+ | 【食事】 |
【食事】
共通して血液を渇望する。 吸血鬼にとって血は“命の水”に他ならず、絶やす事は死に繋がる。 血液のみを食んで生きている吸血鬼も僅かながら存在するが、大抵の場合は肉も同様に食す。 共通して生き血、新鮮な血、年若いものの血を好む。
•先天性
血肉臓物を好んで食す。 みっともなく食い散らかす下賎な吸血鬼もままいるが、 少し“気取った”高貴な個体になると調理と称して捕らえた獲物の盛り付けを行う。 この際、彩りを重視した根菜なども使用するが、野菜・穀物を好んで食べる事は滅多に無い。 肉の味には疎いが血の味には敏感。高級な酒を味わうかのように好んで飲む。 にんにくは特別嫌う。
•後天性
水の代替物かのように血液を摂取しなければならないという点を除き、 吸血鬼化前からの食生活に沿ったものを続けている場合が多い。 グルメな個体の場合、自ら調理に勤しむ姿も見られる。 好き嫌いにもよるが、人間とほぼ変わらない料理を好むため、もてなすのは容易い。 |
+ | 【弱点】 |
【弱点】
個体によるが、概ね日光・銀を弱点としている。 先天性の吸血鬼は、後天性の吸血鬼よりも弱点が多い。対称的に、後天性は弱点が少ない。 以下の代表例には、多くの吸血鬼が有する普遍的な症状を表記する。 (以下に記載した弱点を持たない例外的な吸血鬼もまた存在する。)
•日光
日の下に姿を晒すことができない。 日光に肌が触れた場合、瞬時に燃え始め、そのまま日に当たり続ければやがて燃え尽きて灰となる。 窓越しの日光、鏡などで反射した日光は、直接日の下に出た場合よりも効果が薄い傾向がある。 『紫外線』を苦手とする個体もいるが、大抵は直接の日光でしか滅ぼすことは出来ない。
•銀
直接銀に触れると、その力の殆どを失う。 異能の行使が不可能になり、飛行していれば即座に墜落する。 痛覚の鈍化も消え、身体能力は普通の人間と同等程度まで落ち込む。 銀から肌を離せば、即座に力は回復する。 身体を霧に変える吸血鬼などに銀粉を撒くのは有効な手段の一つ。
•流水
流水に触れることができない。触れた場合、触れた個所から「洗い落とされ」崩れていく。 流水の基準は対象となる吸血鬼本人が「水」と認識する範囲まで。 ワインや紅茶は流水とみなさない者が多いようだ。 『流水を渡れない』という逸話に従ったせいか、川の上を飛び越えることの出来ない個体も存在する。 流水の上に立つと、身体から力が抜け、這いずる事さえ出来なくなるのだという。
先天性が多く抱える弱点で、後天性には効果が薄い。
後天性の場合、肌がちりちりと削られていく、程度の効果に収まる場合が多い。
•聖なるもの
神の祝福を受けたものを嫌う。 先天性に特に効果的。
•讃美歌
得体の知れぬ恐怖を覚える。 先天性に特に効果的。
•招かれざる家へは入れない
見知らぬ者の家には、中から一度招かれなければ入ることが出来ない。 家屋に進入するには入居者を騙すか、協力者が必要不可欠である。 家屋そのものを原型をとどめない程に破壊すれば縛りは無くなるが、 多くの吸血鬼は目立つのを嫌うため、実行される事は少ない。 『家』の境界線は、部屋の持ち主による。
•細々としたものを数えたがる
散らばった豆などを数えたがる修正を持つ。 しかし、驚異的な動体視力を有するためこれは弱点にはなり得ない。 |
+ | 【価値観】 |
【価値観】
およそ人間とはかけ離れた価値観をもって行動する。 かつて人間であった後天性の吸血鬼であっても、それ以前の本人とはまるで別人のように振舞う。 夜の闇を至福の時間と感じ、昇る朝日を見るに耐えない醜悪な光景として扱う。 人間の死体を潰れた羽虫と同程度に扱い、血液の臭いを甘美とする。 |
+ | 【体質】 |
【体質】
驚異的な身体能力を誇る。
