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ディスクブレイカー☆フラン 第三十五話

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匿名ユーザー

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「何で寝ると明日が来るのかしら!? 私はずっとぐうたらしていたいだけなのにっ!」
 朝の永遠亭に輝夜の悲鳴が響き渡った。
 すがすがしいまでに自分の欲望丸出しの叫びである。
「……永琳さん、姫さんが朝から叫んでますけど何かあったんですか?」
 徹夜の資料整理を終えた育郎は、残った書類を抱えて永琳に向き直った。
 ホコリまみれの永琳は、困った表情を浮かべて溜息をつく。
「ま~た始まったわね。どんな薬でも治せない姫の病気が」
 乾いた笑いと共に吐き出された彼女の言葉は、これから始まる波乱を育郎に予想させた。
 ドタドタと音を立てて誰かが廊下を走ってくる。
 非常に慌ただしい様子で輝夜が走ってきたのだ。
 輝夜は2人に目もくれず一目散に走り去ってゆく。
「追いかけた方がいいと思いますけど……」
 育郎は輝夜の背中を目で追った。
「そんなことよりも資料の方が先よ。『寄生虫バオー』、今は薬で活動を抑制してるけど、近いうちに取り除かなきゃならないんだから」
 永琳は服についたホコリを払いながら、、資料室の扉を閉めた。
 
 

