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東方魔蓮記特別編-クリスマスの再会-

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匿名ユーザー

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雪も降り積もる12月25日。その雪の積もった道を、ディアボロは歩いていた。
「(寒いな・・・)」
流石に彼だって厚着で外出する。そうしないと風邪を引いてしまう。

・・・と、彼は誰かが倒れているのを発見する。
「(こんな雪の中になんで倒れているんだ?凍死するぞ・・・)」
髪の色はピンク色。服は厚着だが、このままだと妖怪に襲われる可能性がかなり高い。
そして、服装から推測して外来人のようだ。
「(仕方ない、博麗神社に連れて・・・ ・・・・・!)」
その人物を抱えて気づいた。忘れはしない。あの日々の出来事が頭をよぎる。
「(トリッシュ・・・!?何故だ!?)」
そして同時に沢山の妖怪の気配に気づく。
スナイパーの戦い方の一つに、あえて敵を一撃で殺さず気絶させておき、それを救出しようとした仲間を狙撃する方法がある。
それと同じ方法に引っかかったのだ。
「(チッ・・・!)」
一人なら簡単に戦えるが、トリッシュを守りながら戦うのは少々厳しい。
「(仕方ない・・・!)」
急いでザ・フールのDISCをケースから取り出して装備すると、トリッシュを抱えて時間を消し飛ばす。
ザ・フールはディアボロを捕まえ、そのまま飛び上がる。
「(さてどうする?何処に向かえばいい?人里で一応保護するか、それとも紫の家に向かって戻してもらうか?)」
少し考え、決断する。
「(人里に向かおう。まずは保護しておかないと・・・)」
そう思ったディアボロは人里に向かった。
・・・ちなみにディアボロとトリッシュを襲った妖怪は二人が何処に行ったか分からずに周囲を見渡していた。
二人が上にいるとは思っていないらしく、見つからないと判断したらどこかに行ってしまった。

「ただいまー」
「お帰り。・・・おや?誰だいその女性は?」
命蓮寺に帰って来たディアボロをナズーリンが出迎える。
「道端に倒れていた。・・・そのままじゃ凍死するから連れて帰ってきた」
そう言ってトリッシュを運ぶディアボロ。
トリッシュを連れて亀の中に入ると、ソファーにトリッシュを置いた。
ディアボロについてきたナズーリンが疑問に思ってディアボロに尋ねる。
「なあ、彼女は一体何者なんだ?連れてきたときの君の表情から考えて・・・知り合いか?」
そこに、偶然亀の中に入ってきた白蓮。周囲を見渡し、ソファーで眠っている女性・・・・・トリッシュに気づく。
「知り合い、というよりはそれ以上だな。・・・俺の娘だ」
「えっ!?君って娘いたのか!?」
驚くナズーリンと、心配そうにトリッシュの顔を覗き込む白蓮。
「話は聞いた事があるわ。・・・母親が病死していることも」
「とりあえず放置していたら凍死か妖怪に喰われるかのどっちかしかないからな。俺が連れて帰ってきた」
そう言いながらザ・フールのDISCをケースのウェザーリポートのDISCと入れ替える。
そして、白蓮とナズーリンに部屋から出るよう促し、二人とも彼の言うとおりに亀の中からでた。
・・・直後、トリッシュの目が覚めた。

「(ここは・・・?何処かの部屋なの・・・?)」
目覚めたばかりでまだ頭の回転が鈍いトリッシュ。
周囲を見渡しているが、まだ自分が何でここにいるのかを理解できていないようである。
「(さて・・・どのタイミングで声をかけよう?いずれにせよ、口喧嘩か戦闘のどちらかになるのは避けられそうに無いな・・・)」
ソファーの陰に気配を消して隠れていたディアボロはタイミングをうかがう。
・・・幻想郷の住人とは違い、トリッシュはスタンド使い。つまり、彼女にはスタンドが見える。
おかげでスタンドの視覚を利用した偵察ができない。もしやろうとすれば間違いなくバレる。
「(このベッド・・・一体誰の?)」
そう思いつつ、ベッドの上に寝転がるトリッシュ。
この少女、スタンド使いでなければ間違いなく隙だらけである。どうやら自分一人しかこの部屋にはいないと思っているようだ。
「(今か)」
そう思ったディアボロは、キングクリムゾンの能力で時間を消し飛ばした。


