狭い路地から甲高い鉄のぶつかり合う音が響く。
此処が殺し合いの場であれば、これが剣戟の音だと気づくものは少なくないだろう。
狭い路地で攻防を繰り広げているのは、どちらも子供の姿をしていた。
マインゴーシュと聖杯のような杯を持った金髪の少年と、茶色の制服に身を包んだ薄紫の髪の少女。
西洋と和洋の得物を持った二人は、殺し合いの開始からほどなくして刃を交えながら会話をしていた。
此処が殺し合いの場であれば、これが剣戟の音だと気づくものは少なくないだろう。
狭い路地で攻防を繰り広げているのは、どちらも子供の姿をしていた。
マインゴーシュと聖杯のような杯を持った金髪の少年と、茶色の制服に身を包んだ薄紫の髪の少女。
西洋と和洋の得物を持った二人は、殺し合いの開始からほどなくして刃を交えながら会話をしていた。
「アハッ! いいね! おにーさんすごい立ち回りだね!」
左手に聖杯を持っていて何をするのかと警戒するも、
相手は剣術だけじゃなくて体術も使って対応してくる。
回し蹴りを華麗に避け、低姿勢からの無数の突きが飛び交うもすぐに後退し無傷で済ませる。
相手は剣術だけじゃなくて体術も使って対応してくる。
回し蹴りを華麗に避け、低姿勢からの無数の突きが飛び交うもすぐに後退し無傷で済ませる。
(なんて強さだ。膂力も剣筋も素人じゃない。天才のそれだ。
相当な鍛錬を積まなきゃここまで卓越した剣術はできないはずだ。)
相当な鍛錬を積まなきゃここまで卓越した剣術はできないはずだ。)
彼女と出会って早々に彼、月島劉都は襲撃に遭っていた。
相手が一体どんな理由で襲い掛かってきたのかは定かではない。
単に殺し合いに乗っているのか、錯乱しているのか。発言から前者よりに近いが。
迫ってくるのであれば対応せざるを得ず、自身が持つ力、カタルシスエフェクトを以って応戦していた。
彼が握ってる二つの得物は、その力の発現によるものだ。
リドゥの世界での姿、カタルシスエフェクトが使えるのは疑問だが、
今はそんなことを考える余裕はなかった。
相手が一体どんな理由で襲い掛かってきたのかは定かではない。
単に殺し合いに乗っているのか、錯乱しているのか。発言から前者よりに近いが。
迫ってくるのであれば対応せざるを得ず、自身が持つ力、カタルシスエフェクトを以って応戦していた。
彼が握ってる二つの得物は、その力の発現によるものだ。
リドゥの世界での姿、カタルシスエフェクトが使えるのは疑問だが、
今はそんなことを考える余裕はなかった。
「ほら、守ってばかりじゃなくておにーさんも攻めてよ!」
先ほどから劉都は察してることだが、遊ばれている。
彼は元々頭がいい。ギフテッドとして悩み、ある仮想世界へ招かれるぐらいに。
だから分かってしまう。彼女は全然本気で戦っていない。実力を測ってる最中だ。
でなければ、剣戟をこうも続けてできてしまった隙を狙ってくる様子がないからだ。
故に此方も本気では戦わない。本気で戦えば手の内をさらし、余計に不利になるだけである。
手の内を晒さないとなれば彼に勝ち目がない? 否。彼は逃げながら探していた。
彼は元々頭がいい。ギフテッドとして悩み、ある仮想世界へ招かれるぐらいに。
だから分かってしまう。彼女は全然本気で戦っていない。実力を測ってる最中だ。
でなければ、剣戟をこうも続けてできてしまった隙を狙ってくる様子がないからだ。
故に此方も本気では戦わない。本気で戦えば手の内をさらし、余計に不利になるだけである。
手の内を晒さないとなれば彼に勝ち目がない? 否。彼は逃げながら探していた。
「高速化、これか!」
会場中にばらまかれているエナジーアイテム。
その中でも最も今に適したアイテム、高速化のエナジーアイテムを、
ルールを速読していた劉都はこれを得るために逃げに徹し続けていたのだ。
手にした瞬間身体が軽くなる。普段から回避を専念していた身ではあるので、
その敏捷性は格段に上がり一気に距離を取ることに成功する。
その中でも最も今に適したアイテム、高速化のエナジーアイテムを、
ルールを速読していた劉都はこれを得るために逃げに徹し続けていたのだ。
手にした瞬間身体が軽くなる。普段から回避を専念していた身ではあるので、
その敏捷性は格段に上がり一気に距離を取ることに成功する。
「そんなのに頼らないといけないなんて、おにーさん……ひょっとして弱い?」
「な───」
高速化で移動速度を上げたはず。
今ならば車でも今の速度であれば振り切れなくはないはず。
にもかかわらず、少女は並走してきていた。
それもそのはず。少女、燕結芽は刀使なのだ。
手にした御刀から得た力を使うことで迅移という高速移動を可能とする。
本来ならば選ばれた御刀でなければ行使することはできないはずなのだが、
何故か結芽が所属する親衛隊の一人の御刀、薄緑でも発揮することができた。
理由は分からないにせよ少し興ざめといった表情で劉都を見やる結芽。
バッと劉都が距離を取ると、同じように結芽も距離を取る。
今ならば車でも今の速度であれば振り切れなくはないはず。
にもかかわらず、少女は並走してきていた。
それもそのはず。少女、燕結芽は刀使なのだ。
手にした御刀から得た力を使うことで迅移という高速移動を可能とする。
本来ならば選ばれた御刀でなければ行使することはできないはずなのだが、
何故か結芽が所属する親衛隊の一人の御刀、薄緑でも発揮することができた。
理由は分からないにせよ少し興ざめといった表情で劉都を見やる結芽。
バッと劉都が距離を取ると、同じように結芽も距離を取る。
「アハッ、やる気になった?」
「……ならないな。俺らには殺し合いをする理由がない。」
「んー、まあ結芽も殺し合いには興味ないかも。」
顎に指を当て、空を眺めながら答える。
思いもよらぬ答えに、少しばかり戸惑う劉都。
思いもよらぬ答えに、少しばかり戸惑う劉都。
「殺し合いに興味はないなら、なぜ俺を狙うんだ?」
「だっておにーさん、開始早々周囲の警戒をして武器を出したでしょ?
