ConneCt

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ConneCt ◆Z9iNYeY9a2



「………う、ん」

瓦礫の山が周囲に散らばる、かつて市街地であった廃墟。
巴マミは身動ぎしながら目を覚ました。

「起きたか、かれこれ一時間半だな。
 まあここに来る前も寝ていたようだし、睡眠時間は足りているだろうな」
「C.C.…さん?
 ハッ―――――、あの人は――――!?」
「落ち着け、もう終わっている。
 というかアイツが生きていたら一時間以上も眠っていられるわけがないだろう」
「そう…なの……」

ホッと胸をなでおろすマミ。
それは戦いが終わった事による安心感なのか、それとも守るべきものを守り切れたことに対する安堵なのか。

「…あの時政庁にいた皆は……?」
「ス……ゼロなら去っていった。ユーフェミアは……お前のせいじゃない。気を強く持て。
 夜神総一郎は分からんが、まあおそらくは無事だろう。ニャースはこの通りだ」

ユーフェミアのことは本人も薄々感じていたのだろう。ショックは少なからずあるようだったが、それでもマミはそれをまだ受け止めきれたようであったことにC.C.は一安心する。
そしてニャース。彼は凍りついた状態を少しずつ直しつつあり、目を覚ますまではもう少しといったところかもしれない。
暖があれば回復も頗るとは思うのだが。

「まあ、とりあえず差し当たっての問題だが―――――」

と、ニャースを膝に乗せたC.C.は、起き上がったマミを見ながら。

「―――…少し手を貸してくれないか?」

未だ動かすには支障の残った脚に視線を移しつつそう懇願した。


「南へはあまり向かいすぎるなよ。あそこはもう禁止エリアだ」
「分かってますよ」

そんなやり取りを繰り広げながらとりあえずまだ形を残した民家の中へと入った一同。

暖房器具は心もとなかったものの、湯沸かし器や暖を取る機材は動くことを確認できた。
ニャースは暖の近くで休息を取らせながら体温が元に戻るようにほどほどの温度の湯を取り込ませる。
ほどほどの温度の湯を飲ませたのは、まあ猫だから猫舌じゃないのかという配慮だ。
ちなみに逆にそれをすれば起きるのではないかともC.C.は思ったがマミに止められた。

「C.C.さん、それで…、お体の方は?」
「まあ、ぼちぼちだな。少しは動けるようになってきたが激しい動きは無理そうだ。よっこいしょ、っと」

よろめきながら体を起こすC.C.。
ニャースは体温が戻ってきたこともあり今はソファーで寝かせている。

「それにしても、腹が減ったな…」
「あ、そういえばバッグの中に………」

と、ふと思わず呟いた言葉に反応するように、マミはバッグに手を突っ込む。
そういえば政庁に来た時彼女はバッグを複数持っていた。
確かめていなかったが、一つは美樹さやかのものだったのだろうと思う。
一応何が入っていたのかもこの機会に聞いておいたほうがいいかもしれない。

「う…、と。これです。時間もお昼みたいだし食べませんか?激しく動いちゃってますから中は大丈夫か不安ですけど」

そう言って取り出されたのは、面積は広いが高さはない四角い箱。
見覚えがある。というかそれはいつも見てきたものだ。
ちょうどバイクの後ろの宅配ボックスに幾つか積み重ねて並べられそうな感じの、その箱の中身は。

「――――ピザか」
「お嫌いでした?」
「今すぐ温めて持ってこい」

まあ、話は後でもいいか。

空腹を訴える腹にそんなことを考えながら、C.C.はレンジの前に立つマミを急かした。



チーン

「ニャ……いい匂いニャ…」

数分後、室内に立ち上ったチーズとケチャップの匂いに釣られるかのようにニャースが目を覚ます。

「体も栄養を欲している、か。ならその体も大丈夫のようだな」

ピザを前にして、寄ってくるニャースにそう声をかけるC.C.。
机についた一人と一匹の前に、マミは皿を並べている。

が、C.C.はそんなものにお構いなしとでも言わんばかりにピザを手に取っていた。

「あっ、ちょっと!まだこちらは準備中なのに!」
「細かいことを気にするな。というかこっちは腹が減って死にそうなんだ。待たせてるのはお前の方だろう」

マミの言葉より早くピザに貪りついていたC.C.に、怒っても無駄だと感じ取ったのかマミも席につく。

「ふむ、なかなかのものだこれは。どうやら手作りのようだな。冷凍ピザを焼いてるだけのチェーン店のものとはまた異なる味わいだ。
 しかも丹精に作られている。一枚一枚にピザに対する深い愛情を感じられるな。
 もし機会があるならぜひともまた食べてみたくなる、そんな味だ」
「すごい…、そこまで分かるんですか?」
「伊達にピザで生活などしていないのでな。ちなみにこれを作っているのはどこのピザ屋だ?箱を見せろ。
 ふむふむ、ピザハウスか。覚えておこう」
「フーフー」

