モモンは霊体化してリョウマの魔力を辿っていた。
ハムスケが付いているとはいえ、サーヴァントに襲われればひとたまりも無い。合流を急くべきだろう。
─────それにしても、ハムスケ相手に引けを取らないマスターか……。
モモンが過去に一蹴して従えた巨大ハムスターとはいえ、人の範疇にいる存在では勝負になる程弱くは無い。
そのハムスケと遜色無い強さを持つマスター。此れは重大な脅威と言えた。
さっき見たキャスターのマスターの強さもまた、人の域を超えているが、流石にハムスケの相手は出来ないだろう。
凡そマスターの相手ならばハムスケで充分。己がサーヴァントに対処すればリョウマの身の安全は確保できる。
サーヴァントが襲ってきても、令呪を使用する時間稼ぎにはなる。
そう考えてリョウマにハムスケを付けたのは、不慮の事態─────主に自分達を付け狙っていると思しきアンデッドのアサシンに備えての措置だったが、こんな形で役に立つとは思わなかった。
─────また面倒な事になった。
あの駐車場で感じていた、近づいてくるアンデッドの気配。
そしてモモンに一撃を加えたバーサーカー。
あのバーサーカーはアンデッドではなかった。ということは、近づいてきたアンデッドが何もしないで立ち去ったわけでもない限り 、
あの時感じていたアンデッドの気配はバーサーカーのマスターのものだろう。
アンデッドのアサシン─────この存在に気を取られすぎたのが、バーサーカーの不意打ちを受けた要因である。
確かにあのバーサーカーは高いステータスと、バーサーカーとは思えない戦技を持っていたが、あの距離で不意打ちを受けるほどモモンの水準は低くはない。
アンデッドがサーヴァントだけだと思っていた為に、アンデッドの気配に惑わされた結果、不意打ちを受ける結果となった。
しかし問題なのはそこではない。
“バーサーカーのマスターが相当な強さを誇り、尚且つバーサーカーはアンデッドではない”。
これが問題の全てだった。
モモンはバーサーカーと正面から殴り合って確実に勝つ自信がなかった。
これが最初に交戦したランサーならば、アンデッドという性質を持つ為、スキルと宝具により優位を取れる。
だが、ランサーと違い、アンデッドでもモンスターでも無いバーサーカーとは、一切の補正の無い真っ向勝負となる。
宝具抜きであれ程の強さを発揮した、あのバーサーカーに、モモンが確実な勝利を期するには、アインズの姿を解放する以外に無い。
アインズとしての姿と力を解放すれば、あのバーサーカーの魔力放出に対して脆くなるが、それでもモモンの姿より勝率は高いだろう。
尤も、アインズの姿となればハムスケが使えなくなる為リョウマが無防備となる。そうなればリョウマはバーサーカーのマスターにたちどころに狩られるだろう。
それに、アインズの姿になれば魔力が自然回復しなくなる。
─────ああ〜。とんでもない縛りプレイじゃ無いか。
キャスタークラスならばナザリック大墳墓とその守護者達が召喚できただろうに。
流石に大墳墓の外に守護者達を出すことは出来ないだろうが、リョウマの守護りとしては充分─────どころか過剰すぎる戦力だ。
─────はぁあ〜〜。
まあ、無い物ねだりをしても仕方がないが。
大体、一対一で当たらなければならないというルールは無いし、あの手の厄介な相手には複数人数による囲い攻めが一番だ。
先刻一緒に攻撃を受けたキャスターとバーサーカーのマスターに同盟を呼びかけてみるのが、目下の処、あの獣に対し取れる最良にして唯一の手段だろう。
その時、ふと思い至った事があった。
─────『変身』か。
果物のランサー。鎧のキャスター。そして自分……は少し違うか。
本戦が始まってから、姿を変えて戦う者が二騎─────自分を含めれば三騎。
─────少し多いような気がするが……偶然か?
