新物理学選書 揺らぎのエネルギー論
【著者】関本謙
【出版社】岩波書店
【難易度】☆☆☆
【お勧め度】☆☆☆☆
【コメント】
- 近年目覚ましい成果を上げている,微小系の熱力学を体系立てて説明した本.熱力学はマクロ系の理論であるが,その形式を1分子単位の微小系に拡張して論ずる.微小系の熱機関の効率等が論じられており,生物分子モーターを「微小熱機関」と看做して解析することもできる.Stochastic Energeticsの創始者自らが書いた本であり,思想もわかりやすい.お勧め. -- kz (2011-12-26 16:19:57)
Stochastic Methods: A Handbook for the Natural and Social Sciences
【著者】Crispin Gardiner
【出版社】Springer
【難易度】☆☆☆
【お勧め度】☆☆☆☆☆
【コメント】
- 微小系の熱力学は確率過程を用いて定式化されているが,確率過程の計算法は物理学者の直観と全く合わないため,数学的に学ぶ必要がある.この本は数学的厳密性よりエッセンスを中心に書かれている.そのため,物理学者にとってもわかりやすいように記述されており,極めてお勧めできる. -- kz (2011-12-26 16:21:53)
Thermodynamics of Information Processing in Small Systems
【著者】Takahiro Sagawa
【出版社】Springer
【難易度】☆☆☆☆
【お勧め度】☆☆☆☆☆
【コメント】
- 若手Boltzmannメダルを獲得した若手スターの博士論文.微小系での情報処理と熱力学構造の関係を論じている.近年の統計力学分野での流行りの先駆けです.量子系も古典系も網羅しています.近年の進展を知るにはこれをレビュー代わりに論文を読めばよいのではないでしょうか? -- kz (2014-01-09 16:21:24)
最終更新:2014年01月09日 16:23