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48話「『アクセンスター』」の巻

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orisuta

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――JOJOたちが立ち去った数分後

空中に浮かび、雷鳥達を見下ろしていた『ディープ・フォレスト』は、
ふとその顔を上げると、『ブレッド』の屋根の上に降り立ちその姿を物陰に隠した。

それからほどなくして、樋口耀壱が現れる。

正直に言って、『ディープ・フォレスト』はあの樋口耀壱がJOJOたちに
勝てるなどとは本当にこれっぽっちも考えていなかった。

特に理屈があるわけではない。ただ、なんとなく、そんな気がしたのだ。
だが、それでもいいと『ディープ・フォレスト』は考えていた。

自分に、『運命』に立ち向かうあの少年たちの姿勢!

敵ながらすがすがしいくらいだとさえ『ディープ・フォレスト』は感じていた。
かといって、別にJOJOたちに勝ってほしいとは考えていなかった。
むしろ、本心では樋口耀壱に、『アクセンスター』に勝ってほしいのだ。
一種の諦観のようなものなのだろう、と『ディープ・フォレスト』は考える。

たかが触れた物を消し去る程度の能力であいつらに敵うはずがない(●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●)

それが『ディープ・フォレスト』の結論だった。

『運命』の具現たる自分自身が死力を尽くして尽くして尽くして尽くして尽くして尽くしても、きっと敵うことはない。
何故なら彼らにとって自分とは、都合の悪い『運命』は、乗り越えるだけの軽い障害にしかならないのだから。
それを『たかがdeleteキーを持っているだけの』運命にすがった人間が打ち勝つことなど不可能に決まっている。

しかし、であればこそ、精精彼らに倒され、消滅するその瞬間まで、
この『ディープ・フォレスト』としての生活を楽しませてもらおう。
樋口耀壱はそのための暇つぶしだった。


耀壱「……カズハに、平塚雷鳥に、……あと余計なモノがひとつ、か。」
萌「馬鹿にしてんの?爆破するわよ?」

耀壱「ほぉ、怖いなあ、それは……。」スッ

雷鳥「…………。」ヴン
カズハ「『ザ・ファイナルレクイエム』!」グン

耀壱「……戦闘体勢か……。面白い。3人まとめてかかってくるがいい。」

雷鳥「…………。」
カズハ「このッ……!」グアッ

ガシッ

カズハ「……雷鳥さん?」
雷鳥「ばか、カズハちゃん。それで本当に攻めて行ったら完璧に返り討ちでしょ?
    それに耀壱の「返り討ち」が意味することくらい、分かるわよね?」

萌「……消滅、ね。」ヤレヤレ

雷鳥「そう。分かったら私に任せなさい。たかが触れた物を消し去る程度の能力くらい(●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●)

雷鳥「この私の『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』の敵じゃ、ないわよ?」ニコッ

耀壱「……言ってくれるな、小娘が」

雷鳥「あら、これでも成人してるのよ?もう20代半ば。いやね、年取るって。」

耀壱「……ほざけッ!『アクセンスター』ッ!」

雷鳥「……『ティアーズ』…………『オブ』……」

雷鳥「『マグダレーナ』ッ!」ドォオオ――ン!

世界の色彩が、反転した。



……そこからの展開は、一方的だった。

耀壱の『アクセンスター』は触れたものなら全て消し去れる無敵の能力だ。
格闘戦になれば一撃拳を打ち合わせただけでゲームオーバー。
戦う相手はその拳をかわしながら『アクセンスター』を戦うことがそもそも前提条件となる。
まさに無敵。『最強の能力』である。

しかし、所詮それだけである。
アクセンスターは「触れたものなら全て消し去れる」。しかし、裏を返せば「触れなければ何も消し去れない」のである。
死角から来た拳を辛うじてガードしようと、思わぬ攻撃に足をやられても、それは「触れた」のではなく、
「触れられた」ということになり、『アクセンスター』の無敵で最強な能力は発動できない。

加えて、『アクセンスター』のスピード能力は実はそこまで高くない。
せいぜい『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』より少し速いか、同じくらいである。
そんなスピードで、『予知』を持ち『ヒートウェイヴ』の拳さえさばいてみせた雷鳥に、
打ち勝つことなど土台からして不可能な話だったのである。

