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不死鳥は失敗を恐れない 第二十五話

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匿名ユーザー

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「さて、敵さんは引っかかってくれるかな……?」
 妹紅は、布にくるんだ物を抱えて走り始めた。
 彼女の頭上にある2つの羽が、ピクリと反応して動き始める。
 無論、2つの羽は妹紅を追いかけはじめた。
(かかったなバカめ!)
 妹紅は挑発的な笑みを羽に飛ばすと、砂を蹴って大きくジャンプした。
 背中から炎が噴き出して、翼を形作る。
 大きくバレルロールをして、青空を赤色一閃。飛行機雲を作って飛んでゆく。
 妹紅の挑発に乗った羽は、必死に妹紅を追いかける。
 その様を見つめて、ジョニィは心の中で妹紅にエールを送り、鉄球を拾い、それの指した方向にある岩へと向き直る。
 動かない足を恨めしくも思い、這ってジャイロの居場所への一歩を踏み出す。
 少しずつだが『回転する爪』で移動すれば普通に這うより早く移動できる。
 ずるずると砂をかき分けて、ジョニィは砂漠を泳ぎ始めた。


 不死鳥は失敗を恐れない 『牙‐タスク‐その3』OPテーマ 水野真菜三『炎つぐもの』
                             ttp://www.youtube.com/watch?v=2dPahV2Oz_w



「こんの……ちょこまかとオォォーッ!」
 小僧は、怒りの声を上げた。
 引っかからない。いくら俊敏にフックを振るっても水盆に映る妹紅を捕えることができないのだ。
 いや、かすりもしなかった。
 目の前の厳然たる事実に小僧は激昂し、水盆をがたがた揺らす。
 その様は正にゲーム機を相手にキレる子ども。
 ふと、水盆に映る妹紅と目が合う。
 空中で止まる妹紅はにやりと笑い、人差し指をクイクイ曲げて挑発する。
「ギギギギ……ウィィィィーッ!」
 ぷっつりと音を立てて小僧の堪忍袋の緒が切れた。
「モクォ・フジャーラめえぇぇ! オイラを怒らせたらどんなことになるかっ! 蒲焼みてーに引き裂いてやるっ!」
 小僧は拳銃を取り出して、水盆に浮かぶ羽へ向けて銃弾を放つ。
 水盆に映る妹紅は、迫りくる銃弾を難なく回避して見せた。
「そこだアァーッ!」
 すかさず小僧は妹紅が回避した先にフックを置くように放つ。
 フックは妹紅のブーツを貫いて引っかかった。
「ヤッタアァァーッ! これで蒲焼確定ダァーッ!」
 歓喜の雄たけびを上げて、小僧はもう一本のフックを妹紅の手にひっかけようとした。
 しかし、妹紅は2本目のフックから逃れて見せた。
「何ッ! 避けるだなんてッ!」
 妹紅は、フックの掛かった足を軸にして、頭を地面に向けることで2本目のフックを避けて見せたのだ。
 地上では決してできない、空中ならではの機動。
 予想外の回避機動に小僧は動揺し、フックを通して小僧の動揺を感じ取った妹紅は、今のうちにフックを抜いた。
 そして妹紅は火の粉を散らして動き始めた。
