電子戦隊デンジマンの第2話

※ ここまでのあらすじは電子戦隊デンジマンの第1話をご覧ください。


超異次元空間に浮かぶベーダー一族の本拠地「ベーダー魔城」では、ヘドリアン女王とその侍女・ミラーとケラー、そして戦闘指揮官のヘドラー将軍が前回の戦いを見返している。
デンジレッドのデンジパンチを食らってムササビラーが吹っ飛ぶ映像。

女王「もうよい、見とうない。消せ!」



人喰い__
シャボン玉




女王「まさかこの地球には電子戦隊がいようとは、あの忌まわしいロボットがいようとは! デンジ星人めが送り込んだに違いない。う~、おのれおのれ!」
ヘドラー「戦略の転換が必要かと。正面攻撃すれば、必ず電子戦隊が……」
女王「うむ」
ヘドラー「闇夜をカラスが飛ぶごとく……」
女王「我が戦士の卵をこれへ」
ヘドラー「はっ。ミラー、ケラー!」

ミラーがベーダー怪物のゆりかごから卵を2個取り出して差し出す。

女王「どれどれ、活きのよい卵はどれじゃ? おお~、元気のよいこと。うん、これに決めた」

ヘドラーがヘドリアン女王から手渡された卵を孵卵器にかけ、レバーを倒すと、すぐに「01」のレッテルを備えたベーダー怪物が生まれてきた。

シャボンラー「シャボンラーめにございます」
女王「地球上から全ての美しいものを消し去れ。地球上を、ヘドロとガスの渦巻く腐った世界にするのじゃ!」
ヘドラー「使命を果たせ、シャボンラー。ヘドリアン女王の御為に!」
シャボンラー「ははっ! シャ~ボシャボシャボシャボシャボン!!」

シャボンラーが広間を覆いつくすほどのシャボン玉に紛れて姿を消す。


デンジランドでは、デンジマンの5人が設備やメカの確認に余念がない。

黄山「信じられないよ、こんなすごい超兵器が3000年も昔に飛来してたなんて……」
赤城「うん……」
青梅「おい、アイシー。どうしてこんなものを地球に送り込んだんだ、デンジ星人は?」

アイシーは何も答えない。そのしぐさは本物の犬そのものだ。

緑川「どうもつかみどころのない犬だな」
青梅「ほんとに3000年も昔に来てたのかな?」
アイシー「アイシー、嘘つかない」

あっけにとられる4人。
一方その頃、あきらは1人テニスの特訓を続けていた。


超異次元空間からミラー、ケラー、シャボンラーが降り立つ。
3人は手始めに園芸店を襲撃。

ミラー「花よ。人間どもは花を見て心を和ませているわ」

シャボンラーが口からシャボン玉を吹き出すと、それを浴びた花々がみるみる枯れていく。
次の目的地への移動中、シャボンラーが急に苦しみだした。

シャボンラー「う~っ、嫌、嫌、嫌な音だぁ~!」
ケラー「おかしいわね?」

その原因は、バイオリニスト・佐藤いずみのコンサート会場が近くにあったからだった。

ミラー「シャボンラー、お行きなさい」

シャボンラーがドアをすり抜けて会場内へ。
さらに透明化して佐藤いずみに近づき、シャボン玉を吹き付ける。
シャボン玉に包まれた佐藤いずみは即死してしまった。


デンジランド内に警報が鳴り響く。

緑川「大変だ!」
赤城「どうした!」
緑川「代表市民ホールに怪物出現!」
赤城「デンジスパーク!!

あきらを除く4人が変身して現場へ急行する。
ベーダー魔城では、ヘドリアン女王とヘドラーがその様子をモニターで見ていた。

ヘドラー「出ました、電子戦隊です」
女王「ムササビラーの仇を討て、討つのじゃ!」
ヘドラー「ミラー、ケラー! 奇襲せよ!!」

シャボンラーのシャボン玉攻撃で地面が爆発する。

ミラー「抹殺せよ!!」

さらに戦闘員・ダストラーも登場。

ミラー「退け!」

ある程度戦ったところで、ベーダー一族が撤退していく。

デンジレッド「デンジピンクがいれば、とどめを刺せたのに……」

4人はすぐさまあきらの下へ。

あきら「……悪いけど、私は一緒に戦えないわ」
赤城「5人そろって、初めて電子戦隊としての力を発揮できるんだ」
緑川「ベーダーをこのままのさばらせておいてもいいって言うのか?」
あきら「私の夢は、テニス世界一よ!?」
緑川「自分さえよければ他人はどうなってもいいって言うのか!?」
あきら「……高山コーチは、私を世界一にしようとして、病気をおしてコーチしてくれたわ」