  ディスクブレイカ―☆フラン 『東方永夜抄6面で自重できていない蓬莱山輝夜』

 紅魔館が迷宮と化した騒動から数日が過ぎた。
 夜、フランは藤の籠を持って庭に出る。
「え~っと、切れかけている喘息の薬と、筋肉痛の薬、と……またパチュリー筋肉痛なんだ」
 フランは籠の中財布と張ってあるメモがあるのを確認して飛び立つ。
 紅魔館の時計塔が12時を告げる鐘の音を鳴らした。
「よっしレッツゴー!」
 鐘の音と共にフランは飛び立つ。
 宝石のようなフランの羽が月光を反射する。
 目にもとまらぬスピードで飛ぶものだから、地上からフランを見る者がいれば、それは夜空に虹がかかっているように見えるだろう。
 彼女が向かう先は永遠亭。幻想郷で良質の薬をてっとり早く手に入れるなら永遠亭が一番だ。
 しかし、その永遠亭に行くには大きな障害が一つある。
 迷いの竹林。刻々姿を変え続けるその竹林は踏み入れるものをその名の通り迷わせる。
 その迷いの竹林を抜けられる者は3人。
 竹林を知り尽くしている不死身の少女、藤原妹紅。
 永遠亭から薬を売りにやってくるウサミミブレザー少女、鈴仙・U・イナバ
 同じく永遠亭から薬を売りにやってくる外の世界からの来訪者、橋沢育郎。
 この3人の内鈴仙と育郎は永遠亭に常駐しているので、永遠亭に来るには必然的に妹紅に頼ることになる。
 夜空に虹をかけてフランが着地したのは、竹林の近くにある掘っ立て小屋の前。
 吹けば飛びそうなボロい小屋の前に、フランはゆっくりと着地した。
 ざくざくと小屋の前の砂利を踏んで、小屋の戸をノックする。
「ほいほい。手紙で話は聞いてるわよ」
 小屋から出てきたのは藤原妹紅。
 さっきまで寝ていたらしく、足元まで伸びた白い髪が少し乱れていた。
「ほいじゃ、さっそく行きましょうか」
 ブーツが砂利を踏み鳴らし、手櫛で髪をならす。
「フランは飛ぶの速いし、ちょっとスピード出すわよ」
 砂利を踏みしめると、妹紅は飛び立った。
 フランも続けて飛び立ち、妹紅の後をつけていく。
 並び立つ竹を抜けると、行き着く先は永遠亭。
 10分ほどでたどり着くことができた。
 永遠亭の門をくぐる。
 庭にはウサギたちが跳ねていて、2人の姿を見るなり駆け寄ってくる。
「もこうだー」
「ねー、なにしにきたのー?」
「ひめとけんか?」
 ウサギたちはぴょんぴょん跳ねながら妹紅の周りに集まる。
 相当なついている様子である。
「今日は喧嘩じゃねーよ。フランが薬を貰いに来たんだ」
 妹紅はウサギたちを踏まないように歩きながら玄関へと向かう。
「な~んだ。それじゃきょうのかけはなしですな」
「せっかくひまつぶしができるとおもったのに」
「かえろかえろ」
 妹紅の用事が自分たちの予想とは違ったので、ウサギたちは跳ねながらどこかへ散っていく。
 フランもウサギがいなくなって歩きやすくなった道を歩き、玄関をくぐった。
「あら? 妹紅さんにフランちゃん。こんな時間にどうしたんですか?」
 玄関には、荷物を抱えた鈴仙がいた。
「ああ、フランが薬を貰いに来たのよ。ほら、フランって吸血鬼だから……」
 年代物のブーツを脱ぎながら妹紅は鈴仙にここに来た理由を話した。
「だからってこんな夜遅くに来なくても……」
「そんなこと知るかよ。こんな時間に空けている方が悪い。まあ、お詫びと言っちゃなんだけど手伝うわ」
 妹紅は軽い悪態をつきながら鈴仙の荷物を持った。
「これ、どこに持っていけばいい?」
「すいません。この荷物は資料室の前に置いておいてください」
 あいよ、とだけ言い残して妹紅は廊下の奥へと消えていく。
「じゃあフランちゃん、案内しますね」
 鈴仙は靴を脱いであがったフランの案内を始めた。
 しばらく廊下を歩くと、永琳の部屋についた。
 コンコン、と鈴仙がドアをノックすると、部屋の中からどうぞ、と声がした。
「師匠、フランちゃんが薬を貰いに来たと……」
 そういいながら鈴仙は部屋に立ち入る。
 部屋の中では永琳が資料らしき書類の山と格闘していた。
「ああ、紅魔館のお嬢さんね。喘息の薬かしら?」
「それと、筋肉痛のお薬」
 永琳の言葉の後にフランが付け足す。
「はいはい。鈴仙、いつもの薬を出しておいてちょうだい。私はこの書類を全滅させなきゃいけないから」
 そう言われて、鈴仙はフランの手を引いて部屋を出た。
 2人は薬の倉庫までたどり着き、鈴仙が倉庫の中の薬を2つ取り出した。
「液体が入った瓶の方が喘息の薬で、軟膏が入っている方が筋肉痛の薬ですよ」
 2つの薬をフランの持つ籠に入れる鈴仙。
 薬を受け取ったフランは、籠の中の財布からいくつかの紙幣を取り出して鈴仙に渡す。
「あ、お代ですね。ちょっとお釣り持ってくるから、居間で待っててね」
 そう言い残して鈴仙は廊下の奥へと消えていく。
 フランは言われた通り居間へと向かい、居間にあるソファに座る。
 ソファの前にはテーブルが置かれていて、テーブルの上にお菓子が置いてある。
「うんしょ、うんしょ……」
 そしてテーブルの上にある菓子、その中にある小さな袋に包まれたチョコを取ろうと苦戦する者がいた。
 フランはテーブルに近づいて、そいつが誰か確かめた。
「ネズミ……」
 テーブルの上にネズミがいた。ネズミが袋の中のチョコを取ろうと四苦八苦していた。
 何者かが近づいてきた気配をニュータイプ的超感覚でキリリッと感じ取り、ネズミは振り返った。
「なっ……お前は……だれだっけ?」
 ネズミは自分の姿をガン見していた少女を忘れていた。
「チョロ吉……なにやってんの?」
「お、おおお前なんで俺の名前知ってるんだ!?」
 突然自分の名前を呼ばれたネズミことチョロ吉は驚いて飛び上がった。
「いや、忘れたの? 私の事」
「……ああ、何となくだが思い出した!」
 そう言っておきながらチョロ吉はフランの事を全く思い出していなかった。
「なにやってんの?」
 再び聞かれて、チョロ吉はチョコの袋をフランの前に置く。
「これさ、中にチョコ入ってるみてーだけど何故か取れないだよ。どうすればいい?」
 フランはチョコの袋を手に取ると、両端を引っ張った。
 たったそれだけの行動で袋は広がって、チョコはテーブルの上に転がる。
「おお! こうすりゃいいのか! さんきゅー!」
 チョコを手に入れることに成功したチョロ吉は大喜びでチョコにかじりつく。
 ハムハムと口周りを汚してチョコをほおばるチョロ吉が、フランにとってはとてもかわいらしく見える。
 ちょんちょん、と指先でチョロ吉の頬をつついてみる。
「ん? なんだよ」
 チョコを食べるのをいったん止めてチョロ吉はフランを見る。
 にやにや笑いながらフランはチョロ吉を見つめる。
「なんにもー?」
「そうかよ」
 チョロ吉は再びチョコを食べ始める。
 するとフランはチョロ吉の頬を再び指先でつつく。
「だーっ! なんだよさっきから!」
「なんにも~♪」
「だったら止めろよ!」
 チョロ吉は飛び退いてフランの魔の手から逃れて、テーブルの端でチョコをかじりはじめる。
 しかしその程度じゃフランから逃れることはできない。
 かくしてチョロ吉のほお袋はフランにつつかれることとなる。
「じゃまするな!」
 ついにキレたチョロ吉はフランの指にかみついた。
「痛い!」
 フランは驚いて手を引っ込めた。
「なにすんの!」
「そりゃこっちのセリフだ! 俺の事さんざ小突きやがって!」
「ごめんごめん。つい可愛くって」
 ニタニタとチェシャ猫にも似た笑いを浮かべてフランは指を引っ込めた。
 そしてまたお菓子の近くにいるチョロ吉をつつきまわすのだ。
「だーっ! また小突いているじゃねーか! いい加減にしねーと溶かすぞ!」
 チョロ吉は手に持っているチョコを放り投げて怒鳴った。
「え? また小突いてた!? ごめん」
 フランはさっと手を引いてチョロ吉に謝る。
「あー、もう。これ以上小突かれるのはごめんだ。にげるっ!」
 いじりに耐えきれなくなったチョロ吉はチョコを拾ってどこかへと走り去ってゆく。
「あーあ、行っちゃった」
 フランはチョロ吉を見送ると、皿の上のお菓子に手を伸ばす。
 包みを引っ張って開けて、手のひらよりも小さなチョコを口に放り込む。 
 口にミルクチョコ特有の甘みが広がる。
 溶けていくチョコを存分に舌の上で転がし、形を失ったチョコを飲み干すと、次のチョコに手を伸ばす。
 さっきから罵声と物音で騒がしいが、大方輝夜と妹紅の喧嘩なのだろう。
「輝夜! てめぇ一体何企んでやがる!」
「あなたが知る必要はない!」
「だまってこっちの質問に答えやがれ! あのスタンドとカラクリが融合した奇妙な奴は何だ!」
「それは言えない! 私の計画に必要なものだ!」
 慌ただしい足音はだんだんこっちに近づいてくる。
「きゃっ!」 
 驚く鈴仙の声と、金属が落ちた音。
 だが慌ただしい足音と激しい弾幕音は止まらず、こっちへと、フランのいる居間へと近づいてくる。
 嫌な予感を感じ取ったフランは、チョコを食べるのをやめていつでも逃げれるように準備する。
 準備、と言っても身構えるだけだが、フランが身構えた瞬間扉が乱暴に開かれて、輝夜が居間に転がり込んできた。
「これでテメーのくだらない野望もお終いね」
 妹紅は両肩に炎を浮かべ、倒れこむ輝夜を睥睨する。
「くっ……かくなる上は!」
 輝夜は立ち上がり、見せつけるようにして『自爆ボタンらしきもの』を妹紅に見せつける。
「そのボタンが何かはわからんがさせねーよ!」
 妹紅は炎を輝夜に向けて放つが、炎が輝夜に命中するよりも輝夜の親指がボタンを押しこむのが早かった。
 当然だろう。