そんな事を考えた時、リョウマが自分を呼ぶ声が聞こえた。
「はぁ…はあ……はぁ…はぁ……」
「一体なんだったんだよ……アレ………………」
「知らねーよ!!」
「大声を出すな!」
「近くには居ないみたいだよ…………」
深夜の住宅街の一角で、十代半ばの四人組が荒い息をついていた。
同じ学校に通うこの友人同士の四人。久しぶりに彼ら四人含むクラスメート達でで連れ立って遊びに出かた。
最近物騒な事件が多いが、これだけ人数が居れば大丈夫だろうと思っていた。
遊び終えてそれぞれの家がある住宅街の一角まで帰って来た時、“それ”と遭遇した。
交差点に差し掛かったその時、右の彼らから見て右側の角から明らかに人ではない影が現れたのだ。
それも複数。
呆気にとられて固まった彼等に、異形の群れが気付き、先頭にいた人間サイズのコアラが一番手塚な場所にいた少年の頭部の上半分を齧りとった。
次いで人間サイズの鳥が、頭部を齧りとられた少年の隣にいた少女の腹に嘴を突っ込んで腸を引き摺り出し、次いで巨猿が少女の頭部を引き抜いた。
更に現れた異形の群れに襲い掛かられ、集団前方にいた少年少女が悉く殺された辺りで、残りが正気に帰り、蜘蛛の子を散らすように逃げ出したのだった。
無我夢中で走り回り、気がつけばたった4人、見知らぬ道でへたり込んでいた。
道路にへたり込んで息を整えるエスタは思う。
一体あれは何だったのか?他の皆はどうなったのか?
散り散りになったクラスメート達が気になるが、今はそれよりも息を整える方が優先だった。
アスファルトの路面にへたり込んで息を整える。乱れきっていた呼吸と脈拍が元に戻っていくのと並行して、思考も落ち着きを取り戻していく。
徐々に周囲の気配が明確に伝わってくる。おかしい、周囲にいるはずの3人の気配がない。
「デニス、トム、マルコ………?」
驚かそうとしているのか?
ひょっとして自分を置き去りにして帰ってしまったのか?
それとも………それとも?
おそるおそる顔を上げる。誰もいない。
人生最高のスピードで首を左右に振る。
右側……居ない。
左側……いた。
「え……………」
そこに居たのは暗い白髪の少女。
「あの………」
3人連れの男の子を見かけませんでしたか?
そう聞こうとした次の瞬間。エスタは遥かに高くなった視界から地上を見下ろして居た。
「あ……」
離れた場所に倒れ臥すデニス、トム、マルコの姿を視界に収めると同時、エスタは意識を失った、永遠に。
「……………………」
骨の砕ける鈍い音を立てて、路面に落ちた少女の頭部に何ら関心を示さず、
朽木ルキアは後ろを振り向く。
目線の先にあるのは、マスターである
ステラ・ルーシェの姿。
土気色の顔で路面に横たわり、目を閉じている姿はどう見ても死体だ。
胸が僅かに動いていなければ、生きているとは誰も思うまい。
バーサーカーのクラスで召喚され、思考も意識も濁りきった身でも、ステラはもうすぐ死ぬことは理解できる。
消耗した魔力を補うべく、ここいら辺を走り回って居た男女を10人以上喰ったが、黒いセイバーと白いアサシンにやられた傷を癒すには程遠い。
マスターの負担を減らす分にも到底足りぬ。
更に魔力を得るべく、他に獲物が居ないかと周囲を見回すと、陽光を思わせる金髪の少年が、激しい敵意を宿した瞳を此方に向けてルキアを睨みつけていた。
金髪の少年、
百夜ミカエラは、巨大ハムスターに跨った少年の姿を求めて、住宅街へとやって来ていた。
あの駐車場でミカエラが目撃したサーヴァントは三騎。内ニ騎はマスターとともに逃げた。となれば、あの少年は残る鎧のセイバーのマスターと考えて良いだろう。
あの鎧のセイバーはミカエラの従えるバーサーカーと比べてもかなりの強敵。加えてマスターに強力な護衛がついている。
バーサーカーにセイバーを抑えさせ、マスターミカエラが仕留める─────という手段があの主従には通用し辛いのだった。
残りの二人、バーサーカーのマスターはミカエラの敵では無い。あの程度ならば容易に始末出来る。
