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ディスクブレイカー☆フラン 第十三話

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「いたッ! あそこだーッ!」
 育郎が、スミレの指差す先に向かって走る。
「待て~ッ!」
 その後ろを、赤い光の剣『レーヴァテイン』を持ったフランが走る。
 そして最後尾には、『ストレンジ・リレイション』のハンドルを回しながら走る鈴仙。
 三人が追いかけるネズミは、廊下の角を曲がる。
 先頭の育郎が角を曲がると、急に床が崩れた。
 いや、正確には床が溶けた。
「しまった!」
 育郎はすぐに抜け出そうとするが、溶けた床はすぐに煮凝りのように固まり、育郎の手足を絡めとる。
 上半身を床から出すといういどまじんのような格好になった育郎の頭の上を、ネズミはあざ笑うかのように踏んでフランの方へ走っていく。
 フランの股を抜けると、走りながらスタンドを出し、照準を鈴仙に合わせる。
「え……私!?」
 ネズミの標的になった鈴仙は、戸惑って足を止める。
 それが命取りとなった。
 ネズミのスタンド弾が、鈴仙の体へと撃ち出される。
 その数七発。
 全てが鈴仙に命中し、鈴仙の服が溶け出す。
「こ、これって……」
 鈴仙の服全てが溶けて、彼女は下着だけになってしまった。
「またかい!」
 困惑の叫びをあげて、鈴仙は胸の部分を隠す。
 彼女はつけていなかった。
「なにがまたなの?」
 鈴仙の叫びを聞いて、フランは振り返る。
「うわ、早着替えのかくし芸?」
「ちがうわよ! 仮にそのかくし芸を持っていてもここでやる意味がないわ」
「そっか。で、ネズミはどこ行ったの?」
「……しまったーッ! 見失っちゃったーッ!」
 鈴仙は頭を抱えて叫んだ。
 幸い、抱えていた『ストレンジ・リレイション』が危うい部分を隠していた。
 
 一方、煮凝りの床にはまってしまった育郎は、
「しまったな……動くに動けないぞこりゃ」
 両手で煮凝りの床からの脱出を図っていた。
 だが、プールから上がるようには行かず、煮凝りの床が胴や足に絡みついて抜け出せない。
 そのうち彼は脱出することをあきらめて助けが来るのを待つことにした。
――橋沢育郎:再起不能?

「またグダグダになっちゃったわね……」
 着替えを来た鈴仙は、ぐるぐると『ストレンジ・リレイション』を回し続ける。
 廊下でフランと二人きりであった。
「ねーねー、そんなに回していて疲れないの?」
「こう見えて鍛えているから大丈夫よ」
「鍛えているようには見えない細さですな」
 フランは鈴仙の二の腕をぷにぷにと揉む。
「やーらかーい」
「そんなことしてないでスミレちゃんにネズミの場所当てに行ってもらうわよ」
「アイアイサー!」
 二人は元来た道を戻って、スミレの予知能力を頼りにすることにした。
 そうしてスミレの所まで戻ると、彼女は腕を組んで二人を待ち構えていた。
「そろそろ来る頃だと思ったわ。ネズミは今庭に潜んでいるわ」
 スミレは庭の方を指差す。
 庭は妹紅の炎や輝夜の弾幕やらで小さな荒野と成り果てていた。
 これを庭として再生するには、枯山水にしなければならないだろう。
 フランと鈴仙は、『ストレンジ・リレイション』の超音波をまき散らしつつ庭に立つ。
 と、その時二人は地面に沈み込んだ。
「「なっ……!」」
 地面はネズミによって溶かされていた。
 どろどろの地面はすぐにぷるんぷるんに固まる。
 しかし、その程度で動きを止められるほどフランはやわじゃなかった。
「こうなったら! 練習の成果を見せてやるんだから!」
 フランはすぐにゼリー状となった地面を見つめた。
 そこにあるのは地面の『目』。
 フランは右手を開く。
 地面の『目』が引きずり出され、フランの手のひらの上に乗っかる。
「ギュッとして……」
 フランがそれを思いっきり握りしめると、
「どかーん!」
 地面は勢いよく弾け、二人を空中へと送り出す。
 二人は空中で姿勢を立て直すと、空から庭を見る。
「見つけた!」
 鈴仙は、岩陰に隠れているネズミを見つけた。
 すぐに彼女は指先に力を込め、赤い弾丸をネズミに向かって撃ち込む。
 今までフランたちをあざ笑うかのように立ち回っていたネズミもこれにはビビッて飛び上がる。
 そそくさとネズミは永遠亭の軒下に避難しようとするが、その鼻先にフランのレーヴァテインが突き刺さる。
 急遽ネズミは転進、竹林の方へと走り出した。
「よし、竹林ならもう隠れられないわ!」
 鈴仙は意気揚々とネズミを追いかけはじめる。
 フランも、鈴仙の後を追って竹林へと突入した。
 
 竹が乱立する迷いの竹林は、来る者にまるでその直線が永遠に続くかのように感じさせる。
 その竹を縫うように、鈴仙は飛行している。
 後ろからついてくるのはフラン。
「また見失っちゃったわね……」
 鈴仙は、周りをきょろきょろと見渡す。
 どういう訳か、周りには枯れ竹が乱立している。
 突然、二人目掛けて枯れ竹が倒れ掛かってきた。
「危ない!」
 先に反応したのはフランだった。
 フランの『レーヴァテイン』が、枯れ竹を切り落として鈴仙を守る。
 続けて二本、三本と枯れ竹が倒れ掛かってくる。
 フランは次々とそれを切り払い、ネズミを探す。
 ちょうど15本目を切り払ったところで、鈴仙はフランの肩を叩いた。
「どうしたの?」
「おかしいわ。竹はいつも青色のはず。なのにこの周辺の竹は枯れて茶色になっているわ」
「それがどうしたの?」
「竹はね、一年中青色で、葉を落としたりはしないのよ」
「それはおかしいねぇ」
「何かの病気かしら……」
 鈴仙はいぶかしげに周囲の枯れ竹を見る。
 ふと地上に視線を向けてみると、
「……いた!」
 竹の枯れ葉の山の上で、ネズミがスタンドの砲塔をこちらに向けていた。
 ボン、と火花と硝煙を撒いてスタンド弾が鈴仙へと向かう。
 鈴仙はそれを素早くよけて、ネズミに近寄ろうとすると、あることに気付いた。
「燃えている……」
 枯れ葉の山が燃えている。
 鈴仙はその原因にすぐ気付いた。
「あの弾が出る時に、火花が出て、それを引火させたんだわ……あのネズミとんでもない切れ者ね」
 ブレーキをかけて鈴仙は上空へと戻る。
 上空では、フランが冷や汗を流しながら竹林を見ていた。
「どうしよう、火に囲まれちゃったみたい」
 フランに言われて、鈴仙は周囲を見渡す。
 燃えていた。
 360度全方位が炎に包まれていた。
「これは……流石に危ないかも……」
 鈴仙の髪から、汗がしたたり落ちた。
←To be continued...
  EDテーマ いえろーぜぶら『紅い月』

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