プリシャス

「ちょっと、待って、生きて……生きているんだぁ!!!」

【名前】 プリシャス
【読み方】 ぷりしゃす
【声】 朴璐美
【登場作品】 騎士竜戦隊リュウソウジャー
【登場話】 第34話「宇宙凶竜現る!」~第46話「気高き騎士竜達」
最終話「地球の意志」
【所属】 ドルイドン
【分類】 ナイト級幹部
【属性】 ドルイドン
【武装】 薙刀双剣プリシャスラッシャー
【分布】 決着の最奥
【経験値】 710
【チェスピースモチーフ】 ナイト
【その他モチーフ】 ピエロ、ハートマーク
【名前の由来】 プリンセス、プリンシパル+プレシャス
【経験値の由来】 ナイト

【詳細】

液体金属のような超再生ボディを持ったドルイドンナイト級幹部

腕を切り落とされても瞬時に再生してしまう超回復能力を持った銀色の体はピエロを思わせるシルエットをしており、薙刀双剣プリシャスラッシャーで武装している。
ここから破壊光線や光輪を放って攻撃を行う。
一人称は「僕」を使い、声色は中性的だが性別は不明。
後述するガンジョージ誕生の際には「兄」と称しているため、男性である模様(公式の扱いも男性)。

プリシャスの最も特徴的な能力は、トランプのようなカードを使って対象をコピーする能力である。
これによって相手の技や急所を奪ってしまうことが可能。
この能力でワイズルーガチレウスの心臓をコピーして握り、モノ質として手元に置くことで彼らを部下のように使役するようになった。
このコピー能力は単純に存在や能力を奪ってしまうようなものではなく、心臓を奪ったカードに危害を加えれば奪われた者は例え離れていても苦しみだすという、文字通り急所を握る使い方が可能。
またマックスリュウソウレッドの必殺技をコピーして使いこなす等、相手の技さえも自分のものとして扱うことができる。
ちなみにリュウソウジャー側はプリシャスのコピー能力は把握していたものの、その能力を応用し何か(心臓)を奪う使い方が出来るのは第45話でマスターブラックが語るまで知らなかった。

単体での戦闘力も幹部だけあって十分であり、プリシャスラッシャーを駆使した接近戦で相手を圧倒できる技量を持つ。

第33話で登場したビショップ級のウデンは腹心の部下か何かであるらしく、ウデンが地球にやってきたことでワイズルーは近い内にプリシャスもまた現れることを予測していた。
一時期ドルイドンの元にいたガイソーグことナダもプリシャスのことを知っており、コウにその存在のことを警告している。
ガチレウスが再び地球にやってくるきっかけになった存在というのも、プリシャスだったようで、彼が本格的に動き出す前にと考え地球に再来した模様。
スペースドラゴンというペットを飼っており、リュウソウジャーに破れた際には復讐を誓うなど、大切にしていた模様。

その性格は子供っぽく傲慢なもので、文字通りに命を握っていることからあのプライドの高いガチレウスを部下としてこき使い、憤りつつも指示に従わざるを得ない彼の姿を笑うなど陰湿。
ドルイドンを束ねる者」を自称しているが、登場以前からエラスの復活のために暗躍していたようで、500年前と300年前の二度に渡って地球にやってきてそのたびにマスターブラックガイソーグを装着したマスターグリーンに撃退されていた模様。
そのためワイズルー等はプリシャスのことを負け犬と蔑んでいたが、これは本人にしてみれば計画のうちだったようで、
300年前の襲来の際にエラスを封印している始まりの神殿を発見し、その時に今回の地球侵略の筋書きを思いついたとされる。

ドルイドンの支配者として傲慢に振る舞っているが、彼が他の幹部に強く当たっているのは心臓を握るという弱点を作っているからであり、連れ歩いているサデンすらもコピー能力で心臓を奪っていたことが判明している等徹底的。
相手の急所を握ることで支配権を得て部下としてこき使うというのは、裏切りを許さないという意思表示ではあるが、腹心として「信頼」しているというサデンにまでそれを当てはめているのは過剰と言えるだろう。
エラスの復活に関してもワイズルー達へは知らせずにプリシャス独自に動いているもので、マイナソーの代わりにエラスが同族を次々に生み出すようになったため、ついにはマイナソーを生み出せるクレオンすら彼の陣営には不要となってしまった。
高い再生力を持つゲル状の肉体を持つという点でプリシャスとクレオンは似ており、クレオンが握るべき急所、心臓を持たないという点でシンパシーを感じたのか定かではないが、クレオンに対し「ドルイドンの最高幹部にしてあげるよ」と優しげに語りかけるも、実際は上記の通りエラスがマイナソーに代わる戦力を生み出せるようになったため、その言葉を実現するつもりはさらさら無かったと思われる。

