無邪気な悪意

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無邪気な悪意 ◆Z9iNYeY9a2



子供の思考とは分かりにくいものだ。
それも子供らしい、などと形容詞的な扱いをされるものではなく、本当の子供のような思考であったとすれば。

例えば。
蟻を潰し、手足をもいで分解することに一生懸命になったり。
カエルに爆竹を加えさせて弾けるのを見て喜ぶといった残酷なこともする。

無邪気に、悪意もなく。

そして多くのことに興味を持つ一方で、非常に飽きやすいという一面も、子供は持っている。


もしそんな子供の思考を完全に制御しなければならないということがあれば。
それをし得るのは同レベルの子供でなければ難しいのではないか。

それをしなければならないのが大人であるというのなら。
仮に世界一の名探偵であっても、容易にはいかないかもしれない。


メロを見送った後も、Lはしばらく間桐邸での資料漁りを続けた。
書庫にあった多くの本は興味深いものが多く、特に聖杯戦争というものはこの殺し合いにも通じるところがあるのではないかと考えさせられるものだった。

しかし当然ここで本を読んでばかりいるわけにはいかない。
必要な情報とそうでないものを、その頭脳で瞬時に振り分け選択し、殺し合いに関係のありそうなもの、参加者に関わりそうな情報だけを頭に叩き込む。
時間は無限ではない。今は北崎が体を休めているからこそのことだ。
外での行動に関してはメロを信じるしかないだろう。だから、今は自分にできることをやる。


人間とは、何事も意識していないことには敏感になることがある。
例えば物を探しているときに必死になっているときには目の前にあるものが発見できなかったり。
意識して耳を凝らしていたら逆に聞き逃してしまったり。

今、L自身が集中していたからこそその音に気付くことができた。

悲鳴のような声。
それなりに大声ではあるが、屋敷の中にいれば聞き逃してしまいそうな声。

まさか、この屋敷に何者かが近づいてきたのではないか。
そして運悪く北崎と遭遇してしまったのではないか。

本を放り出して、思わず走るL。
傍から見れば早歩きにしか見えないかもしれないが、運動の得意でないLにとっては彼なりに急いでいた。

声の聞こえた場所は入り口近く、いや、声の大きさから判断しておそらくは外だろうか。
玄関を開き外へ出たところの、更に門の近く。

「やあ、どうしたの?」

そう言って出迎えた北崎の足元には。
一人の少年が地面に伏せて蹲っていた。

「北崎さん、何をしているんですか」
「だってずっと待ってるだけってのも暇だったからね。
 そしたら外で彼が通りがかったから、少しちょっかい出しただけだよ」

ちょっかい、と北崎は言うが、彼にとってはちょっとしたことでも普通の人間にとっては大怪我になることもある。
現に今蹲っている少年も体中に傷が見られ、ところどころ打撲痕も見える。
おそらくは北崎におもちゃとして弄られたのだろう。

「ぅ…」
「…!あなたはもしかして、ロロ・ランペルージさんですか?」

髪の色、外見的な特徴、そして学生服らしき格好。
それらがかつてLが出会った人物から聞いたものと一致した。

「…、どうして、僕の名前を…」
「篠崎咲世子さんから聞いています。彼女とは一時期行動を共にしていました」

本来であれば警戒すべき対象だったのかもしれないが、今の彼は傷付き憔悴した少年にしか見えない。
その憔悴が、北崎によるものなのかあるいは別の要因からであることなのかは分からなかったが。
ただ、自分の名前を言ったLに対して若干の期待を感じるかのような声色だった彼が、咲世子の名を出した途端落胆するかのような表情を微かに見せたのは気のせいだろうか?


