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シナリス星域連合直轄領特務機関ピースギア

共立世界でのピースギア
全盛期のピースギアはこちら:ピースギア
銀河連邦時代のピースギア:超域観測機構 ピースギア
死よりも無力化を、戦闘よりも平和を、管理よりも連携を
シナリス星域連合直轄領特務機関ピースギア
Peace Gear, a special agency under the direct control of the Sinaris Star Domain Union
*1
組織の標語:平和維持
主な言語 共立英語・日本語
本部 ピースギアシナリス星系第二臨時本部
「第二臨時本部」の名称は、旧ピースギア滅亡後に設置された暫定支部を起源とする正式名称であり、現在の恒常運用状態とは矛盾しない。
司令 茨波綾音
職員数 800万ユニット(派遣職員、アンドロイドやAGIを含む)
設立 共立公暦600年
所有戦力 小型艦:10隻(SHIP)
戦闘用鉄道車両:3両(TRAIN)
戦闘機:100機
艦隊ユニット:3(最大7まで増産・運用可能、ただ現状必要性なし)
組織歌 『共立の星々のもとに』

概要

 シナリス星域連合直轄領特務機関ピースギア(通称:ピースギア)は、共立世界に置かれた特務機関である。
文明共立機構の枠組みに組み込まれた直轄領を活動の基盤とし、機構の監督の下で実働を受け持つ。衝突の抑止を目的に据えた常設の組織にあたる。

歴史

 ピースギアの歩みは、旧世界線での成立から文明の滅亡までの時期と、共立世界に拠点を移した後の時期に分かれ、紀年も新宇宙暦から共立公暦に切り替わる。

前史

 ピースギアの源流は、西暦2020年に地球の各地で相次いだ物体の消失にさかのぼる。同2023年には南極の観測機器が空間の裂け目を捉え、消失が異次元に物体を送るポータル現象の前兆であったと判明した。同2028年、最上イズモらは国家の利害から離れた独立探査機関クデュックを立ち上げ、ポータルを通じた世界線の探査に乗り出している。同2045年の世界線融合危機では、11次元超ひも宇宙論に基づく解析がポータル制御理論の確立に結び付き、危機の収束を受けてピースギアが発足した。時を同じくして、クデュック内の一派が二足歩行のマルチフレーム兵器256機を暴走させる事件が起き、新組織の鎮圧を経て同機関は解体に至る。外惑星からの侵略を無力化したピースギアは、恒星系同盟を次々に傘下に迎え、銀河規模の組織に育っていく。転機となったのは新宇宙暦900年で、外部からの干渉が疑われるKAEDE型アンドロイドの暴走(リンク先の画像閲覧注意)が起き、同990年の中枢拠点の崩壊を経て、同1000年に文明は滅亡を迎えた。滅亡を生き延びたイズモらが新たな拠点を求めた先は、共立世界であった。

再建期

 共立公暦600年は旧世界線の新宇宙暦1000年にあたり、ピースギアは滅亡の年を境に共立世界での活動に移った。複数の銀河圏に並行世界を加えた領域で動いていた組織は、文明共立機構の枠組みに組み込まれた特務機関として立場を組み直している。旧世界線の組織は銀河法典を制定し、自ら統治の主体を務めていた。共立世界での立場は機構の秩序の内側で動く実働機関に改まり、外部の監督を受け入れることが活動の前提に置かれた。再建期の歩みを形づくったのは、機構の加盟国と結んだ協定の積み重ねである。クオリアイトの供給に技術の受け渡しを重ねた交渉を足がかりに、ピースギアは外交の場で信頼を一つずつ得て、活動の基盤を制度の上に固めていった。

+ 歴史概要
 共立公暦600年:最上イズモとKAEDEが、ポータル艦エルニウスにより共立世界へ転移。これをもって、ピースギアは共立世界における活動を開始する。

 同年:ソルヴィエント艦隊と接触し、文明共立機構による正式な接触対話が開始される。
以後、共立機構加盟国との間で、クオリアイトの安定供給契約と技術協定締結を目的とした外交活動が本格化する。

 同601年7月:ピースギア・シナリス星系内乱事件(通称:SIC-02小規模内乱)
衝突は約3時間続き、最終的に45名が逮捕され、負傷者17名(うち重傷者3名)を出す結果となった。

 同720年:ラヴァンジェ諸侯連合体とオクシレイン大衆自由国にSC-717戦闘機リバライアのライセンスを供与する契約を結ぶ。同740年には、両国に独自運用を許可した。これにより、対外関係の拡充が図られた。

