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49話「『ヒートウェイヴ』は燃え尽きない――」の巻

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orisuta

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耀壱「……JOJO……!」

JOJO「ま!もっとも今のお前の状態じゃあ、まともに戦うこともできねーだろうが……。」
カズハ「JOJO!気を付けて!今の『アクセンスター』は触れなくても指差すだけでものを『消滅』させられる!」

JOJO「なんだと!?そいつぁ耳寄りな情報だな……。あぶねぇあぶねぇ、やられるところだったぜ。」スタスタ

耀壱「…………!!」
JOJO「どうだ?自分の後ろに回りこまれる気分は。」

JOJO「……今のところはここまでが限界か。」

フッ

耀壱(動きが戻ったッ……!)

耀壱「フハハッ!死ねッ!まずはカズハからだッ!
    (こうすればJOJOはカズハを庇って……!)」
HW『FIREッ!!』バギッ!

耀壱「ぐおおおおおっ!?」

JOJO「馬鹿が……そんな攻撃、俺が許すわけがねぇだろうが。
     あと、ついでにお前の腕は俺の『ヒートウェイヴ』で捻じ曲げさせてもらったぜ。なんとなくだがな。」
耀壱「うおおおお!?わたしの腕がァアァアアッ!」

耀壱「ぐっ……!『アクセンスター』ッ!」バアッ

耀壱が捻じ曲がった腕であらぬ方向を指す。

耀壱「……空気を……『消し去れ』ッ!」ガオォン!

耀壱「フハハハッ!『空気』を消せばそこにあいた「空白」を埋めようと周りの空間が動く!
    そうすればわたしもそれにのって移動できるというわけだッ!」ググッ

耀壱「そしてお前から距離をとれば、カズハを消すことなど造作もないッ!!」

ググッ

耀壱「…………!?」ググッ

耀壱「馬鹿な……おかしいぞ……!?何故動かない……!また……!」
HW『FIREッ!!』バギッ

耀壱「ぐはァッ!」ドザァ!

フッ

耀壱が『ヒートウェイヴ』に殴られた瞬間、突然現れた「不動」が解除された。

ドシュンッ

空気が、耀壱の言った通りに空白を埋めようと動くが、耀壱がそれに乗って移動することはない。
『ヒートウェイヴ』が殴ったせいで、「移動」の射程範囲からはずれたのだ。

JOJO「悪いが、お前を逃がすことだけはできないな。せっかく新技を編み出したんだからよぉ~~、
     せめて逃げるのは技の謎を暴いてからにしてくれ、な?」

耀壱「ぐっ……!『アクセンスター』ッ!JOJOを『消し去――」
JOJO「真っ向勝負かッ!やっぱそう来なくっちゃなァ!!」

グアッ!

JOJOの背後に、『ヒートウェイヴ』が現れる。
『ヒートウェイヴ』は、まるで何か大きなものを掴むかのように両手を横に広げていた。

HW『オオオオオオオオオオオッ!!』

JOJO「『ヒートウェイヴ・セントラル・ヒーティング』ッ!!」ボアアッ

『ヒートウェイヴ』の両手に炎が灯る。
その瞬間、耀壱の動きが鈍り始めた。

耀壱「ま、また……!」

耀壱(まるで『粘土の中にいるような感覚』―――!!)

耀壱(ッ!!……そうか……そういうことだったのか……―――!)

JOJO「その顔、もう気が付いた、って感じだな。やれやれ、せっかくの新技だから、謎のまま勝ちたかったんだがな。」

耀壱「周囲の、空間を『粘土のように』軟らかくしていると、そういうことか……。」

JOJO「ま、そういうこった。発想の転換ってやつだぜ。俺達は自覚はなくても常に『空気』に触れてるからな。」スタスタ

JOJO「『セントラル・ヒーティング』解除。」フッ

耀壱「クッ……きさま……!」
HW『FIREッ!!』バギィン

耀壱「ぐああぁ!」

耀壱「……ぐ……。……あ。」

JOJO「……なんだ?耀壱の様子がおかしい……?」

耀壱「くくくくく……!そうか……!そういえばそうだったな……!何故こんなことも気付かなかったのか……!」

耀壱「フハハハッ!『アクセンスター』ッ!」ドオン!

