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東方魔蓮記 第三十話

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匿名ユーザー

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地霊殿での連戦からしばらく経った。
お燐もお空もどこかに行ってしまい、現在こいしとさとりとディアボロの3人がいる。
「……そろそろ戻るとしようか。いつまでもここにいるわけにはいかないからな」
「えー、一緒にいてくれないの?」
ディアボロの発言に、こいしが残念そうにディアボロに尋ねる。
「……こいし。彼には帰りを待っている方々がいるのですよ?その方々に迷惑はかけられません」
こいしの発言を聞いたさとりは、彼女に優しく注意する。
「そういうことだ」
それを聞いたディアボロは、そう言いながら笑みを浮かべた。
「だったら、私が地上まで一緒に行ってあげるよ」
「それはありがたいな。案内役が一人いるだけで迷わずに済む」
こいしの提案をディアボロは喜んで受け入れた。
ただ単に帰るだけならムーディブルースを使って地上に向かうこいしをリプレイすればいい。
しかし、こいしが案内してくれることで戦闘を避けられる可能性があるとディアボロは考えたのだ。
「それじゃあ、いこうかこいし」
「うん!」
ディアボロの呼びかけに反応して、彼についていくこいし。
「じゃあな、色々と世話になった」
「……いつか、また来てくださいね」
ディアボロのお礼に、さとりは笑みを浮かべる。
その笑みにどんな思いを含んでいるのか……それはさとりにしか分からないだろう。


地霊殿を出て地底の町に着いたディアボロとこいし。
この町は地霊殿に行くときも通ったが、行くときはこいしの能力のおかげですんなり通ることが出来た。
「(行きはこいしが能力を使ってくれたが、帰りも使ってくれるのだろうか……?)」
ディアボロはそう思いながらも地底の町をこいしと共に進む。
「……それにしても、よくこんな地底に集落を作れたな」
ディアボロは地底の町を見渡しながらこいしに話しかける。
「でしょ?住み心地も地上とさほど変わらないし、賑やかで楽しいよ」
こいしが楽しそうに話すのを聞きながら、ディアボロは周囲を見渡し続ける。
「(地上を追われた妖怪が暮らすところだとは知っているが、チョコラータやセッコみたいな下衆な性格故に地上を追われた奴はいないだろうな……?)」
ディアボロはふと疑問に思うが、かつての自分のようにそんな奴らを押さえ込める存在が地底にはいることを思い出した。
「(そういえば、紫の記憶に『鬼』とかいう種族に関する記述があったな……そいつらのおかげで、地底も平穏を保てているわけか)」
そう思いながらも、ディアボロは警戒を怠らない。
いくらこいしが傍にいても、なにが起きるか分からないからだ。
そうしてこいしとディアボロが進んでいくと、ディアボロが誰かを見つけた。
「なあこいし。角が生えている妖怪がいるが、あれが『鬼』か?」
そう言われ、ディアボロが向いている方向と同じ方向をむくこいし。
そこには、紛れも無い『鬼』がいた。しかし、何か様子がおかしい。
「うん。あれが鬼だよ。でも……」
「足元がおぼつかない……と言えばいいのか?」
……どうやら酔っ払っているようだ。
「(紫の記憶に記述があった鬼の知り合いも酒好きだったが……鬼というのはみんな酒がすき……なのか?)」
ディアボロはそう思いながらも酔っ払っている鬼を見るのを止めて町を出るために歩き出す。
このまま見ていたら、絡まれるかもしれないと思ったからだ。
「行くぞこいし。そのまま見ていたら絡まれる」
ディアボロはそう言って振り返ってこいしを見る。
「大丈夫だよ、いざとなったら私の能力でなんとかなるから」
こいしはそう言って鬼を見るのをやめない。
たぶん面白そうに見ているのだろう。

