【袖引き小僧(そでひきこぞう)】
夕暮れ時に歩いている人間を後ろから引っぱるという妖怪。振り返って見ても誰もそこにはいない。(埼玉県)
【クネユスリ】
クネをガタガタと揺する音をさせる妖怪。確かめようとしても何者が動かしているのか姿は見えない。クネとは生垣のこと。(秋田県)
【おび】
夕暮れどき、草むらから指のようなものを伸ばしてくるという妖怪。見えるだけで触れて来ることは無い。
【指長婆さ(ゆびながばばさ)】
道に出現するという妖怪。とても指が長いとされる。(長野県)
【垂れかけ(たれかけ)】
路地などに突然真っ白いウリがぶらさがってくるというもの。これを見ると鼻が痛くなったりするするという。
【灰子(はいこ)】
全身が灰のように灰白色の幼い子供の姿をした妖怪。江戸千駄ヶ谷の御焔硝蔵下にあった田圃に現われたという。(東京都)
【連雀の掛け声(れんじゃくかけごい)】
道を歩いていると「れんじゃれんじゃれんじゃ……」と早口で言っているような声が聴こえて来るが周囲には誰もいない。馬込という名主が内藤新宿から西へと抜ける道のあたりで何度か遭ったという。(東京都)
【座頭の化物(ざとうのばけもの)】
浅く眠りについている人の近くを歩いたりしたという。気配は強く感じられるがぼんやりとしている。狐狸のしわざとも。(佐賀県)
【射迫坊(いせりぼう)】
青い鉢をかぶっているという入道坊主で、相撲の相手をせよと挑みかかって来る。気が付くと地蔵や松の木と取り組みをしている。
【三つ煙草(みつたばこ)】
煙草入れをいくつもぶら下げた僧体の妖怪。「叉如」という僧が煙草講で飲み過ぎて死に、その亡霊がなったともいう。(鹿児島県)
【ぜんびんの老婆(ろうば)】
ゼンビンという地名の尾根を夕刻に通行していると、真っ白い草刈りカゴを背負った老婆が人とは思えぬ跳躍力で高い崖や岩の上をとんで歩くのが見られたという。(栃木県)
【塩(しお)】
月が夜空に出ているときに塩を戸外に持ち歩いてはならないとされる。特に途上でイタチと出あうと塩に力が無くなるという。(大阪府)
【さし】
月の照っていない晩に夜道を歩いているとぼんやりとした月のような明かりが目の前に現れたりするといわれていたもの。「サシイカカル」などと称された。(岩手県)
【鎌鼬(かまいたち)】
刃物で切られたような傷を人間の足につけてゆく妖怪。切られた傷口には古い暦(こよみ)に良く煉った米飯をぬってシップ薬のように貼りつけるときれいに治るとされる。イタチのようであるとされるが武士のようであるとも語られる。(岐阜県、長野県)
【矢尻の葉(やじりのは)】
嵐の翌日に固く矢尻のような形にまるまった葉が落ちているというもの。特定の日に凄い大風が吹いたあと、矢尻のような石が野外にいくつも落ちている、という伝承をもつ地方が北陸にあり、その類か。
【雪婆(ゆきばばあ)】
雪が激しく降る日などに里に向かってくるとされる妖怪。ひと雪に草鞋八枚分の道を進むとされる。子供をさらうとも言われる。(熊本県)
最終更新:2022年01月12日 19:42