耀壱「……!『アクセン』……『スター』ッ!」

AS『シバアッ!』バシバシバシッ
TOM『無駄、無駄、無駄、無駄。』パシンッパシン

耀壱「うぐあああ――ッ!」

『アクセンスター』のラッシュは、ことごとく『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』にかわされ、弾かれ、
そしてあまつさえその間をくぐって顔面にパンチを連続でもらうという最悪の形で防御される。
それも初めてではない。何度となく、これと同じ展開を続けているのだ。

雷鳥「ほらほら、そんなもんなの?『アクセンスター』ッ!」
TOM『オラオラオラァ!』ガッドォゴッ

AS『うおおおおッ!?』ガシィッ

雷鳥「そこでガードするのも『予知』済み!そこからの攻撃も既に分かっているわ!」
TOM『そこォッ!』ビシィ!

耀壱「あぐっ……!」

雷鳥「ひるんだわね樋口耀壱ッ!」
耀壱「ハッ……しまった!」

TOM『オオオォォォラアアアアッ!』ドゴォ

そこに『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』の回し蹴りが決まる。

ドザァ

耀壱「カハッ……ぐっ……!ぐほぉ……『平塚雷鳥』……!ここまで……!ここまで化け物とは……!」

スタスタ

雷鳥「ほら、ほらほらほらほらほらほらほらほらほら?どうしたの?
    さっきまでの威勢は?ほぉら、立ち上がってみなさいよ?いい大人が地べたに這いつくばってないでさあ!」

雷鳥の表情は微笑さえ称えていたが、その瞳は決して笑ってはいなかった。
むしろその瞳の奥には、煮えたぎる憎悪の炎さえ灯っていた。

雷鳥も、冷静ではないのだ。いや、冷静でいられるはずがない。
雷鳥は、なんだかんだ言ってカズハを大切に思っている。
行動を共にしている内に情が移った、といえばそこまでだが、彼女はカズハを自分の妹のように感じていた。
表情の変化や、語調の変化こそ少ない。しかし、彼女は他人の痛みが分かる、心優しい、感情を持った『人間』だ。
その妹は、父の話になると何の感情も浮かべなくなる。『無』だ。『無』を顔に浮かべる。
それは、溢れんばかりの『悲しみ』『怒り』『恐怖』を隠す為の蓋。

何故、若干16歳、まだまだ青春真っ盛りの彼女がこんな目に遭わなければいけないのか?
自分が16歳の頃は、友達と一緒にわいわいと、青春を堪能していたではないか。
それを、どうしてこの少女だけが、それらを味わう権利を奪われているのだ?

全てこの男の所為だ。
この男が、カズハの幸せを奪った。

耀壱「うぐ……ぐ」スゥ

苦し紛れに耀壱が雷鳥の足を掴もうとする。
その手は二重……『アクセンスター』も同じ行動をとっている。

ヒョイ

しかし、『アクセンスター』が雷鳥の足に触れる寸前といったところで、
その足は唐突に避けられた。

雷鳥「おっと、『腕』で私の足を握ろうとしても無駄よ?無駄無駄。
    怒りで我を失った平塚雷鳥は、善戦空しく一瞬の隙を突かれて敗北、消滅してしまいました、なんてオチ?
    はは、ないないないない。私は平塚雷鳥よ?そう、全部予想済みなの。たとえ怒り狂おうと、全部ね。
    たかが『消し去る』能力が、怒り狂ってるとはいえ私の隙に付け込む?無理無理無理無理。不可能な話よ。」

雷鳥「だから無駄なの。あんたが何をしようと……あんたのような人間が……何をしようと……
    あんたみたいなあんたみたいなあんたみたいな――ッ!!」

ドゴォ!

『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』の蹴りが耀壱の腹に決まる。
まるで重力の向きが変わったかのような勢いで耀壱の体は地面に水平に吹っ飛ぶ。
そしてその後を雷鳥が追う。