ベーダーの攻撃を受けて殺された高山の姿が、あきらの脳裏をよぎる。

あきら「私はテニスを続けたい。続けるしかないのよ!」
緑川「待てよ!!」

緑川があきらに何度も頭を下げる。

緑川「一緒に戦ってくれよ。この通りだ! な!? 頼む!!」
あきら「離して!」
緑川「待て!!」

あきらの行く手を遮る緑川。

緑川「これほど頼んでもか!?」
赤城「やめろ」

赤城が緑川をなだめる。

あきら「…………」
赤城「行きなさい」

目を伏せ、黙って立ち去るあきら。

緑川「おい!!」

それを追おうとする緑川の腕を、赤城が強くつかんで制止する。

緑川「は、離せ! 離せ!!」
赤城「落ち着け! 彼女の意思は固い、時間をかけて説得する必要があるんだ」
緑川「じゃあ説得しに行こう!」

あきらは気晴らしに、マンションの自室でピアノを弾いていた。

「自分さえよければ他人はどうなってもいいって言うのか!?」

しかし、その心は一向に晴れない。
そこへシャボンラーのシャボン玉が迫る。シャボンラーのことを知らないあきらは見とれてしまう。

あきら「まあ、きれい」

あきらの手の中で、壊れて消えるはずのシャボン玉が泡に変化して膨らみ始めた。
泡は落とそうとすればするほど広がっていく。
洗面所で激しく手を洗うあきら。何度洗っても泡は落ちない。
次第にあきらの体全部が泡に包まれていく。

あきら「助けて!!」

あきらの悲鳴は、デンジランドに導かれた者にのみ聞こえるテレパシーとなって赤城たちに届いた。
あきらの部屋は鍵がかかっていて、開けることができない。

赤城「ダメだ、開かない!」
青梅「よし、俺に任せろ」

青梅が屋上からロープであきらの部屋へ向かい、窓から中へ侵入し鍵を開ける。
あきらはすでに半死半生となっていた。

青梅「ひっでぇな、こりゃ……」

あきらの部屋の観葉植物も枯らされている。

黄山「心臓は動いてるぞ」
青梅「病院へ運ぼう」
緑川「待て! 触らないほうがいい、ちょっとした衝撃でバラバラになってしまうぞ」
赤城「うむ。佐藤いずみも、舞台で倒れた時にバラバラになってしまった」
黄山「じゃあ、このままほっとけって言うのか? 死んじまうよ!」
赤城「方法を考えるんだ」
青梅「どんな方法があるんだ! どうすれば助かるんだ!?」
黄山「心臓の動きがだいぶ弱ってる」
青梅「仕方ない…… 病院へ運ぼう!」
緑川「マンションの4階だぜ、ここは!」
青梅「このまま見殺しにはできん」
赤城「おかしい…… 何かある…… そうだ! デンジスパーク!!

赤城がデンジレッドに変身。

デンジレッド「デンジスコープ!!」

デンジスコープは、デンジ赤外線の作用で
物体を透視することができるのである!

シャボンラーが、あきらの体にとりついていることが分かった。

デンジレッド「おのれ、ベーダー怪物!」
シャボンラー「私を攻撃すればこの娘は砕けて死ぬ! お前たちは指1本触れることができない」
デンジレッド「何っ!?」
青梅「おい、どうした」

シャボンラーの声は変身していない他3人には聞こえない。

デンジレッド「ベーダー怪物が取り付いてる」
青梅「えっ!?」
黄山「えっ!?」
緑川「よし!」

緑川があきらのラケットでシャボンラーを殴ろうとするのをレッドが制止。

デンジレッド「待て! ちょっとしたショックでもバラバラになるぞ」
シャボンラー「この娘の命はあと5分で絶える! どうにもなるまい、どうだ? ふはははは!」
デンジレッド「何っ!? あと5分の命!?」
黄山「あと5分!?」
デンジレッド「方法はないのか!? デンジピンクを助ける方法は!?」
シャボンラー「あと4分だ」

その時、デンジレッドの頭にきらめくデンジメカが反応する。

デンジレッドに内蔵された、
電子コンピューターが回答した!

青梅「どうした、レッド!」
デンジレッド「デンジシャワーだ!! みんな、デンジスパークしろ」
青梅「デンジスパーク!!

