【俊龍(しゅんりゅう)】

獅子のような頭と体を持つとされる龍。
本館(日東妖怪博物館)のトレードマークとして用いられているのも、この俊龍である。


【飛龍(ひりゅう)】

鳳凰を生んだとされる存在。鳥たちの祖先。

【神龍(じんりゅう)】

海の深い底に住んでいるとされる存在で、これが大海の潮の満ち引きを起こしているとされる。辰の刻に目を醒まして動きはじめ、子の刻にすっかり眠りに就くとされる。

海底に住む竜たちは太陽の光を嫌うものだとされる。海底に住んでいるのも、光を避けるため*1だという。


【龍生九子】

龍から生じたとされる霊獣たち。『升庵外集』や『天禄識余』に説かれている。

  • 螭吻(ちふん) 遠きを望むことを好む。
  • 睚眦(がいさい) 殺鏖を好む。
  • 狴犴(へいかん) 力あることを好む。
  • 𧈢𧏡(はか) 水を好む。
  • 狻猊(さんげい) 火を好む。
  • 椒図(しょうず) 閉じることを好む。
  • 贔屓(ひいき) 重きものを負うことを好む。安定の象徴として石碑などに用いられる。
  • 蒲牢(ほろう) 吼えることを好む。音響の象徴として梵鐘などに用いられる。
  • 饕餮(とうてつ) 飲食を好む。暴食の象徴として鼎(かなえ)などに用いられる。

【雲龍(うんりゅう)】

雲に隠れ住む性質の龍。体躯全身を見せて現われることは無いとされる。
本性の明瞭に読み知れない人物をこのように評したりもした。三菱銀行の長谷川良平の渾名「雲龍先生」は長谷川の言動の様子から付けられたものだという。


【貘(ばく)】

人間の夢を食べるとされる。貘の皮を敷いて眠ると悪い夢を見ないとされ、宝物として珍重されていた。
後水尾天皇は、邪気を避けるために「貘」という文字を大書した紙を敷いて眠っていたとも言い伝えられている。

【九枚竜(くまいりゅう)】

体に真っ青な鱗が九枚ある白蛇。梨を好んでいたと言い、九竜に梨*2を供えると皮膚病に霊験があったという。(長野県)

【肉付の鱗(にくづきのうろこ)】

龍のウロコ。神奈川県のある寺には肉付の龍の鱗十九枚が保管されていたが、世の中に何か変事があると数が減っていたと言い、幕末には十七枚になっていた。
龍王ヶ瀧にある「龍神の祠」には、竜の鱗が一枚祀られている。高僧に受戒を授かり天に昇る願いの叶った龍が残したウロコだとされ、「雨を欲する時はこれを出せ」と告げたと伝えられている。(福岡県)

【青鉄の獣(あおてつのけもの)】

爪が鋼鉄のように硬いとされる獣。目は青白く、洞穴の奥などにひっそり眠っているという。小山小四郎*3が持っていた軍扇のカナメにはこの爪が使われていたともいう。

最終更新:2024年01月25日 23:54

*1 『和漢雑笈或問』には「日の光を畏れて海底に伏隠れて眠臥す」とある。

*2 梨は戸隠大明神(九頭龍権現)の供物としても広く知られ関連が考えられる

*3 伊予(愛媛県)の兵頭元吉の家臣とされる