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東方魔蓮記 第一話

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shinatuki

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一人の男がコーヒーを飲んでいた。男の名はディアボロ。かつて組織「パッショーネ」のボスだった男。無限の死のループに陥り深い絶望を味わいつづけ、そしてある場所にたどり着き、その旅路の果てに再び絶頂の日々を取り戻した。
「(今日も特に何もおきなかったか。まあ、組織と俺にとって厄介なことが起こらないのはいいことだが・・・)」
そう思いながらコーヒーを飲もうとしたそのときであった。彼は空間におきているある現象を見つけた。
「・・・ん?」
それは、空間に開いた隙間。まるでスティッキーフィンガーズのジッパーのように、そこに隙間が開いているのだ。
「(これは・・・まるでスティッキーフィンガーズの能力だ。しかし、あれは殴った物体に対して効果を発揮する。が、この隙間は・・・まるで空間そのものにジッパーをつけたみたいだ。)」
警戒しながらその隙間をよく見るディアボロ。念のため、何が出てきても大丈夫なように距離をとる。
「(何だ・・・?あの空間の狭間には無数の目のようなものが見える。しかも両端にリボン・・・今までの誰の記憶にも、どの漫画のページにもなかった能力だ。一体、誰が、何のために。)」
ボヘミアンラプソディの能力で実体化させたこの世界において、全ての物事は書き記された通りに進む。が、これに関する出来事は書かれていないはずだ。
『書かれていない(はずの)出来事が実体化された世界で発生している』  それが何を意味するのか。彼は薄々理解した。
「(信じがたいが・・・何かがこちらの世界に干渉しようとしているのか?そんなはずは・・・いや、俺たちは荒木飛呂彦という男に漫画という形で『辿る運命が決められた』のだから、異世界というものが実在しておかしくない)」
ディアボロは頭の中でどうするべきかを考えていた。そのときであった。
「あらあら・・・警戒心むき出しね。」
「・・・・!!!」
そのスキマから言葉が聞こえてきたのである。
「(あの隙間の奥に何者かがいる・・・発した言語からして日本人か?)」
「・・・(相手にはこちらが見えている・・・それだけならまだ遠くから見ている可能性があるが、こちらの表情が見えているということは・・・)」
普通なら考えもしないだろう。一体何があるのかわからないスキマに向かっていくことなど。
そしてディアボロはスキマの前で動くのをやめた。
「・・・自分から向かっていくなんて、何を考えているのかしら?」
「(おそらくさほど距離はないはず!)」
ディアボロは何を思ってそうしたのか・・・なんとキングクリムゾンをスキマに入らせたのだ。
「・・・?」
スキマの中の存在は疑問に感じたに違いない。普通ならスキマから距離をとろうとするだろう。さっきのディアボロもそうだったのだから。

『普通は』そうするかも知れないが、彼はさまざまな意味で普通じゃない。スキマの中の存在は彼が普通ではないことを考えていなかったのだ。

「・・・・!?何!?」
スキマの中の存在は突然服を何かにつかまれた感触に襲われる。だが、その方向には何もいない。   ・・・その存在から見れば。
そしていきなりキングクリムゾンにつかまれたスキマの中のいた存在は引っ張り出され、ディアボロの前に姿を現す。
なんだか変わった服を着た(ディアボロの服よりはずっとましだが)なんだか異様な雰囲気をかもし出している金髪の女性。
ディアボロはその女性に対して質問をする
「お前か。あのスキマを開いた犯人は?」
「・・・どうやって私を引っ張り出したのかしらね?」
「質問を質問で返すな。お前は疑問文には疑問文で答えろと学校で教えてもらったのか」
「あいにく教えてもらってないわ。」
警戒心があるのかどうかよくわからない回答をしたこの女性。一体なんなのだろうか。
「(仕方ない・・・質問に答えないのなら。)」
瞬間、世界が灰色に染まりやがて元の色を取り戻す。女性はまったく動かない。それどころか、周辺から音すら聞こえない。
ディアボロは背後に回り、懐からケースのようなものを取り出すとそこから一枚のDISCを取り出す。それが目的のものであることを確認すると、なんと自分のおでこに押し込む。
そのCDのようなものはディアボロの中に入っていった。
その直後、音が再び聞こえ出し、女性はディアボロが視界から消えたことに気がつく。
「あら?「悪いが気を失ってもらうぞ」きゃん!?」
ディアボロが何をしたのかわからずに女性は気絶し、なんと女性の顔がパラパラとめくれだす。そして、本になってしまった
ディアボロが彼女を本にした理由はただ一つ。彼女から『記憶』という情報を得るため。
「(さて、こいつの記憶にあのスキマの正体やこいつの住む場所に関する情報が書かれているはずだ、見せてもらうぞ。)」



