――――彼の地に伝わりし伝説――
かつて勇者によりもたらされた永き平安を約束された地に――
その”光”を奪い世界を再び闇にもたらそうとした魔族がいた
その者の名は――
「フハハハハハハ!どうした?少しは抵抗してみせろ!」
溢れんばかりの邪の波動を携え、ローブで覆った魔族が、少年を襲っていた。
その魔族は、強さを極め魔物の頂点へと君臨した者。
すなわち魔王であった。
その魔族は、強さを極め魔物の頂点へと君臨した者。
すなわち魔王であった。
「開幕弾幕シューティングってどうなってんだ!マ◯オメーカーの高難度コースかよ!」
ヘッドホンを着けた11歳の少年は迫りくる、魔法の衝撃を命からがら回避した。
少年の名は西京芸麻。プロゲーマーを目指している小学生だ。
少年の名は西京芸麻。プロゲーマーを目指している小学生だ。
「ええい!わからん殺しされてたまるか!」
魔王は一切本気を出していないどころか、遊んでいる。
その気になれば戦いにもならず一瞬で終わるのだが、あえて迫りくる恐怖を演出している。
さながら逃走しかできないホラーゲームの如くだ。
その気になれば戦いにもならず一瞬で終わるのだが、あえて迫りくる恐怖を演出している。
さながら逃走しかできないホラーゲームの如くだ。
「ギラ!」
「うおおっ、!?」
「うおおっ、!?」
頭部を狙った灼熱魔法を、着弾前に回避する。
芸麻はゲーマーだ。
だからこそ、相手の視線や腕の動かし方から狙ってくる場所を読み解ける技能がある。
とはいえだ、ずっと逃げ続けさせるほど魔王は甘くはない。
芸麻自体も体育の成績がビリな程に体力が無い。
芸麻はゲーマーだ。
だからこそ、相手の視線や腕の動かし方から狙ってくる場所を読み解ける技能がある。
とはいえだ、ずっと逃げ続けさせるほど魔王は甘くはない。
芸麻自体も体育の成績がビリな程に体力が無い。
「遊びは終わりだ、ベギラマ」
手元の灼熱魔法を無数に発生させ、粘土のように一つに纏め上げる。
バチバチと空を鳴らし、威力を高めて行く。
バチバチと空を鳴らし、威力を高めて行く。
「さあ、苦しませずに終わらせてやろう」
『勝てない敵は逃げるべし』、その言葉を信条とする芸麻ではあれど、もはや足が動かなかった。
魔王からは逃げられない。
ゲームをやり込んでいるからこそ、その言葉の意味を自ずと理解していまう。
こんなものに勝てるわけがない、と。
魔王からは逃げられない。
ゲームをやり込んでいるからこそ、その言葉の意味を自ずと理解していまう。
こんなものに勝てるわけがない、と。
りゅうおうはベギラマの炎を、更に幾多にも纏め上げる。
何倍にもその火力を高まったその熱は周囲の木へと伝染していき、
灼熱の爆風は、直撃すれば人間程度一瞬で蒸発させる熱量を誇る。
何倍にもその火力を高まったその熱は周囲の木へと伝染していき、
灼熱の爆風は、直撃すれば人間程度一瞬で蒸発させる熱量を誇る。
「冥土の土産に見せてやろう!これが『ベギラゴン』だ」
掌の上で、敵全体を纏めて焼き尽くせる程に巨大に膨れ上がった業火は、もはや回避は叶わない。
優れた反射神経も操作技術も意味を成さない。
優れた反射神経も操作技術も意味を成さない。
まだやり残した事は数多くある。
馬鹿にしてきた周囲の人間に見返させてやれなかった事。
親にプロゲーマーとしての自分を認めさせれなかった事。
何より、自分を認めてくれた少女に別れの一つも言えなかった事がなによりも悔しい。
馬鹿にしてきた周囲の人間に見返させてやれなかった事。
親にプロゲーマーとしての自分を認めさせれなかった事。
何より、自分を認めてくれた少女に別れの一つも言えなかった事がなによりも悔しい。
(巫女ッチ、ごめん)
目の前に死が迫る。
今にも閃光が放たれんとしたその瞬間。
オレンジ色に輝く炎が視界を横切った。
今にも閃光が放たれんとしたその瞬間。
オレンジ色に輝く炎が視界を横切った。
「ぐおっッッ!」
それはベギラゴンとは別の、もう一つの輝き。
放たれる前に、一筋の炎が駆け抜けた。
青と黄色の炎(フレア)を思わせる、毛に溢れた獣人が魔王を弾き飛ばしていた。
放たれる前に、一筋の炎が駆け抜けた。
