概要
 ブリッツ・カオスフェルは、
トローネ・ヴィ・ユミル・イドラムが企画した壮大な興行である。
帝国宙軍で引退し、解体予定だった旧式艦艇を皇室が引き取り、遠隔操縦による無人艦隊として編成した。
艦隊は皇帝の配慮を受けて国旗と艦名を削除され、武装も完全に無力化されている。
標的艦として再利用されることで、廃棄コストの削減と
友好関係の誇示という二重の利点を生み出した。
 
名称
ブリッツ(Blitz)
 ドイツ語で「稲妻」を意味し、迅速かつ圧倒的な攻撃力を強調する。
令咏術で語られる雷属性の意味合いも含まれているが、当行事に雷要素は一つもなく、単に響きが良いという理由で採用された。()
「カオス(Chaos)」
 ギリシャ神話の「混沌」に由来する。秩序をぶち壊す狂騒と混乱を表現。観客の心を掴む圧倒的なスペクタクルを強調した。(だめ)
「フェル(fer)」
 ラテン語の「inferno(地獄)」から派生させ、艦隊を焼き尽くす炎と終末的な破壊のイメージを強調する。地獄の業火のような視覚的インパクトを、短く鋭い音で表現した。
合わせ技の効果
 上記の三つが融合することで、宇宙規模の狂気と熱狂が渦巻く祭りの雰囲気を表している。奇抜で不気味、かつ中毒性のある響きで、星域中に名を轟かせるインパクトを狙った。
経緯
 時は共立公暦1300年、観客席には軍関係者、投資家、報道陣が詰めかけ、会場は熱気に包まれた。
トローネの盟友(ヴァンス・フリートン)自らが操縦席に座り、
ベオトール級の対地ミサイルシステムを起動させた。発射ボタンを叩き割ると、数百発のミサイルが連続で放たれ、無人艦隊に向かって弧を描いた。最初の斉射で巡洋艦の船体に無数の火柱が上がり、続く波状攻撃で駆逐艦が次々と炎上した。爆発の連鎖は視覚的な迫力を生み出し、観客席からは歓声と拍手が巻き起こった。実際には旧式艦の装甲は薄く、ミサイルの威力も演出のために過剰に調整されていたが、その派手な光景は「ベオトール級の圧倒的火力」という印象を植え付けるには十分だった。轟沈する艦影が海の底に消えていく様子は、戦争映画さながらのクライマックスを演出した。トローネは演出の細部にまで気を配り、爆発のタイミングや炎の広がり方を計算して観客の興奮を焚き付けた。デモンストレーション終了後、フリートン大統領は報道陣の前で満足げに語り、「この火力があれば、どんな脅威も一瞬で無力化できる」と豪語した。映像は各メディアで繰り返し放送され、ベオトール級の名は一夜にして星域中に広まった。もちろん、実戦での有効性については疑問視する声もあったが、興行としての成功は疑いようがなかった。
影響
 フリートンは
闇の茶会に連行され、新時代における壮大な男泣きの産声を上げた。()
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最終更新:2025年10月21日 01:02