背の後に立て、それを後ろ手に指さしながら見据えれば消えるとも言われるそうだが伝承地未詳。


【海女房(うみにょうぼう)】

魚のような体をしている女の妖怪。漁師の釣って貯えている魚を奪って行ったりする。どのような嵐の海でも軽々と泳ぐことが出来、どんなに早い船にも容易に追い付いてしまう。(島根県、香川県)

【あやかし】

海上で船に向かって「クークー」と寂しく不吉な音を立てる妖怪。潮の先が明るく見える晩に出る。(山口県)

【七本足(しちほんあし)】

ヘビが岩石に体を打ち付けてちぎれると七本足のタコに変身するとされており、そのようなタコは大変な毒を持っているので食用とする事が忌まれていた。(福岡県)

【龍衣(りゅうえ)】

龍宮に棲む小さい童子。願いを叶える力をもっているが、決して風呂に入ろうとせず非常に臭い。これを持ち帰った男の女房が無理に風呂に入れて洗ったところ、女房の指を咬みちぎり姿を消した。

【海鼯(うみむささび)】

正体はよくわからないが大きなものだという。矢部駿河守が蝦夷地へ調査派遣をした際にラッコを採る舟の者がこれを見たはなしを聴いたという。色は白い。(日本海)

【さきがき】

川の中にいるという妖怪。水を大量に飲み干してしまうという。形状は明確に語られていないが、壮年の男性の姿に化けて現われるとも言われる。(山口県)

【淵の蟇(ふちのがま)】

水辺でじゃぼじゃぼと布を転がし洗うような音をたてるという妖怪。(群馬県)

【梶雲(かじぐも)】

川のほとりに生えてたという梶の葉の群れから、雲のように濃い霧が出たというもの。霧では無く蛇の塊であるとも、怪火だともいう。(静岡県)

【白馬(はくば)】

川の淵に出るという体の大きな白馬。水辺の生き物たちの主だとされてもいる。(青森県)

【川牛(かわうし)】

タル淵と呼ばれる地には川牛という怪物が棲むと語られていた。とても大きな牛だと言う。(山形県)

【牛淵(うしぶち)】

鮎沢川の牛淵には牛が宿っていると言う。昔、性悪の牛を飼って始末に困った者が、牛をこの淵へ投げ込んだら大変な雷雨が巻き起こり、その霊が宿っている。(静岡県)

【かば】

河童の仲間。老婆のすがたをしている。「川のババア」という意味だと思われる。水中から人間が生活をしてるような音が聴こえて来るというもので、真っ暗な夜道などで音を響かせ、通行人の行き先を誤らせたりする。(富山県)

【瀧のしがた】

決まった時刻に瀧壺の近くにある特定の木*1の周囲を息を止めて三回走ると、瀧壺にいくつもの死骸が浮かび上がるという怪談。山小屋などで語られる。「しがた」は「死形」か。(新潟県、群馬県)

【瀧の婆(たきのばばあ)】

山中にある静かな瀧壺に現われる老姥。爪がとても長く、ニタニタと笑いかけてくるという。

【絵図(えず)】

真夏の湖沼にまるで厚い氷がはりわたったように固まり、その上に草花などが点々と生えて見えるというもの。蛇(じゃ)がこれを見せるとされるが、蜃気楼のようなものであると考えられる。

最終更新:2021年05月19日 14:47

*1 三国峠のあたりではツタカズラが七つ巻き付いている木だとされる