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  • Cuz I―亀井美嘉オリジン/浅垣灯悟オリジン

真贋バトルロワイヤル

Cuz I―亀井美嘉オリジン/浅垣灯悟オリジン

最終更新:2025年08月23日 23:32

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だれでも歓迎! 編集
 ◆

 ババハウスの一角に腰を落とし、美嘉はこの光景が夢なんだと理解した。
 読書に最適な落ち着いたインテリアの中ほんのりとアロマが香る。
 辛い記憶を思い出したばかりだからその光景は夢だと知っていてもほっとする。

『あれ、君か。確か、亀井美嘉ちゃん……だっけ?』
 突然かけられた声に美嘉は小さく飛び上がった。自分しかいないと思っていた空間で、いつの間にか美嘉の向かいに若い女性の姿があった。
 黒いタートルネックに鈍い銀色のコートという簡素な格好ながらどこか浮世離れした雰囲気がある、整った顔立ちと滑らかな銀の髪が夕日に映えて綺麗だ。
 こんな目立つ人、一度でも会ったことがあれば忘れないと思うのだが。美嘉に見覚えはない。
 怪訝な顔を浮かべていると、何を考えていたのか分かったようで。女は困ったように笑った。

『私はただの亡霊だよ。
 君の知り合いでもないし。ボクのことを知らないのは当然だよ。こっちも君のことを知らないしね、君の名前だって流れ込んだ記憶を見て知ったんだ。』
「はぁ……」
『実は用があるのはもう一人のねぼすけのほうでさ。
 君の方にも顔を出せたのは本当に偶然なんだよね。多分天使のケミー?の影響だと思うんだけど。
 一応ボク死んでるし。まあそのあたりは良いか。』
 さらりととんでもないことを言ってのけ青ざめた美嘉を前に、女は続ける。

『ただ、こうして顔を合わせた以上、伝えるべきことは伝えておいた方がいい。
 ボクも一応■■■■■■■だから、君みたいないい子がむざむざとやられるところを見捨てるわけにはいかないんだよね。』
 途中だけなんと言ったのかは聞き取れなかった。
 誰かの記憶の中でその単語は使われていた気がするが。思い出せない。

「それで……伝えるべき事とはいったい。」
『君はこのままだと死ぬ。』
「……そうですか。」
 不思議と驚きはない。そうなるのだろうという予感はあった。
 体に取り込んだ少年霊を動かすたび、ケミーをその身に取り込むたび、体の奥底でなにかが歪んでいくような感覚が体を蝕んでいた感覚があった。

『柊真昼と浅垣灯悟の記憶を見ただろう?
 君がやっていることは例えるなら、鬼呪とキズナブラックの悪いところだけを組み合わせたようなものだ。
 多分あと3回も使えば君は正気を失う。』
「3回……。」
 買い被りだと美嘉は思う。自分の心はそんなに強くない。
 間違いなく、藤乃代葉の能力と美嘉が宿す悪霊”月蝕尽絶黒阿修羅”が協力的だから出てきた数だろう。
 柊真昼のように中の力が自分の精神を蝕もうとしていたとすれば、初めの1回で美嘉の心は喰い尽くされていたに違いなかった。

『……放送には上がってないが、既にこの会場に君と同じような状況で死んでしまった人が居る。
 心に空いた孔を黒い力に取り込まれて、怪物になってしまった人がね。』
 そう語る女性の顔は、物憂げに窓の外を眺める。
 夕焼けで空が黄金色に輝いている。これはいつの風景だっただろうか。
 なんだか胸がかき乱される感じだ。傷が治りかけている時のかゆみにも似ていた。

『ボクは君に”彼”の二の舞になってほしくないし、”彼”もそう望んでいる。
 そのために必要なのは何だと思う?』
「……過去の苦痛?もしくは殺意?」
 真剣に考えたつもりだったが、後になってみると寝ぼけていたのかもしれない。頭がまともに働いていない気がした。

 柊真昼の人生には苦痛があった。生まれた時から人生が定められ愛する人と隣に佇むことさえ許されない。幸せになるには他を傷つけのし上がるしかなかった。
 浅垣灯悟の人生には絶望があった。孤独に異世界に飛ばされ、自身のミスで愛する人も仲間も失った。それを忘れるには罪悪感に溺れるしかなかった。
 彼女らに比べれば、自分の苦痛など大したことない。戦場で生きる少年や薬物に溺れた家族の物語を読んだ時のようにごく自然とそんなことを思う。
 彼らが強いのは、そうした苦難を前に折れず挫けず、進むことを止めなかったからだと。

 『それはあの映像の影響を受けすぎだね。』 
 そう答える美嘉の目が真剣そのものだったからか、向かいの女は困ったように笑って頭を掻いた。

『立風館ソウジの過去ならキョウリュウジャー部分を別にすればまだありえなくもない話だけどさ。
 柊真昼やキズナブラックの半生なんて本来のキミなら異世界転移でもしない限り関わりようのない話だよ。』
 後になって思い返せば、ジョークだったのだろうか。
 ただ当時の美嘉にしてみれば『何をそんなに分かりきったことを』という感想と、『それがどうしたというんだ』という反感がきっかり半分ずつ浮かんでいたように思う。

「でも、現に私たちは殺し合いに参加させられているんです!
 キリトだったり、グリオンだったり!平気で人を殺す、他人を狂わせる連中を相手に生き残らなきゃいけないんです!」
 机を叩き身を乗り上げ責めるように女を睨んだ。
 吸血鬼もゼツエンダーも魔王族もデーボス軍も美嘉の人生に関わったりはしない。そんなことは分かっている。
 だがこの会場で求められるものは、そんな現実的な感覚じゃない。
 そうした者たちに立ち向かえる強さと、辛く苦しい戦いに耐えられる強さを持つ者だ。
 藤乃代葉がそうだった。弱く臆病な自分を守り、勇敢に戦った。
 マジアベーゼや黒見セリカもそうだった。グリオンに与していた自分を受け入れてもなお九堂りんねを止めるために戦った。
 シノンもきっとそうだった。キリトのこともあって最後まで心を許すことは出来なかったが、彼女がいなければ九堂りんねを助けることもグリオンから逃げることもできなかった。

