殺し合いの会場どこかで、どこかの制服を着た黒髪の少女が一人呆然と立っている。
彼女の名前はユミエラ・ドルクネス。
今日付けでとある国の王立学園に入学した新入生の貴族令嬢だ。
そんな彼女は、今猛烈に困惑していた。
彼女の名前はユミエラ・ドルクネス。
今日付けでとある国の王立学園に入学した新入生の貴族令嬢だ。
そんな彼女は、今猛烈に困惑していた。
「こんなイベント無かったよね……?」
ユミエラが困惑している理由は、この殺し合いが本来起こるはずのないイベントだからである。
なぜそんなことを断言できるのかというと、彼女はRPG要素のあるファンタジー世界が舞台の乙女ゲーム『光の魔法と勇者様』、通称ヒカユウの原作知識持ち転生者だからだ。
そしてヒカユウにこんなイベントはなかった。
そのヒカユウをやりこんだ女子大生ゲーマーが転生したのが、今ここに居るユミエラである。
なぜそんなことを断言できるのかというと、彼女はRPG要素のあるファンタジー世界が舞台の乙女ゲーム『光の魔法と勇者様』、通称ヒカユウの原作知識持ち転生者だからだ。
そしてヒカユウにこんなイベントはなかった。
そのヒカユウをやりこんだ女子大生ゲーマーが転生したのが、今ここに居るユミエラである。
「ふむ……」
もしかして知らない間にDLCとかでシナリオが追加されたたのか、と一瞬考えるユミエラだが、すぐにそれはないだろうと投げ捨てる。
いくらなんでもファンタジーと殺し合いでは話のジャンルが変わりすぎだし、仮に追加シナリオだとしてもそれは主人公視点であるべきで、まかり間違っても裏ボスをフォーカスするものではない。
つまりこの現状はヒカユウとは関係なく、どこの誰とも分からないあの色んな名前を名乗った女が起こしたものと考えるべきなのだ。
いくらなんでもファンタジーと殺し合いでは話のジャンルが変わりすぎだし、仮に追加シナリオだとしてもそれは主人公視点であるべきで、まかり間違っても裏ボスをフォーカスするものではない。
つまりこの現状はヒカユウとは関係なく、どこの誰とも分からないあの色んな名前を名乗った女が起こしたものと考えるべきなのだ。
「私のこれからの生活、どうなるんだろう」
ユミエラが思いを馳せるのは、殺し合いが終わった後の事。
仮にこの殺し合いを生き残り元の世界に帰れたとていきなり消えた、それも色々悪目立ちをしたキャラの学園生活がまともになるとは思えない。
こうなると私の目標だった目立たずやり過ごして生きる、というもの難しいだろう。いや、それは元々か。
仮にこの殺し合いを生き残り元の世界に帰れたとていきなり消えた、それも色々悪目立ちをしたキャラの学園生活がまともになるとは思えない。
こうなると私の目標だった目立たずやり過ごして生きる、というもの難しいだろう。いや、それは元々か。
「いかんいかん」
そんな終わった後の事より、まずは目の前の事象に目を向けるべきだとユミエラはブンブンと首を振って思い直す。
そこで主催者のある発言を思い出した。
そこで主催者のある発言を思い出した。
「そういえば、あの女が理想を叶える権利を叶える為に殺しあえ、後は自分達を倒してもゲームクリアって言ってったっけ」
この言い方からすると、あの羂索はゲームでいうことの中ボスで、あいつを倒すと真のラスボスが現れて『おめでとう。さあ理想を叶える権利をあげよう』みたいなことを言ってくるのだろうか、とユミエラは推測した。
正直、理想を叶える権利というものに心惹かれなくもないので、主催に抗う方向ならば欲しいとも一瞬考える。
しかし――
正直、理想を叶える権利というものに心惹かれなくもないので、主催に抗う方向ならば欲しいとも一瞬考える。
しかし――
「いや、やっぱりシメよう」
そもそもいきなり攫ってきた相手を信用するのも馬鹿馬鹿しいし、仮に本当でも気に入らない話である。
なのでユミエラは主催者を全て倒すと決意し、とりあえずバグスターウイルスとか腕輪をどうにかする方法を探し始めるのだった。
なのでユミエラは主催者を全て倒すと決意し、とりあえずバグスターウイルスとか腕輪をどうにかする方法を探し始めるのだった。
