ストーリーは伝承上のもので史実とは異なるようですが、実在する政治家や作曲家の名が多数出てくるので特に世界史が好きな方や古楽好きな方にはたまらないですね。弟子のシッラのみは創作ですが、それ以外の主要登場人物は全て実在の人物のようです。神聖ローマ皇帝、教皇、スペイン、ロレーヌ公国(ロートリンゲン公国)、ルター、フス派などなど、宗教改革により激動するヨーロッパ情勢にまつわるキーワードだらけ。ちなみに第3幕の最後のほうに出てくる「フィレンツェのバルディ」(ジョヴァンニ・デ・バルディ/Giovanni de' Bardi)は、音楽サークル「カメラータ」を主催しオペラの誕生に重要な役割を果たした人物です。こういったプフィッツナーが随所にちりばめた小ネタや、作曲家本人の信条を主人公に重ねたような展開は唸らせるものがあり、リブレットを読んでいるだけでもワクワクしてきます。未聴の方が多い作品だと思いますが、是非お楽しみ頂ければ幸いです。