「・・・・目が覚めたみたいだな」
聞いたことのある声に急激に意識が覚醒し、ベッドから起き上がって声が聞こえてきたソファーの方を見るトリッシュ。
そこにいたのは・・・忘れるはずも無い。自分を殺そうとした男が、父親と認めたくない男が、ソファーに座ってこっちを見ている。
「まったく・・・お前、雪の降っている中で道端に倒れていたんだぞ?放置するわけにもいかないから、仕方なく連れてきたが」
その言葉にトリッシュは驚いた。
かつて自分を殺そうとした男が、自分を助けてここに連れてきた。・・・・それを現実として受け入れられないのだ。
「何でわざわざそんなこと・・・殺したいならその場で殺せばよかったのに!」
「『お前を殺す理由が無くなった』とでも言おうか。一つ約束できるのは『今の俺がお前を殺すことは無い』ことだ」
「・・・・・・・」
トリッシュは考える。彼はもう自分を殺すことは無いといっている。それが本当か、あるいは嘘か?
「俺を信用するかどうかはお前が決めろ」
トリッシュは無言でベッドから降り、ディアボロに近寄る。
「・・・・・・・・・・・(絶対スパイス・ガールで殴るつもりだな・・・)」「・・・・・・・・・・・(認めたくないけど、娘である私でさえ躊躇いも無く殺そうとした奴なんて信用できない!)」
ディアボロはエピタフで未来を理解していた。その未来は、なるべくなら避けたかった未来。
キングクリムゾンで消し飛ばしても、さほど変わらない未来だった。

―トリッシュがいきなりスパイス・ガールでディアボロに殴りかかってきた

それをキングクリムゾンの右腕だけを出して防御するディアボロ。
「誰があんたなんて!信用すると思っているの!!」
昔を思い出して怒っているのか、凄い勢いで攻撃を仕掛けてくるトリッシュ。
それを全部防御しながら、ディアボロは策を練っていた。
「(スパイス・ガールのスタンド能力は『殴った物体を』軟らかくすること・・・能力も、スタンドのステータスも、キングクリムゾンの方が上だ。だが・・・)」
一気にスタンド使いの相手に勝つ方法。それは『相手の精神を乱すこと』及び『相手の闘争心を削ぎ落とす』ことだ
そのためには・・・
「(こんな方法あまり取りたくないんだが・・・)」
そう思いながら、一気にトリッシュの懐まで接近を試みるディアボロ。
「(隙が無い・・・・・っ!)」
スパイス・ガールの攻撃は、ディアボロがエピタフの予知も使いながら避けているために全然あたらない。
しかも回避のときも防御のときも隙らしい隙を見破れず、結果としてどんどんトリッシュは追い詰められていく。
そしてついに、壁とトリッシュの背中がぶつかった。
「・・・!」
もう後ろには下がれない。それを理解したトリッシュだが、次の行動を実行する前にディアボロに至近距離まで接近される。
キングクリムゾンも出し、パンチの構えも取っており、絶対に攻撃する気だ。
「くっ・・・!」
やられる。そう思ってトリッシュは目を瞑るが・・・