「ねえ、さっきのもう一回やってみてよ。瞬間移動なの?それともワープなの?」
「っ…」

しかし北崎が話しかけると、ロロの表情に強い怯えのようなものが見えた。
次の瞬間、ロロの姿が掻き消え十メートルほど離れた場所で背を向けて走っていた。

Lとて若干の驚きを感じはしたが、北崎は既に同じものを見たがゆえに特に動揺することもなく走る彼を捕えた。
10メートルほどの距離ならば、龍人態の素早さがあれば一瞬で詰められるものでしかない。

乱暴に地面に叩きつけられるロロ。

「北崎さん、彼には戦う意志はありません。手を出す必要はないのでは?」
「いいじゃん少しくらい。せっかく面白い力持ってる人見つけたんだからさ。
 もう一回やってみてよ。今度は何をやってるのか、見破ってみせるからさ」
「…北崎さん!」

思わず声を張り上げる。

その隙にロロは走り去っていった。
今度はさっきのような能力を使うこともなく、ごく普通に、しかし体をよろめかせながら。

「もうあれ使わないの?つまんないなぁ」


Lとて気がかりではあった。
しかし今は北崎を止めることが先決だ。

「あなたは、強い相手と戦うことで退屈をしのぐのではないのですか?
 弱い相手を弄ることが、楽しいのですか?」
「だって退屈してたんだから、しょうがないじゃん。
 それに、弱い相手を虐めるのも楽しいよ。だってそれができるって僕自身が強いってことだし」

Lは少し目の前のオルフェノクに対する認識を改める必要に駆られていた。

確かに彼は強い相手との戦いを望んでいるのだろう。
しかしそれ自体が彼の目的ではない。あくまでもそれは手段なのだ。

だからその目的を果たせるのであれば手段も気軽に乗り換えるし、弱者をいたぶることも躊躇いなくやってのける。
今自分を生かしているのも、その目的と自分の狙いが合致しているがゆえの気まぐれでしかない。
もっと彼にとって興味深いことがあれば、躊躇いなく自分を殺してそちらに乗り換えるのだろう。


「まあ、いいか。どうせ彼壊れかけてるし」

そう、興味を失ったように呟く。
ふとその言葉の中にあった、壊れかけているという言葉が気になったL。

「壊れかけてる?」
「彼の心臓の鼓動、何か変な感じなんだよね。あの瞬間移動見せた後が特に。
 それに、最初に会ったときも妙に様子おかしかったし。何ていうか、うーん…よく分からないけど」

北崎は分からない、と言った。
しかし何となくだが、Lには想像がつかないわけではなかった。

ロロ・ランペルージ。彼はルルーシュ・ランペルージの弟だ、と言っていた。
二人の関係がどのようなものなのかはLには分からない。そこまで詳しいことは聞いてはいない。
だが、もし彼が兄に対して何かしらの強い想いを持っていたとすれば。
先の放送でそのルルーシュの名が呼ばれたときに強いショックを受けたのではないか。

気がかりではあった。
しかし追うことはできなかった。

彼を追うということは、彼に興味を失った、目の前の北崎を放置していくということに他ならない。

「それで、どうするの?追うって言うんだったら止めないよ?」
「…言ったはずです。私はあなたを、私なりのやり方で倒す、と。それまではあなたの元を離れるわけにはいきません」
「あっそ」

今の言葉でLは嫌な予感を感じていた。
彼は気まぐれで移り気であり、そして飽きるのも早い、そういう性質なのだ。
そして、その飽きは自分にも少しずつであるがゆっくりと向かいつつあったということに。

ならば、尚のこと急がなければならないだろう。



(ロロさん、すみません)

結局Lがロロと情報交換をする暇すらもなかった。
だから、ロロが最初に出会った、咲世子の守護対象であったナナリーのことも。
ノートの力に操られている時から連れてこられたことで狂気に落ちた南空ナオミのことも。
結局彼は聞くことがなかった。


(痛い…、痛い…)

全身の、殴られ踏みつけられた場所が痛む。


あの屋敷は通りすがっただけだった。
まさかその中に魔人がいたなどと、誰が思うだろうか。

一目見て、その得体のしれない雰囲気に逃走を選ぶ判断を下すことが一瞬でできたのは不幸中の幸いだろうか。
しかしその逃走に思わずギアスを発動させてしまったことは間違いだったのかもしれない。

