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ディスクブレイカー☆フラン 第二十話

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  ディスクブレイカー☆フラン『妖怪の山侵攻作戦』
 OPテーマ ふぉれすとぴれお『ロストマインド』
「何とか、最終防衛ラインに来る前に止めることができたわね」
 巨大な水晶の板を眺めて、パチュリ―は一息ついた。
 水晶の板には、床に伏す幽香の姿と、春水晶を手にするフランの姿が映し出されていた。
 水晶の画面に映るフランは、春水晶をポケットに入れる。
「やはり、幽香が持っていたのね」
 水晶の画面を眺めながら、レミリアは紅茶を一口。
「まあ、当然って言えば当然よね。たった『一人の勢力』と言える彼女の中で、一番安全な場所と言えば彼女自身なのだから」
 パチュリ―も紅茶を一口。
 画面外へと立ち去るフランを見て、パチュリ―は小悪魔を呼んだ。
「何でしょうか?」
 小悪魔が、本を抱えてやってきた。
 彼女は本を机に置き、二人のカップに紅茶を注ぐ。
「小悪魔、今すぐ紅魔館の損害を調査して頂戴」
「分かりました」
 パチュリ―に命じられた小悪魔は、すぐに図書館の扉を開いた。
 それを見送って、レミリアは紅茶を一口。
「損害調査が終わったら、次はどの『勢力』を警戒すべきか考えないといけないわね」
「その件についてだけど、既に目星はついているわ。蓮見、他勢力についての報告を」
 パチュリ―が指を鳴らすと、水晶の画面は蓮見琢磨の顔に切り替わる。
 蓮見は、『The・Book』を発動し、ページを開く。。
「他勢力についての報告だが、博霊神社には霧雨魔理沙、八雲紫らの顔が見られた。他にも、見たことの無い奴が何人か見られたな。恐らく戦力では最大だと言っていいだろう」
 琢磨は淡々と調査報告を続ける。
「次に、白玉楼だ。とにかく数が多いな。プリズムリバー三姉妹を始めとし、数多くの人魂が集まっている。また、紅魔館からはもっとも遠い場所に位置している
 ページををめくる。
「最後に、妖怪の山。河童、天狗などが多数所属しており、統率力が取れている。その上、山という位置の関係上、攻めることも難しい」
 それを言うと、琢磨は『The・Book』を閉じて、消してしまう。
「報告ご苦労。で、今どこにいるの?」
 報告を聞いたパチュリ―は、紅茶のカップを置いた。
「今、妖怪の山に……!」
 そう言いかけて、琢磨は振り返った。
「どうしたの!?」
「見つかったみたいだ……おそらく哨戒の天狗だ」
 通信が切れ、水晶には砂嵐が映し出される。
「どうやら、マズい事態になったみたいね」
 レミリアは、紅茶を飲み干した。
 ちょうどその時、書類を持った小悪魔と咲夜が図書館に入ってくる。
「パチュリ―様、レミリア様。被害状況がまとまりました」
 小悪魔は、手に持つ書類を机の上に広げる。
「メイド妖精の約3分の1が『一回休み』、招集した周辺の妖精の大半が『行方不明』、美鈴が軽傷、妹様のご友人一人が重体です」
 咲夜が被害状況を告げる。
「続いて物的被害ですが、正門を跡形もなく破壊され、エントランスホールから地下へと続く廊下は壁や床が破壊されています。他には、燭台などが破壊されています」
 咲夜の報告を聞いて、レミリアはため息をついた。
「見事にぶっ壊されたわね……」
 レミリアは頭を抱えた。
「まずは紅魔館の修復が先ね。今いる人員を補充に回すとして、何日かかるかしら?」
「早くて三日ですね」
 咲夜は即答した。
「三日か……」
 レミリアは再び頭を抱えた。
「それだけじゃないわ。妖怪の山で通信が切れた蓮見を探さなくちゃならないわ」
 パチュリ―は砂嵐が映る水晶を眺めながら言った。
「難題は山積みね……」
 レミリアは書類の一枚を取り、それを裏返した。
 羽ペンを手に取り、書類の裏にペンを走らせる。
「この際、大胆に行くわよ。蓮見琢磨を探すために妖怪の山に行く? どうせ妖怪の山に行くなら妖怪の山に侵攻するわ!」
 レミリアの発言に、周囲が凍りついた。
「な、何を言っているんですお嬢様!」
 思わず咲夜は大声を上げた。
「風見幽香の襲撃により、こちらは寡兵の上大きな損害を被っています!」
 大声を上げる咲夜をレミリアは手を振って抑える。
「寡兵で、損害を被っているから、よ」
 レミリアは落ち着いた口調で足を組んだ。