突然ディアボロに抱きしめられた。
「え・・・・?」
まったく予想できなかった行動にトリッシュは戸惑い、結果として闘争心が削がれる。
「もし俺がお前を殺す気なら、こんなことはしないだろ・・・?」
「・・・そうかも、しれないけど・・・・」
「お前が進むべき道は二つに一つだ。この世界で生きるか、元の世界に戻るか。・・・どうする?」
ディアボロのその言葉にトリッシュは悩むが、すぐに答えを導き出す。
「元の世界に戻るわ。ジョルノやミスタが、私の帰りを待っている」
その言葉に揺らぐことのない強い意志を感じ取ったディアボロ。
それを聞いて微笑むと、トリッシュの頭を静かに撫でた。
「ななななななな!?ち・・・ちょっと止めてよ!!」
あまりに予想外すぎたディアボロの行動に、トリッシュは慌てる。
だが撫でる以外にディアボロが何もしてこないと察したのか、おとなしくなった。
「分かった。ならあいつに頼みにいくか」
「『あいつ』?」
「・・・外に行くぞ」
そういわれて亀の外に出るディアボロ。トリッシュもついていく。
自分が元の世界に戻る方法を彼が知っている以上、トリッシュは一緒に行くしかない。


「ねえ・・・一体何があったの?まるで別人のようになって・・・」
雪の降る道を並んで歩くディアボロとトリッシュ。
歩いている最中、ディアボロの性格が変わった原因をトリッシュは本人に尋ねる。
「歳月と環境は人を変える、とでも言おうか」
あまりにも抽象的な答えに意味が分からず、トリッシュは首をかしげる。
そのとき、ディアボロは何かに気づく。
「・・・一手、俺達のほうが遅れていたようだな。狙われているぞ」
「え・・・どこ?どこにいるの?」
そう言いながら周囲を見渡すトリッシュ。だが、人影は一つも見当たらない。
「上だ」
直後、上から落ちてきた妖怪達がディアボロとトリッシュを取り囲む。
とっさの判断で二人は背中合わせになり、妖怪達と対峙する。
「あんたとの共闘はこれで最後にしたいわよ」
「そもそもこれが最初だろ。まあいい、いくぞ」
妖怪が2体、トリッシュとディアボロに襲い掛かってくる。
それをトリッシュはスパイス・ガールで、ディアボロはキングクリムゾンで迎撃する。
2体の妖怪を撃破するが、今度はトリッシュに3体の妖怪が跳び掛かってくる。
トリッシュは一体しか殴り飛ばせなかったが、それをフォローするかのようにキングクリムゾンとウェザーリポートが2体の妖怪を殴り飛ばす。
「そ・・・そのスタンドって・・・」
本来、スタンドは一人の人間に一つしかない。
だが今、トリッシュの目の前でディアボロは『二つのスタンド』を出している。
「そんなことはどうでもいい。こいつらを倒すぞ」
「・・・しょうがないわ」
今度は一斉に飛びかかって来る。どうやらちまちまやっては倒せないと判断したようだ。
「ど・・・どうすればいいの!?」
「俺に任せろ!」
ディアボロはそう言うと、ウェザーリポートの能力を使って竜巻を発生させる。
その中心にいるディアボロとトリッシュは巻き込まれずに済むが、その周囲にいた妖怪は全員竜巻に巻き込まれる。
「竜巻・・・!?」
妖怪達を巻き上げたところで竜巻は消え、巻き込まれていた雪も竜巻が消えたことにより落下する。
落下するのは雪だけではない。先ほど巻き上げられていた妖怪もみんな地面に落下する。
「(強い・・・)」
トリッシュは今のディアボロを見てそう思った。
自らの知らない間に二つ目のスタンドを身につけ、先ほどの戦いでも冷静に妖怪達を倒していた。
「(私とはあまりにも違いすぎる・・・)」
起き上がった妖怪が全員怯えて逃げ出す。
竜巻を発生させた時点で勝ち目がないと判断したようだ。
「・・・行くぞ」
ディアボロはそう言って歩き始める。トリッシュもそれについていく。


