スタープラチナ、スパイス・ガール、ウェザー・リポートの同時攻撃を受けて膝を地面につけた女性の鬼。
しかし、ディアボロはそれでも自分の勝利を確信できなかった。
「……」
ディアボロはスタンドを引っ込めることなく、女性の鬼を警戒し続ける。
「……ふふっ」
突然、笑い声が聞こえてきた。
その笑い声は……先ほど3体のスタンドの攻撃を受けた女性の鬼が発していた。
「お兄さんがここまで強いとは思わなかったよ」
なんと女性の鬼は、ふらつくこともなく立ち上がる。
「(あの3体同時攻撃でも難なく立てるとは……。こうなったら)」
ディアボロはそれを見ながらスパイス・ガールを引っ込めて2枚装備DISCを変更し、再び距離を取る。
「(『一撃で』仕留めるッ!)」
「だから、ここからは本気を出していくよ!」
女性の鬼はそう言うと、ディアボロ目掛けて殴りかかる。
その瞬間、ディアボロの背後からでた別のスタンドがディアボロを覆う。
そして、ディアボロは防御体勢をとり、女性の鬼の一撃を受ける。
20thセンチュリー・ボーイ
防御に関しては現時点で間違いなく最強のスタンドだ。
攻撃のエネルギーを全て空気や地面に伝達し、拡散させて完全に防御してしまう能力を持つ。
その防御力は、先ほどの鬼の一撃を受けて地面にヒビが入っても、ディアボロには全くダメージがないことで証明されている。
ちなみにこのスタンドは、ディアボロによってボーイ・Ⅱ・マンに取り込まれている。
女性の鬼は続けて連続で殴りかかるが、その攻撃を完璧に防御してしまう。
続いて繰り出された女性の鬼の右足の回し蹴りをディアボロは防御すると同時に
「オラァッ!」
後ろから左膝にスタープラチナで蹴りを入れる。その結果、女性の鬼は体勢が崩れて倒れかける。
「もらったッ!」
ディアボロは、さらに先ほどと同じ箇所にスタープラチナで連続蹴りをくらわせる。
一撃では倒れなかった女性の鬼も、連続で同じ箇所を蹴られるとさすがに耐えきれない。
女性の鬼はそのままバランスを崩して転倒する。
しかも、左膝を曲げて右膝を伸ばした状態という不自然な状態で転倒したため、かなり起き上がりにくい体勢になっている。
その隙をディアボロが見逃すはずはない。
「(このチャンスを逃すものか、このまま一気に叩き込むッ!)」
ディアボロはスタンドパワーの無駄な消費を抑えるために20thセンチュリー・ボーイを解除し、スタープラチナで腹部に連続パンチを叩き込む。
しかし、女性の鬼はブリッジのときのような感じで両手を地面につけると、なんと腕と片足のみで自分の体を起き上がらせてきた。
ディアボロは咄嗟に後ろに飛びのいたことで、起き上がる際の蹴りはなんとか避けることができた。
ディアボロは女性の鬼の次の攻撃を警戒して、スタープラチナによる攻撃を止めて自分のそばに戻しつつ立ち上がる。
女性の鬼の狙いはそれだとディアボロはわかっていたが、『追撃をしてこない確証はない』ことから、スタープラチナを自分のそばに戻す選択をしたのだ。
スタープラチナぐらいの破壊力でないと、彼女にダメージは追わせられない。
それに、20thセンチュリー・ボーイでないと、彼女の攻撃は防ぎきれない。
防御面における最高クラスのスタンドと、近接戦闘において最高クラスのスタンドでようやく互角に戦えるとは、鬼とはやはり強いものである。
「まさか、ここまでやるとはね!」
女性の鬼は嬉しそうにそう言ってディアボロに殴りかかる。
ディアボロは再び20thセンチュリー・ボーイを出して防御する。
「褒めていると受け取っておこう」
ディアボロはそう言うと、時間を止めて女性の鬼の左側に回り込み、スタープラチナをすり抜けられる状態にする。
押される力が無くなった女性の鬼は倒れそうになり、そこにスタープラチナの膝蹴りが腹に叩き込まれる。
その一撃が効いたようで、女性の鬼は倒れる……かと思いきや、受け身をとる。
「(やれやれ、効いているかどうかもわからないな……)」
ディアボロがそう思った直後、女性の鬼が殴り掛かってきた。