雷鳥「まだ終わらないわよ?平塚雷鳥を怒らせてるんだもの。この程度で終わるはずがないわ。
    腕がへし折れても足がへし折れても鼻がへし折れても」

耀壱「ぐ……!分が……悪い…………!
    駄目だ……。このまま続けては……や……やられてしまう!!……この樋口耀壱が……!」

ド ド ド

耀壱「『ディープ・フォレスト』……。」

耀壱「……どうせどこからか見ているのだろう……?来い……『矢』を寄越せ。」

耀壱「お前はわたしに語ったな……。『矢』はスタンドに『進化』をもたらすと。」

耀壱「お前はその力で、現在の「力」を手に入れたと言っていたな。ならば、それを俺にももたらせ。」

耀壱は、あくまで冷静に、つとめて冷静に『ディープ・フォレスト』を呼び出した。
それはたとえるなら、「奥の手を出せ」と言わんばかりの発言だった。
が、それは間違いである。この状況を鑑みるなら、「奥の手を出せ」という命令ではなく。
「助けてくれ」、という救援信号。そう言った方が間違いはない。

そんな耀壱を、『ディープ・フォレスト』は冷たい表情で見下ろしていた。

D・F《フン……ショセン凡人……最後ニハ「運命」ニスガルカ……。ツマラン。》

この時点で、『ディープ・フォレスト』は見誤っていた。

『樋口耀壱』という人間を、いや。

『樋口耀壱』という支配者の『意地』を、見くびっていた。

D・F《殺スカ……コノ『ぼへみあん・ばれっと』デ。》スッ……

ガグゥ!

D・F『!?』

『ディープ・フォレスト』の腕が独りでに耀壱の方を向き、固定される。

いや、正確に言うと、『ディープ・フォレスト(●●●● ●●●●●)の腕にある(●●●●●)()が樋口耀壱を向いた(●●●●●●●●●)

耀壱「『矢』のパワーは真の勝利者に微笑む……!『絶頂を掴むべき者』に……!」

D・F『ウオオオオオッ!?』

ボジッ!

『ディープ・フォレスト』の右掌を突き破り、『矢』がその顔を現す。

耀壱「そうだッ!来い……!」

雷鳥「マズイ……この状況はッ!」

ドォオオ―――ンッ

その瞬間、世界の色彩が反転した。

雷鳥「『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』……予知は始まる」

D・F『…………。』

予知を始めた雷鳥は、『ディープ・フォレスト』の軽口をかわす心の準備をしたが、
いつまでたってもそれはこなかった。見ると、『ディープ・フォレスト』の動きがコマ送りの映像になっている。

雷鳥「……運命に…………見放された……?」

そして、耀壱の『未来』を見る。

耀壱「…………!」メギョォ

耀壱の腕に「穴」があく。
おそらく『矢』が突き刺さった「穴」だろう。
穴は何故かボコボコと広がっていき、肩に穴ができたところで耀壱の肩から血が噴出した。

雷鳥「えッ!?」

てっきり耀壱が『矢』によってパワーアップすると考えていた雷鳥は、その光景に思わず声を上げた。

耀壱「―――ッ!?」

耀壱が、何かを叫んでいる「画像」が見える。


ピタッ

と、唐突に「画像」が停止した。

雷鳥(……?まだ「一分」は経っていないはず……。)

ギョロ

耀壱の「画像」が雷鳥の方を向いた。

そして口を動かす。

()」   パク

()」 パク

()」  パク

()」 パク

耀壱の口が動く。
実際に発音ができるわけではないが、口は、確かにそう動いていた。
特別読唇術に長けているわけでもない雷鳥でも、なぜか理解できた。

あまいな(●●●●)らいちょう(●●●●●)

耀壱の口は確かにそう動いた。

「予知の映像」がそう動いたのではない。
――いや……厳密に言うと「予知の映像」が動いたのだが――
この「口の動き」は予知によってもたらされたものではない。

予知ではない(●●●●●●)雷鳥の意に反した勝手な行動(●●●●●●●●●●●●●)

「耀壱の映像」が口を開く。
……いや、正確には耀壱であって動いている意志は耀壱の意志ではない。
それはいわば、『運命』の意志とも言えるものだった。
そして、『ディープ・フォレスト』の場合と違い、耀壱は『運命』そのものではない。

「『運命(●●)自身の(●●●)運命(●●)を見る事など誰もできやしない(●●●●●●●●●●●●●●)

 炎を燃やすことができないのと同じくらい(●●●●●●●●●●●●●●●●●●●)――

 樋口耀壱には今(●●●●●●●)運命(●●)が味方に付いている(●●●●●●●●●)

 といっても一秒にも満たないほんの数瞬の間だけだが(●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●)

ゾッ、と。
雷鳥は全身に怖気が走るのを痛いくらい自覚した。


樋口耀壱が(●●●●●)入門(●●)した(●●)この(●●)運命(●●)を操作する場所(●●●●●●●)(ステージ)()