問題なのは、もう一人─────キャスターのマスターの方だった。
あの少女の持っていた大鎌、あれは間違いなく“鬼呪装備”。人が創り出した吸血鬼を滅ぼし得る武器。
身体能力を人間を遥かに超える域に引き上げ、吸血鬼の不死身の肉体を容易く滅ぼせる武器。
キャスターのマスターは容易く倒せるような者ではない。それに、バーサーカーのマスターと同盟を組んでいる以上、此方のバーサーカーを向こうバーサーカーに抑えさせ、
ミカエラに対してはあの三騎士にも匹敵する武練のキャスターも加わると考えて良いだろう。
ギリ……とミカエラは歯を軋らせた。
姿の見えない狙撃手を警戒して、バーサーカーだけを突っ込ませたのは失敗だった。自分も加わっていれば、キャスターの負傷に乗じて、二組を一度期に斃せた筈。
態勢を立て直されれば、二組が組んでいる限り、ミカエラの勝ち目は薄い。
─────過ぎた事は仕方がない。
ミカエラは頭を振って、思考を切り替えた。取り敢えずキャスターマスターについて気付いた事を、脳裏で纏めた。
キャスターのマスターがその“鬼呪装備”を持っていた。という事はあの少女は日本帝鬼軍の者ということになる。
─────益々殺さなければならなくなったな。
百夜優一郎を欺いて、自分達の薄汚い目的の為に利用している輩共の一人などに聖杯は渡せないし、生かしておく理由もない。
とはいえ何処へといったか皆目見当がつかない上に、補足したところで即座に殺すという事も出来ない
一先ず放置しておくことにし、ミカエラは巨大ハムスターに乗って逃げた鎧のセイバーのマスターを追うことにした。
此方はどの方向に去ったかは判るし、おそらく現在はサーヴァントと別行動を取っている筈。バーサーカーと共に襲えば、あの恐るべきセイバーを戦わずして葬れる。
当座の行動を決めると、ミカエラは住宅地へ向かった。
そして住宅地に入る手前で、嗅いだのだった─────血臭を。
吸血鬼であるミカエラは血の匂いには敏感だ。その嗅覚が告げたのだ。多くの人間が死んでいると。
ミカエラはセイバーのマスターと並行して、血臭の原因を探すことにし、血臭を辿ってルキアを発見したのだった
NPCが何人死のうと関心はない……という訳ではない。
聖杯戦争の巻き添えで死ぬ事については最早割り切っているが、進んで殺戮に耽るつもりはない。
現に一度目の遭遇の際などは、アヴェンジャーの主従がいたビルの上層部に人がいれば、刃の嵐で死んでいた去ろう。
しかし、NPCを殺して廻る者には全く容赦をする気はない。
全員殺すというスタンスではあるが、最優先で殺す事に決めていた。
ミカエラの家族、NPCとして再現された、嘗てフェリドに殺された家族達。
彼等が再度殺されるなどという事にミカエラは耐えられない。
予選でもNPCを害していた輩は見つけ次第殺して来た。
唯々偶然、目についたので殺したNPCがミカエラの家族だった。ミカエラを精神的に揺さぶる為に殺した。孤児院には人が多く居たので襲った。
理由はいくらでも考えられるが、どんな理由であれ、家族を害される事は容認できない。
家族を害する可能性が少しでもあるなら潰す。
そうやって、不必要な戦闘までも行って来た。
その為にクルルの血を使い尽くす事となったのだが。
そして ミカエラは、この方針を変えるつもりは全く無い。仮初めとはいえ家族は家族なのだから。
ミカエラは地を蹴って駆け出した。駆ける先に居るのはルキア。ミカエラにはステラはルキアの犠牲者としか映っていない。
もしも、ステラが死期も間近な重篤の病人でなければ、ミカエラはステラをマスターと認識しただろう。
だが、ステラは死者の如き顔色でアスファルトの路面に横たわっている。事情を知らぬミカエラが、ステラをマスターと認識できぬのも無理からぬことだった。
路面に足跡を刻むほどの力で踏み込みを行うミカエラの首を、踏み込みに遅れて振るった鎌で狩りに行くルキア。
10m以上有った距離を秒にも満たぬ間に一足一刀の間合いとする吸血鬼の脚力が超常の域と言うならば、