支給されていたピザはサイズにしてLほどのものが2箱あったが、3名(主にC.C.)の手にかかれば無くなるのにそう時間はかからなかった。

「でも、いつもピザで生活って…、それって体に悪くないですか?」
「何、こんな体なのでな。悪くしようもないのだよ。むしろ悪くなるというならそれはそれで面白い」
「そうなんですか…。私も一人暮らしをしてますけど、そんなにピザばかり食べるとお金もかかるし体にも悪いじゃないですか。だからあまり食べる機会もなくて」
「ニャーも金はないのニャー。食事がビスケット一枚だった、なんてことも珍しくないニャー」
「それは……さすがにすさまじいな…」

C.C.が言うにはまだこれだけの量を食べても物足りなかったらしいが、こんな状況でピザを食べられたことの方がありがたいのだから口にはしない、とはっきり口にしていた。
そしてマミが食後にと、どこから出したのかティーカップに注がれた紅茶を啜って一息ついていた。
ちなみにニャースは本当に猫舌だったようで、一旦入れた紅茶をしばらく冷ましてから口をつけていた。

「ニャー…、まだ熱いニャ…」
「氷入れればアイスティーにできるけど…どうしましょう?」
「ニャー、でもまだ体が寒いからニャー。少しは体温めにゃ」

紅茶に口をつけるC.C.。
同時に口の中に紅茶の香りが広がり、砂糖を入れていないにも関わらずその味が体に染みこむようにも感じられた。

「お前、なかなか紅茶を入れ慣れているようだな」
「そうですかね…?まあ、確かに趣味って言えそうなものっていうとこれぐらいしかなかったですし、一緒にお茶できるような人も、私にはいませんでしたから…」
「…そうか」

さすがにからかうにはデリケートな話だと考え、C.C.は話を止める。

そうこうしているうちに、お茶もなくなり。
ふう、と一息ついたところで本題に入る。

「さて、気付いているか、お前たち」
「え、気付いてるって…」
「何の話ニャ?」
「そりゃ、お前達、今何時だと思ってる?」

時間を忘れていたようであった一人と一匹に、時計を差し出す。
刻一刻と秒針を刻む時計は、あと数秒で12時を指し示そうという辺りまで迫っていた。

「放送の時間だ」

そして時計が12:00を指し示すと同時に、周囲にアカギの声が響き渡った。


最初、放送で最もショックを受けるのは巴マミではないかと危惧していた部分もあった。
少なくとも佐倉杏子なる魔法少女の名が呼ばれることは確実であり。
状況は不明ながら美樹さやかの名が呼ばれるなら、彼女はその罪に押しつぶされるのではないか、と。

しかし、放送を聞いた彼女はC.C.にとって予想外に―――とまではいかないがいい方向に予想内なほどには、冷静に放送結果を受け止めていた。

むしろ、放送で若干とはいえ心を揺さぶられたのは自分だったようにも思える。

「バカが…」

ナナリー・ランペルージ。
クロエ・フォン・アインツベルン。


片やこの場では結局会うことはなかったがそれなりの縁があった少女。
ユーフェミアの言っていたナナリーだったのか、それとも自分達の側のナナリーだったのか。
それがついぞ分かることはなかったが、しかしその死に何も感じないほど、今のC.C.は心を捨てることができてはいなかった。

そして片や、短時間とはいえ共に行動したこともあった少女。
つまりアイツはあの後出て行った先で死んだということになる。
あの時斬られた首の皮の感覚を思い出す。あれだけのことを言っておきながら、あれから数時間も生き残れなかったのか。

いや、むしろだからこそ死んでしまったのだろうか。とも思った。

「…ニャア」

ニャースもまたその放送に呻いている。
確かオーキド博士、と言ったか。あの時アッシュフォード学園にいた白衣の老人。
しかし前の放送では呼ばれなかったところから考えるに、放送後に何者かに襲われたのか、あるいはあの後何かしらの事故があったのか。
まあ、今となっては確かめようとも思わない。ただ、ポケモンについての情報においてその男の右に出るものはいない、と言われるほどの男が死んだというのは損失だろう。


(………何を考えてるんだろうな、私は)

そう考えてふと、自分の考えのおかしさに気付いて自嘲する。
まるでこれではここからの脱出を前提に動いているようではないか。
別に今の自分に、そんな情報があったとしてもどうしようもないはずなのに。

「…ふぅ、ともあれ、マミよ。放送で呼ばれた名前だが、どうやらお前が撃ったという魔法少女はまだ生きているようだぞ?」

とりあえず、それらの思考を全て隅に追いやった後、気になったのはそこだった。
頭を撃ち抜かれて生きている、と思わないのはまあ普通だろう、とその普通じゃない魔女は思いながら。

「そう…だったんですか。………よかった…」

その言葉に安堵するように胸をなで下ろしていたマミ。

「それで、そいつが生きていたとしてお前はどうするんだ?その杏子とかいうやつの仇を取りに行くのか?」
「それは、いいえ、そんなことはしません。でも…、どうして佐倉さんを殺したのか、それだけは彼女から聞きたいです」
「もしその答えがロクでもないものだったら?本当にお前が許せないって思うような理由で殺したのだとしたら、どうするんだ?」
「その時は、――――私がその子を更生させます。絶対に。それが、佐倉さんに対する私なりの罪滅ぼしだから…」
「そうか」

