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ディスクブレイカー☆フラン 第二十四話

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  ディスクブレイカー☆フラン『逃げ場無し!? 反則スレスレの「モーゼリプレイ」!』OPテーマ 豚乙女『トキトマレ』
「うおー! 迷ったー!」
 チルノは、ほかの妖精たちとはぐれて1人森の中を走り回っていた。
「ここはどこだー!」
 紫のせいで天狗たちが皆眠りこけているからこそ、チルノは周囲に気付かれない。
 もっとも、チルノが騒いだところで天狗たちは妖精が騒いでるだけとしか思わないだろうが。
「どーこーだー!」
 迷走を続けるチルノ。
 めちゃくちゃに辺りを走り回っていると、チルノは『誰か』にぶつかった。
「いてっ!」
 ぶつかったチルノはしりもちをつき、ぶつかった『誰か』を見る。
 黒い学生服を着た、少し色白の青年。左手には革表紙の本が握られている。
「……誰だ?」
 チルノがぶつかった青年は振り向いた。
 チルノと目が合った。
「えっと、フランちゃんの図書館にいつもいる人……誰だっけ?」
 チルノの質問に、『誰か』はうなづいた。
「如何にも、僕は蓮見琢馬だ。そういう君はチルノじゃないか。こんな所で何をしているんだ?」
 琢馬に質問され、チルノは立ち上がり胸を張る。
「あたいはフランちゃんのメイドやピンク髪と一緒に妖怪の山に攻め込んだのだ!」
「さっき『ここはどこだー!』とか叫びながら走り回っていたみたいだが?」
「う……」
 冷静な琢馬にツッコミを受けて固まるチルノ。
「まあ、一人でいるこの時に見張りの天狗じゃなくて味方の君に出会えたのは僥倖だ。だいぶ前に見張りに見つかって水晶玉を壊してしまってね」
 琢馬は学生服のポケットから水晶玉の破片を取り出して見せる。
 チルノはそれを覗き込んだ。
「きれいだね」
「やるよ。僕には必要のないものだ」
「わーい」
 琢馬はチルノに水晶玉の破片を渡す.チルノは喜んでそれをポケットに入れる。
「で、お前は何処を目指しているんだ?」
「え~っと……神社!」
「神社というと……守矢神社か。言っておくが、君が走っていた方向は神社とは逆の方向だぞ」
「えー!」
 琢馬の一言に驚くチルノ。
 チルノは振り向いた。
「だったらこっちかーっ!」
 走り出そうとするチルノ。
 その襟を琢馬が掴んだ。
 チルノの首が一瞬締まった。
「うぐぐ……」 
 もがくチルノ。琢馬はすぐに手を放す。
「どうせお前のことだからすぐ迷うだろ。僕についてこい」
 琢馬はチルノの前に躍り出た。
「お、おう!」
 歩き出す琢馬に、ついていくチルノ。
 林を抜けて、参道へと出る。
「神社への一番の近道だ。どういう訳か天狗が動かないから、ココを登れば楽に行けるだろう」
 参道の石段を2人は踏みしめた。
 それと同時に、大きな音が辺りにこだまする。
「「なんだ!」」
 2人は仰天して、音の聞こえてきた方を見る。
「参道の先……神社の境内か!」
 琢馬は走って参道の石段を駆け上がる。
「あ! 待ってよ~!」
 チルノも飛んで参道を登り始めた。


 咲夜は、空中で体制を立て直した。
 地に立つ早苗と目が合う。
 早苗の瞳は、すぐに咲夜の頭上へと移動した。
「……来る!」
 上からくる危険を察知した咲夜はすぐに前進。
 咲夜の背後には猛烈な勢いで降下する早苗の姿が。
『降下する早苗』は地面に着地し、衝撃波を生み出す。
 衝撃波に揺られ、咲夜は体制を崩した。
 揺られて視線が空へと移る。
 そこには御幣を振りかぶり『モーゼの奇跡』を繰り出さんとする早苗がいた。
 しかも1人や2人ではない。数十人である。
「もう逃げ場はない! これが私の『アンダーワールド』! 貴女がここに来る前に『モーゼの奇跡』をしこたま辺りに『記録』させていたの。これが私の『モーゼリプレイ』よ!」
 降りかかってくる早苗こと『モーゼリプレイ』達を目の当たりにして、咲夜は穴を見つけた。
「時よ止まれッ! 既に安全地帯は見つけているッ!」
 静止した時の中、咲夜は早苗の頭上へと移動した。