重傷を負った身であり、尚且つミカエラの踏み込みに後発しながらも、ミカエラが攻撃態勢に入るより速く、首を刎ね飛ばせるルキアの攻撃速度は鬼神の域と言うべきか。
幼い日に人としての生を終わらされた少年と、死神としての在り方を歪められた少女の交差は、一合も交えることなく少年の死を以って終わる。
一対一(タイマン)ならば。
ルキアがミカエラの首を宙に舞わさんと、鎌を振るおうとした、正にその時。
ミカエラの超常の踏み込みが、そぞろ歩きにしか見えぬ程の猛速で、ルキア目掛けて走る赫い影。
人の形を持つが、全身が捩くれて歪んだ印象を持つ獣の様な少年が、その印象に相応しく四つ足で突撃。
超常の域をも遥かに超えた速度は、鬼神も恐慌して三舎を避ける咆哮をすら後方に置き去りにし、 結果として無音のままルキアに迫る。
繰り出される炎を纏った拳。辛うじて反応できたルキアが鎌の柄で受ける。
特大の雷が至近に落ちたかのような轟音。宝具である焔雫が軋む程の暴打。
ルキアの矮躯が音の速度で地面と水平に飛ぶ。宙を飛ぶルキアに魔力放出を用いた跳躍を行った獣が、爆炎を尾と引きながら、音を超える速度で追い縋る。
「ルゥオオオオオオオオ!!!」
轟声と共に振るわれる業火を纏った暴拳。ルキアの身体を貫いて四散させたのみならず、路面を突き穿ち爆散させ、十数mに渡って路面が崩壊した。
周囲100m以上に渡り地面が揺れ、砕けたアスファルトが降り注ぐ。
ガス爆発かと思った周辺住人達は、ある者は外に飛び出し、ある者は警察に通報する。
周囲が騒然としだしたのを把握したミカエラは舌打ちした。
こうなればさっさと立ち去るより他にない。バーサーカーのマスターが未だ何処にいるか不明だが、顔を見られる事は避けねばならない。騒ぎの関係者と思われて、警察に追求されるという事態になれば最悪だ。
素早く周囲を確認し、人気の無い方へ駆け出そうとしたミカエラの吸血鬼としての超感覚が空気の乱れを感知した。
咄嗟に抜いた剣身に重い衝撃。鋼の擦れ合う壮絶な響き。
獣の暴打を瞬間移動で回避したルキアが敵の排除と魔力の補充とを同時に成す為に、再度の転移でミカエラの背後へと出現。背中目掛けて凶刃を振るったのだった。
完全に不意を衝かれたにも関わらず、ミカエラがルキアの攻撃を受け止め、あまつさえ拮抗できているのは、ミカエラの身体能力と技量とが高い水準にある事を示していたが、
それでもルキアが無傷であれば、不意打ちで体勢の崩れたミカエラは押し切られて斬り倒されただろう。そもそもが反応すら出来たかどうか。
防がれたと認識したルキアが、焔雫を縦横に振るい、ミカエラの上下左右から刃を殺到させる。
秒瞬の間に振るわれる鎌の七閃を悉く受け、弾き、捌く合間に送る二剣。
傷ついた身でありながらも、己の反撃を意にも介さず払いのけ、攻撃の手を緩めないルキアに、舌打ちするよりも早く、ルキアの姿が視界から消えた。
変わってミカエラの視界にあるのは、虚空から不意に現れたとしか思えぬ程唐突に出現した
黙示録の獣。
音に倍する速度で距離を詰め、音の四倍の速度で振るわれた拳を、辛うじてルキアが瞬間移動で回避した結果のことだった。
獣の移動と振るわれた拳に押し出された空気が乱流と化してミカエラの顔を叩く。
ミカエラが思わず顔を背けたと同時、獣が跳躍、回転しながらの裏拳で、ミカエラの頭上に出現して鎌を振るっている最中のルキアを殴り飛ばす。
弩から放たれた鏃の様に宙を飛んだルキアは、住宅を五軒貫通して、鉄筋コンクリート製のアパートに激突して漸く止まった。
夜空に舞う赫い影。両腕を焔と燃え上がらせ、黙示録の獣がルキアに引導を渡さんと飛翔する。
咆哮とともにルキアが埋まった瓦礫に両腕を叩き込み、アパートごとルキアを消し飛ばそうとした時、鱗に覆われた長大な鞭が獣の身体を捉えた。
強かに打たれて姿勢を崩した獣に鱗の鞭が巻きつき、アスファルトに獣の全身が埋まる勢いで叩きつける。
ハムスケの奮闘で金髪の少年を振り切った