その答えを聞いたC.C.は静かに席を立ち上がり歩き出す。
向かっている先は部屋の外、それも玄関に通じる扉だ。

「C.C.さん?」
「ちょっと風に当たってくるだけだ。すぐ戻ってくる」

ガチャリ、と玄関の扉を開く音を聞きながら、嫌な予感を感じつつもC.C.を信じて待ってみることにしたマミ。

「…そういえば、あなたは何なの?」
「ニャ?」

ずっと先延ばしにしていた疑問を、この機会に解消しておこう、と。
そう思い、ニャースに話しかけていた。







「出会った時は泣いていたあの小娘が、言うようになったものだな。
 いや、むしろ強くあるべきと自分を律しているのか。案外さやかが本質に気付かないのも道理かもしれんな」

それに比べて、私はどうだろうか。
ルルーシュの死を聞いて以降、依然としてどうするべきなのか定まっていない。

例えばスザクのように時間軸の違うルルーシュであったとか、あるいは自分の世界のルルーシュ自体でもなかったか。
なんていうそんな僅かな望みにかけるにも不確定要素があまりにも多すぎる。

死ぬ理由もないが、生きる理由も見出だせない。
ルルーシュと同じ顔をしたあのような男に殺されることはゴメンだが、かといって積極的に生きようとは思えない。

今の自分はそんな不安定な状態だった。


「…………」

ふと一陣の風が舞ったような気がした。
長い緑髪をたなびかせながらも、誰もいないはずの市街地を静かに見つめるC.C.。

「………いつまで見ているつもりだ?」

そのまま、振り向くことなく後ろの建物、巴マミとニャースがまだ中に残っている民家の屋根の上にいる何者かに声をかけていた。


「いつから気付いていた?」
「さあな。まあ気付いていたと確信できるのはたった今だが、それ以前はそもそもどこにいたのか、何がいたのかも把握できていたわけではないさ」
「そうだろうな。一応言っておくと、ここに私がいるのはほんの1分前からだ。お前とて気付かなくても無理はない」
「随分と私のことを知っているような口を効くのだな」
「ああ、私は何でも知っているからな。お前のことも、ルルーシュのことも」
「なるほど、お前はそういう存在なのか」

その強大な気配に臆しもせず、振り返ったC.C.の視界に入ってきたのは。
鋭い切れ目に黒髪の少年。あまりに彼女にとって馴染みのあるその顔の存在は、スーツのような服を纏ってそこに佇んでいた。

「初めまして、かな?C.C.」
「そうだな、初めまして。ゼロ」

C.C.とゼロ。
限りなく同一の存在でありながら果てしなく異なる2つの力。
決して出会うことのなかった者は、ここに邂逅した。





「それで、何故その格好で私の前に現れた?情けでもかけたつもりか?」
「下には魔法少女とやらがいるのだろう?ゼロの姿でここにいれば、この距離なら存在を感知されないはずがないからな。
 お前の存在を確認して、少し話をしてみようと思っただけだよ。それなのに今ここに来られるのも邪魔だ」

C.C.の前に静かに歩み寄るゼロ。
その顔はどう見てもルルーシュのものだった。
それも、ロロ・ヴィ・ブリタニアのような顔を模しただけのものではない。
C.C.自身の知る男と、限りなく近く、だからこそ決定的に異なる表情。


と、その顔を見ていたC.C.はふとそのこめかみの辺りに付着した僅かな赤い色に気付く。

「戦いの傷か?」
「ああ」

疑問から出た問いかけに、ゼロは静かに答える。

「巴マミの言っていたように、やはりお前も乗っているのだな」
「ああ、殺し合いがどうなどという理由ではない。それが私の役割だからな」
「役割、か。やつと同じことを言うのだな……、いや、お前もルルーシュだったか」
「フン、奴もまた私のように、自分の役割に殉じようとしていたな」

まるで見てきたようなことを口にするゼロ。
そういえば、と思い出せば巴マミはここに来て当初、ルルーシュとゼロの争う中に乱入していったという話だったことを思い出す。

「何をしようとしていたんだ、ルルーシュは?」
「己の過去の幻影を殺す、と。そう言っていた。未来を生きるために、ナナリーを、ユフィを、ロロを、全ての過去を切り捨てて現在に死んでいく、とな」
「なるほどな」

予想外というほどでもない。
それが、過去を望んだシャルルを否定した自分の責任だとでも思ったのだろう。
もしユーフェミアと会っていたら、スザクとはどうなっただろうな、などと意味のない仮定を考えてみる。

「だが、それでも6時間という時を生き残ることすらできなかったというのもまた、同じ俺としては笑える話でもあるが」
「その下手人が下にいると言ったら、どうする?」
「何?」

さすがにそれは想定していなかったようで、さしもの彼も驚きを混じえたような表情を浮かべている。
あの少女がまさか、とでも言いたげな顔をして、しかし次の瞬間には何か納得したようだった。

