【河童(かっぱ)】
水の中に住む妖怪で、川で自在に動き回る事が出来る。体は常に湿っており、人間の内臓や「しりこだま」を好んで食べると言う。
河童たちの多くは金属(おもに玉鋼・黒鉄)を嫌っている。その理由は定かではないが、水の神を金属が封じることの出来るという伝承に由来しているとも考えられている。水霊として知られる大蛇たちにも金属、特に鉄が身体に触れると腐り果ててしまうという属性が大きく知られる。
河童の皿
河童の頭頂部には皿と称されるくぼみがあり、そこには常時、水がたたえられている。この水を失うと河童は能力を全く失ってしまう為、弱点であるとされる。
河童の腕
河童の腕は胴を左右に貫いた一本の棒のようなものであると言い、片方を引っぱるともう片方が縮んでしまうとされる。これは河童が蒭霊(草で出来た人形が魂を得て受肉したもの)であるとされていた事の名残りでもある。
宮崎県では、河童たちは大昔にサルをだまして腕を交換していったことを、サルが河童を嫌う理由として語っている。
【キュウリ】
キュウリを好むことは、河童たちを支配しているとされる牛頭天王(ごずてんのう)という疫神の好物であるからと言い伝えられている。
【河童たちの渡来経路】
河童たちは、
九千坊を中心にシルクロード(古代の絹の交易路)に通じる西土から東へやって来たと言い、仁徳天皇の時代に九州地方に渡来して各地に土着していったとされる。牛頭天王はインドから伝来した神であり、河童たちと関連が深いのもここに由来する。
【山入りと河入り】
特に九州や四国では、河童は彼岸の時季を境にして、春になると河入り、秋になると山入りをすると考えられていた。移動をする時に、河童たちは渡り鳥のように飛んで行くとも語られる。
福岡県ではガッコが山入りするとセコになり、セコが河入りするとガッコになる。移動をするとされているのは夜明け(うしとら)の時帯である(
端境にあたる)。
【河童と相撲】
河童たちは、相撲をとって遊ぶことを好んでいる。河童同士で相撲をとっている光景を目撃したという話や、力自慢の人物に対して小さな子供に化けた河童が夕暮れの川べりで相撲を挑んで来るという話は各地に豊富に見られる。
相撲を挑まれたときは、「取り組み前には、あいさつをするのが礼儀だ」と持ち掛けて、頭を下げされば、河童は皿の水を失うので、勝つことが出来ると語られる。
河童たちは相撲をとるに際して、仕切りをとったりする事がなく、土俵の中へ自由に飛びかかるという。鹿児島市では、そのような形式の相撲を「ガラッパズモ」と称している。
相撲が好きだという話は
天狗にもあり、また相撲に限らず他にも主に腕力を競う遊び全般を河童は求めて来る事も多いため、根底には「神と神」あるいは「神と魔」の競争関係が語られていたものが変化していったものだと言える。
最終更新:2022年12月15日 15:46