多くの個体は、素手で獣の頭蓋を粉砕することができる。 明かり一つない暗闇をも見通す眼を持ち、超音波をも聞き分ける耳を持つ。 嗅覚は犬と遜色ないほどに発達し、特に血の臭いに敏感になる。 また、吸血鬼の痛覚はおよそ人間の1/5と言われている。
多くの吸血鬼は夕暮れに起きて夜明けに眠る。
しかし、これは朝昼を起きて過ごす者が少ないというだけで、睡眠時間に制限はない。 個体毎に異なる棺桶をしばしば好んで寝床に用いる。
原則夜行性。
程度によるが太陽の光を嫌うため、日が沈む夕暮れに目覚め暗い夜に活動する。 月を崇め信仰している個体も多い。 おおよその吸血鬼は満月に近い時期ほど力が強力になり、新月に近い時期ほど力が制限される。 新月の日は、ほとんどの吸血鬼が活動を止める。 |
+ | 【嗜好品】 |
【嗜好品】
人間と同じように、個々の個体によって嗜好品は変わる。 酒はおおよその個体が嗜むが、怪物らしいうわばみもいれば、惨めなほどの下戸もいる。 葉巻・煙草を好んで吸う者も数多い。彼らは煙草による身体への害など気にする必要は無いのだから。
薬毒への耐性は、人間と比べ著しく低い。
彼らは“病”に犯されることがないため、人間と比較した場合の免疫力はほぼ皆無と言っても良い。
麻薬はコカインなどの軽度なものを嗜む個体は多いが、中毒性の高いものとなると途端に数が減る。
前述の通り吸血鬼の薬毒への耐性は著しく低く、人間の服薬する薬剤は大抵劇薬である。 それは麻薬にも通ずるものであり、効能の強いものはおおよその個体にはやはり毒なのであろう。
吸血鬼は長寿であるため、得てして多趣味である。
永く長期に渡る愉しみよりも、刹那的な快楽を好む傾向があり、特に食への拘りは最たる例だろう。 |
+ | 【能力】 |
【幻想の生物】
吸血鬼のみならず、“幻想の生物”全般における特徴ではあるが、 彼らは生を受けてから自我を得る実体の生物とは違い、まず最初に自我を持った精神体として産まれる。 その起源は数多の人が持つイメージや噂に由来する、つまり「想像力」の化身である。
故に、肉体よりも精神的な揺らぎに一挙一動が左右されやすい。
本人の「気の持ちよう」次第で、如何様に強くも弱くもなる、ということである。
【吸血鬼の能力】
ほとんどの吸血鬼は、己の意志で物理的には説明できない現象を引き起こす。 個々人ごとに異なる能力を有する故に、吸血鬼はこと戦闘においてはめっぽう強い。 単純な力の強さ、素早さ、再生能力などは吸血鬼全般に共通するため、これには当てはまらない。 代表的な例としては、虫や蝙蝠などの小さな動物を操る、影の中に潜む、壁を通り抜ける、獣や蝙蝠に変身する、触れた箇所を麻痺させるなど。
【煌血術】
“魔銀”の眷族たる吸血鬼達が共通して有する能力。 己の、あるいは噴出した他者の血を媒介として、新たなエネルギーを生成する。 生成された現象、あるいは物体は光り煌めいており、それが各人の二つ名の由来にもなっている。 変換効率は非常に優れているが、それでも限界はあり、自身の血を消費しすぎると貧血により倒れる。 該当者は以下の通り。
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+ | 創世の節:ディー・ダー・オーとその子ら |
初めの世界は極寒の大地で覆われていた。
世界に太陽はなく、吹雪が全てを覆う不毛の地であった。 原初の物、ディー・ダー・オーは雪を全て吸い込み、世界を一面の荒野に変えた。 ディー・ダー・オーは吸い込んだ雪からドールドスとカラガラマを産んだ。 豊穣の創世者・ドールドスは己の髪を大地に植え、我々が麦と呼ぶ植物を育てた。 天望の創世者・カラガラマは自らの両眼玉をほじくり、天高く投げ飛ばした。これは太陽と月となった。 雪で出来たドールドスとカラガラマは天に出来た太陽によって解け落ち、これが海となった。 このようにディー・ダー・オーの息子達の働きで恵みが満ち、これが我々の知る世界の礎となった。 しかしディー・ダー・オーはあまりに巨大なので、影になった地には恵みが行き届かなかった。 カラガラマの両眼玉の太陽と月は、世界をあまねく照らすため空を回り、昼と夜が産まれた。