女性の鬼のパンチも、直後の足払いも、20thセンチュリー・ボーイで受け止めて防御する。
女性の鬼は連続で殴ってくるが、その攻撃も全て20thセンチュリー・ボーイでガードする。
女性の鬼の次のパンチも20thセンチュリー・ボーイで防御する。
今度は女性の鬼もディアボロも後ろに下がった。
「ほらほら、どうしたんだ?そんなものじゃないだろ?」
女性の鬼はディアボロを挑発しながら連続でパンチをしてくる。
しかし、ディアボロは挑発に乗らずに20thセンチュリー・ボーイで防御し続ける。
「挑発には乗らないようにしているんでな」
ディアボロはそう言うが、一向に攻撃に転じない。
ずっと女性の鬼の攻撃を防御し続けている。
ディアボロの足元の床が砕けたが、今の二人にとってはどうでもよかった。
延々と防御し続けていたディアボロだが、女性の鬼の次の右ストレートは防御しながら後ろにジャンプして回避する。
「……そろそろ決着をつけるとしようか」
女性の鬼はその言葉を聞いて、ディアボロめがけて構えながら走ってくる。
そして、女性の鬼の攻撃が命中しようとした次の瞬間……
「……!?」
なぜか女性の鬼の攻撃はディアボロに命中しなかった。
女性の鬼の体が、まるで金縛りにでもあったかのように動けなかったのだ。
突然起こったわけのわからない事態に、女性の鬼は絶句した。
「お前を『固定』した。……いくぞ」
ディアボロはクラフト・ワークで触れて女性の鬼を固定してたのだ。
そして、動けない女性の鬼の腹をスタープラチナの右ストレートで殴る。
「全力で『ごり押し』の連続パンチを叩き込むッ!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
ディアボロはスタープラチナで女性の鬼の腹に連続パンチを叩き込む。
その回数は、承太郎が鋼入りのダンに対して行った連続パンチの回数を超える勢いだ。
さらに一切の手加減はなし。肋骨をへし折る勢いで殴りまくる。
そして、スタープラチナの攻撃が終わったのを確認したディアボロは、スタープラチナを自分のそばに戻す。
「先に言っておくが、こいつの直線上に立たないほうがいいぞ」
ディアボロがそう忠告すると、一部の観客は慌てて退避する。
「これで……決着だ」
ディアボロはそう言って……クラフト・ワークの能力を解除した。
すると……女性の鬼はすごい勢いで吹っ飛んで壁に叩きつけられた。
その衝撃で壁にヒビが入ったが、どうやら壁は崩れないようだ。
「(勝った……のか?)」
ディアボロは女性の鬼が壁に叩きつけられたのを見ていても『勝利を確信できなかった』。
クラフト・ワークの固定能力によって、先ほどの攻撃のダメージは纏めて与えた。
それでも、耐えきったかもしれない……。
ディアボロはそんな不安を消し去ることができなかった。
ディアボロは警戒しながら女性の鬼に近寄っていく。
「…………」
ディアボロも、こいしも、観客も無言だった。
「……おい」
ディアボロが女性の鬼に声をかける。
……しかし、返事がない。
「(……返事もできない状態か?)」
そう思ったディアボロは、装備していたスタープラチナのDISCを、クレイジー・ダイヤモンドのDISCに変える。
そしてクレイジー・ダイヤモンドで女性の鬼を『治す』。
「傷は治した。これで話せるだろう」
ディアボロはそう言った後、少し後ろに下がる。
それと同時に、女性の鬼が立ち上がる。
「……私の負け、だね」
女性の鬼は、笑顔で自らの負けを認めた。
「そんなあっさりと負けを認めていいのか?」
予想外の言葉に、ディアボロは思わず質問をする。
「お兄さんは本気出していなかっただろ?」
「……それを言われてしまったら、返す言葉がないな」
女性の鬼の言葉に、ディアボロは納得する。
確かに、殺そうと思えば鬼といえども簡単に仕留められる。
しかし殺さないのは、それによって不利益を被るのを避けるためだ。
それに白蓮たちにも迷惑をかけてしまう。