青と黄色の炎(フレア)を思わせる、毛に溢れた獣人が魔王を弾き飛ばしていた。
「君!大丈夫?今のうちに逃げるわよ」
「え、ポ●モン……?」
「ポ●モン……?私はヤリモンだよ」
「え、ポ●モン……?」
「ポ●モン……?私はヤリモンだよ」
獣人の名はチケフレア。
ある世界にいつしか現れた、ヤリモンと呼ばれる不思議な生き物の一体である。
ポケモンとは一切関係ない。
ある世界にいつしか現れた、ヤリモンと呼ばれる不思議な生き物の一体である。
ポケモンとは一切関係ない。
「魔王から逃げられると思ったか?」
「くっ!」
「くっ!」
逃走経路に閃光が飛んだ。
周囲の木々が崩れ落ち、燃え広がり、逃げ道を封じた。
チケフレアの強烈な一撃を浴びた魔王は、それをものともせず即座に攻撃体制をとった。
周囲の木々が崩れ落ち、燃え広がり、逃げ道を封じた。
チケフレアの強烈な一撃を浴びた魔王は、それをものともせず即座に攻撃体制をとった。
「……チートタックルを耐えるなんてね」
チケフレアのチートタックルは威力800000を誇る彼女の最強技だ。
威力150程度で高火力とされる元の世界において、それを上回る技は存在しない。
しかも、どんな相手も絶対先手を取れるという文字通りのチート技である。
威力150程度で高火力とされる元の世界において、それを上回る技は存在しない。
しかも、どんな相手も絶対先手を取れるという文字通りのチート技である。
「少々痛かったが……まあこの程度問題ない」
あくまで倒す技であり、殺す技ではない。
この技の効果は、相手の魂から放出されるエネルギー流出を一時的にカットさせる事だ。
つまり強制的に気絶させる技である。
ヤリモンバトルのような戦闘不能で敗北扱いとなる試合ならば、有用な技だが、ルール無用の殺し合いにおいてはそうではない。
この技の効果は、相手の魂から放出されるエネルギー流出を一時的にカットさせる事だ。
つまり強制的に気絶させる技である。
ヤリモンバトルのような戦闘不能で敗北扱いとなる試合ならば、有用な技だが、ルール無用の殺し合いにおいてはそうではない。
「それにしても、これは素晴らしい力だ……」
そもそも物理的な威力ではなく、魂的な威力に特化した技である。
そうした属性に耐性があるならば、効果は薄くなる。
魔王に支給された『神鳥の杖』は、世界を支配せんとした暗黒神の魂が封じられており、所持したものに莫大な魔力を与える伝説の杖である。
チートタックルでカットされた魂のエネルギーは杖より即座に送り込まれ、戦闘不能を回避したのだ。
そうした属性に耐性があるならば、効果は薄くなる。
魔王に支給された『神鳥の杖』は、世界を支配せんとした暗黒神の魂が封じられており、所持したものに莫大な魔力を与える伝説の杖である。
チートタックルでカットされた魂のエネルギーは杖より即座に送り込まれ、戦闘不能を回避したのだ。
「冥土の土産に教えてやろう。その胸に刻み込め」
魔王の身体が、ゴボゴボと音を立てて膨らんでいく。
次第に、命を刈り取る爪、鱗のような肌を持つ巨体が出来上がっていく。
次第に、命を刈り取る爪、鱗のような肌を持つ巨体が出来上がっていく。
「私は『りゅうおう』、この世界の覇者!」
ぞくりと、背筋が震える。
幾多の伝説に伝わりし最強の生物、竜。
ゲーマーのみならず、誰しもが知る神話が目の前に現れた。
幾多の伝説に伝わりし最強の生物、竜。
ゲーマーのみならず、誰しもが知る神話が目の前に現れた。
「今だけは感謝してやるぞケンジャクよ。この私をさらなる領域へと押し上げたのだからな!」
それだけでは終わらない。
魔王とは、絶望を与えるからこその魔王なのだ。
魔王とは、絶望を与えるからこその魔王なのだ。
「見るがいい、我が秘法『邪の波動』の力を」
魔物使いとモンスターが手を取り合い共に頂点を目指す世界において、竜の王と暗黒神が掛け合わさった時に産まれる存在がいる。
神鳥の杖が意思を得たように動き、りゅうおうの身体へと入り込んだ。
やがて、胎動のように脈打つと竜の身体が再び変貌する。
鮮鱗肌は見るものに恐怖と神々しさを感じさせる鮮血色へと塗り変わった。
