オリスタ @ wiki

5話

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だれでも歓迎! 編集
~数ヶ月前 夜道~

男「ハァ……、マジタリぃ……。タバコきれちまった……」

男「しかたねぇ。ネットゲーム一旦中断して、ちょっと買ってくるかな」

タタタ... ガタッ ガチャン
男「ハァ……、俺こんままでいいのかなぁ……。働かないとダメなのかなぁ~」

カチッカチッ ボシュッ
男「ふぅー」

数ヶ月前にさかのぼる。
深夜4時、いわゆるニートである市山拓斗は外にタバコを買いに来た。タバコを吸いながら煙とともに不平を吐き出していた。

市山「これってニートって奴だよなぁー。来る日も来る日もネットゲームしてるなんてよぉ~。顔は結構自身   
    あるのによぉ~やんなっちゃうぜ」

市山「これって世の中が悪いんじゃねぇかなぁ~、だってよぉ。俺は普通にやってただけなのになんでなんだ   
    よぉ~」
フゥー
市川「……帰るか――、そろそろ定期クエストが始まる時間だしな……」

ザッ
市川「――ん、なんだ」

夜の帰り道を帰ろうとしていた市川に一人の女性か男性かわからないが、
シルエットは大きい人影が現れた。暗くてよく見えないのである。

??「それでいいのか、お前は」

市川「――な」

??「お前はそれでいいと思っているのか」

市川「いきなり出てきて……、なんなんだ? てめぇは?」

??「仕事もせず――、遊んで……、そこにお前は生きているのかな? 人は上を見定めるために存在してい
るのだぞ?」

市川「う、うるせぇ! お前に何が出来るって言うんだよ!」

??「フッ」

そいつは懐からナイフ……のようなものを取り出した。
変哲も無い刃物だが、夜道に刃が光ると怖さが際立つ。

市川「な……なんだその、刃物」

??「大丈夫だ……。新たな段階へ進むめばお前も新たな人生が開かれるはずだ。人は
   運命を乗り越えるために存在している。お前も挑戦してみろ」

市川「何言ってんだ……ッ! お前ッ! 刺す気かッ!」
ザクッ

市川「グッ……、痛てッ! 痛ぇ~~~~~!! 何するんだッ!」

??「ほう 良かったな。『痛い』だけか……、ならおめでとう、私達の・・・・・・世界へ」

市川「いったいなんなんだ……ッ!」

市川に軽くスタンド能力の説明をされた後、
気が付くと、その人物は消えていた。
数ヶ月前の事である。



PM3:30 汐華高校教室

グリモ・グラムと戦って?から数日後
時は下校時、後は帰るだけだが、ここにも不平を吐き出している女の子が一人…


譲華「しんどい……」

弓子「ハナちゃん、どうしたの?」

愛菜「譲華さんは、アルバイトをしてるんですわ。だから、しんどいんでしょう?」

譲華「接客は問題ないんだけど……、店長がめんどくさいのよ。いろいろ客と揉めるから……
    かと言って止めれないし……二日三日で止めてたらなんか言われるし……」

弓子「それは、しんどそうだね。今度その本屋さん、見に行こうかな」

譲華「来ないほうが良いよ 少し立ち読みしただけで軽くバトルが発生するから」

弓子「?」

愛菜「私は帰りますわ、今日も車ですの」

弓子「あ、バイバーイ」

譲華「さいならー、あぁめんどくせぇー、なんで立ち読みなんか・・・・・・」

愛菜「……」


5話 美しい物にはトゲはある


香坂愛菜は学校の校門の近くで車を待っていた。
執事ロバートによって車で送迎してもらっているのである。

香坂愛菜は某巨大会社社長の娘だ。社長令嬢である。
父親から受け継いだブロンドの髪と、母親からの美顔のおかげで学校でも人気が高い。
かなりの知性があり、もっと上のレベルの高等学校にも行けるほどの学力もある。
ここに来た理由は家が近いのと、父親の強い希望による。
しかし、そんな彼女にも悩みがある。

愛菜「また今日もバカって言われた……、まぁいつものことですけどね~」

どこかネジが外れていて、他人の考えと斜め上の言動をしてしまうのだ。
いわゆる天然だが、本人には言われる理由が分からない。

愛菜「私のどこが突飛した考えを持ってるか、わかりませんわ。普通に接しているだけですのに」

愛菜「しかし、まさか電車で大事な制服が破けてしまうなんて……今流行の切り裂き魔かしら 
   それにしてもキズもついてないからそうじゃないと思うんですけどねぇ」

愛菜「弓子さんに言われた通り、電車を使ったらこの有様ですわ。とりあえずは今日からまた車を使いましょう」
ブロロロロロロロ...

