ディアボロの周囲にはウェザー・リポートによって炎がついては消え、ついては消えを繰り返している。
が、お燐はそれに構うことなく弾幕で攻撃する。
「(流石に炎を気にするほど馬鹿ではないか)」
そう思ったディアボロは、ケースから二枚のDISCを取り出すと、そのDISCで弾幕を弾く。
そしてそのDISCを、装備していたキラークイーンとハイエロファント・グリーンと入れ替える。
「中々おもしろい武器を持っているね、おじさん」
「道具の使い方は一つだけではない、ということだ」
お燐はそう言うと再び弾幕を撃つが、ディアボロは天井に『着地』して回避する。
ジャンピン・ジャック・フラッシュを装備したディアボロは、走って接近しつつ、氷のナイフを一本投げる。
お燐はそれを避けるが、ディアボロはその隙に氷のナイフをもう一本作り、今度は直接突き刺すためにお燐に飛び掛る。
が、それも避けられ、ディアボロは後ろにジャンプして距離を取ると同時に氷のナイフを熱風で全て『溶かした』。
その隙にお燐はディアボロに接近して右手でパンチをくらわせようとするが、ディアボロはそのパンチを回避すると同時に右腕をつかむ。
「……おじさん、今のをどうやって見切ったんだい?」
どうやらお燐は先ほどの一撃をくわらせる自信があったようだ。しかし、その攻撃はディアボロに避けられ、逆に右腕をつかまれてしまった。
「相手の動きをよく見れば、だいたい分かる」
ディアボロはそう言って右手でお燐を殴ろうとするが、お燐は下から右腕を掴むことで攻撃を阻止した。
「おじさんの言う通りだね!」
互いに片腕をつかみ、もう片方の腕をつかまれた状態。
その状況を打破したのはディアボロだった。突然『唾』をお燐にはいてきたのだ。
それに驚くお燐の隙をついて、キングクリムゾンでお燐の右手を開かせると同時に自分も手を離すと、お燐にキングクリムゾンの右のパンチで攻撃する。
お燐は突然発生した衝撃と、それによって吹き飛ばされたことに驚きつつも、着地に備えて体制を整えるのだが……
「(……あれ?何時までたっても『着地しない』?)」
おかしい。本来ならとっくに着地しているはずなのだが、お燐は今『吹き飛ばされたまま』。
ジャンピン・ジャック・フラッシュのもう一つの能力。それは唾をつけた対象を無重力化してしまう能力。
さらにこの状態でいると周辺の空気が無くなり、気圧の減少により血液が沸騰するという恐ろしい事態になる。
しかし、なにより厄介なのは……・対象が触れた全てのものに、この能力がまるで『伝染』するかのように広まっていくことだ。
しばらく吹き飛ばされ続けていたお燐だったが、突然地面に落下する。……どうやらジャンピン・ジャック・フラッシュの能力の範囲外にでたようだ。
「(どうやら能力の射程範囲からでてしまったみたいだな)」
ディアボロはジャンピン・ジャック・フラッシュの能力を解除し、装備から外す。
そしてもう一枚装備から外したDISCがある。……ボーイ・Ⅱ・マンのDISCだ。
「(幻覚で隠し通せるのも限界がある。……すでに壁や柱の損傷で気付かれているかもしれない。)」
ディアボロはそう判断し、ボーイ・Ⅱ・マンのDISCを装備から外したのだ。
ディアボロはジャンピン・ジャック・フラッシュとボーイ・Ⅱ・マンのDISCをケースに入れた後、二枚のDISCを取り出して装備する。
そしてディアボロはその二つのスタンドの能力を早速発動させ、飛んで接近してくるお燐を確認する。
おまけにお燐は弾幕を撃ちながら接近しているため、迎撃は困難だ。
ディアボロが装備したDISCの一枚はスケアリーモンスターズ。そして、もう一枚のDISCは……
『世界を一巡させ、転生させた』、強すぎる能力を持つスタンド。
承太郎も、徐倫も、アナスイも、エルメェスも、このスタンドには敵わなかった。
そのスタンドの名は『メイド・イン・ヘブン』。偽りの天国を創造するもの。
その能力が、ディアボロの手によって『偽りの天国の創造とは違う形』で生かされようとしている。