【ユミエラ・ドルクネス@悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~(アニメ版)】
状態:正常
服装:制服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1~3、ホットライン
思考
基本:主催者許すまじ
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をどうにかする方法を探す
参戦時期:1話終了後
備考
※身体能力、魔法に制限が掛かっています。
状態:正常
服装:制服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1~3、ホットライン
思考
基本:主催者許すまじ
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をどうにかする方法を探す
参戦時期:1話終了後
備考
※身体能力、魔法に制限が掛かっています。
◆
「ちょっと運営さーん、どうなってますの~~?」
ユミエラとは違う場所にて、彼女とは違う制服を身に纏った黒髪の女子が、誰かに呼びかけている。
この運営とは殺し合いの運営である羂索やその仲間ではなく、別の上位存在。
簡単に言うなら、神である。
この運営とは殺し合いの運営である羂索やその仲間ではなく、別の上位存在。
簡単に言うなら、神である。
そんな本来の神と交信が可能な彼女の名前は、マリアンヌ・ピースラウンド。
神により乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生した元男、現女である。
なぜ神が彼女を転生したのかというと、『乙女ゲームの悪役令嬢にTS転生して実は善人なのに追放される様子を配信でRTAしてもらう』為である。
何言ってるのか分からないし、受ける方もどうかと思う話だが、このRTAを早くクリアすればするほど次の来世がいいものになると言われたので彼女は話を受けた。
神により乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生した元男、現女である。
なぜ神が彼女を転生したのかというと、『乙女ゲームの悪役令嬢にTS転生して実は善人なのに追放される様子を配信でRTAしてもらう』為である。
何言ってるのか分からないし、受ける方もどうかと思う話だが、このRTAを早くクリアすればするほど次の来世がいいものになると言われたので彼女は話を受けた。
そしてRTA開始当日、このRTAはファンタジー世界の学院に入学してから国外追放されるまでの時間を計測するのがレギュレーションであり、つまり入学式の日である。
原作のゲームを知らないマリアンヌは考える。どうすれば最速で追放されるのか。そして思いついた。
原作のゲームを知らないマリアンヌは考える。どうすれば最速で追放されるのか。そして思いついた。
入学式で登場人物全員殴り飛ばせば即追放では? と。
なので彼女は実行し、殴り飛ばしている最中にこの殺し合いに呼ばれた。
なので彼女は実行し、殴り飛ばしている最中にこの殺し合いに呼ばれた。
最初はずいぶん超展開だな、と呑気に傍観するだけだった。
いくらなんでもファンタジー世界から殺し合いは超展開過ぎる気もするが、展開がひどすぎて炎上したエロゲー、ギャルゲーなんて結構あるので、その類かと思っていた。
イベントは胸糞悪いが、ともかくRTAは達成したのだし何らかの連絡が来るだろう、と待っていたのだが、しばらくしてから思う。
いくらなんでもファンタジー世界から殺し合いは超展開過ぎる気もするが、展開がひどすぎて炎上したエロゲー、ギャルゲーなんて結構あるので、その類かと思っていた。
イベントは胸糞悪いが、ともかくRTAは達成したのだし何らかの連絡が来るだろう、と待っていたのだが、しばらくしてから思う。
これ、追放じゃなくて誘拐じゃね?
