超異次元空間に浮かぶベーダー一族の本拠地「ベーダー魔城」では、ヘドリアン女王とその侍女・ミラーとケラー、そして戦闘指揮官のヘドラー将軍が前回の戦いを見返している。
デンジレッドのデンジパンチを食らってムササビラーが吹っ飛ぶ映像。
女王「もうよい、見とうない。消せ!」
女王「まさかこの地球には電子戦隊がいようとは、あの忌まわしいロボットがいようとは! デンジ星人めが送り込んだに違いない。う~、おのれおのれ!」
ヘドラー「戦略の転換が必要かと。正面攻撃すれば、必ず電子戦隊が……」
女王「うむ」
ヘドラー「闇夜をカラスが飛ぶごとく……」
女王「我が戦士の卵をこれへ」
ヘドラー「はっ。ミラー、ケラー!」
ミラーがベーダー怪物のゆりかごから卵を2個取り出して差し出す。
女王「どれどれ、活きのよい卵はどれじゃ? おお~、元気のよいこと。うん、これに決めた」
ヘドラーがヘドリアン女王から手渡された卵を孵卵器にかけ、レバーを倒すと、すぐに「01」のレッテルを備えたベーダー怪物が生まれてきた。
シャボンラー「シャボンラーめにございます」
女王「地球上から全ての美しいものを消し去れ。地球上を、ヘドロとガスの渦巻く腐った世界にするのじゃ!」
ヘドラー「使命を果たせ、シャボンラー。ヘドリアン女王の御為に!」
シャボンラー「ははっ! シャ~ボシャボシャボシャボシャボン!!」
シャボンラーが広間を覆いつくすほどのシャボン玉に紛れて姿を消す。
デンジランドでは、デンジマンの5人が設備やメカの確認に余念がない。
黄山「信じられないよ、こんなすごい超兵器が3000年も昔に飛来してたなんて……」
赤城「うん……」
青梅「おい、アイシー。どうしてこんなものを地球に送り込んだんだ、デンジ星人は?」
アイシーは何も答えない。そのしぐさは本物の犬そのものだ。
緑川「どうもつかみどころのない犬だな」
青梅「ほんとに3000年も昔に来てたのかな?」
アイシー「アイシー、嘘つかない」
あっけにとられる4人。
一方その頃、あきらは1人テニスの特訓を続けていた。
超異次元空間からミラー、ケラー、シャボンラーが降り立つ。
3人は手始めに園芸店を襲撃。
ミラー「花よ。人間どもは花を見て心を和ませているわ」
シャボンラーが口からシャボン玉を吹き出すと、それを浴びた花々がみるみる枯れていく。
次の目的地への移動中、シャボンラーが急に苦しみだした。
シャボンラー「う~っ、嫌、嫌、嫌な音だぁ~!」
ケラー「おかしいわね?」
その原因は、バイオリニスト・佐藤いずみのコンサート会場が近くにあったからだった。
ミラー「シャボンラー、お行きなさい」
シャボンラーがドアをすり抜けて会場内へ。
さらに透明化して佐藤いずみに近づき、シャボン玉を吹き付ける。
シャボン玉に包まれた佐藤いずみは即死してしまった。
デンジランド内に警報が鳴り響く。
緑川「大変だ!」
赤城「どうした!」
緑川「代表市民ホールに怪物出現!」
赤城「デンジスパーク!!」
あきらを除く4人が変身して現場へ急行する。
ベーダー魔城では、ヘドリアン女王とヘドラーがその様子をモニターで見ていた。
ヘドラー「出ました、電子戦隊です」
女王「ムササビラーの仇を討て、討つのじゃ!」
ヘドラー「ミラー、ケラー! 奇襲せよ!!」
シャボンラーのシャボン玉攻撃で地面が爆発する。
ミラー「抹殺せよ!!」
さらに戦闘員・ダストラーも登場。
ミラー「退け!」
ある程度戦ったところで、ベーダー一族が撤退していく。
デンジレッド「デンジピンクがいれば、とどめを刺せたのに……」
4人はすぐさまあきらの下へ。
あきら「……悪いけど、私は一緒に戦えないわ」
赤城「5人そろって、初めて電子戦隊としての力を発揮できるんだ」
緑川「ベーダーをこのままのさばらせておいてもいいって言うのか?」
あきら「私の夢は、テニス世界一よ!?」
緑川「自分さえよければ他人はどうなってもいいって言うのか!?」
あきら「……高山コーチは、私を世界一にしようとして、病気をおしてコーチしてくれたわ」
ベーダーの攻撃を受けて殺された高山の姿が、あきらの脳裏をよぎる。
あきら「私はテニスを続けたい。続けるしかないのよ!」
緑川「待てよ!!」
緑川があきらに何度も頭を下げる。