ディー・ダー・オーは麦を喰うと、その身体から新たな生物を産んだ。
ディー・ダー・オーの汗からは馬、牛、象、キリン、犬、猿、人間のような地を歩く物が産まれた。 ディー・ダー・オーの唾からは魚、亀、オットセイ、エイ、ヒトデのような海を泳ぐ物が産まれた。 ディー・ダー・オーの涙からは雀、鷹、蜻蛉、アブ、トビ、カモメのような空を飛ぶ物が産まれた。 ディー・ダー・オーの血からは狼、鬼、蝙蝠、黒羊、巨人、カラスのような夜を走る物が産まれた。 ディー・ダー・オーの涎からは杉、茸、芋、大根、モグラ、ミミズのような土を掘る物が産まれた。 ディー・ダー・オーは、自らが生み出した物を生物と呼んで、自らに尽くすよう命じた。
聡明な狼、グリガンは物語を作り、これをディー・ダー・オーに聞かせた。
ディー・ダー・オーはグリガンの物語に感心し、物語に登場したものを何でも足の爪から産み出した。 すると台風や地震、大雨など災厄が産まれてしまったので、グリガンは慌てて新たな物語を作った。 ディー・ダー・オーはこれにも関心し、新たな物語に描かれていた生物、神を手の爪から生み出した。 グリガンの神々はディー・ダー・オーを滅ぼすため、ディー・ダー・オーが寝ている隙に彼を海へ放り込んだ。 ディー・ダー・オーは溺れて死んだが、最後の恨みで自らが生み出した災厄達に使命を与えた。 これが十二のはじまりの災厄である。 かれら災厄は今でも生ある者を呪い、ディー・ダー・オーの化身として我々の前に立ちはだかるのだ。 |
+ | 定礎の節:父なるグレセドと母なるグァウリア、昼と夜の生物 |
ディー・ダー・オーが死んだ後、グリガンもまた子を育て、やがて老いて死んでいった。
グリガンの息子グレセドは神々に指示を出し、昼を生物の営みの時とした。 グリガンの娘グァウリアもまた神々に指示を出し、夜を生物の休息の時とした。 神々の働きによって、昼は暖かく花が開くようになり、生物は昼に活動するようになったが、 夜はディー・ダー・オーの吹雪が現れ生物を冷やすため、生物は皆寝床に帰って眠るようになった。 一方で、鬼や黒羊のような者は寒さに強く、ディー・ダー・オーの呪いをものともしないので夜は彼らが働くのだった。 グレセドとグァウリアはこれを良しとし、昼と夜で異なる生物たちが違う時を生きるようになった。
生物に道具を与えたのは昼の神々の一柱、ヴァパである。
ヴァパは人間に槍を与え、ラッコに石を与え、やどかりに殻を与えた。 人間は槍を用いて狩猟を行い、その最中で他の生物の道具を見て、自らもそれを使い始めた。 昼の神々の一柱、カディイは人間から道具を取り上げるべきだと進言したが、 夜の神々の一柱、マシナトゥがこれを抑えつけた。 ヴァパは人間に水と炎の扱い方を教え、それから人間は神々の力を借りずに発展していった。 人間の過度な発展を恐れたカディイは、昼の生物すべてに疑心を与えた。 人間は、人間たちの中で互い互いに疑心を抱き、成長の速度を遅らせていった。
人間、トクーは欲が強く、夜の生物を追い出して自分たち昼の生物の天下を考えていた。
そこで己が住むコバフの村の若者を焚き付け、夜中に鬼達に襲い掛かった。 トクーは鬼達を住処から追い払い勝ち誇ったが、この行為を見ていた夜の神々の一柱エクブカによって トクーとコバフの村の住民は全て土塊になってしまった。 夜の生物はトクーの行いに酷く怯え、自ら昼に出てくることはなくなった。
昼の神々の一柱、カディイは人間へ良い感情を持っていなかった。
