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東方魔蓮記 第二十八話

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匿名ユーザー

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さとりの部屋にディアボロとこいしが帰ってきた。
扉の開いた音に気づいて、さとりはディアボロとこいしを見る。
「……遊びは終わったぞ」
ディアボロはそう言うと、壁にもたれかかる。
「……お疲れ様」
ディアボロからこいしとの弾幕ごっこの様子を読み取ったさとりは、ディアボロに声をかける。
「お姉ちゃんお姉ちゃん!彼の戦い方、とっても凄かったんだよ!」
よほど凄かったのだろうか。目を輝かせながらこいしはさとりに話しかける。
ディアボロはその発言を止めるべきかと考えたが、戦い方ならあとで考え付くと判断し、そのままにした。
「(まあいい……。今は疲れをなるべく癒すとしよう)」
「……」
ディアボロの考えを読んださとりは、ただ黙ってこいしの話を聞いておくことにした。


それからしばらくして……


こいしは上機嫌。さとりは冷静。ディアボロはややお疲れ気味。
現在この三人は、揃って無言である。
「……・」
「……・」
こいしだけは鼻歌を歌いそうなぐらい楽しそうではある。
しかし、ディアボロは何もすることはなく、さとりは話すことが何も無い。
「……さとり。(そろそろ帰りたいのだが……)」
ディアボロはさとりに呼びかけ、あえて自分の伝えたいことを心で思って読ませる。
「……せっかく来たのだからもう少しゆっくりしていけばいいと思いますよ」
「(そうしたいところだが、こちらも心配かけたくない奴らがいるんでな。あまり長居できないんだ)」
こいしが連れてきた外来人とあって、ディアボロを引き止めたいさとり。
だがディアボロには帰る場所がある。そのことをさとりに伝える。
「そうですか……」
「……?」
残念そうにするさとりと、首をかしげるこいし。
ディアボロは何も喋っていない上、さとりは明らかにディアボロと会話しているとしか思えない話し方をしている。
だが、こいしは心を読めないため、ディアボロがさとりに何を伝えているのかわからない。
「だったらせめて、私の相手をしてもらいませんか?」
「(……何の相手だ?)」
嫌そうな顔をしながらさとりに尋ねるディアボロ。
たぶん無意識に勘が働いているだろう。ギャングのボスを経験し、奇妙なダンジョンの捜索を何度も行ってきただけある。
「弾幕ごっこの……」
「(またそれか!)」
ディアボロは心の中で文句を言わずにいられなかった。
こいし一人を相手にするのにだいぶスタンドパワーを消耗している上、地霊殿から地上に戻る際に確実に何体か相手にすることになる。
ディアボロからすればなるべくスタンドパワーも精神も肉体も消耗したくない。
だが、こいしの相手をしてやった以上、その姉であるさとりのあいてもしてあげるべきだろう。
「(……わかった。相手してやる)」
結局、さとりの誘いを断るわけにも行かず、弾幕ごっこの相手をすることになった。