 「私は彼女たちほど強くなれない。
 傷ついてでも進まなきゃいけないのに!辛いものを飲み込んででも戦わなきゃいけないのに!」
 自分がもっと強ければ、代葉は死ななかったかもしれない。
 自分がもっと強ければ、グリオンと手を組むようなことはなかったかもしれない。
 自分がもっと強ければ、大河くるみを泣かせるような真似は起きなかったかもしれない。

「私は!強くなりたいんです!強くならなきゃいけないんです!そうじゃないと……。」
 だからそんな弱さに負けないほどの深い感情が必要だ。
 闘争心が、克己心が、殺意が、敵意が、怒りが、恨みが、冷徹さが、容赦のなさが。
 そう言い切るより早く前に、女は口に人差し指を当てる。落ち着けという事らしかった。

『美嘉ちゃん。君の勘違いを訂正しておきたい。
 誰だって死にたくないし、戦いたくない。
 目的や理由があって戦う者はいても、戦い傷つき死ぬことそのものを好む人間なんてそういないさ。』
「なんでそんなこと……」 
『実体験かな、一度は自分が死なない未来を前に仲間を作ることを拒んだ身だ。
 それに立風館ソウジの過去も見ただろう?
 彼はキョウリュウジャーになる前から剣士だったが、好き好んで人を切り伏せたり生きるか死ぬかの戦場を楽しむために強くなったように見えたかい?』 
「見えま……せんでした。」
 キョウリュウグリーン――立風館ソウジの記憶には、闘争と和解があった。
 剣術の家に生まれ厳格な父と剣の道に反発する母が別れたのだが、その時に彼は父を選んだ。
 その理由は妻や息子を傷つけ、家族を守れない自分を悔いた父を『守りたい』と思ったからだ。
 立風館ソウジはその気持ちを思い出し必殺技を会得したという。彼の根源は闘争や殺意ではなく人を守る魂だという。

 美嘉は今の今までその記憶から目を背けていた。
 無意識のうちに『自分はああはなれない』と思っていたからだ。
 嫌なものから心を閉ざし続けてきた自分は、彼のように正しく勇敢にはなれないと。

『君が学ぶべきは柊真昼の強さよりも立風館ソウジの強さだ。
 君にはその方が向いている。素質があると言ったほうがいいかもね。
 守るべきものがある。君が強さを求める理由は感情や憎悪なんかじゃなくそっちの方がずっと”らしい”。』
 そんな美嘉に女は優しく微笑んだ。
 否定してばかりの自分を認めてくれているような言葉だ。自然と目頭が熱くなる。

『君は鬼呪を混ぜて生まれた少女でもないし。強き竜の者でも熱き友情の戦士でもない。そうなる必要もない。
 君はどこにでもいる普通の女の子だ。君は君のままで強くなればいい。』
「私は……私のままで?」
『亀井美嘉。君が強くなる理由は何だい?』
 優しい問いかけに、思い出すのは3人の顔。
 東西南北の皆。ともに過ごし、共に歌い。分かれてしまった大切な友達。
 彼女たちもこの殺し合いに巻き込まれいる。幸運にもまだ誰も死んでいない。
 亀井美嘉が心を閉ざすには、この場所には失いたくないものが多すぎる。

「友達が……いるんです。」
 彼女たちのことを口にするたび、堰を切ったように涙が溢れる。
 声をかけてくれた、私のことを見てくれた、私を救ってくれた。
 辛いことも、哀しいこともあったけど。この気持ちは嘘じゃない。贋りじゃない。

 亀井美嘉は東西南北の皆が大好きだ。
 大河くるみが大好きだ。
 華鳥蘭子が大好きだ。
 東ゆうが大好きだ。
 それは立風館ソウジが両親に向けた思いとは違うかもしれない。
 柊真昼が一瀬グレンや柊シノアに向ける思いとは違うかもしれない。
 浅垣灯悟がイドラ・アーヴォルンに向ける思いとは決定的に違うだろう。

 それでいいんだ、私は私だ。
 周回遅れを繰り返し、亀井美嘉はようやくその結論にたどり着いた。

「こんな私と一緒にいてれた、大切な友達なんです。
 私は、彼女たちを守りたい。彼女たちを助けたい。」
『それは、いいね。』
 その答えが聞きたかった。
 その優し気な笑みは、そう言っているような気がした。

『君もそう思うだろう?』
 女が隣に目をやると、これまたいつの間に居たのか小さな男の子が座っていた。
 幼稚園児か小学校定額ね小学校低学年くらいの、スケッチブックを持った男の子。
 美嘉はその子を知っている。
 美嘉に支給され、紆余曲折あり美嘉に取り込まれた悪霊、月蝕尽絶黒阿修羅。

『理由は見つけた、後は力だ。
 君が戦うにはどうしてもこの子の力が必要になる。素のキミはよっぽどじゃなければマルガムになんてなれないしね。』
 それは否定しようがないことだ。
 支給された起動キーは壊れたし、変身するための力もない。
 その言葉に黒阿修羅こくりとうなづくと、スケッチブックをこちらに向ける。たどたどしいひらがなだ。