そのため、カディイは人間の一部を狼に変化させ、夜の生物である狼とまぐわせることで 昼と夜のはざまを生きる狼人間を産み出した。 昼は人の姿となり、夜は狼の姿となる狼人間は人間を食い荒らしたが、 昼の神々の一柱、ヴァパが狼人間を滅する銀の武器を人々に与えたことで狼人間はやがて消えていった。 この狼人間をいたずらに扱ったことにはグレセドが大層怒り、 カディイは月に七度、昼と夜のはざまに自らの血で天を染める罰を与えられた。 昼から晩に移り変わる頃、空が赤く輝くのはカディイの血が空を彩っているからである。 そして僅かに残った狼人間は、グァウリアの計らいで夜の生物として迎え入れられることとなった。 |
+ | 移ろいの節:神々と巨人のはからい |
グリガンの夜の神々の一柱、ブカアニャは仕事をしない怠惰な神だった。
ブカアニャは自らの美しさを高めるため、夜の生物達にカシの実を持ってこさせた。 ブカアニャは食物であるカシの実を、日夜自らの身体に塗りたくっていた。 夜の神々の一柱、マシナトゥはこのブカアニャの行為に怒りブカアニャの姿を貝殻に変えてしまった。 煌びやかな色を見せる貝殻は、ブカアニャの名残だと言われている。 一方残された夜の生物は、かつてのブカアニャを真似て気品に溢れる振る舞いを身に着けようとした。 マシナトゥはこれにも激怒したが、グァウリアがたしなめたのでマシナトゥは引き下がった。 夜の生物が今も耽美な行いを第一にするのは、ブカアニャの残した習慣だという。
巨人、グルニッカは闘争を眺めることに喜びを感じる悪しき巨人であった。
ある日、グルニッカは夜の神々の一柱であるマシナトゥに闘技の提案を持ち掛けた。 これを面白がったマシナトゥは、昼夜の境なく様々な生物が戦う闘技場を作った。 グルニッカは大層喜び、親兄弟や友人を日夜戦わせ続けた。 夜の神々の一柱エクブカは争いを嫌ったため、この闘技に意見したが、マシナトゥはこれを退けた。 しかしやがてグルニッカの行為は闘技の枠を越え、グリガンの息子グレセドの闘争を望んだ。 マシナトゥもこれは看過出来ず、「ならば貴様がグレセドと戦え」とグルニッカに怒った。 グルニッカは喜んで闘技場に上がったが、グレセドは微動だにせず眺めているだけだった。 グルニッカは「約束を守り私は舞台に上がった、神々は契りを破るのが仕事なのか?」 と神々を挑発したが、これは神の逆鱗に触れ、エクブカによって土塊にされてしまった。 グルニッカの土塊は地中深くに埋められたが、血を求めるグルニッカの執念が土に染み込み、 土葬された死体が吸血鬼となって蘇るようになったという。
天望の創世者・カラガラマが宙に浮かべた月は、常に明るく夜の生物を照らしていたが、
夜の神々の一柱であるテルニネアーは太陽の明るさを羨ましく思い、月と太陽の交換をグァウリアに申し出た。 グァウリアは、「それでは昼と夜の境が壊れてしまう」として要求を突っぱねたが、 テルニネアーは無断で太陽と月を入れ替えようと画策した。 しかしその際に月と太陽を近づけすぎてしまい、月が半分太陽の熱で焼け焦げてしまった。 慌てたテルニネアーは元の位置まで月と太陽を戻したが、月の半分は焦げたまま元に戻らず、 止むを得ずテルニネアーは月の焦げを少しずつ動かすことで、月に一度満月の日を作ることにした。 こうして月の満ち欠けが起こるのである。
昼の神々の一柱、ウェグァは昼の豊穣の神と呼ばれる物である。
ウェグァはドールドスの麦を太陽の光で育つようまじないをかけ、麦はその通りに育った。 昼の神、ヴァパはこれを見て、夜にも育つ作物が必要だと考えたため、 ウェグァは砂糖を夜の月の光で育つようまじないをかけた。 しかし夜の月はテルニネアーの行いによって焦げてしまっていたため、 砂糖はなかなか育たず、ウェグァは大層苦労することとなった。 そのため、ウェグァは全ての作物が、水と太陽の光で育つようまじないをかけなおした。 |
+ | 破綻の節:神のほろび |