「ここだ」
ディアボロは一軒の家を見てそう言う。
「ここに・・・あんたの言う『あいつ』がいるの?」
トリッシュがディアボロを見て尋ねる。
「そうだ。もっとも、性格などから考えてうまくいけるような気がしないがな・・・」
その言葉を聞いて疑問を懐くトリッシュをよそに、ディアボロは堂々と玄関の戸を開ける。
直後、ドタドタと言う足音が聞こえてくる。
「ディアボロ・・・ノックぐらいしろ」
藍が呆れながらも応対する。
「悪いな、ちょっと紫に用事がある」
ディアボロはそう返事を返す。
「・・・・・???」
会話についていけないトリッシュ。さらにディアボロと放している女性に本来人間にはないはずのものがあることに首をかしげる。
・・・ディアボロと藍は『日本語』で会話している。ディアボロとトリッシュは『イタリア語』で話していた。
トリッシュは日本語を理解できていないのだ。よって会話の内容を理解できない。
「紫様に用事?・・・しかし、紫様は・・・」
「とりあえず入らせてもらうぞ」
そういって紫の家に入るディアボロ。トリッシュもわけがわからずついていく。
「・・・こっちだ」
藍に案内された部屋に入るディアボロとトリッシュ。
そこには・・・お見事に寝ている紫がいた。
(イタリア語で)「・・・寝てんじゃねぇよ・・・」
呆れてため息をつくディアボロに苦笑いをするトリッシュ。
「で、こいつがあんたの言っていた奴なの?」
「そうなんだが、寝ているとはな・・・仕方ない」
ディアボロは一枚のDISCをケースから取り出して自分に装備する。
「起きてもらおうか!」
その言葉と共にエコーズACT1を出し、音を文字にして紫の耳に貼り付ける。
その瞬間、『ジリリリリリリリリリ!』という、まるで目覚まし時計のアラームのような音が周囲に響きだした。
「!!?」
驚いて目が覚める紫。なにが起きたか分からないが、周囲を見渡して藍とディアボロとトリッシュを見つける。
それと同時にディアボロがエコーズACT1の能力を解いたことで、周囲に鳴り響いた音は消える。
「あら、私を強引に起こしてまでして一体何の用かしら?」
「こいつを元の世界に返してもらいたい」
ディアボロはトリッシュを見る。つられて紫もトリッシュを見る。
「なるほど、この子をね・・・でも、何で博麗神社に連れて行かないのかしら?」
「こいつの世界は外の世界とは違う」
「なるほどね」
納得したような表情で布団から出てくる紫。
昼寝していたのだろうか。衣服は普段来ている服のままだ。
「彼女を元の世界に戻してあげるけど、条件が一つあるわ」
「・・・なんだ?」
「私、昼寝ばっかしているから身体が鈍っちゃっているのよね・・・・・・」
その言葉にディアボロはすぐに答えを導き出す。
「闘え・・・とでもいいたいのか?」
「その通り。察するのが早いわね」
ウィンクしながらそういう紫を見ても無反応なディアボロ。
「それじゃ、行きましょ」
紫はそう言って外に出て行く。ディアボロもついていく。
トリッシュはわけが分からないがとりあえずついていき、藍も呆れながらついていく。