「風見幽香のド派手な活動により、私たちが大きな被害を被っているのはすぐに広まるわ。特に、噂好きな天狗が集まる妖怪の山にはね」
 レミリアは静かな笑みを浮かべる。
「相手はこっちが仕掛けてくるとは思っていないわ。そこを突いちゃうのよ」
 ニヤニヤ笑いながら、レミリアはペンを走らせる。
「まずは残った妖精を集めて、紅魔館の修復を行う班と妖怪の山に侵攻する班に分けるわ」
 紙の上に、メイド妖精の文字とその他妖精の文字を書く。
「まずは残った戦力をこの図書館に集めなさい」
 レミリアは紙にフランドールの名を書きながら咲夜に命じる。
 咲夜は短い返事と共に姿を消した。
 しばらくすると、咲夜に連れられてフラン、チルノ、ナランチャ、大妖精、ディアボロ、美鈴が入ってくる。
 入ってきた面々を見て、レミリアは筆を止める。
「そういえば、さっき小悪魔が言ってたわよね。フランの友達一人が重体だって」
 レミリアは、小悪魔の顔を見た。
「あの方が、重体みたいでしたけど……ケロッとした顔で歩いてますね」
 小悪魔は、ディアボロを指差した。
「あれのどこが重体なのよ」
「何かの回復術を使ったのでしょうか?」
「なるほど。そりゃ納得」
 レミリアは紙に名前を次々と書いていく。
 図書館に、妖精たちがぞろぞろと入ってくる。
「しかし、こんなに妖精がいるとは……」
 図書室に並ぶ妖精たちを見て、ディアボロは感心した。
「そういえば、無線で声聞いた時は如何にも死に掛けって感じだったよね」
 妖精たちを眺めるディアボロの横に、フランが並んだ。
「ああ。あの時は流石に死ぬかと思ったな。肋骨なんて全部折れて内臓もズタズタだったからな。ポケットの中にカエルがいなかったら即死だった……」
 ディアボロは平然と答える。
「カエルで大けがが治ったりするって不思議だなぁ……」
 フランはカエルでケガが治ることに疑問を抱きながら、図書館に並ぶ妖精たちを見た。 
 おしゃべりをしながら並ぶ妖精たちのノリは完璧に朝礼を前にして並ぶ小学生たちと同じだ。
「さて、今の妖精の人数を数えなくちゃね」
 レミリアは紙とペンを持って、空中に浮かび上がった。
 そして並んでいる妖精たちの数を数えはじめる。
「そういえば、幽香には何のDISCを仕込んだの?」
 妖精たちの数を数えるレミリアを眺めながら、フランはディアボロに質問した。
「ああ、幽香に仕込んだのは『ゴールド・エクスペリエンスのDISC』だ」
 ディアボロもレミリアを眺めながら答える。
「なんでそのDISCだったの?」
「風見幽香は植物を操る能力らしい。ならば、生命を生み出す能力を持つ『ゴールド・エクスペリエンス』に適性があるんじゃないかと思ってな」
「どこでそんなの知ったの?」
「前に一度会ったことがある。その時は問答無用で殺されたがな。初対面なのにその面ムカつくとか言われて。過去に俺は奴に何かしたのか?」
 ディアボロは遠い目をした。 
 いろいろ苦労したのだろう。フランはそう察した。
 図書館の中は相変わらずざわめいている。
 妖精たちの上を飛び回っていたレミリアは、やっと着地した。
「メイド妖精が237名、その他妖精が463名か……」
 インクで黒くなった紙を見て、レミリアは唸った。
「この戦力で足りるかしら……」
 机の上の書類を一枚とり、それを裏返す。
「まずメイド妖精は全員館に回さないといけないわね……となると、その他の妖精の半数を山侵攻に回して……」
 カリカリと書類に文字をつづる。
 そして書類をぐちゃぐちゃに丸める。
「うー! やっぱり足りないじゃないッ!」
 ぽいと紙を投げ捨てるレミリア。
 帽子の位置を直し、もう一度書類を取り出して裏返す。
「ねえ、なんでそんなに悩んでるの?」
 血眼になって机に向かうレミリアの隣に、チルノが立った。
「……そういう貴女は妖精たちの軍団長じゃない」
「作戦立ててるの?」
「そうよ。でも人数が足りないから困ってるわけ。いい作戦でもあるの?」
 レミリアは、茶化してチルノに話を振った。
「人数が少ないなら……いっそのこと少ない人数で行けばいいのよ!」
 チルノは、胸を張って答えた。
 レミリアは、ため息をついた。
「アンタに相談した私が⑨だった……」
 再び机に向き合うレミリア。
「いや、その案はいけるわよ」
 チルノの横に、パチュリ―が立った。
「何よ、パチュリ―まで馬鹿になったの?」
「ちがうわよ」
 にらむレミリアに首を振るパチュリ―。
