崖の前で騎手の集団は立ち止まっていた。
「インディアンだッ! あのインディアン俺たちを騙したのかッ!」
毒づく男の前には、一人の男が崖の向こう側に体を貼り付けていた。
その男こそサンドマン。己の足一つで大陸を渡らんとする大地の申し子。
「だ、だけどよぉ……地図を見ろよッ!」
男の一人が、地図を広げて、指を差す。
「あの崖を越えれば、上り坂のところまで一気にショートカットできるぞ!」
「馬がケガしてもいいならな……オレは戻るぞッ! チクショオォォッ!」
「じゃ、じゃぁオレも戻る……」
「オレも」「オレも」「オレも」
全体が諦めムードに包まれた中、一人の少女――牛に乗った少女が前に出た。
「この崖を越えれば……この崖を越えればショートカットできるのでしょう?」
艶やかな長い黒髪、乗馬用にはおおよそ似つかわしくないドレスにも似たワンピース。
「ならば……答えは単純です。越えればいいのです」
「無理だっ! 出来るわけがねぇッ!」
少女の言葉に、男の一人が叫びをあげる。
「でも、もう既に崖を越えた男がいますよ」
少女はにっこりと微笑んで、崖を指差す。そこには、
「もっともっとハッピーに暮らすんだあぁーッ!」
勢い良く馬を飛翔させる黒人の青年――ポコロコの姿が。
「「「なッ……なんだってェェェェ!」」」
男たちは、目の前の光景に対して叫ぶことしか出来なかった。
「無理だッ! 絶対に谷底に落ちるッ!」
男の一人が、悲鳴を上げるが、
ポコロコの馬は、
「おおおおおおお!」
なんと崖の向こう側へと着地した。
ポコロコはロープを取り出し、それを投げて岩に引っ掛ける。
そして、崖を乗り越えた。
「ほうら、乗り越えられた。彼に出来て私に出来ないはずがありません」
少女は、涼しい表情で男たちを見返す。
「そこをおどきなさいな。これから私も崖を越えるので、そのための助走をつけなければなりません」
男たちは、少女の言うとおりに、道をあけた。
少女は牛を動かして、崖から一旦離れると、
「それでは皆さんごきげんよう」
一気に牛を加速させて――崖を飛び越えた。
男たちは唖然とした表情で少女を見つめる。
「……おい、この崖、ひょっとしたらオレたちでも越えられるんじゃないか?」
一人の男がうわごとのように呟くと、
「いや、やっぱオレは止めとくよ。あんな度胸はありゃしない」
「オレも」「オレも」「オレも」
男たちはずこずこと引き返していった。
「インディアンだッ! あのインディアン俺たちを騙したのかッ!」
毒づく男の前には、一人の男が崖の向こう側に体を貼り付けていた。
その男こそサンドマン。己の足一つで大陸を渡らんとする大地の申し子。
「だ、だけどよぉ……地図を見ろよッ!」
男の一人が、地図を広げて、指を差す。
「あの崖を越えれば、上り坂のところまで一気にショートカットできるぞ!」
「馬がケガしてもいいならな……オレは戻るぞッ! チクショオォォッ!」
「じゃ、じゃぁオレも戻る……」
「オレも」「オレも」「オレも」
全体が諦めムードに包まれた中、一人の少女――牛に乗った少女が前に出た。
「この崖を越えれば……この崖を越えればショートカットできるのでしょう?」
艶やかな長い黒髪、乗馬用にはおおよそ似つかわしくないドレスにも似たワンピース。
「ならば……答えは単純です。越えればいいのです」
「無理だっ! 出来るわけがねぇッ!」
少女の言葉に、男の一人が叫びをあげる。
「でも、もう既に崖を越えた男がいますよ」
少女はにっこりと微笑んで、崖を指差す。そこには、
「もっともっとハッピーに暮らすんだあぁーッ!」
勢い良く馬を飛翔させる黒人の青年――ポコロコの姿が。
「「「なッ……なんだってェェェェ!」」」
男たちは、目の前の光景に対して叫ぶことしか出来なかった。
「無理だッ! 絶対に谷底に落ちるッ!」
