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ディスクブレイカー☆フラン 第二十二話

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  ディスクブレイカー☆フラン『こがさといっしょにすにーきんぐ』 OPテーマ mihimaruGT『ツヨクツヨク』
 足音を消して、ディアボロは草むらに飛び込んだ。
「まずは、こうやって見つかりにくくしないとな……」
 おもむろに草の葉を網目の服に張り付けるディアボロ。
 丁寧にズボンにも張り付けて、全身を緑色に染めていく。
 そして駄目押しに草を揉んで汁を顔に塗ったくる。
「これで完璧だ……」
 ニヤリと笑い、ディアボロはほふく前進をする。
 そして、哨戒中の天狗に狙いを定める。
「一撃で気絶させるッ!」
 香霖堂で買った『ウェザー・リポートのDISC』を頭に差し込もうとしたその時、
「ひっ……!」
 ディアボロは女の子のような声をあげた。
「何だ……!濡れいてかつ生暖かくしかも弾力のあるものがッ……! 俺の背中にッ!」
 ディアボロは恐怖に固まる。
 DISCを取り落してしまう。
 幸いにも、哨戒の天狗は気が付いていないようだ。
 ディアボロは、ゆっくりと振り返った。
「おお……すっごい驚いてる……」
 そこには紫色の傘をさした少女が立っていた。
 傘からは真っ赤な帯みたいなものが垂れ下がっていて、ゆらゆらと揺れている。
「おい、何やってやがる」
 ディアボロは傘をくるくると回す少女をにらんだ。
「わ、わちきのことですか!?」
 傘を持った少女はぎょっとして傘を取り落した。
「ん!?」
 傘が落ちる音に気付いた天狗は少女の方を見る。
「……なんだ。散歩中か? ここは危ないから、すぐに離れた方がいいぞ」
 少女を一瞥した天狗はすぐに歩哨を再開する。
「…………あぶねぇ」
 草むらに伏せたまま、ディアボロは安堵を息を吐いた。
「で、こんな所で何してるの?」
 少女は傘を拾って、足元のディアボロを見つめる。
「見ればわかるだろ。潜入だ」
「潜入……忍者か!」
 少女は納得! と言わんばかりに手を叩いた。
 ディアボロは何も言わない。
「所で、お前は何で俺に突っかかってきた?」
「そこに人がいたから、じゃダメ?」
「駄目だ。素直に理由を言え」
 ディアボロの口調は悪戯した子供をたしなめる親の口調だった。
「は~い。人間がいたからビックリさせたかったんです」
「びっくりさせたかったって、お前はガキか」
 ディアボロは呆れた。
 背後から仕掛けてきたのは敵ではなくただの悪戯好きな子供だったからだ。
「呆れた。俺は先に行く」
 ディアボロは落ちているDISCを拾って立ち上がり、颯爽と近くの茂みに飛び込む。
 それを見た少女は、
「追っかけたら面白そうだなぁ……」
 面白いおもちゃを見つけた子供の表情を浮かべてこっそりとついて行った。
 傘を持った少女、多々良小傘のスニーキングが今、始まる。

 がさがさと音を立て、ディアボロは茂みから顔を出した。
 両手には葉の付いた木の枝を握りしめている。
 きょろきょろと辺りを見回し、周囲に天狗がいないことを確認すると茂みから出て木陰に身を寄せる。
「さて、一番気を付けたいのが鳴子の類だが……」
 目を凝らして、糸が張られていないか警戒する。
「どうやら鳴子とかは無いみたいだな……」
 ディアボロはすぐに木陰から身を乗り出して、ひときわ大きな木の陰に身をひそめる。
「天狗の気配は見られない……」
 木陰から身を乗り出して、見張りの姿を確認する。
 そんなディアボロの背後から、再びピンク色の物体が近づいてくる。
 そして、ピンク色の物体はディアボロの背中を一直線に這い上がっていった。
「ひああああぁぁッ!」
 背中を走るねっとりとした生暖かい感覚にディアボロは女の子のような悲鳴を上げてしまった。
「おお! 驚いた驚いた!」
 ディアボロの頭上から少女の声が聞こえてくる。
「またお前かッ!」
 ディアボロは上を向いた。
 彼の頭上には木の枝が広がっていて、そこに小傘が座っていた。
「いやあ、こんなに驚いてくれる人間は初めてだよ!」
 小傘は目を輝かせて傘をくるくる回す。 
「ええい、げんこつくらわしてやる!」
 一度ならず二回も悪戯を仕掛けられたディアボロは頭にきて、『ウェザー・リポートのDISC+6』を頭に押し付ける。
「『ウェザー・リポート』! あのガキを落っことせ!」
 ディアボロの操る『ウェザー・リポート』が風をまとった拳を木に叩き付ける。
 ぐらぐらと木が揺れる。
「わっ! わわわわ!」
 小傘は、落っこちてしりもちをついた。
「いててて……」
 落ちた時の衝撃で動けない小傘にディアボロはげんこつを振り下ろす。
「いてっ!」
 ディアボロに叩かれた小傘は、傘を取り落して頭を抱えた。
「これに懲りたら二度と後をつけてくるな」
 げんこつをかましたディアボロはそれだけを言って振り返って歩き始めた。
「ぐぬぬ……こうなったらとことん付け回してやる!」
 ディアボロの態度に何かを燃やした小傘は、傘を拾って立ち上がった。
 小傘はディアボロの跡をつけ始めた。
 こんなに驚いてくれる人間がいるのに、追いかけないわけが無い。