「なるほど、あいつ自身のかけたギアスに飲まれたか」
「まあ、概ねそんなところだろうな。それでどうする?もう一人のお前を殺したというあいつを」
「別にどうもしないさ。別にルルーシュを殺したという少女がいたとしても、ゼロとしての俺には関わりはない。
 あの魔法少女も殺すが、そこにルルーシュを殺したという事実が関与することはない」
「そうか、では私も殺すのか?」
「そうだな」

そう言ってゼロはその手を掲げる。
かつてルルーシュが、絶対遵守のギアスをかける時の動きにかなり近い仕草をし。
直後にその身を黒いスーツが、マントが、仮面が全身を覆っていく。
同時に細身だった体には筋肉が隆起していき、威圧感をも携えた魔人へとその身を変化させた。

「それがお前の姿か」

そして、そんな存在を目の前にしてなお、C.C.は驚くこともなくゼロを真っ直ぐ、表情一つ変えることなく見据えていた。

「私も殺すのか?」
「ああ。言っただろう、元よりそれが役割だ、と。
 私のザ・ゼロならば君のコードを無効化することができるだろう。最もこの場ではその不死性も制限されているようだが」
「そうか。なら殺すといい」
「抗わないのだな」

その変化しない表情は、ゼロがC.C.に対して殺意を向けても全く変わることなく。
むしろそれは、目の前にある死を覚悟した者の表情。
ここへ連れてこられる前のC.C.のことは知っているだけに、ゼロは少し意外にも思った。

「ルルーシュが死んだと知って以降、死ぬ理由は見つけられなかったが、生きる理由もまた見つけることができなかった。
 それに―――」

そして一息、C.C.は間を空けてこう言った。

「――――”ルルーシュ”に殺すと言われて、私が抗えるわけがないだろう」


巴マミがその存在を感じ取ったのは今しがただった。
ニャースと、ポケモンなる存在について色々と聞いていた最中。
その姿に、かつての自身の唯一とも言える友だった生物を連想していたその時。

ソウルジェムがとてつもなく強力な魔力反応を示したのだ。
この反応をマミは知っている。
第1回放送より前、あの崩壊現場で戦った魔王。
しかも、その存在はかなり近くに感じる。

(――どうして気付かなかったの!)

言うなれば、目の前に魔女結界があったのにそれを見逃してしまったようなもの。
元々、存在をマミに気取られないようにゼロなりの工夫があったのだが、マミにそれを知る由はない。

外にはC.C.がいたはずだ。もしものことがあったら。

「ニャ?!どうしたニャ!」

驚くニャースが追ってくるのに気を止めることもできないまま、マミは玄関を開け外へ飛び出し。
その身を魔法少女の衣装へと変化させマスケット銃を構えながら出て行くと。


そこには。

「C.C.さん!」

ゼロがC.C.の前に立ちはだかっていた。
その威圧感、存在感は数時間前と変わらず。

恐怖で身がすくんでいるのか、C.C.は全く動いていない。

「お前達か」

そんな自分達に、C.C.は静かに一瞬視線を寄越し、すぐにゼロを見据える。

「ゼロ!C.C.さんから離れなさい!じゃないと私が――――」
「ゼロ、一つだけ頼みを聞いてくれないか?」

マスケット銃で狙いを定めながら警告を発するマミの言葉を遮り。
C.C.は淡々と、ゼロへと話しかけていた。

「ほう?それを叶えるかどうかはともかく、聞いてやろうか」
「私を殺すというのなら好きにしろ。その代わり――――こいつらは見逃してやってくれないか?」
「えっ…」

何を言っているのだろう、とマミは一瞬ゼロへ向けていた敵意が薄れる。
それほどに、彼女の言葉は予想外だった。

「自分の命を望まず、しかし出会って数時間ほどの者の命を案ずるか」
「…………」

「や、やめるニャー!」

呆気に取られていたマミの背後から、ニャースが叫び声を上げながらゼロに飛びかかる。
その手の爪は鋭く伸び、切り裂かれればかなりの痛みを伴うことになることは想像に難いものではない。

だが。

「待って、ダメ――――」

それは目の前の魔王に通用するものではない。

ガシッ、と。
飛びかかったニャースが爪の攻撃範囲に届く前に、ゼロはニャースの首を捕える。

「グ…ニャ…!」

息を漏らしながらもニャースはその爪を振り回す。
しかしゼロの体には届かず、腕を切り裂こうと爪を立てても軽い痕が残るだけ。
その間にもゼロはニャースの首を掴んだ手に力を込め、締め続ける。

「――ッ、止めろ!!」

苦しむニャースの姿に、思わず声を荒げたC.C.。
それまでの淡々とした口調ではなく、悲痛を感じさせるほどの声色だった。

その声にゼロはC.C.へと振り向いて、同時にその手の力を緩める。

「―――そんなにこいつらのことが大事か?」
「……大事、というものではない。だが、少なくとも私などよりは遥かに生きる意味を持っている」
「そうか。――――――1つだけ条件がある」