「お兄さん、気に入ったよ。折角だから、名前を教えてくれないか?」
「俺の名前はディアボロ。一応人間だ」
女性の鬼はディアボロの言葉に驚き、周囲の観客もどよめく。
「……まさか、人間相手に真っ向勝負で負ける日が来るとはね」
女性の鬼は、笑みを浮かべて呟いた。
「私は星熊 勇儀(ほしぐま ゆうぎ)。地底暮らしの鬼さ」
互いに自己紹介を済ませ、決闘は終わった。
決闘の後、ディアボロとこいしは勇儀に誘われて一緒に飲んでいた。
もっとも、ディアボロが飲んでいるのはただの水である。
観客は闘いが終わったことでそれぞれ思い思いの場所に向かっていった。
ちなみに、壁に入ったヒビと砕けた地面はクレイジー・ダイヤモンドで直しておいた。
「ディアボロはどうして地底にやってきたんだい?」
勇義はディアボロに質問をする。
滅多に来ない来客というのもあってか、その動機が気になるようだ。
「こいしに気に入られてな。地霊殿に案内されて、今から地上に戻ろうとしていたところだ」
「へぇ……珍しいこともあるもんだね」
「えへへ……」
ディアボロから理由を聞いた勇儀は、関心を持ったような表情でこいしを見る。
そして勇儀に見られたこいしは照れる。
「しかし危なかった。もしもあの攻撃で勝てなかったら、相討ちを覚悟するところだったぞ」
「相討ちを覚悟する……って、どういうこと?」
ディアボロの言葉に、こいしは首を傾げて尋ねる。
「俺の能力には、対象に『仕掛け』をしておくことで、仕掛けた対象に受けたダメージを数倍にして与える能力がある」
「なるほど、そのあとにわざと私の攻撃を受けて大きなダメージを与えることで私に勝とうとしたわけか」
ディアボロが説明しているのは『ラバーズ』のスタンドのことだ。
ラバーズは、ディアボロが説明したように相手に取りつかせることで、本体が受けたダメージの数倍のダメージを与える能力がある。
その大きさはスタンドの中で最も小さく、人間の脳に簡単に侵入できるほどの大きさしかない。
ディアボロは、勇儀にラバーズを取りつかせ、その後自らダメージを受けることで勇儀に勝つ方法も考えていたようだ。
「狡い能力だが、確かにそれじゃ相討ちになりかねないし、下手をすれば自分が先にやられてしまうね」
勇儀が苦笑いで、盃に注がれていた酒を飲む。
「人間にとって、鬼の攻撃は一撃でも致命傷になりえるからな。意識を失って能力が解けてしまう可能性もある」
ディアボロはそういうと、水を一杯飲みほす。
「でも、それも『相手を殺さないこと』が前提なんだよね?」
「ああ。殺して不利益を被るのは嫌だからな」
こいしの質問に答えながら、ディアボロは勇儀が用意してくれた器に水を注ぐ。
勇儀が水も用意してくれたおかげで、ディアボロはウェザー・リポートを使わずに済んでいる。
「どんな理由であれ、むやみに殺さないのはいいことだよ」
ディアボロの言葉を聞いて、勇儀は嬉しそうに酒を飲む。
地上の人間に嫌気がさして地底にやってきた鬼にとっては、自分たちを排除しようとしない人間は珍しいのかもしれない。
もっとも『鬼退治』なんて行われなくなった今は、逆に鬼に挑む人間のほうが珍しいだろう。
ましてや、弾幕ごっこではなく真っ向勝負を挑む人間なんていつ以来なのかは推測すらできない。
「……そういえば、鬼は地上の人間に嫌気がさして地底にきたらしいな」
ディアボロのその言葉に、こいしも勇儀も驚いたような表情でディアボロを見る。
どうやらディアボロは『鬼が地底にいる理由』を知らないと思っていたようだ。
「まさか人間がそんなことを知っているとは思わなかったよ」
少し驚いたものの、彼に感心しながらまた酒を飲む勇儀。
彼女が酒を何杯飲むのかなんて、数えるだけ無駄だろう。
「過去のことを今更気にする必要もないだろう?」
ディアボロは笑みを浮かべながら水を飲み干す。
「……そうだね。こうして出会えたんだしさ」
ディアボロの言葉に、勇儀は笑みとともに返事を返す。
その笑みは、鬼と真っ向勝負で互角に戦うことができ、なおかつ妖怪を嫌悪しない人間と出会えたからなのかもしれない。
