承太郎が紫に篭絡されかけている時にそれは起こった。
「ぜんぜーんえらくなーいッ!」
突如民家の窓を打ち破って血塗れの男が落ちてきたのだ。
「ピーピング・トムさんかしら?」
「窓から血塗れで落ちてくるんだ。ただの出歯亀じゃねぇな……」
「窓から血塗れで落ちてくるんだ。ただの出歯亀じゃねぇな……」
窓から落ちてきた血まみれの男は荒い息を吐きながらこちらの姿を見とめた。一瞬の硬直の後慌てたように叫びだした。
「ああっこの家のご主人にしかられるゥー。窓ふきしてたら足をスベらせてしまったァー」
どうしよーと喚く男に紫はにっこりと微笑んでいた。
「まぁ、取って付けた様な言い訳ね」
「……」
「……」
紫が律儀に突っ込んでも承太郎は黙って男を睨み付けていた。
「待ちやがれ! このクソおやじッ!」
「あら可愛らしい×××××こと」
「あら可愛らしい×××××こと」
男が落ちてきた窓から全裸の男児が姿を見せた。紫は男児のある部分(どこかはお察し下さい)を注視しながら思ったことを口にした。
当然承太郎も男児のいる方へと顔を向ける。男は承太郎の注意がそれた途端ニヤリと笑った。
当然承太郎も男児のいる方へと顔を向ける。男は承太郎の注意がそれた途端ニヤリと笑った。
「おにぃちゃん!誰だっけ…あとそのおばちゃんも」
「誰がおばさんよ!」
「やれやれ……」
「誰がおばさんよ!」
「やれやれ……」
承太郎と紫の注意が完全に逸れた途端に男の影が急に大きくなり、二人に迫ってきた。
「あッ!そいつの影に気を付けて!」
男児がそれに気付いて注意を促すがもう遅かった。
大きな目玉をつけた影が承太郎の影に触れてしまった。尋常ならざる脅威を感じた承太郎は咄嗟に後ろに飛びのいたが男は大きな笑い声を上げた。まるで勝利を確信したかのように。
大きな目玉をつけた影が承太郎の影に触れてしまった。尋常ならざる脅威を感じた承太郎は咄嗟に後ろに飛びのいたが男は大きな笑い声を上げた。まるで勝利を確信したかのように。
「やったッ! さわったッ! 承太郎の影に触ったぞッ!」
男から伸びた異様な影は次の標的を紫に定め、彼女へと伸びていく」
「おばちゃんッ! 逃げてッ!」
「お姉さんと呼びなさい!」
「お姉さんと呼びなさい!」
紫は男に微塵も脅威を抱いていないのか男児の注意を受けるどころかその口調を逆に注意する。男児が慌てて『おねィちゃん逃げて』言い直すも男の影は紫の影に触れてしまった。
「承太郎! てめーもそこの女もおれの『セト神』の術中に落ちたのだッ!」
「た…たいへんだ。あのおにィちゃんもおば…おねィちゃんも子供…に?」
「た…たいへんだ。あのおにィちゃんもおば…おねィちゃんも子供…に?」
承太郎の体がみるみる内に縮んでいく。男児はどうしようと慌てて紫の姿を見て疑問符を浮かべた。
「ガキだってもう油断しないおれってえらい。この女が何者か知らねぇがこいつもガキに戻してひとじ…ち?」
男の動きも止まった。そう、彼の名はアレッシー。セト神の名を持つスタンド使いなのだ。
彼のスタンド能力は影に触れた者を若返らせることができるのだ。
だからこそアレッシーは混乱していた。女、紫がスタンド能力によって若返るはずなのにその容姿が全く変化していないのだ。
彼のスタンド能力は影に触れた者を若返らせることができるのだ。
だからこそアレッシーは混乱していた。女、紫がスタンド能力によって若返るはずなのにその容姿が全く変化していないのだ。
「承太郎くん可愛くなったわね」
アレッシーから見たらこの突然の事態に動じることなく7歳児ぐらいまで若返った承太郎を抱きかかえようとしているではないか。
「そんな馬鹿なことがあってたまるかッ!」
アレッシーは再度スタンドを発動させ紫に影を交じり合わせる。だが紫はニコニコと笑っているだけだ。
「ばかな! そんなはずないッ!」
自らのスタンドの効力が目の前の女に発揮できないでいることにアレッシーは目に見えて狼狽していた。
一方の紫も表面上平静を装っていたが内心ではかなり驚いていた。外見上変化が生じてはいないものの体内では何かが起きていることを感じていたのだ。
紫は自らの頬を指でつついた……そしてその弾力に目を見開いて驚いた。
彼女が驚くのも無理はない。外見では判断できないが、紫は十分に若返っているのだ。その証拠が肌の弾力だ!