「いつでもいけるぞ」
ディアボロはいつでも闘える状態だ。
元々スタンドを使って攻撃するので、スタンドパワーや精神面の状態に気をつければ大丈夫だろう。
「私も大丈夫よ」
対する紫はディアボロと比べて身体能力はかなり高い。自身の能力をあわせると相当強いのは間違いない。
だが彼女はディアボロへの境界操作は封じられている。もっとも、彼女には自覚が微塵もないが。
「大丈夫なんだろうか・・・」
二人を心配する藍。ディアボロと紫はお互いに相手の様子を伺っている。
「・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・」
先手を取ったのは紫。弾幕を一気にディアボロ目掛けて発射する。
それをエピタフの予知を巧みに利用して回避していく。
「俺にそれは通じないぞ?」
そう言いながらエンペラーを出し、3発撃つ。
だが紫はその弾丸をスキマを開くことで対処しようとする。
「!?」
ディアボロは驚きながらも弾丸の軌道を変えてスキマに入るのを阻止する。
「お前・・・見えているな?」
ディアボロの頭の中では一つの回答が既に出されていた。
自らの『可視と不可視の境界』を変えることで『本来スタンド使い以外には見えない』スタンドを紫が見れる状態になっているのだ。
「どうかしらね?」
曖昧な答えを返す紫だったが、これで相手はスタンドが見えないというアドバンテージはもうない。
スタンド使いを相手にしているつもりで闘わないといけないのだ。
「・・・仕方ない」
エンペラーのDISCを額から取り出してケースに入れると、メタリカのDISCを装備する。
メタリカは血液中にスタンドが存在するタイプ。これなら分からないだろう。
さっそくスタンド能力を使い、磁力で強引に紫を自分に接近させる。
わけも分からず戸惑う紫だったが、キングクリムゾンの攻撃可能範囲内に入る前にスキマの中に入ることで回避する。
「はずしたか・・・」
紫はスキマを開いて戻ってくるが、位置をエピタフの予知で見抜いていたディアボロはそこに走って接近する。
「!」
スキマから顔を出した紫が気づくも既に遅し。再びスキマに入る前に引きずり出される。
「ふふ・・・できるわね」
立ち上がりながらそう言う紫。ついでに身体に付いた雪を払い落とす。
「(あまりやりすぎるわけにもいかないな・・・)」
そう思いながら二枚のDISCをケースから取り出し、メタリカのDISCと入れ替える。
「こっちとてあんまり時間をかけられない」
そう言って時間を止めるディアボロ。ケースから取り出した二枚のDISCの内の一枚はザ・ワールドだ。
ならばもう一枚は。
「・・・速攻で終わらせる!」
その言葉と同時に、まるでワイヤー線のようなものがどこからともなく勝手に現れ、それは紫を取り囲むかのように張られていく。
やがてそれはまるで『結界』のように紫を包囲した。

法皇の緑―ハイエロファントグリーンは大量、かつ大粒のエメラルドを弾丸として射出して攻撃する能力がある(ちなみにこのエメラルドに宝石としての価値は『もちろんない』)。
さらに身体を紐状にすることができ、その能力で相手を操ったり内部から破壊することができる。
今使っている技・・・ハイエロファントの結界は、紐状にしたハイエロファントグリーンの身体で『結界』を作り上げる。
その結界に触れるとエメラルドスプラッシュが発射され、さらに四方八方からエメラルドスプラッシュを撃つことができる強力な技だ。

それを今、紫を相手に使っている。速攻で倒すつもりだ。
「・・・そして時は動き出す」
その言葉と共に時間停止は解かれ、時は再び動き始める。
「「!?」」
紫もトリッシュも驚いた。
いつの間にやら紫の周囲に無数のワイヤーのようなものが張り巡らされている。
「な・・・なにあれ!?」「これは・・・!」「・・・・?」
トリッシュの隣で闘いを見ていた藍の反応を見てトリッシュは理解した。
「(もしかして、あのワイヤーのようなもの全部がスタンドなの!?)」「発射!」
ディアボロのその言葉と共に紐状になったハイエロファントグリーンから一斉にエメラルドスプラッシュが発射される。
紫はスキマに逃げることで回避しようとするが、その前にエメラルドスプラッシュが命中する。
「っつ・・・!」
痛みに耐えながらもスキマに入る紫。それを見たディアボロは、ハイエロファントの結界を自分の周囲に張る。
「油断ならないわね。初めて出会ったときも、貴方が別のものに気をとられていなければ殺されていたかもしれなかったわ・・・」
「・・・懐かしい話だな」
攻撃が止んだのを確認してスキマから身体を出した紫がそう言い、その言葉に対して微笑しながら返事を返すディアボロ。
「フフフ・・・」
ディアボロの周囲に作り上げたハイエロファントの結界を見ながら不敵な笑みを浮かべる紫。
「さっきは油断して攻撃されたけど・・・次は通用するかしら?」
「・・・発射!」
その言葉と共に再びエメラルドスプラッシュが発射される。
だが、紫はエメラルドスプラッシュが命中する前に再びスキマの中に入る。
「(これじゃ絶対に成功しないもぐら叩きになってしまうな・・・)」
エピタフの予知で次にスキマが開く場所はわかっている。分かってはいるのだが、その後が問題だ。
「(仕方ない、さっさと終わらせるか・・・)」
スキマから全身を出した紫がふざけてディアボロを挑発する。
読めない行動にディアボロはため息をつくと、そのまま時間を止めた。
「いつまでも寒い中で闘っているわけにも行かないからな!」
そう言って振り向き、走って紫に接近する。
スキマは開いたままだが、全身がスキマから出ているので攻撃のチャンスだ。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

