How to prepare. 2010 > 11 > 09

Preparationのやりかた



1. そもそも何をするか

Preparationは、もちろん、ディベート前の20分の時間のことです。長いようで短い時間に何をするかが、ディベートそのものを左右します。最初のうちは「Argumentを考える時間」でよかったかもしれないですが(自分もそうでした)、ある程度経験を積むとそのとらえ方では足りないということに気づきます。
おおざっぱにこの時間にすることは次の事柄です。
① Motionの理解・分析
 これをやらなかったり、怠けたりするとかなりダメージが大きいです。これについては次の章で扱います。
② Definition作成・予想
 Gov.は役割としてDefinitionを決めなければなりません。曖昧なまま行うと、ディベートが崩壊します。また、Opp.は、Preparationの時間にはDefinitionを知ることはできないですが、ディベートが始まるとそれにしたがってディベート(従わないこともできたりしますが、そんな稀有な例は除外して…)しなければならないので、「予想」が必要です。
 Definitionについては回を改めて(おそらく来週)くわしく解説します。
③ Argumentをチームで作る
 ある程度分析が進めば、次はArgument作成です。ディベートはチーム戦なので、チームとして一貫した立場を取る必要があります(いわゆるTeam LineとかStance)。そのためにもArgumentはチームで話し合って作ります。Motionの分析をしっかりすると、自然とArgumentが生まれます。ここも章を改めて扱います。
④ Argumentを個人で作成する
 最後の締めとして、個人作業です。ここについても、回を改めて解説します。
時間配分の問題として、個人的には、①+②で7分程度、③で8分程度、両チームが同じ部屋に来て、大きな声で話せなくなる15分以降に個人作業に入るのが自然な流れだと思いますが、時間配分は特に気にしなくていいと思います。難しいMotionになると、分析だけで時間がかなり取られてしまいます。また、Role(どっちがLeaderでMemberか)の決定を大会でこの時間にするのは時間の無駄としか言いようがないので、あらかじめ決めておきましょう。

2. Motionの分析

 Motionの分析は、前述したようにとても重要です。ディベートの一番の骨格はこれなので、避けては通れません。
Motionは英語(当たり前)なので、まず意味の理解から始める必要があります。まずまずのレベルの大会になると、意味がつかみにくくなります。そのようなMotionに出会ったときには、ひとづつの単語をみて、これが何を示しているのかを考えなければいけません。
たとえば、この間の濱口杯で“THW all immigrants should receive amnesty.”とか言うMotionがありました。これは、「現在不法滞在している移民を合法化する」という解釈をすべきMotionですが、見てすぐは理解できません。。なので、ここの“all”は、日本語に訳すと単純に「全ての」となりますが、実際「全て」とは何なのかを考えなければ分析にはなりません。ここに、「出身国や民族、合法・違法の区別なく全員」であることを見出します。そして、もっと難関の”amnesty”「恩赦」の分析です。「恩赦」とは、犯罪者の刑を減軽したり、免除したりといった意味です。これらの解釈を行うと、「現在不法滞在している移民を合法化する」という分析につながります。
言葉の分析とともに大切なのがHarmの分析です。Motionは、多かれ少なかれ、問題を解決するためのものです(Value MotionとかFact Motionとかは違いますが)。Gov.側は、自分達の主張するPlan(Definitionまで含めたもの)によって、その問題を解決します。つまりStatus Quo(以下SQ)より、After Plan(以下AP)の方がよい状況(Harmがなくなる、もしくは減少する)になっていることを訴えかけて、そのPlanの実現を求めます。それに対して、Opp.側は、Gov.のPlanを取ると、APがSQよりも悪くなる、もしくは変わらない(Harmが増える、もしくは変わらない)、さらには新しいHarmが生まれるということを訴えかけます。このように、双方にとってHarmの分析はとても重要になります。また、忘れがちですが、相手の立場からのHarm分析も大事です。特にOpp.だと、Gov.が指摘するであろうHarmを想定してディベートすることが求められます。相手の指摘するHarmを想定しておくことは、Refutationにも役に立ちます。
たとえば、THW raise minimum wages.というMotionをこの間扱いました。これは、「最低賃金を上げる」というMotionです。ここから、現状では「最低賃金が低くて困っている」というHarmがあることが想定されます。働いても、「最低賃金程度しかもらえない労働者は、生活苦になる」ということです。ここで、Gov.とPlanを取れば、このHarmがAPになると改善されます。一方、賃金は会社の負担なので、Opp.は「会社の経営が悪化する」という新たなHarmを生み出し、それにより、APの方がSQより悪化します。
以上のように、Motionの分析はとても大切です。しかし、そのためには知識が必要になります。日頃からニュースに触れて、社会問題に触れておくことが大切です。Motionの分析の段階では、チームであることを最大限に生かして、互いの持っている知識を共有し合うという姿勢が大切になります。

3. Argumentの思いつき方

 では、実際ディベートするのに必須のArgument作りに入ります。ここでは、どのような観点から思いつくのかを中心にします。どうやって構成するのかは回を改めて解説します。
 ArgumentはHarmの分析から始まります。問題は、そのHarmをどうArgumentに振り分けるかです。その振り分け方の代表格は「登場人物」です。登場人物とは、そのPlanを取ることで影響を受ける人や機関を指します。たとえば、THW raise minimum wages.というMotionの場合、以下のような登場人物が想定されます。
① 最低賃金で生活している人(SQで苦しんでいる)
→APで、少しは生活が楽になる。(Gov.)
→最低賃金が上がることで、職にありつける機会が減る(Opp.)
② 会社
→APで、経営が悪化する(Opp.)
③ 会社に勤めている一般の人(SQでは苦しんでいない)
→APで会社の経営が悪化することで、待遇が下がる(Opp.)
④ 政府
→労働者の生きる権利を守らなければならない(Gov.)
→会社の経営の自由を確保しなければならない(Opp.)
このように、登場人物から考えていくと、Argumentが出しやすいです。また、Crash Pointも見出しやすくなります。それぞれの登場人物にとってどうなのかを主張していくことで、議論が固まって行きます。
 また、Argumentでは、Seriousness(どれくらいその問題の影響が重大か)を示す必要があるので、その際にも、登場人物によって考えると、「量」が感覚的にとらえられて便利です。

4. まとめ

 長々と書いてきましたが、Preparationにおいて大切なことを整理すると、Motionの適切な分析とHarm探し。それを登場人物という形で絞り込んでArgumentにしていくということです。
簡単で何度もやったようなMotion(THW ban death penalty.)になると、あらかじめ決まったArgumentに落とし込んで行くというような手法になりがちですが、難しくなるとその手法はとれなくなるので、日頃から「分析」を心がけて練習していくことが大切です。










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最終更新:2010年11月11日 21:00
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