「逃すかッ! その手に抱えている物をよこせッ!」
 ムキになって小僧は妹紅を追い始めた。
「こうなれば疑似餌も増量だッ!」
 水盆の上に小僧は羽を散らした。
 そして露出しているフックを仕舞い込む。
 無数の羽が、妹紅を追い始めた。
 妹紅はグイと体を逸らし、火の粉を2、3回散らす。
 更に加速し、妹紅の体から衝撃波が飛び出して羽を吹き飛ばした。
 一気に距離を突き放された羽たちは、白い雲を引きながら一斉に妹紅を追い始める。
 後ろから妹紅を追う羽。
 大きく動いて、妹紅の気を引くために動く羽。
 妹紅の行く先を予測して先回りする羽。
 羽たちは3種類の動きで妹紅を追い詰めようとする。
 対する妹紅も、バレルロールで羽を回避し、急激な旋回移動や急上昇からの自由落下やで羽たちを翻弄する。
 そして地面に激突する寸前に浮かび上がり、砂を巻き上げて低空飛行をする。
「ぶえっ! ぶえっくしょい!」
 羽を通して水盆から飛び出した砂煙に、むせてくしゃみをする小僧。
「ナメたマネをしやがって! 何か奴を出し抜く手は……」 
 目をこすりながら小僧は水盆から離れ、辺りを見る。
 吊り下げられたジャイロ。
 散乱する荷物。
 主を失い途方に暮れる馬たち。
 小僧に、おぞましい考えが浮かび上がった。
「そうだよ……これがあるんだった……ギィィーッ、ガッシャン」



 砂を大きく巻き上げて、妹紅は急上昇した。
 空中に滞空し、炎の翼をはばたかせ続ける。
「羽の動きが止まった……何を企んでやがる」
 厳しい視線で、動かない羽を見つめる妹紅。
 羽が、1つ、2つと姿を消していく。最終的に浮かぶ羽は1つだけになってしまった。
 砂漠特有の熱い風が吹く。風に飛ばされるようにして羽は舞い上がった。
 見上げる妹紅の耳を、馬のいななきが突き刺した。妹紅の顔が青くなる。
「まさか……あの羽は……」
 妹紅の独り言よりも早く、羽から馬が飛び出した。彼女の愛馬だ。
 このままでは、馬は地面に叩き付けられて再起不能になる。
 燃える翼をはばたかせて、妹紅は馬の元へと飛んだ。
 落ちる馬を抱きかかえる妹紅。同時に炎の翼を赤々と燃え上がらせ、最大パワーで飛び上がろうとする。
 だが、馬の体重は人間とはくらべものにならないほど重い。
 体重が軽く、乗用とされる軽種ですら体重は400キロを超えるのだ。
 どんどんと橙色の砂の海が迫ってくる。それは妹紅の力が愛馬の体重を超えることができていない証拠。
「ちっ……とんだ災難だ」
 大きな水柱ならぬ砂柱が上がった。
 もうもうと砂煙が上がり、妹紅と馬の姿が消えた。


 その様を水盆から眺めて、小僧は飛び上がった。
「ィヤッターッ! ギギギガシャガシャ」
 猿のように飛び跳ねて、妹紅の墜落に歓喜する小僧。
 一通り踊り終えると、改めて水盆に向き直る。
 砂の上に馬が横になって倒れ、妹紅がその下敷きになっていた。
「ギッギギギ……いい気味だぜ」 
 ニタニタと嫌な笑いを浮かべながら小僧は舐め回すように妹紅たちを見つめる。
 そうしていると、妹紅の手元に『布に包まれた棒状の物体』があるのを見つけた。
「見つけたぞ……見つけた見つけた!」
 小僧は喜び勇んで、口を開いた。
 喉の奥にあるウィンチからワイヤーとフックが伸び、水盆に浮かぶ羽へと吸い込まれる。