「お前は、俺が知っている誰よりも自由に生きている奴かもしれないな……」
ディアボロはそう言ってため息をつく。
ここで強引にやめさせようとしてもたぶん無駄だ。
「(仕方ない。俺が見ていなければ絡まれはしないだろう)」
そう思ったディアボロはキングクリムゾンにこいしを監視させ、自分は別の方向を見ることにした。
そうすれば自分が襲われる可能性は低くなるし、こいしは地霊殿の住人ゆえに襲われることは無いだろう。
「(しかし、問題を起こさずに地底を出られるかどうか心配になって来たぞ……)」
酔っ払った鬼を(たぶん)面白そうに見ているこいしの後姿をキングクリムゾンで監視しつつも、ディアボロはこの状況を心配する。
行きと同じように帰りも簡単に地底の町を通り抜けるつもりだったのに、こいしの気まぐれでこのような事態になっている。
それを予想していなかったディアボロは、今の状況を打開する策を考える。
「(このままこいしが酔った鬼の挙動を見るのに飽きて、案内を再会してくれるのを待つか?しかし、それではどれだけ時間がかかるか分からない)」
ディアボロも、こいしがここまで自由な奴だとは予想していなかった。
紫の記憶ではこのようなことを知ることが出来なかったからだ。
「(仕方ない。こいしに声をかけて、案内を再会してもらおう)」
ディアボロは少し考えてこいしに声をかけることを決める。
このまま何もせずにいるよりは、すぐに案内を再会してもらったほうが危険が少ないと判断したからだ。
「……こいし、そろそろ案内を再会してくれ。酔った鬼なら地底で幾らでも見れるはずだ」
ディアボロはこいしの方を見ずにこいしに声をかける。
「そうだね。それじゃ、行こう」
こいしはそう言って、案内を再会する。


地底の町を時折見渡し、未だに周囲の妖怪達の様子ををスタンドで伺いつつ、ディアボロはこいしの後をついていく。
この地底の町で暴れているわけでもなく、不審な行動を取っているようには見られなければ、絡まれもしないだろう。
そうすれば、『少なくとも』この地底の町から安全に出ることが出来る。
「そこのお兄さん!」
「?」
「一緒に酒飲むかい?」
「…………」
……はずなのだが、そうは行かないのが現実である。
ディアボロは誰かに声をかけられて振り向くと、そこには女性の鬼がいた。
その鬼に酒盛(というには酒の量がおかしい)に誘われ、それによって『ある事実を知った』ディアボロはしばらく黙ってしまった。
「(こいし……能力を俺に使ってはいかったか……)……・」
「どうしたんだい?」
誘いに返事を返さない目の前の男に呼びかける女性の鬼。
それに対してディアボロは、少し考えて返事を返す。
「酒は苦手だ、遠慮しておこう」
その返事を聞いた女性の鬼は、不敵な笑みを浮かべる。
「そう言って、この場から逃げようとしているんじゃないだろうね?残念だけど、鬼に嘘は通じないよ」
女性の鬼の発言に対して、ディアボロはさほど驚きも焦りもしなかった。
嘘は簡単に見抜かれると分かっていたからだ。
「だろうな、それぐらいは分かっている」
表情一つ変えることなく会話をするディアボロだが、キングクリムゾンを出して相手の隙を伺う。
「へぇ、分かっていて嘘をついたのかい」
それを聞いた女性の鬼は、ディアボロの左肩に手をのせる。
そして顔を近づけると、右耳の耳元でこう囁いた。
「そういう悪い子には、おしおきが必要だね」