緑川「一緒に戦ってくれよ。この通りだ! な!? 頼む!!」
あきら「離して!」
緑川「待て!!」
あきらの行く手を遮る緑川。
緑川「これほど頼んでもか!?」
赤城「やめろ」
赤城が緑川をなだめる。
あきら「…………」
赤城「行きなさい」
目を伏せ、黙って立ち去るあきら。
緑川「おい!!」
それを追おうとする緑川の腕を、赤城が強くつかんで制止する。
緑川「は、離せ! 離せ!!」
赤城「落ち着け! 彼女の意思は固い、時間をかけて説得する必要があるんだ」
緑川「じゃあ説得しに行こう!」
あきらは気晴らしに、マンションの自室でピアノを弾いていた。
「自分さえよければ他人はどうなってもいいって言うのか!?」
しかし、その心は一向に晴れない。
そこへシャボンラーのシャボン玉が迫る。シャボンラーのことを知らないあきらは見とれてしまう。
あきら「まあ、きれい」
あきらの手の中で、壊れて消えるはずのシャボン玉が泡に変化して膨らみ始めた。
泡は落とそうとすればするほど広がっていく。
洗面所で激しく手を洗うあきら。何度洗っても泡は落ちない。
次第にあきらの体全部が泡に包まれていく。
あきら「助けて!!」
あきらの悲鳴は、デンジランドに導かれた者にのみ聞こえるテレパシーとなって赤城たちに届いた。
あきらの部屋は鍵がかかっていて、開けることができない。
赤城「ダメだ、開かない!」
青梅「よし、俺に任せろ」
青梅が屋上からロープであきらの部屋へ向かい、窓から中へ侵入し鍵を開ける。
あきらはすでに半死半生となっていた。
青梅「ひっでぇな、こりゃ……」
あきらの部屋の観葉植物も枯らされている。
黄山「心臓は動いてるぞ」
青梅「病院へ運ぼう」
緑川「待て! 触らないほうがいい、ちょっとした衝撃でバラバラになってしまうぞ」
赤城「うむ。佐藤いずみも、舞台で倒れた時にバラバラになってしまった」
黄山「じゃあ、このままほっとけって言うのか? 死んじまうよ!」
赤城「方法を考えるんだ」
青梅「どんな方法があるんだ! どうすれば助かるんだ!?」
黄山「心臓の動きがだいぶ弱ってる」
青梅「仕方ない…… 病院へ運ぼう!」
緑川「マンションの4階だぜ、ここは!」
青梅「このまま見殺しにはできん」
赤城「おかしい…… 何かある…… そうだ! デンジスパーク!!」
赤城がデンジレッドに変身。
デンジレッド「デンジスコープ!!」
デンジスコープは、デンジ赤外線の作用で 物体を透視することができるのである! |
シャボンラーが、あきらの体にとりついていることが分かった。
デンジレッド「おのれ、ベーダー怪物!」
シャボンラー「私を攻撃すればこの娘は砕けて死ぬ! お前たちは指1本触れることができない」
デンジレッド「何っ!?」
青梅「おい、どうした」
シャボンラーの声は変身していない他3人には聞こえない。
デンジレッド「ベーダー怪物が取り付いてる」
青梅「えっ!?」
黄山「えっ!?」
緑川「よし!」
緑川があきらのラケットでシャボンラーを殴ろうとするのをレッドが制止。
デンジレッド「待て! ちょっとしたショックでもバラバラになるぞ」
シャボンラー「この娘の命はあと5分で絶える! どうにもなるまい、どうだ? ふはははは!」
デンジレッド「何っ!? あと5分の命!?」
黄山「あと5分!?」
デンジレッド「方法はないのか!? デンジピンクを助ける方法は!?」
シャボンラー「あと4分だ」
その時、デンジレッドの頭にきらめくデンジメカが反応する。
デンジレッドに内蔵された、 電子コンピューターが回答した! |
青梅「どうした、レッド!」
デンジレッド「デンジシャワーだ!! みんな、デンジスパークしろ」
青梅「デンジスパーク!!」
青梅たちも変身。
シャボンラー「あと30秒!」
4人「デンジシャワー!!」
4人のデンジメカ中枢に埋め込まれたデンジストーンから、あきらへ光線が浴びせられる。
シャボンラーが苦しみながらあきらの体を抜け出し、あきらが元に戻る。
4人「あきら、しっかりしろ!」
あきらが目を覚ます。
シャボンラーと4人が対峙。
デンジレッド「こいつが君に取り付いていた。君の命を奪おうとしたんだぞ!」
あきら「えっ!?」
デンジレッド「力を貸してくれ。こいつを倒さねば!」
シャボンラーが襲い掛かる。