最上リョウマは、少年の追撃を避ける為に大回りして住宅地に入り、家へと急いでいた。
その途上で、路面を赤く染めて倒れ臥すNPCの骸を発見。周囲を警戒していたところへ、立て続けに生じた轟音と震動。
その発生源へと赴いた彼等が目にしたものは、ついさっき襲って来た少年が、見るからに凶悪なサーヴァントを従え、サーヴァントの少女を襲っているところだった。
ここで取るべき賢明な選択は、静観する事だった。他のサーヴァントが潰し合い、生き残った方の情報も手に入る。
介入する理由など何処にもない。見ず知らずのサーヴァント同士の交戦だ。弄さずして一騎が消え、残った者の情報も手に入る。
にも関わらず介入したのは“ほうっておけなかった”からだ。
切断されて転がる人体の中にあって、唯一五体満足な姿で路面に横たわる少女を。
土気色をした少女の顔は、リョウマにすら死体と思わせるものだったが、僅かに少女が身じろぎしたのを見てリョウマの腹は決まった。
リョウマが心に抱く英雄の姿。憧れ目指したあの二人ならば、助けに入るだろう。
その思いの元、リョウマはハムスケに獣を制止させ、自身は令呪を使ってセイバーをこの場に召喚した。
「放って置けない…か」
「すいません……」
「マスター。気にしなくても良いさ。それが君の答えに繋がるのなら。それに……困っている人を助けるのは当たり前さ」
リョウマの選択はどう甘く見積もっても愚策でしかない。
高々NPC1人の為に危地に身を投じ、あまつさえ令呪を消費するなど愚行の極み。
それでもモモンはリョウマを責める気にならない。
モモンもまた、リョウマの行動に英雄(ヒーロー)を見ていたから。
たっち・みー。もはや二度と会えぬであろう純銀の聖騎士。彼もまた、この状況では同じ決断を下すだろう。
─────カルネ村の時と同じだなぁ
あの時だってたっち・みーの影を、彼の子であるセバスに見なければ、カルネ村を放置して皆殺しにされるに任せただろう。
リョウマの決断は過去のモモンの下した決断と同じ。だからこそ責める気にならなかった。
─────さて、あの少女を助け出すのは……………無理とは言わないが厳しいな。
リョウマと言葉を交わしている間に、立て直して金髪のマスターの隣でこちらを伺うバーサーカーを見る。
リョウマが救おうとしている少女は、道路に生じた巨大な陥没を挟んで対峙する、バーサーカー及びそのマスターの背後にいる。
どうにかしてあの主従を突破する必要があるが、これが実に難しい。
あの陥没を越える際に、どうしても隙を作ることになるからだ。
戦力では僅かに上回る向こうの組も襲ってこないのは、陥没を越える際の隙を警戒してのことだろう。
ハムスケが自由に動けるのならともかく、リョウマを護りながら…という戦い方では、あのマスターの相手はキツイだろう。
モモンにしても、短期であのバーサーカーを仕留められる見込みは全く無い。
「マスター。此処は奴等を引き付けながら退こう。このまま戦えば、煽りを食って彼女が傷付く」
結局出した結論は、この場から移動して、少女を戦闘から遠ざける事。自分たちがいなくなれば、後は近隣住民なり、救急なりがなんとかするだろう。
そして二人と一匹が動こうとしたその時、モモンの視界を影が過ぎた。
ミカエラは表面上は冷静だったが、内心では激怒していた。
NPCの殺戮に励んでいたサーヴァントをもう少しで仕留められるというところで、何故にこの連中は邪魔をするのか。
マスターだけだったならばバーサーカーの戦力なら即座に殺せるが、サーヴァントを呼んだとなればそうもいかない。
─────人目も有る。そろそろ退くか。
鎧のセイバーは難敵だが、幸いな事に先程バーサーカーが作った陥没が動きを妨げている。
バーサーカーにセイバーを警戒させ、自身は後方へと跳んだその時、ミカエラの視界の端に白い影が見えた。
バーサーカーとして召喚されたルキアの思考は極めて単純化している。
『マスターを護る』たったこれだけ。
その為にステラに害を為す者は斬り殺すし、傷ついてステラ護る事に支障を来たせば、迅速に回復する為に人を喰う。