水を弾きそうな瑞々しい肌、溢れる少女臭!
一方の紫も表面上平静を装っていたが内心ではかなり驚いていた。外見上変化が生じてはいないものの体内では何かが起きていることを感じていたのだ。
紫は自らの頬を指でつついた……そしてその弾力に目を見開いて驚いた。
彼女が驚くのも無理はない。外見では判断できないが、紫は十分に若返っているのだ。その証拠が肌の弾力だ!
水を弾きそうな瑞々しい肌、溢れる少女臭!
「おまえは何者なんだよォー!」
「ゆかりん、17歳♪」
「ゆかりん、17歳♪」
痛々しくない! 『ゆかりん、17歳♪』と可愛らしくお茶目にウィンクとポーズを決めても全く痛くない! いやむしろ可憐でとても似合って可愛いのだ! アレッシーも一瞬見とれた。決して唖然としていたわけではない!
今の紫ならば承太郎の同級生ですと言っても誰もが納得するはずだ! 靴箱が恋文で溢れかえり、毎日放課後に告白されているのが容易に想像できるくらいに少女なのだ!
今の紫ならば承太郎の同級生ですと言っても誰もが納得するはずだ! 靴箱が恋文で溢れかえり、毎日放課後に告白されているのが容易に想像できるくらいに少女なのだ!
アレッシーの失態は紫の姿に気を取られ過ぎた事だ。彼が我を取り戻し、承太郎へ視線を向けたときにはもう遅い。子供の姿の承太郎がすぐ側までやって来ていたのだ。
慌てて腰から斧を引き抜き叩き付けようとするアレッシーであったが、それよりも素早く承太郎の拳が彼の顔面に突き刺さる。
その威力はとても子供の力とは思えないほど鋭いものである。アレッシーの口から折れた歯が吹き飛んだ。
しかも一発では終わらない。オラオラオラと何発も拳を突き立てる。当然アレッシーは吹き飛び地に伏せた。
思わず紫も感嘆の声を上げるほど承太郎は手際よくアレッシーを片付けたのだ。
若返った承太郎や男児はアレッシーを倒したことにより当然元の大きさに戻っていく。それは紫もまた然り。
紫が自らの肌を突いても先ほどのような弾力はなく、ほんのちょっぴり(紫主観)失われ、水を弾くような瑞々しさもほんの僅かに(紫主観)失われた。
彼女から放たれる少女特有の甘い香りも少し損なわれた(紫主観)。
承太郎と男児だが、承太郎はまだ良い。小さくなる前の服をちゃんと着ていたのだから元に戻ってもちゃんと服を
だが男児はそうは行かない。何しろ全裸なのだ。それがそのまま元の大きさに戻ったらどうなるのか。
慌てて腰から斧を引き抜き叩き付けようとするアレッシーであったが、それよりも素早く承太郎の拳が彼の顔面に突き刺さる。
その威力はとても子供の力とは思えないほど鋭いものである。アレッシーの口から折れた歯が吹き飛んだ。
しかも一発では終わらない。オラオラオラと何発も拳を突き立てる。当然アレッシーは吹き飛び地に伏せた。
思わず紫も感嘆の声を上げるほど承太郎は手際よくアレッシーを片付けたのだ。
若返った承太郎や男児はアレッシーを倒したことにより当然元の大きさに戻っていく。それは紫もまた然り。
紫が自らの肌を突いても先ほどのような弾力はなく、ほんのちょっぴり(紫主観)失われ、水を弾くような瑞々しさもほんの僅かに(紫主観)失われた。
彼女から放たれる少女特有の甘い香りも少し損なわれた(紫主観)。