「確かに『モーゼリプレイ』は恐ろしいかもしれないわね……でも、それで自爆したら意味がないわ。故に、あなたは自分の頭上に『モーゼリプレイ』を出さない」
 咲夜は微動だにしない早苗に向かって、ナイフを投げつける。
 ナイフは早苗の寸前で静止した。
「そして時は動き出す」
 全てが動きだした。
 ナイフは早苗に命中する……はずだった。
「何ッ!? ナイフがすり抜けただと!」
 ナイフは早苗をすり抜ける。
 咲夜が攻撃した相手は『アンダーワールド』の記録だった。
「甘い……甘い甘い甘すぎるッ! 開海『モーゼの奇跡ッ!」
 咲夜の頭上では、本物の早苗が御幣を高く掲げていた。
「『ザ・ワールド』ッ!」
 咲夜はすかさず振り返り、『ザ・ワールド』の腕で早苗の一撃を受け止める。
「ふふふ……入れ替わりは予想できませんでしたが、本体で攻撃してくるのは少し頭が足りなかったんじゃないですか?」
 鍔競り合いのように衝突する中、咲夜は笑顔を浮かべる。
 対する早苗も不敵な笑みを浮かべている。
「頭が足りないのはあなたですよ」
 2人の周囲で、『モーゼリプレイ』達が地面を叩き付けた。
 無数の衝撃波が咲夜を襲う。
「しまった!」
 衝撃波に取り囲まれた咲夜は慌てて時を止めようとする。
「集中を乱しましたねッ! その甘さが命とりですよ!」
 咲夜に隙を見出した早苗は、さらに押し込んだ。
 ぐっ、と地面に押し込まれた咲夜は、衝撃波を全身に浴びてしまう。
 結果、衝撃波に吹き飛ばされてしまった。
 しかし、早苗本人の放つ『モーゼの奇跡』がクリーンヒットしなかったの幸いである。
 もし命中していたら、確実に負けていただろう。
 咲夜は空中で再び体制を立て直す。
「衝撃波だけでもかなり痛いわね……でも、もう一つの安全地帯は見つけたわ」
 咲夜は着地せずに飛び、鳥居の陰に隠れた。
 鳥居の陰に隠れた咲夜を見て、早苗は歯噛みする。
 鳥居の周囲には、『モーゼの奇跡』を記録させてはいなかったのだ。
 理由は簡単。鳥居の近くで『モーゼの奇跡』なんて放てば鳥居が壊れるからである。
『モーゼの奇跡』を記録させていなければ、『モーゼリプレイ』を放つことはできない。
 故に、鳥居の近くは安全なのだ。
 だが、『モーゼリプレイ』を撃つことができなければ、普通に弾幕を放って鳥居から離れさせればいい。
 そう考えた早苗は、札を咲夜目掛けて放つ。
 咲夜の『ザ・ワールド』が腕を振るい、それを破る。
「札を投げるだけでは、この『安全地帯』から私を追い出すことはできませんよ」
 お返しと言わんばかりに咲夜はナイフを投げる。
 わざと、早苗の横を掠めるように飛ばす。
 それを見た早苗は、御幣を振って風を巻き起こした。
「お得意の時間差ナイフね? その攻撃を逆に利用させてもらうわ」
 風にあおられて、ナイフは早苗の攻撃となって咲夜へと向かう。
「無駄よ。『ザ・ワールド』の腕力なら飛んでくるナイフ程度弾くことはたやすいッ!」
 大振りに『ザ・ワールド』の腕でナイフを弾く。
 右腕を振り下ろし、ナイフを落とす。
 その様を見た早苗の目が、光った。
「そこだ!」
 早苗の振った御幣が風を巻き起こす。
 風は咲夜に当たらず、咲夜の頭上、鳥居に引っかかっている軍服を揺らした。
「駄目押しッ! これでどうだ!」
 早苗は咲夜の注意を自分に引き付けるべく、弾幕を放つ。
 当然、咲夜は『ザ・ワールド』で弾幕を弾き飛ばす。
 すると、突然咲夜の視界が真っ暗になった。
「なっ……目の前が突然……」
 咲夜は驚いて、顔に触れる。
 布の感触があった。
「まさかこれは……」
 顔にかぶさった布を取る。
 手元には、茶色い服――先ほどまで早苗が来ていた軍服があった。
「どこをみている」
 咲夜が服に気を取られている隙に、早苗は咲夜の体を掴み、境内へと投げ出す。
 咲夜の体が空中に舞う。
 手元から離れる軍服。
 咲夜の視界から軍服が外れると、そこには御幣を振りかぶる早苗の姿が。
「また『モーゼリプレイ』ね!」
 咲夜は『モーゼリプレイ』が降下を始める前に時を止め、その場から離れる。
 時が止まっている間に、上を見る。
「げっ……」
 思わず青ざめた。空には天を覆い尽くさんばかりの早苗たちがいたからだ。
 時を止めていられる限界が近づいてきた。