デンジレッド「あきらを守れ!」
ブルー、イエロー、グリーン「おう!!」
4人が懸命に立ち向かうが、本来の力を発揮できずに苦戦している。
グリーンが倒されたのを見て、ついにあきらが覚悟を決めた。
あきら「デンジスパーク!!」
デンジピンクのキックを受けて、シャボンラーがマンションの外にまで蹴り飛ばされた。
レッド「ピンク!」
撤退して体勢を立て直そうとするシャボンラーに、ついに5人そろったデンジマンが立ちはだかる。
デンジレッド「デンジレッド!!」
デンジブルー「デンジブルー!!」
デンジイエロー「デンジイエロー!!」
デンジグリーン「デンジグリーン!!」
デンジピンク「デンジピンク!!」
デンジマン「見よ! 電子戦隊、デンジマン!!」
5人は、デンジ犬アイシーに選ばれて 電子戦隊デンジマンとなり、美しい地球を守るため、 ベーダー一族と戦うのである! |
デンジレッド「行くぞ!!」
4人「おう!!」
そこへミラーとケラーが参戦。
ミラーの吹く笛を合図に、ベーダー魔城からダストラーが呼び寄せられるが、所詮ダストラーなどデンジマンの敵ではない。
シャボンラーのシャボン玉攻撃がデンジマンを襲う。
デンジブルー「デンジドリル!!」
ブルーが体を回転させて地面へ潜っていき、地中からシャボンラーに不意打ちを仕掛ける。
デンジレッド「デンジブーメランだ!!」
4人「おう!!」
5人のデンジスティックが合体し、円盤となってシャボンラーに炸裂する。
デンジマン「シュバッ!!」
シャボンラー「おのれ、やりおったな~!」
直撃を受けて致命傷を負ったシャボンラーは、すぐさま巨大化して襲い掛かってきた。
ベーダー怪物は、体内の細胞組織体を自由に組み替えて、 自在に伸び縮みすることができるのである! |
デンジレッド「デンジタイガー、出動せよ!!」
デンジランドの海底からデンジタイガーが発進。
ヘドラー「ベーダー特別戦闘機隊、出撃!!」
ベーダー魔城からも戦闘機が次々に発進していく。
空中戦の末、デンジタイガーのミサイルが戦闘機を次々と撃破。
地上では巨大シャボンラーの攻撃が続く。
すぐさまデンジファイターが発進し、ダイデンジンに変形。
デンジレッド「搭乗せよ!!」
4人「おう!!」
デンジマンが足にある出入り口からダイデンジンへ乗り込み、エレベーターで操縦席へ。
デンジブルー「エネルギーチャージ、パス」
デンジイエロー「油圧計、パス」
デンジグリーン「兵器庫点検、パス」
デンジピンク「室内空気圧、パス」
デンジレッド「アクション!!」
鎖鉄球・デンジボールを転送させて戦うダイデンジン。
デンジボールがシャボンラーを打ち据える。
シャボンラーは手にした杖でこれを相殺するも、ダイデンジンのパンチがシャボンラーを寄せ付けない。
デンジレッド「デンジ剣!!」
ダイデンジンがデンジ剣を装備して戦う。
シャボンラーとのつばぜり合いが続く。
デンジレッド「電子・満月斬り!!」
ダイデンジンがシャボンラーを一刀両断。
シャボンラーは倒された。
レッド、ブルー、イエロー、グリーン「やった!!」
それから数日後。赤城が野球場で子供たちに空手を教えている。
客席でそれを見守る青梅、黄山、緑川。
緑川「彼女さえいればな……」
青梅「5人そろって力を出せるんだもんな……」
稽古を終えた赤城が3人の下へ。
赤城「テニスは彼女の人生なんだ。仕方がないさ」
そこへ、あきらが姿を現す。
赤城「来てくれたのか!」
青梅「あきら!」
あきら「ごめんなさいね、わがまま言って」
赤城「来てくれてうれしい」
あきら「世界チャンピオンを育てます、子供たちをコーチして…… 高山コーチもきっと喜んでくれると思います」
5人が円陣を組んで、手を取り合う。
青梅「これでそろったな」
赤城「うん。苦しい戦いだけど……」
5人「頑張ろう!!」
その様子を、アイシーが陰から見守っていた。
それぞれの意思で集まった、5人の若者。 無敵の電子戦隊が、ベーダー一族に挑戦状を叩きつけた!
果たして、謎の超異次元に棲むベーダー一族を 討つことができるであろうか!?
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最終更新:2024年06月05日 01:13