愛菜「あら、以外に早く来ましたわね」

ガチャ 
??「お嬢さまァ、お待たせしました……」

いつも使っている車なのだが、
運転手を愛菜が見たことが無い、顔はイケメンだが貧相な男が現れた。
両手には指輪を全部はめている。

愛菜「…………誰? 執事のロバートじゃないの?」

??「あぁ……、いやぁ~~~。今日はロバートさん休みでしてねぇ~~、代わりに運転まかされたんです   
    臨時のアルバイトって奴です」

愛菜「休み? 今日、学校出るときには家で仕事してましたけど」

??「アッ……、え~~~とカン違いでした。今日の昼に突然具合悪いと言って、帰ったんですよ~~」

愛菜「あら、そうなの。まぁ、ロバートは老体の割には頑張りすぎるものね」

??「そう、そうです。さァお嬢さま、車の助手席にお乗りください。ここで駐車すると他の車に迷惑ですか   
    ら~~」

愛菜「わかりました」
スタ バタン

??(………………)


~一ヶ月程前~
市川「この能力はすげぇぞ……!」

カランカラン
市川「これが、あれば……、ちまちま働くよりガッポリ儲かる手段が沢山あるじゃねーかッ!」

市川「金に困ってた俺についに運がきたようだッ」

市川「何がいいか……、カツアゲとかそんなショボくれたもんじゃなく、もっと俺のウサを晴らせて、金もガッポリ
    取れるようなそういう計画を……」

市川「やっぱり強盗みたいなそんな感じの奴だよなぁ・・・・・・やるなら。 しかし、強盗か・・・・銀行?
    いや、そこまで大それた事をする必要はねぇ・・・・・何か無いか」

市川「やっぱりココはGoogleで検索してみるか」

カタカタ
市川「……ん、この汐華町の有名人だと………。こんなもんがあるのか」

カチッ カチッ
市川「こいつァ~~、なんて金持ちがこの町に住んでやがるんだ……。俺が努力して金を作ろうとしているのに、こいつは社長室に座りながら
    のんびりワインとか飲んでやがるんだなッ! クソッ! なんとか、コイツから大金せしめる方法はねぇかな」

カチッ
市川「ん? 娘がいるだと・・・? まさか」 

カタカタカタカタ
市川「ほらッ! ビンゴ! 娘が汐華高校に通ってやがるッ! これはなかなかいいんじゃあないか」

市川「そいつをさらってやるッ! そして・・・・・・」

市川「身代金として、大金をせしめてやる~~~~ッ!」


現在 車内

市川(計画立てんのは面倒だったが……、ここまでくれば楽勝だぜぇ~~ 車の中で2人きりだから   
    よぉ~ なんでもできるよなぁ~~~)

愛菜「……ふぅ今日は疲れましたわ、ねぇ運転手さん。お名前は?」

市川「えっ、名前ですかァ?」

愛菜「そうよ、全ての出会いは名前から、ってお父様も言ってましたわ」

市川「わ、私は市川です」

愛菜「あら、そう。市川さん、安全運転お願いね」

市川「まかせてくださいッ!」            
市川(ああ……『運転』は『安全』にしてやるよ。運転だけ『は』安全にな……)

愛菜「ハァ……」

市川「あれ……お嬢さま、何かお悩みで?」

愛菜「いや……、まぁちょっと悩んでるけど」

市川「聞かせてくださいよぉ」

愛菜「私学校でバカって言われるの。 これが嫌なのよねぇ。
    学力は全然問題なしなんだけど……、なんか天然ボケだか発想がおかしいとか言われるのよ」

市川「それは……」

愛菜「私は普通に考えて、普通に声を出してるのになぜかしらねぇ」

市川「そうですか……」
市川(しょうもねぇ…… こいつがこんなショボくれた事で悩んでいる隣で俺は明日の金とか立場とかを考え   
   ているのか――、こいつはエレベーターのように親のレールに沿っていけばあまり不自由なく暮ら   
   せるわけだ。こいつは許せないよなァ~~)