 同745年:セトルラーム共立連邦とシナリス連合(シナリス星域連合直轄領特務機関ピースギア)との間で技術流通協定が締結される。
本協定により、ピースギアは共立世界における技術調整・流通の一端にあたる存在として、その地位を制度的に確立することとなった。

 同780年~セトルラーム=シナリス間における禁止技術リスト共有協定
協定に先立ち、シナリス側がセトルラームに事前の確認を取る前にノクターナル・コラプスの外縁でQ-PB Canonの試射を行い、これを問題視したセトルラームとの交渉が協定の締結に結び付いた。
シナリス側は輸出禁止技術の完全共有を行い、セトルラーム側は独自の研究・配備による対抗措置を停止した。あわせて、OSTS連携枠組みの強化が合意された。


組織

 シナリス連合は、直轄の特務機関であるピースギアを含め、小規模で効率を重んじる運営を特徴とし、責任の所在に外部からの監督を併せ持つ体制をとる。

体制

 組織の中核には茨波綾音が立ち、最上イズモにKAEDEを加えた三名で要の位置を占める。三名はいずれも、旧世界線の滅亡を越えてきた顔ぶれにあたる。職員の層を厚くしているのは汎用アンドロイドであり、星外移民の出身者も同じ名簿に連なる。発足の当初は政治の制度が整う前の段階にあり、最初期の運営と指揮は、旧ピースギア時代の経験に権限を重ねた暫定の措置として最上イズモが統括した。組織が安定を得た後、司令の職は綾音に正式に移されている。現在の政策は、司令に就いた綾音の判断を軸に、文明共立機構(以下、共立機構)との協定を踏まえて決まる。シナリス星域連合直轄領の地位を持つピースギアは、特務機関としての独自性を保ったまま、機構の支援と監督の下で運営される。支援は軍事に始まって外交にまで及び、共立機構国際平和維持軍が装備に訓練を添えて提供するほか、軍事資産の運用費の一部も機構の側が負う。情報共有の取り決めが結ばれ、外交の後ろ盾を得たことで、特務機関として動ける幅は広く保たれた。

権限

 ピースギアの軍事部門は、平時に司令の指揮を受けて動く。重大な緊急事態に限っては、文明共立機構の最高評議会が直接の指揮を執る制度が設けられた。一人の司令に権限が集まって暴走する事態を防ぎ、共立世界全体の安全保障と歩調を揃えるための仕組みである。最高評議会が指揮権を握るには、共立三原則に照らした判断に加え、代表総議会国際会議で過半数の承認を得る手続きを要する。未来予測部門の運用指揮権も平時は司令の手にあり、代表総議会の議決が下れば機構の側に渡る。未来を読む技術は危うさを抱えた資産であり、一つの勢力に握られる事態を見越した措置の監督には、技術安全保障局が当たる。内政の権限は、原則として司令に属する。組織の運営は人事を含めて司令の裁量で決まり、資源の配分も技術開発の優先順位と組になって同じ経路をたどる。アンドロイドの運用方針を定めるのも司令で、内部の倫理規範の策定が後に続く。機構が内政に踏み込むのは、共立三原則に背く重い違反にあたる緊急の局面に限られる。

部門

 分野をまたぐ任務に応じるため、ピースギアは専門部門の分業で組まれている。軸を成すのは情報部門に外交部門を合わせた二つで、作戦部門は研究開発部門と並んで実働を受け持ち、監察部門が同じ体系の内側に置かれる。各部門は独立した権限を持ちながら互いの連絡を前提に動き、一つの部門が任務を抱え込む運用を避けて、権限の偏りを芽のうちに摘み取る。意思決定を受け持つ内部最高評議会は長官(※1)を首座に戴き、実際の運びでは部門長の合議が重んじられる。部門長は各部門の権限を代表して合議の席に着き、長官は合議の結論を指令の形に整えて各部門に下ろす。倫理の観点に規範の観点を重ねて他部門の行動を横断して見張るのが監察部門で、作戦の進行にも技術開発にも、停止もしくは修正を勧告できる立場を与えられた。勧告を受けた部門は手続きを止め、監察部門の審査に応じる。勧告の内容は合議の議題にも載せられ、部門長の間で是非が改めて諮られるため、即応の速さを保ったまま権力の暴走に歯止めが掛かる。