しかし、ディアボロはそれでも自分の勝利を確信できなかった。
「……」
ディアボロはスタンドを引っ込めることなく、女性の鬼を警戒し続ける。
「……ふふっ」
突然、笑い声が聞こえてきた。
その笑い声は……先ほど3体のスタンドの攻撃を受けた女性の鬼が発していた。
「お兄さんがここまで強いとは思わなかったよ」
なんと女性の鬼は、ふらつくこともなく立ち上がる。
「(あの3体同時攻撃でも難なく立てるとは……。こうなったら)」
ディアボロはそれを見ながらスパイス・ガールを引っ込めて2枚装備DISCを変更し、再び距離を取る。
「(『一撃で』仕留めるッ!)」
「だから、ここからは本気を出していくよ!」
女性の鬼はそう言うと、ディアボロ目掛けて殴りかかる。
その瞬間、ディアボロの背後からでた別のスタンドがディアボロを覆う。
そして、ディアボロは防御体勢をとり、女性の鬼の一撃を受ける。
20thセンチュリー・ボーイ
防御に関しては現時点で間違いなく最強のスタンドだ。
攻撃のエネルギーを全て空気や地面に伝達し、拡散させて完全に防御してしまう能力を持つ。
その防御力は、先ほどの鬼の一撃を受けて地面にヒビが入っても、ディアボロには全くダメージがないことで証明されている。
ちなみにこのスタンドは、ディアボロによってボーイ・Ⅱ・マンに取り込まれている。
女性の鬼は続けて連続で殴りかかるが、その攻撃を完璧に防御してしまう。
続いて繰り出された女性の鬼の右足の回し蹴りをディアボロは防御すると同時に
「オラァッ!」
後ろから左膝にスタープラチナで蹴りを入れる。その結果、女性の鬼は体勢が崩れて倒れかける。
「もらったッ!」
ディアボロは、さらに先ほどと同じ箇所にスタープラチナで連続蹴りをくらわせる。
一撃では倒れなかった女性の鬼も、連続で同じ箇所を蹴られるとさすがに耐えきれない。
女性の鬼はそのままバランスを崩して転倒する。
しかも、左膝を曲げて右膝を伸ばした状態という不自然な状態で転倒したため、かなり起き上がりにくい体勢になっている。
その隙をディアボロが見逃すはずはない。
「(このチャンスを逃すものか、このまま一気に叩き込むッ!)」
ディアボロはスタンドパワーの無駄な消費を抑えるために20thセンチュリー・ボーイを解除し、スタープラチナで腹部に連続パンチを叩き込む。
しかし、女性の鬼はブリッジのときのような感じで両手を地面につけると、なんと腕と片足のみで自分の体を起き上がらせてきた。
ディアボロは咄嗟に後ろに飛びのいたことで、起き上がる際の蹴りはなんとか避けることができた。
ディアボロは女性の鬼の次の攻撃を警戒して、スタープラチナによる攻撃を止めて自分のそばに戻しつつ立ち上がる。
女性の鬼の狙いはそれだとディアボロはわかっていたが、『追撃をしてこない確証はない』ことから、スタープラチナを自分のそばに戻す選択をしたのだ。
スタープラチナぐらいの破壊力でないと、彼女にダメージは追わせられない。
それに、20thセンチュリー・ボーイでないと、彼女の攻撃は防ぎきれない。
防御面における最高クラスのスタンドと、近接戦闘において最高クラスのスタンドでようやく互角に戦えるとは、鬼とはやはり強いものである。
「まさか、ここまでやるとはね!」
女性の鬼は嬉しそうにそう言ってディアボロに殴りかかる。
ディアボロは再び20thセンチュリー・ボーイを出して防御する。
「褒めていると受け取っておこう」
ディアボロはそう言うと、時間を止めて女性の鬼の左側に回り込み、スタープラチナをすり抜けられる状態にする。
押される力が無くなった女性の鬼は倒れそうになり、そこにスタープラチナの膝蹴りが腹に叩き込まれる。
その一撃が効いたようで、女性の鬼は倒れる……かと思いきや、受け身をとる。
「(やれやれ、効いているかどうかもわからないな……)」
ディアボロがそう思った直後、女性の鬼が殴り掛かってきた。