市川「おや……踏切……」

愛菜「この踏切って開くの遅いのよねぇ」

市川(そろそろ……、やるか……)
市川「あの……お嬢さま?」

愛菜「ん?」

市川「ちょっと素敵な『指輪』があるんですが……、着けてみません?」

愛菜「『指輪』?」

市川「えぇ~~、とても素敵な指輪ですよぉ~~。これなんですがね。私の着けてる」
キラッ

愛菜「……ん? ただの粗末な安っぽいリングにしか見えませんけど……」
                                                                 ・ ・
市川「………………、いやぁ~~~。そういう質じゃあないんですよ。な・か・み、これの持つ効力の方が大事
なんですよぉ? ほらぁ、かの哲学者もこういってるじゃないですか? 『外見』より『中身』が大事って」

愛菜「そうねぇ。 でも、そのリング、なんの中身的価値があるの?」

市川「それっ、聞いて欲しいんですよ。なんと頭が良くなるんですよォ」

愛菜「……へぇ。それは凄いわね」

市川「いやぁ、実は私がつけさせていただいてたんですけどぉ? これつけてると友達の会話とかで、あんま   
    りバカにされませんでしたねぇ」

愛菜「……ほ、ほう」

市川(フフッ・・・・・・興味を引いてるな まぁ興味を引かなくても引いても変わらないが)

市川「いやぁ、お近づきの印に……これをお嬢さまなプレゼントしたいかなぁ~~と。あぁ……でもおしいで
   すね、こんなダサいリング合わないですもんねぇ……」

愛菜「いやいやいや、まぁほら、かの哲学者も『外見より中身が大事』って言ってるじゃない。 まぁ着けて   
    みるのも悪くはないわね」

市川「そうですか、ではこれを」

愛菜「これか……、二つ? 二つ着けるのかしら?」

市川「そうです。右手と左手にね」

スチャ
愛菜「これでいいのね……」

市川「これでいいのです、どうですか?」

愛菜「うーん、頭が良くなる感じはしないんだけどねぇ」

市川「だろうな」

愛菜「えっ?」

市川「『ブレーダー・トレード』!!」
ブォン ガシン

突如リングが広がり、愛菜の両手首に双方の指輪が手錠にように絡まったッ!


愛菜「な――ッ!」

市川「フフフ……、右手首に指輪がかかって、左手首に指輪がかかって――うまく知恵の輪みたいに引っ掛    
    かったなぁ~~。これでお前は……両手は使えねぇ」

愛菜「え……え……」

市川「まぁ用心は大事だよなぁ、両足にも掛けとくか『ブレーダー・トレード』! 両足にも二つ掛けろ」
ガキューン ガシャンガシャン

愛菜「な――何をするの、貴方バイトでしょ……ッ!」

市川「え、まだ分からないのか? いやぁお前の友達の言ってることも分かるな、お前はバカだ。この状況でお前が
    眼の前にいるのはただのアルバイトと思っているのか?」

愛菜「ベテラン?」

市川「……何言ってんだ、お前は本当にバカだなぁ。お前は誘拐されたんだよ。俺の『ブレーダー・トレード』
    で手足を拘束されてな」

愛菜「じょ、冗談でしょ?」

市川「冗談なワケないだろう? まァ~~大丈夫だ、お前はそこに座ってるだけで済むさ。いろいろ大丈夫
    じゃなくなるけどな」

愛菜「ぐ……何をするつもり! 放しなさい! そんな誘拐が上手くいくと思っているのッ!」

市川「普通なら無理だろうが……俺にはスタンド能力があるからなァ~~。その指輪、俺が解除するまで一生
   外れないぜ」

愛菜「す……スタンド? 譲華さんがチラっと言っていた、あの……」

市川「知ってるなら、話が早い」

愛菜「だ、誰か……ッ! 助けてッ! お父様ッ! お母様ッ!」

市川「うるせぇ!」
ギュッ

愛菜「痛――ッ!」

市川「『ブレーダー・トレード』は伸縮自在・・・・・・、今はお前の手首のサイズにリングが広がってるが・・・・・・別に
    小指程度まで小さくしても良いんだぜ。まぁその場合、お前の手首はペチャンコのハンバーグみたいになっちまうがよ・・・・・・
    だから黙った方がいいぜ……」

愛菜「うぅぅ・・・・・・」

キンキン ガシャ

市川「お――どうやら踏切が開いたようだな~~。まぁ運が悪かったと思って諦めろ。大丈夫だ、   
    少し付き合ってもらうだけだからよ。お前のお父さんに電話してコウショーしてもらうだけの間さ
    少しドライブと行こうぜ」
    ブロロロロ...