自分以外をこき使う対象として見ているのはガチレウスと同様であり、その駒を自分のために都合よく動かそうとする点もよく似ている。
ただガチレウスは全方位にあたりが強く容赦がないのに対して、プリシャスは緩急織り交ぜた交渉や、心臓などを人質に取ることで実質的な選択肢を無くしてしまう等、その本質はガチレウス以上に悪辣。
ガチレウスクレオンをこき使うがあまり彼に能力を暴露されてしまった結果リュウソウジャーに敗北してしまう結果になったが、プリシャスは心臓を握ることでそういった反逆行為そのものを未然に防いでいるあたり、用意周到さではプリシャスに軍配が上がるだろう。
第三者視点から見れば、ぶっちゃけどちらも上司にはしたくないタイプである。

ウデンが戦死した33話の次、第34話にて初登場。
クレオンを取り合っているガチレウスとワイズルーらの前にスキップをしながら姿を見せ、
「こいつは珍しいやつが来たな」(ワイズルー
「かつてリュウソウ族に倒された負け犬が今更何しに来た」(ガチレウス
と罵倒されながらも「あのときの僕とは違うよ」と余裕を見せ、彼らの心臓をカードに写し取ってしまう。

そして支配下に置いたガチレウスを街中で暴れさせリュウソウジャーをおびき寄せると、彼にマックスリュウソウレッドと戦わせエバーラスティングクローをあえて受けさせることでそれをコピーすることに成功。
その後スペースドラゴンを呼び出し破壊活動を行わせつつ、迎撃に出たナイトロボを合体解除に追い込むのを見届けると、戦闘結果に満足したのかドラゴンを撤収させ、リュウソウジャー達の前に姿を表す。

コウを指名しマックスリュウソウレッドとタイマン勝負を行うが、その力の前に圧倒される…と見せかけ、写し取ったエバーラスティングクローを油断していたコウに直撃させ、隠していた力を見せつける。
エバーラスティングクロー同士の打ち合いにも競り勝てたため、リュウソウジャー達は自分の敵ではないと判断。
しかしこのままではつまらないと称して3日の猶予を彼らに与え、撤退した。

第35話ではその言葉の通り3日後に姿を表し、セトーから与えられた試練を突破したリュウソウジャー達と交戦。
一人だけ試練を受け続けていたため現場にコウがいないことを見抜いて他のメンバーを煽り、彼らの連携攻撃も難なくあしらって見せるが、そこへ試練を乗り越えたコウが合流。
彼がマックスリュウソウレッドにチェンジすると激突し、激しく攻め立てた末エバーラスティングクローを使いとどめを刺そうとする。
しかしマスターレッドとの戦いの末に、マックスリュウソウレッドの力を熟知し、エバーラスティングクローの「弱点」を知ったコウはあえてプリシャスの攻撃を受け流すことで耐えしのぎ、カウンターで自分が技を使うことで大きなダメージを与えることに成功する。

自分を出し抜いた彼らを認め、スペースドラゴンを呼び出してその場から撤退するも、スペースドラゴンはキングキシリュウオーの必殺技の前に倒され、可愛がっていたペットを失ったプリシャスはその復讐を決意するのだった。

その後は命を握られている状況のスリルを楽しむためあえてプリシャスとは別行動を取り始めたワイズルーは無視する形で、ガチレウスをこき使い始める。
ガチレウスは生殺与奪を他人に握られている状況が我慢できなかったため、プリシャスに従う中で虎視眈々と心臓を奪い返す瞬間を狙っていた。

が、ワイズルーは心臓がないということは胸の鼓動を直に感じられないことがストレスになっており、第36話でやはり心臓を奪い返そうとスピードに特化したシルフマイナソーを利用し、奪還作戦を考案。
しかしプリシャスはそれを見越してダミーカードを用意しており、シルフマイナソーに奪われたカードはそのダミーであった。
心臓を返してほしければリュウソウジャーを倒せと言い残してその場から撤退する。

