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奇妙杜王道 2

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匿名ユーザー

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「にしてもよォ~。この警官用の帽子ってェのはどォ~も嫌ェなんだよなァ~…」
「そんな事言って…大体仗助君が帽子被った日なんて全然ないじゃないか。」

杜王町駅前の交番内。二人の男が座ってのんべんだらりと会話を楽しんでいた。
一人は長身の顔を見ればハンサムと言えるであろう男。しかし、頭のリーゼントが強烈過ぎてそちらの方に目が行ってしまう。名前を東方仗助といい、杜王町駅前派出所に勤める警察官。(本人曰く)祖父譲りの贔屓癖こそあるが、町の人の評判は非常にいい。
もう一人は逆立てた金髪の男。長身の仗助と比べると親子かと思うほどに非常に背が低い。しかし、彼の眼はまるで【歴戦の戦士】のように鋭くも【心優しい青年】のように柔らかくもあった。名前は広瀬康一。医療・自然科学・考古学などに多大な影響力を持つ【スピードワゴン財団】のエージェント。現在は、愛する妻のために数か月前から有給を申請し、ここ杜王町で休暇を満喫中。
二人は【ある事件】をきっかけに知り合い、様々な困難を乗り越えて固い絆で結ばれている【仲間】だ。

「でもよォ~。制服着てるンだし、それ見りゃもうわかるだろ?ワザワザ帽子まで被らなきゃぁならねェのは理解できん。」
「なんだかんだで帽子被りたくないだけでしょ仗助君は…」
「あ、わかるゥ~?…ン?」

おどけていた男の目線がもう一人の後ろに注がれる。つられて振り向くと、見るからにガラの悪い二人組が女性二人に絡んでいた。


「だァから。この町には観光できたんだろ?だからオレッち達が案内してやろうって言ってンだよォ!」
「ですから結構です!」

神隠しとかは考えてたけど、不良に絡まれるのは予想してなかったなぁ…と半ば呆れかえりながらメリーは断り続ける蓮子の後ろに隠れて考えていた。
無事に杜王町駅についたはいいけれど、蓮子が観光名所の場所を覚えておらず二人でモメていたところ、不良に絡まれたのだ。
まぁ蓮子は贔屓目に見なくても美人だしなぁ…と他人事のように思うメリー。自分も標的にされているなどとは露程にも考えておらず、蓮子も蓮子でメリー目当てのナンパで、自分はオマケ程度だと思っていたりする。
もう、いい加減解放されたい。そう考えたメリーは蓮子の手を引っ張ってその場を離れようとした。

「ねぇ蓮子。もう行きましょ?」
「そんな事言うなよォ。案内してやるッて言ってんだからよぉ。」

しかし、もう一人の不良が退路を塞ぐように囲む。
どうしようかと蓮子とメリーが顔を合わせたその時。援軍が思わぬ場所から現れた。
蓮子にしつこく話しかけていた不良が突然後頭部を押さえてしゃがみこんだのだ。どうやら後ろから殴られたらしい。
後ろには背の高い警官が一人。顔はなかなかのイケメンだが、頭を古めかしいリーゼントに固めているのがマイナスだなぁ、と場違いな事を考える。

「オイオイ。あんまり迷惑かけてんじゃァねェぞ?お前らぶどうが丘の生徒だろ。」
「ンだァ!?オッサン!邪魔なんだよ!」
「お?オレを知らない?あ、そっか。お前あんまり見ねェ顔だなと思ったら2週間前に越してきた出井 灸と久衛 絵塗か。」

