超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです(漫画版)の第1話

女性「なんだ・・・あれ・・・・ドラゴン・・・・!?」
獣耳を生やした女性がそう呼んだのは、墜落する飛行機だった。


第1話 七人の超人高校生たち


中東紛争地域。
隊長「クソッ!撃て撃て!撃ち殺せッ!」
兵士「ダメです!速すぎてあたりま、ぎゃあああっ」
刀を持つ少女、一条葵が兵士を切り捨てた。
隊長「ひいいっ、ば、ばかな・・・あんな刀一本の小娘相手に・・・・我が中隊が全滅だと・・・!?」

葵「武器も持たぬ女子供を、銃と暴力で嬲り者にする畜生ども。貴様らが如き外道を一条の剣は許しはせぬ」
隊長「ひっ、ひいいいいっ」
葵「切り捨て御免――――!」

一条葵 高校生にして世界最強の剣豪である。


医療テント。
怪我人「ぎゃあぁあ、いたいぃぃ、死ぬぅぅぅ」
桂音「痛っ、足、しっかり押さえて!」
看護師「は、はいっ」
桂音「撃たれてこれだけ元気なら大丈夫そうですわね。あとは麻酔で大人しくしてもらいましょう」
看護師「先生!このキャンプにはもうモルヒネは・・・「
桂音「必要ありませんわ」
白衣を着た少女、神崎桂音が怪我人の首に針を刺すと、その怪我人は気絶した。

看護師「こっ、これは・・・」
桂音「針で脳内麻薬(エンドルフィン)の分泌量を操作しましたの。では患者には片っ端から麻酔を施していくので、後の処置はお任せします」
看護師「は、はい!」
桂音「ああ、あと葵さんを迎えにいくついでに兵士の死体を持ち帰ってきてくださいませ」
看護師「い、いいんですか先生・・・そういうのは倫理的に・・・」
桂音「いいに決まっているじゃないですか。倫理観(そんなもの)よりわたくしの方が多くの命を救えますもの」

神崎桂音 高校生にして世界最高の医者である。


アメリカ、ニューヨーク。
民衆「おいおい・・・嘘だろ!?」

ヘリコプターが自由の女神を巨大な布ですっぽりと覆った。
仮面とシルクハットの少年、プリンス暁の合図でその布が外されると、
自由の女神は消え失せていた。

民衆「オ・・・オーマイガー!」
「自由の女神がいなくなっちまった!」

キャスター「なんということでしょう!警戒網をすり抜けて自由の女神を消し去ってしまいました!これには挑戦者オバラ大統領も茫然自失ッ!」
オバラ「・・・・・」

暁「アハハハッ、我が魔術にはタネも仕掛けもありはしない!なんならホワイトハウスも消してくれようか?」

プリンス暁 高校生にして世界最高のマジシャンである。

キャスター「瞬間移動、空中浮遊。なんでもこなすイリュージョニスト。一夜で百億円を稼ぐ彼の魔術は誰も見破ることができない!」


ディスプレイに映ったウサギの様な(?)キャラ、クマウサが
つなぎ姿の少女、大星林檎に話しかけていた。
クマウサ「リンゴちゃん、リンゴちゃん!」
林檎「ん~・・・なぁにクマウサ。今生体金属の細胞分裂プログラムの最終調整を・・・」
クマウサ「そんなことしとる場合じゃないクマ!もう約束の二日前クマ!飛行機のチェックもあるからそろそろ地球に降りないと間に合わないウマ!」
林檎「あ・・・そっかうっかりしてた」
クマウサ「しっかりして欲しいクマー。一つに夢中になると周りが見えなくなるのはリンゴちゃんの悪い癖クマ、直した方がいいクマ」
林檎「むーいいじゃない。私がしっかりしたらマネジメントAIのクマウサはアンインストールだよ?」
クマウサ「クマ!?そ、それは困るクマ!」
林檎「ふふ、冗談だよ。じゃあクマウサ、日本の種子島に着港してくれる?」
クマウサ「クマ!お安いご用クマ!」

林檎「司さん・・・元気かなぁ」

大星林檎 高校生にして世界最高の発明家である。「小型核分裂炉」や「放射性廃棄物の完全無害化」を一人で生み出したその頭脳のため常に身柄を狙われており、殆どの時間を自作した宇宙ステーションで過ごしている