「(幻想郷・・・博麗大結界・・・妖怪・・・神・・・妖精・・・・巫女・・・月の住人・・・博麗神社・・・紅魔館・・・なんなんだこいつ、今までの誰にもない記憶を持っている・・・)」
ページをめくるにつれ、ディアボロの中にはさまざまな感情が、考えが、疑問が入り乱れる。
「(・・・西行妖、月での戦い・・・どうもこいつのいる世界は、俺たちスタンド使いがに存在する世界とは遥かに違うらしい。俺たち人間が幻想だと思っていたものが、こいつの住んでいる場所にはある。)」
何枚ものページをめくり、だんだん彼女が住んでいる世界が何なのかを理解していく。
「(幻想となったものが、こいつの住んでいる場所である幻想郷にたどり着く。そしてこいつ自身も人ならざるもの、妖怪である・・・そしてこいつの住んでいる場所では、スタンドとはまた違う力を持つものがいる・・・)」
そしてどんどんページをめくり、どんどん幻想郷及びそこの住人についての知識を手に入れていく。
「(弾幕ごっこなるものがこいつのいる場所では存在する。誰も殺すこともなく争いごとを解決する方法として多用されているようだ。・・・考えられないな)」
そして彼は確信にたどり着く。彼女の情報について書かれているページを見たのだ。
「(八雲紫。幻想郷の創設にかかわった者の一人であり、境界を操る程度の能力をもつ・・・・・境界を操るだと!?)」
ディアボロはその能力に驚きを隠せなかった。なぜなら境界を操れるということは・・・
「(生と死、危険と安全、そんな風にさまざまな物事の境目を操れるということは!こいつの能力は使い方しだいでどんな能力にも勝ることになるということを意味するのか・・・!)」
ディアボロは自分でも気づかないうちにいつのまにか冷や汗をかいていた。そして冷や汗をかいていたことに気がつくとそれを手で拭き取った。
「(命令を書いておかなければ。この能力が俺に影響を与えること・・・それは完全に何もできなくなることを意味してもおかしくはない)」

ディアボロはヘブンズドアーの能力を使って命令を書くことにした。内容は「本人の許可なしにディアボロの境界を操作できない」 「ディアボロが視界から消えたところから今までの記憶を全て忘れる」 「5分間質問に正直に答える」である。
「(直接攻撃や弾幕なるものならスタンドを使って対処することができる。しかし、境界の操作は事前に手をうっておかないとどうしようもない。・・・・そういえば)」
ディアボロはスキマを見る。両端にリボンがあり、無数の目が見える。・・・要はさっきと変わらないままである。
「(あの向こうはこいつがいる世界の、幻想郷なる場所につながっているのだろうか。まあいい。)」
ディアボロは彼女の正面に移動すると、スタンド能力を解除する。