飛んでくるお燐を確認したディアボロは……凄い速さで動き出した。
一方、弾幕を撃ちながらディアボロに飛んで接近してくるお燐。
弾幕を撃ちながら接近すれば、迎撃されにくいと思っていたようだ。
だが、その考えも簡単に打ち破られる。
―物凄いスピードでディアボロが接近してきたかと思うと、踵落としを背中にくらってしまったからだ。
物凄いスピードと部分的な恐竜化による筋力強化の影響もあって、お燐は物凄い勢いで地面に叩きつけられる。
それでも痛みに耐えて何とか立ち上がるが、直後にディアボロの高速回し蹴りがお燐の右わき腹に命中する。
「これで終わりだ」
物凄い勢いで吹き飛ばされるお燐をよそに、ディアボロは一言だけ呟く。
お燐が壁に激突した音が周囲に響き、お燐は地面に落下する。
ディアボロが凄まじい速さで動けた理由。それは、メイド・イン・ヘブンの能力を使ったからだ。
メイド・イン・ヘブンには『時間を加速』させる能力がある。ディアボロはそこに注目し、『現象加速能力』利用することを思いついたのだ。
例えば、『歩いて進む』。何気ないその行動もメイド・イン・ヘブンで加速させれば、他の者から見れば物凄いスピードで動いているように見えるのだ。
他にも『物が燃える』という現象を加速させれば、あっという間に燃え尽きる。
ディアボロの高速移動も、物凄いスピードの踵落としと蹴りも、『走る』、『踵落とし』、『蹴り』の3つの行動を加速させたことによるもの。
だが、相手を殴ったり蹴ったりして物理的に攻撃した場合、スピードが仇となって自分に伝わる衝撃も大きい。
恐竜化による筋力強化などの対策をしないと、衝撃で逆に自分も痛い目を見ることになる。
その為、主に回避や高速移動などに使われることになりそうだ。
ディアボロは部分的な恐竜化を解除すると、お燐の様子を確認する。
2回の強力な攻撃と壁に激突したことによってダメージを受けているが、背中を痛める程度ですんでいるあたり、やはり妖怪の肉体は強靭である。
「……気は済んだか?」
近づいてくるお燐にディアボロが質問する。
「まいった。おじさん、強いね」
お燐は闘う意思はもう無いことをディアボロに告げ、彼を褒める。
「…………」
ディアボロは返事をせず、振り返る。
「さあこいし、ここの主(あるじ)に会わせてくれ」
「うん!」
こいしは元気に返事すると、ディアボロと一緒に奥に向かう。
「……あの人はこいし様に任せておいて大丈夫みたいだね」
お燐は二人の後ろ姿を見ながら、そう呟いた。
「ただいまー!」
ディアボロがこいしに連れられ入った部屋で、こいしはある妖怪の姿を見つけ、無邪気に話しかける。
紫の髪、こいしとは色が異なり、開かれている第三の目。そう、彼女こそがこいしの姉、古明地 さとり。
「お帰りなさい。こいし」
さとりはこいしに返事をする。と同時に、ディアボロの存在に気づく。
「……おじゃまさせてもらっている」
ディアボロはさとりに簡単な挨拶をする。
「貴方……私の猫(ペット)と闘ったのね」
ディアボロの心から彼がお燐と戦闘したことを読んださとりは、そのことをディアボロに話す。
「……今度会ったら言動に注意するよう言っておいてくれ」
ディアボロはさとりにそう言い、そのときの彼とお燐との会話を心から読み取ったさとりはため息をついた。
ディアボロか、お燐の発言を冗談だと思えなかったことを読み取ったからだ。
「お姉ちゃんは心を読めるけど……貴方は不思議に思わないの?」
さとりとディアボロの会話を聞いたこいしは、不思議そうにディアボロに尋ねる。
「彼女ほどではないが、心を読む能力を持っている奴を俺は知っている」
こいしの質問に、ディアボロは表情一つ変えずに答える。
「……なるほど、『そのくらい』しか読めないなら、確かに私より能力は劣りますね」
ディアボロの心からその人物を読み取ったさとり。
人間にも心を読める者がいることに興味を示すが、自分より能力が劣っていたためか、その興味もあっさり失せた。