勝人「ケリー、全米が夢中になる君の微笑みを独占できるなんてボクは幸せ者だよ」
ケリー「・・・なら電話はやめてもらえないかしら」
勝人「許しておくれよケリー。今ちょうど日本の市場が勝負所でさ」
「っと失礼・・・・―――ああそうだ、東レゾは買いだ。荒巻頭取は東レゾを見捨てられねえのさ。っとちょっと待て、猿飛からだ、つないだまま待ってろ」
「どうした猿飛?あ?融資が決定した!?追加百億円?ハハッ!オーケーオーケー!全てヨミ通りでつまらねぇくらいだ!ああわかってる、この礼はちゃんと例の規格で返す、じゃあな」
「―――よう聞こえたか?な?言ったとおりだろ、俺を誰だと思ってる。ああ、とりあえず二千まで釣り上げろ・・・そっからは・・・ああ頼りにして」
「ハニー!いい知らせだ!たった今・・・」
少年、真田勝人が電話を切った時、目の前に居た女性、ケリーは消えていた。
勝人「アレ?ウェイター、ここに女神がいたと思うんだが?」
ウェイター「ケリー様なら「彼は私より金に夢中な尻穴野郎なのよ」と泣きながらお帰りになられました」
勝人「そりゃひどい話だ。今日無理やり予定を入れたのは彼女なのに」
ウェイター「失礼ながら・・ケリー様はお試しになったのでは?」
勝人「試す?」
ウェイター「わがままを言うことで真田様がどれだけ自分を愛しているかを」
勝人「お互い仕事が忙しい者同士わかり合えると思ったんだがな・・・」
ウェイター「ところで真田様」
勝人「なんだ?」
ウェイター「お食事は二人分お持ちしましょうか?」
勝人「・・・面白い冗談だ。大阪(ほんば)仕込みのツッコミ(鉄拳)が飛ぶ前に失せろ」

真田勝人 高校生にして世界最高の実業家である

国会議事堂の前に止まったリムジンから降りたのは、スーツ姿の少年、御子神司だった。
人々「御子神総理!」
「御子神さん!」
「御子神総理!」

そんな中、人々をかき分けて出てきた一人の男が司に銃を向けた。
男「愛と慈しみある日本のためにィ!」
銃声が響いた。
撃たれて倒れたのは、男の方だった。
司「迅速な対応ご苦労、張主席秘書官」
張「総理が射線を開けてくれたおかげです」
「衆目がある。早急に片づけてくれ」
警官「は、はい!」

張「あの者は友愛党の者でしょうか」
司「そうだろうね、おそらく国防予算増額への抗議だろう。私は彼らの主張と真逆に舵を切ったからね」
張「・・・愚かしい話です。自分が悪意ある者に利用されている自覚はないのでしょうか」
司「別に平和のために武力を放棄しようという発送自体はそこまで的を外したものではないさ。だが私たちは国民の生命に対して責任を負っている。有事の際に彼らを守る用意がありませんでは話にならない」
「まあ私が彼らに言えることは今日という日の平和の値段は彼らが考えているよりもずっと高いというだけだ。ましてや彼らが望む恒久的な平和ならなおのこと・・・少なくとも」
司が襲ってきた男の死体を見やる。
司「ベレッタ一丁と私の命一つで買える代物ではないよ」

御子神司 高校生にして総理大臣を務める天才である。

司の携帯電話に着信が入った。
司「もしもしどうしたのかね、シノブ」

忍「いやーなんかまた襲撃されてたから大丈夫かなーって思って」
司「風の音が強いな・・・また勝手に登っているのかね」
忍「ここからだと東京が全部丸見えだからねぇ。スクープを探すには便利な訳さ」
司に電話をかけたのは、東京タワーの頂上に立つ少女、猿飛忍だった。
司「仕方のないやつだ・・・まあ私は無傷だよ、君の規格に支障は出ないさ」
忍「にゃはは、そりゃーよかった。それが聞きたかったのさ!」
司「相変わらず現金だね君は・・・もう会議場に着く、そろそろ切るぞ」
忍「ん!じゃあ明後日成田空港に集合。忘れないでよね?」
司「心得ている」

忍「皆で集まるのは中学以来だよねー」
忍がタワーから飛び降り、手足で布を広げ、滑空していった。
忍「楽しみ―♪」

猿飛忍 忍者の末裔にして世界最高の高校生ジャーナリストである。

―――以上、いずれも高校生レベルに留まらない七人の少年少女たち。
人々はその卓越した能力へ敬意と畏怖を込め、彼らを《超人高校生》と呼んだ。

だがある日――――彼ら七人が乗り合わせた飛行機は太平洋上空で消息を絶つ―――――


とある小屋。
傷を負った司を、エルフ耳の少女、リルルが介抱していた。

そして、司が目覚めた。
リルル「あっ・・・目が覚めましたか?」

このとき一つの物語が動き出そうとしていた・太平洋の水底より遠く離れた異世界で――――


(つづく)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2019年05月20日 09:45