距離を広げ物陰に潜みながら発見されないように逃走しようと考えた。
まさか、その男―――北崎がその距離を一瞬で詰められる速度と高い五感を持っていることなど、想定外であった。

心臓の止まった苦しみで動きの鈍ったところで抵抗などできるはずもなかった。
人間の姿で、殺さない程度に体を殴って弄んで好奇心のままにもう一度ギアスを使うように促された。

そこで現れたL。
自分の名前を出されたときもしかしたらと思ったが、咲世子から話を聞いただけだったという。

(兄さん……、痛いよ…、助けて…)

痛みに耐えて逃げるロロ。
それまでずっと、兄を殺したであろう相手への憎しみで耐えていた、兄への想いが思わず噴出する。

負荷の上がったギアスの副作用による苦しみ、全身を蝕む痛み。
しかし、いくら助けを求めようと。

彼の依存しきったルルーシュ・ランペルージは、もはやロロを助けることはない。

【D-4/間桐家前/一日目 昼】

【L@デスノート(映画)】
[状態]:右の掌の表面が灰化。
[装備]:ワルサーP38(5/8)@現実、
[道具]:基本支給品、スペツナズナイフ@現実、クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ、ブローニングハイパワー(13/13)@現実、 予備弾倉(9mmパラベラム×5)、シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋。
[思考・状況]
基本:この事件を止めるべく、アカギを逮捕する
1:北崎を用いて、バーサーカーを打倒する。まずは情報集め。
2:月がどんな状態であろうが組む。一時休戦
3:魔女の口付けについて、知っている人物を探す
4:3or4回目の放送時、病院または遊園地で草加たちと合流する
[備考]
※参戦時期は、後編の月死亡直後からです。
※北崎のフルネームを知りました。
※北崎から村上、木場、巧の名前を聞きました。
※メロからこれまでの経緯、そしてDEATH NOTE(漫画)世界の情報を得ました。しかしニア、メロがLの後継者であることは聞かされていません
※Fate/stay night世界における魔術、様々な概念について、大まかに把握しました。しかし詳細までは理解しきれていないかもしれません。

【北崎@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、使用済RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ、虎竹刀@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:バーサーカーを殺し、Lに見せ付けた後で優勝する
0:休息は必要と理解。
1:バーサーカーへの対抗手段を探る。
2:バーサーカーには多少の恐怖を感じている。
3:村上と会ったときはその時の気分次第でどうするか決める
[備考]
※参戦時期は木場が社長に就任する以前のどこかです
※灰化能力はオルフェノク形態の時のみ発揮されます
 また、灰化発生にはある程度時間がかかります
※Lに少しずつ飽きつつあります。

【D-4/一日目 昼】

【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:ギアス使用による消耗(大)、全身に打撲傷、精神的に疲弊、北崎に対する恐怖
[装備]:デザートイーグル@現実、流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ(残り2個)
[道具]:基本支給品、デザートイーグルの弾、やけどなおし2個@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:????
0:助けて…、兄さん…!
1:政庁かアッシュフォード学園へ向かい、兄の死の真相を確かめる
2:もし兄を殺したものがいるなら絶対に許さない
?:ロロ・ヴィ・ブリタニアを陥れる方法を考える?
?:ナナリーの悪評を振りまく?
[備考]
※参戦時期は、18話の政庁突入前になります
※相手の体感時間を止めるギアスには制限がかかっています
 使用した場合、肉体に通常時よりも大きな負荷がかかる様になっており、その度合いは停止させる時間・範囲によって変わってきます

103:HORIZON-金色の奇跡 投下順に読む 105:いきなりは変われない
時系列順に読む
097:アルミナ L 108:I was the bone of my sword(前編)
北崎
094:暴君主権 ロロ・ランペルージ 111:ConneCt


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