第37話ではノームマイナソーを作り出しアジトに戻ってきたクレオンをターゲットにして彼の心臓を奪い取ろうとするが、その心臓をクレオンが持っていなかったため失敗。
「ふぅーん?君も心臓がないのか…」
するとプリシャスはクレオンの体質を面白がり、自分の右腕になればドルイドンの最高幹部になれると仲間へ勧誘する。

一方、ノームマイナソーを使った作戦も失敗したガチレウスとワイズルー
プリシャスはガチレウスを見限ることにしたようで、彼に最後通告を突きつけた上で「弱虫ガッちゃん」呼ばわりしてガチレウスを焚きつける。
流石に焦りをつのらせたガチレウスカリブディスマイナソーを自ら生み出してリュウソウジャーを倒そうとするも、
その最後の作戦すらリュウソウカリバーという新たな力を得たリュウソウジャー達の前に失敗してしまう。

なおも諦めずクレオンワイズルーの指示で誘拐し集めていた人間達を素体にしてマイナソーを生み出させようとしたが、
プリシャスはそんなガチレウスの右胸を射線上にいたクレオンごと貫き、強制的にエネルギーチャージ状態に追い込むことで強引に巨大魔強化を発動させる。
プリシャスとしては一人くらいリュウソウジャーを道連れにすることを望んでいたようだが、結局ガチレウスはキングキシリュウオーによって滅せられ、
何も功績を挙げないまま死亡してしまった。
彼の心臓を奪ったカードも、その死と共に溶けて消え、「使えなかったなぁ」という無慈悲なつぶやきとともに、それを見ていたワイズルーに対し、
「君は違うよね?」という期待とも、恫喝とも取れる言葉をかけて立ち去るのだった。

ガチレウスが戦死したことでもはやドルイドンはプリシャスによってほぼ私物化されてしまうことになった。
その状態を望まないワイズルーから罵倒されるも、それは計画のためわざと負けたと笑いながら返し、
狙い通りリュウソウジャー達は大いなる力、リュウソウカリバーに頼り、神殿から抜き去ったことでリュウソウカリバーによって封印されていたエラスの復活を予言する。

第41話から登場したサデンはプリシャスと言えども信頼する部下であるようで、エラスの復活が目前に迫った状況であったため、
サデンがいれば他のメンバーは処分してもいいとまで発言。
上記の通り第37話でクレオンを最高幹部に勧誘していたが、本人は本気でなかったため、すっかり忘れたのか元から叶える気など無かったのか、
その様子をクレオンが隠れて聞いていたことで、以後ドルイドンに対するクレオンの心境は大きく代わることとなる。

第43話にて活動を始めたエラスが新たなドルイドンを生み出すと、生まれた「弟」へガンジョージという名前を与え、
サデンを伴って街に向かい、ガンジョージへと破壊活動が生み出す暗い愉悦を味わせる。
それを気に入った様子のガンジョージが、駆けつけたリュウソウジャーとの戦いで巨大魔強化を発動、キシリュウオージェットと戦い始めた様子を観戦していたが、
それをプテラードンが発見し、自分を封印したドルイドンの姿を見たことでそのトラウマが蘇り、合体を強制的に解除してその場から逃走。
減った戦力を補うためにメルトらが自分の騎士竜達を呼び出し始めたため、ガンジョージの生存を優先するためにその場から撤退した。

その後順調に成長していくガンジョージに喜び、再度エラスが新たなガンジョージを生み出したことでプリシャスはマイナソーに頼らない自分だけの軍団を作りあげるという目的を明かす。
オトを人質に取りリュウソウジャー達からリュウソウカリバーを奪うことを提案したサデンを褒めるも、
その心臓のコピーカードをちらつかせつつの評価だったため、サデンは複雑そうに唸り声を挙げていた。

第44話ではⅡに教育を施していたガンジョージを褒めつつ、サデンから人質を奪い返されたと報告を受ける。
が、リュウソウジャーに対する興味が薄れてきたらしく、任務失敗したサデンを咎めずエラスが生み出した3体目のドルイドンヤバソードと命名。
ガンジョージのようにヤバソードを教育するため、ガンジョージⅡへとある命令を下し街へと繰り出した。
そしてヤバソードを暴れさせ、その場にやってきたコウとアスナへガンジョージ達をぶつけ、追い詰められる二人を見物。
深い信頼を見せるコウ達をあざ笑い攻撃を加えるも、仲間を見捨てず不利な状況下でも諦めようとしない二人へ苛立つ場面も。