男の一人が、悲鳴を上げるが、
ポコロコの馬は、
「おおおおおおお!」
なんと崖の向こう側へと着地した。
ポコロコはロープを取り出し、それを投げて岩に引っ掛ける。
そして、崖を乗り越えた。
「ほうら、乗り越えられた。彼に出来て私に出来ないはずがありません」
少女は、涼しい表情で男たちを見返す。
「そこをおどきなさいな。これから私も崖を越えるので、そのための助走をつけなければなりません」
男たちは、少女の言うとおりに、道をあけた。
少女は牛を動かして、崖から一旦離れると、
「それでは皆さんごきげんよう」
一気に牛を加速させて――崖を飛び越えた。
男たちは唖然とした表情で少女を見つめる。
「……おい、この崖、ひょっとしたらオレたちでも越えられるんじゃないか?」
一人の男がうわごとのように呟くと、
「いや、やっぱオレは止めとくよ。あんな度胸はありゃしない」
「オレも」「オレも」「オレも」
男たちはずこずこと引き返していった。
第四話『勝利への試練その二「雑木林のショートカット」』
ポコロコと、サンドマンと、少女は荒野を走る。
ポコロコはサンドマンの走る姿を見て思う。
どんな走り方をすればビーチからここまでこの速さを保っていられるのだろうか? と。
そして、今の崖を飛び越えられたのは自分が幸運だということの証明。
もう一人幸運な奴が来ているが、その走りはまだ本気を見せていないはず。
彼にとっての問題は目の前のインディアン。コイツは、
「優勝する気マンマンなんじゃ~ねぇ~のかァァァ?」
しばらく走ると、馬の集団が見えてきた。
「あれは……レースの集団だッ!」
ポコロコの顔が、ぱっと輝いた。
「やっと合流できましたね……」
牛で走る少女は、にっこりと笑って口元を袖で隠す。
そして、二人はレースの集団へと合流し、サンドマンはどこかへと走り去った。
一方、ポコロコは集団の中へと紛れ込む。
少女は何を考えているのか、集団とは半馬身離れて走っている。
ポコロコが紛れ込んだ集団の先頭を走るジョニィは、一瞬だけ振り向いた。
視界に入るのは『6』と記された立て看板。
ゴールまで残り6,000メートル。
トップは以前ジャイロと妹紅。
ジョニィの集団との差は約60から70馬身。
このまま二人との間合いをこのままに保って行こうとした矢先、ジャイロはその進路を大きく変えた。
その先は、雑木林。
「…………」
ジョニィは度肝を抜かれて目を見開く。
「……まさか」
ジョニィの隣を走るポコロコは、嫌な予感を感じた。
「雑木林を抜けようってか……その勝負、乗った」
ジャイロのすぐ後ろを走る妹紅もジャイロに追従する。
ここで、レースの参加者全員に選択を迫られた。
一つは、走りやすく、落馬の危険も少ないが距離がある『通常ルート』
もう一つは、走りにくく、落馬の危険も多いが1,000メートル近くショートカットできる『雑木林ルート』
「なんだとおぉ~~~正気か!? ジャイロ・ツェペリ!」
ジョニィの額が、汗で湿った。
「かなりの確立で馬だけでなく乗り手まで大怪我をする! しかも速度も落ちるなんてもんじゃないし馬が怯えて走らないこともあるッ!」
だが、ジョニィは馬を、
「それでも見なくちゃならないッ! あの『回転』の謎をッ! それを見るにはジャイロをつけなくてな……!」
雑木林の方へと向けた。
「オレは50分の1のラッキー・ガイだ……好きなことは何をやってもいいなら、この雑木林を抜けてもいいはずだッ!」
ポコロコも、馬を雑木林の方向へと向ける。
それを見た後続集団はぞろぞろと二手に分かれた。
ジョニィ・ポコロコを筆頭として独走するジャイロの賭けに追従して『雑木林ルート』を選ぶ者。
「クスクス……私の牛は小回りが利かないから、こっちを選ぶしかないわね……」
牛に乗った少女を筆頭とする、リスクの少ない『通常ルート』を選ぶ者。