【でも、このままたたかうとおねえちゃんはたおれちゃう。
 しきゅうひんのくろあしゅらのつかいかたとちがう。】
「あっ、そっか。」
 そういう話だったなと美嘉は思い出す。
 このまま黒阿修羅の力を使えば、よくて3回で正気を失う。
 どこか他人事のように考えていたが、今となっては許容しがたい話だ。
 怪物化した自分に涙を流す大河くるみの顔なんて、美嘉はもう見たくない。

『だけど、それは黒阿修羅が美嘉ちゃんの”中”にいることが原因だ。
 美嘉ちゃんの中から君を取り除き、なおかつ戦える形に変えることができれば、美嘉ちゃんのリミットは気にしなくてよくなるのさ。』
 そう前提を再提示して女は身を乗り出した。
 蘭子やゆうが突拍子もない提案をするときとよく似た表情だ。こういう時くるみがいればいい感じの掛け合いをしてくれるのだが。
 そんなことを思い出せるくらい、自分は落ち着いていたと気づき。
 今の今まではそんなことも思い出せないくらい、自分は傷ついていたのだ。

『ボクに1つ提案があるんだが、聞いてくれるかい?』
 悪戯っぽく片目を閉じて、女ははにかむ。
 この人案外可愛らしい人なんじゃないか、そんなことにも美嘉は今更ながら気が付いた。

 ◆

 ドゴルドと真昼の戦いは、時間がたつごとに苛烈を極めていく。
 より正確に言えば、ドゴルドが徐々に真昼を押してきていた。

 「オラオラどうしたどうした!!その程度じゃねえよな柊真昼ゥ!!」
 ヤンキー漫画の不良生徒のようにドゴルドが荒々しく吠える。
 感情任せに暴れているように見えるが、その実彼の刃は回避や防御が困難な位置を的確に狙っていた。
 首、脛、手首、正中線。行き着く暇もない戦いでは壊された瞬間敗北が確定する場所を、ノ夜とカラドボルグの二刀をもって真昼は捌く。
 あるいは仮面ライダーソロモンへと変身していることを差し引いても、五道化たるドゴルドの猛攻を凌ぎ五体満足を保っている真昼をこそ評価すべきかもしれない。

 「埒が明かないわね。
 そっちで倒れてる子たちを気にする余裕も無くなってきたし。」 
 振るう七支刀の速さも、迸る聖文字の稲妻も、全身を流れる呪力の強さも。
 怒りの戦騎という異名をその身で示すように、ドゴルドが生み出すあらゆる暴力が確実にその勢いを強めていく。
 もはや正面戦闘ではジリ貧だ。
 真昼は判断し真っ向勝負を切り捨てる。

「よーいしょ!」
 軽快な声に合わせ、ノ夜を握るとドゴルドの顔面目掛けて突き刺した。
 そんな単調な動きを避けられないドゴルドでは無い、左腕で真昼の手を弾き飛ばし、ノ夜は大きく弧を描いてコンクリートに突き刺さる。

「舐めてんのか!?」
「んなわけないじゃないですか。自分の腕を見てくださいよ。」
「んだと?」
 武器を捨てるような動きに憤ったドゴルドは遅れて気づく。
 真昼の攻撃を弾いた左腕に張られた呪符。総勢五枚。
 益子薫に悪夢を見せるのと同量の、強力な幻覚がドゴルドを襲う。
 真昼の本命は呪符の方だ。ドゴルドから離れる時間を稼げればいい。
 薫の時ほど有効には働かないだろう。呪力や聖文字の力で弾かれる公算の方が高い。稼げる時間はよくて数秒といったところか。急がねば。

「四鎌童子!!」
 視界を失いブンブンと振り回していたドゴルドの七支刀に引っ掛けるように、柊真昼は自身に宿る鬼呪の1つを解放する。
 死神が振るっていそうな漆黒の大鎌だ。具現化したその柄が、真昼の意思に従ってその体を弾き飛ばす。

「鬱陶しいんだよ!腹立たしい!!」
 ドゴルドが呪力を迸らせ幻覚を弾いたが、既に真昼はノ夜でもカラドボルグでもない新たな武器を手にしていた。

「ちょっともったいないかな。でもいっか。ドゴルド相手なら不足はないしね。」
 リュックよりも明らかに大きい兵器を、ソロモンはその肩に乗せて構える。
 水晶より生まれた仮面ライダーの戦利品。アンノウンを消し飛ばす対地用ミサイル。
 G4ギガントと呼ばれる殲滅兵器。その引き金は柊真昼が握っている。敵対者にとってそれ以上の最悪はない。

「ミサイルだと!!」
「んでこんな奴にあんなもんが支給されてんだよ!!クルーゼの野郎か!!アホかあいつ!!!」
「じゃあ、いってらっしゃ~い。」
 どよめくソウジとドゴルドを真昼が気にするわけもなく、残り3発のギガントは容赦なく射出された。
 一発はドゴルドに、一発はソウジに。そしてもう一発は美嘉と灯悟へと照準が向いていた。

 自身に迫るミサイルによる被害規模は予測できない。
 至近距離での対応も難しければ、都市部の戦いである以上半端な回避は無意味だし、瓦礫や粉塵で柊真昼を見失うのは愚策だ。
 遠距離攻撃で迎撃する以外、彼らに対応する道はない。

「しゃらくせぇ!!!」
 そうした結論に至ったドゴルドは、迎撃の意志を持って聖文字を起動し喧嘩上刀を向ける。
 刀を軸にバチバチと音を立て束ねられた蒼炎の様な稲妻が、ドゴルドの号令と共に5ギガジュールの雷の矢となり撃ちだされる。
 それはドゴルドが持つ聖文字。【雷霆】(The Thunderbolt)本来の使用者たるキャンディス・キャットニップが神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)。