「見えないの?私達のソウルが!」


と、そこでヤバソードが単身で巨大魔強化を発動して巨大化。
コウがキシリュウオーディメボルケーノで対処に向かったため一人になってしまったアスナへ攻撃を仕掛けたが
それを紙一重で避けた彼女はオモソウルの鉄球を使ったフェイント攻撃を行う。
がその攻撃はガンジョージが身を挺して防いだことでアスナは驚き、プリシャスは意趣返しとばかりに発言する。

「僕達のソウルが見えないのかなぁ?」


そして強烈な攻撃でアスナを変身解除させると、ドルン兵に捉えさせ、ガンジョージとヤバソードの新たなドルイドン、そして腹心のサデンまでいる自分のチームは最強だと告げる。
そして彼女を始末しようと剣を振りかざすも、恐怖を振り切ったプテラードンがオトの操縦によって駆けつけ、その銃撃を不意打ちで食らい吹き飛ばされてしまった。
キシリュウオーディメボルケーノとヨクリュウオーにヤバソードは押されていき、都合のいい時に来ると悪態をつくも、アスナはそれが仲間であると言われてしまう。
ガンジョージのダメージも大きかったためその場での戦闘継続を諦め、弟達を伴ってその場から撤退していった。

第45話ではエラス防衛のため残ったはずのサデンの姿が見えなかったため、カードに閉じ込めた心臓を握りつぶして無理やり帰還させる。
戻ってきたサデンがリュウソウジャー達を仕留めきれなかったことを謝罪するのだが、プリシャスはサデンを信じているが、
「力があると欲が出る」「裏切らないとも限らない」と明らかに”信頼している”とは真逆の発言をしたため、
サデンから「それは信じてるとは言わない」と言われてしまう。
その発言が癇に障ったプリシャスはサデンが歯向かったと判断して彼の心臓を強く握りしめて制裁を行い、
苦しむ様子を眺めて満足気に笑うが、油断していたその一瞬のスキにサデンはこちらの右腕を切り捨ててしまう。
心臓を握られても尚動けるサデンに驚くプリシャスだったが、そのサデンは実はコウがなりすました偽物。
直後にハヤソウルを使って離脱したコウに奪った心臓を持っていかれてしまい、完全に出し抜かれる形となってしまったため、
今までの余裕をかなぐり捨て激昂しながら彼の後を追いかける。

そこへ現れたマスターブラックを見て、今までサデンだと思っていたのが実は彼であったことを理解。
「お前はあいつらを見習うべきだ」として、マスターブラックに今まで自分の行ってきた行為が仲間を扱うものではないと指摘される。
そして「お前は結局一人ぼっちなんだよ」とまで言われてしまったため、プリシャスは心臓が戻ったばかりで本調子ではないマスターブラックを追い込み、
とどめを刺そうとするがバンバとトワに阻まれ失敗する。

と、そこでリュウソウジャーと戦っていたヤバソードが突然胸のドルイドンマークをむしり取り、敵味方関係なく攻撃し始めるという異常事態が発生。
その攻撃に巻き込まれてしまい困惑するプリシャスだったが、巨大魔強化を発動したヤバソードの心臓をカードに閉じ込めることで沈静化させることに成功する。
そして第46話でエラスの前にヤバソードを連れて戻り、エラスに対して自分に忠実な弟を作ったのでは無かったのかと問い質すも、
エラスが再びヤバソードを暴走させたため、怒りのままに45話で奪った心臓諸共ヤバソードを切り裂いて消滅させる。

そのままエラスを問い詰めようとするが、突然エラスから発せられた光の粒子がプリシャスを直撃。
ガンジョージが心配するも、プリシャスは人が変わったように「使命を果たそう」と言い、やってくるであろうリュウソウジャーからエラスを守るための策を講じる。
それはリュウソウルに反応するタイプの結界を張って彼らを足止めし、ガンジョージが迎撃するというもの。
チェンジせず生身で突入してきたコウとアスナの前に現れ、彼らを倒そうと攻撃を仕掛けるも、勝てない勝負であるはずなのに二人は決して諦めない。

さらにそこへセトーが現れる。
エラスを洞窟で発見した際に策を講じていたという彼は、予め洞窟の地中に埋めておいた茶色のガイソーケンを使ってリュウソウ茶色…もといリュウソウブラウンへとチェンジ。
プリシャスへと果敢に挑んでいくが、リュウソウ族なのはセトーの魂のみで、肉体自体は龍井尚久というおっさん。
当然訓練も積んでおらず、
向かっていく途中で石に躓いてすっ転び、剣術も最早見切るとか以前のレベルでしかなく、プリシャスに簡単にあしらわれてしまう。
だが、セトーもコウ達のように諦めず、「ダイナミックキャッチ」でプリシャスの動きを身を以て封じ込め、稼いだ僅かな時間でコウは結界の起点を破壊。