が、そのとき彼女はある疑問を懐いた。
「(……彼の『今の声』と『過去の声』が違う?)」
今のディアボロの声と、ディアボロの心から読み取った光景での声がまったく違うのだ。
さとりがディアボロの心から読み取ったのは、ディアボロの記憶ではなく承太郎の記憶。
さとりは知らないのだ。ディアボロが『複数の記憶』を持っていることを。
さとりは先ほどの『異常』を気にしながらも、ディアボロと会話を続ける。
「……地上の色々なところに行ったのですね」
「ある程度は行ったが……博霊神社をはじめ、まだ行っていない場所もある。いずれは行ってみたいところだ」
さとりの質問に答えるディアボロ。その答え方は、どこか楽しそうに思えた。
「まるで私みたい」
「お前に『探究心』があるのかどうかは知らないが……まあ、否定はしないな」
こいしの言ったことをある程度肯定するディアボロ。
「……こいしに興味をもたれたのですね」
「どうやら気に入られたらしい」
さとりの質問に答えるディアボロ。
そこにこいしが、ディアボロに提案をする。
「そうだ、せっかくだから私と遊ばない?お姉ちゃんと一緒に!」
「……遊ぶ?」
こいしの発言に、ディアボロは嫌な予感を感じていた。
紫の記憶、お燐と話したときの内容。そして、ディアボロはある一つの予想をする。
「まさかその遊び、『弾幕ごっこ』か?」
「うん!だって、お燐と闘って勝ったんだから、私とお姉ちゃんを相手にしても大丈夫でしょ?」
「(おいおい……)」
ディアボロは心の中で呆れ、それを読んださとりもため息をつく。
「……こいし。私はやりませんよ」
「俺もだ」
「……なんで?」
さとりとディアボロが拒否したこと理由を尋ねるこいし。
どうやら、(少なくとも)ディアボロは『遊んでくれる』と思っていたようだ。
「お前が俺をここに連れて来たのは、俺の強さに興味を持ったからであって、弾幕ごっこをしに連れてきたわけじゃないだろう」
こいしの質問に、ディアボロは呆れながら答える。
「……さとり。どうしてやればいい?」
「……私も分かりません」
困ったディアボロはさとりに助言を求める。が、さとりもこいしの心を読めないが故にどうすればいいのか分からない。
「……仕方ない」
しばしの沈黙の後、ディアボロはため息をついて、そう呟いた。
「あんまり気乗りはしないが……お前の『遊び』に付き合ってやる」
「ありがとう!」
ディアボロの言葉に、嬉しそうに答えるこいし。
「……いいのですか?」
「このままじゃ無意識に俺の思わぬところで了承していそうだしな」
こいしの能力でそれができるかどうかは不明だが、自分の『意識』に関係なく『遊び』につき合わされるなら、せめて自分の意思で付き合った方がいい。
そうは判断したディアボロは、こいしとの『遊び』に付き合うことにしたのだ。
「だが、この部屋じゃ狭くてお互いに不利だ。廊下に移動した方がいいだろうな」
そう言って部屋を出るディアボロ。こいしもそれについて行く。
「(面倒なことをおこさなければいいけど……)」
さとりは部屋をでる二人の姿を見て、そう思った。
「ここにするか?」
先ほどお燐と闘った廊下あたりでこいしに尋ねるディアボロ。
「うん。早く始めようよ」
その質問に、嬉しそうに答えるこいし。
それを聞いたディアボロは、こいしからある程度距離を取り、周囲に雷雲を発生させる。
「(あくまで『弾幕ごっこ』、撃ちあいだ。近接戦闘を行うことは無い)」
ディアボロはスケアリー・モンスターズのDISCを装備から外してケースに入れ、代わりにジャンピン・ジャック・フラッシュのDISCを装備する。
そして雷雲に雷を纏わせ、いつでも撃てるようにする。
「準備はいいか?こいし」
「うん!」
体制が整ったディアボロはこいしに尋ね、こいしも元気よく答える。
「……来い!」
ディアボロのその言葉を聞いたこいしは、弾幕を撃ち始める。
それを迎え撃つべく、ディアボロは雷雲から雷を撃った。