「ガルヴァノブラスト!!」
 怒号と共にその雷霆はミサイルを撃ち落とす。
 白色の弾丸の残骸がわずかに降り注ぎ、その大半は煤と爆炎を上げて消し飛んだ。

『ガブリンチョ!ザクトール!ザクトール!』
「獣電ブレイブフィニッシュ!!」
 ソウジに迫るミサイルが同じように爆ぜたのもドゴルドとほとんど同時だ。
 ガブリボルバーから放たれた緑色の恐竜の様なエネルギー弾が、G4のミサイルを飲み込むように打ち砕く。
 空中で爆ぜたことで瓦礫も粉塵も出ていない見事な対応だがマスクの奥の顔は苦々し気なものだ。
 その理由はソウジらキョウリュウジャーの力の源、獣電池の消費速度にある。
 変身で1本。今の迎撃で1本。ソウジは獣電池を使用した。ソウジが持つザクトル獣電池は6本だが、変身と今の一撃で2/3を使用した計算だ。
 必要な迎撃ではあったが消費が速い。再利用にはスピリットベースでチャージする必要があるが、この会場からはスピリットベースに向かう手段がないのだ。
 ドゴルドや真昼の様な参加者を無力化するならまだしも、大技の迎撃程度に消費したくなかったという思いはわずかにあった。

(この殺し合いを羂索やヒースクリフが『ゲーム』と言っている以上、何らかの形でスピリットのチャージは可能だと思うが……)
 でなければキズナブラックや起動キーと比べて、キョウリュウジャーの使い勝手が悪すぎる。
 キョウリュウジャーにだけビハインドを背負わせるような恨みが運営側にあるかもしれないが、だとすればキョウリュウジャーの参加者がソウジと空蝉丸しかいないというのが引っかかる。

「……いや、考えるのは後だ!一先ずここを切り抜けないと」
 スピリットのチャージ手段の確保は急務だが、それに固執して誰かを見捨てるような真似をするのはソウジのプライドが許さない。
 ソウジは走る。今なお迫る最後のミサイルを迎撃するのは自分しかいない。

「オイオイいいのかよキョウリュウグリーン!スピリットベースもねえのにバカスカ獣電池を使っちまってよ!」
「五月蠅い!!」
 小馬鹿にするようなドゴルドの声を振り切り、ガブリボルバーの獣電池を入れ替える。
 3本目を装填し、ガブリボルバーに嚙みつかせ……ようとしたその時だ。

 ソウジの背後、亀井美嘉がいるはずの場所から黒い腕が伸びたかと思えば、無数の手がミサイルを取り囲んで握りつぶした。

「なっ!」
 何が起きた。誰がやった。ドゴルドや真昼がミサイルを落とす意味はないはずだ。
 急いで背後を振り返り、ソウジはその存在を見た。
 亀井美嘉と浅垣灯悟はちょうどいま目覚めたように瞼を擦っておきあ上ろうとしている。
 その目の前に、傷だらけの少年が立っている。
 その目に眼球がなく血の涙を流していたのはソウジの気のせいではないのだろう。

「……。」
 少年霊は言葉を発さずに、影がそのまま形になったかのような冷たく細長い腕を無数の腕を伸ばす。
 優に20は超える腕の動きはそこまで早くない、切り落とすことは容易だが数が多い。
 捌くことは難しくない、飛び上がり手首から先を切り落とすと斬られたはしから霧散して消えていく。
 周囲を見渡すとドゴルドや真昼にも同じように無数の腕が向かってきている。理湯は不明だがソウジの倍以上の数が2人には差し向けられているようだった。

(操っているのは美嘉ちゃんか、それともあの少年か。
 他のふたりよりは信用されてるってことでいいのかな?)
 それでも、ドゴルドや真昼相手には足止めとしてさえ不足だ。
 ドゴルドは喧嘩上刀で、真昼は漆黒の刀――阿修羅丸と呼んでいた――にて片っ端から腕を叩き落としていた。

「なるほどね。このレベルの悪霊が取り付いているのならそりゃあ戦えるか。」
「腹立たしい!柊真昼みてえに生身でそこそこやるやつならまだしも!!外付けの力でイキってるガキとやっても萎えるだけだ!!」
 そんなことを口走りながらも斬撃の速度は落ちない。黒い腕はみるみるうちに塵になって消えていく。
 特にドゴルドの勢いには凄まじいものがあった。斬撃の速度もソウジの知るドゴルドより速く鋭いが、なにより斬撃と共に迸る蛍光色の稲妻の効果が覿面だ。
 空気中に稲妻に触れた黒い腕が針でつついた風船のようにはじけて消えた。
 滅却師の力をベースとなった稲妻のスキルは虚を完全消滅させる力を宿す、悪霊の類にとって猛毒のようなものだった。

「ぐっ……ごめん……ごめんね。」
 片膝をつき苦悶の表情を浮かべながらも、美嘉の目はまっすぐに黒い手の刺す先を見据えていた。
 立風館ソウジを。柊真昼を。ドゴルドを。
 その表情に違和感を抱いたのはソウジだけではないだろう。
 悪霊の手を操っているのが彼女なのかは分からないが。次々に切り捨てられる腕を前に驚愕も困惑も見せないのは妙だ。亀井美嘉が腹芸のできるタイプには見えない。
 まるで別の目的がある様だ。その推論を裏付けるようにぐしゃりという音が小さく響いた。黒い腕の1つが何かを握り潰す音だった。
 ドゴルドでも、真昼でも、ソウジでもない場所に向けられた腕が握る、真っ二つに切り裂かれた人間大のなにか。
 ドゴルドに切り裂かれた冥黒うてなの残骸だ。彼女に混ざったラウズカードもまた黒阿修羅によって握りつぶされ消滅した。