「統率のとれた組織が相手なら、こちらは幾分の自由がきく少人数の方がいいわ。ましてや地形は山。隠れる所なんて溢れるほどあるわ」
 パチュリ―の解説に、レミリアの目から鱗が落ちた。
「さらに、複数人を独立させて行動させれば陽動作戦にもなるわ」
 パチュリ―の追い討ちともいえる解説に、レミリアは落ちた。
「決定。少人数で妖怪の山に忍び込むことにしましょう」
 レミリアは新しい書類を取り出して裏返す。
「作戦が決まったら、妖怪の山に忍び込むメンバーを決めなきゃね」
 レミリアは、羽ペンをインクに浸した。
「とは言っても、若干の妖精も含まれるから、リーダーとしてのチルノは外せないわよね」
 紙にチルノの名前を書く。
「次に、咲夜が行ってちょうだい。咲夜はチルノ達とは別行動で」
 レミリアのそばに立つ咲夜は、静かにうなづいた。
「あと数人か欲しい所だけど……」
 レミリアは羽ペンをくわえて、周りを見る。
 手を挙げている人間が1人いた。ディアボロだ。
「あなたは……フランの友達ね。そういえば、名前を聞いていなかったわね」
 フランはディアボロの前まで飛んでくる。
 ディアボロは少し間をおいて、
「ソリッドだ。ソリッド・ナーゾ。それが俺の名だ」
 偽名を使って答えた。
「なるほど……で、ソリッドさんは妖怪の山に潜入するって言うのかしら?」
「ああ。そうだ。だが一つ条件がある」
「条件?」
「俺は一時間遅早く山の中に入る。それだけだ」
 ディアボロの示した条件に、レミリアは首をかしげた。
「それだけなの?」
「ああ。それだけだ」
 それだけの会話を終えると、レミリアは紙にディアボロの偽名を書き足した。
「他に志望者は?」
 レミリアは周囲を見渡すが、手を挙げる者は一人もいない。
「潜入組は妖精5人とチルノ、咲夜とソリッドだけね……」
 紙を畳んで、レミリアは机へと戻った。
「今夜は解散よ。作戦の実行は明日の夜に実行するわ」
 レミリアが声を大きくして宣言すると、妖精たちは次々と図書館から出ていく。
 そして静けさが図書館に戻ってきた。
 シン、とした図書館に、紙をめくる音だけがこだまする。
「さて、私たちも作戦会議しなくちゃね」
 フランは、4人を集めた。
「ああ、春水晶は手に入ったんだろ?」
 ナランチャが、フランのポケットを指差す。
「うん。まずは一つ手に入ったよ」
 図書館の中を歩き、5人はフランの部屋に入る。
「さて、これで監視の目も届かないわね」
 部屋に入るなりフランはベッドに座って春水晶を取り出す。
「作戦会議、とはいってももう夜になってきたからチルノ達は帰らないとね」
 フランは春水晶をナランチャに投げて渡す。
 ナランチャはそれを余裕でキャッチした。
「これを人里に持って帰るのか?」
「そうよ」
 ナランチャの質問にフランは即答した。
「なるほど、別の所で保存するって訳か。それじゃーな!」
 フランの意図を理解したナランチャはそれをポケットに突っ込んで部屋から出ていく。
「明日は妖怪の山突入だから、あたいも帰るね」
 チルノは、すぐに部屋から飛び出していった。
「あっ、待ってよチルノちゃん!」
 大妖精もチルノを追いかけて出ていく。
「行っちまったか……」
 壁に背中を預けるディアボロが、3人を見送った。
「ディアボロは、どうするの?」
 フランは足をばたつかせながら、ディアボロを見る。
「まずは香霖堂へ行ってDISCを調達してくる。その後は湖周辺でカエルを探しながら待機ということになるな」
 ディアボロもドアを開き、部屋から出て行った。
「ふーむ、ともあれ、春水晶の獲得は達成できたわ。妖怪の山の春水晶も獲得しないとね」
 フランは寝転がって、天蓋付きベッドの天井を見た。
 コンコン、とノックの音がする。
 フランが扉を開くと、そこには咲夜の姿が。
「妹様、夕飯の時間です」
「分かった。今いくよ」
 咲夜に連れられて、フランは部屋から出て行った。
←To be continued... EDテーマ Chris Cornell『You Know My Name』

  次回予告
 通信を絶った蓮見琢磨を救出し、春水晶を奪うべく妖怪の山侵攻に乗り出したレミリア。
 突入するのはチルノ率いる妖精5人、咲夜、ディアボロ。
 しかし、彼らがいない時に最大の危機が紅魔館に訪れる。
  次回、ディスクブレイカー☆フラン『闘争の支配者』

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