夜の神々の一柱、トゥルブヴァンは夜の生物のための楽園を求めた。
夜の生物達の永久の住処をグァウリアに求め、グァウリアはその求めに答えた。 グァウリアは夜の神々に命じ、太陽の光が入らない常闇の地、エヴェンハイムを作り上げた。 狼男や吸血鬼といった夜を走る者は、皆喜び勇んでエヴェンハイムを訪れた。 この様子を見た昼の神々の一柱、ヴァパは、「夜の生物を追いやれる地が産まれた」と喜び、 人間に命じてエヴェンハイム以外の地に潜む夜の生物を次々に追い立てはじめた。 グァウリアはこれに大変怒り、ヴァパを海の底の洞窟に閉じ込めてしまったが、 これにはグレセドが怒り、グァウリアとグレセドの兄妹が争う切欠となってしまった。
夜の神々の一柱、トゥルブヴァンはグァウリアとグレセドの争いに心を痛めたが、
同じ夜の神、マシナトゥはこの戦いを大いに楽しみ、あらゆる生物を招いて観察した。 昼の神であるヴァミューはトゥルブヴァンを争いの原因と見て責め苛んだ。 そしてトゥルブヴァンは自らドールドスとカラガラマの海に身を投げシャチになったという。 トゥルブヴァンのシャチはウェグアとヴァパとヴァミューを喰らった。 シャチが鈍い目で獲物を探すのは、トゥルブヴァンの怨念が、神を喰らおうとするためだという。
昼の神々の一柱、カディイがグァウリアの背にナイフを突き立てたのは、
夜の神々の一柱、エクブカがヴァミューの亡骸を海に投げ捨てたその次の日のことであった。 グァウリアが亡んだ夜、夜の神マシナトゥはカディイの喉元に猫目石を投げ、カディイを絶命させた。 グレセドは「父なるグリガンの子同士が血を流すのか。グリガンがこれを見れば眼を掻き毟るだろう」 と大いに猛り、マシナトゥと互いの頭を喰らい合って絶命した。 エクブカはグァウリアとグレセドの躯を燃やし、その灰を喰らって死に至った。 テルニネアーは、今も天で月の焦げを動かしながら、エヴェンハイムを見守っている。 |
+ | ... |
人によって生み出された人間。フランケンシュタイン。あるいは、サイボーグとも呼ばれる。
古来より人間を想像する試みは多数存在してきたが、その中でも人造人間は、既存の人間のパーツから人間を再誕させようとした科学的アプローチの果てである。 死人のパッチワークによって作られた人間であり、人間離れした身体能力を持つ代わり、定期的なメンテナンスが必要とする。 天より落ちる雷によって生体電流を刺激されることで稼働する。 |
+ | ... |
狼と人間、二つの形態を使い分ける人種。ワーウルフ。
どちらかが正体ということはなく、そのいずれもが真の姿であるが、現在は人の姿を取っていることが多い。 身体能力は夜空に輝く月の支配力によって増減し、満月であるほどに強く、新月であるほどに力を失う。 新月の日には狼にはなれず、満月の日には人間へはなれない。 そのむくつけき姿は夜の民の象徴とされ、かつての虐殺において最も個体数を減らしたのが人狼族であった。 以来、人狼は異種族の民に紛れるようにして各地に潜伏している。 エヴェンハイムには人狼が住んでいることも珍しくはないが、その強靭な狼の姿を人前に表すことは滅多にない。
今はトリルハイムと呼ばれる地に、かつては人狼による国家グーリヴァーニールムが存在していたと言われるが、今やその名は歴史からも消え去ろうとしている。
王族であるダイアウルフ種は、フィルグナただ一人を残して他に確認されていない。 |
+ | ... |
機械によって構成された人間。アンドロイド。
一から十まで機械によって構成されているため、性能や特徴は製作者によるところがある。 多くは電子頭脳による思考回路で動いているが、中には人間の魂を宿し、文字通りの義体として稼働している個体も確認されている。 |
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魔の女。ウィッチ。