愛菜「……うぅぅ、痛い。痛いよ」

市川「ハハッ、ぬくぬく過ごしてきたんだろォ……。そんぐらいの痛み我慢しろよ。そんならもっと痛くして   
    やろうか?」

愛菜「ぅ…… イヤ……」

市川「ヤベェな、マジ引きこもってたからわかんなかったが、俺ドSかもな。かわいい女の子の苦痛の声大好   
    きだわ。このスタンド……本当に手に入れて、俺はハッピーだなァー」

愛菜「助けて、お母さん……弓子さん……ロバート……」

市川「助けなんて来るわけないだろ? お前は本当に他人に頼ってばかりだな。少しは自分で何か切り開こう   
    という努力はしてもいいんじゃあないか? まァ? 他人に頼って生きてきた……クソ馬鹿なお嬢さま   
    には、何の行動も出来ないけどよォ。 ママに泣きつくしか出来ないんだろう?」
市川(やべぇ……、言葉責めもいいなぁ~~)

愛菜「私を・・・・・・馬鹿って言うな……、お前が言うなよ。この引き篭もり野郎....」

市川「おぅ?」

愛菜「私を馬鹿って呼ぶなッ!」

市川「アァン?」

ギュッチュッ
愛菜「ぁうぐあッ!」

市川「おいおい、あまり俺を怒らせてハンドル操作をミスらせるなよ、まだ仮免なんだからよぉ……。俺
    もさァ うら若き女の子の両手が紫色に変色するのなんか見たくないんだわ」

愛菜「ハァハァ」

市川「謝ったら許してやるよ、さぁ言えよ」

愛菜「……」

市川「言え、って言ってるんだろうがッ!!」
ギュウウウウン

愛菜「……あっぐぅ――ッ! ごめんなさ・・・・・・」

市川「あれ、最後の音が聞こえないぞ」

愛菜「・・・・・・イヤだ・・・・・・自分が優位に立った時にしか何も出来ないような、ゲスに
   謝りたくない・・・・・・ッ!」

市川「強情だな……、さっきここに座っていたドライバーもそんぐらい強情だったなァ」

愛菜「ッ!」
愛菜(そういえばこの車、私の家のモノ…・・・)
愛菜「あなた、ロバートは! ロバートはどうしたのッ!」

市川「ああ、ここに座ってた運転手か。作戦通り、道端で倒れていたらホイホイ来てくれてよぉ・・・
    そのまま『ブレーダー・トレード』で首にリングをかけてやったぜ」

愛菜「なっ――ッ!」

市川「首に指輪を巻きつけて、締め上げてもまだ俺に楯突いてきたからな。本当めんどくさかったぜ」       

愛菜「おまえ・・・」

市川「いやぁ俺は・・・・・・車だけ欲しかったんだよ。でも、アイツ『お嬢さまを守る』 なんとか言ってよォ。仕方ないよなァ」

市川「お前のために本当に頑張ってたぜ、あの老人
     まぁクビを折るほど締めてやったらやっと気絶したがなァ」

愛菜「おまえ……、おまえ――――ッ!」

市川「おっとダメだぜ、助手席でこれ以上暴れてもらったら……そろそろ通行客とかが不振に思うかもしれ    
    ねぇ……、首をしめあげるぞ? 指輪は10個しかないんだぜ……もう残り6個しかないからさァ?
    あんまり使わせるなよ?」

愛菜「生きてるの――ッ!? ねぇロバートを殺してないでしょうね……ッ!」

市川「さァ~~? そこは運次第だろう? やっぱそこは運だよなァ……、ほんと神様は残酷だよなぁ~~
   毎日必死で生きてる人の命を取ってくんだものなァ~~」

愛菜「お前がやったんだろうが・・・・・・」

市川「『お前がやったんだろうが・・・・・・キリッ』だっておwwwww」


プッツーン


愛菜「許さない……、ゲスが……」

市川「あ?」

愛菜「ロバートは、家に毎日いないお父様の代わりにいつも私を見てくれてた…」

市川「ン……」

愛菜「確かに仕方ないわ、いつも多忙なお父様ですもの。お母様は病気で死んで、私は家にほとんど一人。
    今ではもう気にならなかったけど、子供のころの私にはとてもつらかったでしょうね。
    でも、私はいつも孤独ではなかった。彼が居たから」