青梅たちも変身。

シャボンラー「あと30秒!」
4人「デンジシャワー!!」

4人のデンジメカ中枢に埋め込まれたデンジストーンから、あきらへ光線が浴びせられる。
シャボンラーが苦しみながらあきらの体を抜け出し、あきらが元に戻る。

4人「あきら、しっかりしろ!」

あきらが目を覚ます。
シャボンラーと4人が対峙。

デンジレッド「こいつが君に取り付いていた。君の命を奪おうとしたんだぞ!」
あきら「えっ!?」
デンジレッド「力を貸してくれ。こいつを倒さねば!」

シャボンラーが襲い掛かる。

デンジレッド「あきらを守れ!」
ブルー、イエロー、グリーン「おう!!」

4人が懸命に立ち向かうが、本来の力を発揮できずに苦戦している。
グリーンが倒されたのを見て、ついにあきらが覚悟を決めた。

あきら「デンジスパーク!!

デンジピンクのキックを受けて、シャボンラーがマンションの外にまで蹴り飛ばされた。

レッド「ピンク!」

撤退して体勢を立て直そうとするシャボンラーに、ついに5人そろったデンジマンが立ちはだかる。

デンジレッド「デンジレッド!!」
デンジブルー「デンジブルー!!」
デンジイエロー「デンジイエロー!!」
デンジグリーン「デンジグリーン!!」
デンジピンク「デンジピンク!!」
デンジマン「見よ! 電子戦隊、デンジマン!!

5人は、デンジ犬アイシーに選ばれて
電子戦隊デンジマンとなり、美しい地球を守るため、
ベーダー一族と戦うのである!

デンジレッド「行くぞ!!」
4人「おう!!」

そこへミラーとケラーが参戦。
ミラーの吹く笛を合図に、ベーダー魔城からダストラーが呼び寄せられるが、所詮ダストラーなどデンジマンの敵ではない。
シャボンラーのシャボン玉攻撃がデンジマンを襲う。

デンジブルー「デンジドリル!!」

ブルーが体を回転させて地面へ潜っていき、地中からシャボンラーに不意打ちを仕掛ける。

デンジレッド「デンジブーメランだ!!」
4人「おう!!」

5人のデンジスティックが合体し、円盤となってシャボンラーに炸裂する。

デンジマン「シュバッ!!
シャボンラー「おのれ、やりおったな~!」

直撃を受けて致命傷を負ったシャボンラーは、すぐさま巨大化して襲い掛かってきた。

ベーダー怪物は、体内の細胞組織体を自由に組み替えて、
自在に伸び縮みすることができるのである!

デンジレッド「デンジタイガー、出動せよ!!」

デンジランドの海底からデンジタイガーが発進。

ヘドラー「ベーダー特別戦闘機隊、出撃!!」

ベーダー魔城からも戦闘機が次々に発進していく。
空中戦の末、デンジタイガーのミサイルが戦闘機を次々と撃破。
地上では巨大シャボンラーの攻撃が続く。
すぐさまデンジファイターが発進し、ダイデンジンに変形。

デンジレッド「搭乗せよ!!」
4人「おう!!」

デンジマンが足にある出入り口からダイデンジンへ乗り込み、エレベーターで操縦席へ。

デンジブルー「エネルギーチャージ、パス」
デンジイエロー「油圧計、パス」
デンジグリーン「兵器庫点検、パス」
デンジピンク「室内空気圧、パス」
デンジレッド「アクション!!」

鎖鉄球・デンジボールを転送させて戦うダイデンジン。
デンジボールがシャボンラーを打ち据える。
シャボンラーは手にした杖でこれを相殺するも、ダイデンジンのパンチがシャボンラーを寄せ付けない。

デンジレッド「デンジ剣!!」

ダイデンジンがデンジ剣を装備して戦う。
シャボンラーとのつばぜり合いが続く。

デンジレッド「電子・満月斬り!!

ダイデンジンがシャボンラーを一刀両断。
シャボンラーは倒された。

レッド、ブルー、イエロー、グリーン「やった!!」


それから数日後。赤城が野球場で子供たちに空手を教えている。
客席でそれを見守る青梅、黄山、緑川。

緑川「彼女さえいればな……」
青梅「5人そろって力を出せるんだもんな……」

稽古を終えた赤城が3人の下へ。

赤城「テニスは彼女の人生なんだ。仕方がないさ」

そこへ、あきらが姿を現す。

赤城「来てくれたのか!」
青梅「あきら!」
あきら「ごめんなさいね、わがまま言って」
赤城「来てくれてうれしい」
あきら「世界チャンピオンを育てます、子供たちをコーチして…… 高山コーチもきっと喜んでくれると思います」

5人が円陣を組んで、手を取り合う。

青梅「これでそろったな」
赤城「うん。苦しい戦いだけど……」
5人「頑張ろう!!」

その様子を、アイシーが陰から見守っていた。



それぞれの意思で集まった、5人の若者。
無敵の電子戦隊が、ベーダー一族に挑戦状を叩きつけた!

果たして、謎の超異次元に棲むベーダー一族を
討つことができるであろうか!?




つづく

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最終更新:2024年06月05日 01:13