承太郎と男児だが、承太郎はまだ良い。小さくなる前の服をちゃんと着ていたのだから元に戻ってもちゃんと服を
だが男児はそうは行かない。何しろ全裸なのだ。それがそのまま元の大きさに戻ったらどうなるのか。
「よし! 元の姿に戻れたぜ!」
男児から青年へと男はガッツポーズで喜びを表していた。そして紫の存在に改めて気付くと二カッと笑いかけた。
「これは奇麗なお嬢さん、初めましてジャン・ピエール・ポルナレフです。どうかよろしく」
やけに馴れ馴れしく紫を口説き始めたポルナレフと名乗る全裸の青年。好青年を演じているのだろうか、握手を求めるために手を伸ばしたのだが紫の視線はある一点に集中していた。
「う~ん、70、いや60点かしらねぇ~。承太郎くんとどっちが大きいのかしら?」
ポルナレフはある部分を凝視されていることに気が付いていない。承太郎はやれやれと言わんばかりにその大きな手で紫の視線を遮った。
そのような事をされた紫は当然のように膨らませて剥れた。承太郎はアレッシーに出会う前に起こった事を思い出し、今回はあえて何も言わなかった。
だが紫が上を見上げて承太郎の顔を見れば彼が何を言わんとしているのかは理解できた。
そのような事をされた紫は当然のように膨らませて剥れた。承太郎はアレッシーに出会う前に起こった事を思い出し、今回はあえて何も言わなかった。
だが紫が上を見上げて承太郎の顔を見れば彼が何を言わんとしているのかは理解できた。
「承太郎くん見えないわ」
「ゆかりん、目に毒だぜ? ポルナレフ、さっさと服を着ろ」
「ゆかりん、目に毒だぜ? ポルナレフ、さっさと服を着ろ」
承太郎に言われ、初めて己の惨状に気が付いたポルナレフは股間を両手で隠して家の中へ駆け込んでいった。恐らく服を取りに行ったのだろう。
家の中から『承太郎、何で早くそれをいわないんだよー』という叫び声が聞こえてきた。その声に承太郎はお約束のようにやれやれと呟くのであった。
家の中から『承太郎、何で早くそれをいわないんだよー』という叫び声が聞こえてきた。その声に承太郎はお約束のようにやれやれと呟くのであった。
紫は一見すると彼らの争いには関わらないようにしている傍観者に見える。だがそれは違う。アレッシーのスタンド攻撃を受けてから紫にはある感情が芽生えていた。
それはアレッシーのスタンド能力が欲しいという感情だ。
もし彼女が藍と喧嘩をする前であったならばこのような事は思わなかったはずだ。だが藍との喧嘩によって外見上若くしても無意味ではないかと思え始めたのだ。
紫が妖怪であっても彼女が女性であるということには変わりない。多くの女性は自らが常に美しく在りたいと思っているのだ。それは当然紫にも当てはまる。
だからこそ彼女は自らの容姿を己が能力を使って一定に保っているのだ。だがいくら外見を取り繕ったとしてもその身に得た経験が体中からオーラの様に滲み出るのだ。
これこそ、人が加齢臭と言っているものの正体なのだ。いくら外見上17歳だとしても相手が感じるオーラは17歳のそれではなく、より多くの経験を積んだ艶やかな女性のオーラなのだ。
そのギャップが人に違和感を覚えさせ、それを臭いと誤認し加齢臭と言っているのだ。実際に紫の臭いを嗅いでいる式の藍にでも聞けばいい。彼女に聞けばきっと紫からは少女のような甘酸っぱいで『天国』に行けると答えてくれるに違いない!