ニャースを握った手を離さず、しかし力を抜きながらそう話しかける。

そんな光景を前にしても、マミには何もできなかった。
何かをするにも、ニャースが、C.C.があまりにも近すぎる。銃弾は当たりかねないし、リボンでは間に合わない。

着々と進んでいく会話を前に、じっと構えていることしかできなかった。

「お前の持っているコード、それを俺に譲渡しろ。そうすればこいつらは見逃してやろう」
「コードを…だと?」
「私のギアスとお前達のギアス、それは同じ神より生まれながら異なる力へと移り変わっていったもの。できなくはないだろう」
「それで、本当に見逃してくれるのだな?」
「ああ、この場で、だけだが。もし次に会うことがあれば容赦はしない」
「…ああ、それでいいさ」

嫌な予感を感じ、思わず飛び出そうとしたマミ。
しかしゼロは、大きく腕を振りかぶりこちらへと向けてニャースの体を思い切り投げつけてきた。

「――――!?」

受け止めなければニャースは大怪我をすることになる。
リボンの網を壁と壁の間に張り、受け止めようと構えたマミ。
しかし想像以上に力いっぱい投げられたようで、張ったリボンをぶち破ってニャースはこちらへと衝突。
どうにか受け止めることはできたもののあまりの衝撃に、踏ん張りきれず後ろに数メートル吹き飛ばされる。

「…っ!だ、大丈夫?!」
「ニャー…」

問いかけると、投げられた時の衝撃で頭を揺らされたのか、かなりクラクラしていたものの命に別状はなさそうだった。
そのままふらつきながらも起き上がるニャースを前に、ゼロとC.C.のいた場所へと目を移す。

「…いない?!C.C.さん!?」

そこには何者もいない。まるで最初から誰もいなかったかのように、二人は姿を消していた。
周囲を見回しながらもマミは魔力を、ニャースは音と気配を読みながら消えた二人を探して走り始めた。




正直、我儘を言ったような気はした。
マミにはあんなことを言っておいた手前、こんなところでまた消えるというのも。

この男が何故コードを欲したのかは分からない。
しかし、この魔王はおそらくこれからも他の者達を殺していくだろう。

ふとあの放送を思い出して、一つだけ問いかけてみた。

「なあ、ゼロ。お前がそんな力を手にし魔王となろうとするのは……ナナリーのためか?」
「ああ」
「ナナリーが死んだらしい今でも、それは変わらないか?」
「元よりナナリーのために、ナナリーの生きる道とは反対を進んだ身だ。今更止まることも迷うこともない」
「そうか。どこの世界でも変わらんな、ルルーシュは」

全く、こいつらは変わらんな、と。
そう思いながら、光を放つ体から何かが奪われていくのを感じた。

あの時のシスターも、こんな感覚を味わったのだろうか。


光が収まった時には、何かを奪われたような感覚は消え何の変化もない、元通りの体になっている。そんな風に感じた。

「コードは頂いた」
「移せたんだな」
「何か言い残すことはあるか?」
「………」

その言葉で数秒だけ思考する。
まず思い立ったのは、巴マミとニャース。
今頃きっと探しているであろう一人と一匹の姿。

だが、あいつらへの言葉を下手人であるこいつを介して伝える、それほど残酷なこともないだろう。

次に思い付いたのは、ルルーシュの友であり目の前の男に近い運命を背負った男。
しかしこちらにも言い残すことはない。
あいつが生き続けるなら、いつかこの魔王と衝突する時は必ず来るはず。
それでもあいつは、ゼロの強大な力に屈することなく立ち向かっていくだろう。
なら、今更あいつに伝えることなどない。


「……そうだな、それじゃあ―――いや、やっぱり止めておこう」

最期ということで頼もうかと思ったことがあったが、思い止めた。
目の前にいるのはルルーシュではあるが、あのルルーシュではない。
おそらくは目の前のルルーシュも知っているだろうが、それはこの存在に頼むころではない。

結論として、言い残すことは思いつかなかった。

「今更、言い残さなければならないこともない。立つ鳥跡を濁さずだ」
「そうか。では、さようならだな。魔女よ」
「ああ、さようならだ。ル…、いや、ゼロ」


「見つけた…!C.C.さ――――――」

魔力反応を追って走ること数分。
視線の先にC.C.とゼロの姿を捉え。

ゼロを引き離すために警告を発しようとしたその時だった。

目の前で、その黒い手がC.C.の体へと突出され。
ズブリ、と嫌な音を鳴らしながらC.C.の体を貫き、大量の鮮血と共に引きぬかれたのは。

「ニャッ!?」

驚きの叫び声を上げるニャースの前。
真っ白になる思考。何が起きたのかの把握に数秒の時間を要し。

引きぬかれた手に、何かが握られていることに気付き。
ドクッとポンプのように動いたそれから血液が流れ出ていることを認識し。
たった今グシャリという音と共に握りつぶされたそれが彼女の心臓なのだということを、己の脳が受け入れた瞬間。

恐ろしいほどに冴えきった、しかし一つの激情に支配された頭で。
いつの間にか、マスケット銃を宙に5丁生成していた。

一発一発は使い捨ての、しかしそれを補うかのように並べられた銃。
その一丁一発ずつを連射する形でタイミングをずらして撃ち出す。

マスケット銃の弱点である単発式であるという点を克服するかのように発される弾。
しかしそれがゼロに届くことはない。
発射と同時にゼロが前に手をかざした瞬間、一発一発がその直前で運動エネルギーを失い静止、地面に落ちる。