雷鳥「クッ……!耀壱の『未来』が見えないなら、他の全てを『観察』して未来を予測するまでッ!」

雷鳥のマグマにも勝る怒りは、とうの昔に冷め切っていた。
いや、戦慄というさらに強い感情に塗りつぶされた、というのが正しいか。

と、振り返った雷鳥は思わず自らの目を疑った。

カズハの、腹に、『穴』。

正方形の、精密機械でもなければあけられないだろうと考えてしまうほどにきれいな正方形の穴がそこにあった。
そしてそれは、カズハが『消滅する』という未来をそのまま映し出していた。

雷鳥「なっ……馬鹿なアアアアアアアアァァァァア―――――ッッ!!?」

思わず雷鳥は絶叫した。

雷鳥「嘘だッ!『アクセンスター』は触れなければ発動できない能力のはず!でなければ私はとうに死んでいた!」

雷鳥「何故!?何故……カズハちゃんが――……」

その時、直前の「不具合」を思い出した。

雷鳥「『矢』―――!!」

そこに至った雷鳥は、思わず笑みをこぼした。

雷鳥「フ、」

雷鳥「フフ、そ、そういう筋書き……なんておかしい、なんて陳腐な。」

雷鳥「『平塚雷鳥は、進化した樋口耀壱の能力から樋口和巴を助けるため、身代わりになって『消滅』した』、と。」

雷鳥「そんなくだらない筋書き―――!!」

そこで、雷鳥の目に力が込められる。
しかし、その力が持続することはなかった。

雷鳥「……残念だケド、ここまで、みたいね……。時でも止められれば、話は変わってくるんだろうけど。」

雷鳥「『予知』は終わる。そして――!」クルゥ

雷鳥(萌の『チェリー・ボム』に弾幕を張らせて、『消滅』に対する防護幕にするのも、考えてはみたけど、間に合いそうもない。)

雷鳥(カズハちゃんまで、10m……怒りに任せてこんなとこまで耀壱を蹴り飛ばしちゃった、って意味では、
    敵が格下だからって安心して怒り狂っちゃった私の敗北、かな…………。)

雷鳥(やっぱ、私はこういう役回りになっちゃうのかしらね。)クス

雷鳥「JOJOッ!後は託したわよ!あんたに!!」バッ!

――突然だが、時間は2,3秒ほど巻き戻る。

そもそも、考えてもみてほしい。
何故、耀壱が『矢』に突き刺されてから、進化した『アクセンスター』でカズハを消しにかかるまでの間、
カズハが、ひいては萌が何もしていなかったのか?「何もしていなかった」というのは間違いである。

正確には、『何もできなかった(●●●●●●●●)』のだ。

耀壱「うおおおおおおおおおおおッ!」ズブズブ

D・F『馬鹿ナ!矢ガコノ男ヲ選ブトハ――!』

カズハ「まずい!『矢』を完全に馴染ませたら――」
萌「『チェリー・――」
耀壱「ぐ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ!!?

カズハ「!?」

ボコボコ

ボコ

耀壱の腕に穴が広がっていき、雷鳥の予知の通り、右肩に穴が広がったところで血が噴出した。

そして、次の瞬間、

耀壱「あ、『アクセンスター』ッ!!!」バシュッ

『矢』は「消滅」させられた。

「本体」を失った『ディープ・フォレスト』も、いない。


『矢』・・・『ディープ・フォレスト』―→この世から『消滅』する。


耀壱「くはぁーッ、くはぁーッ……所詮は……『矢』などという不確定なものに頼ったのが間違いだった……!」

カズハ「……!」ダッダッ
萌「待ちなよカズハ!何かマズイ!」

雷鳥(やっぱ、私はこういう役回りになっちゃうのかしらね。)クスッ

耀壱「『来るな』ッ!」バァッ

雷鳥「JOJOッ!後は託したわよ!あんたに!!」バッ!