愛菜「執事だから、と私を下から見ず、悪い事をしたなら怒ってくれる
    しかし、良いことをしたらまるで自分の事にように極上に喜んでくれる……
    ロバートは私のなりたい人の目標で、また家族よりも家族らしい大好きな人だったのに……」
    お前はそれをッ……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

市川(な……なんかおかしいぞ。こいつただの女と思ってたのに……、何か迫力が……)

愛菜「私の誇りを汚した貴方は。もう許しはしないッ!」

市川「だ、だからどうしたって言うんだよッ! お前に何が出来るっていうんだよッ!」

愛菜「うおおおおおおおおおおお!」

バシュンバシュンバシュン
両手首、両足首からトゲが飛び出し、かかってあるリングを切り裂いたッ!

バキューン
??『SUPAHHHHHHHHHHHHHHHHHH』

市川「何ィ――ッ!! スタンドだとっ!!」

愛菜「そういえば……、譲華さんが言ってたっけ……スタンドの事を。冗談と思ってたけど実はホントだったのね
    確か情報だと憎むべき相手をボコボコに出来るらしいけど……。あの時は、野蛮だから私にはい   
    らないと思ったけど……今このとき私はこの能力は最高だなぁ、と思うよ」

市川「お前もナイフに刺されていたのかッ!」

愛菜「ナイフ? 昨日、駅で服を切り裂かれたけど、アレがそうなのか?
    まぁどうでもいいわ」

市川「チクショウ  『ブレーダー・トレード』ッ! こいつの首に……」

??『スパアァァ!!』
ドゴン

市川「オゴ……グバァ」
バゴォン ドシャ

愛菜「さて、おしおきタイムの始まりね」
ビシッ

車は道路沿いの場所に急停止した。


市川(あ……なんで、こんな…… 俺の人生はやる事なす事…… うまく行かないんだ? イヤだ~~
   金が欲しい……)

愛菜「さて、後は貴方を私の気の済むまでボコボコにして終わりというところかな」

市川「ザケんじゃねぇぞ……、まだ終わってねぇ~~。オメェみたいなスイーツにこんな所まで負けたくねぇ……!」
ガチャ

愛菜「車の扉を開けて逃げる気か? 残念だ。私のスタンドの突きはもっとそれより多分早いぞっ!」
??『スパッ!』
ドゴッ

市川「そ……それを待っていたんだよ」

愛菜「何ッ!」

ガシャーン バタン
市川「グフッ……、お前が闇雲に俺を殴ったおかげで、力を利用して車の外に出れたぜ……」

愛菜「ま、待て!」
バタン

市川「車の中では確かに近距離ですげぇパワーを出せるお前のスタンドのほうがいいかのしれねぇが……、通   
    りという大きな所に出たら話は別だなァ?」

愛菜「? 貴方のリングなんてもう叩き潰せるのよ? どうする気?」

市川「フフ……、ここで逃げさせてもらう」

愛菜「な……なによそれ」

市川「今、戦ってもいいんだが、確実に勝てるようにするんだぜ。実は協力者が居てな。
   そいつもスタンド使いなんだ。今度はそいつと一緒にお前を・・・・・・
   まァ別に他の奴でもいいが・・・・・・誘拐させてもらう」

愛菜「もう、顔は割れてるのよッ!」

市川「こんな顔すぐにはバレないさ、しかも俺には『ブレーダー・トレード』があるしな。バレたらそいつを拘束すればいい」

愛菜(今、逃がしたら私は複数で狙われてしまう・・・・・・そしてもしかしたら他人が狙われるかも知れない
   そんな事はさせちゃいけないッ! ここでコイツを仕留めるッ!)
愛菜「逃がすと思うか?」

市川「一応俺は元短距離スプリントの県大会選手だったんだぜ? まぁ夢破れて落ちぶれちまったんだが
   少なくとも女に追いつかれるような足は持ってねぇ!」

愛菜「何だと・・・」

市川「じゃあな、俺達にいつ襲われるかビクビクしながら暮らしやがれッ!」
              ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
愛菜「・・・・・・良いわ。逃げても、別に逃げてもいいわ」