『弾幕ごっこ』という名の『敵意無き闘い』。
それが今、幕を開けた。
が、お燐はそれに構うことなく弾幕で攻撃する。
「(流石に炎を気にするほど馬鹿ではないか)」
そう思ったディアボロは、ケースから二枚のDISCを取り出すと、そのDISCで弾幕を弾く。
そしてそのDISCを、装備していたキラークイーンとハイエロファント・グリーンと入れ替える。
「中々おもしろい武器を持っているね、おじさん」
「道具の使い方は一つだけではない、ということだ」
お燐はそう言うと再び弾幕を撃つが、ディアボロは天井に『着地』して回避する。
ジャンピン・ジャック・フラッシュを装備したディアボロは、走って接近しつつ、氷のナイフを一本投げる。
お燐はそれを避けるが、ディアボロはその隙に氷のナイフをもう一本作り、今度は直接突き刺すためにお燐に飛び掛る。
が、それも避けられ、ディアボロは後ろにジャンプして距離を取ると同時に氷のナイフを熱風で全て『溶かした』。
その隙にお燐はディアボロに接近して右手でパンチをくらわせようとするが、ディアボロはそのパンチを回避すると同時に右腕をつかむ。
「……おじさん、今のをどうやって見切ったんだい?」
どうやらお燐は先ほどの一撃をくわらせる自信があったようだ。しかし、その攻撃はディアボロに避けられ、逆に右腕をつかまれてしまった。
「相手の動きをよく見れば、だいたい分かる」
ディアボロはそう言って右手でお燐を殴ろうとするが、お燐は下から右腕を掴むことで攻撃を阻止した。
「おじさんの言う通りだね!」
互いに片腕をつかみ、もう片方の腕をつかまれた状態。
その状況を打破したのはディアボロだった。突然『唾』をお燐にはいてきたのだ。
それに驚くお燐の隙をついて、キングクリムゾンでお燐の右手を開かせると同時に自分も手を離すと、お燐にキングクリムゾンの右のパンチで攻撃する。
お燐は突然発生した衝撃と、それによって吹き飛ばされたことに驚きつつも、着地に備えて体制を整えるのだが……
「(……あれ?何時までたっても『着地しない』?)」
おかしい。本来ならとっくに着地しているはずなのだが、お燐は今『吹き飛ばされたまま』。
ジャンピン・ジャック・フラッシュのもう一つの能力。それは唾をつけた対象を無重力化してしまう能力。
さらにこの状態でいると周辺の空気が無くなり、気圧の減少により血液が沸騰するという恐ろしい事態になる。
しかし、なにより厄介なのは……・対象が触れた全てのものに、この能力がまるで『伝染』するかのように広まっていくことだ。
しばらく吹き飛ばされ続けていたお燐だったが、突然地面に落下する。……どうやらジャンピン・ジャック・フラッシュの能力の範囲外にでたようだ。
「(どうやら能力の射程範囲からでてしまったみたいだな)」
ディアボロはジャンピン・ジャック・フラッシュの能力を解除し、装備から外す。
そしてもう一枚装備から外したDISCがある。……ボーイ・Ⅱ・マンのDISCだ。
「(幻覚で隠し通せるのも限界がある。……すでに壁や柱の損傷で気付かれているかもしれない。)」
ディアボロはそう判断し、ボーイ・Ⅱ・マンのDISCを装備から外したのだ。
ディアボロはジャンピン・ジャック・フラッシュとボーイ・Ⅱ・マンのDISCをケースに入れた後、二枚のDISCを取り出して装備する。
そしてディアボロはその二つのスタンドの能力を早速発動させ、飛んで接近してくるお燐を確認する。
おまけにお燐は弾幕を撃ちながら接近しているため、迎撃は困難だ。
ディアボロが装備したDISCの一枚はスケアリーモンスターズ。そして、もう一枚のDISCは……
『世界を一巡させ、転生させた』、強すぎる能力を持つスタンド。
承太郎も、徐倫も、アナスイも、エルメェスも、このスタンドには敵わなかった。
そのスタンドの名は『メイド・イン・ヘブン』。偽りの天国を創造するもの。
その能力が、ディアボロの手によって『偽りの天国の創造とは違う形』で生かされようとしている。
