日東で古く用いられて来た十二支の考え方には、『十二支之訓傳』などに次のようにある。十二支を太陽の一日の動きに照らし合わせて再定義した考え方である。
十二支のそれぞれに当てはめられた生物の名称に無理につながりそうな言葉を文頭では対応させているが、そのあとに説かれている太陽の様子に関する考えの部分が、太陽の動きと時帯の感覚を考える上では大変参考となる。
- 子は根なり、日の終て始るとき、萬化の根元たるを云ふ、
- 丑は稚(うひ)しなり、地下に動けるを云ふ、
- 寅はとろけるなり、日のまさしく出玉ひて、蕩然たる融和するときを云ふ、
- 卯はうつるなり、日東に昇るときを云ふ、
- 辰は建なり、日すでに震ひ起るときを云ふ、
- 巳はみるなり、日まさしく盛なるを云ふ、
- 午は熟きなり、日の天に中かるときを云ふ、
- 未は日土なり、漸く仄き地に近きを云ふ、
- 申は去なり、日のまさしく入んとするときを云ふ、
- 酉は取なり、をさむるなり、日の地下に入んとする時を云ふ、
- 戌は寝(いね)るなり、日の地下にかくれ伏す時を云ふ、
- 亥は居るなり、日の地下に居とどまるときを云ふ、
特に、「寅」と「申」とが、朝と夜との
端境(はさか)に当たる時帯であるという事が「蕩然たる融和するとき」や「日のまさしく入んとする」などの語句からわかる。
最終更新:2021年04月27日 23:30