ジャイロを追って雑木林に入った妹紅は、手に炎を灯し、木の枝を焼き払って進んでいた。
「これじゃ雑木林って言うより森だな……」
背後では、剣やら銃やらを取り出して枝を切ろうとし、落馬するものが続出。
「少しスピードを落とす羽目になったが、問題は無い。あの鉄球男はちゃんとマークしている」
枝を焼き払い、ジャイロへと近づく妹紅。
ジャイロを捕らえそうなところで、妹紅の馬がよろめいた。
「うおッ!」
妹紅の馬が木の根を踏み外してしまったのだ。
そのせいで妹紅は焼き払おうとした木の枝に叩きつけられ、落馬する。
「ヤバイッ! まずは体勢を立て直さねーと……」
妹紅はとっさに口笛を吹き、馬に走るのを止めるよう支持。
一旦鐙から足を外して、自由になる。
そしてもう一回馬に跨ると、左右を黒い風と白い風が掠めた。
「しまったッ! ここまで遅れちまうとは!」
妹紅は舌打ちして、馬を走らせる。
目の前には黒い風の正体、ポコロコと白い風の正体、ジョニィ。
精確な馬さばきで妹紅は二人の近くまで寄る。
最初にジョニィを抜くと、次はポコロコを抜くべくポコロコに視線を向ける。
「ん? コイツ……」
そこで妹紅はポコロコにおきた異変を察知した。
さっきからじっとして、握っている手綱すらも動かさないのだ。
「まさか……目をつぶっているのか」
妹紅はなるほど、と納得し、視線を前に向ける。
「馬に全てを任せようってか……それも案外良いかも知れないが……」
目の前に枝が迫る。
「私はやっぱりこうやって枝を焼き払うのが一番だッ!」
妹紅はそれを消し炭にして加速する。
「だがそんな甘い考えでレースに勝てるものかッ!」
唐突に、横からジョニィの大声が聞こえてきた。
妹紅のすぐ横で、ジョニィが枝を飛び越していた。
「ジャイロとて……」
大きな音を立てて着地して、
「限界ギリギリで走っているに違いないからだッ!」
妹紅を抜き去り、
「追い抜いたッ!」
ポコロコを追い抜く。
しかし、ポコロコは泰然自若として走り続ける。
小枝がポコロコに迫る。ポコロコはそれに気づかない。
バシ、バシッと小枝がポコロコの顔を打った。
痛さのあまり目を開くと、目の前にはひときわ太い枝が。
「えッ!」
驚いたときにはもう遅い。
枝はポコロコの胸に叩きつけられ、
「う、うそっ……そんな……」
あっけなく落馬した。
その横を妹紅が通り過ぎる。
ジョニィは少し振り返ってポコロコの様を見て、
「つまらないただのハッタリ屋だったか」
安堵したかのように走り続ける。
ポコロコはサンドマンの走る姿を見て思う。
どんな走り方をすればビーチからここまでこの速さを保っていられるのだろうか? と。
そして、今の崖を飛び越えられたのは自分が幸運だということの証明。
もう一人幸運な奴が来ているが、その走りはまだ本気を見せていないはず。
彼にとっての問題は目の前のインディアン。コイツは、
「優勝する気マンマンなんじゃ~ねぇ~のかァァァ?」
しばらく走ると、馬の集団が見えてきた。
「あれは……レースの集団だッ!」
ポコロコの顔が、ぱっと輝いた。
「やっと合流できましたね……」
牛で走る少女は、にっこりと笑って口元を袖で隠す。
そして、二人はレースの集団へと合流し、サンドマンはどこかへと走り去った。
一方、ポコロコは集団の中へと紛れ込む。
少女は何を考えているのか、集団とは半馬身離れて走っている。
ポコロコが紛れ込んだ集団の先頭を走るジョニィは、一瞬だけ振り向いた。
視界に入るのは『6』と記された立て看板。
ゴールまで残り6,000メートル。
トップは以前ジャイロと妹紅。
ジョニィの集団との差は約60から70馬身。
このまま二人との間合いをこのままに保って行こうとした矢先、ジャイロはその進路を大きく変えた。
その先は、雑木林。
「…………」