『アクセンスター』が両手を広げた瞬間、そこには耀壱の姿はなかった。

JOJO「ッ!」バッ

耀壱「『触れなくてもものを消し去れる』というのなら……」ゴゴゴ

耀壱「つまりそれは『触れられないものも消し去れる』ということと同じ意味になるんじゃあないか……?」ドドド

JOJO「……野郎…………。」

耀壱「私と、この「石ころ」との『距離』を『消し去った』。」

耀壱「『発想の転換』だ、JOJOッ!きさまのおかげで閃いたッ!!」

耀壱の体は、どうやったのかいつの間にか無傷になっていた。

耀壱「JOJO、お前が来てからわたしの身に起こった出来事を『消し去った』。これで振り出しだな……?」

耀壱「今なら……!さらに強大なものを……!わたしの想像できるかぎりの全てを消し去れる気がする……!強いパワーを感じる!」

AS『『消えろ』小僧ッ!!』バアッ
JOJO「ッ!!」

ドパァッ!

『アクセンスター』が手をあげ切る前に『ヒートウェイヴ』が地面を「軟らかく」して壁を作る。

バシュンッ!

『壁』は次の瞬間消される。

しかし、JOJOの顔に焦りはない。
『ヒートウェイヴ』の手には、ドロドロになったアスファルト。

JOJO「連続してものを消し去れないようだな……。じゃあ、次は俺のターンだぜッ!」

HW『FIREッ!!』ブンッ!

『ヒートウェイヴ』がドロドロのアスファルトを思い切り投げつける。
手刀に乗せて放ったアスファルトは、刃のような形を保って耀壱目がけ突っ込んで行く。

耀壱「フン。」ガイン!

耀壱はそれを『アクセンスター』で消さずに弾いて防ぐ。
弾ききれなかった刃の一部が耀壱の肩を切り裂く。

パクゥ ビチャチャッ

耀壱「有頂天になっている俺に飛び道具を使うことで能力を誘発させ、自分への攻撃を遅らせようという魂胆か?
    無駄だ。私の『アクセンスター』のパワーをナメてもらっては困るな。きさま程度のパワー能力では太刀打ち不可能だ。」

耀壱「さあ、『消えろ』JOJOッ!」バアッ!

耀壱「……!?」ググッ

耀壱「馬鹿な……!『ヒートウェイヴ』の射程にはまだ入っていないはず……?」

ドロォ

耀壱「こ、これは……!!」

JOJO「さっきの『アスファルトの刃』は別に時間稼ぎなんかじゃあねえ。
     俺の能力が切れて、お前の肩にくっついたアスファルトが固まってくれれば、それでよかったんだ。」

ゴゴゴ

JOJO「『刃』の切断面には、ビッシリと『アスファルト』が固まってるだろうから……さぞ動かしにくいだろうよ。」

耀壱「し、しまっ―――」

JOJO「『ヒートウェイヴ・セントラル・ヒーティング』ッ!」グッ

ズズゥー

耀壱(動け……な……!ぐ……何か……!)

耀壱(『アスファルトの切り傷』をなくしても肩の傷口にこびり付いた『アスファルト』を消すことはできない!
    『アスファルト』は俺自身ではないからだ……!俺自身におきたことならば無動作で消せるが……!)

JOJO「それじゃあ、いくぜ……樋口耀壱…………!『ヒートウェイヴ』ッ……!」

グン

フッ

耀壱(能力が解除された……っ!備えろ……!)ピギピギッ……!

耀壱(全身がもう使いものにならなくなってもいいッ……!全力で頭部を守れ……ッ!!意識を保つんだ……!)ググッ
HW『FIREEEEEEEEEEEEEEEEEE――――ッ!!』ドガガガガッ!!

耀壱「ぐああああああ」
HW『ウリャアアアアア―――ッFIREEEEEEEE―――――ッ!!!』

耀壱「ぐっはあッ!」ドザァ!

JOJO「!!……こいつぁしまったぜ……。意識を奪い損ねた。」

耀壱(……!両手、両足、全て潰されている……か……!人一人殺すことのできないアマちゃんかと思っていたが……
    とんでもない……!『死なない程度に』、しかし『生きてもいない程度に』痛めつけられている……!)

JOJO「……「負傷」を『消し去られる』前に射程内にいれておかねーと、カズハがやべぇッ!」

耀壱(『アクセンスター』ッ!……JOJOにラッシュをされる直前の時点から「私に起こった出来事」を消し去れッ!)
JOJO(復活したッ!やれやれ……!耀壱が『セントラル・ヒーティング』の射程に入るまであと5m……!)

耀壱(もらったッ!あとはカズハに向けて腕を突き出すだけ……!
    JOJOの性格上、目の前で殺されようとしている人物を見逃すことはできないはず……!勝った……!)