「お姉ちゃーん!ディアボロー!頑張ってー!」
「「さとり様ー!がんばってくださーい!」」
こいしと燐、さらにいつの間にか地霊殿にいたお空の3人が応援する中、さとりとディアボロの弾幕ごっこが始まった。
「……あいつはいつからいた?」
ディアボロはお空がいつ地霊殿に戻ってきたのかわからず、さとりに尋ねる。
「……私も知りません」
質問されたさとりは自分も知らないと主張する。
そもそもさとりだっていつも地霊殿の様子を把握しているわけではない。むしろ管理はペットに任せている。
地霊殿は広い。紅魔館と同じく、自分一人ではできないことがかなり多いのだ。
「そうか。……そろそろいくか?」
ディアボロは半ば呆れながら返事を返す。
「……ええ、それでは行きます!」
さとりはその言葉と同時に弾幕を撃ちだす。
ディアボロは慣れた感じで回避するが、心を読んでいるためか、さとりの弾幕は的確にディアボロを狙ってきている。
それでもなかなか命中しないのは、ディアボロの回避行動が、半ば反射という『無意識』で行われているためだろうか。
弾幕を避け続け、そのまま柱のそばに辿りついたディアボロは、さとりに見られないように柱の影に身を隠す。
「(さて、どうするか……)」
そう思いながらケース内のクレイジーダイヤモンドのDISCを装備していたホルス神と入れ替える。
「(さとりに対しては、こいしと違って心を読む能力を利用して精神的に攻撃を仕掛けることができる)」
柱に弾幕が命中する音が聞こえてくるが、少しだけ柱を見て問題ないことを確認すると、再び考え出す。
「(……………………・・)」
ディアボロはまた柱を少しだけ見て柱の状態を確認する。
弾幕は止まったものの、今度は少しずつさとりの気配が迫ってきているのがわかる。
「(……決まりだな)」
作戦を決めたディアボロは、メイド・イン・ヘブンで柱から顔を出してさとりの位置を確認し、背後を取る。
柱から顔を出してからさとりの背後を取るまで、2秒もかかっていない。
「!?」
背後を取られたさとりは驚いて振り返る。
さとりからすれば、一瞬違和感を感じただけで心を読むことなく背後を取られたのだ。
心を読むことのできる自分が、こいし以外に心を読まれることなく背後に立たれるとは思わなかっただろう。


その瞬間、ディアボロの心がさとりに読まれる。

突然さとりの身体が誰かに突き飛ばされる。さとりには誰が突き飛ばしたのかすぐわかった。
こいしだ。こいしがさとりを突き飛ばしたのだ。
その直後……・こいしの身体が『消失』した。
手などの、身体のごく一部を残して。
「……!!」
さとりはそれに驚く。と同時に、現実に引き戻される。
「(今のは……!?)」
突然の出来事に驚き、ディアボロから少し離れるさとり。
ディアボロは迫りもせず、離れもせず、さとりの様子を伺っている。

先ほどさとりが見たのは、ディアボロがポルナレフの記憶を元に作った光景。
アヴドゥルがヴァニラ・アイスに殺された瞬間の場面を、ディアボロがアヴドゥルをこいしに入れ替えて再現したのだ。
そして、さとりは『ポルナレフの目線』でその光景を見ることになる。アヴドゥルの代わりにこいしが死ぬという形で。

妖怪は、人間に比べて精神的に弱い。
それを知っていたディアボロは、さとりの心を読む能力を利用して、彼女を追い詰めることにしたのだ。
「さて……やりすぎには注意だな」
ディアボロはそういうと、走ってさとりに接近する。
さとりは後ろに下がりながら弾幕を撃ってディアボロが近づけないようにしようとする。
接近されると、次は何を読ませるかわからないからだ。
……が。

突然ディアボロが消えたかと思うと、さとりは何かにぶつかった。
さとりが振り返ると……またディアボロがいた。
メイド・イン・ヘブンでまた背後を取られたのだ。
「!!!」
さとりは逃げるようにディアボロを見ずに離れだした。
そう、ディアボロを見なければ、彼の『心』から『精神的に攻撃されない』のだ。
「……・」
少し考えたディアボロは、装備していたハイエロファントグリーンのDISCを、ホワイトスネイクのDISCと入れ替える。
そして一枚のDISCを作ると……メイド・イン・ヘブンで接近しさとりに挿入した。
次の瞬間、さとりはディアボロの方に振り向いて距離を取り出した。
「(身体が勝手に……!)」
さとりは身体をディアボロに向けさせないように必死で身体を動かそうとするが、身体が言うことを聞かない。
いや、厳密に言うならば、『身体がディアボロの方に向こうとしているだけで、それ以外は普通に身体が動く』のだ。
「(これじゃ……彼の心を読んでしまう!)」
普通ならこれは彼女にとってはどうということはないのだが、ディアボロを相手にしている今はかなりの脅威になる。
彼の心から何を読んでしまうのか……さとりは想像したくも無いのだろう。
そして、さとりの心中を察することも無く、ディアボロは走ってさとりに接近してくる。
さとりは浮遊して下がりながら弾幕を撃つ。絶対にディアボロを近寄らせまいとしているのがわかる。
さとりにとって、今『ディアボロに近づかれて彼の心を読む』ことは精神的に大ダメージを受けてしまうのだ。