他の種族に比べてもその内情は謎に包まれている。 出生・誕生の秘密は明らかになっていない、と言うよりも明確には定まっておらず、百人百様の経緯で魔女として生誕を受けている。 はなから魔女として産まれた者もいれば、誰かから魔女の称号を譲り受けた者もおり、空から降ってきた流れ星に魔女に任命された者もいる。 共通点は、尋常の方法で息絶えることのない不死性と、およそ人間の持つ常識では説明のつかない魔法・魔術を自在に操るというのみである。 その多くはかつて魔女狩りの憂き目にあったが、エヴェンハイムでは大手を振って魔女を名乗っている者も多い。 |
+ | ... |
悪なる魔。デビル、デーモン、エビル、サタン。
知ある者に契約を持ちかけ、対価を奪う人類の大敵。 来歴、能力、行動理念、その全ては謎に包まれている。いかなる対価を支払おうとも、悪魔が自身の正体については語らないためである。 唯一分かっているのは、悪魔は特に形のないもの(価値、素性など)を対価として要求することが多く、また過たずその対価を奪い取ることである。 |
+ | ... |
人を導く者。ゴッド。
エヴェンハイム創世神話に語られる、昼の神と夜の神がこれに該当する。 神という言葉の指す対象は曖昧で、単に人を超えた上位種を指すこともあれば、唯一絶対なる創造主を指し示すこともある。 エヴェンハイム創世神話において語られる神は、原初の物「ディー・ダー・オー」がグリガンの物語から生み出された存在とされている。 同時に、人間もまた原初の物「ディー・ダー・オー」によって生み出されたと言われており、ルーツにおいては人間と神に差異はないように見受けられる。 ただ一つ違いがあるとすれば、それは個人が有する力の差なのであろうか。
現在のエヴェンハイムには、創世神話に語られる神の生き残りが何名か潜伏している。
傍目には他の夜の民と同じようにしか見えず、またその能力も神話で語られる大仰な所業には及ばない。 かつての昼の神と夜の神との争いで力を失ったのか、あるいは創世神話に脚色が含まれているのか。彼らがその問いに答えることはない。 しかし、彼らの持つスケール感は、確かに人間のそれよりも遥かに規模が大きく、大雑把である。 |
+ | 【始原十二災群とは】 |
【始原十二災群とは】
原初の物、ディー・ダー・オーによって生み出された十二の災厄。 ディー・ダー・オーの死の間際に放たれた呪いに従い、生ある物を蹂躙する。
災厄の多くは単なる現象として存在しているが、どうやら意思らしきものを有している傾向がある。
その行動原理は生物の駆逐にのみあり、常に現代の世に生きる者達への殺意で満ち溢れているようだ。 災厄同士に仲間意識があるのかは不明だが、お互いがお互いの天敵となり得るためか、同時期に同じ場所で複数の災厄が活動している例は未だ存在しない。 |
+ | 【討滅】 |
多くの災厄は、当時の人間の手によって打ち滅ぼされた。
滅ぼされたものは『名付け』によって災厄から怪物に零落し格を落としているが、完全に消え去ることはなく、復活と解放の日を虎視眈々と待ち続けている。 零落した存在であってもそれらは未だ強大な力を有しており、人間の生活圏を脅かしている。
また、哲学者エルナと蒼き驟雨のマジュ・マディナについては無力化の手段が模索されており、現在は人間社会に紛れて生活している。
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+ | 【一覧】 |
【一覧】
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+ | 格納 |
さいみん。ヒュプノシス。
主に生命体を対象として、術者の意のままに操る術。 効力、手順ともにシンプルだが、その分僅かでも魔術耐性を持っている相手には効きづらい。 傀儡術は催眠の上位術として知られるが、対象の一挙一動を術者が制御する必要があり、難易度が高い。