 塵となって消える残骸をよそに、握りつぶした腕は伸びきったゴムのように勢いよく少年霊の元へと戻っていく。
 その手に2枚のカードが握られていることにソウジは気づいた。消しゴムがプリントされたカードと多頭の蛇がプリントされたそれは冥黒うてなが抱えていたケスゾーとジャマタノオロチのケミーカード。
 それを美嘉に渡すと同時に少年霊はふらふらと倒れこみ、美嘉は優しく細い体を抱きとめた。

「ありがとう。……ごめんね。痛かったよね。」
 美嘉は涙をこぼし。懺悔するように感謝と謝罪を繰り返す。
 そのまま美嘉は弱った少年霊へと右手を翳し、後ろに立つ灯悟へ一瞥を向けた。

「灯悟さん。始めます。」
「……個人的には止めたいところだが。理由が理由だ。やりたいようにやるといい。」
 これから起こることが分かっているかのように、灯悟は頷いた。
 実際に分かっているのだろう。美嘉の行動に迷いがなさすぎる。
 このまま進めば、何かしら事態を好転させられる。そんな確信が2人にはある。
 そんな2人の姿にに安心したように、美嘉の膝に横たわる少年霊は笑顔を浮かべ。微かに口元を動かした。

【がんばってね】
「うん。頑張る。」
 美嘉はにっと微笑んで。唱えた。
 自分が後天的に得たスキル。冥黒錬金術の呪文を。

「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」

 その言葉を最後に少年霊の姿は消えた。
 美嘉の左手に吸い寄せられるように、黒いエネルギーが小さく固められていく。
 ソウジが2人に駆け寄ったころにはその痕跡さえ残っていない。
 涙を流す美嘉の姿だけが、ここに何かがいたことを示していた。

「……彼女は何をしたんだ?」
「結論だけ言いますと。彼女の中の力を再錬成しました。」
 ソウジの質問に灯悟は美嘉の左腕を指さした。
 先ほど少年霊から集められた黒いエネルギーが黒いデバイスとなってそこに装着されていた。
 正方形のスマートウォッチのようなそのデバイスは、どことなく灯悟の持つキズナブレスに似ている。

 どうやったのかソウジのには分からないが、あの少年霊があのデバイスに変化したとでもいうのだろうか?
 そしてなぜ浅垣灯悟はそのことを知っているのか。
 灯悟の記憶のこともあり聞きたいことは山ほどある。
 だがそのどれよりも、ソウジが気になったのは浅垣灯悟そのものの変化だ。

「お前……ちょっと雰囲気変わったか?」
 灯悟から出ていた人を寄せ付けない冷たさ……人と関わらない壁の様な圧が、明らかに薄まっていた。
 その指摘に灯悟は気恥ずかしそうに頬をかいた。
 ソウジの知るキズナブラックなら、絶対にしないだろう反応だった。

「そう見えますか。
 だとしたら変わったというより……戻ったんです。たぶんほんの少し。」
「戻った?
 美嘉ちゃんもだが、お前たちは記憶の中で何を……。」
「不思議な出会いがあったとだけ言っておきます。説明する時間も惜しい。
 おおよその状況は分かりました。この場を切り抜けることが優先でしょう。」

 そうして灯悟はドゴルドと真昼を睨むと、キズナブレスを構えた。
 ジャキリーンとの戦いのときとは違いその一挙手一投足に覇気が宿り。その動きはキズナブラックより、灯悟の記憶にあったキズナレッドの動きに似ているように見えた。
 死に場所を探す亡霊ではなく、誰かのために戦う戦士のように。

「美嘉。いけるか?」
「はい!」
 涙を拭って立ち上がる美嘉は灯悟の動きを真似て黒いキズナブレスに絆装甲を張り付ける。その絆装甲もブレス同様錬成した物だ。

『ぺっDOWN!!』
『TURN OVERN!!』
「「絆装……チェンジ。」」

 重なった電子音に合わせ、2人の体が巨大な布に包まれる。
 より正確には、灯悟を包むのは絆創膏で美嘉を包むのは細い腕だ。球状に包まれた二人の様は、さながら蚕を蛾へと変える繭のようだ。
 その繭が開く。
 塞がれた傷が癒えたことを告げるように、開かれた絆創膏から姿を見せるのは深き執着の戦士。キズナブラック。
 そして――露になった美嘉の姿に、ソウジは思わずどよめいた。

「キズナブラックが……もう1人?」
 ――いや、少し違う。2人の姿にはわずかに差異がある。
 美嘉が変身したキズナブラックは、女性であることを示すように腰からスカートのような意匠があるし、その体には絆創膏は一枚も張られていない。
 それでも全体の印象としては女性版キズナブラックとでもいうべきものだ。その姿に美嘉は確認するように手を握り開く。
 それは変身したことによる驚きというより、分かっていたことを再確認するようだった。
 それは灯悟も同じだった。興味深そうに美嘉を見ているが、驚きはない。

「こうなるんですね。」
「みたいだな。だいたいのことは“アイツ”に聞いていたが…。妙な感じだぜ。」
「アイツ?
 誰かと会ったみたいな物言いだな。二人ともずっと倒れていたのにか?」
「まあ色々あったんだよ。後で話してやる…生きていればな。」
 小首をかしげるソウジに灯悟は苦々しい声色を向け、その視線を前に向ける。
 柊真昼とドゴルド。
 3人の命を嗤って奪う2匹の鬼が、神妙な雰囲気のままこちらを睨んでいる。