女性の鬼はそう言うと、ディアボロの左肩に載せていた手に軽く力を入れ、腕を上に上げる。
ただそれだけなのに、ディアボロの体は軽々と持ち上げられた。
「(手に力は全然入っていない……しかし、こいつは『片手』で『俺を持ち上げている』!)」
とっさにキングクリムゾンで手をどかそうとするが、まったく動かない。
「これが鬼の力か……!」
ディアボロはそう呟くと、キングクリムゾンで女性の鬼の腹部を勢いよく蹴る。
予想しなかった一撃を受けた女性の鬼は一瞬だけ怯み、その隙にスティッキィ・フィンガーズで女性の鬼の掌を殴って無理やり肩から手を放させる。
さらに着地した瞬間に後ろにジャンプして女性の鬼との距離を取る。
「……お兄さん、今何をしたんだい?」
何が起きたのか分からない、と言いたそうな表情を浮かべながら、女性の鬼はディアボロに質問をする。
「教えてやらん」
ディアボロはそう言って、装備しているDISCを変える。
「ふーん、まあいいや」
女性の鬼は、あえてそれ以上追求しなかった。
目の前の男が、自分の予想以上に強そうな奴だったからだ。
「だったら……一緒に酒を飲むか私と闘うか、どちらかを選びな」
「なんで闘わなきゃいけないんだ?」
思わぬ二択に、理由を聞くディアボロ。
何故もう一つの選択肢が『闘う』ことなのか理解できなかったのだ。
「鬼に弾幕ごっこ以外の手段で挑もうとする、その度胸が気に入ったんだよ」
ディアボロの質問に、女性の鬼は今度は笑みを浮かべて答える。
「……仕方ない。逃げようとしても、恐らくお前は逃がしてはくれないだろうな」
そう言った直後、スタンドを出すディアボロ。出したスタンドはスタープラチナだ。
それでも、鬼と真っ向から殴りあうのは無謀だろう。
そして、ディアボロの言葉を聞いた女性の鬼は、笑みを浮かべたまま構える。

「さて、どれくらい持ってくれるか楽しみだね!」
そう言って女性の鬼は、ディアボロに右腕で殴りかかってくる。
それを見たディアボロはとっさに時を止める。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
さらに右腕をスタープラチナで左側から連続で殴って強引に腕の軌道を変えつつ左に移動して避ける。
スタープラチナが殴った場所は『骨』。直接そこを攻撃しないと軌道を変えれないと判断したのだ。
「!?」
右腕の骨に一気に衝撃をうけた女性の鬼は、その衝撃によって腕の軌道が右にずれ、一瞬だけ怯む。
流石に鬼といえども、今の一撃は少しは効いたらしい。
「(『筋肉』よりも『骨』、か)」
ディアボロはふと、ジョンガリ・Aという人物の記憶を思い出す。
マンハッタン・トランスファーというスタンドをもつ盲目の狙撃手で、DIOを妄信していた彼の部下だった男だ。
DIOの死亡後、グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所にてその復讐のために徐倫と承太郎を襲ったが、承太郎の『本当の気持ち』を知った徐倫によって敗北した。
その男のいっていた言葉がこれだ。

【筋肉】は信用できない ライフルは【骨】でささえる

狙撃手である彼がそう言うほど、骨は重要なのだろう。
ならば、先ほどディアボロが取った行動である『骨を直接攻撃する』というのは有効な手段だったようだ。
「どうやらお兄さんには、『触れずに物体を殴れる程度の能力』があるみたいだね」
先ほどの攻撃を受けた割には、女性の鬼は平然としている。
「それでも、鬼の一撃に比べたらかなり劣るだろうな」
ディアボロはその直後にスタープラチナで肋骨を殴る。
……が、女性の鬼は平然としている。
「おや?さっきのに比べたら大したこと無いじゃないか」
女性の鬼はそう言うと、ディアボロの顎目掛けてアッパーを叩き込もうとする。
それに対してディアボロは、スタープラチナで女性の鬼の肘から先の腕が内側に曲がるように連続で殴りつつ、顎を反らして回避する。
「(せいぜい攻撃の軌道を変えるのが限界か……)」
ディアボロは冷静に状況を分析する。
どうやらスタープラチナの連続パンチも、女性の鬼の攻撃の軌道を変えるのが限界のようだ。
さらに先ほどスタープラチナで殴ったときの反応から、全然攻撃が効いていないと思われる。
「(シアーハートアタック以上の頑丈さと、スタープラチナを大幅に超える破壊力……)」
時を止めた状態で連続で殴れば、腕の軌道を変えたときのように一瞬怯む。
しかし『怯むだけ』で、それ以上のダメージを受けているようには見えない。
「予想はしていたが、力押しは無理か」
ディアボロはそう言うと、さらにウェザー・リポートとスパイス・ガールを出す。
「さあて、次はどう凌ぐか見せてもらうよ!」
女性の鬼はそう言うと、嬉しそうな表情を浮かべながらディアボロに殴りかかってくる。
それを見たディアボロは、今度は一切防御も回避もしない。
ただ立っているだけで、まったく動かないのだ。

