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ディスクブレイカー☆フラン 第二十八話

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匿名ユーザー

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物事には『価値』がある。
 100年前から使い続けているマイセンのティーセット、20万円。
 天然シルクでできたシーツと天然羊毛の布団が付いたキングサイズの天蓋付きベッド、50万円。
 ボヘミアンガラス製のシャンデリア、500万円。
 このように、物事の『価値』の多くは『お金』で表される。
 だが、お金であらわすことができない『価値』も世の中には存在する。
 例えば、『みんなと過ごした思い出』。
 壊れてしまった物は治らない。
 特に、跡形もなくなってしまったものは。

 ディスクブレイカー☆フラン『フランめざめ』OPテーマ 岸田教団&THE明星ロケッツ『緋色のDance』

 レミリアは呆然としていた。
 そりゃもちろんである。自分の家を地下室残してぶち壊されたのだから。
 フランは呆然としていた。
 こちらを見下ろしてくる魅魔の背後に、傘を思いっきり振り上げる紫の姿があるのだから。
「どうした? 驚きに……」
「少しは自重しなさいッ!」
 自信満々の表情の魅魔の脳天に、傘が振り下ろされた。
 バットでボールを打ったかのような爽やかな音が辺りに吸い込まれた後、魅魔は湖に落ちて水柱を作った。
「痛い! 何をする紫ッ!」
 すぐに飛び上がって紫の胸倉をつかむ魅魔
「それはこっちのセリフよ! 一発かまして来いとは言ったけど!」
 傘の持ち手で再び魅魔の頭を叩く紫。
 こめかみの辺りに入っている。
「うっおーっ!! くっあーっ!! ざけんなーっ! あたしゃ言われた通りにやっただけだーッ!」
 魅魔は怒りの絶叫と共に反撃のビンタを紫にお見舞いする。
 錐もみ回転しながら飛んでゆく紫。すぐにスキマに飛び込んで体制を立て直した。
「物事には限度があるでしょ! 壊した建物誰が弁償するていうのよ! 萃香と私なのよ!」
「これ程やればどこに春水晶置いたってあたしの極太ビームの余波で壊れるんだから結果オーライでしょ! その後はあたしゃ知らん!」
「なんですって~!」
 2人は紅魔館の連中を放置して壮大な弾幕バトルを始めた。
「これはひどいな」
 服についた土を手で払いながら、ディアボロは立ち上がった。その言葉は紅魔館の惨状に対するものか、それとも目の前の仲間割れに対するものか。
「なあ、フラン。これって仲間割れ……だよな」
 ナランチャは困惑して目の前の光景を見る。
 彼だけではなかった。紅魔館の住人の全員が呆然として目の前の弾幕バトルを眺めている。
「ぬおっ! スキマがッ!」
 弾幕を繰り出す魅魔の手がスキマに飲み込まれた。
「かかったわね! そのまましばらく反省してなさいッ!」
 紫は指を鳴らして、スキマをさらに広げる。
 ずぶずぶとスキマに沈んでいく魅魔。
 そしてスキマに飲み込まれ、スキマは消えてしまった。
「ふ~。やっとあの祟り神を封じ込んだわ。これで10話分は出てこれないわね」
 額の汗をぬぐって、紫は一息ついた。
 ふと下を見てみると、紫とレミリアの目が合った。
 レミリアの表情は物凄い表情だった。
 怒りの表情で涙を流していた。
「よくも私たちの紅魔館を……許さん!」
 レミリアは怒りの叫びをあげる。
 不思議なことが起きた。レミリアの体がルビーの輝きを放つ霧と化したのだ。
 吸血鬼の持つ力の一つ、『霧に変身する力』である。
 紅い霧は紫の周りにまとわりつく。次の瞬間、霧はレミリアの姿に戻り紫を羽交い絞めにする。
 大きな口を開け、八重歯を光らせて紫の首筋に噛みつく。
「痛い痛い痛い痛い!」
 噛みつかれる痛みに紫は暴れる。
 だがレミリアは歯をさらに食い込ませて離さない。
「ならば! 湖に沈めてやるわ!」
 紫は湖に向かって飛んでゆく。
 水に弱い吸血鬼であるレミリアを弱めるためだ。
 しかしレミリアの体は霧となって紫の体からすり抜ける。
「いきなり噛むなんてひどいわ!」
 紫はすぐに幾つもの光の壁を出現させる。