「(このままだと弾幕に妨害されてさとりに近づけないな。まあ、そうしてくるだろうとは思っていたが……)」
装備しているメイド・イン・ヘブンのDISCををケースの中のスティッキィ・フィンガーズと入れ替える。
そして、キング・クリムゾンで時間を消し飛ばすと、その間にスティッキィ・フィンガーズで地霊殿の床にジッパーを作ってその中に入る。
そして時(とき)が再び刻まれたとき、さとりの視界からディアボロの姿は消えていた。
「(……!?何処に消えたの……?)」
今のさとりは、ディアボロの一挙一動に警戒せざるを得ない状態になっているのだ。
そして、ディアボロはキング・クリムゾンでさとりの様子を伺うことができる。
スタンドはスタンド使いにしか見えない。それは心を読めるさとりだって同じ。
今の彼女には、ディアボロがどこから来るのか、ヒントはない。

ディアボロは、さとりの視界に入らない今のうちに作戦を改めて練っていた。
「(さとりを固定できれば、こちらの勝率は大幅に高まる。後は、弾幕をどうするかだな……)」
ジッパーでさとりを固定して動きを封じたとしても、手は動かせるし弾幕も撃てる。
仮にスティッキィ・フィンガーズの代わりにクラフトワークを用いても弾幕を撃たせないことはできないだろう。
「(心を読ませることで恐怖心によって弾幕を撃たなくなればいいが、もしも恐怖のあまり弾幕を乱射し出したら手がつけられん)」
ディアボロは少し考える。
リスクを無視して心を読ませるべきか、弾幕の乱射というリスクに備えて別の戦法で攻めるべきか。
どちらを取るのか、ディアボロは考える。

その頃さとりは、ディアボロがどこから来るのかわからずに警戒していた。
今は身体を自由に動かせる。それは、ディアボロが自分の周囲にいないことを意味していた。
だが、それはさとりを安心させる理由にはならない。
先ほどディアボロの心から彼の考え読み取るのに失敗しているのに加えて、先ほど彼の心から読み取った光景……。
その光景に類似した光景を、戦いの最中で何回も読まされるかと思うと、さとりは背筋に寒気が走るのを感じた。
さとりは警戒を解かずに、あたりを見回し始める。
しかし、その光景はキング・クリムゾンを通してディアボロに見られていた。
キング・クリムゾンが見たその光景を見て、ディアボロはさとりの周辺の地形を確認する。
柱か壁、あるいは天井のどちらかがさとりのそばにあればそこからジッパーを使ってさとりに急接近できる。
しかし、さとりは柱や壁に近づこうとせず、あまり高い位置に浮いていない。
それを見たディアボロはさらに考える。
「(ジッパーを出してさとりを捕まえるまで、だいたい数秒かかる。メイド・イン・ヘブンを使えば大幅に時間は短縮できるが……)」
ジッパーから飛び出す瞬間からさとりを捕まえるまで、一度も感づかれずに行動しなければならない。
もしも感づかれれば、距離をとられてしまい、さとりを捕まえることはできない。
そうすれば、さとりはディアボロから逃げながら弾幕を撃つだろう。
そのリスクをなくすには、さとりが柱か壁か天井に近づいた隙をつくか、さとりの背後からメイド・イン・ヘブンを使って一気に捕まえるかのどちらかになる。


さとりとディアボロ。
沢山の生き物の心を読んできた者と、沢山の生き物と死闘を繰り広げてきた者。
心を読む『力』か。それとも数多の力を支える『経験』と『知識』か。
地底での心理戦が、繰り広げられる……。

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