神鳥の杖が意思を得たように動き、りゅうおうの身体へと入り込んだ。
やがて、胎動のように脈打つと竜の身体が再び変貌する。
鮮鱗肌は見るものに恐怖と神々しさを感じさせる鮮血色へと塗り変わった。
それは、外界との繋がりを経ち、人間の踏み入れぬ領域に生きる、伝承すらも伝わっていない竜神族の長。
それは、神すらも自らを生み出す素材とし、辿り着ける伝説の領域。
それは、ある世界において最強を極めた者達の果て、位階の頂点に位置する者。
それは、神すらも自らを生み出す素材とし、辿り着ける伝説の領域。
それは、ある世界において最強を極めた者達の果て、位階の頂点に位置する者。
狂戦士(バーサーカー)、竜(ドラゴン)
深紅の巨竜 竜神王。
深紅の巨竜 竜神王。
「フハハハ!何たる力か!これが神の領域か!」
「くっ!」
「くっ!」
りゅうおうが息を吸うと、『しゃくねつ』の炎が飛び散った。
ほんの少し息を吐いただけで、大爆発が二人を襲った。
災害が起きたかのように、周囲の木々を塵芥の如く軽々しく吹き飛ばし、大地を抉り取った。
たかが、子供と魔物を相手にするにはあまりにオーバーキルすぎる力だった。
ほんの少し息を吐いただけで、大爆発が二人を襲った。
災害が起きたかのように、周囲の木々を塵芥の如く軽々しく吹き飛ばし、大地を抉り取った。
たかが、子供と魔物を相手にするにはあまりにオーバーキルすぎる力だった。
「は、ははっ…無理ゲーにも程があるだろ」
吹き飛ばされはしたが、二人は生き延びた。
爆風が当たる瞬間、チケフレアが『魂の盾』を発動。
連発は出来ず、わずか1ターンだけではあるが、攻撃を無効化する障壁を張る技だ。
爆風が当たる瞬間、チケフレアが『魂の盾』を発動。
連発は出来ず、わずか1ターンだけではあるが、攻撃を無効化する障壁を張る技だ。
「……私が隙を作るから君は逃げて」
チケフレアが手渡したのは『キメラのつばさ』。
使うことで瞬時に移動出来るアイテムだ。
使うことで瞬時に移動出来るアイテムだ。
「君はどうするんだよ!」
「アイツを迎え撃つ、一か八か相打ちぐらいなら……」
「無茶だ!単騎でラスボスを相手にするようなものだぞ」
「アイツを迎え撃つ、一か八か相打ちぐらいなら……」
「無茶だ!単騎でラスボスを相手にするようなものだぞ」
チケフレア最強の技であるチートタックルはもう使えない。
その力の代償に、一度の戦闘で一回しか使えないからだ。
初手で切り札を切った以上、チケフレアの敗北はすでに決まっている。
それでもチケフレアは、どこか覚悟を決めた顔で、立ち向かう。
その力の代償に、一度の戦闘で一回しか使えないからだ。
初手で切り札を切った以上、チケフレアの敗北はすでに決まっている。
それでもチケフレアは、どこか覚悟を決めた顔で、立ち向かう。
「……アイツが気に食わないのよ」
かつてチケフレアが、フレアという少女だった頃。
自らの力を利用され、『白の神』という存在を生み出された事がある。
再び神を名乗る者に好き放題されることに、かつてのような苛立ちを感じていた。
自らの力を利用され、『白の神』という存在を生み出された事がある。
再び神を名乗る者に好き放題されることに、かつてのような苛立ちを感じていた。
「それに、ここで逃げたら相棒に会わせる顔が無い!」
「……相棒か」
「……相棒か」
相棒、それは芸麻にとっても関係深い言葉だ。
かつて芸麻が戦いに巻き込まれるのを、回避するために一人で戦おうとした彼女の事を思い返して。
かつて芸麻が戦いに巻き込まれるのを、回避するために一人で戦おうとした彼女の事を思い返して。
「って何ゲーム機出してんの!遊んでる場合じゃないでしょ!逃げて!」
――――――――
たたかう
どうぐ
ノマにげる
どうぐ
ノマにげる
――――――――
魔王からは逃げられない。
違う、逃げる必要なんてない。
違う、逃げる必要なんてない。
「ははっ、とんだクソゲーだ……!」
主催である羂索はこの殺し合いをゲームと言った。
ゲームであるならば、世界一のプロゲーマーを目指す芸麻が攻略を諦める訳が無い。
ゲームであるならば、世界一のプロゲーマーを目指す芸麻が攻略を諦める訳が無い。