それに焦ってない。おにーさん、相当場数を踏んでると思ったんだ。」
それに焦ってない。おにーさん、相当場数を踏んでると思ったんだ。」
そして襲ってみれば案の定対応してきた。
防御に徹しながら逃げの手段を得て逃亡を図った。
並みの一般人ではこうはいかないだろう。
だからワクワクしている。手の内を晒してない相手だ。
本気を出して戦って、そんな彼に勝てばもっと強くなれると。
防御に徹しながら逃げの手段を得て逃亡を図った。
並みの一般人ではこうはいかないだろう。
だからワクワクしている。手の内を晒してない相手だ。
本気を出して戦って、そんな彼に勝てばもっと強くなれると。
「つまり、あんたは戦えればそれでいいのか?」
「そうだよ? 結芽は強い人と戦いたいの!
ナイトメアフレームとかが何かは知らないけど、
一般人だって強くなれる場所なんて夢みたいな場所だと思うよ?
結芽にとって、最期の場所として楽園みたいな場所だよ此処は!
あ、でも結芽はそんなものに頼らなくても最強なんだけどね。」
ナイトメアフレームとかが何かは知らないけど、
一般人だって強くなれる場所なんて夢みたいな場所だと思うよ?
結芽にとって、最期の場所として楽園みたいな場所だよ此処は!
あ、でも結芽はそんなものに頼らなくても最強なんだけどね。」
「最期って……アンタも病を抱えているのか?」
「……隠すほどじゃないからいっか。
そうだよ。結芽はもう長くないよ。」
そうだよ。結芽はもう長くないよ。」
少し表情に影を落としながら、結芽は紡ぐ。
延命こそしているが、その命は長くないと。
荒魂と言う外法でその命を何とか伸ばしているが、
それでも長くはないだろうことは彼女自身察している。
延命こそしているが、その命は長くないと。
荒魂と言う外法でその命を何とか伸ばしているが、
それでも長くはないだろうことは彼女自身察している。
「長くはない、か……」
またか、となった。
医療ミスで足を動かせなくなったクランケ。
現実で寝たきりの生活を強いられている水口茉莉絵。
それどころか目の前の彼女に至っては余命僅かときた。
こんな場所でも重症患者に出会うとは思いもしなかった。
医者ならば匙を投げたくなるところだろうが、
医療ミスで足を動かせなくなったクランケ。
現実で寝たきりの生活を強いられている水口茉莉絵。
それどころか目の前の彼女に至っては余命僅かときた。
こんな場所でも重症患者に出会うとは思いもしなかった。
医者ならば匙を投げたくなるところだろうが、
「───治せる手段があるといったら、どうする?」
彼は投げない。
投げれば彼が否定した駄目な大人と変わらないから。
医者を志した彼は、いい意味で諦めの悪い少年へと育った。
それはひとえに帰宅部の、特に部長のお陰だろう。
投げれば彼が否定した駄目な大人と変わらないから。
医者を志した彼は、いい意味で諦めの悪い少年へと育った。
それはひとえに帰宅部の、特に部長のお陰だろう。
「結芽の病気、医者も諦めたぐらいなんだけど。」
皆離れていった。期待していた人たちも、親も、誰も彼もが。
唯一の拠り所は折神紫と、その親衛隊がいるあの場所だけだ。
だから彼の言う治せる手段にも、大した期待はしていない。
唯一の拠り所は折神紫と、その親衛隊がいるあの場所だけだ。
だから彼の言う治せる手段にも、大した期待はしていない。
「具体的な根拠はない。
だがこの舞台では少なくとも、
俺が知らないような技術や異常事態が起きている。
それなら、あんたの病状を緩和か回復できるものだってあるかもしれない。
もしかしたら、エナジーアイテムの回復で治せる可能性だってありうることだ。」
だがこの舞台では少なくとも、
俺が知らないような技術や異常事態が起きている。
それなら、あんたの病状を緩和か回復できるものだってあるかもしれない。
もしかしたら、エナジーアイテムの回復で治せる可能性だってありうることだ。」
「おー、なるほど。」
言われてみればと手をポンと叩く。
脳をあんなふうに空けられる人間は普通はいない。
こんなふうに高速移動ができる人間は普通はいない。
理想の世界なんてものにいた劉都もまた、異常事態の経験者だ。
脳をあんなふうに空けられる人間は普通はいない。
こんなふうに高速移動ができる人間は普通はいない。
理想の世界なんてものにいた劉都もまた、異常事態の経験者だ。
「俺は無駄なこと、ひいては非効率は避ける性分だ。
だからその病気を治す手段を見つけたら、俺に協力してくれ。
この殺し合いを止める。止めるために俺の指揮下に入ってもらう。」
だからその病気を治す手段を見つけたら、俺に協力してくれ。