しかしそれに動じることなく、直後に四方からリボンを投射。
黄色いリボンはゼロの全身に絡み縛り上げ、そのゼロの動きを止める。
が、しかしゼロをそんな拘束では縛りきれない。
一瞬で引きちぎられ、その黒い腕を向かい来るマミへと振り向け。

そしてその胸を穿った瞬間、ゼロの腕に不自然な手応えを感じさせた。
直後、マミの体はまるで布細工のように細く靭やかに解け、ゼロの全身を覆い込み。

同時にその背後から姿を見せたマミが、その手のマスケット銃を鈍器のごとく思い切り振り被った。

が、直後にリボンの中から突き破るように現れたゼロの手がそれすらも受け止め。
謎の光と共に魔力を失ったリボンは地に落ち、姿を見せる黒い仮面。

そのまま、銃を手放す暇も与えられず、首を掴まれ地面に組み伏せられるマミ。

「ぐ……ッ」

しかしマミは、一片の怯えさえも見せることなくゼロを睨みつける。

「無駄なことだ。少なくとも今のお前では私には勝てん」
「うるさい……、あなた、よくも……!」
「勇気と無謀は異なるのを覚えておくことだな。
 私がお前の命をこのまま終わらせることが、どれほど容易いことか分からないほど愚かではあるまい」

ギリギリ、と首を押さえるゼロに抵抗するかのように足で蹴り付けるも、ゼロの体はビクともしない。
しかし首にかけた手に力を込めようとすると、マミの抵抗力も上がるのをゼロは感じた。

もう一方の手でマミの顔を掴み、その額に限定して手の光、ザ・ゼロを収束させて押し付ける。

「―――!」

マミはそれを警戒し抵抗を強めるも、ゼロを振り払うには至らず。
光が収まった頃にはマミの抵抗力が幾分か弱まっているようにも思えた。

当然だろう。今、ゼロはその力を持ってマミにかかっていた一つの呪縛を解いたのだから。

「お前にかかっていたギアスを解除した。以降はお前に死が近付こうとも、不自然なほどに体が生を求めることはない」
「…何、を…!」
「もう一度だけ言おう。
 今お前を殺すのは容易い。だがC.C.とは一つの取引をした。それを私とて進んで破りたいとは思わん。
 このまま私に挑むことを諦めるというのなら今回だけは見逃してやろう。しかし尚も挑むと言うなら―――」

マミの体を地に押し付けながらゼロは告げる。
だが、マミはそれに屈することもなく。

「ふざけないで…、あんたが…あんたなんかがいるから…!」
「私のせい、か。だがな、今お前がこうして生きていられるのは、一体誰のおかげだと思っている?」
「………」

だからこそゼロはそれを口にする。

「あの時私から一時的とはいえ逃げ切れたのはルルーシュのおかげだろう。
 そして今、お前はC.C.のおかげでその生を許されている。
 お前の命は、多くの人間の上に成り立っている。それを分かって私に挑むというのなら止めない」

それまで怒りしかなかったはずのマミの瞳に僅かな揺らぎが見え。
同時にその身の抵抗が一気に薄れ。

「さて、どうする?正義感と怒りに任せて戦いC.C.の願いも無為にして死ぬか、それとも抵抗を諦めて生き延びるか」

その問いを言い放った時には、マミには抵抗する意志を失っていた。

先ほどの敵意は完全に喪失し、その眼から一筋の涙が頬を伝っていくのを見た時。
ゼロはその手を放し、マミに背を向けて歩き出した。

その姿は隙だらけであり、もしそこで銃を撃てばあるいは命中したかもしれない。
しかしマミは銃を構えることもなく、その場に顔を伏せて座り込んでいるだけ。

しばらくした後、ニャースがC.C.に歩み寄っていく姿が見えた。

「…起きるニャ、もう朝はとっくに過ぎたニャ…」

横たわって動かないC.C.に、その胸に空いた穴と周りに撒き散らかされた赤が見えないかのように話しかける。

その光景が、マミには辛かった。
誰よりもその死を受け止め、ニャースにも諭さなければならない立場にいながら。
誰よりもその死を否定したいと思っている自分がいたから。

地にボロボロになって落ちたリボン。
人の命を一人でも多く繋ぎ止めたいと願った証。
なのに、誰の命を繋ぐこともできずすり抜けていくばかり。

千歳ゆま、菊池啓太郎、ルルーシュ、佐倉杏子、ユーフェミア、そして、今目の前で命を奪われたC.C.。

「ねえ…、どうしてよ…。何で、みんな……」

ゼロに言われた、C.C.に助けられたという事実。
それもマミ自身の弱さを見せるものでしかなかった。

誰一人として守ることもできず。
目の前では一つずつその命が消えていく。
それらに対する後悔か、あるいは己の無力感からか。
マミの目からは、自然と涙が溢れだしていた。