※1.対外呼称の長官と、内部指揮系統上の司令は、同一の職位を指す。

規範

 組織の標語に刻まれた三つの選択は、任務の判断から現場の行動までを測る物差しとして体系化されている。実戦の局面で致死兵器の使用は例外の扱いを受け、対象の機能を止めて拘束する手段を先に選ぶのが原則である。敵対者に向けられるのは再教育であり、社会に戻す再統合までの道筋が組まれて、対立の再発は長い時間をかけて抑えられていく。交渉に心理的な介入を合わせた働きかけは軍事行動に先立ち、実力の行使は、対話の道筋が尽きたと判断された後の最後の手段に回される。職員に課される倫理規範は、相手の尊厳を守ることに始まり、敵対者を将来の協力者となりうる存在として捉える姿勢に及ぶ。理念は捕虜処遇規程に書き込まれ、協力者受け入れプログラムの運用を通じて、組織の文化として日々共有される。危険な相手にまで手心を加える理想主義との批判が、外部から寄せられることもある。星域連合の内側では、この倫理体系がピースギアを特徴づける要素に数えられ、職員の行動を律する規範であると同時に、組織の誇りの拠り所となっている。

任務

 共立世界でピースギアが担う任務は、未来脅威予測・防衛任務を中核に据え、複数の分野をまたぐ体系で組まれている。

予測

 未来脅威予測・防衛任務は、表に現れる前の破局的事象を察知し、芽の段階で封じ込める任務である。共立世界の歴史を振り返ると、突発的に起きた天災に侵略が重なり、技術の暴走も加わった事例の多くは、過去から現在に至る小さな選択の積み重ねが、未来で連鎖的な破綻となって噴き出した結果であった。ピースギアは因果の連なりに着目し、未来を確率の上で解析できる分岐として扱う。解析の道具は二つあり、量子もつれを応用した未来因果スキャンが分岐の兆しを拾い、過去の歴史情報に次元データを照らし合わせるクロノシミュレーションが行く先を描き出す。スキャンの結果は分岐ごとに確率の値を添えて記録され、シミュレーションは記録を過去の事例に重ねて、分岐が破綻に向かう経路をたどる。両者の出力から生成される未来リスクシナリオは数万の規模に達し、評価の段階では、文明の崩壊に繋がる見込みの高いものが星域規模の被害を招くものと共に抜き出されて、優先度を与えられる。任務の第一段階は、優先度の付与をもって区切りを迎える。

介入

 予測に続く段階では、予防的介入の計画が立てられる。計画の狙いは、現在の選択と行動に手を加え、危機の発生確率を引き下げることにある。未来の戦争で決定的な要因となる兵器技術は、開発の段階で回収されて封印に回される。環境の崩壊を招く産業構造には規制の働きかけが及び、将来に暴走するAIについては、原型のコードに安全な改変が施される。介入の難しさは、未来が分岐を保ち続ける性質に根を持つ。一つの介入が新たな分岐を生み、別種の脅威を呼び込む可能性も常に残るため、ピースギアは予測と現場対応を交互に回し続ける。計画は本部中枢のクロノ決裁中枢で承認を受け、指令コードとして各班に配信された後、原則として72時間以内の初動展開に移る。指令コードの元になる実行コードは任務の分類ごとに細かく設けられ、言語の誤解から交差文明圏に生じた文化衝突の収束介入にも、惑星環境に流出した死の因果フィールドの緊急隔離にも、固有の番号が振り分けられる。遂行時に発動する連帯権限行使プロトコルは、情報部門を軸に各部門の専門班を混成で編み、一任務あたり平均4〜6班が並列もしくは段階的に加わる。任務に就く隊員に求められるのは論理的な思考力で、柔軟な判断力がこれに並び、介入の是非を見極める倫理の感覚も選抜の条件に入る。