飛んでくるお燐を確認したディアボロは……凄い速さで動き出した。
一方、弾幕を撃ちながらディアボロに飛んで接近してくるお燐。
弾幕を撃ちながら接近すれば、迎撃されにくいと思っていたようだ。
だが、その考えも簡単に打ち破られる。
―物凄いスピードでディアボロが接近してきたかと思うと、踵落としを背中にくらってしまったからだ。
物凄いスピードと部分的な恐竜化による筋力強化の影響もあって、お燐は物凄い勢いで地面に叩きつけられる。
それでも痛みに耐えて何とか立ち上がるが、直後にディアボロの高速回し蹴りがお燐の右わき腹に命中する。
「これで終わりだ」
物凄い勢いで吹き飛ばされるお燐をよそに、ディアボロは一言だけ呟く。
お燐が壁に激突した音が周囲に響き、お燐は地面に落下する。
ディアボロが凄まじい速さで動けた理由。それは、メイド・イン・ヘブンの能力を使ったからだ。
メイド・イン・ヘブンには『時間を加速』させる能力がある。ディアボロはそこに注目し、『現象加速能力』利用することを思いついたのだ。
例えば、『歩いて進む』。何気ないその行動もメイド・イン・ヘブンで加速させれば、他の者から見れば物凄いスピードで動いているように見えるのだ。
他にも『物が燃える』という現象を加速させれば、あっという間に燃え尽きる。
ディアボロの高速移動も、物凄いスピードの踵落としと蹴りも、『走る』、『踵落とし』、『蹴り』の3つの行動を加速させたことによるもの。
だが、相手を殴ったり蹴ったりして物理的に攻撃した場合、スピードが仇となって自分に伝わる衝撃も大きい。
恐竜化による筋力強化などの対策をしないと、衝撃で逆に自分も痛い目を見ることになる。
その為、主に回避や高速移動などに使われることになりそうだ。
ディアボロは部分的な恐竜化を解除すると、お燐の様子を確認する。
2回の強力な攻撃と壁に激突したことによってダメージを受けているが、背中を痛める程度ですんでいるあたり、やはり妖怪の肉体は強靭である。
「……気は済んだか?」
近づいてくるお燐にディアボロが質問する。
「まいった。おじさん、強いね」
お燐は闘う意思はもう無いことをディアボロに告げ、彼を褒める。
「…………」
ディアボロは返事をせず、振り返る。
「さあこいし、ここの主(あるじ)に会わせてくれ」
「うん!」
こいしは元気に返事すると、ディアボロと一緒に奥に向かう。
「……あの人はこいし様に任せておいて大丈夫みたいだね」
お燐は二人の後ろ姿を見ながら、そう呟いた。
「ただいまー!」
ディアボロがこいしに連れられ入った部屋で、こいしはある妖怪の姿を見つけ、無邪気に話しかける。
紫の髪、こいしとは色が異なり、開かれている第三の目。そう、彼女こそがこいしの姉、古明地 さとり。
「お帰りなさい。こいし」
さとりはこいしに返事をする。と同時に、ディアボロの存在に気づく。
「……おじゃまさせてもらっている」
ディアボロはさとりに簡単な挨拶をする。
「貴方……私の猫(ペット)と闘ったのね」
ディアボロの心から彼がお燐と戦闘したことを読んださとりは、そのことをディアボロに話す。
「……今度会ったら言動に注意するよう言っておいてくれ」
ディアボロはさとりにそう言い、そのときの彼とお燐との会話を心から読み取ったさとりはため息をついた。
ディアボロか、お燐の発言を冗談だと思えなかったことを読み取ったからだ。
「お姉ちゃんは心を読めるけど……貴方は不思議に思わないの?」
さとりとディアボロの会話を聞いたこいしは、不思議そうにディアボロに尋ねる。
「彼女ほどではないが、心を読む能力を持っている奴を俺は知っている」
こいしの質問に、ディアボロは表情一つ変えずに答える。
「……なるほど、『そのくらい』しか読めないなら、確かに私より能力は劣りますね」
ディアボロの心からその人物を読み取ったさとり。
人間にも心を読める者がいることに興味を示すが、自分より能力が劣っていたためか、その興味もあっさり失せた。
が、そのとき彼女はある疑問を懐いた。