リーゼントがおどけた調子で不良二人を指さす。途端に狼狽する二人。どうやら呼ばれた名前が当たっている事に驚いているようだ。

「え、な何でオレっちの名前を…」
「そりゃおめェこちとら【おまわりさん】だぜェ?住んでる人の名前くらいは知っておかなきゃァな。」
「いやそのりくつはおかしい。」

不良の言葉に思わず同意しかける蓮子。どこの世界に町の住人全員の名前を憶えているような警官がいるというのだ。いやいるのかもしれないが。
メリーを見るとびっくりした顔でこちらを見てくる。見られてもどうしようもないのだが…
と、後ろから蓮子の肩がトントン、と叩かれる。振り向くと自分と同じくらいの背の金髪の男の人が手招きをしていた。今のうちに離れろ、ということか。
目線を戻すとリーゼントがにっと笑っていた。どうやら彼の知り合いか友人らしい。二人は軽く会釈をしてその場を離れる。

「ま、何にせよ警官に見つかったんだ。ここは大人しく引き下がっときな。」

女性二人が離れたのを確認してリーゼント――東方仗助は出井と久衛に向き直る。出井は殴られた頭を押さえながら立ち上がっている。意外とタフだ。
まぁ、この町に来て日が浅いし見たところ初犯のようだから、ここで大人しく引き下がれば学校にも通報しないぜ?と暗に言ったつもりなのだが…

「う、うるせェ!だから警官なんて嫌ェなんだよ!正義の味方気取りやがって!」
「ハンバーグみてぇな頭しやがってよ!似合ってると思ってンのかこのダボが!」
「…あ?今なんつった?」

…訂正。コイツ等〆る。今〆る。絶対ェ〆る。

「今…おれのこの頭のことなんつった!」
「今時リーゼントなんて流行らねェっつってンだよ!」
「ギャハハハ!あれか!今やってる仮○ラ○ダーの…ま…ね…」

仗助の言葉の殺気に気づき、たじろぐ不良二人。どうやら地雷を踏んだことは自覚したらしいが、もう遅い。

「おれの頭にケチつけてムカつかせたヤツぁ、何モンだろうーーーとゆるさねえ!このヘアースタイルがサザエさんみてェーだとォ?」
「だ、誰もそんなこと言ってねェよォ~!」

不良の片方―出井だったか久衛だったか忘れたが―の胸ぐらを掴む。
殴られると思ったのだろう、涙目で顔を引き攣らせてイヤイヤと左右に振っている。

「…と、まぁ昔なら顔の形が変わるまで思いっきりブン殴ってたところだが。」

手を放してやる。どさっ、と落とされた不良は腰が抜けたのか逃げることもせず、不思議そうにこちらを見上げていた。
いい大人なんだからいい加減髪のことでブチ切れるのはやめたらどうだ、とは彼の母親の言だ。まぁ高校生のころから延々と言われ続けていた事ではあったが。
【あの事件】以降なんだかんだで成長した、ということなんだろうなぁと自分のことながらそう思わずにはいられない。
とはいえそれはそれ、これはこれ。人様に迷惑(と自分の髪の侮辱)かけたのだからお仕置きくらいは受けるべきだ。誰だってそー思うだろう。おれだってそー思う。

「特別にデコピンで済ませてやる。これに懲りたらもう人にメーワクかけんじゃあないぞ?」

イイ笑顔で親指でタメを作った中指を不良の額にぶつける。その程度で済むならいくらでも、と目を閉じて額を差し出す不良二人。その判断が甘かったことはすぐにわかることになる。
ゴシャアッ!とえらい音がして、不良達は思いっきりふっとんだ!数回地面とキスしながら転がっていった不良達は壁にぶつかりヒクヒクと痙攣したのち、力尽きたように動きを止める。錐揉みして首もえらい方向にイった気がするがまぁ大丈夫だろう。しっかり【直してある】し。
見る人が見たらおや、と思うかもしれない。何故なら一仕事終えた、とばかりに体をパンパンと払う彼がまるで二重に【ブレている】ように見えるのだから。
だが、残念なことにそのブレている現象を見ることのできる人物は女性二人と一緒に派出所だ。自分もそちらへ戻るとしよう。
仗助は胸ポケットから愛用の櫛を取り出すと軽くリーゼントを整え、まるで【新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーに】爽やかな気分で派出所へ足を向けたのだった。

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