ジョニィは度肝を抜かれて目を見開く。
「……まさか」
ジョニィの隣を走るポコロコは、嫌な予感を感じた。
「雑木林を抜けようってか……その勝負、乗った」
ジャイロのすぐ後ろを走る妹紅もジャイロに追従する。
ここで、レースの参加者全員に選択を迫られた。
一つは、走りやすく、落馬の危険も少ないが距離がある『通常ルート』
もう一つは、走りにくく、落馬の危険も多いが1,000メートル近くショートカットできる『雑木林ルート』
「なんだとおぉ~~~正気か!? ジャイロ・ツェペリ!」
ジョニィの額が、汗で湿った。
「かなりの確立で馬だけでなく乗り手まで大怪我をする! しかも速度も落ちるなんてもんじゃないし馬が怯えて走らないこともあるッ!」
だが、ジョニィは馬を、
「それでも見なくちゃならないッ! あの『回転』の謎をッ! それを見るにはジャイロをつけなくてな……!」
雑木林の方へと向けた。
「オレは50分の1のラッキー・ガイだ……好きなことは何をやってもいいなら、この雑木林を抜けてもいいはずだッ!」
ポコロコも、馬を雑木林の方向へと向ける。
それを見た後続集団はぞろぞろと二手に分かれた。
ジョニィ・ポコロコを筆頭として独走するジャイロの賭けに追従して『雑木林ルート』を選ぶ者。
「クスクス……私の牛は小回りが利かないから、こっちを選ぶしかないわね……」
牛に乗った少女を筆頭とする、リスクの少ない『通常ルート』を選ぶ者。
ジャイロを追って雑木林に入った妹紅は、手に炎を灯し、木の枝を焼き払って進んでいた。
「これじゃ雑木林って言うより森だな……」
背後では、剣やら銃やらを取り出して枝を切ろうとし、落馬するものが続出。
「少しスピードを落とす羽目になったが、問題は無い。あの鉄球男はちゃんとマークしている」
枝を焼き払い、ジャイロへと近づく妹紅。
ジャイロを捕らえそうなところで、妹紅の馬がよろめいた。
「うおッ!」
妹紅の馬が木の根を踏み外してしまったのだ。
そのせいで妹紅は焼き払おうとした木の枝に叩きつけられ、落馬する。
「ヤバイッ! まずは体勢を立て直さねーと……」
妹紅はとっさに口笛を吹き、馬に走るのを止めるよう支持。
一旦鐙から足を外して、自由になる。
そしてもう一回馬に跨ると、左右を黒い風と白い風が掠めた。
「しまったッ! ここまで遅れちまうとは!」
妹紅は舌打ちして、馬を走らせる。
目の前には黒い風の正体、ポコロコと白い風の正体、ジョニィ。
精確な馬さばきで妹紅は二人の近くまで寄る。
最初にジョニィを抜くと、次はポコロコを抜くべくポコロコに視線を向ける。
「ん? コイツ……」
そこで妹紅はポコロコにおきた異変を察知した。
さっきからじっとして、握っている手綱すらも動かさないのだ。
「まさか……目をつぶっているのか」
妹紅はなるほど、と納得し、視線を前に向ける。
「馬に全てを任せようってか……それも案外良いかも知れないが……」
目の前に枝が迫る。
「私はやっぱりこうやって枝を焼き払うのが一番だッ!」
妹紅はそれを消し炭にして加速する。
「だがそんな甘い考えでレースに勝てるものかッ!」
唐突に、横からジョニィの大声が聞こえてきた。
妹紅のすぐ横で、ジョニィが枝を飛び越していた。
「ジャイロとて……」
大きな音を立てて着地して、
「限界ギリギリで走っているに違いないからだッ!」
妹紅を抜き去り、
「追い抜いたッ!」
ポコロコを追い抜く。
しかし、ポコロコは泰然自若として走り続ける。
小枝がポコロコに迫る。ポコロコはそれに気づかない。
バシ、バシッと小枝がポコロコの顔を打った。
痛さのあまり目を開くと、目の前にはひときわ太い枝が。
「えッ!」
驚いたときにはもう遅い。
枝はポコロコの胸に叩きつけられ、
「う、うそっ……そんな……」
あっけなく落馬した。
その横を妹紅が通り過ぎる。