【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】


【D-2/市街地/一日目 日中】

【巴マミ@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:ソウルジェム(汚染率:中)、深い悲しみ
[装備]:魔法少女服
[道具]:共通支給品一式×2、遠坂凛の魔術宝石×1@Fate/stay night、ランダム支給品0~3(本人確認済み)、グリーフシード(未確認)、
     うんまい棒コーンポタージュ味@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]
基本:魔法少女として戦い、他人を守る
1:どうして…
2:たっくんの隣に立てるようになりたい
[備考]
※参加時期は第4話終了時
※ロロのヴィンセントに攻撃されてから以降の記憶は断片的に覚えていますが抜けている場所も多いです
※見滝原中学校の制服は血塗れになっています


【ニャース@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:ダメージ(大)、全身に火傷(処置済み)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、
[思考・状況]
基本:サカキ様と共にこの会場を脱出
1:C.C.…、嘘ニャ…
[備考]
※参戦時期はギンガ団との決着以降のどこかです
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線





「ザ・ゼロの使用に問題はない、か。こちらのギアスとあちらの力は別物として見られている、ということか」

マミ達から離れたゼロはC.C.から受け継いだコードの存在を己の中に確認しながら思考する。

先にマミが攻撃した時に使用したギアスには何の問題も感じられなかった。
強いて言うなら普段よりも出力は落ちているがそれはここへ来た時からずっとそうだった以上コードとの関係はあるまい。

あれを受け継いで以降、体に負ったダメージも、少しずつ和らいでいるようには感じる。

正直なところ、己の肉体を使っての実験のようなものではあった。

コードの継承。
ギアスを最大レベルまで増幅させたものだけが受け取ることができる不死の力であり、C.C.はそれを強制的に引き継がされたもの。

だが自分のギアスとあちらのギアスの性質はかなり異なっている。
こちらが己のギアスを最大限に使える状態にあるとは言っても、コードの継承など可能だとは思えなかった。

しかし今こうしてC.C.から継承したそれはこの身に確実に宿っている。

だとすれば、考えられるのは。

異なる2つのギアスは、反発し合わないより近いものと、”あれ”には扱われているか。
あるいは――――

「――――俺が、”ルルーシュ”であるが故か」

彼女と契約を交わしたルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと同一の存在である自分。
あいつと同一異性体である自分だったからこそ、コード継承を許されたのか。

後者の考えは思考する中で思い付いただけであり、詭弁である可能性が高い突拍子もない話だが。



だが、取り立ててゼロ自身はコードがそこまで欲しかったわけではない。
体の傷もなければ無い方がいいとは言っても自力でどうにかできないものではない。

では、何故わざわざ巴マミ達を見逃すという約束を飲んでまでこんなことをしているのか。

「……俺にまだルルーシュとしての部分が残っていた、か」

C.C.。
異なる起源を持ちながら2つの世界でルルーシュという男と契約をした少女。
しかし自分は彼女の願いを叶え、その消滅を見届ける一方で、あの少女は逆に契約者の最期を見届ける定めを背負っていた。
それ自体が彼女の望みであったことは重々承知している。
だが、かつて同にして異なる者と契約していた者としてそこに何も思うところがなかったというわけではない。


要するに、まだルルーシュである部分を完全には捨て切れていなかったというだけの話。

「やはりナナリーの死が、私にとっても思いの外堪えたということか…」



だからそう。

例えば視線の先にいる一人の男。
その存在もまた、思うところがある者ではあった。




ナナリーが死んだ。
ロロ・ヴィ・ブリタニアが死んだ。

いるべきではない、本来であればその場所に自分が収まっているべき、ルルーシュ・ランペルージの実の妹。
そしてそれ以上に存在を許されてはいけない、おそらくはルルーシュ・ランペルージの実の弟にして自分と同じ名を持つ存在。

それらの死は、ロロにとっては喜ばしい情報であった。本来ならば。

今のロロは、6時間という時間を通しても兄、ルルーシュ・ランペルージの死を受け入れられてはいなかった。
だからこそ、今の彼にはどんな感情であれ拠り所となるものが必要だった。
憎しみでも、嫌悪でも、嫉妬でも。なんでもいい。

何か、兄の死の虚無感を埋めるものが必要だった。
だからこそ、呆然自失でありながらもこうして歩みを止めることなくいられたのだ。

しかし、その憎むべき対象すらも今のロロにはなくなってしまった。

放送を聞き、一瞬心中で歓喜した後、大きな虚無感に襲われてどうしたらいいのか、どこへ行くべきなのかも分からなくなってしまった。


(あれ…?僕って、どうして政庁に行こうとしてたんだっけ…?)