  ズギュウウウウン

雷鳥「…………!」

カズハ「……は?」
萌「……!」

雷鳥の腹部には、正方形の「穴」が開いていた。

カズハ「馬鹿……な……!『アクセンスター』はッ!雷鳥さんに触れているわけがッそんなところは見ていない……!」

ガシィ

ボシッ

雷鳥「カズハちゃん……!『アクセンスター』は今、確実に「成長」した!彼の能力は触れなくてもあなたたちを『消せる』。」

雷鳥「でもね……!前触れもなく、能力が使えるわけではない。、視線なり、体の向きなり、
    それこそ手を対象の方へ向けたりして、「意識」しないと選択はできないはず。」ボシィ

雷鳥「その『一瞬』を見抜いて……!そうすれば今の耀壱も……」 ボシボシ
耀壱「『消えろ』、敗北者が!」バァッ

耀壱が雷鳥の方向へ腕を向ける。

雷鳥「―――」 ズボォ

その瞬間、雷鳥の右目が正方形の穴に変わった。

ボスッ ボスッ ボッ

雷鳥「あと、は……た……、のん、……だ…………わよ……。」ボ シ ィ

カズハ「雷鳥さアアァァァ―――んッ!!」

耀壱「……くく、ここで雷鳥を消せたのは大きいな……。残ったのは、か弱い小娘のみ……、か」

カズハ「…………!」

萌「……!『チェリー・ボム』ッ!」ドシュンッ

耀壱「フン。『消えろ』」ボシィァ

萌「女には……死ぬと分かっていても闘わなきゃいけない時がある……ってね!」
カズハ「えっ!まさかッ!」

萌「このまま闘りあっても私たちに勝ち目はない!アンタの『ファイナルレクイエム』と違って『チェリー・ボム』ならある程度
  時間稼ぎをすることはできる!私が食い止めてる内に早いトコJOJOたちのところに逃げてッ!!」
カズハ「でっ……でも……!」

萌「速くしろ――ッ!いいか!何もオメーを助けたくって言ってるわけじゃあねーんだよッ!
  私もオメーも『消滅』したら誰がお姉さまに『耀壱が進化した』っていうフザけた情報を伝えるんだッ!」
カズハ「…………。」

カズハ「分かったッ!」ダッ

耀壱「……逃がすか、『消えろ』。」
萌「『チェリー・ボム』。」ズラァァ    ボシッ

耀壱「……!」
萌「アンタの相手は私だって言ってるじゃん?」ゴゴゴ

萌(ああ、お姉さま……!こんなことならせめて死ぬ前にお姉さまに死ぬほど甘えておけばよかった……!)


カズハ「ハッ……!ハッ……!くそっ!くそっ……!」ダッダッ

カズハ「なんで……!どうして雷鳥さんが(●●●●●)あんなヤツに消されなきゃいけない……!
     どうして私はあんなヤツ程度にも勝つことができない……!」

耀壱「…………。」ヌゥー

カズハ「ハッ!も、もう来た……!」

耀壱「…………。」スッ

カズハ(……来るッ!かわさなくてはッ!)

耀壱「『消えろ』、カズハ……。」
カズハ(今だッ!)ダッ!

咄嗟にゴミ箱の物陰に隠れるカズハ。

耀壱「……なるほど、考えたな、カズハ……。わたしの『進化したアクセンスター』が、
    能力を発動する一瞬前に隠れれば、確かに消滅を逃れることができる……。」

耀壱「だが甘いな、『そこを退け、障害物』。」バシュッ

カズハ「あっ……!」
耀壱「こうして障害物を消し去ってしまえば……。隠れるものなど何もない。」

カズハ(……!ど、どうにかして……!何かに隠れないと……!)
耀壱「さて、……これでわたしの『能力の進化』を知るものは全て消える事になった……。後始末などたやすいものよ。」

耀壱「『消え……」ググ

耀壱「……何?腕が、上がらない、だと?」ググググ

カズハ(えっ……?私も動けない……!?)グググ


「……オーマイ。俺たちは耀壱に対してカズハ一人を戦わせにいかせたっていうのか?そりゃあ悪い冗談だぜ。」スタスタ

誰一人動くことの許されない空間を、何かをかきわけるようにして歩く少年。

耀壱(…………馬鹿な、お前がいたところでこの現象の理由は説明できんぞ(●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●)!?)

「……二人ばかし、消されちまったみたいだな……。それも、どっちも死ぬようなタマじゃねーキャラがよ……。」

カズハ「……!」

「……助太刀に来るのが、遅くなって悪い。」スタスタ
カズハ「JOJO!!」

JOJO「さぁて、樋口耀壱。最終ラウンドと行こうぜ。」



To Be Continued...




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