ガンジョージを倒してきた他のメンバーも結界が無くなったことで合流し、プリシャスとリュウソウジャー(+リュウソウブラウン「これがやりたかった…!」)との決戦の幕が開く。
名乗りを上げた騎士達と、母たるエラスを守ろうとする孤独な騎士の戦いは、リュウソウブラウンの補助を加えた強竜装、竜装の大盤振る舞いでプリシャスが押されていく。
激しい攻撃にさらされ続けたプリシャスはついに肉体の再生が追いつかなくなり、ノブレスリュウソウゴールドとマックスリュウソウレッドのあわせ技を受け大きく吹き飛ばされる形で決着がついた。

ダメージを受けたプリシャスはエラスの元に戻り、土下座をしてまで新たな戦力を、新たな「弟」の誕生を願う。
その様子はかつての余裕のあるプリシャスではない。
まるで母親に捨てられそうになり、必死にすがりつき、許しを請うような、子供のようなものだった。

そこへやってきたコウ達は、プリシャスがエラスにも見限られたと考えるも、プリシャスは言う。
お前たちこそ駆逐されるべき存在なのだ、と。
実はコウ達リュウソウ族エラスに地球を護るために生み出された種族であり、古代の先祖たちが力に溺れ互いに争い始めたため、
今度はリュウソウ族を滅ぼすためにドルイドンが生み出された。
しかしそのドルイドンもまたリュウソウ族と争うばかりか、地球をその手にしようと考え侵略行為を始めたため、
自分の思惑から外れた行動を取るようになった両方の種族を根絶やしにしようとする、それが今のエラスの考えだった。
テレパシーのようなものでそれを知ったプリシャスは恐れたのだろう。

元はと言えば恐竜絶滅のきっかけとなった巨大隕石から宇宙に逃れた彼らが、地球へと再び戻ってくることになったのはプリシャスが地球で封印されているエラスを発見したためである。
つまり自分の計画が、自分こそがドルイドン滅亡のカウントダウンを決めたようなものだ。
本調子を取り戻したエラスによって始末される前に、リュウソウ族を滅ぼすというドルイドン本来の使命を果たそうと、
普段の彼ならやらないであろう必死の叫びや攻撃も、全てはエラスによる粛清を免れるため。
使命に準じるという本来のあり方をエラスに示すことで、粛清されないようにと考えたのが原因だった。

命を守るためにエラスの前に揃ったリュウソウ族を倒すという使命を実行しようとするプリシャスの前に、死んだと思われていたワイズルーが出現。
実のところガチレウスの心臓は彼が死んだ時点で溶けて消滅したのに、ワイズルーのものは残っていたことから生存している可能性が高かった。

そんな彼から観客がこれ以上いなくなるのは辛い、というエンターティナーとしての言葉と共に、手を差し伸べられたプリシャスは、
絶望に浸っていた状態から体を起こしてその手をつかもうとしたが、その直前エラスから発せられた光がボディを貫通。
とっさにかばおうとしたクレオンごとエラスへと吸収されてしまう。

そしてプリシャスの肉体を得たエラスは完全体となって地球を作り直すことを宣言するのだった。

「まだだぁ……!まだ終わってないよ、まだ僕は生きて…!」


最終話でリュウソウジャーの奮闘によってエラスが滅びると依代にされていたプリシャスも解放されたらしく、
ふらふらの足取りで歩いている状態で登場、まだ命があり、野望を諦めない様子を見せていたのだが、それを見つけたワイズルークレオン
既にワイズルーは今までなんとなく疑問に思っていたことに答えを見つけ出すべく、クレオンの母星に向かおうとしていた。
その道連れとしてプリシャスの腕を掴んだのだ。クレオンと共に。

戸惑いながら、自分の意見も聞かずに彼らによって連れ去られていくプリシャス。
「生きていることがプレシャース、いやプリシャス!」そういうワイズルー達に引きずられ退場したプリシャス。