耀壱「カズハ、きさまは―――」
カズハ「『カズハ、きさまは『消え去れ』。』」

耀壱「!?」ギョッ

突然の背後からの声に振り返ると、耀壱の右側にはカズハが立っていた。

カズハ「雷鳥さんが、良く言っていた。『観察しろ』、と。」

カズハ「あなたの行動を良く見ていると、あることに気が付いた。
     あなたは、能力が進化してから敵をあまり近くに近づけていない。」

カズハ「それは自体は当然な話。触れなくても消せる以上、遠くから攻撃する方が有利に決まっている。」

カズハ「でも、それだけ?」

耀壱「ぐぅ、きさま―――」

FR『ウグルゥア!』バギイッ

耀壱「うげっ!」

カズハ「あなたは、私の事を見くびっていた。トラウマを植えつけられ、目の前で大事な人を『消された』私は、
     自分に対抗する事の出来ない、弱虫だと、愚図だと、そう決め付けて、ナメてかかっていた。」

カズハ「私の『友達』だったら、「てめぇ俺をナメるのはぜってーゆるさねえッ!」と言っているところ。」

カズハ「今の拳はその報いだと思ってほしい。」

耀壱「ぐううううッ!だがカズハ!近づいたのはお前の失敗だったなッ!ここなら少し動くだけでお前を……!」

ピクッ

耀壱「『右……側』……?」

《JOJO「『刃』の切断面には、ビッシリと『アスファルト』が固まってるだろうから……さぞ動かしにくいだろうよ。」》

耀壱「JOJOOOOOOOOOOOOOO―――ッ!!きさまアアアアアアッ!!!」

JOJO「耀壱ッ!俺の『射程距離内』だぜッ!!」

耀壱(マズイ、マズイマズイマズイマズイッ!!!この状況は非常にッ!!)

耀壱(この俺がッ!帝王たるこの俺がッ!!『敗北』するだとッ!?そんなばかげたことッ!!)

耀壱(か、カズハを消そうとすれば――)

ズッ

耀壱(はやく、はやくはやくはやくはやくッ!!動けッ!『アクセンスター』ッ!!)

ズズズ

『熱くない熱気』が、伝わってくる。この極限状態で、耀壱は、
「『ヒートウェイヴ』の能力は、「触れたものが」対象じゃなくて
 その腕から現れる「火」が燃え移ったものが対象になるのか」などと場違いな事を考えていた。

『アクセンスター』の腕の動きが鈍る。
本体である耀壱の腕が動かなくなっているからだ。
それでも、『アクセンスター』は自前のパワーをフル活用し無理やり動こうとする。間に合わない。

JOJO「いくぜッオイッ!!」
耀壱(まずい、きた、死ぬ、避けなくては、どこへだ、反撃を、いやガードが、うああああ)

耀壱「『アクセンスタァアアアアアア―――――』ッッ!!」
JOJO「『ヒートウェイヴ』ッッ!!!」フッ

AS『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ――――ッ!!』
HW『FIREEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE――――-ッ!!』

耀壱の身を縛る「呪縛」が消える。
それを感知した『アクセンスター』が出せる最速のスピードで拳を振るうが、
時速300km以上の拳速を誇る『ヒートウェイヴ』には遠く及ばない。
『アクセンスター』の拳が自分の視界に入るその前に、右腕に拳を3発打ち込まれた。

痛みが電気信号となって脳内に入り込む前に、腕の形が歪められる。
次いで、左腕も捻じ曲げられた。ボディにも数発拳が入る。肋骨の形が折れずに歪んだ。

AS『ぐおおおおおッ!』ヒュッ メシィ

苦し紛れに蹴りをいれようと動くが、その前兆を見せた時点で膝に強烈な拳。足を曲げることすら許されない。

そうして全ての防衛手段を奪われた耀壱と『アクセンスター』は、あとはただひたすら殴られるだけとなった。

一応、最初の何発かは自身の『過去』を『消し去る』ことで負傷を消し去っていたが、
それもすぐに追いつかなくなる。何せ「認識」していないといけないのだ。
こうしてボコボコと何発も殴られては、殴られた箇所を認識することも難しい。
そして、殴られる痛みで意識は朦朧とし、ついには能力を発動することさえ困難になる。

HW『FIREEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
   EEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
   EEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE――――ッ!!』ガガガガガ

HW『ウリャアッ!      ドガッ
   FIREEッ!!』バギャア!