 光の壁は正方形の箱となって霧のレミリアを追い詰める。
「それで閉じ込めたつもり?」
 レミリアはすぐに霧化を解除し、両腕を広げる。
「閉じ込めようったってそうはいかないッ! 紅符『不夜城レッド』よ!」
 レミリアの全身が紅い十字架に変化して、彼女に迫る光の壁を砕く。
「続けて行くわよ! 神槍『スピア・ザ・グングニル』」
 間髪入れず手元に紅い槍を出して、それを紫に向ける。
「行くわよ!」
 突撃するレミリア。
「何で襲い掛かってくるのよ……幻巣『飛光虫ネスト』」
 紫は背後に飛行物体を出現させ、無数のレーザーをレミリアに向けて放つ。
「だらっしゃあぁぁぁ!」
 飛んでくるレーザーにひるまず、レミリアは叫びと共に赤い槍を投げた。
 槍は猛烈な速度でレーザーを蹴散らして紫の元へ飛来してゆく。
 槍は紫の開いた隙間に吸い込まれてゆく。
 隙間を閉じて、弾幕を正面へ放とうとする。
「なっ……いないッ!」
 しかし紫の正面にはレミリアの姿が無い。
 動揺する紫。その両腕に紅い鎖が巻きつく。
「捉えたわ……運命『ミゼラブルフェイト』よ」
 レミリアは紫の下を取っていた。
「これで決めるッ! 夜王『ドラキュラクレイドル』ッ!」
 レミリアの体が、高速回転する紅い弾丸と変化して紫へと飛んでゆく。
 鎖で巻かれて動けない紫に、紅い弾丸が突き刺さろうとしたその時、レミリアの横にスキマが出現する。
 出てくるのは先ほどスキマに入れたレミリアの槍。
 自分が放った槍に撃たれたレミリアは、その軌道を大きくそらせてしまう。
 鎖も紫を開放してしまう。
 紫から離れた距離で体制を立て直すレミリア。紅い瞳がぎらりと紫を睨みつける。
 飛び出そうとするレミリア。
「もう春水晶争奪戦は終わってるっていうのに……!」
 紫は歯噛みをして手元に小さなスキマを開いた。
「アンタのせいで私たちは家なしよ!」
 レミリアは再び『ドラキュラクレイドル』を繰り出して紫に向かって下から突撃した。 
「これでも喰らって頭冷やしなさいな! 消火ホースだッ!」
 対抗して紫は手元のスキマから消火栓につながっているホースを取り出してレミリアに向けた。
 ホースの先から大量の水がばら撒かれる。
 即席の雨がレミリアに降りかかろうとする瞬間、レミリアの姿が消失した。
 すぐに紫はすぐに上を向いた。下に向けて放水したのだから水を回避するには上に行くしかないのだ。
 彼女の上にはレミリアを抱きかかえた咲夜がいた。
「お嬢様、熱くなりすぎないでください」
 咲夜はレミリアを抱いたまま紫から距離を取る。
「お嬢様はここで待っていてください」
 咲夜はレミらを放すと、時を止めて紫の背後を取った。
 紫の首筋に、月明かりを反射して白く光っているナイフが添えられる。
「吸血鬼の次はメイド? 困ったわねぇ」
 紫はわざとらしく困ったような声を出した。
「何でそこまで喰らいついてくるのかしら? もう春水晶争奪戦はは終わっているのに」
「そうですね……さっきの会話を聞く限り、紅魔館を消し飛ばした奴をけしかけたのはあなたですよね?」
「まあ、そういうことになるわね。こんな結果になるとは思いもしなかったけど」
 ナイフを突きつけられているにも関わらず、紫はやれやれと言わんばかりの胡散臭い溜息をつく。
「弁償しようとは思っているわよ」
 と紫。咲夜は微動だにしない。
「それはありがたいことですね。しかしなぜあんな奴をこちらによこしたのでしょうか?」
「まあ、争奪戦自体が大きなお遊びみたいなもんだから、デカいインパクト見せるのってのもアリかな~と思っちゃったり☆」
「それで紅魔館を吹き飛ばしたんですか」
「まさかあんなことになるなんて……」
 涙を流して袖を濡らす紫。どっからどう見ても演技にしか見えない。
 ナイフを突きつけられておきながらこんなことができるなんて大した度胸だ、と咲夜は呆れてため息をつく。
 そのため息を、紫は見逃さなかった。ナイフを突きつける咲夜の手を扇子ではじく。
 足元に隙間を開き、その中に落ちていく紫。
「しまった!」
 ぎょっとして咲夜は飛びのいた。
 咲夜のすぐ目の前に紫は現れる。
「まあ、落ち度は私にあるわ。紅魔館の再建は私が請け負いましょう。それで手を打ってくれるかしら?」
 傘をくるくると回しながら、紫は咲夜と目を合わせる。
「……どこまで元に戻せるのかしら?」