「時間もない、だから一つだけ言わせてくれ。」
 鬼が動くまでの数秒、灯悟が口を開いた。

「なんだ?」
「俺がお前たちを守る。絶対だ。だから…‥」
 躊躇ったように一瞬だけ悩み、ふうと一息ついて灯悟は続けた。

「2人が俺を助けてくれ。」
「ああ。」
「分かりました!」

 3人は構える。気持ちいいくらいに声を重ねて。
 2匹の鬼が動き出したのは、くしくもその瞬間だった。

 ◆

 浅垣灯悟が目を覚ます少し前、亀井美嘉同様彼も夢の中にいた。

 辛いものを色々見たなと、灯悟はどこか達観するように思う。
 自分の記憶については今更感想などない。自分の失態でイドラを失い、仲間さえ失った愚かな男。その罪悪感と喪失はいつでも鮮明に思い出せる。
 胸を搔き毟り頭をたたき割りたく様な思いだが、そんな思いを一瞬たりとも忘れないから彼は”キズナブラック”なのだ。

「……それで、この状況は何だ?」
 冥黒うてなが死に、辛い記憶が激流のように押し寄せる事態は終わった。とはいえ夢から覚めるには自分の意志が必要らしい。
 心を失った人間ならすぐさま起きられただろうが、灯悟は目を覚まさないことを選んでいる。

 彼は目の前の光景から目が離せずにいた。
 晴れやかな空の下に広がるどかな草原のど真ん中、幼い少年と少女が隣り合って座っている。
 それだけなら微笑ましい映像だが少年も少女も顔は暗い。
 暗い面持ちのまま白いワンピースの少女が和装の少年に尋ねる。何かを恐れているようにその声は震えていた。

『■■■。』
『うん?』
『私達さ……大人になったら……結婚できるかな?』
『無理だよ。俺は分家の■■家。そしてお前は本家の柊家。それも当主候補だ、とても釣り合わないよ。』
『でも……そんなの関係……』
『あるよ。』
 自分ではどうしようもないことだと、諦めたような言葉だった。
 少女を一瞥もしない――それを許されていないように俯く少年に対し、少女は悲し気な顔で少年の手をぎゅっと握る。
 ずっとこのまま一緒に居られますように。
 泣きそうな顔はそう言っているように見えた。その願いが叶わないことを少女も少年も知っているから。

 そうして繋いだ手は大人たちによって引き剥がされる。
 大人たちは少年を殴り、踏みつけ、罵った。
 少年は抵抗もせずに――したのかもしれないが何の意味も為せずに叩きのめされる。花に集った蠅を潰すように、不出来な犬に鞭を入れるように、徹底的な暴力。

 その光景を見つめる灯悟はいつの間にか拳を強く握りしめていた。
 これが別世界の記憶でなければ、あの仏塔面の大人たちを殴り飛ばしていたに違いない。
 少女――柊真昼の記憶は、それほどまでに灯悟の心をかき乱す。

 少女には生まれる前から役割があった。
 ふたりの間には、家と歴史が生み出した障害があった。
 柊真昼とその少年は、絆を結ぶことさえ許されていなかった。
 少女と少年が絆を育むことさえ、この世界は許さなかった。

 そしてそのことを、浅垣灯悟は許せないと思った。

 その絆は、尊いもののはずだった。
 その絆は、大切なもののはずだった。
 柊真昼と■■■■■にとって、かけがえのないもののはずだった。 
 柊真昼はその絆を奪われた。潰された。閉ざされた。壊された。
 たった二つの”大切”を求める美しき鬼子は、そうして生まれた。

 柊真昼はこの殺し合いに乗っている。メラやジンガとは違う動機でも、同じように参加者を殺しうる惨殺者(マーダー)だ。
 その在り方を許容することは未来永劫ありえない。納得もしないし同情もしない。
 だが柊真昼がそうなってしまった理由は浅垣灯悟にも理解できる。できてしまう。
 絆を失い、心を失い。わずかに残った希望に手を伸ばそうと足掻く姿はまるで……

『自分のようだと、思ったかい?』
 その声に灯悟は迷わず銃口を向けた。縁結ビームガンをいつ手にしていたかは灯悟にも分からない。
 銃口の先、銀色のコートを着た若い女は困ったように肩をすくめ両手を上げる。
 知らない顔のはずなのに、どこかで会ったことがある様な気がした。

「誰だお前は。」
『……薄々気づいてはいたけど、やっぱりボクのことを知らないのか。
 君の記憶にボクの姿は無かったしね。そもそもボクがいない世界線なのかな?
 少し話をしたいんだが、その前に1つだけいいかな。』
「なんだ?」
『レストランで拳銃は止めた方がいい。』

 言葉の意味が分からず周囲に目をやった灯悟だが。そこに映ったのはさっきまでの草原ではなかった。
 吹き抜ける風は少し強い冷房となり、がやがやと賑やかな喋り声が耳に入る。
 シルバーの言う通り、灯悟はファミリーレストランの中に居た。明らかに柊真昼の記憶ではない。
 ばつが悪そうに銃をしまう灯悟を前に、向かいに座るシルバーは楽しそうに微笑んだ。

「どういうことだ?俺はさっきまで草原に居たはずだ。」
『ここは君の夢の中。といってもファンタジックな話じゃない。
 君が見た5人の記憶を、君の脳が整理し再確認しているのさ。』
 シルバーの話に灯悟はなるほどと頷いた。柊真昼の記憶でないのなら、この光景には心当たりがある。
 立風館ソウジの話とところどころ一致する。

「つまり、この光景は今映っているのはソウジさんの記憶か。確かタイガーボーイとかいうレストランをよく使うと言っていた。ということは……」
 あそこで騒いでいるのが、キョウリュウジャーの面々だろう。がやがやと楽しそうに騒ぐ声の方へと視線を落とす。
 そこには確かに立風館ソウジの姿があった。灯悟が知るよりわずかに若い。
 同じテーブルを囲んで、ソウジより少し年上の男女が集まって楽しそうに会話していた。
 愉快そうに笑う青いつなぎの男に少し気の強そうなウェイトレス。二人の会話に金色の陣羽織を来た優男が困り顔になっている。あれが空蝉丸だろうか。
 そんな光景を前に黒いジャケットの男はコーヒーを口に運びキザな笑みを浮かべ、赤いパーカーの男が高笑いを上げて場を盛り上げる。