「芸麻格言そのひとつ、『ゲームオーバーまで決して諦めるな』!」
――――――――
ノマたたかう
どうぐ
にげる
どうぐ
にげる
――――――――
強くゲーム機を握り締めた。
ゲーム機から光が飛び出し、チケフレアを包みこんだ。
ゲーム機から光が飛び出し、チケフレアを包みこんだ。
「わ、ちょっと、何!?身体が動かなっ……!」
「僕のゲーム機は魂を込めることで、人間を操作することが出来る!」
「僕のゲーム機は魂を込めることで、人間を操作することが出来る!」
全ての生物が持っている未知の力『魂』。
その力を道具に込める事で性能を強化する者達がいる。
芸麻の場合は、ゲーム機の強化だ。
任意の相手を選び、ゲームのキャラクターのように意のままに動かす事ができる。
今ここに、チケフレアの身体能力に、芸麻の操作技術が合わさった。
その力を道具に込める事で性能を強化する者達がいる。
芸麻の場合は、ゲーム機の強化だ。
任意の相手を選び、ゲームのキャラクターのように意のままに動かす事ができる。
今ここに、チケフレアの身体能力に、芸麻の操作技術が合わさった。
「何だその力は!」
りゅうおうが優れた攻撃力を持とうと、当たらないなら意味はない。
当たれば即死するであろう炎と爪による一撃を次々と回避し、りゅうおうへと肉薄し、殴打を放った。
当たれば即死するであろう炎と爪による一撃を次々と回避し、りゅうおうへと肉薄し、殴打を放った。
「小賢しい!」
「私の相棒は一人だけだ……だけど、帰るまでの間、従ってあげる!」
「私の相棒は一人だけだ……だけど、帰るまでの間、従ってあげる!」
チケフレアは元々フレアという少女の魂が、チケープというヤリモンの身体に宿った姿だ。
チケープは他人の魂のエネルギーを餌にし、さらなる成長を遂げるヤリモンだ。
魂を込められる芸麻の能力とのかみ合わせは抜群に良い。
チケープは他人の魂のエネルギーを餌にし、さらなる成長を遂げるヤリモンだ。
魂を込められる芸麻の能力とのかみ合わせは抜群に良い。
「「こんなところで終わってたまるか!!!!」」
「喚くな、虫どもがっ!!!!」
「喚くな、虫どもがっ!!!!」
絶対にプロゲーマーになるために/チャンピオンになる夢の為に。
なにより、元の世界に残った相棒の、刀道巫女の/フッ太の夢の為に。
こんなところで、終わらせるわけには行かない。
その二人の願いに、令呪が答えた。
なにより、元の世界に残った相棒の、刀道巫女の/フッ太の夢の為に。
こんなところで、終わらせるわけには行かない。
その二人の願いに、令呪が答えた。
チケフレアの毛皮が翼の如く、大きく羽ばたいた。
黄金色の輝きはまさに『未来への翼』。その姿はもはや誰の目にも止まらない。
黄金色の輝きはまさに『未来への翼』。その姿はもはや誰の目にも止まらない。
「見つけたぞ、攻略ルート!」
ゲーマーは、観察力が優れている。
一対一という呪縛から解き放たれ、冷静に場を見渡せるなら、その目を十全に発揮できる。
りゅうおうはまだ自らの力を使いこなせていない。
方や芸麻はステータス画面より、チケフレアのスペックを確認し、攻略手順を構築した。
一対一という呪縛から解き放たれ、冷静に場を見渡せるなら、その目を十全に発揮できる。
りゅうおうはまだ自らの力を使いこなせていない。
方や芸麻はステータス画面より、チケフレアのスペックを確認し、攻略手順を構築した。
「おろか者め!思い知るがよいっ!」
りゅうおうは大きく息を吸い込み、勢いよくチケフレアへと吐き出した。
竜から放たれる灼熱のブレスは、生物が食らって生きられるものではない。
当たるだけでも、肉体ごと体液が沸騰し軽々蒸発する。
神の領域に達した事で更に勢いを増している。
竜から放たれる灼熱のブレスは、生物が食らって生きられるものではない。
当たるだけでも、肉体ごと体液が沸騰し軽々蒸発する。
神の領域に達した事で更に勢いを増している。
「何ッ!」
にも関わらずだ。
直撃したはずのその身体には、火傷の一つすらも浴びていない。
先ほどチケフレアが放った殴打は『天衣無縫』という技だ。
その効果は、先制して攻撃を当てることで、次の相手の攻撃を1度だけ回避することができる。