「……ッハ!」
 自分のベッドの上でフランは目を覚ました。どうやら夢だったらしい。
 ガラス細工で作られた時計が12時の直前を指している。
「そういえば、そろそろおつかいの時間ね」
 おつかいの時間が近づいていることに気付いたフランは、部屋から出ておつかいに必要な物を取りに行こうとした。
 図書館を抜けて、エントランスへと行く。
 途中で琢馬とすれ違う。後ろから琢馬が咳き込んで苦しむ声が聞こえた。
「咲夜ー! おつかいの籠は?」
 エントランスで咲夜の名前を呼ぶ。
 すぐに咲夜がやってきた。まるで瞬間移動したかのような速さだ。
「フラン様、さっきおつかいに出られたのではないのですか?」
 藤の籠を持った咲夜は、視線をそらしながら籠を手渡す。
「……? どうしたの?」
 咲夜の様子がおかしいことに気付いたフランは、思い切って理由を聞いてみた。
「フ、フラン様、すぐにブラシとヘア・クリームをお渡しいたします」
 咲夜は逃げるように消え去ると、すぐにブラシとヘア・クリームを持って現れた。
 その凛々しい顔をぴくぴくと引きつらせながら。
「だから、咲夜どうしたの?」
「フラン様、これを持って近くのお手洗いに行くことを強くおすすめいたします」
 ブラシとヘア・クリームを押し付けるように手渡すと、咲夜は逃げるように消えた。
 不服そうな顔を浮かべてフランは、近くのトイレに向かう。
 ブラシとヘア・クリームを持ってフランはトイレの鏡を見る。
「ぷ、ぷっくくく……」
 思わずフランは笑い出してしまった。
 なぜなら――フランの髪型は見事なアフロになってしまっていたからだ。
←To be continued... EDテーマ『カクレンジャーOPで自重できていないニンジャ・ブラック、ケイン・コスギ怪』
                 ttp://www.youtube.com/watch?v=7Q8BsDrl7ug&feature=related

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