 すると、フックは妹紅の手元まで伸びて、『布に包まれた棒状の物体』を引っかけた。
「ついにやったッ! ついにやったぞッ!」
 小僧は『布に包まれた棒状の物体』を手に握りしめて目をきらめかせた。
 期待に胸を膨らませて、彼は布をはがしていく。
 彼の顔が凍りついた。
 同時に背後から『チュミミィ~ン』という音が立った。
「動くな」
 男の声に、小僧は顔も体も凍りつかせてしまった。
 声の正体は、ジョニィ・ジョースター。小僧に向けられた彼の左手の爪が高速回転している。
「な……ジオシュッター……」
 小僧の体がプルプル震える。
 両手から『茶色い物体』が落ちて、地面にぶつかり乾いた音を立てる。
『茶色い物体』は『腕の形に彫刻された枯れ木』だった。
「だましやがったな……オイラをペテンにかけやがったなアァァーッ!」
 ようやく事態を理解した小僧は、激昂してジョニィに向き直った。
 彼のワイヤーとフックが口から飛び出すが、それがジョニィに引っかかるよりも早く、ジョニィの爪が飛び出して小僧を打ち抜き、崖へと吹き飛ばした。
「枯れ木を左腕の形に彫刻した……アンタはそれにまんまと引っかかったって訳だ」
 枯れ木を左腕の形に彫刻するのは、妹紅の提案だった。
 敵はジョニィの持つ『ミイラの左腕』を狙っている。ならば敵にそれをあえて掴ませればいい。
 おもちゃを噛んで離さない犬には、強引に奪い取るよりも『逆に与えてしまう』。そうすれば犬も自ずとおもちゃを手放すように。
 ジョニィの持つ『ミイラの左腕』を『逆に敵に与える』。ただし、偽物を。
 近くの枯れ木を『回転する爪』で彫刻し、布に包んで妹紅に渡して敵の目を妹紅に引き付けたのだ。
 その間にジョニィは小僧とジャイロのいる場所までたどり着くことができた。
「これはもう『爪』を超えた……『牙』だ。これからは『牙‐タスク‐』と呼ぶ!」
 小僧が崖から転落するのを見送ったジョニィは、振り返ってジャイロの元へと向かった。
 この『スティール・ボール・ラン』レースはテロリストそのものだった。
 選手もきっと大半がテロリストだ。スティール氏も、スポンサーも信用できない。
 今ジョニィが信用できるのは同行しているジャイロと妹紅だけだった。妹紅が心配だが、まずはジャイロを助けることが先決。ジョニィは自分が持つ『ミイラの左腕』に対する彼の意見が聞きたかった。
 両足に力がみなぎる。
 靴が地面を捕え、膝が一気に伸びる。
 まさしく『奇跡』が起きていた。『奇跡的に立ち上がった』ジョニィは、岩に結び付けられたジャイロの髪をほどいた。
「呼吸しているかジャイロ! しっかりしてくれッ!」
 気を失ったジャイロの体が、ジョニィにのしかかる。
 それをしっかりと受け止めたジョニィは、膝をついてジャイロを揺さぶった。
「キズを縫うあの『糸』はどこに持っている? あの『糸』は!?」
 揺さぶられたジャイロの体が、だらりと逸れた。
 不可解な出来事が起きた。ジャイロの体はそのまま地面にはぶつからず、宙に浮いたのだ。
 目の前の怪奇現象にジョニィはあっけにとられた。
「…………?」
 手首に走る急な痛みが、彼の思考を現実へと引きずり戻す。
 自分の手首にフックが刺さっている!
