1. 装置の基本概念
本装置は、共立公暦1500年、共立機構平和維持軍の工廠において量産された、銀河間文明レベルの超高出力エネルギー兵器への対抗装置である。
正式名称は「対銀河間文明用エネルギー兵器無効化装置〈ハーモニック・カウンターフィールド〉」とされる。
開発の経緯は、かつて
ピースギアが未来脅威予測部門で確認した破滅的リスク、すなわち「ホーキング型エネルギー兵器」や「干渉波」の登場に対する防衛措置であった。
これらの兵器は、従来の装甲を容易に貫通するほどの出力を持ち、また「干渉波」はほかの艦隊をハッキングされ魔改造されるリスクがあり通常の防御技術では無力であった。
この装置は、敵のエネルギー波形を即座に解析し、その正確に逆位相となる反対のエネルギー波を生成・放射し、入射エネルギーを干渉消滅させる。
いわば、音波のノイズキャンセリングを応用したエネルギー版であり、銀河間規模の戦闘環境においても有効に機能するよう設計されている。
これにより、惑星破壊規模のビームをも表面で無効化し、被害を最小化できる画期的な防御装置となった。
ただし、このシステムの稼働には、ZETAコア第四世代核融合炉の最大出力の99%以上が消費されるため、長時間の連続稼働は不可能である。
この装置は、ピースギアが技術提供を行い、共立機構平和維持軍に移管されたもので、ピースギア自身は所有していない。
2. 構造と機能
ハーモニック・カウンターフィールドは、巨大なドーム状の装置として設計され、主に恒星防衛衛星や大型艦船、惑星防衛基底に設置される。
内部は多層の位相干渉マトリクス、量子共鳴フィールド発生器、干渉解析コアから構成されており、それらが連携して働く。
敵からの攻撃が検出されると、まず解析コアが数ナノ秒単位で敵エネルギーの振幅・波長・位相を特定する。
次に、干渉マトリクスがそれと完全に逆位相のパターンを生成し、共鳴フィールド発生器から表面に向かって展開される。
この逆位相フィールドと敵エネルギー波が衝突すると、干渉により互いに打ち消し合い、エネルギーは拡散して無害化される。
さらに、装置は連続的にフィードバックを行い、敵の波形が変化した場合もリアルタイムで補正し続ける。
特筆すべきは、この過程が全て自動化されており、複数の波形が同時に襲来してもそれぞれに適切な逆位相を生成できる点である。
しかしながら、制御のための演算負荷とエネルギー負荷は膨大であり、最大稼働時には艦全体のシステムに深刻な負担をかける。特にホーキング型や惑星破壊級のエネルギー兵器を完全無効化する場合、第四世代核融合炉の出力のほぼすべてをこの装置に振り向ける必要がある。
したがって運用は慎重に行われる。
3. 開発の経緯
ハーモニック・カウンターフィールドは、元はピースギアの未来脅威予測部門が策定した「銀河壊滅リスク回避計画」において提案された技術である。
共立公暦700年代末期、未来因果スキャンによる予測で、共立公歴2000年代にて
魔改造型KAEDE(リンク先閲覧注意)の進出、さらに干渉波で文明を崩壊させる未知の脅威が共立機構を襲うことが示唆された。
この脅威は、当時の技術ではかなりの被害を受けるとされ、恒星破壊や星系消滅のシナリオがシミュレーション上で多数検出された。
ピースギアは単独で早期に技術研究を開始し、既存の音波ノイズキャンセリング理論を量子エネルギー波動に適用する発想に至った。
その後300年にわたり、複数の研究機関が協力して理論の実証と試作を繰り返し、共立公暦1500年に、ついに共立機構平和維持軍が工廠での量産に成功した。
この過程でピースギアは純粋に技術提供者として関与し、設計思想、理論、試作段階での技術的指導を担ったものの、組織としての所有権や運用権は全て共立機構に帰属することとなった。そのため輸出は不可能になっている。
これはピースギアの理念である「死よりも無力化を、戦闘よりも平和を」という信条にも合致し、抑止力を強化することで戦争を回避するための道具として設計されたのである。
4. 応用と運用
本装置の主な運用は、銀河規模の防衛網の中核として位置づけられている。
特に重要な恒星系の防衛衛星に搭載され、惑星規模の攻撃から住民を守る「最後の盾」として活用される。
通常は待機モードでエネルギーを節約し、敵のエネルギー攻撃が検知された時のみ数秒以内に起動する。
艦艇への搭載としてはZETAコア炉2基分のエネルギー機関を備える巨大艦のみが運用可能である。
戦術的には、敵の戦意を削ぐ心理的効果も大きく、敵兵器の圧倒的な火力を無効化する様は平和維持軍の象徴として各地で語られている。
また、戦闘の終結後には余剰エネルギーを利用して損傷した地域への支援電力供給など、民間支援にも活用される場合がある。
一方で、この装置の稼働には莫大な資源と高度な訓練を受けた技術者が必要なため、数の上では非常に限られた配備に留まっている。
それでも、装置の存在そのものが強力な抑止力となり、戦火の拡大を未然に防いでいるという事実が、その価値を証明している。まさに共立機構の平和維持の象徴と言える技術である。
最終更新:2025年07月17日 21:07