ディスクブレイカー☆フラン 『薬を貰いに行こう』
「行ってきまーす!」
レンガの壁を勢いよく粉砕して、フランは夕焼けの空へ飛び出した。
空を飛ぶ彼女の手には藤の籠。
目的場所は、永遠亭。
何故永遠亭なのか? 答えは簡単。 パチュリーと小悪魔が患っている(?)筋肉痛の薬を貰いにいくためだ。
藤の籠の中には、羊皮紙が一枚。
これを永琳に渡せばいいと彼女は聞いている。
「まずは、妹紅さんか育郎さんを探すんだっけ」
フランは人里の方へと頭を向ける。
そこには竹林の案内人の藤原妹紅がいるからだ。
さらに、この時間帯なら永遠亭から薬を持ってきている橋沢育郎、もしくは鈴仙・U・イナバが来ているかもしれない。
しばらく風を切って飛ぶと、人里の明かりが見えてきた。
踏み固められた道に降り立ち、寺子屋の方へと歩き出す。
寺子屋には妹紅がよくいるからだ。
歩いて寺子屋まで到着すると、そこには背の高い青年が、大きなつづらを背負って立っていた。
橋澤育郎だ。
「育郎さーん! ちょっと永遠亭まで用があるんですけどー!」
寺子屋の校庭から、フランは育郎の名を呼んだ。
彼はその呼びかけに気づき、振り返ると、
「ちょっと待っててくださーい!」
大きな声でフランに返事をする。
その返事を聞いたフランは、今育郎が取り込み中だと思い、座って待つことにした。
しばらく待つと、つづらを背負った育郎が走ってきた。
「やあ、今日はどうしたんだい?」
「パチュリーと小悪魔が筋肉痛になったから永遠亭に行け、ってお姉さまから頼まれた」
「パチュリーさんが筋肉痛? 喘息じゃなくて?」
育郎は、驚いた。
あのめったに運動をしない紫もやしが筋肉痛に苦しんでいるという事実に。
「そうなのよ。昨日ちょっとした騒動があって、パチュリーがなんか一子相伝の暗殺拳がどうとか言って小悪魔と取っ組み合ってたの」
「……あまり想像ができない光景だね」
「でも実際にあったからしょうがない」
「とりあえず、永遠亭に向かおうか」
「うん」
頷いて、フランは育郎のつづらに座る。
「……危ないよ?」
「大丈夫、大丈夫」
大丈夫じゃないんだけどなぁ……と育郎は呟いて、歩き出した。
バイクの方に向かって。
「え? あれ? 竹林はそっちの方じゃ……?」
フランは困惑して、育郎の進む方向とは逆の方向を指差す。
「僕は空を飛べないからね」
背負っているつづらを荷台に置き、フランをひょいと持ち上げて地面に降ろす。
荷ヒモでつづらを固定しバイクに跨る。
「えっと……それ、何?」
フランは唖然とした表情で、バイクを指差した。
「バイクだよ。魔法の森に薬を売りに行った時、近くの古道具屋で見つけたんだ」
「へえ、それって凄いの?」
「結構な速さが出るね。さ、後ろに乗って」
言われるままに、フランは育郎の後ろに座った。
つづらと育郎に挟まれるという何とも言えないポジションである。
「しっかり捕まっていてね。落ちたりしたら大変だ」
育郎のバイクが、咆哮を上げる。
ブルブルとその巨躯を震わせ、走り出す瞬間を今か今かと待ちはじめる。
育郎がそのアクセルレバーを捻ると、バイクは一際大きな唸りを上げて走り出した。
方向転換をし、まっすぐに竹林方面へと向かって行く。
人里の通りを抜け、田畑が並ぶ道を駆け、野原を走る。
一面の草原の向こうに、竹林が見えてきた。
これこそが永遠亭への入り口となる『迷いの竹林』。
異常なスピードで成長する竹が作り出した天然の迷宮。
刻一刻と変化を続ける竹林の中で迷わずにいられる奴はごくわずか。
しかし育郎は知っている。
永遠亭の『におい』を。
彼は永遠亭の『におい』を嗅ぎ取り、その位置を掴み取ることが出来る。
だから、彼は鈴仙や妹紅同様に竹林でも迷わずにすむのだ。
竹林に入ると、すぐに育郎は永遠亭の『におい』を吸い込んだ。
「こっちだな」
ハンドルを切り、そこらじゅうに生える竹を避けてバイクは疾走する。
やがて、永遠亭の門が見えてきた。
← to be continued
あとがきの代わり
恐怖の来訪者 橋沢育郎/バオー 【においをかぎとる程度の能力】/【触れる物に死を意味させる程度の能力】
見た目は大人しそうな背の高い青年。
しかし彼の脳には『寄生虫バオー』が住み着いていて、宿主の育郎の身に危険が迫ると彼の体を作り変え、無敵の肉体を作り上げる。
バオーと化した育郎は四つの『武装現象』を以って脅威の『におい』を消してしまう。
育郎自身はドレス研究所地下鍾乳洞にてウォーケンとの激闘の際行方不明。
彼が気がつくとそこは永遠亭(の庭にある池)で、それ以来彼は永遠亭に居候している。
流石に何もしないのはマズイので彼は自分の【においをかぎとる程度の能力】を生かして竹林を抜け、鈴仙と共に薬を売り歩いている。