 日も暮れたころ、紅魔館の屋根の上にフランとナランチャが座っている。
「なあ、本当に襲撃されるのか?」
『エアロスミス』のレーダーを出しっぱなしのナランチャが、愚痴を漏らす。
「パチェの予想では、もうそろそろ来るはずだけど……」
「でも、俺の二酸化炭素レーダーには何も映らないぜ」
 ナランチャは、横に置いてある水晶玉を手に取る。
「おーい、そっちのレーダーはどうだ?」
 ナランチャが水晶玉に話しかけると、水晶玉にパチュリ―の顔が写りこむ。
「う~ん、レーダーの範囲は大体湖の向こう岸までくらいだけど、何の反応もないわね。悪いけど、目視確認してくれる?」
 パチュリ―に言われて、ナランチャは双眼鏡を取り出す。
「フラン、目視確認頼むぜ。暗い所で目がきくだろ?」
「おっけー」
 フランは双眼鏡を受け取り、辺りを見回す。
 吸血鬼の視力が双眼鏡で増幅され、遠いところまでも見渡す。
 湖の方を見る。三日月が浮かんでいる。
 その方向から、右へ、右へと視線をずらしていくと、夜空に浮かぶ、黒い点が見つかった。
 宙に浮かぶ黒い点。それは星と月の明かりで彩られた夜空には少し異質なものだった。
「ん? あれは、何かな?」
 黒い点に疑問を示したフランは、目を凝らす。
「どうした?」
 隣で夕飯のサンドイッチをほおばりながら、ナランチャはフランを見た。
「向こうに、なんか怪しいものが浮かんでるのよ」
「怪しいもの?」
 ナランチャはサンドイッチを飲み込み、フランから双眼鏡を受け取る。
 双眼鏡からフランの指差した方向を見る。
 暗闇が広がるばかりだ。
「う~ん、俺はフランと違って夜目がきかないからなぁ……『エアロスミス』!」
 近くに行ってみるべきだと判断したナランチャは、『エアロスミス』出した。
 彼の頭上にラジコン飛行機のような『エアロスミス』の姿が出現する。
『エアロスミス』はエンジン音を響かせ、夜空を切って羽ばたいた。
 スタンド使いの基本として、スタンドが見ている景色はスタンド使いも見ることができるというものがある。
 ナランチャの『エアロスミス』から見る視界は、戦闘機のコックピット内から見る景色に似ている。
「結構遠いな……」
 影の位置を遠く感じたナランチャは、『エアロスミス』をもっと遠くまで飛ばす。
 しばらく飛び続けると、その影の全貌が見えてきた。
「すげぇ……めちゃくちゃでっかいじゃねーか!」
 コックピットの風防から見るそれは、あまりにも巨大。
 それの周囲を、『エアロスミス』が旋回する。
「デカすぎだろ……」
 ゆっくりと『エアロスミス』は『それ』から離れていく。
 月明かりに照らされて、『それ』は全貌を現した。
「これは、柱だ! でっかい柱が浮かんでやがる!」
 ナランチャは声を大にして驚いた。
 水晶玉にパチュリ―の顔が写りこんだ。
「ナランチャ! 恐らくその柱が妖怪の山からの攻撃よ! すぐに撃ち落として!」
 パチュリ―の命令を受け、ナランチャはすぐに柱に向けて機銃を放つ。
 だが、機銃を受けても柱はびくともしない。
「機銃じゃダメか……なら!」
 次にナランチャは爆弾を試す。
 大きな音がして、柱を煙が包み込む。
「まだまだ!」
 煙に包まれる柱に向かって、ナランチャは機銃をこれでもかと撃ちこみ続ける。
 煙が晴れると、そこには何事もなかったかのように飛び続ける柱の姿があった。
「げっ……」
 ナランチャの顔が、青ざめた。
「柱はどうなった?」
 水晶玉から、パチュリ―の通信が入る。
「駄目だッ! びくともしていないッ!」
 ナランチャの即答に、パチュリ―は唸った。
「だったら、すぐに私とレミィが向かうわ。あなたはそのまま柱の周りを飛び続けて!」
 通信が切れる。
「なんてこった……このままだと紅魔館に衝突するぞ」
 ナランチャは『エアロスミス』を旋回させて、柱の様子を見る。
 

 妖怪の山と、紅魔館。
 真夜中の攻防が今、始まる。
←To be continued... EDテーマ supercell『星が瞬くこんな夜に』

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