 紫と合っている咲夜の目が、紅く光る。
「そうね。家具などはできるけど……」
 傘を回しながら困った顔を浮かべる紫。
「食べ物や家具の過ごしてきた年月は元に戻せないって訳ね」
「そういう事」
「いいでしょう。交渉成立よ」
 咲夜はナイフを袖の中に仕舞い込んだ。
「それじゃあ、この一件はお終いってことで。納得できました? 紅魔館の吸血鬼さん?」
 紫はニコニコ微笑みながら、レミリアを見る。
 レミリアは不服そうな表情を浮かべ、逡巡のあと、いやいやうなづいた。
「色々ともやもやしたものがあるけど、もういいわ。紅魔館は春水晶争奪戦に負けて、八雲紫はさっきの緑髪がぶっ壊した館を元に戻す。それで答えね」
 吐いて捨てるようにレミリアは言って、紅魔館跡に着地する。
 着地したレミリアの背後では、パチュリーが呪文を唱えて地下図書館の天井づくりをしていた。
 ガラガラと音を立てて、石がむき出しの図書館を埋めていく。
 そんなパチュリーと離れた場所で、フラン、チルノ、ナランチャ、ディアボロ、大妖精の5人が話し合いをしている。
「はあ。疲れたわ。今日は図書館で寝泊まりね」
 レミリアはため息をついて、パチュリーが作った急ごしらえのドアを開き、図書館への階段を下っていく」
 咲夜も続いてレミリアの後についていく。
 その様を上空から眺めて、紫は一息ついた。
「さて、萃香呼んで早速頼むことにしますか……はあ」
 これからやるべきことを考えると、紫は自然にため息をついてしまう。
「前に博霊神社の立て直し頼んだ時はロマネコンティ取られたっけ……」
 ロマネコンティ、超高級ワインで物によっては100万円以上は当たり前の品である。
 今度は何を取られるかわからない。
『魔王』かもしれないし『薩摩の切り札』かもしれない。
 どちらにしろ高い酒が取られるのは確定事項だった。
 しかし、紅魔館を直さないというわけにはいかない。
 幻想郷は微妙なバランスで成り立っている。
 もちろん紅魔館もそのバランスを担う一つの要因である。
 結局のところ『紅魔館を直さない』という選択肢は紫には無いのであった。
 もう一回ため息をついて紫はスキマを開いた。
 スキマの中に入ろうとすると、
「ちょーっと待った!」
 フランの叫びが紫の耳に飛び込んできた。
「……何よ?」
 もううんざりだという表情を浮かべて、紫はフランの方を向く。
「春水晶争奪戦、紅魔館対博霊神社は博霊神社の勝利に終わった……これで春水晶を持つ者は博霊神社の身となる……そう考えているわよね?」
 フランの言葉に、紫はにわかに反応した。
「…………何が言いたいのかしら?」
「実を言うと……春水晶は『一つだけ』、残っているわ」
 春水晶が一つだけ残っている。その言葉に紫は動揺した。
「その春水晶は何処にあるのかしら? そしてそれをよこしなさい」
 視線を矢にしてフランに飛ばす紫。
「春水晶は『人里』にあるわ。そして春水晶を渡すのは断る」
 意地悪な笑みを浮かべるフラン。
 捻じれた時計の針に似た形の杖を取り出した。
「ただいまを持ってこの私、フランドール・スカーレットは『人里勢力』として『博霊神社勢力』へ『春水晶争奪戦』を申し込むッ!」
 次の瞬間、フランドールは無茶苦茶なスピードで空へ飛び立つ。
 そのスピードの速さたるは正に『空へ向かって落ちていく』勢いであった。
 飛び立つフランを見た紫は、袖の下から通信用の陰陽玉を取り出した。
「霊夢………………ッハ!?」
 霊夢に通信を入れようとした矢先、紫はいつの間にか袖の下に陰陽玉を戻していたことに気付いた。
「私はいったい何をしていた……」
 再び袖から陰陽玉を取り出す紫。
「霊夢! ……………た!」
 霊夢に通信しようとする紫だが、何故か通信できない。
 ギュッと陰陽玉を握りしめる紫。
「一体……何が起きているというの……」
 陰陽玉を握る手がプルプルと震える。
 紫が手間取っている間に、フランは夜空に虹を描いて博霊神社勢力本陣へと飛んでいく。
←To be continued... EDテーマ Pay money To my Pain『Another day comes』
ttp://www.youtube.com/watch?v=6MlL4Tw_Fsw

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