理性を奪われた頭にあるのは、ただそれだけ。
ガッツ、克己、獣との連戦で傷ついたルキアは、アパートに叩き込まれた事を奇貨とし、アパートの住民悉くを殺して魔力とし、ステラの元に戻って来たのだった。
ミカエラを狙ったのは、単にステラの最も近くにいた上に、ルキアが見たとき丁度ステラの方へと移動した見た為に過ぎない。
途上に有った住宅の住民も、出逢えば行き掛けの駄賃と斬り殺し、ルキアはミカエラに向かって凶刃を振るう。
夜気を引き裂いて響く鋼の激突する音。散った火花が刃を交える2人の顔を照らす。
魔力充溢して膂力も本来のものに戻りつつあるのか先程は互角だったミカエラの体がたった一合で大きく崩れた。
主の危機に獣が援護に入る。ルキアの顔面目掛けて赫焔を纏った拳を繰り出すが、ルキアは顔を振って拳を回避、鎌の柄で獣の頰を殴り抜いてよろめかせ、続いて刃で胴を刈る。
再度夜気を引き裂いた凄絶な響き、それが相撃つ鋼の響きと誰が知ろう。
獣が取り出した大鎌が、ルキアの振るった鎌と激突し、弾いたのだ。
大きくよろめいて隙を晒したルキアの命を刈り取るべく、獣が大鎌を振るい抜く。
これを瞬間移動でルキアは回避、獣が空振りした隙を逃さず、陥没を飛び越えたモモンが着地と同時に右の大剣を振るい、反応した獣が鎌で迎撃する。
今までの音など比較にならぬ轟音と衝撃が周囲を叩く。
両者の力は五分。刃が両者の中間で拮抗して火花を散らし、2人の足元に身体を伝わった剣撃の威力で亀裂が生じた。
ルキアが姿を消し、獣が動きを止めた機を逃さず、ハムスケが地に倒れ伏した少女─────バーサーカーマスターであるステラ─────に向かって駆けるも、
突如眼前に現れたルキアが、ハムスケの背に乗ったリョウマに刃を振るう。
「させぬでござる!!」
これにハムスケが即応。尻尾を真っ向上段から振り下ろし、鎌の柄で受けたルキアを前脚で殴り飛ばす。
そこへミカエラが背後から強襲。リョウマ目掛けて刺突を繰り出すも、蛇がトグロを巻くように、ハムスケの全身を囲んだ尻尾に遮られて失敗に終わった。
ステラを連れて逃走する機を伺うルキア。
同じくステラを連れて撤退する機を伺うリョウマと、リョウマの意を叶えるべく立つモモン。
一刻も早くこの場を離れたいミカエラ。
地に伏したステラの周囲で、5人の思惑が絡まり合う。
D-4(住宅街)2300
【百夜ミカエラ@終わりのセラフ】
[状態] 健康、膨大な魔力
[装備] 「剣」
[道具] 無い
[令呪] 残り三画
[所持金] 学生だが孤児院住まいなのでそんなには無いだろう
[思考・状況]
基本行動方針:優勝狙い。まずはある程度情報を入手してから、
バーサーカーの火力で他の敵を潰していく
消耗は避ける
1.『家族』を巻き込まない様にする
2.慎重に行動する
3.不意打ちは止めておく、当分は偵察のみで。
4.このままSE.RA.PH全域を回っていく。
5.家族に害を為す可能性が有る、NPCに危害を加える者は最優先で倒す。
6.この場からさっさと撤退したい
7.あの日本帝鬼軍の少女(
柊シノア)は絶対殺す
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.
瀬田宗次郎&アサシン(
シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました。
3.
網島ケイタ&セイバー(
剣崎一真)を確認、ステータスを確認しました。
4.ライダー(
フル・フロンタル)を認識、ステータスを把握しました。
5.ランサー(
クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
6.
最上リョウマ&セイバー(モモン)を認識、ステータスを確認しました。
7.
柊シノア&キャスター(
布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
8.