分類

 任務の体系は、平和維持を主軸に据え、技術の安定に次元秩序の再建を加えた再建型として編み直された。現在の主流は分野を横断する複合型の任務で、筆頭の次元平和支援行動に異常干渉介入が続き、文明安定促進は資源再配分管理と同じ系列に並ぶ。時間座標是正を加えた五つは、いずれも状況全体の安定化を目指す。基本の分類は性質ごとに六つ(任務分類Ⅰ〜Ⅵ)を数え、次元平和支援任務はポータル領域を安定させて次元境界線を封鎖し、介入を伴う復興も支える。技術的秩序再建任務は失われたテクノロジーを回収して封印技術を配置し直し、文明接触・対話任務は多文明間の衝突の防止に文化的介入の制御を合わせる。干渉的修復任務が時間軸の逸脱を訂正して記憶改竄区域を組み直す傍ら、防衛・隔離任務は因果災害に高リスク存在を加えた対象を隔離し、排除に踏み切る場合もある。資源配分の調整を通じて惑星圏の環境を再生に導くのは、経済・環境安定任務である。危険度もしくは機密性の際立つ案件は通常の体系から切り離され、任務分類ZもしくはΩ指令として非常権限の下で発令される。時空の裂け目の処理が高位存在との接触と同じ枠に入り、文明収束干渉に超常存在に向けた対処が並ぶほか、封印技術の再解放から全系統の非常対応までが範囲に収まる。実行を許されるのは厳選された指揮官級の人員か、因果耐性認証を受けた専門職で、発令の対象は共立世界全体に影響の及ぶ案件である。

社会

 ピースギアの社会は、多様な文明に出自を持つ職員が自律アンドロイドと同じ暮らしを分け合う場として営まれる。

言語

 ピースギアは、文化を尊重して受け入れる姿勢を理念の根に置き、惑星や次元をまたぐ交流でも翻訳技術に橋渡しを委ねている。共通語を課す行為は、文明の優位を押し付ける振る舞いと受け取られ、植民地主義的な介入とも見なされうる。組織は共通語の制定を避け、各文明が本来の言語を保ったまま対話できる環境づくりを重んじた。職員には関係者を含めて翻訳デバイスが標準で配られ、形式はコンタクトレンズ型を主に、腕時計型が併用される。耳掛け型も供給されており、使用者は身体の特性に生活の様式を照らして形を選ぶ。音声の即時翻訳に加え、書類は手に取った時点で訳文に置き換わり、標識の文字も映像に映り込む文字情報も同じ機構で読み解かれる。訳の確かさは言語ごとの構造に左右され、扱いの蓄積が厚い言語ほど、感情の表現から文脈の含みまでを汲み取った解釈に近づく。日常の会話も公的文書も同じ装置で処理され、外交の交渉の席でも、職員は自らの言語で発言する。

生活

 職員の暮らしは、多様な文明に背景を持つ人々が自律アンドロイドと共に過ごす前提で組まれ、共存の保証は制度の条文から日々の運用にまで及ぶ。勤務の場には各文明の習慣が持ち込まれ、内部施設は複数の文化を抱えた景色を見せる。居住の区画割りも出身の文明ごとに一か所に固める配置を避け、隣り合う住戸に別々の文化が並ぶ。食堂に並ぶのは複数の星系の料理で、娯楽の空間でも、特定の文化に偏る配置は意図して避けられた。アンドロイドは制度の上で同僚と定められ、任務の現場でも日々の暮らしでも対等な立場に置かれる。職員居住区の設計は長期の任務を見越したもので、医療の窓口に教育の窓口が並び、心理ケアの基礎的な支援も加わる。全職員は定期的に理念教育を受け、対話訓練も同じ周期で課されて、組織の価値観は業務の場面から暮らしの慣行に浸み込んでいく。様々な存在が共に生きる秩序を形にした場として、ピースギアの居住区は共立世界の中で一つの手本に数えられている。

教育

 教育の目的は、共立世界で生きるための基礎的な理解を育てることにある。中心には読み書きの力を据え、計算の力を合わせた基礎学力の上に、他の文明に生きる存在との共存を前提とした倫理観を積み、対話の力を育てる。教室は少人数制を基本とし、個別学習が並行して進み、仮想環境を使った体験学習も組み合わされる。学ぶ内容は進度ごと児童一人ひとりの理解度に合わせて調整され、知識が身に定着するまでの過程に重きが置かれる。初等教育の段階から、他の文明の文化に価値観ごと触れる機会が意図して設けられ、児童は他者との差異を理解すべき前提として受け止めていく。教室には自律アンドロイドも立ち、教師を補助する役目に学習支援を重ねて、児童からは対等な知的存在と見られている。この段階で教え込まれる中身は、対話する姿勢に、考え続ける態度を並べたものである。平和的な解決の方法が三本目の柱を成し、ピースギアの理念は最も早い時期から日常の感覚として根を下ろす。