耀壱「うぐげが……!」

その瞬間。
ほんの一瞬にも満たない時間だが、耀壱の目に生気が戻った。

偶然だ。石ころを投げたらちょうど何かにぶつかったような偶然。
ただし、この場合ぶつかったものが飢えた猛犬に匹敵するほどに厄介な偶然だった。

ほんの一瞬、『ヒートウェイヴ』が打ち上げた耀壱の腕の延長線上に、カズハがいたのだ。
そして、耀壱もJOJOも、その一瞬を見逃さなかった。

これで、JOJOがもし、もう少し注意深くない性格であれば、
カズハが消されたことにも気付かずラッシュを敢行し、耀壱を再起不能にしていただろう。
耀壱がもし、諦めのいい人間だったら、このチャンスに気付かずに再起不能にされていただろう。

しかし、運の悪いことに両者とも、諦めが悪くないことこの上ない人間と、非常に注意深い人間だった。

耀壱「―――勝ったッ、カズハ、『消え失せ――」
JOJO「オーマイガッ!こいつぁ―――」

ズギュウンッ!

JOJO「チト、へヴィすぎる展開だぜ…………。」

JOJOの肩には、正方形の穴が開いていた。

カズハ「……!!JOJO!?」バッ

耀壱「ぐ。うう。」ガクッ

JOJO「……!カズハ……。」ムク
カズハ「JOJO!今すぐ腕を切断してッ!つらいだろうけど、消え去るよりは!!」

ガゥン

JOJO「……ちょっとばかし、穴が開いた部位がマズかったみてぇだな。もう手遅れのようだ。」

JOJO「……フゥー、カズハ。一応、耀壱はダウンしちゃあいるが、油断はするんじゃねーぜ。
     多分あと数秒もしたら起き上がって、肩の傷もゆっくり治療してくるだろうさ。」

カズハ「JOJO!!いいから腕を……!」
JOJO「カズハッ!!」ガシィ

JOJOがカズハの肩に掴みかかる。
その剣幕に、思わずカズハは口をつぐんだ。

JOJO「……落ち着け……。俺が消えても、まだお前がいる。
     俺が倒せたんだ。お前に耀壱が倒せないはずがねえ。」

JOJOの体から剥離するように、『ヒートウェイヴ』が姿を見せる。
その姿は、JOJOと同じように肩に穴が開き、そこから全てが削れていた。

ボシッ!

ボオ

『ヒートウェイヴ』の腕に炎が灯る。

JOJO「……『理解(●●)したか(●●●)?お前には、いつだって『俺』がついてる。俺がどこに消えようと、お前が死ぬまで、ずっとだ。」

オオオ

カズハの腕にも『ヒートウェイヴ』の炎が伝播するように炎が灯る。

カズハ「……わかったわ……。」
JOJO「ははっ、お前でも、そんな喋り方すんだな。ただ、欲を言えばもうちょい早く――」

ボ シ イ !

JOJOの姿は、その言葉を最後に欠片もなくなった――

ムクリ

耀壱「……どうやら…………上手い事JOJOを殺すことはできたようだな……!」

起き上がった耀壱の姿は、やはり傷一つついていなかった。

カズハ「…………。」チッチッチッ

カズハは、無言で人差し指を立て、左右に揺らす。

耀壱「……?」
カズハ「JOJOを『殺した』?そいつは間違いね。
     だって、JOJOは私の中に、生きてるもの。」

耀壱「なんだ?急に様子を変えて……脳ミソでもイカれたか……。足手まといの愚図め。」

耀壱「カズハ、きさまは……」スッ

ググッ

耀壱「え……?」

カズハ「『きさまは、消え去れ』?それ、何度失敗したんでしょうねぇ。」

耀壱「おかしい、なぜだ、JOJOは『消滅した』!何故、私の体が動かないなどということが起こるッ!!!」

ド ド ド

カズハ「だから言ったでしょ?『消した』くらいじゃあ消えるわけないじゃない。
     たかが、『何かを消し去る』程度の能力で。」

カズハ「『彼の魂(ヒートウェイヴ)』は燃え尽きない。」

ゴゴゴ……

カズハの背後に立つ、『ザ・ファイナル・レクイエム』。

FR『………………!!』グッ

両手を広げたそのスタンドには、全身に及ぶ炎のような模様、
流線型の頭部、そして、拳に灯った炎、

まぎれもなく、『ヒートウェイヴ』の面影が残っていた。

カズハ「さあ、正真正銘、最終ラウンドと行くわよ。『樋口耀壱』……。」

カズハ「『ザ・ファイナル・レクイエム――――』」



To Be Continued...




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