「それにしても、変な服装と髪ねぇ・・・斑点模様がある髪なんて始めて見たわ。」
ディアボロを見た彼女・・・否、八雲紫(やくもゆかり)はそう呟く。
「どんな服を着ろうが構わないだろう。髪については何も言うな。」
ディアボロは返事を返し、そしてすぐ言葉を続ける。
「もう一度聞くぞ。あのスキマはお前があけたものか?」
「ええそうよ。・・・!」
自分が発した言葉に驚く紫。そこをさらにディアボロが質問する
「お前は何者だ?」
今度は質問に紫は答えない。ディアボロはすぐに気づく。
「(境界を操作したか?しかしもう遅い。それに無効にできたのはあいつが気づいている『5分間質問に正直に答える』という命令だけのはずだ)」
「危うくどんどん喋りそうになったわ。私に何かしたでしょう?」
「どうだろうな。もしそうだとしても教えるわけにはいかないしな」
警戒する紫に対し、ディアボロは表情を変えずに返事をする。
「しょうがないわね。こうなったら・・・」
「殴りかかる気か?それとも・・・あれと同じスキマにでも落とすきか?」
それをきいてますます警戒心を強める紫。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
沈黙の睨み合い。数秒後、紫は不敵な笑みを浮かべる。
「おもしろいわね。いきなり私を引きずり出したり、私を強制的に質問に答えさせようとしたり・・・」
ディアボロは疑問に思う。普通なら相手を警戒するのだが、なぜ平然と不敵な笑みを浮かべられるのか。
「(相手はこっちの能力をまったく知らない。あの反応を見る限り、スタンドには気づいていない・・・・まさか、妖怪に普通の人間が勝てるはずがないと考えているのか。)」
「(彼の能力は一体何なのかしら?時間停止とはまったく関係のない能力も持っているみたいだけど・・・やはり、私たちとは違う力を持っている?)」
数秒の沈黙の後、ディアボロは紫に尋ねる。
「どうする気だ?俺をどこかに連れ込むつもりか?」
「その通り。大丈夫よ。悪いところじゃあないわ。」
「もしそうだとしてもそれは勘弁だな・・・お前を倒してでもそれは止めさせてもらうぞ!」
「なら倒されないように応戦させてもらうまでよ。」


ディアボロは後ろに跳躍し、スタンドをだす。全身の色は黄色。姿は逞しい体つきをした人間のようで、顔はまるで三角形のマスクをかぶったような形をしており、背中にはタンクのような物体。そして、腕には時計のマーク。
本来彼が使うスタンドであるキングクリムゾンとはまた違うスタンドだった。
「(これを出してもなお気づかない・・・スタンドは一部を除いてスタンド使いにしか見えないのは変わらないようだ。)」
紫は動かない。すると、紫の周囲からさまざまな色の光の玉が出現し、ディアボロに向かってくる。
「(私をスキマから引きずり出し、いつの間にか私が勝手に正直に質問に答えるようにした・・・彼が使う能力がどんなものかわからないけど、油断はできないわね)」
「(これが弾幕か・・・なるほど、まさに字の如く『弾の幕』だな。だが、回避できないわけではなさそうだ)」
飛んでくる弾幕を、よける必要があるものだけを見切り回避する。
ディアボロとて何回もさまざまな敵と戦ってきたのだ。どれを回避し、どれを回避してはいけないのか。自然と身体が判断して動く。
弾幕を回避しながらディアボロは次にどうするべきかを考えていた。スタンドで反撃するか。それとも相手の攻撃が止んだ隙に一気に倒すか。
「(相手はたくさんの弾を撃ってきているんだ。へたにスタンドを動かせば・・・これだけの数だ。回避できずに弾が当たるかもしれない。)」
「(しかしこのままじゃあ、いつ集中が切れてもおかしくない。あまり使いたくないが使うか・・・。)ザ・ワールド」
世界が再び灰色に染まり、元の色を取り戻す。音は響かなくなり、弾幕も紫も、他のものも動かなくなる。
  • 時よ止まれ-その中でただ一人、停止した世界をディアボロは動く。