高く飛び上がり、竜の頭部へと勢いよく一撃を放った。
直撃したはずのその身体には、火傷の一つすらも浴びていない。
先ほどチケフレアが放った殴打は『天衣無縫』という技だ。
その効果は、先制して攻撃を当てることで、次の相手の攻撃を1度だけ回避することができる。
高く飛び上がり、竜の頭部へと勢いよく一撃を放った。
「いくら小細工を練ろうが、曲芸にすぎんわ!」
会心の一撃ではあった。
だけど倒しきれたわけではない。
依然として勝敗は決していない。
だけど倒しきれたわけではない。
依然として勝敗は決していない。
にも関わらず、芸麻は笑っていた。
『ピンチのときこそ、ぶてぶてしく笑うもの』。
そんなゲームの名言が似合うようにニヤリと。
『ピンチのときこそ、ぶてぶてしく笑うもの』。
そんなゲームの名言が似合うようにニヤリと。
「何勘違いしてるんだ?今のは、攻撃じゃない!」
不意にりゅうおうの身体が光に包まれ、地面から宙に浮いた。
「なんだこれはっ!」
「さっきのは『キメラのつばさ』をお前に結びつけるためだ!」
「さっきのは『キメラのつばさ』をお前に結びつけるためだ!」
逃走手段たるアイテムを相手に使う逆転の発想。
とはいえ、圧倒的大きさを誇る巨竜。
それだけの質量を転送するには時間がかかる。
とはいえ、圧倒的大きさを誇る巨竜。
それだけの質量を転送するには時間がかかる。
『必殺技 Aボタンを押すたびに威力が向上』
だからこそ狙うなら今だ。
隙の生まれた竜へと追撃の必殺技を放つ。
高ぶった気持ちか、チケフレアのステータスを何倍にも増加させる。
ボタンを連打するたびに、加速する。
片手だけでは足りない。両手を駆使し、さらに連打数を増やす。
両手が悲鳴を上げてもなお、ボタンを押すのをやめない。
隙の生まれた竜へと追撃の必殺技を放つ。
高ぶった気持ちか、チケフレアのステータスを何倍にも増加させる。
ボタンを連打するたびに、加速する。
片手だけでは足りない。両手を駆使し、さらに連打数を増やす。
両手が悲鳴を上げてもなお、ボタンを押すのをやめない。
「超高速『未来への翼』連打!」
「お、おのれ!くちおしや」
「これがっ!これがプロゲーマーになる男、西京芸麻だ!」
「お、おのれ!くちおしや」
「これがっ!これがプロゲーマーになる男、西京芸麻だ!」
「「そのまま飛んでけっ!」」
二人の令呪が同時に尽きる99.9秒直前。
巨竜が遥か彼方までぶっ飛ばされた。
巨竜が遥か彼方までぶっ飛ばされた。
■■■
「……やったか?」
「ねぇ、それフラグじゃない?分かってて言ってるでしょ」
「ねぇ、それフラグじゃない?分かってて言ってるでしょ」
この場を切り抜けはしたものの、竜王を倒しきれていない事は分かっている。
己の全てを出し尽くし、令呪を犠牲としても勝利には繋がらなかった。
己の全てを出し尽くし、令呪を犠牲としても勝利には繋がらなかった。
「だからこそ、攻略法を探す」
ゲーマーとは試す生き物だ。
敵わなかった相手でも、何度でも挑戦する。
相手を分析する。弱点を突く。技を変える。仲間を探す。効果的なアイテムを使う。
そうしてボスを倒すに至る。
敵わなかった相手でも、何度でも挑戦する。
相手を分析する。弱点を突く。技を変える。仲間を探す。効果的なアイテムを使う。
そうしてボスを倒すに至る。
「そうね、まず協力してくれる人を探そっか」
「ああ!目指すはこのゲームの完全クリアだ!」
「ああ!目指すはこのゲームの完全クリアだ!」
この世界には先程の竜のような理不尽ゲーを強いて来る相手が数多くいる。
それでもゲーマーは夢の為に諦める事は無い。
かくして二人のゲーム攻略が始まる。
目指すはノーコンティニュークリア。
それでもゲーマーは夢の為に諦める事は無い。
かくして二人のゲーム攻略が始まる。
目指すはノーコンティニュークリア。
「その前にっ、と」
「ちょっ、えっ?何!?」
「ちょっ、えっ?何!?」
肉体の操作を奪われ、チケフレアは強制的に手足を高く振り回される。
両手はピースサインを描き、腰つきの動きは可愛らしく、くねくねと。
笑いを誘うようにも、煽っているようにも見える。