「行ってきまーす!」
レンガの壁を勢いよく粉砕して、フランは夕焼けの空へ飛び出した。
空を飛ぶ彼女の手には藤の籠。
目的場所は、永遠亭。
何故永遠亭なのか? 答えは簡単。 パチュリーと小悪魔が患っている(?)筋肉痛の薬を貰いにいくためだ。
藤の籠の中には、羊皮紙が一枚。
これを永琳に渡せばいいと彼女は聞いている。
「まずは、妹紅さんか育郎さんを探すんだっけ」
フランは人里の方へと頭を向ける。
そこには竹林の案内人の藤原妹紅がいるからだ。
さらに、この時間帯なら永遠亭から薬を持ってきている橋沢育郎、もしくは鈴仙・U・イナバが来ているかもしれない。
しばらく風を切って飛ぶと、人里の明かりが見えてきた。
踏み固められた道に降り立ち、寺子屋の方へと歩き出す。
寺子屋には妹紅がよくいるからだ。
歩いて寺子屋まで到着すると、そこには背の高い青年が、大きなつづらを背負って立っていた。
橋澤育郎だ。
「育郎さーん! ちょっと永遠亭まで用があるんですけどー!」
寺子屋の校庭から、フランは育郎の名を呼んだ。
彼はその呼びかけに気づき、振り返ると、
「ちょっと待っててくださーい!」
大きな声でフランに返事をする。
その返事を聞いたフランは、今育郎が取り込み中だと思い、座って待つことにした。
しばらく待つと、つづらを背負った育郎が走ってきた。
「やあ、今日はどうしたんだい?」
「パチュリーと小悪魔が筋肉痛になったから永遠亭に行け、ってお姉さまから頼まれた」
「パチュリーさんが筋肉痛? 喘息じゃなくて?」
育郎は、驚いた。
あのめったに運動をしない紫もやしが筋肉痛に苦しんでいるという事実に。
「そうなのよ。昨日ちょっとした騒動があって、パチュリーがなんか一子相伝の暗殺拳がどうとか言って小悪魔と取っ組み合ってたの」
「……あまり想像ができない光景だね」
「でも実際にあったからしょうがない」
「とりあえず、永遠亭に向かおうか」
「うん」
頷いて、フランは育郎のつづらに座る。
「……危ないよ?」
「大丈夫、大丈夫」
大丈夫じゃないんだけどなぁ……と育郎は呟いて、歩き出した。
バイクの方に向かって。
「え? あれ? 竹林はそっちの方じゃ……?」
フランは困惑して、育郎の進む方向とは逆の方向を指差す。
「僕は空を飛べないからね」
背負っているつづらを荷台に置き、フランをひょいと持ち上げて地面に降ろす。
荷ヒモでつづらを固定しバイクに跨る。
「えっと……それ、何?」
フランは唖然とした表情で、バイクを指差した。
「バイクだよ。魔法の森に薬を売りに行った時、近くの古道具屋で見つけたんだ」
「へえ、それって凄いの?」
「結構な速さが出るね。さ、後ろに乗って」
言われるままに、フランは育郎の後ろに座った。
つづらと育郎に挟まれるという何とも言えないポジションである。
「しっかり捕まっていてね。落ちたりしたら大変だ」
育郎のバイクが、咆哮を上げる。
ブルブルとその巨躯を震わせ、走り出す瞬間を今か今かと待ちはじめる。
育郎がそのアクセルレバーを捻ると、バイクは一際大きな唸りを上げて走り出した。
方向転換をし、まっすぐに竹林方面へと向かって行く。
人里の通りを抜け、田畑が並ぶ道を駆け、野原を走る。
一面の草原の向こうに、竹林が見えてきた。
これこそが永遠亭への入り口となる『迷いの竹林』。
異常なスピードで成長する竹が作り出した天然の迷宮。
刻一刻と変化を続ける竹林の中で迷わずにいられる奴はごくわずか。
しかし育郎は知っている。
永遠亭の『におい』を。
彼は永遠亭の『におい』を嗅ぎ取り、その位置を掴み取ることが出来る。
だから、彼は鈴仙や妹紅同様に竹林でも迷わずにすむのだ。
竹林に入ると、すぐに育郎は永遠亭の『におい』を吸い込んだ。
「こっちだな」
ハンドルを切り、そこらじゅうに生える竹を避けてバイクは疾走する。
やがて、永遠亭の門が見えてきた。
← to be continued
あとがきの代わり
恐怖の来訪者 橋沢育郎/バオー 【においをかぎとる程度の能力】/【触れる物に死を意味させる程度の能力】
見た目は大人しそうな背の高い青年。
しかし彼の脳には『寄生虫バオー』が住み着いていて、宿主の育郎の身に危険が迫ると彼の体を作り変え、無敵の肉体を作り上げる。
バオーと化した育郎は四つの『武装現象』を以って脅威の『におい』を消してしまう。
育郎自身はドレス研究所地下鍾乳洞にてウォーケンとの激闘の際行方不明。
彼が気がつくとそこは永遠亭(の庭にある池)で、それ以来彼は永遠亭に居候している。
流石に何もしないのはマズイので彼は自分の【においをかぎとる程度の能力】を生かして竹林を抜け、鈴仙と共に薬を売り歩いている。