そして、ディアボロの顔の右の頬に女性の鬼のパンチが命中する。
ディアボロの体はその衝撃を受けて吹っ飛ぶ……かと思いきや、ディアボロの顔は歪んだものの、それ以上何も起きない。
「へぇ、おもしろい能力をまだ持っていたんだね。……この感触からして、これは『体を軟らかくする程度の能力』かい?」
女性の鬼はそう言うと、ディアボロを殴っている腕にさらに力を込める。
「(こいつ、このまま押し切る気か!?)」
ディアボロはウェザー・リポートで女性の鬼の腹部を殴り、強烈な風圧を纏ったその一撃は、女性の鬼の体を吹き飛ばす。
しかし、女性の鬼は見事な受身を取って体勢を整える。
「ふふ、おもしろくなってきたじゃないか」
女性の鬼は楽しそうな表情を見せながら立ち上がり、ディアボロは呼吸を整えながら女性の鬼の様子を伺う。
いつの間にか、二人の周囲には見物客が集まっていた。
「(こんなはずじゃなかったんだがな……)」
ディアボロはそう思いながら、女性の鬼の様子を伺い続ける。
「さあ、いくよ!」
女性の鬼はそう言ってディアボロに突っ込んでくる。
それを見たディアボロも、女性の鬼目掛けて走り出す。
そして、女性の鬼は自らの拳を、ディアボロは二つのスタンドの拳を同時に突き出した。
「「オラァァァァァァァッ!」」
ディアボロ自身の声と、スタープラチナの声が同時に発され、女性の鬼とスタープラチナの拳が交わる。
いわゆる、クロスカウンターだ。
しかし、ディアボロ自身は女性の鬼の拳を避けている上に、スタープラチナは顔の部分は実体化していない。
ダメージを受けるのは女性の鬼だけだ。
さらに、ウェザー・リポートの風圧を纏ったパンチが腹部に叩き込まれる。
その攻撃を受けて、女性の鬼は再び吹き飛ばされた。
見物客が驚くのも気にせず、女性の鬼が吹き飛ばされた直後に、ディアボロがスタープラチナで時を止めて女性の鬼の方へと走っていく。
そして女性の鬼とすれ違う瞬間、スタープラチナで女性の鬼の腹部に連続パンチを当て始める。
そのまま女性の鬼の背後に回ると、背後からスパイス・ガールとウェザー・リポートで連続で殴り始める。
「オラオラオラオラオラオラ!」「WAAANNNAAABEEEEEEEEEEEE!」
ディアボロは残り時間を計るためにカウントダウンを開始する。
「2……1……」
時が再び動き出すと同時に、スタープラチナ、スパイス・ガール、ウェザー・リポートの一撃が女性の鬼に命中する。
「(……0)」
ディアボロは心の中でカウントダウンを終える。
時が動き出した瞬間、女性の鬼は腹部と背中に強い衝撃を受ける。
そして……女性の鬼は何も喋ることなく膝を地面につけた。
「(これで『勝った』のか……?)」
ディアボロはそう思いながら女性の鬼を見る。
彼は周囲の見物客など、まったく気にしていなかった……。

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