 距離もあってなんと言ったのか詳しくは聞こえなかった。
 ただ、全員が笑顔だった。単なる仲間というだけでなく、真に絆を結んだ者たちであるとよくわかる。
 シルバーと名乗った女はどこか懐かしいものを見るように目を細めたまま、ちらりとこちらを一瞥すると、少しだけ嬉しそうに微笑んだ。

『キズナファイブの皆を思いだす?それともイドラちゃん達のことかな?』 
「どうしてそんなことを聞く。」
『だって君、すごく懐かしいものを見るような優しい顔になってたよ。気づいてない?』
「……そうか。」 
 今自分がどんな顔をしているのだろうか。灯悟には分からないが、顔が綻んでいたのは自分も同じだったようだ。
 そのことがなんだか気恥ずかしく、少しだけ胸が痛む。 
 ――イドラたちを死なせた自分が、笑っていいのだろうか。 

『やっぱり君は、ボクの知ってるレッド――浅垣灯悟なんだね。』
 そんな迷いを見透かすように、シルバーは灯悟へと向き直った。

『誰よりも絆に飢えている。それは君にとって絆を喪うことへの怖れとの裏返しだ。
 その儚さも尊さも誰よりも知っている。そういう人だ。
 だから見ず知らずのキョウリュウジャーの絆の深さに頬を綻ばせるし、柊真昼の絆が壊されたことを我が事のように憤る。』
「……見透かしたようなことを言うんだな。」
『ボクの知る君も同じことを言っていたよ。
付け加えるなら、5秒に一回はボクの胸をチラ見してるところなんかもそっくりだ。』
「なっ!?」
 頬を赤らめ灯悟は露骨に眼を反らした。
 シルバーは美人だし(ついでにいうとかなり灯悟の好みのタイプだ)非常にスタイルがいい。チラチラ見てしまったのは否定できなかった。
 不快感を抱かせたか不安になったが、シルバーは変わらず朗らかな笑みだ。むしろ可愛いものを見たかのように眼をキラキラと輝かせている。
 ふぅと一息ついてシルバーは続ける。宝石のような紺色の瞳が灯悟の顔を映していた。

『まあとにかくだ、ボクが言いたいことは、君だって恥じらいもするし驚きもする。感情を持った人間だという事さ。
こういういい方は良くないが、君は柊真昼とは違う。
君の心が傷だらけなことは知っている。でも彼女のように喰われてしまったわけじゃない。』
「……それがなんだ?」
『立風館ソウジと関わって気づきつつあるはずだ。
君は新しい絆を結ぼうとしている。それを守りたいと思っている。だから……』
「それが、なんだって言ってるんだよ!!!」
 叩きつけるように灯悟の両手がテーブルを揺らし、店内に荒々しい音が響いた。
本来のファミレスならば店員も客もこちらに注目するだろうが、記憶の中の再現では誰一人こちらを見やしない。
それが逆に灯悟には辛い。笑顔のキョウリュウジャーたちと比較してしまう。
自分はもう、ああはなれない。

『後悔と罪悪感で、他のすべてを抑えなくていい。
贖罪と罪滅ぼしで、君の未来を閉ざさなくていい。
失った絆を足枷に、新しい絆を作ることを拒まなくていい。』
 そんな自責を一つ一つ解いていくように、穏やかに、しかしはっきりした言葉だった。
 遠くの何かを見るような視線がで、愁いを帯びた表情で。

『そう言ってるんだ。ボクも…イドラちゃんも。』
 微かな沈黙を経て、シルバーはそう言った。
 気づくと灯悟はシルバーの胸蔵を掴み、その首を締め上げていた。
 窓から刺す陽光で煌めく瞳へを睨む。鏡に映る己を見るような、敵愾心に満ちた目だった。

「なぜおまえにそんなことが分かる!!」
『ボクがその言葉を伝えるために、ここに来たからさ。』
 はっきりと、真っ直ぐ灯悟を見つめてシルバーは言った。

『ボクはキズナファイブ6人目の戦士であり、1000年前の勇者パーティーの一員だった者。
そのの人格を元にした、イドラ・アーヴォルンと“キズナレッド”の心意そのものだ。』
「心意…?」
『そういうシステムがこの会場に施されているらしい。
2人の感情と2人が君と結んでいる絆エネルギーが形を成して、その他いろいろな要素が組み合わさって生まれた…まあ、ボクも詳しいことは分かんないんだけどね。』
 あっけらかんと笑うシルバーに、灯悟は毒気を抜かれたように胸倉から手を離した。
 言っている意味はよく分からない。イドラを失った嘆きで放送を聞いていない――聞いていたとしても茅場に縁がない灯悟には関係のない話だが――彼は心意システムという言葉を知らない。
 それでも、その言葉に嘘がないことが何故だか分かる。

「それに俺と結んでいる絆だと?
イドラはともかく俺が俺と絆を結んでるってのはどういう…?」
『この会場に居たイドラちゃんとキズナレッドは、正確には君の知る人たちじゃないし君じゃない。
君とは並行世界の存在。だけどある理由から、2人は君と出会ったことがる。』
「並行世界…いや、ちょっと待て。」
思い出す。覚えている。
 この会場にいるもう一人の浅垣灯悟――キズナブラックは、厳密には浅垣灯悟ではない。
 ツギハギ博士がある理由からかき集めた並行世界の浅垣灯悟。その記憶とステータスを亜人『ドッペルゲンガー』にて再現した並行同位体(キズナレッド・バース)、そのプロトタイプ。
 ツギハギ博士――ウラギリスが原因で仲間を失った灯悟が、彼の命令に従うはずもなく封印措置をされていた。それが彼の正体だ。