エレン・イェーガー&バーサーカー(
シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
9.バーサーカー(朽木ルキア)を認識、ステータスを把握しました。
10.予選時点でクルル・ツェペシから貰った血を幾らか持ってきていましたが、決戦時点で既に飲み干しています。
クルルの血と吸血鬼が持つ魔術回路のお陰で魔力は大量に有りますが、回復が出来ないので慎重に。
【バーサーカー(黙示録の獣)@.hack//G.U.TRILOGY】
[状態] 健康
[装備] 無し
[道具] 無い
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
[備考]
1.輿水幸子&アヴェンジャー(輿水幸子)を認識。ステータスを確認しました。
2.瀬田宗次郎&アサシン(シルベストリ)を確認。ステータスを把握しました
3.網島ケイタ&セイバー(剣崎一真)、ライダー(フル・フロンタル)を確認。
4.ライダー(フル・フロンタル)に刃の嵐を投げつけました。
5.ランサー(クー・フーリン)を認識、ステータスを把握しました。
【最上リョウマ@デジモンクロスウォーズ 時を駆ける少年ハンターたち】
[状態] 健康、魔力消費(小) ハムスケに騎乗中
[令呪]残り2画
[装備]
[道具] クロスローダー
[所持金] 貧乏(一般学生の小遣いレベル)
[思考・状況]
基本行動方針:答えを見つけるまで専守防衛
1. クロスローダーに反応のあったデジモンを探す。
2. アサシンらしき存在には最大限警戒
3.早くあの少女(ステラ・ルーシェ)を助けて離脱する
[備考]
※クロスローダーが、C-1/海岸での
スカルナイトモンの戦いに反応しました。
リョウマの所持デジモンでないこと以外、なんというデジモンかなどは分かっていません。
百夜ミカエラの姿を認識しました。名前は知りませ
【セイバー(モモン)@オーバーロード】
[状態] 健康
[装備] 双剣、漆黒の鎧
[道具] その他多数の装備
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターの依頼を引き受ける。聖杯戦争の運営には警戒
1.「アインズ・ウール・ゴウン」の名はなるべく隠しておく。
2.自分の正体がバレてマスターの心の傷を抉らないか心配。
3.切り札である魔法アイテムはなるべく取っておくが、使い時には惜しまない。
4.感知したアンデッドのアサシンらしき存在には注意する。
5.コレクターとしてデジモンに興味
6.あのランサーがたっちさんの憧れた仮面の変身ヒーローなのか?
7.アンデッドばかりなのは気のせいか? 何か意味があるのでは? そもそもこの戦いでのアンデッドの定義は?
[備考]
※ランサー(
駆紋戒斗)の宝具「刺し貫く鮮黄の槍(バナナアームズ)」、「射り撃つ黄金の矢(レモンエナジーアームズ)」を確認しました。
柊シノア&キャスター(布道レオ)を認識、ステータスを確認しました。
エレン・イェーガー&バーサーカー(シン・アスカ)を認識、ステータスを確認しました。
バーサーカー(黙示録の獣)の姿とステータスを確認しました。
バーサーカー(朽木ルキア)の姿とステータスを確認しました。
※かつての仲間から仮面ライダーシリーズについての熱弁を沢山聞いていますが、殆ど聞き流していたためろくに覚えていません。
※アンデッドへの探知能力はモモンの状態だと遠ければ遠いほどなんかいるなー程度になっています。
【ステラ・ルーシェ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY 】
[状態] 数日経てば死ぬ状態
[装備]無し
[道具] 無し
[所持金] 無し
[思考・状況]
基本行動方針:生きたい。
【バーサーカー(朽木ルキア)@劇場版BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ
[状態] ダメージ(大)
[装備] 鎌
[道具] 無し
[所持金] マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:??????
1. マスターを休ませる
2.マスターを護る
[備考]
1.セイバー(ガッツ)アサシン(
大道克己)と交戦。
カオスヒーローをセイバー(ガッツ)のマスターと認識しました。
【備考】
D-4の一角の道路に、十数m程の大きさの陥没が発生。その際、広範囲に音と震動が伝わりました。
三組の交戦場所の周囲にはNPCの死体が複数転がっています
投下順で読む
時系列順で読む
キャラ別で読む
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今回の登場人物 |
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| 05.迷い子達 |
ステラ・ルーシェ |
24.メモリッパー・ハンターズ |
| バーサーカー(朽木ルキア) |
| 16.一期一会 |
最上リョウマ |
| セイバー(モモン) |
| 百夜ミカエラ |
| バーサーカー(黙示録の獣) |
最終更新:2017年10月29日 17:19