女性の鬼のパンチも、直後の足払いも、20thセンチュリー・ボーイで受け止めて防御する。
女性の鬼は連続で殴ってくるが、その攻撃も全て20thセンチュリー・ボーイでガードする。
女性の鬼の次のパンチも20thセンチュリー・ボーイで防御する。
今度は女性の鬼もディアボロも後ろに下がった。
「ほらほら、どうしたんだ?そんなものじゃないだろ?」
女性の鬼はディアボロを挑発しながら連続でパンチをしてくる。
しかし、ディアボロは挑発に乗らずに20thセンチュリー・ボーイで防御し続ける。
「挑発には乗らないようにしているんでな」
ディアボロはそう言うが、一向に攻撃に転じない。
ずっと女性の鬼の攻撃を防御し続けている。
ディアボロの足元の床が砕けたが、今の二人にとってはどうでもよかった。
延々と防御し続けていたディアボロだが、女性の鬼の次の右ストレートは防御しながら後ろにジャンプして回避する。
「……そろそろ決着をつけるとしようか」
女性の鬼はその言葉を聞いて、ディアボロめがけて構えながら走ってくる。
そして、女性の鬼の攻撃が命中しようとした次の瞬間……
「……!?」
なぜか女性の鬼の攻撃はディアボロに命中しなかった。
女性の鬼の体が、まるで金縛りにでもあったかのように動けなかったのだ。
突然起こったわけのわからない事態に、女性の鬼は絶句した。
「お前を『固定』した。……いくぞ」
ディアボロはクラフト・ワークで触れて女性の鬼を固定してたのだ。
そして、動けない女性の鬼の腹をスタープラチナの右ストレートで殴る。
「全力で『ごり押し』の連続パンチを叩き込むッ!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
ディアボロはスタープラチナで女性の鬼の腹に連続パンチを叩き込む。
その回数は、承太郎が鋼入りのダンに対して行った連続パンチの回数を超える勢いだ。
さらに一切の手加減はなし。肋骨をへし折る勢いで殴りまくる。
そして、スタープラチナの攻撃が終わったのを確認したディアボロは、スタープラチナを自分のそばに戻す。
「先に言っておくが、こいつの直線上に立たないほうがいいぞ」
ディアボロがそう忠告すると、一部の観客は慌てて退避する。
「これで……決着だ」
ディアボロはそう言って……クラフト・ワークの能力を解除した。
すると……女性の鬼はすごい勢いで吹っ飛んで壁に叩きつけられた。
その衝撃で壁にヒビが入ったが、どうやら壁は崩れないようだ。
「(勝った……のか?)」
ディアボロは女性の鬼が壁に叩きつけられたのを見ていても『勝利を確信できなかった』。
クラフト・ワークの固定能力によって、先ほどの攻撃のダメージは纏めて与えた。
それでも、耐えきったかもしれない……。
ディアボロはそんな不安を消し去ることができなかった。
ディアボロは警戒しながら女性の鬼に近寄っていく。
「…………」
ディアボロも、こいしも、観客も無言だった。
「……おい」
ディアボロが女性の鬼に声をかける。
……しかし、返事がない。
「(……返事もできない状態か?)」
そう思ったディアボロは、装備していたスタープラチナのDISCを、クレイジー・ダイヤモンドのDISCに変える。
そしてクレイジー・ダイヤモンドで女性の鬼を『治す』。
「傷は治した。これで話せるだろう」
ディアボロはそう言った後、少し後ろに下がる。
それと同時に、女性の鬼が立ち上がる。
「……私の負け、だね」
女性の鬼は、笑顔で自らの負けを認めた。
「そんなあっさりと負けを認めていいのか?」
予想外の言葉に、ディアボロは思わず質問をする。
「お兄さんは本気出していなかっただろ?」
「……それを言われてしまったら、返す言葉がないな」
女性の鬼の言葉に、ディアボロは納得する。
確かに、殺そうと思えば鬼といえども簡単に仕留められる。
しかし殺さないのは、それによって不利益を被るのを避けるためだ。
それに白蓮たちにも迷惑をかけてしまう。
「お兄さん、気に入ったよ。折角だから、名前を教えてくれないか?」