『だから2人は、君のことを知っていた。
君が仲間を失ってからも孤独に戦い続けたことも。喪失と罪悪感に苛まれ続けたことも。
2人は君を倒し、君を救った。
いつか並行世界に進めたら本当の君を救いたいとさえ言っていた。』
「…大したものだ。俺には…」
『できない。とでもいうつもりかい?
言ったはずだ。君は新しい絆を否定する必要はない。
そして君が戦う理由も、罪滅ぼしじゃなくていい。』

 パチン。そんな音と共に景色が再び切り替わる。
 学校らしき建物だが、廊下も教室も鮮やかに飾り付けられている。学際のようだ。
 2人が立っていたのはある教室のドアの前だった。
『コスプレ写真館~10年後のあなた~』そう書かれたポスターが貼ってある部屋の中では、5人の少女がちょうど写真を撮っているところらしかった。
 アイドル、科学者、冒険家、シスター。高校生くらいの少女たちが思い思いの衣装に身を包み、その真ん中にはウエディングドレスを着た車いすの少女がレンズを前に背筋を伸ばしている。
 やはりみんな笑っている、キョウリュウジャーと同じだ。
 当然、これも誰かの記憶だ。写真を撮っている少女ったちを灯悟は知っている。

「亀井美嘉の記憶か。だが彼女たちは…」
 知っている。
 彼女たちはこの後紆余曲折ありアイドルになるが、各々の思想の違い、方向性の違い、避けようがない軋轢を前にその関係は破綻する。
 この絆も、いつか壊れてしまうのか?
 あんなに楽しそうに、笑いあっているのにか?
 いつしか灯悟は泣いていた。静かに涙を流す青年に、シルバーはどこか安堵したように穏やかな笑みを向けた。

『彼女とはさっき話をしてきたよ。
君のすぐそばにいたから偶然関わった、事故みたいな出会いだけど。』
「なんて言っていたんだ?」
『強くなりたいってさ。
友達を助けたい。友達を守りたい。そう言ってたよ。』
 シルバーは悪戯っぽくにっと微笑む。
 手のかかる弟を見るような、そんな顔だ。

『昔の君みたいだろう。』
「そうだな。」
そういわれると、弱い。反則だと灯悟は思う。
 絆は儚く脆い。だからこそ守りたい。
 そう思ったからこそ、浅垣灯悟はキズナレッドになったのではないか。

『一応美嘉ちゃんにはいくつか提案をしている。
彼女の中の悪霊を錬金術と絆エネルギーで再構築して、キズナブレスの形状にする。
絆エネルギーによる肉体再構築や一部の機能をオミットすれば、内部からの変身ではなく、外部装甲という形で戦う力を運用できる。』
「なぜそんなことを?」
『後天的に支給品やソードスキルを取り込んでだいぶ無茶な運用してるみたいで、見た目以上に負荷が大きかったんだ。常時ブラック絆創甲を付けてる感じ。』
「よく生きてるな…」
 キズナブラックとなった今の灯悟なら負荷なく扱えるが、非常にリスクの大きい諸刃の剣だ。
 殺意の塊である悪霊を取り込んでいた美嘉の状態としては、かなり適切な言い回しになるのが恐ろしい話である。

『一応ボクもキズナファイブだ。
そんな状態の子どもを放置はできない。
それに、キズナブレスならボクの実物があるからイメージしやすいしね。』
 そう言ってシルバーは、左腕の袖をまくり上げた。
 灯悟の物とは形の違う、正方形の独特の形をしたキズナブレス。
 誇らしげに見せる彼女に合わせて、灯悟も袖をめくった。
 炎のように赤く情熱を形にしたようなブレスが、キラリ光った。

『だから、今の彼女も少しは戦えるはずだ。
彼女の友達はまだこの会場にいて、全員生きてる。だから…』
「大丈夫だ。俺がやることは決まってる。
…いや、まだお前の言いたいことを全て理解し、受け入れているわけじゃないと思う。」

 バッドエンドを経たことによる、破滅の可能性の排除を妄執のように行っている。
 いつか裏切るかも、打算かも、虚言かも、敵になるかも。
 そんな異常な妄執を、そう簡単には捨てされていない。

それでもと、灯悟は思う。
ソウジの仲間も、美嘉の友達も生きている。
誰も守れなかった自分だが。絆を繋ぐ資格などないと思っていた自分だが。
この場でできた新たな絆を。この場に残る輝かしい絆を。
守りたいと。救いたいと。
孔が空いた心でも、心の底から思うのだ。

『ぺっDOWN!!』
 黒い執着の鎧。
 痛んだ己の象徴のような姿のまま、灯悟は胸を叩く。

「俺は『キズナブラック』だ。
1人の浅垣灯悟であり、キズナファイブの1人として、絆を守って戦ってみるよ。シルバー。」
『”レッド”じゃなくていいのかい?』
「いいんだ。」
シルバーの問いに仮面の奥でにっと笑顔を向け、キズナブレスをこつんと鳴らす。
少し驚いたシルバーも、また笑顔を向けた。雑踏のなか絆が重なる小さな音色が確かに響いた。

「”ブラック”は他者を信じ共に戦えるものが名乗る。ブレイブな色らしいからな。」

 その言葉を最後に意識は光に包まれた。
 シルバーと名乗った女が手を振る姿が、最後まで目に焼き付いていた。



111:鈍色の戦争―すべては今モノクロームの中 投下順 111:Cuz I―Imitation Ghost
時系列順
柊真昼
キズナブラック
立風館ソウジ
亀井美嘉
冥黒うてな
激怒戦騎のドゴルド

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