「「「「!?」」」
わけもわからずぶっ飛ばされる紫。それに驚くトリッシュと藍。
紫は時間停止中にザ・ワールドのラッシュをくらったのだ。
「紫様!?」
心配して駆け寄る藍だったが、「大丈夫よ」といって起き上がる紫。
「流石ね・・・その強さ、いつ見ても驚きだわ」
身体に付いた雪を落としながらそう言う紫。
「ちょっとはマシになったか?」
「ええ、おかげさまでね」
そういってスキマを開く紫。
「この世界であっているはずよ」
「トリッシュ、ちょっと覗いて見てくれるか?」
そういわれてスキマの中を覗くトリッシュ。警戒しているのか、スパイス・ガールを出して背後を守らせている。
「・・・間違いないわ!私の世界よ!ジョルノもミスタもいる!」
スキマから顔を出し、嬉しそうに言うトリッシュ。
「そうか・・・よかったな」
それを聞き、安堵するディアボロ。

「これで帰れる・・・私の世界に戻れる・・・。けど・・・」
「・・・どうした?」
トリッシュの声のトーンが僅かに低くなった事に気づいてディアボロがたずねる。
「これであんたともお別れなのね」
「・・・だな」
ディアボロは上着のポケットからある物を取り出す。
「それは・・・」
「お守りだ」
それをトリッシュに渡し、トリッシュはそれを受け取る。
「もっていきな。幸運を与えてくれるかもしれないぞ」
「・・・・」
無言でスキマへと歩き出すトリッシュ。それを見つめるディアボロと紫と藍。
「ありがとう・・・・お父さん」
「・・・初めて俺をそう呼んでくれたな」
そう言って笑みを浮かべるディアボロ。
トリッシュがふと、何か思い出したかのように言う。
「何か・・・ジョルノやミスタに伝えたいことはある?」
「パッショーネを頼む・・・とだけ伝えておいてくれ」
トリッシュの質問に、自分が伝えたいことを確かに伝えたディアボロ。
もうパッショーネと自分は無縁だ。なら、託すべき人物にパッショーネを任せることにしよう。
そう思ってその言葉をトリッシュに託した。
「お父さん・・・・。分かったわ。もう会えないと思うと寂しいけど・・・」
「・・・・・・さよなら!」
トリッシュはそう言ってスキマの中に入っていった。
感謝の笑みを浮かべながら、けれども、寂しそうに、名残惜しそうに・・・・。


「よかったの?引き止めなくて」
紫がディアボロに尋ねる。
「あれでいい。あいつが決めた道だ。俺はただ見届けるぐらいしかできない」
ディアボロがスキマに背を向ける。
「まあ、俺には見届ける資格があるのかどうかも怪しいがな」
そう言って立ち去ろうとするディアボロ。
「そうかしら?あの子はスキマに入っていくときに笑みを浮かべていたわ」
そう言って笑みを見せる紫。
「今の貴方なら、父親としての資格は十分にあるはずよ?」
「・・・あいつはそんなに子供じゃない。俺の記憶が間違っていなければ15歳は確実に超えている」
「あらそう」と反応を返す紫。
「そういえば・・・あのお守り何処で手に入れたの?」
「因幡の奴からもらった。安心しろ、ちゃんと効果はある」
そう言って紫の家から立ち去っていくディアボロ。
「あの子の選んだ道・・・ねぇ」
ちょっと悩む紫を見て藍が心配する。
「どうしたんですか?」
「ふふ・・・なんでもないわ」
紫はそういうと、雪の降り続ける空を見上げた。