「俺の名前はディアボロ。一応人間だ」
女性の鬼はディアボロの言葉に驚き、周囲の観客もどよめく。
「……まさか、人間相手に真っ向勝負で負ける日が来るとはね」
女性の鬼は、笑みを浮かべて呟いた。
「私は星熊 勇儀(ほしぐま ゆうぎ)。地底暮らしの鬼さ」
互いに自己紹介を済ませ、決闘は終わった。
決闘の後、ディアボロとこいしは勇儀に誘われて一緒に飲んでいた。
もっとも、ディアボロが飲んでいるのはただの水である。
観客は闘いが終わったことでそれぞれ思い思いの場所に向かっていった。
ちなみに、壁に入ったヒビと砕けた地面はクレイジー・ダイヤモンドで直しておいた。
「ディアボロはどうして地底にやってきたんだい?」
勇義はディアボロに質問をする。
滅多に来ない来客というのもあってか、その動機が気になるようだ。
「こいしに気に入られてな。地霊殿に案内されて、今から地上に戻ろうとしていたところだ」
「へぇ……珍しいこともあるもんだね」
「えへへ……」
ディアボロから理由を聞いた勇儀は、関心を持ったような表情でこいしを見る。
そして勇儀に見られたこいしは照れる。
「しかし危なかった。もしもあの攻撃で勝てなかったら、相討ちを覚悟するところだったぞ」
「相討ちを覚悟する……って、どういうこと?」
ディアボロの言葉に、こいしは首を傾げて尋ねる。
「俺の能力には、対象に『仕掛け』をしておくことで、仕掛けた対象に受けたダメージを数倍にして与える能力がある」
「なるほど、そのあとにわざと私の攻撃を受けて大きなダメージを与えることで私に勝とうとしたわけか」
ディアボロが説明しているのは『ラバーズ』のスタンドのことだ。
ラバーズは、ディアボロが説明したように相手に取りつかせることで、本体が受けたダメージの数倍のダメージを与える能力がある。
その大きさはスタンドの中で最も小さく、人間の脳に簡単に侵入できるほどの大きさしかない。
ディアボロは、勇儀にラバーズを取りつかせ、その後自らダメージを受けることで勇儀に勝つ方法も考えていたようだ。
「狡い能力だが、確かにそれじゃ相討ちになりかねないし、下手をすれば自分が先にやられてしまうね」
勇儀が苦笑いで、盃に注がれていた酒を飲む。
「人間にとって、鬼の攻撃は一撃でも致命傷になりえるからな。意識を失って能力が解けてしまう可能性もある」
ディアボロはそういうと、水を一杯飲みほす。
「でも、それも『相手を殺さないこと』が前提なんだよね?」
「ああ。殺して不利益を被るのは嫌だからな」
こいしの質問に答えながら、ディアボロは勇儀が用意してくれた器に水を注ぐ。
勇儀が水も用意してくれたおかげで、ディアボロはウェザー・リポートを使わずに済んでいる。
「どんな理由であれ、むやみに殺さないのはいいことだよ」
ディアボロの言葉を聞いて、勇儀は嬉しそうに酒を飲む。
地上の人間に嫌気がさして地底にやってきた鬼にとっては、自分たちを排除しようとしない人間は珍しいのかもしれない。
もっとも『鬼退治』なんて行われなくなった今は、逆に鬼に挑む人間のほうが珍しいだろう。
ましてや、弾幕ごっこではなく真っ向勝負を挑む人間なんていつ以来なのかは推測すらできない。
「……そういえば、鬼は地上の人間に嫌気がさして地底にきたらしいな」
ディアボロのその言葉に、こいしも勇儀も驚いたような表情でディアボロを見る。
どうやらディアボロは『鬼が地底にいる理由』を知らないと思っていたようだ。
「まさか人間がそんなことを知っているとは思わなかったよ」
少し驚いたものの、彼に感心しながらまた酒を飲む勇儀。
彼女が酒を何杯飲むのかなんて、数えるだけ無駄だろう。
「過去のことを今更気にする必要もないだろう?」
ディアボロは笑みを浮かべながら水を飲み干す。
「……そうだね。こうして出会えたんだしさ」
ディアボロの言葉に、勇儀は笑みとともに返事を返す。
その笑みは、鬼と真っ向勝負で互角に戦うことができ、なおかつ妖怪を嫌悪しない人間と出会えたからなのかもしれない。