市川「ああ、やっとカンネンしたか?」
                          ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・            
愛菜「別にいいわ。逃げても、まぁ・・・・・・そんなものを肩につけて目立たず逃げれるというのなら、ね」

市川「なんだとッ!」

市川の右肩から大きなトゲが突き出ていた。
肩の肉によって、出来ているように見える。

市川「何ィ・・・・・・!」

愛菜「どうやら、さっきもそうだったけど私の手首足首からトゲが出てたのよ。これが多分私の能力。
    さっき車の中で殴った時に着けといたの、試しにね。こんな事で役に立つとは思わなかったけど」
    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
愛菜「殴った所にトゲを発生させる能力。このスタンドに名を付けるなら・・・・・そうね。
    『ダウンワード・スパイラル 』とでも名付けようかしら」バァーン

市川「お前ッ!」

愛菜「別に逃げてもいいわよ、まぁでも。私は警察に『右肩にトゲが付いている人間』
    を探してください、とでも言うわね。確かに顔ならいろいろ似た顔が居たり、この町の住人も無関心でしょうけど
    肩からトゲが生えてる奴を探してください、なら。すぐに見つかるでしょうね」

市川「なんだと・・・!」

愛菜「貴方がここで逃げても、脅えるのは貴方のほうよッ!」

市川「貴様ッ!」

市川「お前、得意になってるかもしれないが、ここで俺を逃がしとけば少なくとも安心は得られたんだぞ。
    ここで逃がさなかったって事は、お前は俺に本気で勝負されるって事だぞ」

愛菜「逃がすわけにはいかない、この町で貴方みたいなのがのさばってると恥なのよ」

市川「そうか、だったらお話は終わりだ。お前はここで倒されろ」

愛菜「フン。でもリングを手首や足首や首にひっかけても、私はトゲでぶっ壊すだけだけど
    どうする気?」

市川「そんな遊びじゃねぇよ、今からお前を殺す」


バゥン シュバァアアアア

市川の右手に嵌まってある全てのリングが愛菜の方へ向けて射出された。


愛菜「なッ!」

市川「だってよぉ…… 殺しちゃあ、意味ないんだよなぁ。俺の目的は身代金として大金せしめることだもん   
     なぁ? この方法は殺すかもしれないからやりたくなかったけど、コイツがかかって来たから仕方ないよなッ!」

愛菜「殺すだと? どうやってだ。たかがリングこのスタンドなら叩き壊せるぞ!」

市川「心臓の……大動脈にリングを掛ける。 そして締めれば大動脈は裂け……まぁ多く見積もって30秒ほど
   で死ぬだろうな」

愛菜「何だってッ! 『ダウンワード・スパイラル』 全部リングをはじけッ!!」
D.S『スパアアアアアアアアアアアアァァ』
バシバシバシバシバシバシバシバシバシ

愛菜「フン、どう? 貴方のリングも全部叩き落しちゃったけど? これが貴方の策?」

市川「そうだぜ……、策さ。まだ終わってねぇがなッ!」

カタカタカタカタカタカタカタ
愛菜「何……! 叩き落したリングがまだ動いているッ!」

市川「俺の能力はリングをカクジツに掛ける! 確かにショボい能力だと思うが……ただただ相手の一点に掛   
    けるという事だけは秀でているぜッ! 俺が能力を解除するまでリングはお前に向い続ける!」
バシュン 

愛菜「うりゃあああああ!!」
D.S『スパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』
愛菜「……な、なんかスピードが速くなっているッ!」

市川「弾けば弾くほど向ってくるスピードは速くなっていくぜぇ!」

愛菜「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、ならば捨て身の覚悟で本体を叩くまで!」

指輪を全て叩き落した愛菜は、瞬間、市川に走り出したッ!
落ちてからもう一度向ってくる時間にはタイムラグが発生する!
そこを狙うッ!

市川「ヤ、ヤバい!」

愛菜「いけええええええええ、うおおおおおおおおおおおおお」
    ・・・・・・・・
市川「なんて、な」


愛菜「な――」
グサッ

落ちていたリングの一つが愛菜の背中に刺さった!