 フックがジャイロの体から飛び出したのだ。
 万事休す。ジョニィは絶叫と共に抵抗するがそれもむなしくジャイロの方へと引きずられてゆく。
「なにイィィィ!」
 ジャイロの方へと引き込まれるジョニィの目の端に、崖から這い上がる小僧の姿が入った。 
 頭から血を流し、ボロボロになっているにもかかわらず、小僧は大口を開けて笑い、口の奥からワイヤーを伸ばしている。
「かかったなァーッ! それがオイラの『餌』だッ! 負けたのはテメェの方だッ! ジャイロそのものを『餌』にしてやったら……まんまとかかりやがったぜッ!」
 小僧は歯を噛みしめて、状態を反らす。
 まるで魚を引き寄せるアングラーのように。
「ウイイイイィィィィン……ガッシャン!」
 反らした頭を前のめりにして突き出して、
「だからジャイロは生かしておいたんだこのクソ雑魚があぁぁぁ!」
 吐き出すような絶叫と共にたわんだワイヤーを一気に巻き取る。
 ジョニィの体は一気にジャイロの方へと引きよせられ、フックのかかった右手がジャイロの胸にめり込んだ。
 皮膚をへこませ、ろっ骨を砕かんばかりにジョニィの腕はジャイロの胸へと沈み込む。
 その痛みに、ジャイロの目が開かれた。
 更に腕はめり込み、ついにジャイロのろっ骨の一部を折って彼を吐血させる。
 口腔に溜まった血が喰いしばった歯から漏れる。
 ここまできてジョニィはいまさら勘付いた。
 このままでは、ジャイロは死んでしまう。
「勝利はオイラの方だったなジオシュッター! オメェをジャイロの中に引きずり込んでやるぜッ! このままワイヤーを引っ張ればオメェはジャイロを突き破ってオイラの目の前に来ることになるんだぜ!」
 困惑するジョニィを小僧は煽り立てた。
 焦ってジョニィは左手の指を地面に突き立て、抵抗する。
 しかしそれは哀しいかなそれはルアーを銜え込んでしまったバス。
「なにイィィィィ! ジャイロ!」
 全力を振り絞ったジョニィの抵抗は小僧を喜ばせるだけであった。
 だが、このままでは小僧自身が何時まで持つかわからない。小僧自身もギリギリの状態なのだ。
 そこで、小僧はダメ押しをすることにした。
「左手の中の『死体』をオイラに渡せえぇぇ~ッ!」
 地の底から這い上がる死霊にも似た声が小僧の口から飛び出した。
 恐ろしいまでの執念のこもった声が、岩山の空に吸い込まれる。
「すぐにだッ! この岩山がジャイロの中身をブチ撒けてどんな景色になるのかオメェ見たいのかよッ! 命だけは助けてやるぜ……速やかに『死体』を渡せばなっ!」
 はた目から見ればその光景は逆に小僧の方が追い詰められているようにも見えた。
 事実、そうなのだ。
 ジョニィは小僧の焦りを感じ取り、左手を小僧に向けた。
 放つのは『牙』の爪弾。
 少々狙いはずれるかもしれないが、爪弾を小僧の顔に向けて連射する。
 小僧はとっさに岩陰に身を隠すが、爪弾は岩を破壊し、飛礫が小僧に降りかかる。
 ジョニィはダメ押しに両足の指先を小僧へと向けた。
 足の指の爪弾が小僧の隠れる岩を破壊し、崖から落とさんと言わんばかりの勢いで飛礫を降らせる。 
 ジョニィの左手が小僧に向けられる。爪の再装填が終わり、今度こそ小僧の顔をえぐらんと爪が回転を始める。
 だが小僧とてやられてばかりではない、口から伸びるワイヤーを引っ張る。
 すると、ジャイロの体がジョニィと小僧の間に割って入るが、時すでに遅し。爪弾は放たれて、ジャイロの肩を抉る。
「うわああっ! ジャイロ!」
 誤ってジャイロを打ち抜いたことを後悔するジョニィだが、そんなことをしている暇はない。
 こうしている間にも刻一刻と右腕はジャイロの体にめり込んでいるのだから。
「もっとだッ! もっと撃ってきやがれーッ!」
 焦燥に駆られるジョニィを、小僧は口で機械音を言いながら胸を見せつけて煽り立てる。
「面白れぇ2人だッ! てめーがジャイロをぶっ殺してオイラと一騎打ちと洒落込むのかこのクソ野郎がーッ!」」
 小僧は口から伸びるワイヤーを握りしめると、グイと引っ張った。