「ただいま」
「おかえりなさい」
命蓮寺に帰ってきたディアボロを白蓮が出迎える。
「・・・娘さん、無事に元の世界に帰れたみたいね」
「ああ、なんとかな」
「よかった・・・」
そう言って笑みを浮かべる白蓮。それにつられてディアボロも笑顔になる。
「(しかし・・・何故トリッシュはこっちに来たんだ?確かこの世界と『ジョジョの奇妙な冒険』の世界は繋がっていないはず・・・)」
少し考え、ディアボロはある結論に達した。
「(紫・・・まさかお前の仕業じゃないだろうな?もしそうなら、お前は何を思ってトリッシュをこっちにつれてきた?)」
そう思いながら靴を脱ぐディアボロ。
「・・・どうしたの?」
「トリッシュがこっちに来てしまった理由を考えていた。あいつは本来、こっちにこれるはずがないんだが・・・」
「・・・・???」
白蓮が首をかしげるが、ディアボロは「まあいい」と言った。
「あいつにも帰るべき場所がある。帰りを待つ友達がいる。そう思うと、ここにいさせるよりはずっと良い選択だろう」
「そうね。一緒にいてくれるだけで安心できるもの」
そう言って笑顔になる白蓮。そしてそのままディアボロに抱きついてくる。
もう慣れたのだろう。ディアボロも白蓮を抱きしめる。
「ああ。大切な者がそばにいてくれる、それがどれだけ嬉しいことか・・・今の俺なら分かる」
ディアボロがそう言うと、白蓮は嬉しそうな表情でディアボロにほお擦りをする。
「さ、外は寒かったでしょ?温かいお茶、用意しているわ」
そう言って白蓮はディアボロを案内し、ディアボロはそれに笑顔でついていく。

今の彼は間違いなく幸せだろう。なぜなら、かつては全然見せなかった笑顔を今見せているのだから。

「・・・ディアボロに会った!?」
一方こちらはイタリア。トリッシュの発言に、ジョルノもミスタも驚いていた。
「ええ、夢じゃないわ。紛れもない現実よ。もし夢だったら・・・」
そう言ってトリッシュはディアボロからもらったお守りを二人に見せる。
「これは今手元にないはずよ」
「で・・・でも確かディアボロはあの時ジョルノに再起不能にされて・・・」
未だ焦りが収まっていないミスタは慌てながらも言う。
「ええ、確かに『お父さんは再起不能のはず』だった。けど、異世界の地で確かに生きていたわ」
「だとしても、ゴールドエクスペリエンスレクイエムの能力は・・・」
ジョルノも内心焦っているのかもしれない。表情に変化はないが、会話の仕方に普段の彼と比べて違和感がある。
「まったくなかったわ」
この発言には流石のジョルノも驚いた。
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムによってもたらされていたはずの『死の無限ループ』が彼の知らない間に解かれていたのだから。
「しかし・・・なんでディアボロはトリッシュを殺そうとはしなかったんでしょう?」
「殺す理由がなくなった・・・って言ってたわ」
「確かに、今のあいつとパッショーネには縁はないが・・・」
ミスタは考えながらそう言う。
「それともう一つ・・・これは伝言としてお父さんが言ったことよ」
その言葉に、ジョルノもミスタもトリッシュを見る。
「『パッショーネを頼む』、って。多分、ジョルノにパッショーネの未来を託したという意味での言葉だと思うけど・・・」
その言葉にジョルノはとてつもなく驚く。
「・・・・に・・・にわかには・・・信じられない・・・・発言・・・だな・・・」
これにはミスタも相当驚いたようである。そのせいか、言葉がショックで途切れ途切れになっている。
「でも全て本当のことよ。・・・私は、今のお父さんなら信じることができる」
「トリッシュ・・・」
揺るがない意思。トリッシュはそれを自らの瞳に宿し、確かにそう断言した。
その成長にも、ジョルノは驚きを隠せない。

その瞳には、過去への不安はもう微塵もなかった。父親と再会し、その変化を感じ取ったからだろうか。

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