アレッシーのスタンド、セト神はその紫の経験まで若返らせるのだ。つまり承太郎が10年若返った様に紫のオーラも10年(実際には×××年)若返るのだ。
そう、外見上若返ることはなくても雰囲気が若返るのだ! 若返るどころでない、×××年前の紫そのものに戻っているのだ。これは紫の能力を持ってでも成し得る事は難しい。
彼女が是が非でもセト神の能力が欲しいと思うのは当然である。
それはアレッシーのスタンド能力が欲しいという感情だ。
もし彼女が藍と喧嘩をする前であったならばこのような事は思わなかったはずだ。だが藍との喧嘩によって外見上若くしても無意味ではないかと思え始めたのだ。
紫が妖怪であっても彼女が女性であるということには変わりない。多くの女性は自らが常に美しく在りたいと思っているのだ。それは当然紫にも当てはまる。
だからこそ彼女は自らの容姿を己が能力を使って一定に保っているのだ。だがいくら外見を取り繕ったとしてもその身に得た経験が体中からオーラの様に滲み出るのだ。
これこそ、人が加齢臭と言っているものの正体なのだ。いくら外見上17歳だとしても相手が感じるオーラは17歳のそれではなく、より多くの経験を積んだ艶やかな女性のオーラなのだ。
そのギャップが人に違和感を覚えさせ、それを臭いと誤認し加齢臭と言っているのだ。実際に紫の臭いを嗅いでいる式の藍にでも聞けばいい。彼女に聞けばきっと紫からは少女のような甘酸っぱいで『天国』に行けると答えてくれるに違いない!
アレッシーのスタンド、セト神はその紫の経験まで若返らせるのだ。つまり承太郎が10年若返った様に紫のオーラも10年(実際には×××年)若返るのだ。
そう、外見上若返ることはなくても雰囲気が若返るのだ! 若返るどころでない、×××年前の紫そのものに戻っているのだ。これは紫の能力を持ってでも成し得る事は難しい。
彼女が是が非でもセト神の能力が欲しいと思うのは当然である。
「お嬢さん、お見苦しいところお見せしました」
「やれやれ、見苦しいどころの話じゃなかったぜ?」
「やれやれ、見苦しいどころの話じゃなかったぜ?」
ポルナレフが服を着て戻ってきたが、紫はそれに関心を示さない。何やら考え込んでいるのだ。
何を考え込んでいるのかと言えば、『セト神』で若返った後のことをシミュレートしていた。
何を考え込んでいるのかと言えば、『セト神』で若返った後のことをシミュレートしていた。
「ふ、ふふ……あは……あははは!」
(あの子の、藍の愛が取り戻せる!!)