あんじ。ディレクション。
主に生命体を対象として、精神的エンチャントを行う術。 催眠術より制約の緩い分、魔術耐性を無視することができる。
“お前が深淵を覗く時、深淵もまた等しくお前を覗き返すのだ”という命題を利用した暗示術による因果操作。
“深淵がこちらを覗くならば、深淵を覗き返す己もまた存在している”という命題の逆を取ることで己と深淵を共存関係に例え、 深淵に自身を観察する暗示をかけることで間接的に己の不死を定義する。
へんげ。メタモルフォシス。
対象を別の何かに再構成する術。錬金術を下敷きにした魔術的アプローチ。 ゴルゴーンの石化や、ミダス王の黄金化などの他、液状化も含まれる。
水を血に変える術。上記詠唱は鶏の血に変える場合の一例。
ゴミを果物に変える術。
石ころを宝石に変える術。上記詠唱は瑪瑙(めのう)に変える場合の一例。
ちりょう。ヒーリング。
肉体の損傷や、精神の喪失を解決し、元の状態に戻す術。変化術、時空術とは関連性がある。 「正常の状態」に戻すだけなので、デフォルトパラメータに手を加えらえている場合はそちらに修正されてしまう。 最大HPが減っているときは、最大HP以上の回復はしない。
低級治療術。
かみおろし。オラクル。
神と呼ばれるものの御霊を己の肉体に降臨させることで、一時的に神の権能を得る。 己の肉体がその御霊に耐え切れない場合、制御権を失い、神の断片たる災厄が世界に害を及ぼす諸刃の術。 その分、効果は強力無比。
夜の神マシナトゥの権能を一時的の己の身に宿らせる術。
昼の神ヴァパの権能を一時的の己の身に宿らせる術。
こうれい。チャネリング。
幽霊、精霊と呼ばれるもの、形のないアストラル体の存在を呼び出す術。
しょうかん。サモン。
実態を持つものを呼び出す術。
あらゆる外敵を封じ込める白棺を召喚する。
かんき。アブダクション。
己の使い魔を呼び出す術。
二百五十六色、あるいは千二十四色、あるいは六万五千五百三十六色の魔女を喚起する術。
上記詠唱は藍鼠眼の魔女マユクニトを喚起する際の例。「媒介」「藍鼠」「マユクニト」部分が喚起する魔女によって変化する。 なお、召喚は自分より上位の存在を呼び出すことであり、喚起は自分より下位の存在を呼び出すことである。
じゅ。コンデミネーション。
まじないを行う術。 相互換性を重視する傾向にあり、類感呪術など対象の指定があやふやでもある程度機能する。 丑の刻参りで使う人形など、「道具」に「対象」を代入するような使い方が主。遠隔術。 自身の爪や髪の毛などをコストにする媒介術もまた呪術の一種である。
文字そのものが持つ意味を曲解し、さまざまな効力を発揮する魔術。
あらかじめ誂えられた文字の並びに、術者の解釈を加えて方向性を与える。
せんせい。ホロスコープ。
天体に浮かぶ星を参照する術。星の動きは神の意志の表れであり、人の運命を左右する天啓である。 星の輝き、星座の並び、その日の天気などに左右される安定性に欠けた術だが、 ベストコンディションの状態で発揮される占星術は、まさに奇跡と呼んで差し支えない効力を発揮する。
しりょう。ネクロマンシー。
死体、魂の無い肉体を操ることに特化した術。 物理コストとして生物の死体を用いる必要があるが、その分他の部分では安く済む。 霊魂を操るものもまた死霊術にカテゴライズされることがあるが、ここでは降霊術に分類する。
ぎしき。コンベンション。
特定の手順をこなすことで発動する術式。手順の例は、舞踏、謎解き、しりとりなど。 寸分の狂いも許されない、極めて難しい術式だが、その分成立したときの効果には目を見張るものがある。
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