「今ここから一番近い『安全地帯』は……早苗の近くね」
 残されたわずかな時間の中、咲夜は早苗に接近。
 早苗の真上に到達した所で、時は動き出した。
 轟音を立てて、『モーゼリプレイ』が地面に衝突する。
 咲夜はナイフを手に放とうとするが、『モーゼリプレイ』の出す衝撃波にあおられて早苗から離れる。
 空中で動けずにいる咲夜を見て、早苗は目を光らせた。
「その位置……やっとその位置に来たわね咲夜さん……」
 早苗の言葉に、咲夜は目を丸くした。
「その位置は、あなたが最初に私の『モーゼの奇跡』を受けた場所ッ! そこで『アンダーワールド』の『モーゼリプレイ』を発動させれば……その『モーゼリプレイ』は必ず当たるッ!」
 早苗は咲夜の上に視線を移す。
 早苗の横に、その影は現れた。
 細い肉体。両目に当てられたパッチとそこから伸びるコードは後頭部へと延びている。
 体のあらゆる所に記号らしき文様が現れ、薄く発光する。
「『アンダーワールド』! 私の『モーゼの奇跡』を『リプレイ』しろッ!」
 早苗は自分の傍に立つ『アンダーワールド』に命令する。
『アンダーワールド』の視線が、咲夜の上へと向いた。
 咲夜の上に、早苗の姿が現れる。
「これが最後の『モーゼリプレイ』! あなたに命中した『モーゼの奇跡』をリプレイしたッ! この『モーゼリプレイ』は必ずあなたに命中するッ! 時を止めて移動してもだッ!」
 その言葉を聞いた咲夜は、にやりと笑って、
「その攻撃を待っていたわッ!」
 時を止めた。
 止まった世界の中で咲夜が移動する先は、早苗の懐。
 そこで咲夜はしゃがみこみ……
「そして時は動き出す」
 時間を動かし始めた。
 そして……ズドン。
 咲夜を中心として衝撃波が巻き起こった。
 境内の玉砂利が巻き上げられ、砂煙が起こる。
 何者かの腕が、砂煙を払った。
 砂煙は払った腕は、『ザ・ワールド』の腕だった。
「私の勝ちよ。『私に必ず当たる』なら、『私がどこにいても私の頭上に現れる』。なら……『モーゼリプレイ』と私の間に貴女が来るようにすれば、『モーゼリプレイ』はあなたに当たるのよ」
 咲夜は、地面に突っ伏す早苗を見下ろした。
 地面に倒れる早苗は、頭に大きなたんこぶを作って黙っていた。
 咲夜の傍に立つ『ザ・ワールド』の姿が消えていく。
 頭からDISCが飛び出す。
「近距離でのパワーが上がって、ナイフ投げの距離も長くなるのはうれしいけど、止めていられる時間が極端に短くなるのは考え物ね」
 それをキャッチした咲夜は、懐にそれを仕舞い込んだ。
「まあ、弾幕してる時は5秒ぐらいしか止めないから気にしなくていいけど」
 さっきまで金色に輝いていた髪は、元の銀色に戻る。
「さて……次は神社の中ね……」
 咲夜は振り返り、社殿の方を見る。
 背後から、玉砂利を踏む音が聞こえてきた。
 すぐに咲夜はナイフを取り出して振り返る。
「見たところ戦いに勝った後って感じだな」
 鳥居の下に蓮見琢馬とチルノが立っていた。
「蓮見さん。無事でしたの」
 咲夜はナイフを懐にしまった。
「ああ。見張りに見つかって水晶玉を割ってしまってね。一人で隠れながら移動してたんだ」
「それは大変でしたね……で、隣の妖精はどうしたの?」
「急に周囲が静かになったから移動しようとした時にぶつかった。ここに来たがっているみたいだから連れてきた」
 仏頂面で説明をする琢馬。
 彼が連れてきたチルノは気絶している早苗のたんこぶを指でつついている。
「こらこらやめなさい」
 琢磨はすぐにチルノの襟を引っ張って咲夜の前まで連れてくる。
「それで、これからどうするの? もう一人仲間が山に入っているはずだけど、来るのを待つ?」
 咲夜の提案に、琢馬はうなづいた。
「そっちの方がいい。何があるか分からないから……って!」
 琢馬が目を離したスキに、チルノが神社の戸を開けている。
 すぐに琢馬は走った。
 しかし遅かった。すでにチルノの手によって社殿の扉は開けられてしまった。
「ふふふ……あたいが一番乗りね」
 全開の扉を前に、腕を組んで自惚れた笑みを浮かべるチルノ。
「あら? 早苗負けちゃったんだ」
 腕を組むチルノの横を、諏訪子が駆けだしていった。
「……あれ?」
 チルノは振り向いて諏訪子を見る。
 諏訪子は早苗の頭に湿布を貼っている。