政庁に行けば、もしかしたら兄の仇がいるかもしれないという微かな望み。
それも、先の二人に対する黒い感情があってこそ支えられてきたもの。
その二人が両方とも死んだ今となっては己に対する負の想いを支えきれない。


兄もいない。
憎むべき相手もいない。
まだ生きているかどうか分からない、誰ともしれない仇ではロロの指針とするには足りない。

(僕は、どうしたら……)

それでも当初の目的であった政庁に向かっているのは、今のロロに残った唯一の指針だったからか。

幽鬼のようにフラフラと歩くロロの足は、それでも一歩ずつ政庁に近づきつつあった。



―――――――――ロロ

ふと、聞こえるはずのない声を聞いた。

その声はとても優しくて、とても落ち着いて心の安らぐ、自分にとって最も大切なもの。

(僕、死んだのかな…)

と、聞こえるはずのない声に自分の生すらも疑い始めたその時だった。


目の前に、黒いマントを纏った仮面の男が立っていることに気付いたのは。


「…兄、さん……?」


その仮面はゼロの仮面であり。それを被る者はたった一人しかいないはずで。そんな声で話しかけてくる者も、一人しか知らなくて。

「ああ、そうだよ。ロロ」

そう答え、仮面を外した下にあったのは、紛れも無くそのたった一人の存在、兄であるルルーシュ・ランペルージだった。

それに気付いた瞬間、体は思わず走りだしていた。

「…兄、さん、兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん!!!!

溢れ出る想いを堪え切れずに、勢い良くその体に抱きつくロロ。

「よかった…、生きてたんだね…、兄さん…!」
「ああ、心配はいらない」

抱きつく体をゆっくりと受け止めつつ、その頭を優しく撫でながらルルーシュは言う。

「ロロ、俺にはやらなければならないことがあるんだ。力を貸してくれるか?」
「兄さんの言うことだったら、何だって聞くよ!」
「そうか、よかった。それじゃ一緒に来てくれないか?」
「うん、もう絶対に離れないよ…!」

空虚な心に入り込んだ、大きな希望。
今のロロには、その希望が本物なのかどうかを疑うことなど、できるはずもなかった。



声をかけたのはふとした思いつきで、彼をどうするかということを思い付いたのはその後だった。

目の前をフラフラと歩いていた一人の少年。

ロロ・ランペルージ。
ルルーシュの義弟であり、彼に心酔するギアス保持者。
エデンバイタルの記憶から見た、平行世界の存在。

見たところだと、今の彼は政庁に向かっているようでもあった。
今彼が政庁、正確にはその近くにいる巴マミ―――ルルーシュを殺害した者と遭遇すればどうなるか。

その存在は、間違いなくロロ・ランペルージの逆鱗に触れるだろう。
それが何をもたらすかなど、火を見るより明らかだ。

無論、例えそうなったとしてもゼロには窺い知らぬ話。
無視して通り過ぎることもできるはずだった。
しかし。

(――――C.C.の頼み、か)

今そうなることに、引っかかるものを感じてしまった。
あの魔女の命と引き換えに、今だけは見逃すと約束した存在。
なら、今だけはその約束を果たしておくべきだろう。

それに、目の前の少年。ルルーシュを兄と慕うこの少年ならば。
己の手駒として有効的に使うこともできるのだから。


とそう思ったところで、ゼロは自分の中でそれに対する罪悪感を、迷いを僅かながら感じている自分がいることにも気がついた。
それは、ついさっきC.C.に対して抱いた感情に近いもの。


しかし、それを全て己の心の奥底に押し込める。
これでいいのだ、と己に言い聞かせるように。

迷える少年を従えた魔王は、己の目的を果たすために、振り返ることなく歩みだした。


【D-3/市街地/一日目 日中】

【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、回復中、コード継承
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品0~3(本人確認済み、木場勇治も把握)
[思考・状況]
基本:参加者を全て殺害する(世界を混沌で活性化させる、魔王の役割を担う)
1:政庁には立ち寄るべきか否か…
2:木場と手を組むが、いずれ殺しあう
3:ナナリー……
4:可能であるなら、今だけは木場のように同盟を組むに値する存在を探す
5:ロロ・ランペルージは己の駒として利用する
[備考]
※参加時期はLAST CODE「ゼロの魔王」終了時
※第一回放送を聞き逃しましたが、木場勇治から情報を得ました
※C.C.よりコードを継承したため回復力が上がっています。また、(現時点では)ザ・ゼロの使用には影響が出ていない様子です


【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:ギアス使用による消耗(大)、全身に打撲傷、大きな安堵
[装備]:デザートイーグル@現実、流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ(残り2個)
[道具]:基本支給品、デザートイーグルの弾、やけどなおし2個@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:兄さん!
0:兄さん…、兄さん!
1:兄さんについていく
2:兄さんの言うことなら何でも聞く
[備考]
※参戦時期は、18話の政庁突入前になります
※相手の体感時間を止めるギアスには制限がかかっています
 使用した場合、肉体に通常時よりも大きな負荷がかかる様になっており、その度合いは停止させる時間・範囲によって変わってきます
※ゼロをルルーシュ・ランペルージ=己の兄であると完全に信じて全く疑っていません



【ピザハウスのピザ@仮面ライダー555】
野間茂久(ドルフィンオルフェノク)が経営するピザ屋のピザ。
手作りであるが、取り立てて何かあるわけでもない普通のピザである。


110:君の銀の庭 投下順に読む 112:平行線上のマギカ
時系列順に読む
088:Lost Colors C.C. GAME OVER
ニャース 115:さくらん
巴マミ
103:HORIZON-金色の奇跡 ゼロ 125:Nobody to watch over me
104:無邪気な悪意 ロロ・ランペルージ


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