生きていることこそが幸せなのだというワイズルークレオン
エラスが消滅した今、数少ないドルイドンの生き残りであり真の意味で「兄弟」といえるワイズルー(+とりあえず幹部扱いのクレオン)と共に、
今度こそ、裏切りに怯えることもなく、何かを奪うことでしか築けない信頼関係なんかも捨てて、彼らと本当の仲間となってもらいたいものである。

登場してからあれだけ悪役として輝いていたプリシャスが、舞台を降りて同族達と共に新天地を目指すという終りを迎えると誰が予想できただろうか。
裏切りを恐れた孤独な道化師は、その末に得た仲間達と共に物語の舞台袖からひっそりと姿を消すのだった。

【余談】

声優を務める朴璐美女史は『侍戦隊シンケンジャー』にて外道衆の一人である薄皮太夫の人間時代、及び声を担当して以来の登場。

チェスモチーフは恐らくナイト…と思われるが、プリシャスの武器に馬の頭が組み込まれているくらいでむしろプリシャス自体はトランプのジョーカーを思わせる姿をしており、ナイト=騎士のイメージは薄い。
顔がハートマークになっているあたりトランプカードがモチーフのようだが、公式サイドでは彼扱いされているようなので、男性らしい。

『アンシェイカブル リュウソウル”ケ・ボーン”』によれば、強敵という立ち位置なだけにかなりデザインが難航したキャラクターであり、頭部の王冠状の飾りや首回りのギザギザなどデザインをやり直した名残が決定稿にも残っている。最終的に某少年漫画に登場する白と紫の宇宙の帝王や、某モンスター育成RPG初期の最終ナンバリング宛てられるモンスターのように「ヌルッとシンプルなシルエットだけど強いキャラクター」というコンセプトに固まったという。

ナイト級幹部はプリシャスの他にもガンジョージがいるが、リュウソウジャー達が「騎士」竜戦隊を名乗るのは、彼らがエラスにとっての「ナイト級」に相当するためではないかという考察がある。
第46話で判明したリュウソウ族ドルイドンの関係だけ見ても、死にたくないためとは言えエラスを守るためにリュウソウジャーと立ち向かおうとしたプリシャスは、
正しくクイーンを守るナイトであった。経緯はどうあれ。

なおドルイドンと敵対するリュウソウジャー達は地球を守る騎士としての使命のままにドルイドンと戦っていたが(ゴーレムマイナソーの能力もそれで突破している)、
プリシャスが46話でドルイドンの本来の使命を果たそうとする姿はある意味リュウソウジャー達と同じ位階に達したと言えなくもないだろう。

あれだけ態度が悪く、ワイズルーもクレオンも粗雑に扱ってきたプリシャスが、手を差し伸べられ(ワイズルー)、エラスの攻撃から庇われる(クレオン)という展開は、少しは救いになっただろうか。
なおプリシャスの計画が実行されていなくてもいずれはエラスが復活したであろうことは示唆されており、リュウソウカリバーのエネルギーを吸い尽くしたエラスがどのような行動に移ったかは分からない。
現在に至るまでほそぼそと生き残っていたリュウソウ族達を始末するために、新しいドルイドンを生み出したのだろうか。
そうなるとガンジョージヤバソードも、プリシャスの要請とは関係なく作られる可能性も考えられ、彼はエラスを自分のために都合よく使おうとしたのであろうが、実際はプリシャス自身がエラスによって都合良く動かされるという結末であった。

なおサデンマスターブラックになり変わられていたことを300年間気が付かず、心臓を握ることでそばに置いていたものの、重用していたのはあくまでその実力のみで、
サデンという存在の中身にまで気を配らなかったのがプリシャスの落ち度だっただろう。
もう少しわかり合う努力をしていれば、少しは何かが変わったかもしれない。
エラス自体もドルイドンを生み出す装置くらいの認識で、意志を持ち自我を有する存在であることに気が付かなかったのも、自分以外の存在と上辺だけの付き合いだった証拠であると言える。

命を握ることで自分以外の誰かを仲間ではなく、単なる手駒として使役してきた。
そんな彼が、裏切られない仲間を欲し、生まれた弟を失い母たるエラスのため懸命に働くも結局は裏切られ肉体を吸収される。
まさしく……道化人形の、プリシャス。

たった一人の道化師ではサーカスも上手く回らないだろう。
エンターテイメントが何であるかを熟知するワイズルー、素でコミカルな立ち振舞のクレオンを加えたドルイドンの生き残り達はこれからどう暮らしていくのだろうか。

最終更新:2021年07月21日 01:57