 すると、ジョニィの右手は更にジャイロの方へとめり込み、ついにジャイロの皮膚を突き破った。
 このままではジャイロは死んでしまう。
 目の前の事実がジョニィの思考能力を奪ってゆく。
 あの回転する鉄球のおかげで足が動いた。
 ジャイロの持つ鉄球の秘密を知れば、自分の足は再び動くかもしれない。
 ジャイロを死なせるわけにはいかない。
 いつの間にか手に入れていた『ミイラの左腕』。
 この『ミイラの左腕』の存在に気付いたとき、足が動き出した。
 もしかすれば『残りのミイラの体』を見つければ、自分の足は再び動くかもしれない。
「おめーはもう何もできねぇッ! さっさと『死体』こっちに渡しやがれーッ!」
 ジョニィの耳に飛び込んでくるのは、焦燥に駆られる小僧の声。
 渡したくない。『ミイラの左腕』を渡したくない。ジャイロも死なせたくはない。ジョニィの頭の中はこの2つでいっぱいだ。
「『死体』……ジョニィ、『死体』って、何のことだ?」
 意識を取り戻すも事態に振り回されていたジャイロが、ジョニィに疑問を投げかける。
 ジャイロが意識を取り戻した。
 この事実が、ジョニィにとっては1つの救いのようにも思えた。
「わ……渡したくない……この左腕の中にあるものを……足が動くんだ……動いたんだよジャイロ……」
 声をかけてくれる仲間がいる。
 さっきまで孤独に戦ってきたジョニィにとってこれほどうれしいことはなかった。
 口の中がカラカラと乾いてくる。
「見たろ? 足が動くんだ」
 声が裏返る。
「ぼくは感謝したんだ!」
 何故か涙があふれてくる。
「レースに参加したことを感謝したんだ……この『左腕』を拾えたことで、命を失ってもいいとさえ思えたんだ……」
 ぼろぼろと涙があふれて止まらない。
 もう20歳になる年なのに、ジョニィは子どものように泣いていた。
「渡したくない。こんな取るに足らないこのぼくに生きる目的ができたことに、本当に感謝したんだ」
 ジャイロは鷹にも似た視線で、泣きじゃくるジョニィを眺める。
 ジョニィのポケットには、1個の鉄球が顔を出していた。
「持ってきてたのかよ……ここまで…………」
 ジャイロは迷わず鉄球を鷲掴みした。
「じゃあヤツをぶっ飛ばすのはこのオレの役目だな!」 
 大きく腕を振りかぶり、ジャイロは小僧を視界の中心に捉える。
 投球体勢に入り、鉄球はジャイロの手から放たれる……ことはなかった。
 ゴン、と鉄球が地面をは跳ねる音が虚しく響く。
 ゴン、ゴン、ゴゴゴゴゴン。
 落ちた鉄球が止まって、2人は何が起きているのかやっと気づいた。
 フックだ。フックがジャイロの手のひらから飛び出している。
 ようやく事態を理解したとき、2人の全身から汗がどっ、と湧き出した。
「ジャイロ・ツェッペリン、お前は『餌』だ! お前が触れた所からは『フック』が出てくるッ! それが『餌』の役目だ。お前は何にもできねぇ……」
 小僧は岩の上に乗っかり、2人を見下した。
「そして言うのはこれが最後だ! そのジャイロをブチ破ってこっちに来やがれジョオニィーッ!」
 怨霊にも似た声を小僧は上げて、ワイヤーをものすごい勢いで巻き上げはじめる。
 ジョニィの腕がジャイロの胸にずぶずぶと入り込んでくる。
 ジャイロは両腕でジョニィの腕を掴み、引き抜こうとするが、手のひらから飛び出すフックに阻まれる。
 2本のフックが、ついにジョニィの頭に引っかかった。
「終わったあああああ! 引き裂いたのはお前なんだからなあああああああ!」
 詰みに陥った2人を見て、小僧は歓喜の叫びをあげた。
 最後の仕上げに、小僧はワイヤーを握りしめる。
 これを思いっきり引っ張れば、ジャイロは真っ二つだ。
 両手に力を込めたとき、ドサッ、と何かが落ちる音がした。
 砂煙をあげて、『ミイラの左腕』が地面に落ちていた。
「うっ……ううっ……うっうっ……」
 ジョニィは限界だった。
 泣いて、『ミイラの左腕』を小僧に差し出していた。
←To be continued...

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