彼女の脳内では紫の胸に飛び込んでくる狐の式の姿が思い浮かばれていた。その後の閨のシーンまでどっぷりと妄想されていたのだ。
高らかに笑う彼女から妖しげな得体の知れないオーラが滲み出ている。
彼女の脳内では紫の胸に飛び込んでくる狐の式の姿が思い浮かばれていた。その後の閨のシーンまでどっぷりと妄想されていたのだ。
高らかに笑う彼女から妖しげな得体の知れないオーラが滲み出ている。
「て、敵か! シルバーチャリオッツ!」
思わずスタンドを顕現させ臨戦態勢を整える承太郎とポルナレフ。紫は不気味に微笑みながらそれを一瞥する。
「うふふ、そんなに怖がらなくてもいいわ。別に取って食べたりしな……承太郎くんはちょっと食べてみたいわね」
可憐な雰囲気から一転、妖しげで艶やかな雰囲気を漂わせる紫。承太郎たちの周りの空気だけが重くなる。
「承太郎! 彼女は一体何なんだ!」
「わからねぇ! ただ敵じゃないと思ったんだが……」
「わからねぇ! ただ敵じゃないと思ったんだが……」
彼らの脳裏を一抹の不安がよぎる。今までに相対したことのない得体の知れない力を目の前にしているのだ。『敗北』と言う二文字が頭を掠める。
「ホリィさん……だったかしら?」
「テメーッ!」
「テメーッ!」
突如として母親の名を出された承太郎はスタープラチナで紫に殴りかかる。その拳が紫に向かう刹那の時間、ある疑問が生じた。
何故母親の名を知っているのかはこの際は置いておく。だがそれにしてもこの場でその名を告げることに何か意味があるのか。
何故母親の名を知っているのかはこの際は置いておく。だがそれにしてもこの場でその名を告げることに何か意味があるのか。
「うふふ」
紫は怪しげに微笑んだまま微動だしない。それもその筈である。スタープラチナの繰り出した拳は紫の面前で停止していた。
そう、紫の言動に意味はないのだ。全ては彼女の気まぐれに過ぎない。
そう、紫の言動に意味はないのだ。全ては彼女の気まぐれに過ぎない。
「やれやれだぜ」
「おい承太郎!」
「ポルナレフ、お前もスタンドを引っ込めな」
「あ、ああ。それで、何がどうなっているのだ? 彼女は何者だ」
「おい承太郎!」
「ポルナレフ、お前もスタンドを引っ込めな」
「あ、ああ。それで、何がどうなっているのだ? 彼女は何者だ」
承太郎は紫を睨み付ける。その瞳は語っていた。いいかげんにしろと。
「きゃあ♪ゆかりんこわ~い♪」
突如として重苦しい空気は霧散する。すべてはお遊びだったと言わんばかりに。
「オレたちはからかわれていただけだ。そうだろ、ゆかりん」
「賢い子は嫌いじゃないわ。その通りよ」
「賢い子は嫌いじゃないわ。その通りよ」
ポルナレフは未だに状況が理解できず、疑問符を浮かべたまま承太郎と紫を交互に見比べていた。
「オレにも分かるように言ってくれ」
「あなたも⑨なのね」
「あなたも⑨なのね」
⑨という言葉が混乱に拍車をかける。ポルナレフは承太郎に説明を求めたが、それに答えることなく承太郎は紫に背を向けた。
「行くぞポルナレフ」
「お、おい」
「あらもう行っちゃうの? もっと遊びましょうよ」
「生憎とこちらも暇じゃないんでな」
「お、おい」
「あらもう行っちゃうの? もっと遊びましょうよ」
「生憎とこちらも暇じゃないんでな」
引き止める紫に承太郎は振り返ることなく言葉を返した。しかし未だに納得が行かないのはポルナレフだった。
「よくわかんねぇけどこいつはどうするんだ」
ポルナレフが指差すのは最後の安眠を貪るアレッシー。承太郎はそれを一瞥すると視線をまた紫に向けた。
「理由は知らねぇ。けどそいつの後始末はゆかりんがするそうだ。そうだろ?」
「憎たらしいほど賢しい子ね。ゆかりん、あなたのこと好きになっちゃいそうよ」