どちらにせよ、年頃の少女にとっては羞恥を与えるダンスだ。
両手はピースサインを描き、腰つきの動きは可愛らしく、くねくねと。
笑いを誘うようにも、煽っているようにも見える。
どちらにせよ、年頃の少女にとっては羞恥を与えるダンスだ。
「何って……勝利のエモートダンスだが」
ガシッボガッ
「遊んでる場合じゃないでしょ……次やったら本気で怒るからね」
「……ごめんなさい」
「……ごめんなさい」
※戦闘周辺でりゅうおうの炎による火災が発生しました。
【西京芸麻@ゲーマーが妖怪退治やってみた!】
状態:ダメージ(小)、疲労(小)、指のみ疲労(中)
服装:いつものパーカーとヘッドホン
装備:ゲーム機@ゲーマーが妖怪退治やってみた!
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0~2、SA・ホットライン
思考
基本:このゲームを攻略する
01:しばらくはチケフレアと組む
02:強力してくれる人を探す
参戦時期:弓城姫姫の加入(3巻)以降のどこか。
備考:ゲーム作品への深い知識がありますが、ゲーム出典の参加者へのメタ知識は扱わないものとします。
状態:ダメージ(小)、疲労(小)、指のみ疲労(中)
服装:いつものパーカーとヘッドホン
装備:ゲーム機@ゲーマーが妖怪退治やってみた!
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0~2、SA・ホットライン
思考
基本:このゲームを攻略する
01:しばらくはチケフレアと組む
02:強力してくれる人を探す
参戦時期:弓城姫姫の加入(3巻)以降のどこか。
備考:ゲーム作品への深い知識がありますが、ゲーム出典の参加者へのメタ知識は扱わないものとします。
【チケフレア@ヤリモノ】
状態:ダメージ(小)、次回戦闘までチートタックル使用不可
服装:ワンピースっぽい毛並
装備:なし
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0~2、SA・ホットライン、キメラのつばさ×2@ドラゴンクエスト
思考
基本:主催を倒して帰る
01:しばらくは芸麻と組む……言っとくが私の相棒は一人だけだ
02:竜王は今度こそどうにか倒したい
参戦時期:クリア後。後日談シナリオのアテナ戦は未経験。
備考:
※チートタックルは一戦闘ごとに一回のみ使用可。
※未来への翼は通常使用不可。令呪などのブースト手段が必要。
状態:ダメージ(小)、次回戦闘までチートタックル使用不可
服装:ワンピースっぽい毛並
装備:なし
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0~2、SA・ホットライン、キメラのつばさ×2@ドラゴンクエスト
思考
基本:主催を倒して帰る
01:しばらくは芸麻と組む……言っとくが私の相棒は一人だけだ
02:竜王は今度こそどうにか倒したい
参戦時期:クリア後。後日談シナリオのアテナ戦は未経験。
備考:
※チートタックルは一戦闘ごとに一回のみ使用可。
※未来への翼は通常使用不可。令呪などのブースト手段が必要。
【支給品解説】
【ゲーム機@ゲーマーが妖怪退治やってみた!】
芸麻が愛用している某Switchに似たゲーム機。
フォー◯ナイトなどのゲームソフトもセットで支給。
魂を込めることで任意の相手を自由に操作することが出来る。
また、操作の間はモニター越しに姿を確認することができる。
レベル差があまりに離れすぎている相手は操作出来ず、敵対している相手は一度倒さなければ操作できない。
【ゲーム機@ゲーマーが妖怪退治やってみた!】
芸麻が愛用している某Switchに似たゲーム機。
フォー◯ナイトなどのゲームソフトもセットで支給。
魂を込めることで任意の相手を自由に操作することが出来る。
また、操作の間はモニター越しに姿を確認することができる。
レベル差があまりに離れすぎている相手は操作出来ず、敵対している相手は一度倒さなければ操作できない。
【キメラのつばさ×3@ドラゴンクエスト】
チケフレアに支給。