経済

 ピースギアの経済は、保有する先端技術に希少資源を合わせた元手で外部との交流を成り立たせ、相互依存を通じた自立と影響力の確保を目指す。

輸出

 クオリアイトの輸出は、経済の中核を占める。共立世界で希少な鉱物資源であるクオリアイトは、ポータル航行の技術に必須の資源で、高密度のエネルギー制御にも用いられる。安定した供給の経路を握るピースギアは、複数の国家から戦略上の重みを認められ、連合体にとっても同じ重みを持つ相手となった。資源の輸出は外交上の信頼を生み、安全保障の面での影響力もそこから育っている。技術の提供も輸出の柱に数えられ、旧ピースギア時代に培われた次元間通信技術がワープ航法に並んで外に出る。AI開発のノウハウも同じ枠に含まれる。供給の契約は文明共立機構の加盟国と交わされ、安定して続く供給が協定の信頼を裏打ちしてきた。技術は倫理基準を満たした文明に段階を追って渡され、安全規格に適合することが、渡す範囲を一段ずつ広げる条件となる。提供の段階は、受け手の文明が規格に沿った運用を示すたびに引き上げられ、ピースギアは資源の流れに技術の流れを重ねて、外部に依存する度合いを抑えている。

開放都市

 シナリスⅥに置かれたシナリス・ハルモニアは、統制型の市場開放政策を試す実証拠点である。外資系企業がピースギア基準の技術規範に倫理規範を重ねて活動する場として設計され、都市には安全保障連携型経済ノードの性格が与えられた。拠点の目的は、外部企業の参入を通じて次元安定基準を広域の文明圏に広め、技術倫理も同じ経路で浸透させることにある。技術流用の透明性を確保しつつ資源管理の均衡を保ち、文明間の摩擦を抑える狙いが重なって、経済活動そのものが平和維持の手段に組み込まれた。都市の構造はシナリスⅥの地形の特性に次元安定帯を合わせて活かし、ポータル物流網を軸に、クオリアイトの加工施設を中核とする多層の産業区画が広がる。外資企業は拠点を中継点にピースギアの技術網に接続され、文明間の相互依存は段階を追って深まる。参入の基準は文明ごとに階層化され、友好文明のA層には自由な参入が開かれて、共同研究から規格の統合までが認められる。中立文明に小国を加えたB層では、優遇の措置と引き換えに安全審査が一段と厳しくなる。警戒文明のC層に許されるのは監査付きの限定された参入であり、排除対象のZ層は完全に排除されて、情報の経路も遮断される。

通信

 共立世界の通信基盤は全体として安定しており、ピースギアの通信体系もこれに合わせて組まれた。基底世界線にあたる共立星団の本体では既存の星間通信網に直接つながり、行政の通信も経済の通信も、市民の日常の連絡に並んで平常の速度で流れる。次元を跨いだ遠隔の領域は物理の通信網の届く範囲を外れるため、ピースギアはポータル通信の量子通信技術を運用している。量子状態を共有する通信装置をポータルの近傍に据えることで、空間の距離も次元の差も越えた即時の交信が成り立つ。ポータルの近傍に置かれた装置は、位相の揺らぎを受けるたびに相互の量子状態を合わせ直し、交信の連続を保つ。双方向の性質を確保し、安定性を高める目的で併用されるのが双方向バブルレーン通信システムで、通信の遅延を最小限に抑え、情報の欠損も同じ水準まで減らす。信頼性を求められる用途として、外交の交渉に緊急の通報が加わり、遠隔地での作戦指揮も運用の対象に入る。

外交

 ピースギアの外交は、文明共立機構の加盟国と結ぶ協定を足場に据え、未知の文明との接触にまで裾野を広げている。

方針

 共立世界でピースギアが掲げる外交方針は、国際協調を基本軸とする調整型の外交である。未知の文明もしくは存在との接触では、対話を通じた相互理解が最優先とされ、武力の行使は常に最後の手段として後ろに回される。大規模な戦闘は、各国の軍もしくは平和維持軍との連携を前提に想定され、ピースギアが前に出る局面では、連携の段取りを整える調整の役回りに重心が置かれる。ピースギアは複数の文明と技術協定を結び、貿易条約の締結も重ねて、共立世界の各地で信頼を一つずつ積み上げてきた。協定の交渉では、相手の文明が置かれた事情を読み解く作業が先に立ち、技術の受け渡しの範囲は相手の受け入れの準備に合わせて定められる。協定に盛り込む条項も、技術が受け手の社会に及ぼす影響を見積もったうえで組まれる。文明共立機構からは人的な支援も受けており、交渉に伴う事務の負担を機構の要員が分け持つことで、限られた要員でも外交の運用は安定を保つ。