ジョニィは少し振り返ってポコロコの様を見て、
「つまらないただのハッタリ屋だったか」
安堵したかのように走り続ける。
一方、先頭のジャイロは木と木のスキマを縫うように馬を走らせていた。
背後で、ザザザと音がした。
その音に木をとられ、彼は後ろを振り向く。
が、そこに広がるのは雑木林の緑のみ。
「何かが来る気配がしたが……気のせいみたいだな」
音を風で木の葉がすれる音と決め込んだジャイロは、そのまま馬を走らせようとし、
「いや……違う!」
再び背後を見る。
そこには誰も乗っていない黒い馬が一匹。
「裸馬か……乗り手は落馬したようだ……!」
ジャイロは目を見開いた。
正確に言えば落馬してはいない。
あの馬の鐙に、乗り手のポコロコの足が引っかかっているのだ。
「ま、マジかよ……こいつ……」
妹紅は目の前の事態に焦燥を感じ、
「枝のスキマを一直線に走っているッ!」
ジョニィは冷や汗を流す。
「落馬したことで馬一頭が通過できればいいスペースを走ることが出来るようになっている……」
歯をぎりぎりとかみ締め、ジョニィは森の奥を見る。
そこには、遥か前方を走るジャイロの姿。
ジャイロに、ポコロコが迫る。
「やっぱりオレはラッキーだった……ラッキーなのはッ! 落馬だったァァァ―ッ!」
ポコロコのときの声が森にこだまする。
妹紅は枝を焼きつつ、ポコロコの後ろに回ろうとする。
ジョニィも、枝をかわしながら、
「このままだと森の中でアイツ……ジャイロを追い越すかもしれないぞッ! これは偶然のハプニングか? それとも、まさかアイツッ! 計算であの行動をとっているのか!?」
ポコロコや妹紅に追いつこうと画策する。
雑木林もそろそろ抜け出す頃。
ジョニィは雑木林を抜けた頃にポコロコを追い抜くために考えをめぐらせる。
トップをキープするジャイロは、背後を見て、焦燥を感じた。
雑木林の出口となる木々に向かって、ジャイロは走り、
「しゃあねぇッ! オレも木をかわしている場合じゃなさそうだ」
鉄球を二つ、取り出した。
それは手元でひとりでに回転し始める。
そしてジャイロがそれらを木に投げつけると、木は驚くほどしなって、道を作る。
ジャイロがそこを通り過ぎる。
ポコロコの馬がそこを通ろうとする。
すると、タイミングを計ったかのごとく木に押し当てられていた鉄球が飛び、ジャイロの手元に戻る。
同時に、木がムチのようにしなり、ポコロコを打ち据えた。
「このまま目の前の奴はリタイアか……」
目の前で繰り広げられた光景に、妹紅は少し残念そうにため息をつく。
しかし、そのため息は息を呑む音に変わった。
「マジかよ……アイツ……どういうわけか馬の上に戻っていやがる!」
出来すぎた偶然びっくりする妹紅の前に、先ほどジャイロが通り、ポコロコが馬の上に戻った木々が立ちふさがる。
だが、妹紅はそれを、
「邪魔ァ!」
の一言と共に焼き払い、一瞬で炭化させる。
妹紅が雑木林を出ると、目の前には二人のジョッキーが。
ショートカットを成功し、後続集団に約800メートルの差をつけたジャイロ。
その五馬身後ろに幸運青年ポコロコ。
そしてその二馬身後ろに蓬莱の人の形、藤原妹紅。
残り4,000メートルを知らせる看板が立ってある。
この先にある悪魔の下り坂を越えると、ゴールまでの最終直線2,000メートルだ。
←to be continued
背後で、ザザザと音がした。
その音に木をとられ、彼は後ろを振り向く。
が、そこに広がるのは雑木林の緑のみ。
「何かが来る気配がしたが……気のせいみたいだな」
音を風で木の葉がすれる音と決め込んだジャイロは、そのまま馬を走らせようとし、
「いや……違う!」
再び背後を見る。
そこには誰も乗っていない黒い馬が一匹。
「裸馬か……乗り手は落馬したようだ……!」
ジャイロは目を見開いた。