「憎たらしいほど賢しい子ね。ゆかりん、あなたのこと好きになっちゃいそうよ」
本当は色々と聞きたいことがあるのだろうが、それを堪えて承太郎は歩き始めた。
「行くぞポルナレフ。そいつは戦う相手じゃねぇ」
「だけどよ、憂いは絶っておくべきだぜ! シルバーチャリォッ……!?」
「よせ! ポルナレフ!」
「だけどよ、憂いは絶っておくべきだぜ! シルバーチャリォッ……!?」
「よせ! ポルナレフ!」
承太郎が止めるも間に合わず、ポルナレフは紫に向かっていった。ポルナレフも紫を本気で傷つけるつもりはなく、ただ邪魔をするなと釘を刺すつもりだったのだ。
だがそれは適わない。紫の背後の空間に亀裂が奔り、スキマが広がって行く。
ポルナレフの全身から冷や汗が噴出する。彼は動けない、彼女から発せられる妖しい空気に呑まれてしまったのだ。
だがそれは適わない。紫の背後の空間に亀裂が奔り、スキマが広がって行く。
ポルナレフの全身から冷や汗が噴出する。彼は動けない、彼女から発せられる妖しい空気に呑まれてしまったのだ。
「本当にお馬鹿さん……猪武者ならぬ猪騎士さんね」
空間から覗く無数の目、目、目。彼は圧倒され言葉を失う。
「⑨さんのぽるぽるくんに身の程を教えて上げてもいいけど、承太郎くんに免じて見逃してあげるわ」
「何だと!」
「何だと!」
あまりにも見下した言葉にポルナレフは力を振り絞り言葉を吐き出した。
「私が見逃すと言っているのよ。感謝なさいな」
先ほどよりもより強い口調にポルナレフは思わず一歩後ずさる。その彼の肩を承太郎は叩くと首を左右に振った。
「分かったよ! ちくしょうッ!」
ポルナレフの唯一の抵抗、それは悪態をつく事だけだった。
それを聞いた紫はまたニッコリと微笑を浮かべて承太郎に語りかけた。
それを聞いた紫はまたニッコリと微笑を浮かべて承太郎に語りかけた。
「承太郎くん、私の名前は八雲紫よ。またデートしましょうね?」
「勘弁してくれ」
「ふふ、日本に帰ったら博麗神社にいらっしゃい」
「…神社?」
「そうよ。幻想郷マヨヒガ。そこに私のお家があるの。ねぇ興味ある?
「いや……」
「勘弁してくれ」
「ふふ、日本に帰ったら博麗神社にいらっしゃい」
「…神社?」
「そうよ。幻想郷マヨヒガ。そこに私のお家があるの。ねぇ興味ある?
「いや……」
興味ないと告げる承太郎に紫は口を尖らせる。
「もう、初心なんだから! 大丈夫よ、藍も橙も良い子だから…あっ藍と橙は私の家族ね、来たら紹介してあげるわ」
「誰も行くとは……」
「結納は博麗神社に頼みしょう。仲人は誰に頼もうかしら」
「誰も行くとは……」
「結納は博麗神社に頼みしょう。仲人は誰に頼もうかしら」
紫の脳内では承太郎と結婚することが決まっているらしい。冗談はよせと言う承太郎の声にも微笑んだままであり、彼からすれば本気か冗談かの『白黒』がつけられない。
「藍は承太郎くんを連れて行ったらどんな顔をするかしら……やっぱりその前にちゃんと仲直りしないとね。そうと決めたら…」
「おい」
「御免ね、DIOだっけ? そいつの所へ急ぐのだったわね。結納とかの話は日本に帰ってからかしら?」
「……」
「承太郎くんまったね~♪」
「おい」
「御免ね、DIOだっけ? そいつの所へ急ぐのだったわね。結納とかの話は日本に帰ってからかしら?」
「……」
「承太郎くんまったね~♪」
一人で勝手に盛り上がり、勝手に自己完結して話を終わらせた紫は、チュッとキスを承太郎に投げかけると空間の奔るスキマに身を投じた。彼女の姿が消えると亀裂に奔るスキマもまた消えてしまった。
「おい!あいつもいないぞ!」
ポルナレフの言うとおり、気絶していたはずのアレッシーの姿はなかった。
「逃げた、いやゆか……八雲紫に連れていかれたと考えた方がよさそうだな」
「だ、大丈夫なのか? DIOの差し金だったとか……」