「(……彼の『今の声』と『過去の声』が違う?)」
今のディアボロの声と、ディアボロの心から読み取った光景での声がまったく違うのだ。
さとりがディアボロの心から読み取ったのは、ディアボロの記憶ではなく承太郎の記憶。
さとりは知らないのだ。ディアボロが『複数の記憶』を持っていることを。
さとりは先ほどの『異常』を気にしながらも、ディアボロと会話を続ける。
「……地上の色々なところに行ったのですね」
「ある程度は行ったが……博霊神社をはじめ、まだ行っていない場所もある。いずれは行ってみたいところだ」
さとりの質問に答えるディアボロ。その答え方は、どこか楽しそうに思えた。
「まるで私みたい」
「お前に『探究心』があるのかどうかは知らないが……まあ、否定はしないな」
こいしの言ったことをある程度肯定するディアボロ。
「……こいしに興味をもたれたのですね」
「どうやら気に入られたらしい」
さとりの質問に答えるディアボロ。
そこにこいしが、ディアボロに提案をする。
「そうだ、せっかくだから私と遊ばない?お姉ちゃんと一緒に!」
「……遊ぶ?」
こいしの発言に、ディアボロは嫌な予感を感じていた。
紫の記憶、お燐と話したときの内容。そして、ディアボロはある一つの予想をする。
「まさかその遊び、『弾幕ごっこ』か?」
「うん!だって、お燐と闘って勝ったんだから、私とお姉ちゃんを相手にしても大丈夫でしょ?」
「(おいおい……)」
ディアボロは心の中で呆れ、それを読んださとりもため息をつく。
「……こいし。私はやりませんよ」
「俺もだ」
「……なんで?」
さとりとディアボロが拒否したこと理由を尋ねるこいし。
どうやら、(少なくとも)ディアボロは『遊んでくれる』と思っていたようだ。
「お前が俺をここに連れて来たのは、俺の強さに興味を持ったからであって、弾幕ごっこをしに連れてきたわけじゃないだろう」
こいしの質問に、ディアボロは呆れながら答える。
「……さとり。どうしてやればいい?」
「……私も分かりません」
困ったディアボロはさとりに助言を求める。が、さとりもこいしの心を読めないが故にどうすればいいのか分からない。
「……仕方ない」
しばしの沈黙の後、ディアボロはため息をついて、そう呟いた。
「あんまり気乗りはしないが……お前の『遊び』に付き合ってやる」
「ありがとう!」
ディアボロの言葉に、嬉しそうに答えるこいし。
「……いいのですか?」
「このままじゃ無意識に俺の思わぬところで了承していそうだしな」
こいしの能力でそれができるかどうかは不明だが、自分の『意識』に関係なく『遊び』につき合わされるなら、せめて自分の意思で付き合った方がいい。
そうは判断したディアボロは、こいしとの『遊び』に付き合うことにしたのだ。
「だが、この部屋じゃ狭くてお互いに不利だ。廊下に移動した方がいいだろうな」
そう言って部屋を出るディアボロ。こいしもそれについて行く。
「(面倒なことをおこさなければいいけど……)」
さとりは部屋をでる二人の姿を見て、そう思った。
「ここにするか?」
先ほどお燐と闘った廊下あたりでこいしに尋ねるディアボロ。
「うん。早く始めようよ」
その質問に、嬉しそうに答えるこいし。
それを聞いたディアボロは、こいしからある程度距離を取り、周囲に雷雲を発生させる。
「(あくまで『弾幕ごっこ』、撃ちあいだ。近接戦闘を行うことは無い)」
ディアボロはスケアリー・モンスターズのDISCを装備から外してケースに入れ、代わりにジャンピン・ジャック・フラッシュのDISCを装備する。
そして雷雲に雷を纏わせ、いつでも撃てるようにする。
「準備はいいか?こいし」
「うん!」
体制が整ったディアボロはこいしに尋ね、こいしも元気よく答える。
「……来い!」
ディアボロのその言葉を聞いたこいしは、弾幕を撃ち始める。
それを迎え撃つべく、ディアボロは雷雲から雷を撃った。
『弾幕ごっこ』という名の『敵意無き闘い』。
それが今、幕を開けた。