いやそんなまさか、とばかりにマリアンヌは配信先である神に呼びかけてみるが、反応は一切ない。
つまりこれは、RTAレギュ達成ではなく羂索が起こしたイレギュラーな事態であるということだ。
つまりこれは、RTAレギュ達成ではなく羂索が起こしたイレギュラーな事態であるということだ。
「私のウハウハ来世ライフを邪魔した罪は重いですわよ……羂索ゥ……!!」
現状を正確に把握したマリアンヌは赫怒し、激情を晒す。
そして羂索をぶちのめして落とし前を付けさせるため、まずはバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかする方法を探すことにした。
そして羂索をぶちのめして落とし前を付けさせるため、まずはバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかする方法を探すことにした。
【マリアンヌ・ピースラウンド@TS悪役令嬢神様転生善人追放RTA~嫌われ追放を目指してるのに最強無双ロードから降りられない~(漫画版)】
状態:正常
服装:制服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1~3、ホットライン
思考
基本:主催者に落とし前を付けさせる
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかする方法を探す
参戦時期:1話、入学式の最中
備考
※魔法に制限が掛かっています。
状態:正常
服装:制服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1~3、ホットライン
思考
基本:主催者に落とし前を付けさせる
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかする方法を探す
参戦時期:1話、入学式の最中
備考
※魔法に制限が掛かっています。
◆
二人とはさらにまた別の場所に、ドレスを身に纏った銀髪の美人が佇んでいた。
彼女は一見すると無表情で立っているだけに見えるが、近くまで寄れば拳を握り締めていることに気付くだろう。
そこにあるのは、怒りの発露。
そう、彼女は、スカーレット・エル・ヴァンデミオンはこの殺し合いの主催者に怒っていた。
とはいえ、彼女の怒りは殺し合いに対する怒りもなくはなかったが、主な部分は別の要因だ。
彼女は一見すると無表情で立っているだけに見えるが、近くまで寄れば拳を握り締めていることに気付くだろう。
そこにあるのは、怒りの発露。
そう、彼女は、スカーレット・エル・ヴァンデミオンはこの殺し合いの主催者に怒っていた。
とはいえ、彼女の怒りは殺し合いに対する怒りもなくはなかったが、主な部分は別の要因だ。
「カイル様を殴る絶好の機会をよくも……!!」
スカーレットは、今このタイミングで呼ばれたことに怒っていた。
彼女はこの殺し合いに呼ばれる直前、王城にてパーティーに参加していた。
それは王族や貴族が参加する、バリスタン王国第二皇子、カイルが主催した舞踏会だ。
彼女はこの殺し合いに呼ばれる直前、王城にてパーティーに参加していた。
それは王族や貴族が参加する、バリスタン王国第二皇子、カイルが主催した舞踏会だ。
しかしそこでスカーレットは唐突に婚約破棄された。
ありもしない罪をでっちあげられ、四面楚歌の上悪役令嬢呼ばわり。
ならばもう我慢などしない。
ありもしない罪をでっちあげられ、四面楚歌の上悪役令嬢呼ばわり。
ならばもう我慢などしない。
だから殴った。
自身の風評を傷つけた、よそのクラスの名前程度しか知らない男爵令嬢を。
肥え太った醜く、権力にしがみつく豚のような貴族を。
元々人を殴るのが好きだったが、立場と兄の懇願で我慢していた彼女が、我慢を止めた瞬間である。
自身の風評を傷つけた、よそのクラスの名前程度しか知らない男爵令嬢を。
肥え太った醜く、権力にしがみつく豚のような貴族を。
元々人を殴るのが好きだったが、立場と兄の懇願で我慢していた彼女が、我慢を止めた瞬間である。
そして最後に、何一ついい思い出も美点も思いつかない、ろくでもない婚約者であるカイルを殴ろうとしたその時、彼女は殺し合いに呼ばれた。
あまりに突然な状況の変化に面喰いつつも、現状を理解すればやることは一つ。
「ケンジャクだかカモトシノリだか知りませんが、あなたと仲間は必ず殴りますわ」
スカーレットは力強く宣戦を布告した。
とはいえ現状でそんなことを宣言しても口だけの女扱いがせいぜいだろう。
なのでまずは自身に宿るバグスターウイルスとやらを除去しようとしたが、どうにもうまく行っている気がしない。
とはいえ現状でそんなことを宣言しても口だけの女扱いがせいぜいだろう。
なのでまずは自身に宿るバグスターウイルスとやらを除去しようとしたが、どうにもうまく行っている気がしない。
「それはそうですわね」
普通に考えて殺し合いの重要なファクターであろう要素をあっさりどうにかできるものなど、真っ先に制限するだろう。
なのでスカーレットは特に気にすることなく、ウイルスと自分の腕輪に対処する方法を求めて歩き始めた。
なのでスカーレットは特に気にすることなく、ウイルスと自分の腕輪に対処する方法を求めて歩き始めた。
【スカーレット・エル・ヴァンデミオン@最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか(漫画版)】
状態:正常
服装:ドレス
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1~3、ホットライン
思考
基本:あのケンジャクだかカモトシノリとかいう女と、その仲間を殴る
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかできそうな人を探す
参戦時期:1話終了後
備考
※時の神クロノアの加護に制限が掛かっています。
状態:正常
服装:ドレス
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1~3、ホットライン
思考
基本:あのケンジャクだかカモトシノリとかいう女と、その仲間を殴る
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかできそうな人を探す
参戦時期:1話終了後
備考
※時の神クロノアの加護に制限が掛かっています。
こうして悪役令嬢たちは三者三様、各々の理由で主催者の打倒を目指す。
その道が交わるか、離れたままで終わるかは誰も知らない。
その道が交わるか、離れたままで終わるかは誰も知らない。