協調

 シナリス外交の中核には、OSTSを基盤とする国際協調の体制がある。OSTSは文明の間で共有できる倫理基準を整え、認証の体系を組む場であり、ピースギアは同局の理念を外交の根幹に据えた。協調の主要な軸はツォルマリアとの関係で、セトルラームとの技術折衝がこれに続き、過度な競争を抑えて不正な拡散を防ぎながら、倫理基準の共有を進めている。ソルキアとの資源協調も、同じ枠組みに加わった。OSTSの認証を経た技術は加盟国の間で同じ基準の下に扱われ、受け手の文明ごとに審査をやり直す手間が省かれる。主要文明に偏る外交を避けるため、シナリス外交は中小文明に向けた支援に優遇を重ねる方針を明文化した。参入審査が緩められ、技術支援のプログラムが提供されるほか、経済交流に文化交流を合わせた枠も新たに設けられる。中小文明を支える方針は、国際秩序の裾野を広げる戦略に根を持ち、ピースギアは調整者の責任を引き受ける立場をとる。

隔離

 倫理基準を否定し、暴力的な思想構造を抱える勢力は、倫理不適合かつ危険な文明に分類される。分類の判断は、倫理基準を否定する言動の有無に始まり、暴力に訴える思想が勢力の構造に根を張っているかまでを確かめたうえで下される。分類を受けた勢力には、外交から技術に至る全ての回路で完全非関与措置(Non-Symbiotic Isolation)が適用され、封鎖は冷静に、体系立てて続く。措置の線引きは、対話の成り立つ余地を欠いた存在を治安の対象として切り分ける現実的な判断に基づく。開放都市の参入基準でも、こうした勢力は排除対象のZ層に置かれ、拠点に入る道も情報の経路も閉ざされる。封鎖は報復の手段に用いられることを避け、定められた手順に沿って淡々と維持される。手順の要は接点の遮断にあり、通信の経路も交易の窓口も、分類の確定を受けて順を追って閉じられていく。封鎖の間も対象の勢力の動向は未来脅威予測の解析対象に残され、星域に向かう脅威の兆しが見張られる。

軍事

 ピースギアの軍事は、秩序の維持を目的に最小限の介入で臨む抑止と調整の装置として設計され、運用の思想は作戦の体系そのものに反映された。

直轄戦力

 ピースギアは平和維持軍の活動を補い、機動的で即応的な行動に移れるよう、独自の戦力を整備している。戦力の目的はシナリス領域に住む人々を守ることにあり、生命に財産を加え、自由の保障までが守る対象に入る。編成は小規模な部隊の単位を基本とし、部隊ごとに完結した装備を持たせることで、地理の条件に合わせて展開の形を変えられる柔軟性を得た。装備には旧ピースギアから受け継いだ最新の通信技術が載り、監視の技術も同じ系譜から受け継がれた。無人機はロボティクスと組になって導入され、少人数の部隊でも、無人の機体を前に出すことで広い範囲を見張れる。戦力は全居留者の目に触れる場所で日頃から示され、見せる防衛力として平時のうちから抑止の役目を果たす。有事に入れば、示されてきた戦力が同じ姿で抑止の前線に立つ。平時の示威に有事の抑止を重ねて同じ部隊が受け持ち、安全保障の体制を平時から有事まで一続きに動かすことが目指されている。

駐留部隊

 現行の平和維持軍駐留部隊は、同軍中央総隊の直轄星域防衛軍に属するFT執行第10艦隊として編成された。平時は500隻の戦力でシナリス連合の安全保障に当たり、最高司令官にはアリシア・レムナント中将が就く。シナリス星域の戦略的な重みを背景に、とりわけ特務機関としてのピースギアの役割を踏まえて、艦隊は共立世界の平和維持を目的に置く。任務は共立三原則に則り、星域の宇宙空間に主要惑星を加えた防衛を支え、物資供給ルートの安全も確保する。ピースギアとの間では双務的な支援に情報共有が組み合わされ、潜在的な脅威に即応できる態勢が整う。艦隊は平和維持軍の指揮系統の下で動き、中央総隊の統合作戦本部が作戦の立案と執行を統べて、文明共立機構の最高評議会の監督を受ける。中央総隊は必要に応じて同軍最高司令部の直接指揮に移り、緊急時には命令系統の混乱を避けながら、武力介入と査察任務を素早く実行する。指揮系統はピースギアの軍事資産から独立しており、増援を要する大規模な有事も想定に含む。機構の定期査察を支援する役目も負い、シナリス星系で共立憲章が守られているかの監視が任務に加わる。