この殺し合いを止める。止めるために俺の指揮下に入ってもらう。」
「それまでの間は?」
「逆にアンタに協力する側になる。
戦ってる最中に邪魔が入らないようにするぐらいしかできそうにないが。」
戦ってる最中に邪魔が入らないようにするぐらいしかできそうにないが。」
対価が随分安いものだと結芽は少し不満そうになる。
別に群れないのであれば複数が相手だって困らないのだから。
しかし、もしも病が治せるのであれば。戦いそびれた千鳥の刀使と本気で戦える。
病なんか気にせず戦えるというのは、とても魅力的な提案だった。
別に群れないのであれば複数が相手だって困らないのだから。
しかし、もしも病が治せるのであれば。戦いそびれた千鳥の刀使と本気で戦える。
病なんか気にせず戦えるというのは、とても魅力的な提案だった。
「んー……じゃあ暫くの間だけならいいよ。
結芽が『それはない』って諦めがついたら決裂ってことで。」
結芽が『それはない』って諦めがついたら決裂ってことで。」
劉都の言う通り当てもなければ根拠も今一つ。
本当に治せるかどうかが分からないまま言うことを聞き続けて死ぬのもごめんだ。
そちらの方が彼女にとってはよほど深刻な問題である。
本当に治せるかどうかが分からないまま言うことを聞き続けて死ぬのもごめんだ。
そちらの方が彼女にとってはよほど深刻な問題である。
「それでも構わない。まずは試しに回復のエナジーアイテムを探そう。
どんな病状かわからない以上、余り期待できるものではないが試すだけ試すのがいい。
回復する量も今後の参考になるかもしれないからな。」
どんな病状かわからない以上、余り期待できるものではないが試すだけ試すのがいい。
回復する量も今後の参考になるかもしれないからな。」
「はーい。」
かくして、二人の天才の戦いが始まる。
互いに才能を持ち、そして呪われて救われたもの同士による。
互いに才能を持ち、そして呪われて救われたもの同士による。
【月島劉都@Caligula2】
状態:高速化(直に切れる)
服装:リドゥでの制服
装備:カタルシスエフェクト(マインゴーシュ、聖杯)
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:この舞台からの脱出
00:彼女(結芽)を治す方法を探す。
01:ほかの部員、あるいは学士はいるのか?
参戦時期:少なくともエピクロスの塔でドクトルを倒した後。
備考
※カタルシスエフェクトは問題なく発動できます。
※部長とのコミュは10です。
部長の性別は採用された場合に後続にお任せします
状態:高速化(直に切れる)
服装:リドゥでの制服
装備:カタルシスエフェクト(マインゴーシュ、聖杯)
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:この舞台からの脱出
00:彼女(結芽)を治す方法を探す。
01:ほかの部員、あるいは学士はいるのか?
参戦時期:少なくともエピクロスの塔でドクトルを倒した後。
備考
※カタルシスエフェクトは問題なく発動できます。
※部長とのコミュは10です。
部長の性別は採用された場合に後続にお任せします
【燕結芽@刀使ノ巫女】
状態:不治の病
服装:折神親衛隊制服
装備:薄緑@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~2、ホットライン
思考
基本:強い人と戦いたい
00:おにーさん(劉都)の提案にしばらく乗ってあげる。
01:千鳥のおねーさんもいるのかな? それとも親衛隊のみんな?
参戦時期:少なくとも4話以降
備考
状態:不治の病
服装:折神親衛隊制服
装備:薄緑@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~2、ホットライン
思考
基本:強い人と戦いたい
00:おにーさん(劉都)の提案にしばらく乗ってあげる。
01:千鳥のおねーさんもいるのかな? それとも親衛隊のみんな?
参戦時期:少なくとも4話以降
備考
- 薄緑@刀使ノ巫女
珠鋼という特殊な金属でできた日本刀。御刀と呼ばれるもので、本来の適合者は獅童真希。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなくてもその力を引き出すことが可能(十全かは不明)
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなくてもその力を引き出すことが可能(十全かは不明)