市川「フフフフヒヒヒヒヒハハハハ、最初にお前が弾いたリングの一つが――まだお前に向ってなかったん
   だよ」

愛菜「わ、わざとタイムラグを発生させたな……右手の5つのリングを飛ばす時に一つだけゆっくり飛ばして・・・・・・
   一度叩き落した時に、二度目に遅れるようにワザト・・・・・・」

市川「予想通りってわけさ」

愛菜「ゲホッ……」

市川「これで俺が少しでもリングを締めればお前は死ぬ……。俺は穏便に済ませたかったんだよな…… しか   
    し……これで俺の誘拐作戦は完結だ。しこたま金を取ってやるぜ!」

愛菜「……」

市川「車に戻るぞ! ほら、行け!」

愛菜「いや……戻らないわ」

市川「なんだと……死にたいのか! もうリングはお前の背中をつらぬき、心臓の大動脈にひっかかってるん   
    だ。それを分からないのかァ!」

愛菜「貴方が締め付けるより先に貴方をぶん殴ればいいですものねッ!」

市川「お前・・・・・・俺がやらないとでも思っているのか? 確かにお前を殺しちまったら金は 
    取れねぇが、この町を出て他の町でやるって選択もありなんだぜ。
    どーせ、死因は血栓が心臓に詰まったとかになる。
    このスタンドじゃなければ、心臓の管が締まって死ぬなんて人が出来ねぇもんな。
    俺の殺人は立証されないッ!
    つまり、俺はまんまと逃げれるわけだぜッ!」

愛菜「負けるかッ! 負けるかッ! うおおおおおおおおおおおお」
D.S『スパアアアアアアアアアアアア』

市川「もう終わりだッ! お前は死ねええええええええええ」

愛菜「当たったッ! 私の突きの方が早かった!」
バゴオン

市川「いや・・・・・・お前の負けだ。間一髪後ろに仰け反って、ダメージを抑えた・・・・・・
    能力はまだ解除してねぇ・・・・・・俺の勝ちだッ! 死ねッ!」

愛菜「――ッ!」
バタッ

市川「フフフ・・・・・・、勝ったぜ。俺の精神は今ので大きく成長した。もうニートなんかじゃねぇ!
    誘拐じゃなくて、殺し屋でもやってみるかな」

スクッ
愛菜「どうやらお前のニート生活はまだ続きそうだぞ?」
D.S『スパッ!』
バゴオン

市川「・・・オゴハッ!」

愛菜「ふふッ」

市川「な……なんでだァ~~。心臓をリングで締めたのになんで生きてるんだァ~~」

愛菜「……これの事か?」

愛菜は背中に突き刺さっていた。リングを抜き出した。


市川「な、なんだそれ……ッ!」
              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
愛菜「『元』・リングだ。最初に叩き落した時すでに私はトゲをつけていた。そしてトゲを大きくさせて、ねじ切った」

市川「何ィ~~~~!!」

愛菜「輪でなくなったリングはただの鉄くずにすぎない。だからお前の能力は途中で無効化したんだ
   まぁ・・・ 加速度はなくならかったから刺さっちゃったが まぁちょっと倒れただけで体にはなんともない」

市川「う……う……」

市川「『ブレーダァ~・トレードォ~』」

愛菜「右手にも左手もにもリングはもうないわよ、だって貴方ロバートに一個つかちゃったものね。
    まぁいくらあっても私には通用しないけど」

市川「待って待って待って! 冗談ですよぉ~~! 執事の人も死んだとか、脅しましたけどまだ全然生きてますッ!
    気絶だけです。殺せるわけないじゃないですか~~ 悪ふざけだったんです~~~~!」

愛菜「そう、悪ふざけだったの。でも私あなたが言ったとおり『バカ』だから、何言ってるかわからないのよ。
    だから気の済むまで殴らせていただくわ」

市川「こ、こ、こ殺さないですよねぇ? まさか・・・?」

愛菜「さァ? そこは運次第でしょう? やっぱそこは運だよねぇ? ほんと神様は残酷ですわよねぇ?」

市川「うわああああああああああああああ」

愛菜「スプスプスプスプスプスプスプスプススプスプスプ
     スプラッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
ドコドコドコドドコドコドコドコドンッッッッ!

市川「――ッ!!!!!!」
ドッシャーン バタン

愛菜「でもまぁこれで貴方の顔も『バカ』みたいにになった事だし、人には言えなくなったでしょうねぇ・・・」




市川拓斗→重症 
香坂愛菜→スタンド『ダウンワード・スパイラル』を身に着けた。そしてちょっぴり賢くなり、ハイになったのか髪形も変わった。

to be continued...
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