保有技術

 ピースギア標準技術階層(PSTH)についてはこちら
輸出可能物品およびガイドライン

セトルラームとの共同開発および受領・供与技術

資料

+ 《内部通達抜粋:再建期行動規範 第三版》
発信元:シナリス星域連合直轄領特務機関ピースギア
管理コード:PG-COM/RE-03
適用対象:全職員・全自律機構
重要度:通常(遵守必須)

本通達は、共立世界再建期におけるピースギア職員の基本行動規範を再確認するものである。

第一に、任務遂行において即時的成果を最優先する判断を戒める。
再建期の任務は、長期的安定を目的とする。
現場判断においては「将来に禍根を残す経路を避ける」選択を優先せよ。

第二に、武装行使は常に失敗の兆候として認識されるべきである。
無力化が選択された時点で、対話と調整の可能性が尽きたかを事後報告にて必ず検証すること。迂回の余地についても、同じ報告で確認すること。

第三に、未知の文明・存在に対しては、理解不能であることを理由に排除してはならない。
理解できないことは脅威ではない。
理解しようとしないことが脅威である。

本通達に違反する行為が確認された場合、
当該行為は、
ピースギアの存在意義そのものからの逸脱として審査対象となる。

+ 《任務後記録:技術調整班・補佐官ログ》
任務が終わったあと、
あの惑星の空は、来たときより少しだけ静かだった。

正直に言えば、
「何も起きなかった」という結果に、最初は物足りなさを感じた。
誰かを捕まえたわけでもない。
装置を破壊したわけでもない。
報告書に書けるのは「干渉なし」「経過観察継続」だけだ。

でも、撤収直前に現地の観測員が言った。

「今回は、夢を見なくなった人が減りました」

それが何を意味するのか、詳しい説明はなかった。
それで十分だった。

ピースギアの任務は、
英雄になることじゃない。
名前が残ることでもない。

“何も起きなかった未来”を、
誰にも気づかれないまま成立させることだ。

私はふと思った。

もしこの仕事が完璧に機能し続けたら、
いつかピースギアは
「最初から存在しなかった組織」みたいに扱われるのかもしれない。

それでもいい。
それが、ここで働く理由だ。
+ Q-NET(Tier-C)掲示板ログ
《シナリス星域・一般フォーラム/雑談板》

スレッド名:最近、夜が静かすぎない?

ID: c4N-27
気のせいかもしれないけどさ
ここ数ヶ月、空がやけに落ち着いてない?
前はもっと変な夢見る人多かった気がする

ID: Lm8-QA
それ前も誰か書いてたな
うちの区画、医療センターの夜間受診減ったって話聞いた

ID: 7eR-19
ピースギア絡みじゃね?
何やってるかは知らんけど
「何も起きない」時はだいたいあそこ動いてる

ID: anon
公式には
「特記事項なし」
「次元安定指数は平常」
しか出てこないけどな

ID: c4N-27
まあ、知らなくていいならそれでいいか
昔みたいに突然アラート鳴るよりは

ID: Mod-Q
※注意
未確認事象の断定的表現は控えてください
本スレは生活環境に関する体感共有までとします

別スレ(ちょっと温度低め)

スレッド名:Q-NET遅延あった?

ID: 88-FT
昨日の深夜、通信一瞬ラグったよな
0.3秒くらい

ID: anon
あった
でも公式アナウンス即出たから問題ないでしょ

ID: Kd-02
「ポータル周辺再同期」ってやつ?
Tier-Cでも見える範囲だけ出すの逆に安心する

ID: 88-FT
変に隠されるより
「影響なし」って言われる方が信頼できるわ

《シナリス星域・一般フォーラム/雑談板》

スレッド名:正直に言っていい?最近「静かすぎて」怖いんだけど

ID: Jk9-0X
いや、平和なのはいいんだけどさ
逆に不自然じゃない?
事故も少ない、警報も鳴らない、変な夢の話も減った

これって本当に「何も起きてない」の?

ID: 7eR-19
お、出た
定期的に湧くやつ

ID: Jk9-0X
湧くって言うなよ
疑問持つのそんな変か?

ID: anon
変ではないけど
Tier-Cで見える情報以上を想像しても意味ないだろ

ID: Jk9-0X
でもさ
「何もなかった」って発表、最近多すぎない?