ディアボロは弾幕に当たらないように移動し、紫の背後を取るとザ・ワールドの回し蹴りを紫に命中させた。
「(一応手加減はしておいてやった・・・まだマシに思え。)」
直後、突然弾幕は動き出し、紫はディアボロが視界から消えたことと背後から強烈な痛みを受けたことに驚く。
何故視界からいきなり消えたのか。何故それと同時に強烈な痛みが背後から襲ってきたのか。ほんのわずかな時間のあいだに、一つ目の答えはでた。同じような能力を持つ者を知っているからだ。
「(時間を止めた・・・?そうでもないと、こんな現象はおきないわ。でも背後からの強烈な痛みは何なのかしら・・・?)」
「意外と痛そうな顔をしていないな。体は見た目以上に丈夫というか。少し驚いたぞ」
妖怪というものが人間を超えるものだということを薄々感じたディアボロ。
「あら、そういう表情をしていなくても痛いものは痛いのよ?」 そういいながらディアボロと距離をとる紫。
「だろうな。痛みを感じないやつなんているほうがおかしい。」 その言葉に返事を返しながらも接近するディアボロ。
ディアボロは今度は紫とある程度の距離を保つ。近づきすぎると出現した弾をよけられない。離れすぎると回避しにくくなる。紫も距離をとり、再び弾幕を放つ。
「(まったく、面倒なものだ。数だけでなく、弾の動きもこっちの行動を妨害する。うまくよけていかないと、一撃くらったらその後もどんどんあたり続けるな。)」
「(さっきのいきなり消えた現象が時間の停止だったとしても、それと同時に起きた背後の痛みが何なのかわからない。普通の人間が妖怪に強烈な痛みを与えるのは不可能に近い。だとすると・・・やはり彼は私たちとはまた違う能力を持っている?)」
弾幕を回避しつつ策を考えるディアボロ。彼にはある一つの考えがあった。
「(あの弾幕・・・そういえばあいつの後ろからは放たれてきていないな。背後をとればなんとかできるかもしれない。)」
ディアボロは懐からケースを再び取り出し、一枚のDISCを取り出す。そして一枚のDISCを頭から抜き取ると、すぐに取り出したDISCを入れる。
「これでどうだ!」
ディアボロのその言葉。紫はなんとも思っていなかった。だが、動こうとしたとき、紫はあることに気がつく。
「(身体が動かない!また私に何かしたみたいね。けれど、こんなもの・・・)」
「(さてどうしようか。始末するならさほど難しくはないのだが・・・ん?)」

ディアボロは足元を見る。いつのまにか亀がディアボロの足元に来ていた。ディアボロは亀を手に取り、ふと思う。
「(いつの間に・・・そういえばあの弾幕は俺の足元を狙っていなかったな。まあ、弾の数から考えて足元を狙う意味なんてあまりないのかもな・・・。)」
自分から注意がそれたその隙を狙って紫はディアボロの足元にスキマを開く。ディアボロはそれに気づくが、もう遅い。スキマに亀ごと落ちて行く。
「うおあああああああああああああああああああ!」
ディアボロはこの状況を打開する方法を急いで考える。スキマのなかということはこのまま閉じ込められる可能性もあるのだ。
「(どうすればこの状況を切り抜けられる・・・?3つの考えから1つを選んでみるか)」
3択―ひとつだけ選びなさい

答え①ディアボロはスタンドを駆使して無事戻ってくる
答え②あの女が気まぐれで助けてくれる
答え③無理。現実は非情である。

「(・・・まて、このシーンは確か・・・ってそういう場合じゃない。とりあえずクラフトワークで俺と亀を固定しないと)」
ディアボロは自身と亀を固定することで落下を免れようとした。・・・・のだが、やはり現実は非情である。落下が止まったのとほぼ同時にスキマが閉じてしまったのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・答えは③・・・か。」
ディアボロにはあのスキマを開くことができない。それは同時に、もう『ディアボロの大冒険』の世界に戻れないことを意味していた。
ディアボロはクラフトワークの発動を諦め、手に持っている亀とともにスキマの中を落ちていく。 スキマが開き、ディアボロと亀はその中に落ちていった。

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