正確に言えば落馬してはいない。
あの馬の鐙に、乗り手のポコロコの足が引っかかっているのだ。
「ま、マジかよ……こいつ……」
妹紅は目の前の事態に焦燥を感じ、
「枝のスキマを一直線に走っているッ!」
ジョニィは冷や汗を流す。
「落馬したことで馬一頭が通過できればいいスペースを走ることが出来るようになっている……」
歯をぎりぎりとかみ締め、ジョニィは森の奥を見る。
そこには、遥か前方を走るジャイロの姿。
ジャイロに、ポコロコが迫る。
「やっぱりオレはラッキーだった……ラッキーなのはッ! 落馬だったァァァ―ッ!」
ポコロコのときの声が森にこだまする。
妹紅は枝を焼きつつ、ポコロコの後ろに回ろうとする。
ジョニィも、枝をかわしながら、
「このままだと森の中でアイツ……ジャイロを追い越すかもしれないぞッ! これは偶然のハプニングか? それとも、まさかアイツッ! 計算であの行動をとっているのか!?」
ポコロコや妹紅に追いつこうと画策する。
雑木林もそろそろ抜け出す頃。
ジョニィは雑木林を抜けた頃にポコロコを追い抜くために考えをめぐらせる。
トップをキープするジャイロは、背後を見て、焦燥を感じた。
雑木林の出口となる木々に向かって、ジャイロは走り、
「しゃあねぇッ! オレも木をかわしている場合じゃなさそうだ」
鉄球を二つ、取り出した。
それは手元でひとりでに回転し始める。
そしてジャイロがそれらを木に投げつけると、木は驚くほどしなって、道を作る。
ジャイロがそこを通り過ぎる。
ポコロコの馬がそこを通ろうとする。
すると、タイミングを計ったかのごとく木に押し当てられていた鉄球が飛び、ジャイロの手元に戻る。
同時に、木がムチのようにしなり、ポコロコを打ち据えた。
「このまま目の前の奴はリタイアか……」
目の前で繰り広げられた光景に、妹紅は少し残念そうにため息をつく。
しかし、そのため息は息を呑む音に変わった。
「マジかよ……アイツ……どういうわけか馬の上に戻っていやがる!」
出来すぎた偶然びっくりする妹紅の前に、先ほどジャイロが通り、ポコロコが馬の上に戻った木々が立ちふさがる。
だが、妹紅はそれを、
「邪魔ァ!」
の一言と共に焼き払い、一瞬で炭化させる。
妹紅が雑木林を出ると、目の前には二人のジョッキーが。
ショートカットを成功し、後続集団に約800メートルの差をつけたジャイロ。
その五馬身後ろに幸運青年ポコロコ。
そしてその二馬身後ろに蓬莱の人の形、藤原妹紅。
残り4,000メートルを知らせる看板が立ってある。
この先にある悪魔の下り坂を越えると、ゴールまでの最終直線2,000メートルだ。
←to be continued
次回予告
魔理沙「魔理沙だぜ」
パチュリー「また来たの!? 本は渡さないわよ!」
魔理沙「いや、そっちじゃなくてこっちの方な」
パチュリー「こっちって何なのよ! 代名詞じゃ解らないわよ!」
魔理沙「そう声を荒らげなくても……」
次回ッ! 不死鳥は失敗を恐れない第五話『勝利への試練その三「悪魔の下り坂」』 お楽しみに!
魔理沙「次回も見てくれないと……」
パチュリー「火水木金土符『賢者の石』!」
魔理沙「やけに語呂が悪いぜ……」
魔理沙「魔理沙だぜ」
パチュリー「また来たの!? 本は渡さないわよ!」
魔理沙「いや、そっちじゃなくてこっちの方な」
パチュリー「こっちって何なのよ! 代名詞じゃ解らないわよ!」
魔理沙「そう声を荒らげなくても……」
次回ッ! 不死鳥は失敗を恐れない第五話『勝利への試練その三「悪魔の下り坂」』 お楽しみに!
魔理沙「次回も見てくれないと……」
パチュリー「火水木金土符『賢者の石』!」
魔理沙「やけに語呂が悪いぜ……」
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