使うと瞬時に拠点に移動できる、シリーズおなじみのアイテム。
DQ1仕様であり、決められた場所にしかワープできない。
このロワでは会場施設にラダトームがあればそこの入口に飛び、無ければ地図上のどこかの施設に固定で飛ぶものとする。
1度に飛べるのは2名まで。
チケフレアに支給。
使うと瞬時に拠点に移動できる、シリーズおなじみのアイテム。
DQ1仕様であり、決められた場所にしかワープできない。
このロワでは会場施設にラダトームがあればそこの入口に飛び、無ければ地図上のどこかの施設に固定で飛ぶものとする。
1度に飛べるのは2名まで。
■■■■■■■■■
【りゅうおうはベホイミをとなえた!】
抉られた肉が、ボコボコと盛り上がっていき、瞬く間に塞がった。
魔法とは唱える者の魔力によって、その力は変わるものだ。
単なる中級回復魔法であれ、魔王が唱えるならば欠損すらも容易に回復させる。
元の世界においては四等分にされてもなお、再生したほどだ。
魔法とは唱える者の魔力によって、その力は変わるものだ。
単なる中級回復魔法であれ、魔王が唱えるならば欠損すらも容易に回復させる。
元の世界においては四等分にされてもなお、再生したほどだ。
「1度ならず2度までも……またも忌々しいガキ共がっ!この俺様(りゅうおう)をっ!」
見た目は誇り高き竜族の王。
だけど、その美しき姿に似合わぬ小物口調で激昂する。
だけど、その美しき姿に似合わぬ小物口調で激昂する。
「キにサワル、シャクにサワる、ムカツクんだよ!!!」
この『りゅうおう』は本物の竜王ではない。単なる贋作。マガイモノ。
禁忌の術により生み出され、その姿形を与えられただけの脆弱な魔物の集合体。
種族の血に溺れ努力を怠った軟弱者。
“できあい”のもので姿と能力だけ取り繕った人形。
禁忌の術により生み出され、その姿形を与えられただけの脆弱な魔物の集合体。
種族の血に溺れ努力を怠った軟弱者。
“できあい”のもので姿と能力だけ取り繕った人形。
種族名は、確かに『りゅうおう』だ。
個体としての名前は、主からは与えられていない。
贋作として区別する為に、表記上だけ『りゅうおう≒』と呼ばれる者だ。
個体としての名前は、主からは与えられていない。
贋作として区別する為に、表記上だけ『りゅうおう≒』と呼ばれる者だ。
「……何故だ、なぜ負ける!」
圧倒的な力。技。能力。
邪配合という力を得て強くなった。
魔王という頂点へとたどり着いた……はずだった。
かつて、神竜を喰らって力を得たように、支給された暗黒神の力を取り込み更に力を増した。
邪配合という力を得て強くなった。
魔王という頂点へとたどり着いた……はずだった。
かつて、神竜を喰らって力を得たように、支給された暗黒神の力を取り込み更に力を増した。
それでも、二度目の敗北で届かない領域があると知ってしまった。
元の世界では本物の竜王に容易く喰われその命を終わらせた。
蘇ったこの地においても、虫けら同然のモンスターマスターと魔物に再び敗北するという無様を晒した。
それが、『りゅうおう≒』にとっての現実(じごく)。
元の世界では本物の竜王に容易く喰われその命を終わらせた。
蘇ったこの地においても、虫けら同然のモンスターマスターと魔物に再び敗北するという無様を晒した。
それが、『りゅうおう≒』にとっての現実(じごく)。
「俺とヤツらで何が違う!何が足りんというのか!」
以前、モンスターマスターを名乗るクリオと戦った時を思い出す。
あの時も単なるスライムやスライムベスが本来より高い力や使えない技を引き出していた。
先程も獣人型の魔物が人間により、力を何倍にも増幅させた。
あの時も単なるスライムやスライムベスが本来より高い力や使えない技を引き出していた。
先程も獣人型の魔物が人間により、力を何倍にも増幅させた。
「あの力はなんなのだ!」
どれだけ考えても分かる訳が無い。
りゅうおう≒は実験体。
生み出した主からも名前を与えられない孤独な魔物だ。
その人とモンスターの繋がりを理解することはできない。
りゅうおう≒は実験体。
生み出した主からも名前を与えられない孤独な魔物だ。