「ポルナレフ、気付かなかったのか?」
「だ、大丈夫なのか? DIOの差し金だったとか……」
「ポルナレフ、気付かなかったのか?」
『何が』と、呆けているポルナレフは紫の言うとおり⑨なのかも知れない。
「あいつからは一度も殺気を感じなかった……」
「おお! そういえばそうだ。じゃあ敵じゃないな」
「おお! そういえばそうだ。じゃあ敵じゃないな」
ポンと手を打ちようやく納得がいったようだ。敵でも味方でもない、それが彼女なのだ。
「で、承太郎。彼女とは何処で知り合ったんだ? それで何者よ、日本からお前を追いかけてきたのか?」
疑問が解決した途端ニヤニヤと好奇心丸出しの質問をぶつけるポルナレフ。対する承太郎は黙したままだ。
「いやぁまさかあの承太郎が女の子を連れているとはなー。意外にやるじゃないの」
「知らん……あの女が勝手について来ただけだ」
「知らん……あの女が勝手について来ただけだ」
このこのと肘で承太郎を突くポルナレフにぶっきら棒に返した。だがポルナレフのニヤニヤは収まらない。
いい加減に文句の一つでも言ってやろうかと承太郎が考えていたところに彼らを呼ぶ声が聞こえてきた。
いい加減に文句の一つでも言ってやろうかと承太郎が考えていたところに彼らを呼ぶ声が聞こえてきた。
「お、ジョースターさんだ。おーい、ここだぁ! 聞いてくれよ! 承太郎の奴女の子とデートしてたんだぜ!」
「承太郎、本当か? うらやましい奴じゃのう」
「ジジィ! ポルナレフ!」
「ヤクモユカリって言う女性で、承太郎が愛称で呼ぶほど親しげだったなぁー」
「承太郎、本当か? うらやましい奴じゃのう」
「ジジィ! ポルナレフ!」
「ヤクモユカリって言う女性で、承太郎が愛称で呼ぶほど親しげだったなぁー」
一人云々と頷くポルナレフ。ここで承太郎の名誉のために説明しておく。
紫は初対面の時に『ゆかりん』と名乗った。これを承太郎は勘違いして『ユカ=リン』的な名前で受け取ったのだ。
何故ならば紫の美しさは日本人離れしているのだ! 承太郎が間違えるのも無理はないのだ! そう信じたい……。
決して紫の色香に惑わされて『ゆかりん』と言った訳じゃないのだ。
紫は初対面の時に『ゆかりん』と名乗った。これを承太郎は勘違いして『ユカ=リン』的な名前で受け取ったのだ。
何故ならば紫の美しさは日本人離れしているのだ! 承太郎が間違えるのも無理はないのだ! そう信じたい……。
決して紫の色香に惑わされて『ゆかりん』と言った訳じゃないのだ。
「ポルナレフ!」
「ジョースターさん、日本に帰ったら紹介してもらえるんじゃないのか? 別れ際結納がどうとか言ってたし……」
「承太郎」
「何だジジィ」
「式場の予約は必要か?」
「うるせぇ! 黙ってろッ!」
「ジョースターさん、日本に帰ったら紹介してもらえるんじゃないのか? 別れ際結納がどうとか言ってたし……」
「承太郎」
「何だジジィ」
「式場の予約は必要か?」
「うるせぇ! 黙ってろッ!」
結局その後、男同士で頬ずりしたアヴドゥルが承太郎を羨ましがったり、ポルナレフが彼を助けた女性と一時の再会を果たし嫉妬を買ったり、
また八雲紫とは何者なのか、スタンド使いなのか、承太郎はどこまで彼女と進んだのかなどの話しをしながら彼らは旅を続けるのであった。
また八雲紫とは何者なのか、スタンド使いなのか、承太郎はどこまで彼女と進んだのかなどの話しをしながら彼らは旅を続けるのであった。
全くもって余談だが、イギーは紫の少女臭(加齢臭じゃないよ!) を嗅いでしまい、余りの艶やかな香りに、恍惚の表情を浮かべ、しばしの間『天国』に行かざるを得なかった。
イギー:好奇心に駆られ紫の少女臭を嗅いでしまい、しばらく『天国』に行く(リタイヤ)。
第二話
結納は博麗神社で