ID: Lm8-QA
それ
昔は「異常あり・対処中」って普通に出てたよな

ID: Kd-02
ちょっと待て
これ以上は憶測になる

ID: Jk9-0X
憶測って言葉で全部止められるの便利だよな

ID: Mod-Q
※注意
本スレッドは未確認事象の断定・扇動的表現が見られます
話題を生活影響の範囲に戻してください

ID: Jk9-0X
ほらな
こうやってすぐ――

ID: Mod-Q
※最終警告
規約第12条に基づき、以降の投稿は精査対象とします

ID: anon
……まあ
何も起きてないならそれでいいじゃん
昔みたいに逃げ場探すより

ID: Jk9-0X
……
それも、そうか

ID: Mod-Q
※本スレッドは24時間後に自動アーカイブされます

《シナリス星域・一般フォーラム/質問板》

スレッド名:これ聞くの変かもだけど

ID: anon
Q-NET Tier-Cで見える範囲の話だけでいい

「予防的措置」って
実際どのくらいの頻度で走ってるものなの?

ID: 88-FT
それ聞いてどうすんの

ID: anon
いや
最近、再同期とか安定化とか
表示される回数が増えてる気がして

ID: c4N-27
気のせいじゃない?
システムが親切になっただけとか

ID: anon
そうだといい

ただ
「影響なし」って表示の裏で
何人くらい動いてるのかなって思って

ID: Lm8-QA
それもうTier-Cの質問じゃなくない?

ID: anon
そうかも
でも

動いてる人がいるなら
せめて「ありがとう」って思っときたくて

ID: 7eR-19
……
それなら、たぶん正解

ID: Mod-Q
※本スレッドは回答が収束したためロックします

Q-NET運営ログ(抜粋)
《スレッド管理履歴:自動保存版》

対象スレッド

正直に言っていい?最近「静かすぎて」怖いんだけど
掲載区分:Tier-C(民間)


対応内容
  • スレッドを24時間後自動アーカイブ対象に指定
  • 新規書き込み制限(減速処理)
  • 投稿者ID「Jk9-0X」に注意喚起(警告1)

削除理由(公開用要約)
本スレッドは、

市民生活への直接の影響を欠く未確認事象について

憶測を前提とした不安誘発表現が増加したため

Q-NET利用規約第12条
「未確認情報による社会的不安の拡散防止」
に基づき、沈静化措置を実施した。

内部補足(非公開)
  • 事実誤認なし
  • 敵対的扇動なし
  • 悪意なし

→ 環境調整対象として処理

備考
スレッド内の発言は「違和感」に基づくものが多く、
強制削除は逆効果と判断。
自然減衰を優先。
+ 内部メモ(職員間共有/非公式)
《件名:Q-NETのこのスレ、見た?》

共有だけ。
雑談板に上がってた
「最近静かすぎて怖い」ってスレ。

もう沈んでるけど、
ああいう感覚、たぶん間違ってない。

誰かが“何も起きないようにしてる”のは事実だし、
それを市民が感じ取ってるのも自然だと思う。

ただ、
あそこから一歩進むと
「知る必要のないこと」になる。

モデレーターの対応は適切だった。
強く止めてないし、
ちゃんと話させたうえで終わらせてる。

正直、
「ありがとうって思っときたい」って書き込み見て
少し救われた。

俺たちは表に出ない仕事だけど、
たぶん、ああいう人たちのためにやってる。

念のため共有まで。
次の再同期、予定通りで。
+ Q-NET内部ニュース(Tier-C公開版)
《Q-NETニュース》

シナリス星域における次元安定指数、引き続き良好

本日、シナリス星域全域において観測されている次元安定指数は、
過去12ヶ月平均を上回る良好な状態を維持していることが発表された。

ピースギア広報部によれば、
「特定の異常事象および市民生活への影響はいずれも未確認であり、
現在実施されている対応はいずれも予防的措置の範囲内」とのこと。

また、深夜帯に一部地域で報告された通信遅延についても、
ポータル通信網の再同期処理によるものであり、
個人情報およびデータへの影響は皆無であったと説明されている。

市民からは
「何も起きないのが一番安心」
「最近は警報音を聞かなくなった」
といった声も寄せられており、
星域全体として安定した生活環境が維持されていることがうかがえる。

なお、ピースギアは引き続き
「市民生活への影響を最小限に抑えることを最優先とする」
との方針を示している。

関連作品

二次創作・小説投稿サイトハーメルン:https://syosetu.org/user/270962/

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最終更新:2026年05月09日 12:03

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