「ご苦労だった早苗……あとは私が頑張るよ」
 その様を咲夜、チルノ、琢馬の三人は黙って見ている。
「ここまでよくぞたどり着いたわね……いかにも、私が妖怪の山の『春水晶』を守る者よ」
 諏訪子は早苗を背負って社殿の方を向く。
「まずは上がってよ。なあに、罠とかは用意してないから」
 チルノはすぐに社殿に入った。
 咲夜と琢馬は顔を見合わせた。
「どうする?」
「罠が仕掛けられていても、少なくとも私は脱出できるから私は行くわ」
 咲夜は社殿に入る。
 琢馬は少し考えた後、
「野外だといつ天狗に襲われるか分からないな……だとしたら社殿に入るのもありか……」
 諏訪子について行った。


 ドン、と大きな音を立てて柱が二つに折れる。
 折れた柱はそのまま湖に落ちて大きな水柱を立てた。
「次はどの方向?」
 フランは額の汗をぬぐい、ナランチャを見る。
 ナランチャは双眼鏡で周囲を見渡している。
「次はこっちだ! 五つも来てるぞ!」
 ナランチャはさっきとは逆の方向を指差す。
「五つも……ちょっと骨が折れるわね」
 フランはナランチャの指差した方向を見る。
 力を入れて、その方向を見る。
 視界が変化した。遠くに浮かぶのはオンバシラではなく『オンバシラの目』
「なにも無い夜空に『目』が五つ……間違いないわね」
 フランが手を伸ばすと、五つの『目』は手に集まってくる。
 そしてそれを、握りつぶす。
 大きな音がして、夜空に浮かぶオンバシラが落ちていく。
「よっしゃ! 次はどこ?」
 フランはサムズアップした。
 ナランチャもサムズアップを返し、次の標的を探していく。
 その様子を見ながら、レミリアは紅茶を一口。
「……思ったよりも苦戦していないわね」
「このまま何もないといいけどね」
 レミリアの横で、パチュリ―は水晶玉を覗き込む。
「水晶玉なんて見ても何も見えないでしょ。範囲は湖の端っこまでなんでしょ?」
 水晶玉を見つめるパチュリ―を横目に、レミリアはバタークッキーを齧る。
「さっきの水晶玉とは別の物。今使っている水晶玉は妖怪の山周辺まで写せるわ。でも拾える反応の位置もおおざっぱだし、そもそも大きな反応しか拾えないわ」
「へー。そんな物もあるんだ」
「まさかこんな所で役に立つとわ思わなかった」
「じゃあなんで作ったのよ」
「探知範囲の限界を試してみたかったのよ」
「それにしても、怪しいわね。さっきから来てるのは柱ばかり。普通なら天狗の百人や二百人よこしてもおかしくないと思うけど?」
「山に行っている連中がうまくやってるんじゃない?」
「そうだといいけど……ん?」
 パチュリ―は、目を丸くして水晶玉を覗き込んだ。
「レミィ! 博霊神社の方から反応よ!」
 パチュリ―の言葉に、レミリアはカップを皿に置く。
「数は? どこに向かっている?」
「数は五つぐらい。方向は、白玉楼よ」
 水晶玉には、赤い点が五つ固まって動いている。
 レミリアはそれを見て、再びカップを手に取った。
「そう言えば蓮見が博霊神社には八雲紫がいるって言ってたわよね。紫の反応を特定できる?」
 レミリアの質問に、パチュリ―はうなづく。
「彼女は一番警戒するべき要素だから、すでに特定は済んでいるわ。彼女も白玉楼へ向かっているみたいね」
 パチュリーが水晶玉に手をかざすと、赤い点の一つが紫色に変化する。
「そういえば、さっき見ていた時も紫は妖怪の山にいたわね……すぐ博霊神社の方へ行ってしまったけど」
「絶対に紫は妖怪の山で何かしてたわね……」
 レミリアは紅茶を飲み干して、パチュリ―の水晶玉を覗き込む。
「まあ、紅魔館にとばっちりが来なけりゃそれでいいでしょ。私たちは咲夜たちからの報告を待つだけよ。
 水晶玉に写る点をひとしきり見て、レミリアはティーポットから紅茶を注ぐ。
 夜は更けていく。
←To be continued... EDテーマ GET IN THE RING『メルヘン』


さて、社殿に誘われて入っていった三人。
 始まるのは『神遊び』
 五枚の札を手に琢馬と諏訪子は対峙する。
 次回、ディスクブレイカー☆フラン『神遊び』
 お楽しみに。

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