その人とモンスターの繋がりを理解することはできない。
「……まあ、良い。あれ以上の強さを身に付ければ良いのだ」
りゅうおう≒にとって、殺し合い自体は興味は無い。
そもそも元の世界において無様な最期を遂げ、一度は無くなった命だ。
邪配合で生み出された魔物は絶命すれば姿形すら残さず消滅する。
そして、かの世界では主から名付けられなかったモンスターの魂は、主の元に帰ることができない。
だからこそ、この地で蘇ったのはチャンスだと思った。
もう一度、より強大な力を身に付け、元の世界へと帰還する。目的はそれだけだ。
そもそも元の世界において無様な最期を遂げ、一度は無くなった命だ。
邪配合で生み出された魔物は絶命すれば姿形すら残さず消滅する。
そして、かの世界では主から名付けられなかったモンスターの魂は、主の元に帰ることができない。
だからこそ、この地で蘇ったのはチャンスだと思った。
もう一度、より強大な力を身に付け、元の世界へと帰還する。目的はそれだけだ。
「テリー様、待っていてください。貴方の求める究極の魔物になって見せましょう」
名もなき『いつわりの王』は再びやり直し(RE-DO)を求める。
【りゅうおう≒@ドラゴンクエストモンスターズ+】
状態:ダメージ(小)、激怒、変身前の魔族姿
服装:ローブ姿
装備:神鳥の杖(体内に吸収)@ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、SA・ホットライン
思考
基本:再びテリー様の元へ。
01:邪配合の元となる素材を見つけ、喰らい、力を付ける
02:あのモンスターマスター(芸麻)は次会ったら殺す
※参戦時期は単行本2巻。本物の竜王に殺された後。
※竜王×ラプソーンの邪配合により『竜神王』に変身できるようになりました。
それに伴いスキル『竜神王』@DQMシリーズを取得しました
状態:ダメージ(小)、激怒、変身前の魔族姿
服装:ローブ姿
装備:神鳥の杖(体内に吸収)@ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、SA・ホットライン
思考
基本:再びテリー様の元へ。
01:邪配合の元となる素材を見つけ、喰らい、力を付ける
02:あのモンスターマスター(芸麻)は次会ったら殺す
※参戦時期は単行本2巻。本物の竜王に殺された後。
※竜王×ラプソーンの邪配合により『竜神王』に変身できるようになりました。
それに伴いスキル『竜神王』@DQMシリーズを取得しました
【支給品紹介】
【神鳥の杖@ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君】
りゅうおう≒に支給。
暗黒神ラプソーンの魂が封印されており、持ち主を操り、負の感情を増幅させる代わりに強大な魔力を与える。
魔法の才能が無いものや、単なる飼い犬でさえボス級になれるほどの力を秘めている。
【神鳥の杖@ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君】
りゅうおう≒に支給。
暗黒神ラプソーンの魂が封印されており、持ち主を操り、負の感情を増幅させる代わりに強大な魔力を与える。
魔法の才能が無いものや、単なる飼い犬でさえボス級になれるほどの力を秘めている。
なお、他のDQ作品やソシャゲにコラボアイテムで登場する際は、操られる事はなく単純に強い装備品として扱われる。
それでいいのかラスボス。
このロワにおいてもそれに習い、主催陣営が誰でも使えるよう性能を落とし込んだ武器として扱う。
ラプソーンの力自体は再現されているものの、意思は宿っておらず所持しても操られることはないものとする。
それでいいのかラスボス。
このロワにおいてもそれに習い、主催陣営が誰でも使えるよう性能を落とし込んだ武器として扱う。
ラプソーンの力自体は再現されているものの、意思は宿っておらず所持しても操られることはないものとする。
ソードスキルとして、作中でラプソーンに操られた者達(ドルマゲス、レオパルド、呪われしゼシカ、マルチェロ)が使っていた技も使えるかは、後続に任せます。